Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

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はじめましてこんにちは。
今回からは日常です。
時間軸はわりと適当になりますので、サザエさん時空だと思ってください。


平凡な日常の布屋さん
3年生と布屋さん(上)


「ここがラウン○ワンかい」

「そう!今日は思いっきり遊ぶわよ!」

「うん!」

「ええ!」

「…お手柔らかに頼むよ」

 

 

 

 

東京から帰って来た後。

別れ際の駅でマリーちゃんにこんなことを言われた。

 

「ハル、1年生のみんなとお祭りに行ったというのは本当?」

 

特に否定する理由もなかったので、肯定する。

 

「そうだね。楽しませてもらったよ」

「美味しかったずら〜」

「た、楽しかったですね」

「わ、私は別に、行きたいなんて行ってなかったけどね」

「でも、ハルさん来るって聞いて一番喜んでたのは善子ちゃんだったずら」

「ちっがああああう!」

「あんまり外で叫ばないように」

「ぬぐっ」

 

何か言いたげではあったが、善子ちゃんは一応口を閉じた。

 

「それで、その祭りがどうしたんだい」

「聞いた話によれば、ハル、2年生の子たちともデートしているんでしょ?」

「デート?…遊園地のことかい」

「あー。楽しかったね、あれ」

「うん!」

「そうね」

 

と、そのあたりで、マリーちゃんに胸ぐらを掴まれた。

そのまま前後に揺さぶられる。

 

「私たち3年生だけ何も無いなんて不公平よー!」

「確かにそうですわね」

「そうだねー」

「ふ、二人とも、先にマリーちゃんを止めてくれ」

 

あ、頭がグワングワン揺れる。

酔う、酔うから。

 

「私たちもどっかに連れてってくれるなら、助けてあげる」

「わ、わかったから。助けてくれ」

「おお、ナイスですわ果南さん」

 

ようやく解放される。

 

「やっぱり、3年生が一番強引よね」

「あれくらいの方が、ハルさんは振り向いてくれるずら?」

「あ、あれは私にはできなさそう…」

 

「私もあれくらいしないと、ハルくん気づいてくれないのかなあ?」

「でもハルくん、あれでも気づいてなさそうだよ?」

「鈍感は筋金入りね…」

 

1年も2年も、なぜか呆れたようにため息をついている。

なんなんだい。

 

 

 

 

そんなわけでラウン○ワンに来たわけだが、目的はスポ○チャである。

ハーフコートのバスケ、バレーボールやテニスのコートに加えて、バッティング、ピッチングに至るまでを要する、スポーツのレジャー施設である。

 

「チームを2つに分けて勝負しよう!」

「ああ…まあそうなる気はしてたよ」

 

一応それに備えて、服は動きやすいものにしてきたし、靴も運動靴だ。

しかし、俺はスポーツが得意ではない。

逆にこの3人は運動神経が結構良い。

 

果南ちゃんに至ってはAqoursでも一番だ。

 

チームを組むなら、俺と組む方が不利だろう。

 

そう思っていたのだが。

 

「じゃあハルは私とだね」

「え?」

 

「ノー。ハルの面倒は私が見るわー」

「ん?」

 

「いえいえ。ハルさんではお二人の足を引っ張ってしまいますわ」

「お?」

 

…あれ?

 

「あの、3人とも。俺と組んだら、勝率はぐんと下がるよ?それを分かっているかい?」

「「「もちろん」」」

「…俺は今、すこしだけ傷ついたよ」

 

だったらなんで俺と組もうというのか。

 

 

(ハルと組んでカッコイイとこ見せるのは私だよ)

 

(得点取るたびに喜んだフリして抱きつくのヨ)

 

(活躍できずにへこんだハルさんを、励ますのですわ)

 

 

「何を考えているかわからないけど、君たち、目つきが怖いよ」

 

俺としては、誰と組んだところで足を引っ張ることになるだろうから、そこまでチームわけにはこだわっていないのだが。

 

「じゃんけんでいいんじゃないかい?こんな事で揉めても仕方ないだろう」

「ノーノー。せっかく勝負できるものが沢山あるんだから」

「チーム分けの方法も勝負で決めよう」

「ですが、3人とも得意なものが違いますわ」

「じゃあ、何の種目で決めるかを決めるための勝負を…」

「キリがない!」

 

 

結局、じゃんけんで決める事になった。

結果。

 

「ふっふっふ…私の勝利ですわ!」

「いや、まだ勝負すらしてないんだが」

 

ダイヤちゃんがじゃんけんに勝った。

チョキを高々と掲げている。

 

「ようやくチームが決まったね。最初は何から行くんだい?」

「ウェイト!先にルールの確認よ」

「ルール?」

 

ルールも何も、2対2でやれる競技を適当にやるだけじゃないのか。

 

「まずは、これは真剣勝負である事を忘れないように」

「もちろんそのつもりですわ」

「そして、真剣勝負において」

「うん」

「敗者が勝者の命令を聞くのは、当然の事」

 

真面目な顔で言う果南ちゃん。

マリーちゃんは横で頷いている。

 

「初めて聞くルールなんだが」

「望むところですわ!」

「ダイヤちゃん?」

 

いやいや。

勝てない。勝てないから。

 

「種目は全部で6つやるよ」

「各チームで3つずつ選ぶんですのね」

「イエス!ただし、一度やったのはノーよ」

「了解したよ」

 

できる限り、俺たちが有利になるものを選ぼう。

 

最初の選択権は果南ちゃんたちになった。

最初は何でくるのか。

 

「よし、最初はあれしかないね」

「バスケットボール!」

 

いきなりスタミナを使うものだ。

運動不足の自分には、正直きつい。

 

 

2on2のバスケ。

攻守を順に交代して行う、シンプルな勝負だ。

 

それぞれ攻撃が5回になるように勝負し、その中での総得点を競う。

勝利回数ではなく、総得点というところがポイントだ。

 

仮に、1回1回の勝負では負け越しても、勝った際に3ポイントで勝てていれば、総得点では逆転のチャンスがあるという事である。

 

相手の得点をできる限り抑え、まぐれでも3ポイントで稼ぐ。

勝つにはこれしかない。

 

「よーし、行くよー」

「ダイヤちゃん、マリーちゃんは任せたよ」

「了解ですわ!」

 

さあ、出だしが肝心だ。

ここで抑えて…

 

「よっ」

 

スタート直後。

ハーフライン。

 

果南ちゃんは、そこからボールを投擲。

 

綺麗なワンハンドシュート。

 

放られたボールは美しい弧を描き。

 

『パッ』

 

リングのど真ん中を通過した。

 

「…え」

 

え。

いや。

嘘でしょ?

 

「ちょっとハルさん!ちゃんとマークしてください!」

「いや、ちょっと待って。あれは想定できない」

「果南さんのシュートレンジは、コート全てですわ」

「怖すぎだろ!」

 

どっかの漫画で聞いたよ、そのセリフ。

 

「ふふふ。次はハルたちの番だね。はい、どうぞ」

 

ボールを受け取る。

俺はハーフラインからシュートなどできないので、おとなしくダイヤちゃんにパスを回そうと考える。

 

ワンドリブルをついて、パスコースを探そうとした次の瞬間。

 

手に帰ってくるはずだったボールが無い。

 

「ハル。ちゃんと相手も見ておかないとだめだよ。こんなにあっさり取られちゃって」

「…いつとったの?」

「ん?そりゃあ今だよ」

「ちょっとハルさん、何してますの?」

「…ごめんダイヤちゃん、マークする相手変わってくれる?」

「はあ…仕方ありませんわね」

 

結局、勝つことはできなかった。

しかし、驚いたのは果南ちゃんにダイヤちゃんが対抗していたことだった。

 

そういえば、海の家の屋根から飛び降りて平気だったりと、この子空中戦得意だったな。

そんなことを思った。

 

ちなみにマリーちゃんも人並み以上には上手かった。

 

「ハル、運動不足過ぎるんじゃ無い?」

「そうねー」

「そうですわねえ」

 

 

…運動不足は認めるが。

幾ら何でも、レベルが違いすぎる。

 

まだ一戦目。

あと五戦。

 

…体、もつかな。

 




ご視聴ありがとうございました。
筆者はスリーポイント届かせるのが精一杯です。

それでは何かありましたらお願いします

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