ツォーネ1984   作:夏眠パラドクサ

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蓮華菩薩「奇跡も、魔法も、スーパーロボットもあるんだよ。今ならお得な超能力もつくよ。大好きだったあの人と一緒になれるよ。たいせつな友達も救えるよ。さあっ、みんなで転生するんだ!」

チクショーメなミグ使い「じゃあガンダムロボッツで」
赤い魔砲使い「せっかくだから、わたしはこの赤の黄金の棒の塊を選ぶぜ……あと、年齢を一〇も間違えてるから」
蓮華菩薩「ニコ辞典を見たら二四歳なんだってねww わけがわからないよww」



【神様がすてきな】アインザッツコマンドー 6【特典をくれるよ】

 

「ホーエンシュタイン」

 

 フォルシュトリヒが機械より大きな声で叫んだ。それは、ラヴゾンが思いだせなかった六六六中隊戦闘要員の名前だった。

 

「ホーエンシュタイン。我らが嘉する者。我らが兄弟は、エアフルトにあり。人間世界の終焉を望まぬならば、疾く行け」

「プロイェクツィオン?」

「BETAの再侵攻は近い。〈宇宙旅行協会〉の使徒よ、汝は姦計により、時を失いぬ。今やエアフルトは――」

「何いきなり話かけて来てるわけ?」

 

 バラライカが三.六センチ弾を発砲した。

 ヴァーゲンの外れかけていた幌が支柱ごとちぎれ飛んだ。

 

「余計なこと喋るな、マヌケめ。……んん~~? これは……この水槽、〝新人類〟じゃないよねえ。ひょっとして〈夢見るアンディ〉っていうんじゃないかなあ?」

「〈宇宙旅行協会〉が、なんの目的でESP発現機を探す?」

 

 カマーツに向けていた砲口を、バラライカは腕の巧みな操作だけで方向転換した。凡庸な操縦士ならばコンピューターに頼って腰の回転で上半身ごと動かし、重く不安定な機体を何秒も揺らしているところだろう。

 人間がTSFの腕、砲を操作して重心をぶらすと、歩行用姿勢制御コンピューターは脚を操作して直立体勢の安定を保つ。

 凡人基準の、BETAとの戦闘ですぐに死んでしまうニュービー(ノイリング)機械科兵むけの教科書では「人間による主目的動作→コンピューターによる補助動作」の順序で実行処理をくりかえすことが、時間はかかるが無難な、つまり信頼性が高い動作追随式ロボター操縦法であるとされている。

 生身の存在がTSFと戦う場合、この何秒かの隙に軽捷な歩兵ならば遮蔽物へ走り、相応の武器があれば反撃もできるし、BETAならば恐れ知らずに距離をつめることができる。

 しかし地獄からあらわれた甲冑騎士めいた、夜闇より黒いバラライカにはその隙がない。

 

「質問してるのは、こっちだよお~~雌犬ちゃん。背骨に電極ブッ刺された囚人みたいに答えろ。〈アンディ〉はエアフルトのどこにある?」

「……アメリカから食糧支援に来た企業が、四月に工場を買った。あるとすればそこか」

「そいつらがベルリンで〈アンディ〉を焼いて――四月に?」

 

 ラオトシュプレヒャーが周波数を探す雑音を流し、男の声に変わった。ハンブルクに設備を間借りしたDDRラディオシュタツィオンの放送だった。

 

「――新政府の決断的交渉により国連安全保障理事会は今月一四日、ダンケルク計画の進歩的発展を承認しました。決議にともなってアフリカ統一機構は一七日、共和国市民の受け入れ増員に同意を示し、新たに二〇〇万人のカメルーン移住を」

「今日は何月だ? 日付は!」

 

 アンザーガーの朗読に、操縦士が質問をかぶせる。

 

「一一月二〇日、……日曜日よ」

「曜日なんかどうだっていいでしょ! バカなの? 一一月?」

 

「――『断固たるドイチュ民族の意志が民主主義を勝利の剣となし、あらゆる混迷に進歩的解決の道を切り開く! 我々の民主的意志は正義であり、正義とは力です!』」

「どうして未来へずれてる」

 

「――『革命軍は、旧体制が三六年かけて共和国市民から盗みとったものを、三六時間で奪還しました。今も国連理事会を利己的に妨害するゾビエトは、自らが燃え盛らせた煉獄の炎の中に我々を投げ入れ』」

「使徒よ、聞け。我らが兄弟は〈冥土成聖騎士団〉に囚われたり」

 

「――『かくも罪深きゾビエトは、その弾圧によって穢れた鎚を、もぎとったBETAが振るうにまかせた! しかし我々は不滅の剣となって炎の中から立ちあがり、人類の危機に』」

「かの者どもへ報復をなすべく、フォン・ユンツトは〈宇宙旅行協会〉の術に、すなわち汝の招来に干渉せり」

 

「――『アフリカを蝕む腐敗した搾取階級からの武装解除要求に、我々は決して応じません。ダンケルク計画を巨大な奴隷市場にしようと企てる敗北主義者、日和見主義者の欺瞞的提案にも応じません』」

「そいつ、時間を操るなんてことが……報復とは?」

 

「――『我々の武装を言われるがままに譲り渡すことは、隷属の道に他ならないのです』」

「〈冥土成聖騎士団〉は人類の救済を決定したらむ。我らが兄弟に新たな呪縛を科し、大いなる術を構築しつつある」

 

「――『後方諸国の搾取階級は、オイローパに残された猶予が少ないことにつけこみ不当な干渉を』」

「一〇〇億の贄を捧ぐ、世界を時空回廊に封じる、かの者どもの企てをフォン・ユンツトはBETAを用いて――」

 

 数度の小さな発砲音がフォルシュトリヒの叫び声を止めた。

 

「――『彼らは現代民主主義文明の祖たるオイローパを滅ぼし、軍事独裁をも正当化して、全世界をプロレタリアートの完全支配へと』」

「こおおの、クソ犬! どうあってもバラバラに引き裂かれたいみたいだね!」

 

「――『それを避けることが不可能ならば、全権指導部は力の決断的行使をもって正義をなし、共和国市民、全ドイチュ民族、およびカメルーンの虐げられた人々に幸福(ハイル)をもたらします』」

「地獄から帰るにさいして、わたしも神器を授かっていてね」

「ああん?」

 

「――指導者ウルスラはNATOとの協同会議でこのように声明し」

「BETA群でも人類軍でも大隊規模なら、これ一つで皆殺しにできるわ……〈ザ・クリムゾン・オブ・デス〉!」

 

「――さらなる総括的努力をアフリカに求めて」

「セットアップ」

 

 


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