艦娘に変身できる提督はいかがでしょうか   作:Warabe

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これが柱島鎮守府の日常である。

国際反深海棲艦軍事協力機構のマークが描かれた旗が中央に掛けられた執務室の中で、2つのキーボードを叩く音が鳴り響いていた。

 

この東アジア地区柱島鎮守府の秘書艦、睦月型三番艦、弥生はいつもと同じように隣に座っている提督に書類を渡した。

 

「司令官、この遠征計画書のチェック、お願いします。」

 

すると、

 

「あぁ、わかった。どれどれ…」

 

と、提督は振り向いた…のだか、

 

弥生の目に映ったのはいつもの提督の姿ではなく、軍帽をかぶって、ぶかぶかな白い軍服を着ている睦月型艦娘「弥生」の姿、

 

すなわち、自分の姿だった。

 

普通なら「ドッペルゲンガーだああああ!!!!!!!!!」とか言って大騒ぎをしても可笑しくないところだが、弥生は平然と、

 

「またですか、司令官……執務中に、特に弥生の姿になるの、いい加減やめてくださいよ…」

 

こう言いながらまだ沢山ある書類の片付けのため、秘書艦用PCに視線を移した。

 

「わかったわかった。提督服の弥生ちゃん、可愛かったけどなぁ。」

 

と、もう一人の弥生は手に持っていた書類を机に置いた。

すると、その弥生の身体は足と指先から変化し始め、3~4秒くらいが過ぎると「弥生」の姿は消え、提督席には茶色い癖毛の15~16歳くらいに見える男性が座っていた。

 

「仕事する時はそれに集中してください…弥生もその…恥ずかしいですし…」

 

「はいはい。でも、流石に弥生ちゃん可愛すぎr…じゃなくて、俺はこの能力、無駄遣いしてるわけじゃないぞ。ほら、新しい海域挑む時って初出撃は必ず俺が旗艦になるじゃん。」

 

「…その機会が殆どないから普段はそれ使って悪戯ばっかりするんですけどね。この間、山城さんに説教されただけじゃ気が済まないんですか?あと、それとさっきのあれってだいたい関係あります?」

 

「…もうやめて…俺のライフはもう0なんだ…」

 

「はーい(棒読み)」

 

「おいこら!」

 

これが柱島鎮守府の日常である。

ここの提督、李輝月(イ・フィウォル)大佐は1年前―提督として着任してから5ヶ月くらいの頃、上部からの頼みで「人間の身体への艦娘のDNAデーター注入による対深海棲艦戦闘能力具現」についての実験に参加し、自分の姿を艦娘に変えることができるようになった。勿論、変身した状態なら出撃や練習、遠征などもできる。

だが、一応実験は成功はしたものの、いろいろ非効率的な点もあって、結局追加実験は行われず、この変身能力を持ってるのは彼1人のみである。

 

そんな中、時計の針はもうヒトハチマルマルを指していた。

 

「なぁ、弥生…腹減ったしなんか食べようぜ…仕事に集中できない…せめて間宮でも…」

 

「ダメです。書類の片付け、あとちょっとで終わりますから少しは待ってください。」

 

夕飯の時間はヒトキュウサンマル。まだ1時間半くらい残っていたが、この提督はどうやらそれが我慢できそうにないようだった。

 

「あの…司令官?文月に変身したって、何か変わるわけじゃないんですよ?一体何を…」

 

 

 

 

 

「ねぇ、弥生お姉ちゃん……本当に…ダメ?」

 

 

 

 

 

ズキュン。

 

流石に弥生でも、いくら中身は提督だと知っていても、文月の可愛さには耐えきれなかったらしい。

 

「……まったく……今度だけですよ?」

 

これが柱島鎮守府の日常である。




というわけで初めまして皆さん、Warabeと申します!
もともとこういう設定面白そうだなーとか誰か描いてくれないかなーとか思いましたけどこうやってSSで書くのは初めて…というかSSを書くの自体が初めてですね。
これからもどうぞよろしくお願いします!

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