フタマルサンマル。果がないように見えた書類の山も片付け終え、執務室の二人はやっと休むことができた。
「ふぅ…今日はつらかったな。弥生、お疲れさまー」
「お疲れさまです。それじゃ弥生、もうこんな時間ですし部屋に戻りますね。睦月姉さんに何故か今日は仕事終わったらすぐ来てって言われたので。」
「そう?じゃあまた明日な。」
「はい。」
そして弥生は執務室から出た。
足音が段々と遠くなり、ほぼ聞こえなくなってから十数秒後、
執務室に残り自分のスマホを弄っていた提督は突然席から立ち上がり、自分の姿を駆逐艦睦月に変え、そのまま駆逐艦寮へと向かった。
弥生は何が起こっているのかまったく知らないまま、駆逐艦寮の廊下を歩いていた。自分と睦月・如月・卯月が使っている102号室の前にたどり着きドアを開けようとした瞬間、
「弥生ちゃん!」
「(この声って…)睦月姉さん…?」
突然の呼び声に弥生が振り向くと、
「「どっちが本物か、わかるかにゃあ?」」
「…司令官、一体今日中に何度『またですか』って言われたら気が済むんですか?あと、睦月姉さんもこんな悪戯、そう簡単に乗らないで…」
自分の前に二人もいる姉を見ても少しも驚かず。新入り相手には結構通じるこの『本物はだーれだ』だが、鎮守府の中でもかなりの古参、そして長い間秘書艦を務めている弥生は当然これくらいの悪戯にはもう慣れていた。
「そ、そんなこと言わないではやく当ててみるがよいぞー!」
「よいぞー!」
「いやです。」
「「そんな…」」
凹んでいる提督と睦月。
(さすがに言いすぎたのかな…)
そんな二人を見てこう考えた弥生は今度だけはこの悪戯に乗ってあげることにした。
「…わかりましたよ…じゃあ当ててみます。」
さっきの凹みはなかったように提督と睦月の表情は一瞬で笑顔に変わった。弥生はそれにドン引きしながらも二人を綿密に観察した。それから数秒後、
「…左ですね?手にある指輪、丸見えですよ。」
「えっ?!あ……」
「は…まったく、ばれないほうがおかしいですよ…それもそのケッコンカッコカリした相手にはもっとです。」
「さすが弥生ちゃんにゃしぃ…」
妹の見まねの上手さに驚く睦月。
「それで、正解ですし何がご褒美はないんですか?」
「わかったよ。明日、間宮で何かおごってやるから。」
「はい。じゃあそれで。」
そう言って部屋に入りながら少しだけ、ほんの少しだけ笑みを浮かべる弥生だった。
これもまた、柱島鎮守府の日常である。
足りぬ…足りぬ…ネタが足りぬ…
というわけでドウモ、ミナ=サン。ワラベ=デス。
ほぼ2週ぶりの投稿ですね。これからもだいたいこんな投稿ペースで(3月後にはもっと遅くなるかも)行くかもしれませんorz