Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
デートの持ち物談義、二話目になります。
今回は一年生を中心にした話です。



デートの持ち物と布屋さん2

「で、話っていうのがこれ?」

「あー。懐かしいアンケートずら」

「アンケート取ったのは今から一週間くらい前だから、そんなに懐かしむほど昔ではないと思うけどね」

「これがどうかしたんですか?」

 

昨日呼んだ一年生三人組と一緒に仲良くパソコンの画面を覗く。

パソコンには昨日二年生たちと一緒に見ていた、スクールアイドルの公式ページが映し出されている。

 

画面中央に表示されているのは『デートに持っていきたいもの』の文字。

二年生たちの回答がなかなかに面白かったので、他学年の子達の回答も見ようと思い立った俺。

 

そんでもって、どうせなら本人たちの話も聞こうと考え、こうして一年生の子達を呼んだわけである。

 

「俺はまだ君たちの回答を見てないんだけどね、せっかくなら本人たちと見ようと思ったんだよ」

「あー…なんか二年生組は一緒に見たって言ってたわね」

「そうだね。一緒に見たよ」

「…なんの罰ゲームよ」

「大勢の人に公開している情報なんだし、何も罰ゲームってことはないだろう」

「一緒に見るのがハルさんじゃなければそうだったずら」

「なんでよりによって頭に浮かべてた当人と一緒に見なきゃいけないのよっ」

「あ、あはは…」

 

善子ちゃんが微妙に聞こえづらい音量で何か言っている。

花丸ちゃんの声はそれなりにはっきり聞こえるのだが、残念ながら会話の内容は分からない。

 

「まあでも、ハルさんならこの会話を聞いてても気付かないずら」

「これで気づけるなら、そもそも先輩たちの時に気付かれてるよね」

「そりゃそうかもしれないけどさ」

 

でもなんとなく馬鹿にされてる気がする。

まあいいか。

 

「それで、最初の話に戻るけどね」

「うん」

「結局これ、一緒に見てくれるのかい?」

「丸は大丈夫ずら!」

「わ、私もですっ」

「じゃ、じゃあ私も見るから!」

「お、三人ともご一緒してくれるんだね。それはよかったよ」

「…せめて空気から何か察しなさいよ」

 

 

 

 

三人に冷たい緑茶を渡しつつ、パソコンの画面を見る。

見ているのはもちろん、スクールアイドルの公式サイト。

 

『デートに持っていきたいもの』と題されたそのページにはスクールアイドルの名前と、その回答が記されている。

その中から、彼女たちの名前を探していく。

 

苗字はともかく、ルビィちゃんの名前は結構目立つ。

そのため、案外すぐに見つけることができた。

 

「えっと、ルビィちゃんの持っていきたいものは…」

「わ、私が最初ですか!?」

「る、ルビィちゃんのが一番気になったずら!?」

「そ、そうなのハル!?」

「いや、普通に目に付いただけなんだけど。というかあんまりこちらに迫ってこないでくれよ。照れるし暑いじゃないか」

「じゃあもうちょっと照れてる様子見せなさいよ」

「実際こうして照れているじゃないか」

「顔に、暑苦しいって書いてあるずら」

「迫ってくるのが美少女でも、暑いものは暑いんだね」

「やかましいわ」

 

いきなり本題からそれた。

パソコンに視線を戻し、ルビィちゃんがデートに持っていきたいものを見る。

 

「『アイドルグッズ』だね」

「デート、ライブにでも行くことを想定したの?」

「ルビィちゃんらしいずらー」

「そ、それもなくはないんだけど…それだけじゃないんだよ」

「ほうほう。ライブ以外に、アイドルグッズを持っていきたい理由でもあるのかい」

「そ、その…わ、私、デートなんてしたら多分、心臓が破裂しちゃうくらいドキドキしちゃうから…」

「うんうん」

「その、気分を落ち着けるために、あったらいいなって…」

 

もじもじしながら話してくれるルビィちゃん。

照れながら上目遣いでそう話す姿は、まさに恋する乙女のそれだ。

 

かわいいの一言に尽きるね。

 

「いいハル、あれが照れってやつよ」

「確かにそうだけど、正直今言うことじゃない気がする」

「ルビィちゃん、すごくかわいいずら〜」

「え?ええ?」

 

デートの緊張緩和のために、常日頃持っているものを所持しておきたいと。

ルビィちゃんらしい理由だと思う。

 

「花丸ちゃんの言うように、可愛らしい理由だと思うよ」

「本当ですか?」

「もちろん」

「…もしハルさんの恋人が、デートにこういうの持ってきても、ハルさんは嫌じゃないですか?」

「ルビィちゃんみたいな理由なら、それも好印象だね」

「そ、そうですか。…えへへ」

 

安心したような表情のルビィちゃん。

それを横目に、次は花丸ちゃんの回答を見ることにする。

 

「さて、次は花丸ちゃんだけど…」

「ま、丸ずら!?」

「うん。ダメだったかな?」

「そ、そういうわけじゃないずらよっ。ちょっとびっくりしただけ…うん!覚悟決めたずら!」

「そんなに気合を入れる必要はないと思うけどね」

 

言いながら画面を見る。

花丸ちゃんの、デートに持っていきたいものは…。

 

「…二つ、あるね」

「二つあるわね」

「これ、二つ答えても良かったんだね」

「確かに、ルール上は一つに絞れとは書いてないですね」

「ああ、そうなのかい。じゃあ二つあるのは大丈夫なんだね」

 

うん。

ルール上問題ないのであれば、二つ回答があることについてはスルーでいいだろう。

 

ところが、だ。

内容については、引っかかることがある。

 

「一つは文庫本、だね」

「ルビィちゃんと同じで、ないと落ち着かなくて」

「うん。それはなんとなく分かるよ。花丸ちゃんらしいとも思うしね」

「そうね。問題はそこじゃないわね」

「…うん」

 

花丸ちゃんの回答二つ目。

そこに書かれていたものは。

 

「俺の目がおかしくなければ、『まくら』って書いてあるよ」

「あんたの頭は時々おかしいけど、目はおかしくないわよ」

「頭がおかしくなるのはお互い様かな」

「この回答を見るに、ズラ丸も大概だと思うけどね」

「となると、まともなのはルビィちゃんだけかい。4人中3人がおかしいのなら、むしろおかしいことが普通と言えるんじゃないかな」

「そんなことはどーでもいいのよ!」

「二人ともどうしたずら?」

「うゅ?」

 

話がだいぶずれたけど、要するに花丸ちゃんはデートに枕を持っていきたいと書いたわけだ。

…いや、やっぱりおかしいよね、これ。

 

「花丸ちゃんは、枕をどうやって持っていくつもりなんだい」

「か、カバンにいれるずら」

「そうかい。そりゃあ大きなカバンが必要になるね」

「あはは。花丸ちゃん、ちょっと変わってるね」

「いやいやいやいや!違うでしょ!どう考えてもちょっと変わってるってレベルじゃないでしょ!」

「おや、善子ちゃん、ようやくツッコミのお時間…ぐえ」

 

善子ちゃんからクッションが投擲された。

跳ね返ったクッションは、すぐ近くのパソコンにもお茶にも当たらず地面に落下。

 

素晴らしいコントロールである。

 

「どこの世界に枕持ってデート行く女子高生がいるのよ」

「え?何かおかしいずら?」

「ほとんどおかしいわよ」

 

善子ちゃんほどはっきり言うつもりはないけど、まあ確かに一般的ではないかな。

とはいえ、理由は聞いておきたいものだ。

 

「ちなみに、枕を持っていきたい理由はなんだい?」

「あ、うん。丸ね、お昼寝とか好きなんだ」

「ふむふむ」

「それでね、こ、恋人とかできたら、一緒にお昼寝とかできたらいいな…って」

 

指を合わせて恥ずかしそうにそう話してくれる花丸ちゃん。

顔を赤くしながらもそう話してくれるその姿は、可愛いという表現以外の言葉では表せなさそうだ。

 

「えっと…やっぱり、おかしいずら?」

「いや、全く。素晴らしいよ。よくよく考えると、枕の一つや二つ、持ってきてもおかしいことなんて何もなかったね」

「おい」

 

善子ちゃんからはジト目で見られていた気がするが、気にしないことにしておく。

 

 

 

 

「さて、最後は善子ちゃんだね」

「そうね」

「まあ、正直予想はできるけどね」

「丸もずら」

「えっと…る、ルビィも…」

「なんですと!?」

「むしろ予想されないと思っていたのかい。おそらく、Aqoursのメンバー全員が、君の回答にはだいたい予想がついていると思うよ」

「な、なんてこと…私のアカシックレコードがどこからか漏洩して…!」

「君が普段から口にしてるからね。アカシックレコードというより、むしろオープンソースだね」

「難しい言葉が並んでてよく分からないずら」

「あはは。そうだね」

 

話している俺もなんの話をしているか忘れそうだし、ちゃんと本題に入るとしよう。

 

「でも!私はあなたたちの予想を裏切ってみせる!さあ!とくとご覧なさい!堕天使のアンサーを!」

 

自身の回答が映し出されたページを開き、その画面を俺たち三人に見せてくれる善子ちゃん。

胸を張って紹介してくれるのは、なんだかんだ初めてのパターンだ。

 

画面に映し出された回答は…。

 

「『悪魔の羽』ずら」

「『悪魔の羽』だね」

「おやおや善子ちゃん。現実にないものを書いちゃダメじゃないか」

「あるのー!というか、反応薄!」

 

まあある程度予想できてたしね。

多分、彼女とある程度交友のある人間なら、9割くらいの人が予想できる気がする。

 

「で、悪魔の羽って何ずら?」

「くっくっく…それはもちろん…これよ!」

「あ、善子ちゃんがよく持ってる羽だね」

「それ、悪魔の羽だったんだね」

「驚いたでしょう?」

「そこで驚かせたかったのかい」

 

というか。

 

「デートに持っていきたいものなのに、いつも持ってるの?」

「うぐっ!い、いいでしょ!別に」

「もちろんいけないとは言わないけどね。もっと珍しい道具とか持ってくものだと思ってたよ」

「魔術書とかずら?」

「か、乾燥したカエルさんとか…?」

「持ってないわよ!」

 

机をバンバンしながら言う善子ちゃん。

 

「というか、ルビィもズラ丸も、なんだかんだ普段から持ってるものだったでしょ!」

「それもそうだね」

「だから、別におかしくないの!」

「なるほど」

 

なんて会話をした直後。

ルビィちゃんから思わぬ言葉が。

 

「あ、じゃあ善子ちゃんも、緊張を紛らわせるために悪魔の羽を持っていくんだね」

「は?」

「確かに、普段身につけているものを持っていくのが丸たちと同じなら、理由もきっと同じずら」

「なあっ!」

「ああ、そういえば二人は緊張しちゃうのを落ち着けるためにって持ち物選んでたね」

「ち、違うわよ!」

「ふふ。善子ちゃんも女の子だもんね」

「そんなに照れなくてもいいずら〜」

「ち、違うってばー!」

「なるほどね。君もなかなか可愛らし…ぐえ」

 

またしてもクッションが投擲された。

明らかに威力がさっきより高い状態で。

 

「そ、そんな理由じゃないから!そんな温かい目でみるなー!」

「顔面にクッションを受けたせいで、正直目を開けるのが痛いんだけどね」

 

よくよく考えると、堕天使が悪魔の羽ってどうなんだろう。

堕天使といえば、背中に黒い羽が生えてるイメージはあるけど…。

 

あれって、悪魔の羽なのかな?

それとも堕天使の羽?

 

そんなどうでもいいことを、顔を真っ赤にしながら叫ぶ善子ちゃんを見ながら思ったのだった。

 

 

 





ご視聴ありがとうございました。

各キャラの持ち物は、G'sに掲載されているものを用いているのですが…
花丸ちゃんの枕、どうやって持ってくるのか気になりました。
旅行に枕持っていく人とかも現実にいるんですかね?

それでは何かありましたらお願いします。

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