Aqoursと沼津市の布屋さん   作:春夏秋冬2017

15 / 95
はじめましてこんにちは
アニメ4話の前半になります。
先に、そちらのご視聴をお勧めします。


文学少女と布屋さん

ライブ成功の翌日。

の翌日。

彼女たちは、マリーちゃんの出した課題をちゃんとクリアできたので、ちゃんと部活動認定をもらえたらしい。

先ほど、千歌ちゃんからそういうメールをもらった。

ついでに片付けを手伝えと書かれていたが、外出中につき無理と返信。

 

俺の方は、今日は定休日だ。

お前昨日も休んだだろ。

そう言われても反論の余地は一切ないのだが、月曜定休で知れ渡っているうちに、わざわざ今日来るお客もいない。

そんなわけで、久しぶりのないもない1日を堪能することにする。

 

午前は、お店に置くお茶請け、食料に加えて、お茶の葉。

午後は、普段商品を安く売ってくれているお得意さんのとこに行き、商品カタログをいただく。

その後は本屋に向かった。

前回、ルビィちゃんと花丸ちゃんのために、食事代として消え去った本代。

そのとき買えなかった本を、今日は買いに来たのだ。

 

「…って、あれは…」

 

雑誌コーナーで、知った背中を見つける。

花丸ちゃんだ。

手に持っているのは…雑誌?

彼女も結構な読書家みたいなので、どんな本を読むか少し気になるところだ。

 

一歩、二歩と後ろから近づくが、気づく様子はない。

ついに、すぐ後ろまで来てしまった。

見ると、スクールアイドルの雑誌だったようだ。

 

同じページをしばらく見てたかと思うと

 

『丸には無理ずら…』

 

そう言って、本を閉じてしまった。

 

「何が無理なんだい?」

「ひゃああ!」

「しーっ。静かに」

「あ、ハルさん…」

「驚かせてすまないね。そんなつもりもなかったんだけど」

「あ、いえ」

「その雑誌、買うのかい?」

「え?いやいや。丸にはこういうのは…似合わないから…」

 

どこからそんな言葉がでてくるのか。

その見た目でよくもまあ言えたもんだと思う。

自分の可愛さを理解できていないらしい。

 

「そういえば俺、この雑誌買う予定だったんだよ。ちょっと失礼」

「ハルさんも、スクールアイドルに興味あるずら?」

「もちろん。かわいいじゃないか」

「うん…そうだね。…丸とは違うずら」

 

その呟きは、まるで自分に言い聞かせてるみたいだった。

そんなことはないさ。

君も、輝くことができる。

そう思ったのだが。

 

 

 

そのまま、2人で帰路につく。

 

「すいません、送ってもらっちゃって」

「いやいや、いいんだよ。どこか寄りたいところがあったら、遠慮なく言っておくれ」

「ありがとずら」

「いえいえ」

 

車を運転しながら、花丸ちゃんと話す。

さて、どんな話をしようか。

 

「花丸ちゃん、部活とかやってるのかい?」

「丸は図書委員をやってるから、部活とかはちょっと…」

「そうなのかい。本、本当に好きなんだね」

「うん。…丸の、一番の居場所だから」

「それは…」

 

どういう意味なのか。

聞いていいものか、少し気が引けた。

チラッと見えた横顔が、寂しそうだったからだ。

 

どうしたものかと考えていたら、今度は花丸ちゃんから話を持ちかけてきた。

 

「そういえばハルさん、ルビィちゃんとは仲良いずら?」

「そうだね。少なくとも俺はそう思っているよ。ルビィちゃんのことで、何かあるのかい?」

「スクールアイドル、ルビィちゃんはやりたそうずら」

「ああ。なんとなくわかるよ」

 

昔から、スクールアイドルは好きだったみたいだし。

μ'sのことも、ダイヤちゃんとよく話してたとも聞いている。

 

でも。

彼女はスクールアイドルをやるのを、とても躊躇うだろう。

なぜなら。

 

「ルビィちゃん、周りに気を使って、やりたいって言い出せなさそうずら」

「お姉ちゃんも、相当頑固だからねえ」

「うん。…それに、丸にも気を使ってるみたいだし」

「そういう性格だからね。殻を破るのは、一筋縄ではいかないだろうさ」

 

自分だけでは新しいことを始められない。

まして、お姉ちゃんに対して後ろめたい気持ちがある。

ルビィちゃんの足枷は、彼女にとってはとても重い。

 

「でも丸は、スクールアイドル、やってほしいずら。あの子の輝きを、もっと広いところに、解き放ってあげたいずら」

「…そうかい。そうだね、だったら…」

 

君が先導すればいい。

作戦は…

 

 

 

「これ、よかったら受け取ってくれるかい?」

「え、これって…」

 

別れ際、買った雑誌を花丸ちゃんに渡す。

花丸ちゃんが見ていた、スクールアイドルの雑誌だ。

 

「間違えて2冊買ったんだ。1冊余らせるのはもったいないだろう?せっかくだから、受け取ってくれないかい?」

「あ…うん。ありがとずら」

「お礼を言うのはこちらさ。引き取ってもらうんだからね」

「ふふ」

 

とりあえずは受け取ってもらえた。

ルビィちゃんを任せたのだ。

これくらいのお礼は安いものだ。

 

 

 

 

「ハルくんハルくーん!」

「なんだい騒々しいね」

「大ニュース!大ニュースなの!」

「わかったから、机をバンバンしないでくれ」

 

お茶が倒れたらどうするんだい。

 

「で、どうしたんだい?」

「部員がね。増えたの!」

 

聞くと、1年生が2人、スクールアイドル部に体験入部を希望してきたらしい。

 

「そうかい。それはよかったじゃないか」

「あんまり驚かないんだね」

 

曜ちゃんがそんなことを言う。

まあ昨日の時点で知っていたからね。

とはさすがに言えないので。

 

「これでも驚いてるよ。どういう子たちなんだい?」

「かわいい子!」

「それはよかった」

「前に、花丸ちゃんとルビィちゃんって話したでしょ?あの2人よ」

 

梨子ちゃんがそう補足してくれる。

案の定である。

 

「そういえば君達、なんでここに来てるんだい。まだ練習中だろ?」

「うん!これから淡島神社に行くんだよ!」

「淡島神社…登るのかい?」

「その通り!」

 

淡島神社は、名前の通り淡島にある神社だ。

何度か行ったことはあるが、頂上までの階段が結構な長さだった記憶がある。

 

「あれを登るのかい…。まあ、頑張ってくれ」

「うん!」

「ヨーソロー!」

「行ってきます」

 

そう言って、3人は出て行った。

 

「お待たせー!」

「千歌先輩も、ハルさんと知り合いなんですか?」

「そういえばルビィちゃんたちも知り合いって言ってたっけ?」

「「はい!」」

 

小さい音だが、そんな会話が聞こえてくる。

少しだけ後ろ姿が見えたが、1年生2人も、ちゃんと溶け込めているようだ。

 

さて。

こちらはこちらの仕事をするとしようか。

 

ケータイを出し、目当ての番号を開く。

発信。

 

「あ、もしもし。ダイヤちゃんかい?ちょっといいかい?」

 

 

 




ご視聴ありがとうございます。
あくまでまったり、まったりいきます。
それではご意見ありましたら、お願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。