君の仮面は   作:JALBAS

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いよいよ、復活したショッカー首領と、仮面ライダー達の最終決戦です。
滝と三葉はどうなったのか?そして、これからどうなるのか・・・・
最終回の、幕が上がります・・・・・




《 最終話 》

 

巨人首領は、ライダー達に顔を向ける。

『無駄な努力を、ご苦労だったな、ライダー諸君!・・・手始めに、お前達から血祭りにあげてやろう!』

巨人首領の目が、妖しく赤く輝く。口を開き、そこから巨大な光弾を放つ。

「いかん!避けろっ!」

ライダー1号の号令で、ライダー達は四散する。そこに、光弾が直撃する。その光弾は山の縁を削り、500m程先まで山を抉ってしまう。

「な・・・何という破壊力だ!」

「こんな奴を、このまま世に放つ訳にはいかん!何としても、ここで倒すんだ!」

『ふははははははは!できるかな?お前たちに!』

「なめるな!やるぞフィリップ!」

「OK!翔太郎!」

Wのひとり会話の後、バードモードのエクストリームメモリが飛来する。Wはそれをダブルドラーバーに重ねる。

『エクストリーム!』

Wの体が、中央から変化し、エクストリームモードに変わる。更にダブルは、プリズムメモリをマキシマムスロットに装填する。

『プリズム・マキシマムドライブ!』

続いて、エクストリームメモリを閉じて、再び展開する。

『エクストリーム・マキシマムドライブ!』

Wが緑色の竜巻に包まれる。Wは大きくジャンプし、そのまま巨人首領にキックを放つ。

『ダブルプリズムエクストリーム!』

それに対し、巨人首領は右手を前に突き出し、開いてWのキックを受け止める。

『うおおおおおおおおおおっ!』

竜巻と共に、Wは連続キックを巨人首領の右手に撃ち込む。

『効かぬわあっ!』

『うわあああああっ!』

巨人首領は、キックの衝撃もろとも、Wを弾き返してしまう。

「ならば・・・」

カブトは、ハイパーゼクターをセットする。

「ハイパークロックアップ!」

カブトはハイパーフォームに変化し、クロックアップモードに突入する。辺り一帯は時間が止まったようになり、巨人首領の動きも止まる。防御不可能な状態で、カブトはパーフェクトゼクターを構える。

『Maximum Hyper Cyclone!』

カブトのプロテクターが展開し、背中に虹色の羽が広がる。パーフェクトゼクターから凄まじいエネルギーが放たれ、巨人首領を直撃する。そこで、時間が元に戻る。

巨人首領の胸部に、凄まじい爆発が起こる。

「やったか?」

しかし、爆煙が晴れると、ライダー達は驚愕する。

「な・・・何とも無いのか?」

『はははははは!この強靭な肉体に、貴様らの攻撃など効かん!』

「個々の攻撃でダメなら、連携攻撃だ!」

ディケイドは、3枚のライダーカードを取り出す。それぞれに、ライダー1号、2号、V3が映っている。それを、ディケイドライバーに装填する。

『ファイナルフォームライド・1号・2号・V3!』

「うおっ!」

「な・・何だ?」

3ライダーは、変形を始める。1号、2号は巨大な弓に、V3は巨大なボウガンに変形する。ディケイドは、1号、2号の弓をV3のボウガンにセットする。

「スペシャルライダーシュート!」

ディケイドと巨人首領の間に、10枚のホログラムカードのトンネルが出来る。それに向かって、ディケイドはボウガンを放つ。2本の矢はホログラムカードを通過する毎に、勢いと、輝きを増して行く。そして、最後のカードを通過したところで、凄まじいエネルギーに包まれたライダー1号、2号に戻る。

『ハイパーライダーダブルキィィィィック!』

超強力なライダーダブルキックが、巨人首領に炸裂し、大きな爆炎が上がる。

「今度はどうだ?」

『はははははは!その程度か?』

しかし、巨人首領には傷ひとつ付いていない。

「デカブツには、デカブツで応戦だ!」

今度は、デンライナーとゼロライナーが、巨人首領に迫る。運転しているのは、モモタロスとゼロノスだ。

「てめえ!滝と三葉を返しやがれ!」

デンライナーは、巨人首領の周りを回りながら、ゴウカノンを連射する。しかし、この攻撃にも、巨人首領はびくともしない。

「これならどうだ!」

ゼロライナーは先頭車両の角で、巨人首領に突進する。

『効かぬと言っておるだろう!』

巨人首領は、両腕を振り回し、デンライナーとゼロライナーを弾き飛ばしてしまう。

「うわあああああっ!」

「ちくしょおおおっ!」

 

その後も、ライダー達は攻撃を続けたが、巨人首領には、一切の攻撃は効かなかった。

「強靭な肉体の上に、奴は彗星落下の全てのエネルギーを取り込んでいる・・・・今のままでは、どんな攻撃も通用しない!」

「何とか、奴のエネルギーを奪い取る事ができれば・・・・・」

ライダー2号とV3の会話に、ライダー1号が答える。

「・・・・滝に、賭けるしかない!」

『何?』

「滝が、必ず三葉を救い出す!三葉を取り返せれば、奴は大きくパワーダウンする筈だ!」

「だが、滝はもう・・・・・」

「いや、滝は、必ず生きている!俺は、あいつを信じる!」

 

その頃、何も無い闇の中を、滝はさ迷っていた。

“三葉!”

滝は、ずっと叫び続けていた・・・・この空間の中では、言葉は要らなかった。心の叫びが、そもまま空間中に響き渡る。その空間の中を浮遊するように、滝は進んで行く・・・・行けども、行けども、何も無い・・・・でも、滝は諦めない。探し続ける・・・・そして、遂に辿り着く。三葉だ!三葉の姿が、滝の視界に入って来る。三葉は、目を閉じて、眠ったように動かない・・・・何も無い空間に、直立で浮いている。

“三葉!”

滝は叫ぶ・・・・しかし、反応は無い。

“三葉!”

滝は叫び続け、三葉に近づいて行く・・・・しかし・・・・

“?”

三葉の目の前まで来た所で、進めなくなった。見えない壁が、滝の行く手を塞ぐ。

“三葉!”

滝は、叫ぶしかなかった。だが、三葉は依然目を開かない。滝の叫びは届かない。

“三葉ああああああああっ!”

その時、滝の右手の組紐が光り出した。組紐は解け、その先が、三葉に向かって伸びて行く。ガラスが割れるように、見えない壁が砕かれる音がして、組紐の先は、三葉の左手首に巻き付いていく。

“!”

三葉の目が、少しずつ開いていく・・・・

“三葉!”

“た・・・たきくん?”

三葉が、滝に気付く。

“三葉っ!”

滝は、三葉に向かって手を伸ばす。

“滝君っ!”

三葉も、滝に向かって手を伸ばす・・・・・2人の手が、繋がる・・・・・

“?!”

2人の手首に巻き付いた組紐が、凄まじい光を放つ。その光は2人を包み込み、更に大きく広がっていく・・・・・

 

『ぐ・・・ぐうおおおおおおっ・・・・』

急に、巨人首領が、苦しみ出す。

「な・・・何だ?」

すると、巨人首領の胸の辺りから、激しい光が発せられ始める。光が強くなるにつれ、巨人首領の苦しみも大きくなっていく。

「ま・・・まさか?滝か?」

ライダー1号が叫ぶ。その直後、光は最高潮になり、体が分裂するかのように、巨大な光の塊が巨人首領の胸から飛び出していく。

『ぐおおおおおおおおおっ・・・・』

直後、巨人首領の体は、半分くらいまで縮んでしまう。光の塊は、巨人首領の頭の上を飛び越えてその背後に行き、ライダー達が立つ頂上の縁の、反対側の縁に降り立つ。徐々に光の塊は小さくなっていき、人間2人分のシルエットに変わっていく。

最後には、お互いの手首を光り輝く組紐で繋がれた、滝と三葉の姿に成る。

「た・・・滝っ!やはり、無事だったんだな!」

滝は、三葉を・・・三葉は、滝を見つめる。

「た・・・助けてくれて・・・ありがとう、滝くん!」

「ごめん、三葉・・・元はといえば、俺が、お前を傷付けたから・・・・」

「ううん、私が勝手に、勘違いしてただけ・・・・そのせいで、こんな、大変な事に・・・・」

『お・・・おのれ・・・・』

力を大幅に奪われ、重要な核である三葉まで奪われた巨人首領が、滝達の方に向いて来る。

「話は後だ・・・俺達のせいでこうなったんなら、俺達の手で終わらすんだ!・・・行くぞ、三葉!」

「うん、滝君!」

2人は、組紐で繋がれたそれぞれの手を、天に翳す。そして、揃って叫ぶ。

『変身!!』

組紐の輝きが強くなり、光の紐が大きく伸びていく。それは、滝と三葉を包み込んでいき、再び2人は光の塊となる。光は、今度はひとりのシルエットに変わっていき、光の中から、新たな戦士が現れる。

青いボディーに、彗星のように、後頭部に向けて尾が伸びた形をしたマスク。その正面に、燃えるような真っ赤な瞳を持つ。両の腕には、組紐を編み込んだような模様があり、腰のベルトの中央に、宮水家の家紋が輝く。

『我が名は、仮面ライダーティアマト!』

それを見つめる、ライダー達が叫ぶ。

「おお・・・・」

「新たな仮面ライダーの、誕生だ!」

『あ・・・新しい仮面ライダーだと・・・ふざけるなああああああっ!』

巨人首領は、数段威力は落ちているが、先程山の一部を破壊した光弾を、ティアマトに向けて放つ。それに対しティアマトは、右手を開いて手前に翳す。その掌から、大きな渦が発生して、ティアマトの前に巨大な壁を作る。光弾は、その壁に触れると、煙のように消滅してしまう。

『な・・・何だと?』

次にティアマトは、右手を深く握り、並ぶように左手も手前に突き出す。

『組紐バインダー!』

ティアマトの両腕の、組紐模様が激しく輝き、無数の光の紐となって伸びて行く。それは巨人首領を絡め捕り、厳しく締め上げる。

『ぐうおおおおおおおおおっ!』

これにより、巨人首領の動きが止まる。

『みんなの力を、私に貸してくれ!』

ティアマトは、仮面ライダー達にそう叫ぶ。

『お・・・おう!』

ライダー達は、ティアマトに向けて拳を突き出す。

『うおおおおおおおおおっ!』

拳から、光の帯が放たれ、ティアマトに向かって伸びて行く。それは、ティアマトのベルトの宮水家の家紋の中に吸い込まれていく。

全てのライダーのエネルギーが、ベルトの家紋に集まり、宮水の家紋が大きく輝く。

『Zen・Zen・Zense ―――― Sparkle!』

『とおおおおおおおっ!』

ティアマトは大きくジャンプする。そして、巨人首領めがけてキックを放つ。

『スパークルキィィィィック!』

ティアマトの体が、脚の先を基点に輝き出す。青白く、彗星のように輝いていき、小さな流星となって巨人首領に向かって行く。

『ぐうわあああああああああっ!』

顔面の辺りから突っ込み、巨人首領の体を大きくくり抜いて、臀部を突き抜けて着地する。巨人首領の体から、四方八方に光が発せられていく。

『お・・・おのれ・・・か・・・かめんらいだあああああああああっ!』

巨人首領の体は爆発し、凄まじい閃光が天空に立ち昇る。

「うおおおおおおおっ!」

凄まじい爆風が、ライダー達を襲う。皆、姿勢を低くして、これに耐える。閃光は徐々に弱まり、やがて完全に消える。同時に、巨大な首領の体も完全に消滅する。

『おおっ!ショッカー首領の、劇的な最後だ!』

ライダー達が叫ぶ。

「た・・・滝は?・・・三葉は?」

ライダー1号は、窪地の中を覗き込む。抉れは更に深くなっていたが、その底に、座り込んでいる2人の人影があった・・・・・滝と三葉だった。

「滝!・・・三葉!」

2人を繋いでいた組紐の光が、徐々に弱まっていく。そして、光が消えるのと共に、組紐も消滅した。2人は、組紐の無くなった手首を暫く見つめた後、顔を上げ、お互いを見つめ合う。

「・・・紐、無くなっちゃったな・・・・」

「うん・・・でも、もう必要無いかも?・・・私と滝君は、組紐なんかなくても・・・・」

「み・・・三葉・・・」

「た・・・滝くん・・・」

その時、彼らの背後の瓦礫が蠢き、地面の中から、ひとつの人影が飛び出して来る。

「きゃああっ!」

三葉は、思わず滝に抱き付く。

「・・・お・・おのれ・・・立花滝・・・よ・・よくも、我らの宿願を・・・・」

「し・・・死神博士?」

もはやボロボロの状態の、死神博士だった。ティアマトとなった2人なら、何て事の無い相手だが、既に組紐は消滅し、2人は唯の人に戻っている・・・・

「お前達だけでも、地獄への道ずれにしてやる・・・・」

そう言って、死神博士は、滝と三葉に迫る。

「い・・・いかん!」

直ぐに駆け付けようとするライダー1号だが、如何せん距離がありすぎる。万事休すと思ったその時!

「いいところで、邪魔すんじゃねえ!空気読みやがれ!このくそじじい!」

「ぐわあっ!」

赤い影が、死神博士を突き飛ばす。

「え?も・・・モモタロス?」

2人を庇って、モモタロスが現れる。

「き・・・貴様・・・・」

「お前は3年前・・・じゃなかった、3年後か?ええい、ややこしい!とにかく、既に終わってんだよ!いいところに水を差すんじゃねえ!」

「う・・・うるさい!グオオオオオオオオッ!」

最後の力を振り絞り、死神博士はイカデビルに姿を変える。一方のモモタロスは、デンガッシャーを構える。

「俺の必殺技・・・・・パート1だっ!」

向かって来るイカデビルを、モモタロスが一刀両断する。

「ギイエエエエエエエエッ!」

断末魔の叫びと共に、イカデビルは砕け散る。

危ないところを救われた滝が、モモタロスに尋ねる。

「も・・・モモタロス、な・・何で、実体があるんだ?」

「はあ?何言ってんだ、お前の願いを適えたからだよ!」

「あ・・・」

滝は、自分にしがみ付いている三葉を見る。

そうか・・・俺は、確かに、モモタロスに願いを言った。“三葉を助けたい”って・・・・ん?こいつ、さっき・・・・

「おい、モモタロス。」

「ん?何だ?」

「お前さっき、“いいところで、邪魔すんじゃねえ”って言ってなかったか?」

「ああ?・・・・そ・・そんな事、言ってたか?」

「随分、助けに来るの早かったよな?」

「そ・・・そうか?」

「お前・・・まさか・・・・」

「い・・・いやな・・・心配で、一足先に降りてたら、何か、話し掛け難い雰囲気になってたから・・・・・じゃ・・じゃあな!」

モモタロスは、赤い玉になって飛び去って行く。

「ま・・・待ちやがれ!この野郎!」

滝は飛び起きて、それを追い掛けて行く。

残された三葉は、その光景を見て、くすくすと笑うのだった・・・・・

 

全てが終わり、日本のショッカーも滅びた。御神体は無くなってしまったが、糸守は、彗星の破片の落下を免れて、町は残った。結果的には、最高の結末となった。

ただ、俺と三葉には、別れの時が迫っていた。俺達は、この時間の人間では無い。使命が済んだら、直ぐに、この場を離れなければならない。

デンライナーの前で、俺と三葉は見つめ合っていた。猛達は、既に乗って待っている。

しかし、何も言葉は出て来なかった。三葉も、ただ泣くだけだった。

「・・・それじゃあ・・・・」

「・・・う・・・うん・・・」

それだけ言って、俺は三葉に背を向けて、デンライナーに向かって歩き出す。ふと、ある言葉が浮かび、足を止め、振り返る。

「・・・そうだ、三葉、ひとつだけ言っておきたい事があった・・・・」

「え?・・・何?」

「お前さあ・・・知り合う前に、会いに来るなよ。分かる訳無いだろ・・・・3年後に、待ってるから。」

「う・・・うん!」

ようやく、三葉は笑顔を見せた。

そして俺達は、デンライナーに乗って、3年前の糸守を後にした・・・・・

 

3年後の現在、俺は、猛のバイクでアパートまで送ってもらう。他の仮面ライダー達は、既に、自分たちの戦場に戻って行った。

「じゃあな、滝!」

少しいやらしい笑みを浮かべ、猛は帰っていった。何故、猛がそんな笑みを見せたかというと・・・・・・

俺が、アパートの部屋の前まで来ると、ひとりの女性が、ドアの前に立っている。その女性は、俺の顔を見ると満面の笑顔で、こう言ってくる。

「おかえりなさい、滝君!」

それは、3年経って、より綺麗になった女子大生の三葉だ。

「ああ・・・ただいま、三葉!」

俺と三葉の本当の物語は、今、ここから始まる・・・・・・

 






ここまで読んで下さって、ありがとうございました。
仮面ライダーティアマトは、1回限りの仮面ライダーです。彗星のエネルギーを纏った組紐で変身しますので、次は1200年後にならないと変身できません・・・・
ティアマトの描写が、殆ど“メテオ”になってしまい申し訳ありません。でも、“彗星”をモチーフっていったら、ああなっちゃいますよね?“メテオ”は“流星”だけど。まあ、二次創作なんで、多少のパクリも有りとして下さい。
ティアマトの変身からスパークルキックまでのくだりは、バックに“前前前世”を流しながら読んで欲しいです。特に、オリジナルバージョンの3番のところを。
“宮水家の家紋”なんて書きましたが、何も想像できてません・・・・どんなんだろう?

ちなみに、ディケイドの「スペシャルライダーシュート」~「ハイパーライダーダブルキック」も、自分で勝手に考えた技です。ディケイド+3人ライダーなら、こんな連携技やりそうかなと思って・・・・あと、どっかでライダーダブルキックを使いたかったんで・・・

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