Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
Guilty Kissのメンバーとの日常小話になります。


罪な接吻と布屋さん

ある日の夕方。

閉店間際の時間。

 

お客さんもこれ以上来る気配は無さそうだし、そろそろ今日の営業を終えようかと思っていた時だった。

 

「チャオ〜」

「こんにちは、ハルさん」

「お邪魔するわよ」

「おや、いらっしゃい」

 

やってきたのは、マリーちゃん、梨子ちゃん、善子ちゃんの3人である。

不思議な組み合わせだ。

 

「今日はまた珍しいメンツだね」

「そう?Guilty Kissのメンバーだよ?」

「ギルティ…?」

「Guilty Kissよ」

「あれ?千歌ちゃんから聞いてない?」

「なんのことだい?」

 

心当たりが全くない。

単語にも聞き覚えがない。

 

「私たち3人のユニット名よ」

「そうなのかい。そういえば、3つのユニットを作ったという話は聞いたような…」

「私たちがそのうちの一つよ」

「てっきり学年で分けたと思っていたよ」

「グーとパーで決めたわ」

「そんなんでいいのかい」

「リーダーが言うんだから良いんじゃない?」

 

まあそれもそうか。

 

「それで、今日はどのような御用件で」

「衣装について聞こうと思って」

「衣装?」

「ユニットである以上は、ある程度一貫した衣装を決めたいんだけど、なかなか決まらなくて」

「で、ハルのオピニオンを聞こうと思ったのよー」

 

オピニオン…意見か。

この場合は正しい使い方なのか?

いや、どうでも良いことなのだが。

 

「衣装といったって、俺にその手のセンスはあんまり無いよ」

「いや、仮にも布屋がそれじゃいかんでしょ」

「頼まれて作るのと、頼まれたものを用意するのが仕事なんだ」

「そうだけどさ」

「センスはともかくとしても、ハルさんの意見を聞くくらいは良いでしょ?」

「まあそれはもちろん。俺の意見でよければ、いくらでも出すよ」

「オー!ベリーグッド!」

 

マリーちゃんがそう言う。

すると、すぐに電話でどこかと連絡を取り始めた。

 

「…うん、そうそう。その、貧相な店よ。そこに持ってきて」

「貧相な店ってうちのこと?」

 

数分して。

うちに大量の段ボールが、黒服の人たちに運び込まれた。

 

何かは分からない。

さっきの電話からしても、呼んだのはマリーちゃんで確定だろうが。

 

「これは?」

「衣装よ!」

「衣装?」

「イエス!」

「理由を聞いて良いかい」

「同感ね」

「そうね」

「オーケー」

 

言って、段ボールの一つから衣装を取り出すマリーちゃん。

それを、自分の前に当てながら話す。

 

「ハル、これ、私に似合うと思う?」

「ふむ…似合うとは思うが、どちらか言えば善子ちゃんの方が似合う気がするよ」

「えっ。そ、そう…///」

「これが、衣装をここに持ってきた理由よ」

「…つまり、試着とかするから、それを見て判定しろと?」

「オフコース!」

「なるほど」

 

俺が一からアイディアを出すのではなくて、既存の服から大体のイメージを作るわけだ。

確かに、それならこちらとしてもやりやすい。

 

「服は、俺が選ぶのかい?」

「ノーノー。ハルは、私たちがコーディネートしたものを評価してくれればいいの」

「なんというか、上から目線になってしまって恐縮なんだが」

「いいのいいの。というか、梨子もよっちゃんも、ハルに見てもらいたいって思ってるでしょうし」

「ヨハネ!それに思ってない///」

「わ、私は、その…///」

「まあ、あくまで凡人の意見としてでも聞いてくれ」

「んー…実際はとてつもなーく大きい1票なんだけどねえ」

 

マリーちゃんが何を言っているかはよく分からないが、まあ彼女らの色々な衣装を見せてもらえるなら、かなりありがたいことだ。

3人とも美少女なわけだし。

 

「じゃあ2人とも、早速着替えましょう!奥の部屋、借りるわよー」

「あいよ」

 

3人が着替えに行っている間に、店の看板を『本日終了』に替えておく。

 

さて。

どんな姿が拝めるのか。

 

 

 

 

「まずはこれ!梨子の制服スタイルー!」

「シンプルだけど、やっぱり破壊力があるね」

「す、スカート短すぎない?」

「普段もみんな短いじゃない」

「みんなが短すぎるの!」

 

スカートの裾を抑えて言う梨子ちゃん。

いや、君も大概短いとは思うけどね。

 

梨子ちゃんの今の格好は、いわゆる改造制服というやつだ。

基礎はブレザーの制服なんだろうが、ブレスレットにリボンの柄、頭の被り物と、細かくオシャレに工夫されている。

 

もともと制服好きな俺としては、これだけで十分可愛い。

 

「さあハル!感想を!」

「言いたいことは山ほどあるが、とりあえずは100点だよ」

「まとめすぎでしょ!この後やりづらいじゃない!」

「いや、そう言われてもね」

 

善子ちゃんに怒られた。

 

 

 

 

「さあ次はよっちゃんだよー!」

「ヨハネ!」

「これは…和服がモデルかな?」

「そ、そうよ!べ、別に似合わないならそう言ってもいいんだから」

「いやまさか。普段とのギャップも相まってとても綺麗に見えるよ」

「そ、そう…///」

 

今の善子ちゃんは、紺色の和服に身を包んでいる。

足に履いているのはブーツ。

 

以前お祭りの時にも和服テイストの衣装は来ていたが、あれに比べて色彩を大分暗めにしている。

代わりに、所々に散らされている白い花の模様が綺麗に浮かび、元々黒髪美人の善子ちゃんの綺麗さとマッチしている。

 

梨子ちゃんの衣装が鉄板の可愛さなら、こちらは善子ちゃんに合わせた綺麗さだ。

素晴らしい。

 

「さあハル!感想を!」

「言いたいことは山ほどあるが、とりあえずは100点だよ」

「変わってないじゃない!」

「むっ…善子ちゃんと同点…」

「あんたはボケないで!ツッコミ追いつかないから!」

 

また善子ちゃんに怒られた。

 

 

 

 

「次はワターシの番でーす!」

「ほう…これはまた」

「うわ…綺麗…」

「黙ってればお嬢様よね、ほんとに」

 

マリーちゃんが来ているのはドレスである。

華美な装飾はないドレス。

スカートもひざ下程度の長さで、短過ぎず長過ぎずといった状態。

 

その姿は、彼女が真性のお嬢様であることをありありと体現する。

加えて。

 

「ふふ…ハル、どうかしら」

「そうやって落ち着いて言葉を出していると、本当にお嬢様のようだよ」

「褒めているの?」

「ああ、とても綺麗だ」

「そう…ふふ。ありがとう」

 

日頃どれだけあれでも、やはり元は育ちのいい女の子。

立ち振る舞いは、ダイヤちゃんと肩を並べるほど綺麗だ。

 

「点数、つけてもらえる?」

「そうだね…言いたいことは山ほどあるが、とりあえずは100点だよ」

「台無しよバカ」

「ま、鞠莉さんにも追いつかれてしまった…」

「梨子あんた、もしかしてハルのことになると周りが見えなくなるの?」

 

やっぱり善子ちゃんに怒られた。

 

 

 

 

結局、いろんな服を見せてもらったが、一つに定まることはなかった。

 

「結局、メンバー衣装は決まらずね…」

「まあこういう日もあるさ」

「あんたがテキトーに点数つけるからでしょ!」

「失礼な。どれも厳正な選考の末の結果だよ」

「全部100点になるような選考を、厳正とは言わないのよ!」

「…うう、結局1番にはなれなかった…」

「やっぱりみんな何着ても可愛いのねー」

「少しは深刻に考えろアホどもおおお!」

 

善子ちゃんが叫んでいた。

 

 

 

ちなみに。

後日、Aqoursのみんなとも相談して衣装を決めたそうだ。

 

その服をわざわざ着て来てくれた。

とてもよく似合っていたし、Guilty Kissの名前にぴったりな衣装だった。

 

さすが、女の子たちだ。

すごくいいセンスをしている。

 

梨子ちゃんの格好が、なんというかとてもイケメンスタイルだった。

あれは、俺よりも女の子にもてそうだなあ。

 

そんなくだらないことを思ったのだった。

 

 

 

 

「あれ?善子ちゃんなんだかお疲れずら?」

「ヨハネよ…最近、私の周りがボケばっかりになってる気がするの」

「ボケ?」

「もともとは善子ちゃんがボケる側だったはずずら」

「鞠莉はもともとボケ体質だったけど…梨子も最近、結構ボケてくるのよ」

「うゅ…えっと、よくわからないけど、お疲れ様、善子ちゃん」

「…あんたのお姉ちゃんも、時々ものすごい勢いでボケ倒すわよね」

「?」

「でも、ツッコミしてる時の善子ちゃん、とっても輝いてるずら」

「そ、そうだね。活き活きしてる感じがするよ」

「違うのお!私は、ボケでもツッコミでもないのー!」

 

 

「私は、堕天使ヨハネなのおおおおおおおお!!」

 

 




ご視聴ありがとうございました。
最終的な衣装というのは、Guilty Kissのファーストシングルのジャケットのやつです。
見たことない方は是非ご一見を。

それではなにかありましたらお願いします。

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