Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
以前、3年生と布屋さんで話に挙がっていたキャンプの話になります。
とはいえ、その話は読んでいなくても問題はないと思います。



キャンプと布屋さん1

以前3年生のみんなから聞いていたキャンプの話。

それが明日に迫っていた。

 

予定では1泊2日。

屋外活動を楽しみつつ、バンガローに泊まるらしい。

 

キャンプ場までは片道1時間程度。

沼津にもキャンプ場はあるのだが、少しくらい外に出たいという意向でその場所になったらしい。

 

まあたまにはそういうのもいいだろう。

夏休みは練習をよく頑張っていたわけだしね。

 

明日のための荷物が一通り揃っている事を改めて確認する。

そんな時だった。

 

『ブルルルルルルルル』

 

携帯のバイブが鳴った。

電話のようだ。

 

画面に表示されている名前は…

 

『高海 美渡』

 

千歌ちゃんのお姉さんだ。

電話が来るのは少し珍しい。

 

「はい、もしもし」

『あ、ハルくん?今いい?』

「こんにちは、美渡さん。どうしました?」

『明日の事でちょっとねー』

「ああ、そういえば美渡さんも一緒に来るんですよね?」

『そうそう。さすがに大人がハルくん一人だと厳しいでしょ』

「そうですね。助かりますよ。ただ、仕事とか大丈夫だったんですか?」

『大丈夫大丈夫。あ、それでね』

「はい」

『ハルくん、お酒飲めたっけ?』

「酒?まあ一応飲めますけど」

『オッケー。じゃあ持ってくねー』

「え、それだけですか?」

『そうだよ?』

「別にメールとかでもよかったんじゃ…」

『私、そういうのめんどくさくて嫌なのよねー』

 

相変わらずである。

 

そんなどうでもいい電話をして、準備を再開する。

準備がきっちり整ったとき、時刻は夜の12時を回ろうかというタイミングであった。

 

思いの外、時間がかかっていた。

 

「準備にこれだけかかるとは…」

 

案外、俺も気合が入っているようだ。

 

 

 

 

「では!思いっきり楽しみますわよー!」

「「「「「おおー!!」」」」

「お、おー!」

「無理に合わせなくていいのよ」

「みんな気合入ってるずら〜」

「君たち1年生が1番落ち着いてるね」

 

翌朝。

浦の星女学院前に揃う11名。

Aqoursの9人と、俺、美渡さんの大人2名である。

 

ここからマイクロバスで移動するらしい。

手配したのは小原家だ。

 

最初はヘリコプターでも出そうかと言っていた。

俺が酔うので断ったが。

 

運転も小原家の用意した運転手さんがいるらしい。

その人に軽く会釈をしてバスに乗る。

間も無くして動き出すバス。

 

「今日行くのはどういうキャンプ場なんだい?」

 

横に座る千歌ちゃんに聞く。

 

「なんかね、いろいろ遊べるんだって!」

「ほうほう。例えば?」

「んー…釣りとか、バーベキューとか、あと、アスレチックとか!」

「アスレチック?」

「そう!んー…なんていうんだろ…ロープとかの遊具とかそういうの!」

「ああ、多分フィールドアスレチックかな」

 

アスレチックという単語だと、本来の意味は運動である。

しかし、キャンプ場にあるような遊具もアスレチックと呼ばれる事は多い。

これは本来フィールドアスレチックというのである。

 

自然の中で、一定のコースを目安に作られた遊具群とでも表現するべきだろうか。

 

「ちなみに、予定とかは決まっているのかい?」

「予定?」

「スケジュールみたいな」

「んー…テキトー?」

「まあそうだろうね」

 

キャンプでそんなに細かい日程は決めていないか。

 

「あ、でもね、いくつかやりたい事はみんなで決めてるんだよ!」

「ほう」

「えーとね…」

 

そこまで千歌ちゃんが言ったところで、後ろの席から曜ちゃんと梨子ちゃんが会話に入ってきた。

 

「まずはバーベキューだよ!キャンプの定番!」

「やるのは明日の昼だけどね」

「帰る前にやるんだね」

 

「バーベキューの前にフィッシングよ!」

「釣った魚も焼くのかい?」

「当然ですわ!」

「掴み取りでもいいよね?」

 

3年生も入ってきた。

…果南ちゃんは掴み取りにするらしい。

 

「夜に肝試しもするずら!」

「うゅ…こ、怖いです…」

「ふふふ…堕天使にかかれば幽霊などたわいもない」

「ああ、確かにそれも定番だね」

 

最後は1年生である。

みんなは怖いものは平気なんだろうか。

 

さっきの感じだと、アスレチックにも行くみたいだ。

体力配分をしっかりしとかないとな。

 

ちなみにこの間、美渡さんは寝ていた。

 

 

 

 

「とうちゃーく!」

「いえーい!だいしぜーん!」

「シャイニー!」

「緑生える山!」

「綺麗な川!」

「広大な自然!」

「「「「「「これぞキャンプ!!」」」」」」

 

順に、千歌ちゃん、曜ちゃん、マリーちゃん、果南ちゃん、ダイヤちゃん、花丸ちゃんである。

Aqoursのテンション高い組だ。

 

「みんなー、荷物下ろすの手伝ってー」

「うゅ…お、重いっ…ピギイ!」

「ルビィ、大丈夫?ほら、こっちは私が持つから」

「俺も持つから、君らは軽いものを持ってきてくれ」

「あ、じゃあこれも頼むわね」

「20歳以上の方は自分で持ってください」

「えー、私も女の子なんだけどー」

「あなたは女性です。女の子じゃないです。そもそも、俺より美渡さんの方が力あるじゃないですか」

「もー。あ、じゃあみんなの分くらいは持ってね。はい」

 

結構重たいダンボールを美渡さんから受け取る。

 

「なんですか、これ」

「ジュースだよ」

「ああ、なるほど。だったら持たないといけないですね…ってこれ酒じゃねーか」

「ジュースでしょ」

「どこがみんなの分なんですか」

 

とはいえ返すわけにもいかないので、そのままバンガローまで持っていく。

重いんだけど、どんだけ持ってきたんだ。

 

他の荷物を持ってくれている善子ちゃんと一緒に歩く。

と言っても、すぐ側だが。

 

バンガローは1つに5人は寝れそうなサイズだ。

それを4つ使う予定らしい。

 

3部屋が寝泊まりで、1つは荷物用とのこと。

1泊ごときのためにやる配分ではない。

 

ちなみに、借りたバンガローの数は、キャンプ場のもの全てである。

というか、このキャンプ場は貸切なんだそうだ。

 

小原家と黒澤家で手配したらしい。

 

聞いた時、驚きすぎて言葉を失った。

 

「案の定、荷物置きのバンガローはスッカスカだね」

「そうね」

 

ジュースを置く。

部屋の中は明らかに空きがある。

 

「ハル、この部屋で寝るんだっけ?」

「そのつもりだよ」

 

寝るスペースがあるか心配だったが、こうしてみるとその必要な無用だったみたいだ。

どう考えても、この荷物室で寝れる。

 

そもそも、個人の荷物は自分たちの場所に持ち込んでいるし、ここにあるのは共用の備品。

バーベキュー用品だったり、食料だったりだ。

11人分は確かに多いが、バンガロー1個まるまる使うほどではないのだ。

 

そんな時、ふと思った。

 

「個人備品以外で何を持ってきてるんだろうか」

「何って…普通にキャンプ用品じゃないの?」

「用意したのは誰なんだい?」

「全員ね。必要と思うものを体育倉庫に置いとけって言われてたの」

「なるほど。てことは、互いが持ってきた荷物は把握できていないものもあるわけだ」

「そうね」

 

興味本意で覗いてみることにした。

 

「まあ共用のとこにあるんだし、見ても問題はないわよね」

「見ちゃいけないものなら、個人で持って来るだろう」

 

とりあえずは近くにあった段ボール。

蓋をあけると…

 

「…これ、何?」

「μ'sの応援グッズだね」

「…なんで?」

「ファンだからだろうね」

「…あの姉妹よね、持ってきたの」

「まあ、μ'sの大ファンといえばあの2人だね」

「…何考えてんのかしら」

 

善子ちゃんが頭を抱えている。

段ボールの中にあったのは、うちわやペンライトだった。

μ'sの応援グッズであることはすぐわかる。

 

 

「…次、いきましょ」

「そうだね」

 

横の段ボールを開ける。

中にあったのは、スポーツグッズだ。

 

「物自体は普通ね」

「そうだね」

「…でも…何、この量」

「…そうだね」

 

野球ボール、グローブ、バスケットボール、サッカーボール、バドミントンラケット、シャトル…

 

「いや、このくらいはまだ分かるけど」

 

スケボー、折りたたみ自転車、トレッキングシューズ、ロープ…

 

「どこに行く気なのよ」

「ある意味、キャンプ用だね。というよりは登山か」

 

そして加えて。

 

テント。

 

「バンガローだって連絡あったじゃないのお!」

「か、彼女も楽しみにしてたのさ。張り切りすぎたんだろう」

 

 

さらにあたりを見渡す。

またしても段ボール。

 

「これは…」

「…パンね」

「…パンだね」

 

それなりに大きな段ボールいっぱいに詰められるパン。

色んな種類が入っている。

 

「持ってきたのは、多分あの子だろうね」

「…そんなにいらないって言っておいたのに…っ」

 

その後、幾つか見てみたが個人の趣味全開な物が多かった。

別に何か言うつもりもないが。

 

ちなみに善子ちゃんは儀式用の道具を持ってきていた。

ロウソクとかそういうの。

 

「し、仕方ないじゃない!個人の荷物に入らなかったんだし!」

 

そう言っていた。

 

キャンプ1日目、午前。

 

荷物を降ろして昼ご飯を食べただけだが。

 

先が思いやられた。

 

「…大丈夫か、これ」

 

 




ご視聴ありがとうございます。

話が全く進みませんでした。
でも文字数的に区切りがよかったんです、ごめんなさい。

次はもう少しテンポよく進める予定ですので、許してください。

それではなにかありましたらお願いします。

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