ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 最近、つらい・・・

 何故だろうか?

 寒いからだな・・・・


大会に向けた配車と個性的な戦車

 

 

 ティーガーIIを整備が終わり、私は小梅と自宅のアパートに帰った。

 

 「あれ、これ・・・配車なの?」

 

 「うん、一応、私だけで考えて見たけど、どうかな?」

 

 みほはリビングのテーブルにノートを広げ、担当させる戦車や人員の配置を書いていたのだ。確認すると、みほのチームが使用しようとしていたのはパンターF型かⅣ号戦車F2型(練習試合の後に主砲を載せ換えている)で迷っていたのだった。

 

 「みほはティーガーIIを使わないの?」

 

 「隊長用でも、速度が遅いかなって」

 

 「隊長用のあれは普通のティーガーⅡじゃないわよ?」

 

 「えっ?そうなの?」

 

 「一応、整備のついでに演習場で乗って見たけど足回りもエンジンも規定ギリギリまで強化されてるから、今日見たいな事をやっても充分持つわよ。それに私もティーガーIIを使うわよ。それに、履帯を着けるところまで終わらせてきたわ」

 

 「エリカさんとお揃いなんだ♪あと、人員の配置なんだけど・・・・」

 

 みほのチームに冷泉麻子の名前があったのだ。

 

 「あの操縦が上手い子もやるのね」

 

 「うん、あのあとにみんなでお風呂に入った時に誘ったらね。最初はやりたくないって言っていんだけど、沙織さんが説得して特典で遅刻無しになると聞いたら、戻ってきて借りを返すからってやることにしてくれたんだ」

 

 「そう、安心したわ」

 

 「えっ?」

 

 あの子ならみほの指揮に間違いなくついて行ける。いや、あのチームそのものがみほを立ち直らせてくれると信じて見たかったのだ。

 

 「これで、みほのチームは五人になったからね。私は・・・・・」

 

 私のチームには小梅と生徒会の杏さん、小山さん、河嶋さんが入っていたのだ。今日のメンバーの方が動き易かったが、短時間で動けた生徒会チームに期待してしまったのだ。ただでさえ、繊細な操縦が求められるティーガーⅡだけに・・・・

 

 ある程度、書き終わっていたので以下の通りになっていたのだ。

 

 

 

 Aチーム

 

 使用戦車 ティーガーⅡ

 

 車長  西住みほ

 砲手  五十鈴華

 装填手 秋山優花里

 操縦手 冷泉麻子

 通信手 武部沙織

 

 

 Bチーム

 

 使用戦車 ティーガーⅡ

 

 車長  逸見エリカ

 砲手  赤星小梅

 装填手 河嶋桃

 操縦手 小山柚子

 通信手 角谷杏

 

 Cチーム

 

 使用戦車 偵察戦車レオパルド

 

 車長兼通信手 内法泰子

 砲手     藤木月乃

 装填手    坂口佳利奈

 操縦手    大野あや

 

 Dチーム

 

 使用戦車 Ⅲ号突撃砲

 

 車長兼通信手 エルヴィン

 装填手    カエサル

 砲手     左衛門佐

 操縦手    おりょう

 

 Eチーム

 

 使用戦車 パンターF型

 

 車長兼装填手 磯部典子

 通信手    近藤妙子

 操縦手    河西忍

 砲手     佐々木あけび

 

 Fチーム

 

 使用戦車 偵察戦車レオパルド

 

 車長兼通信手 澤梓

 砲手  山郷あゆみ

 装填手 丸山紗希

 操縦手 宇津木優季

 

 

 みほの配置や配車に一つ一つに苦悩と苦渋が見て分かる。

 

 一両でも多く増やしたい。

 

 偵察を強化して情報から有利に戦いたい。

 

 そんな思いが強く出ている配置だった。

 

 多分、みほは西住流の戦術ではなく、戦車のそれぞれの特性や特徴を生かした戦い方をする気なのだ。その考え方は島田流に近い。だから、ティーガーⅡより小柄で軽いパンターF型とⅣ号戦車F2型で迷っていたのだ。

 

 そうすると、確かに少ない戦力でも戦術や作戦次第で勝てるかも知れない。でも・・・・・

 

 それでも、一、二回戦は最大十両までだから何とか戦えるが準決勝は十五両、決勝と最大が二十両となりそうは行かない。昨年もそうだったが決勝では最低でも半数は欲しい。だが、叔母さんのおかげではあるが、こういった強力な戦車が少しでもあるなら勝機はあると思う。このことはみほも充分分かっているだろうし、戦術や作戦で勝つしかないだろう。

 

 だけど、もう少し人が欲しいわね。

 

 これだけは生徒会と相談しないといけない。

 

 そして、気になるのは聖グロリアーナ女学院とプラウダ高校だ。つい最近だが、一部の戦車を売却した時に買い取りに来た業者から聞いた話では聖グロリアーナ女学院ではOG会とOB会を説き伏せたらしくブラックプリンスとコメット巡航戦車の導入に踏み切るらしい。そして、去年の優勝校のプラウダ高校も連覇を狙う為にISー3の導入が噂されている。それだけでなく、サンダース大学付属高校にも新しい戦車の導入の噂があるのだ。

 

 そんな、去年よりも荒れた大会に優勝はかなりキツイだろうと予想はついていた。

 

 「キツイわね・・・・」

 

 「えっ?何がですかエリカさん」

 

 「やっぱり、もう少し人が欲しわね」

 

 「ですが、そこは戦術と腕でカバーするしか無いです。でも、今は戦車の数があるので戦術の幅が取れるようになりましたので人員不足は何とかカバーは出来そうです」

 

 「みほがそこまで言うなら大丈夫ね。さて、夜も遅いから寝るわよ」

 

 「うん、エリカさん?」

 

 「どうしたのよ。みほ?」

 

 「抱いて寝てもいいかな?」

 

 「別に良いわよ。起きる時には抱かれてるから変わらないわ」

 

 「うん♪」

 

 何時ものようにベッドへと入ったが

 

 ガチャリ

 

 「エリカちゃん、みほちゃん・・・・一緒に寝てもいい?」

 

 小梅だった。

 

 小梅の顔が真っ青で泣き出しそうな表情だったのだ。それは、まるで今にも壊れてしまいそうな表情だったのだ。

 

 「また、あの夢を見たの?」

 

 「うん、怖かったよ。私・・・・起きることなく冷たくなって死んでいるんじゃないかって・・・・」

 

 また、あの夢を見たらしい。

 

 あの時の事故の夢を・・・・・

 

 そして、みほも事故で意識が無く目覚めない私達を見ている。

 

 そのため、私とみほの部屋のベッドは三人で寝ても良いようにキングサイズのベッドを入れている。

 

 私は時々、思ってしまう。

 

 いつまで、私達は悪夢にうなされるのだろう。

 

 いつになったら私達は悪夢から解放されるのだろうか

 

 だけど、今はみほの温もりがあり、私の温もりがあり、小梅の温もりがある。それぞれの温もりが感じ合えるうちは大丈夫だと思いたいのだ。こうして、温もりを感じ合える間だけは・・・・

 

 「ほら、早く入りなさい。三人で寝れば大丈夫だから・・・」

 

 「うん、みほちゃん、エリカちゃん入るね」

 

 「おいで、小梅ちゃん」

 

 みほに抱かれ、小梅はすぐに落ち着いたようで寝息を立てていた。

 

 私もみほの背中に抱き着き夢の中に旅だったのだった。

 

 

 

 

 翌日の戦車道の授業は基本的な走行訓練や射撃訓練だった。

 

 私達が使用するティーガーⅡも授業を始める頃には自動車部が履帯を着けてくれた様で履帯の張りを調整するだけだった。

 

 それにしても・・・・

 

 「バラバラね・・・・」

 

 「エリカさん、でも、最初よりはだいぶ良くはなっていると思います」

 

 「みほ、流石に・・・」

 

 走行訓練では横隊、縦隊もバラバラで速度も合わせられないでいたのだ。

 

 「Fチーム!速度出し過ぎよ!Cチームはもう少しスピードを出しなさい!」

 

 無線越しに指示を出して行くが

 

 「Eチーム!間隔を開けなさい!Dチームにぶつかるわよ!って、ぶつかっているわね・・・・」

 

 そして、射撃訓練では

 

 みほが無線越しに

 

 「一斉打ち方用意・・・・・撃て!」

 

 的に当てたのは小梅と藤木の他に意外にもAチームの五十鈴さんだった。

 

 その後の射撃訓練でも距離500でも当てられない砲手には小梅が作ったプリントで予習するようにしてもらったのだ。そして、何故か小梅と藤木、五十鈴さんが的当てゲームの熱戦になり、距離1500で藤木が外して脱落し、距離1750で外して五十鈴さんが脱落したのだ。結局、小梅が距離3250を当てて次の距離3500で外して悔しがっていたのだ。

 

 「うぅ・・・・外した・・・・」

 

 「小梅、距離3250で当てただけでも充分じゃない」

 

 「ダメです!目指せ!距離4000!」

 

 「有効射程外だから!」

 

 「でも、Ⅱ号戦車とチハなら抜けるよ!いざとなったら、曲射でも当てるよ!」

 

 小梅との言い合いで藤木は顔を真っ青にしていたのだ。

 

 「嘘・・・・赤星さん曲射も出来るんだ・・・・・」

 

 「小梅、あんたが言っていると、マジで冗談に聞こえないから!」

 

 実際、小梅は曲射での照準計算もできる。黒森峰時代に紅白戦で榴弾を使っての曲射でヤークトパンターのエンジンハッチに直撃させて撃破判定をもぎ取っているのだ。

 

 小梅はそれ以降、黒森峰の与一と言われる由縁である。

 

 だだ、パンツァーハイがなければ非常に優秀なのだが・・・・・・

 

 それで、私とずっと組んでいるのだ。

 

 訓練も終わり、私と小梅は自宅へと帰るが、みほは沙織さん達と買い物に行くらしく、遅くなると言っていた。

 

 夕飯の支度を終えてみほの帰りを待っているとみほが帰って来たのだ。

 

 「ただいま・・・・・」

 

 沙織さん達と買い物に行ったはずなのに、元気もなく表情が暗くなっていたのだ。

 

 「みほ、どうしたのよ?」

 

 「うん・・・・・テレビでお姉ちゃんを見たら・・・・・」

 

 私はみほを抱きしめたのだ。

 

 「みほ、何も言わなくて良いわよ。私、いえ、私達がいるわ。だから、隊長の言った事は気にしなくていいわ。だから、私達をもっと頼って」

 

 「うん・・・ありがとう・・・・エリカさん・・・・少しだけ、泣いてもいいかな?」

 

 「いいわよ・・・」

 

 「うん・・・・ヒックゥ・・・私、逃げてたのかな?」

 

 「!?・・・みほは逃げて無いわよ!みほは優勝よりも人命を取っただけ。でも、それは、戦車道の未来を守ったのよ。それに、私達の命を助けてくれたのよ。だから・・・・逃げてない・・・・逃げてない・・・・」

 

 それは、自分にも言い聞かせる様だった。

 

 「うん・・・・うっ、うわぁぁぁぁ」

 

 みほは私の部屋着が濡れるほど胸の中で泣き叫んだのだ。それは、ガラス細工の様に繊細で強く抱きしめたら壊れてしまいそうに弱々しいみほだった。

 

 私は改めて決心したのだ。

 

 何が何でもみほを守ると・・・・

 

 落ち着いたみほは一応、夕飯を食べたがあまり食欲がなくあまり食べなかった。

 

 みほは一言も発せず部屋に戻り、ボコを抱きしめ眠っていた。

 

 それでも、やはり隊長いや姉として好きだったのだろう。

 

 「お姉ちゃん!遊ぼ・・・・」

 

 みほの寝言は、あの頃の無邪気で、熊本の田園地帯で三人で遊んだ頃の夢を見ているのだろうか?

 

 本当に懐かしい。

 

 初めて、みほと隊長と一緒に遊んだ幼い頃の思い出。

 

 それを見て居るのだろうか?

 

 でも、悲しい事に二人は私と一緒に遊んだ事を覚えて居ない。

 

 私が幼い頃に二人に会ったのはたったの二回だけだった。

 

 そして、あの頃は麦わら帽子を被り、フリフリワンピースを着た私はワニの人形を抱いたまま、無邪気で笑顔が絶えない二人に振り回されただけだった・・・・・

 

 私もベッドに横になると直ぐに眠りに着いたのだ。

 

 そして、私が見た夢もあの頃の隊長もみほも笑っていた懐かしい夢だった・・・・・

 

 「まほちゃん、どうして・・・・・・」

 

 何故か、私も昔の呼び方で口ずさんでいたのだ。

 

 

 

 朝、起きるとみほは私に抱き着いていた。

 

 抱いていたボコの腕はあらぬ方向に向かっていたので直して置くのだ。みほの場合はパンツァーハイは無いが、替わりにボコのDVDを見たりボコの痛々しい姿を見るとボコハイになるのだ。

 

 多分だが、母港の大洗に戻るとボコミュージアムに連行されるだろう。

 

 いや、されるが正しい。

 

 今更ながら、大洗にそれがあることを言わなければ良かったと後悔もしていた。

 

 だけど、ミュージアムでみほにも私にも今後の流派を考える出来事になる出会いが在るのはまだ知らない。

 

 さて、冗談をさておき、私は二人の朝食だけを作り、みほが少しでも楽になるように戦車道の授業の準備の為、一足先に学校に行くのだ。

 

 一昨日、作った配車表を戦車倉庫に張りだし、第二倉庫の整備中の戦車の確認と各種弾薬の確認などを済ませのだ。それらが終わると教室へと行けるのだ。やはり、シュトルムティーガーはバラバラになっており、傷んだパーツが年数のダメージで痛々しい。好きな戦車だけに残念だった。

 

 午前中の授業が終わり、午後は選択授業だ。

 

 急ぎ、小梅と戦車倉庫前に行くと、私は絶句したのだ。

 

 「なっ、何よこれ・・・・」

 

 「エリカちゃん、私、悪い夢を見てるのかな?」

 

 あろう事か、戦車に塗装していたのだ。

 

 Ⅲ号突撃砲はどこぞの赤い彗星ヨロシクと言わんばかりに赤く染められて戦国時代のようなのぼりが立ち、光と闇の迷彩が美しかったレオパルドはピンク色に染められ、パンターF型はバレー部の広告車の様に描かれ、副隊長車のティーガーⅡは河嶋さんがツィンメリットコーティングをグラインダーで削り落とすところだったのだ。

 

 「河嶋さん、何してのよ!」

 

 「いや、会長が金色に染め・・・アガァ!?」

 

 私はやらせまいと河嶋さんの顔を掴んだのだ。続に言う、アイアンクローだ。

 

 私も車長になる前は装填手なだけに腕力と握力には自信がある。

 

 河嶋さんの顔を握り体を持ち上げながら聴いて見たのだ。

 

 「何を金色に染めるですって?」

 

 河嶋さんが宙ぶらりんになりがらも力は緩めない。むしろ、徐々に力を入れて行く。

 

 「痛いから離せ!」

 

 そんな時、杏さんが来たのだ。

 

 「桃ちゃん、染めた?あっ・・・・・・アガァ!?」

 

 河嶋さんの今の惨状を見てやばいと思ったのか後ずさるが、左手で杏さんの顔を掴んでアイアンクローを決めたのだ。

 

 生徒会の会長と広報の二人がアイアンクローを決められ、宙ぶらりんになる光景はかなりシュールだったが、もし、金色に染められたら光り輝き過ぎて隠れる事も出来ずに見かるだけだ。良いことなど一つも無いのだ。

 

 これが黒森峰なら即退学ものだ。

 

 「エリカちゃん、マジでギブ!染めないから離して!」

 

 「あっ、会長ずるい!」

 

 一応、反省したため二人を離したのだ。

 

 「いやぁ、エリカちゃんの握力と腕力は凄いねぇ。マジで顔が潰れるかと思ったよ」

 

 「これでも、元は装填手なので」

 

 「で、物事は相談なんだけど、金色に染めたら駄目かな?」

 

 「杏さん、懲りてないの?」

 

 手をワキワキさせると杏さんは首を横に振るだけだった。

 

 丁度、みほ達も来たところだったのだ。

 

 「あっ!?戦車達が!?」

 

 「みほ、済まないわね。Ⅲ号突撃砲とレオパルド、パンターF型が・・・・」

 

 「そうですよ!あんまりですよ!」

 

 みほも三両の惨状をみて

 

 「うっぷ、あっはははははは・・・お腹が痛い・・・おかしすぎて、お腹が・・・・」

 

 みほはお腹を抱えて爆笑したのだ。

 

 「ちょっと、みほ!」

 

 「だって、戦車をこんな風にしちゃうなんて考えた事もなくて、何か楽しいよね」

 

 「そう言えば、みぽりんが戦車を見て笑うの初めてかも」

 

 「確かにそうね。でも、認められてるのは内部だけだから戻しなさいよね!」

 

 「「「「えっ、えぇぇぇ」」」」

 

 「当たり前じゃない!作戦や地形によっては戦車を乗り換えるわよ!さぁ、みんなで戻すわよ!」

 

 染めた戦車はみんなで塗り直し、美術部の力を借りて元の迷彩に戻したのだ。

 

 

 

 授業が終わり、私とみほは生徒会室に呼ばれたのだ。

 

 「悪いね。呼び出しちゃってさ。あのさぁ、今度の母港に着いた時に練習試合をやるからさ、作戦を考えてくれるかなぁ?」

 

 早すぎないかと私は思うが、実戦経験を得るには良いかもしれなない。

 

 「何処とやるのですか?」

 

 「強豪校の一つ、聖グロリアーナ女学院とだよ。向こうも何だか、慣熟訓練ついでに練習試合を受けてくれたんだ」

 

 「!?・・・やっぱり・・・・・」

 

 「おっ、エリカちゃん何か知っているね?」

 

 「えっ、エリカさん?」

 

 「みほ、隠しててゴメン。確証が無かったから言えなかったのよ。みほ、杏さん確かに私は知っていたわよ。噂だと思ったけど、慣熟訓練ついでで確証したわ。聖グロリアーナ女学院にブラックプリンスとコメット巡航戦車を導入したようね」

 

 「えっ!?ブラックプリンセスとコメット巡航戦車・・・・」

 

 「エリカちゃん、説明してくれるね?」

 

 「ブラックプリンスとコメット巡航戦車は両方とも17ポンド砲を搭載した戦車よ。ティーガーⅡでも側面を晒したら撃ち抜かれるわ。それだけ、強力な戦車を導入したのよ。ただ、速度が速いのはコメット巡航戦車の50㎞でブラックプリンスは18㎞よ。多分、巡航戦車を練習試合に投入は考え難いけど警戒が必要ね」

 

 「ねぇ、エリカさんまさかだと思うけど、ティーガーⅡの整備を急いでいたのは・・・・・」

 

 「噂だったから警戒してただけよ」

 

 「そう・・・・では、作戦を立てたいと思いますので失礼します」

 

 作戦を立てる為に生徒会室を退室しようとしたら、杏さんに引き止められたのだ。

 

 「あっ、そうだ!もし、勝ったら好きなものを買ってあげるから!」

 

 「もし、負けたら?」

 

 「そうだねぇ、あんこう踊りでもして貰おうかな?」

 

 「「って何(よ)?」」

 

 「とにかく、恥ずかしい踊りだよ~じゃあ、任せたよ」

 

 生徒会室を後にした後、私は教室に帰りながらみほに謝ったのだ。

 

 「みほ、ゴメン・・・・」

 

 「気にしてないよ。でも、生徒会に何か隠してない?」

 

 「つっ!?みほには言うわ。プラウダ高校は多分だけどISー3を導入するかも知れないわ。ただ、正確な情報が無いから確証には至ってはないのよ。あと、サンダース大学付属高校も強豪二校が強力な戦車を導入する噂から対抗処置でパーシングの導入をする噂があるわ。隠してて本当にゴメン・・・・」

 

 「ISー3にパーシング・・・・・」

 

 みほが他校の噂で落ち込みそうになる時だった。

 

 「みぽりん!」

 

 教室で皆が待っていたのだ。

 

 「エリカちゃん、生徒会に何言われたの?」

 

 「そう言えば、西住殿も呼ばれたですね」

 

 「小梅達に言っておくわ。今度、大洗に戻ったら聖グロリアーナ女学院と練習試合よ」

 

 「えっ!聖グロとなの!」

 

 「小梅さん、驚いてどうしたの?」

 

 「沙織殿、聖グロリアーナ女学院は全国大会で準優勝した事もある強豪校ですよ!」

 

 「秋山さんの言う通りです」

 

 「それにしてもさ、聖グロリ何ちゃらって、強豪校なんでしょ?」

 

 「そんな所といきなり試合だなんて・・・・」

 

 「いやいや沙織殿、こちらには西住殿をはじめ、元ですが、黒森峰の狂犬と黒森峰の与一がおられるのですよ!いくら強豪の聖グロリアーナといえど・・・・」

 

 「でもさ、ゆかりん。みぽりんやエリカさん、小梅ちゃん達がどんなに強くても他は私を含めて全くの素人だよ」

 

 「沙織さんの言う通りよ。しかも、今回の練習試合はただの練習試合じゃないわ。今回は新に導入した戦車の慣熟訓練を目的とした言わば的見たいな物よ。それと、明日から更に厳しい訓練を組むわよ。特に、今度の試合はレオパルド組の観測が肝になりそうね。だから、小梅はレオパルド組には観測測定の基礎を徹底的に教えて上げてくれるかしら」

 

 「エリカ殿、参考までにどんな戦車ですか?」

 

 「多分、絶望するわよ?」

 

 「大丈夫です」

 

 「ブラックプリンスとコメット巡航戦車が来るかも知れないわ」

 

 秋山さんに話すと

 

 「ティーガーⅡでも危険じゃないですか!17ポンド砲搭載型の戦車ですよ!」

 

 「大丈夫よ。そのための観測測定だから」

 

 「観測測定?」

 

 「私とみほは作戦を立てるから先に帰るわ。小梅は観測測定を教えるのは任したわ」

 

 「うん、エリカちゃんに任されました。だから、任せて!」

 

 私はみほと一緒に帰路に着いたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

     




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