ブラックワンサマー   作:のんびり日和

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9話

~学年別トーナメント戦数日前~

ラウラとの決闘紛いを終え、一夏と鈴がクラスで談笑しているとクラスメートのティナが話しかけてきた。

 

「ねぇねぇ、二人とも聞いた?」

 

「何が?」

 

「今学期の学年別トーナメント戦、どうやらタッグマッチで行われるらしいのよ。」

 

「へぇ~、なんでまたタッグマッチにしたんだろうな?」

 

「噂によるとモンドグロッソの正式競技の一つとして組み込まれるらしいの。その為の予行演習的なものだって。」

 

「因みに何処情報それ。」

 

「新聞部よ。」

 

「「胡散臭さ~。」」

 

「ふ、二人して言わないでよ!」

 

「だってあの新聞部(捏造部)だぞ。信憑性の欠片もないのにすぐには信じられないぞ。」

 

「うんうん。」

 

「ま、まぁ確かにそうだけど。」

 

3人が喋っているとチャイムが鳴りそれぞれ席に着くとシルヴィアが教室に入ってきた。

 

「は~い皆さんおはようございます。捏造・・・失敬、間違えたわ。新聞部が報道しているように今学期の学年別トーナメント戦はタッグマッチで行われることになったわ。今から配る紙にタッグとなる人の名前を書いて私に提出するように。もしタッグが決まらなかった場合は当日に抽選で決められるから注意するように。それじゃあSHRは以上とします。」

 

そう言ってシルヴィアは教室から出ていくとクラスのほとんどは事前に決めていたのか紙に書いて提出しに出ていく。一夏も鈴を誘おうと声を掛けようとすると

 

「「あのさ鈴(一夏)、俺(私)とタッグ組まない?」か?」

 

「「・・・・・・。」」

 

「タッグ組むか////」

 

「え、ええ、いいわよ////」

 

同じ考えをしていたことに恥ずかしくなったのか明後日の方を向きながら一夏は鈴に聞くと鈴もそれを了承した。因みに周りは

 

「「「「甘すぎる!!!」」」」

 

と叫んでブラックコーヒーを買いに走り出した者や、砂糖を吐いて倒れている者が出たとのこと。

 

~タッグマッチトーナメント戦~

一夏と鈴はISの準備を終えてモニターを見ていると対戦表が出され相手を確認すると

 

「なんだあいつらとかよ。」

 

「そのようね。はぁ、なんだか悪意を感じるわね。」

 

モニターには『篠ノ之箒&ラウラ・ボーデヴィッヒ対天ノ川一夏&鳳鈴音』と出ていた。一夏と鈴はため息を吐きながらピットへと向う。

 

「にしてもあの二人がタッグ組んで大丈夫だと思う?」

 

「大丈夫だろ。てか最悪自滅して勝てるかもな。」

 

「その根拠は?」

 

「力こそ絶対の奴ほど同じ理念を持った奴がパートナーになると互いの足を引っ張り合う。つまりあいつらは互いに同じ磁石のN極を向け合っているから反発しあう。」

 

「なるほど納得したわ。」

 

そして二人はピットに入ってISを身に纏うと放送室からの放送が聞こえた。

 

『ではこれより第1回学年別タッグマッチトーナメント戦を始めたいと思います!司会は新聞部の黛薫子です。では早速第1回戦選手の入場です!』

 

そう呼ばれ一夏と鈴がアリーナに出ると反対のピットから箒とラウラが出てくる。

 

「この前の借りを返してやる!」

 

「はいはい。」

 

「一夏!そんなチビのどこが良いんだ!」

 

ブチ「おいモップ、あんたいい度胸じゃない。ここで殺してあげるから動くんじゃないわよ。」

 

「鈴、こっちもすぐに終わらせてそっちの手伝いするわ。人の彼女馬鹿にするとは本当にいい度胸してる。」

 

そう言うと鈴は笑顔で

 

「分かったわ。けど一夏が手伝いに来る前に終わってるかもよ。」

 

鈴にそう言われた一夏はそうか。と笑顔で答える。

 

『相変わらずのラブラブっぷりです!流石校内ただ一組のカップルです!あぁ~、独占取材したい!』

 

と司会がボヤいているが開始時間が迫っていることが分かると

 

『では、試合開始!』

 

開始の合図が鳴ると同時に一夏は両手のアサルトライフルの照準をラウラに向けて引き金を引くと

 

「同じ手に引っかかるか!」

 

と言ってワイヤーブレードを展開して攻撃をしてくる。一夏はそれを避けながら後退した。

 

「確かに前とは違う動きで来たみたいだな。だが」

 

そう言って一夏は格闘用ナイフを取り出してアサルトライフルで牽制しつつ接近した。

 

「AICの餌食にしてやる!」

 

そう言ってAICを発動して止めようとしてきたところ一夏はナイフをラウラに向けて投げる。ナイフが投げられたことに驚くが直ぐに落ち着いてワイヤーで弾くが集中が乱されたことに変わりなくアサルトライフルの牽制射撃の弾丸を受ける。

 

「くっ!たかが牽制射撃にやられるほど軟ではないわ!」

 

「そうかい。けどちゃんと周りは確認しておいた方がいいぞ」

 

そう一夏に言われラウラはなに?と思うと背中に衝撃を受ける。

 

「くっ!一体何?!篠ノ之、貴様なぜそこにいる?!」

 

「な、そっちこそ何でここにいるんだ!向こうの方で戦っていたのではないのか!」

 

「それはこっちのセリフだ!・・・・しまった!」

 

「気づくのが遅いんだよ。」

 

そう言って一夏はアヴェンジャーとアサルトライフルの一斉射を。鈴は龍砲を撃ち込んだ。そして土煙が立ち上ると

 

『篠ノ之箒選手、SEエンプティ―により敗退です!』

 

「うん?あのチビまだ倒れてないのか?」

 

「そうみたいよ。あれ。」

 

鈴にそう言われ一夏は土煙の方を見ると箒を盾にして何とか攻撃を凌いだラウラがいた。

 

「はぁ~、はぁー、ま、まだ終わってない!」

 

「あれどうする?」

 

「ちゃっちゃと終わらせるか。」

 

そう言って一夏はアサルトライフルとアヴェンジャーを向ける。

 

(まだだ、あいつを倒して私は教官の様な軍人になるんだ!)

 

ラウラがそう思っていると

 

【汝、力を求めるか?】

 

(何?・・・あぁ、力を寄越せ!私に絶対の力を!)

 

【ピッ、VTシステムスタンバイ、・・・・・スタンバイOK。リミット解除】

 

するとラウラのISが黒い粘着物で覆われ始める。

 

「ちょっと何よあれ。」

 

「さぁな、だが言えることはまた面倒な事に巻き込まれたって言うことだ。」

 

そう言って一夏はアサルトライフルで攻撃を始める。だが黒い物体はそれを躱す。

 

「ちょっ!あれを躱すの?!」

 

「こいつはかなり厄介な奴だな。」

 

そう呟いていると通信が入ってくる。

 

『あ、天ノ川君、鳳さんご無事ですか!』

 

通信してきたのは真耶だった。

 

「山田先生、あれ何なんですか?」

 

『恐らくVTシステムと言う違法システムだと思われます。とにかくお二人はすぐにそこから退避を!』

 

「そうしたいのは山々ですが。私たちが逃げると被害はもっと大きくなりますよ。」

 

『生徒を危ない目に合わせるわけにはいきません!教師部隊も間もなく到着し「山田先生」な、なんですか天ノ川君。』

 

「あれ、殺しちゃってもいいですよね?」

 

一夏の平然とした声で殺しちゃってもという単語に思わず真耶は聞き返してしまう。

 

『え?こ、殺しちゃってもって。まさかボーデヴィッヒさんごと潰す気ですか?!』

 

「その気ですが何か?」

 

『そ、そんなこと認められません!と、兎に角お二人は退避を!』

 

そう言われ二人はピットに避難しようとしたが黒い物体は二人に目がけて攻撃を開始してきたため退避が出来なくなる。

 

「山田先生、攻撃をしてきたため退避できなくなりました。」

 

「一夏と私とでこいつ潰すので、教師部隊の方も出来るだけ早めにお願いします。」

 

『ふ、二人ともまっ』ブツ

 

「ベアトリクス、ナイスだ。」

 

[別に構わないわ。実際の戦いを知らない人が喚くのは雑音の様な感じですし。]

 

「それ言えてるわね。」

 

「それじゃあとっとと終わらせるか。」

 

そう言って一夏と鈴は反撃を開始した。黒い物体はブレード一本で攻撃をしてきているため二人はとにかく距離を開けて戦うことにした。

 

「あの黒いの何かをモデルにしてるのかしら?」

 

「ありゃ暮桜だな。」

 

「暮桜ってあいつ(織斑千冬)のISじゃない。てことは。」

 

「あのシステムに組み込まれているデータは現役時代のあいつのだな。」

 

そう言いながら一夏はアサルトライフルで攻撃をする。暮桜もどきは銃弾を弾くか躱すをしながら追跡してくる。

 

「こりゃ切りがねえな。ベアトリクス、アヴェンジャーの弾種を劣化ウラン弾に変えておいてくれ。」

 

[了解よ。]

 

ベアトリクスに弾種を変更させるとアヴェンジャーの弾種が変更されたとマークがモニターに出て装弾数が表示された。

 

「兎に角距離を開けながら撃ちまくるしかないな。」

 

「そうね。私の龍砲は弾数が無限だけどあんたのは。」

 

「あぁ、弾丸に限りがあるだろ。問題ない。モニターに出されている数字はあくまで装填されているもので全部の弾丸じゃないからな。拡張領域に無限に近いほどの弾丸が収められているから問題ない。」

 

「なんか聞いちゃいけないものを聞いた気がするわ。」

 

「気にしない気にしない。」

 

そう言いながら一夏はアヴェンジャーで攻撃する。放たれた劣化ウラン弾は真っ直ぐ暮桜もどきに向かう。暮桜もどきは躱したり剣で防いだりするが劣化ウラン弾の攻撃に耐えきれなくなったのか剣が折れる。

 

「よし、得物が無くなっちまえばコッチの物だ。」

 

そう言うと鈴は近接攻撃を繰り出し一夏は援護射撃をした。2人の攻撃を受けた暮桜もどきは成すすべなく攻撃を受け遂に壊れた。どろどろとした粘体の中からラウラが出てきた。一夏はISを解除して拡張領域からM4を取り出しラウラに照準を向けながらゆっくりと近づき足でお腹辺りを軽く小突く。すると若干胸のあたりが上下していることに気が付く。

 

「ベアトリクスこいつまだ生きてるか?」

 

[脈等は問題なく正常よ。あの攻撃を受けてよく生きてるわね。]

 

「本当よね。とりあえず帰りましょう。」

 

「そうだな。後は教師が後片付けをしてくれるだろ。」

 

そう言って一夏は鈴と共にピットへと向かう。二人が去って行くのをただ見ている事しかできなかった箒は自分の力が欲しいと思い始めた。

 

(あんな奴より私の方が強いんだ。私にも絶対的な力さえあれば!)

 

そう思いながらもう連絡はしないと思っていた自分の姉に連絡をして自分だけのISを作ってもらおうと考える。だがその思惑はすでにばれていることに箒は気づいていなかった。

 

束side

まったくあの愚妹は何を考えているんだか。まぁいいや、どうせあいつの電話帳に登録されている電話番号はもう捨てちゃったものだし。どうせ繋がらないから放置でいいや。それにしても

 

「VTシステムとか言うふざけたシステム作るなんていい度胸してるじゃん。しかも狙った相手を間違えたな屑どもが。」

 

今私の目の前のモニターに映っているはドイツの山奥にある研究所だ。あのボッチちゃんのISに搭載されていたシステムを作ったのはこの研究所らしいからね。さてとドイツのミサイル基地にハッキングと。

 

 

束side end




次回予告
タッグマッチトーナメント戦は中断され一夏と鈴は部屋へと戻る。保健室でラウラは目を覚ましあの時の一夏との戦いで目覚めた気持ちが何なのか部下に電話する。その電話のせいで一夏と鈴はまた面倒な事に巻き込まれる。そして臨海学校に向けて一夏と鈴が買い物をしにレゾナンスに行くとある再会を果たす。
次回思わぬ再開~お久しぶりですね、一夏君~


次回はBlackLagoonのキャラが出るよ。

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