あべこべproject   作:くつしたダサいもこ〜

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あべこべ世界に行ってみたい。小並感


第1話 : 一目惚れ

「はぁはぁ・・・はぁはぁ・・・」

 

路地裏を、怪しげな格好をした人物が走っていた。顔に能面をつけ、ナイトキャップのようなものを被り。青色と白色を基調とした、袖が広がっていて裾も長い衣服をつけている、さらに、かなりの大きさまで膨らんだ風呂敷を背負っている。

 

『藍!目の前の壁にスキマを開くからそのまま走って!』

 

「わかりました紫様!」

 

壁には両端がリボンで結ばれ、たくさんの目がこちらを覗いている「スキマ」

と呼ばれるものが開いていた。そして、その人物がスキマに飛び込もうとした時、運悪く1人の男がその人物とスキマの間に入り込んでしまった。

 

「ええっ!?」

 

「あっ・・ちよっとまっ」

 

怪しげな人物は驚きの声を上げ、男は制止の言葉をかけようとするが、能面で視界が狭まっておりなおかつかなりの速度で走っていた怪しげな人物が止まる事が出来るわけもなく、怪しげな人物は間に入った男を押す形となり2人は「スキマ」に入って行った。

 

 

 

 

〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜

side : 八雲 紫

 

 

 

「よし、良い感じよ藍、ようやくあれが見れるのね!ぐひひ、ぐへへへへへ」

 

私は涎を垂らしながら藍の様子を見ていた。

今日は初めての遠征だ、失敗は許されない。遠征とは藍に幻想郷外のあるものを取ってきてもらうのだが、いや盗ってきての方が正しいか。

 

まぁ、そんなことは置いといて、あるものとは何を隠そう"パンツ"だ!しかもただのパンツではない!男性の、しかもイケメンが履いたパンツだ!男性は幻想郷ではとても少ない、男女比は男が2に対して女が8だ、女はただでさえも性欲が強いというのに、男は数が少ないので必然的に女性は積極的になる、しかし余りにも積極的すぎて男が女のことを怖がり家に引き篭もるのもまた必然だろう。

それにより一生男のパンツは疎か、男を見る事が出来ないまま死んでしまう女は少なくない、さらに私達妖怪は「汚物」や「生物兵器」「吐瀉物製造機」などなどの異名を持つぐらいの、救いようのないほどのブスだ。

妖怪はなぜか見た目が変わる事がない、出目金のように大きく開いた目、テカテカとしていてなおかつ太くない唇、死人のように白くデコボコしていない肌、極め付けはやせ細った体と何故か唯一肥大化した胸。人の恐怖を糧にして生きているとはいえ、これは余りにも惨すぎる仕打ちなのではないか?

もし私達を創り出した神がいるというのなら、私はこう言いたい、「お前らには血も涙もないのか!!」と。

しかし私だって女だ、恋愛もしたいし、パンツも見たい。パンツには夢と希望がつまっているのだ!そして私は思いついてしまった、そう、

 

幻想郷で盗れないのなら外の世界で盗ればいいじゃない、と。

 

そして藍は順調に夢と希望を盗り、風呂敷に入れられる分だけ入れ、脱出地点まで走ってきた、あとはスキマに藍が入るだけだ。

私はこの時ようやく念願の男のパンツが生で拝む事が出来るのだと、涎が水溜りを作るぐらいには興奮していた、そしてそれのせいで気づくことが出来なかった、藍がスキマに入ろうとした時に、横の通路から走ってきた男が間に入り込んでしまったのだ、そして私はその男を見た。

 

「美しい・・・」

 

と私は無意識にそう呟いてしまった。

その男は、身長が170cm以上はあり、体には程よく肉がついており、日に焼けた肌、ボサボサの髪、細くて優しそうな印象を与える目、とても太い唇、低くて大きな鼻、全てが調和しさらにそこに走っているためか、かなりの量の汗が程よいアクセントを加えている。こんなイケメンは現実にはいないと思っていた。そして私、八雲 紫 は彼に一目惚れをした。

 

 

 

 

side : out

 

 

 


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