コンコンコンコン
「んん?」
スンスン スンスン
何かいい匂いがするな?何の匂いだ?
それに台所から音が聞こえるな、行ってみるか。
「あ、正和さん起きたんですか。もう少しでご飯が出来るので、ちょっと座って待っていてくださいね」
「あっ、はい」
どうやら、あの音は霊夢さんが朝ごはんを作っている音だったらしい。
しばらく待っていると、霊夢さんが手際よくちゃぶ台に朝ごはんを並べて行った。
朝ごはんの献立は、豆腐とワカメの味噌汁、魚の丸焼き、白米、のようだ。
「それじゃあ、食べましょうか」
「「頂きます」」
まずは魚から食べてみよう
パクっ
「あっ、美味しい」
何だこれは!外は皮がパリッとしており中の身はふんわりだ、味の濃さはちょうどよくご飯が進む、しかも外だけではなく中の身にもちゃんと味が付いている。スーパーの弁当とは比べ物にならない!ご飯もふっくらと炊けていてベトベトせず、かといってパサパサもしておらず、これもちょうどいい水加減だ。
次は、味噌汁だ!
ズズっ
味噌汁はちゃんとダシが効いており、それでいて魚の味を濃ゆくしたためか、少し味が薄めだ、勿論これも上手い。インスタントとは比べ物にならない!
ふぅ〜
ご飯があまりにも美味しかったため直ぐに食べ終えてしまった。食べている間前の方から視線を感じていたので、顔を上げてみれば、霊夢さんがニコニコしながらこちらを見ていた。
「いい食べっぷりですね。そんなに美味しそうに食べてもらえると、私も嬉しいです。ところでお代わりいります?」
「はい、お願いします」
恥ずかしさは食欲には勝てなかった
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「ご馳走様でした」
「お粗末様でした」
あぁ〜美味かったぁ、ご飯を作ってもらうなんていつぶりだろうか?あれ?そういえば、霊夢さんに聞きたい事があったような?ん〜・・・・ハッそうだ昨日の夢のことだ!
「そういえば霊夢さん、昨日変な夢をみたんですよ」
「どんな夢ですか?」
「朝起きたら、僕の隣に霊夢さんが寝ている夢を見たんですよね〜。まぁ現実でそんな事あるわけないですよね「えっ?私より先に起きてたんですか?」えっ?」
「これでも、早起きには自信があったんですけど」
ふぁっ?この人は今なんて言った?先に起きていた?えっ?まさか・・・
「もしかして霊夢さん私の横で寝ていたりしました?」
「はい、寝ていましたよ」
なんでこの人はなんの戸惑いもなく返事が出来るのだろうか?
こっちでは一緒に寝るのが普通なのか?
「ええっと、なんで私と同じ布団で寝ていたんですか?」
「お布団が一枚しかないからですよ」
「えっ、そうなんですか?じゃあ僕は畳で寝「ダメです」」
すっごい食い気味に拒否してきたんですけどこの人
「お布団無しで寝たりしたら風邪をひいてしまいます、どうしてもと言うのなら客人を差し置いて、自分だけお布団を使うことは出来ません。なので、正和さんがお布団を使ってください。わかりましたか?」
「えっでも「わかりましたか?」」
「はい」
怖いよ!何でそんなニコニコしながら言うんですか!ニコニコとは言っても全く目が笑ってませんけどね!
「まぁ、この話はおいといて。どうでしたか?正和さんのために頑張って朝ごはん作ったんですよ」
「とっても美味しかったです。こんな美味しいご飯を作れるのなら、霊夢さんはいいお嫁さんになれますね」
「そんなお嫁さんだなんて」
霊夢さんは両手で頬を抑えながらイヤイヤと首を振り始めた
ガラガラガラ
障子を開ける音がしたのでそちらを見てみるとそこには、両手で布団を掲げた紫さんがいた
「霊夢ちゃ〜ん!新しい布団を持ってき
ゴスッ
霊夢さんが目にも留まらぬ速さで紫さんの胴体にボディブローをきめていた。
しかし、女の子らしい体型の霊夢さんのパンチではあまりダメージが無いらしく、紫さんは微動だにしていない
ゴフッ
あっれー?紫さんが吐血したぞー?なんでかなー?あははー
と、僕が現実逃避をしている間に霊夢さんは、紫さんの足を掴んで引きずっていった
ちなみに、霊夢さんがとてもイイ笑顔だったとだけ記しておこう。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
「あの〜霊夢さん」
「はい、何でしょうか?」 ニッコリ
「紫さんは何しに来てたんですか?」
「泊まりに来てたんですよ」
「えっ?でも新しい布団を持って来たって」
「実は、この前あのクソバ・・ンンッ・・紫さんが泊まりに来ていたのですけれど。お布団が一枚しかなかったので、自分で新しいお布団を持って来たら泊めてあげると言っていたんですよ」
えっ?クソバ?
「あの〜じゃあ何で紫さんを殴ったんですか?」
「えっと・・・殴った理由ね・・・そう!実は昔から紫さんには私のことを、ちゃん付けしないでと言っていたのですが、懲りずにまたちゃん付けしたので殴ったんですよ」
なるほど、紫さんを殴ったのにはそんな理由があったのか。でも、それにしては答えるまでに間があったような・・・聞かない方が身のためだろう。
いや〜霊夢さんの笑顔は可愛いな〜、頬に赤黒い液体が付着していなければもっと可愛いと思うな〜あはは〜。
その日、俺は密かに霊夢さんは怒らせないようにしようと、心に固く誓ったのであった。