ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 沢山のお気に入り登録ありがとうございます。執筆も頑張って行きたいと思います。


戦車乗ります!(後編)

 

 恥ずかしい思いをした授業の後は学園の大浴場で入浴だった。黒森峰ではこういった施設は無く、変わりにシャワー室がメインだった。だけど、あの学園には私の好きなノンアルコールビールがシャワー室に常備されていた。しかし、今は学園の大浴場に来ているし飲むことは出来ない。一応、自宅のアパートには常備してあるがやはり、お風呂上がりのあれが忘れなかった。

 

 あのキンキンに冷えた喉越しにホップが効いた苦味は格別だった。だが、それを思うと・・・・・言葉に出ていたとも知らずにいたのだ。

 

 「あぁぁ、あれが飲みたい・・・・」

 

 「逸見さん、あれが飲みたいって何です?」

 

 「あっ!?五十鈴さん、私が黒森峰にいた頃はお風呂上がりにノンアルコールビールを飲んでいたのよ」

 

 「そうでしたの?」

 

 「あっ、あぁぁぁ!また、エリカちゃんの病気が始まった。このままじゃあ、戦車道じゃなくておやじ道一直線だよ!」

 

 「別に良いじゃない!あれと茹でたてのウインナーの組み合わせは格別なのよ。アパートに戻らないと飲めないのよ!小梅、あれにハマった私の苦しみ判るの?」

 

 「いえ、分かりたくありません」

 

 「全く、小梅の味覚はお子様なんだから」

 

 「別に良いもん!エリカちゃんは飲み過ぎて豚さんになっても知らないもん」

 

 小梅とのやり取りに、みほが爆弾を投げたのだ。

 

 「でも、私も久しぶりにノンアルコールビールが飲みたいかも・・・・」

 

 「「みほ(ちゃん)はダメ!悪酔いするから!」」

 

 「ふっぇ」

 

 一度だけだが黒森峰に居た時にみほがノンアルコールのビールを飲んだ事があった。アルコールが全く入っていないのにあろう事か酔っ払ったのだ。

 

 その後のみほが正直に言うと大変だった。

 

 私の秘蔵の麦のジュース(本物のビール)を瓶で三本も飲み干し、誕生日で飲もうとして貯めて買ったドンペリまでも飲み干したみほは甘えた声で私の名前をよびながら甘えて抱き着き、普段では出ない力で私を拘束してファーストキスを奪い、何度も濃厚なキスされた後は理由が分からないが全身が力が入らなくなると服を全て脱がされ全身にキスをされる嵌めになったのだ。

 

 そう、全身がほてり力の入らない私は最早、まな板の鯉だったのだ。

 

 そして、何度もみほにいかされ意識を手放した私は翌日ベッドの上で全裸のままで寝かされており、みほも全裸で私を抱いたまま気持ち良さそうに寝ていたのだ。

 

 そして、当の本人は当時の記憶も無く、二日酔いもせずケロッとしているのだ。

 

 正直、西住師範と同じく笊になりそうで将来が恐ろしい・・・・・

 

 ただし、西住まほは全く飲めない。

  

 

 「逸見さん?良かったら、私のアパートに黒森峰特産のノンアルコールの黒ビールがありますが?」

 

 藤木の一言に私は嬉しくなった。

 

 「えっ?あるの?」

 

 「はい、引っ越す時に30ダースほど買いだめしたので・・・・」

 

 「って、買いすぎよ!ネット通販で取り寄せが出来るの知らないの?今の時代はネット通販で各学園艦の特産品ですら取り寄せが出来るのよ。少しは部屋を広く使おうとは思わないの?」

 

 私も人のことは言えないがあれの中毒者がやはりいたのだ。

 

 「逸見さん、ネットショッピングするんだ。どんなのを買うの?」

 

 「沙織、逸見さんじゃなくてエリカでいいわよ。みほと同じく名前で呼んで欲しいわね・・・・」

 

 「「「「エリカ」」」」

 

 「なんか、名前で呼ばれるのもこそばゆいわね。やっぱり、買うのはロリータのワンピースよ。原宿に行かないと買えないし、寄港しないと買えないから・・・・」

 

 「そうだ!みほりんの家に行ってみたい!」

 

 「えっ?エリカさんに聞かないと・・・・」

 

 「別に良いわよ。じゃあ、久しぶりに料理に腕を奮いましょうかしら」

 

 「えっ?エリカさん料理出来るの?」

 

 「ちょっと、失礼ね。みほ達のごはんを毎日作っているんだから当然でしょ?それに、中学生の時から自炊しているんだから年季が違うわよ」

 

 「そうだよね。エリカちゃん、私達のアパートだとお母さんだもんね」

 

 「お母さん言うな!」

 

 「じゃあ、行ってみましょうか」

 

 結局、私達の自宅で夕飯を食べることになったのだ。アパートでは叔母さんが夕飯を作りに来る乱入騒ぎがあったりと大変だったが、みほもみんなと楽しくしていたので良かったと思う。しかし、叔母さんの帰り際に明日来る教官の事を話していたが安心出来る人物であると太鼓判を押したのだった。

 

 翌日の戦車道授業の前に配車とチーム分けをしたのだ。これは、みほと昨晩の内に話し合い決めたのだ。まだ、仮だが各チームに経験者を入れた形にして見たのだ。

 

 Aチーム

 

 使用戦車 Ⅳ号戦車D型

 

 車長兼通信手 武部沙織

 砲手     秋山優花里

 装填手    西住みほ

 操縦手    五十鈴華

 

 Bチーム

 

 使用戦車 偵察戦車レオパルド

 

 車長  逸見エリカ

 砲手  角谷杏

 装填手 河嶋桃

 操縦手 小山柚子

 通信手 澤梓

 

 Cチーム

 

 使用戦車 偵察戦車レオパルド

 

 車長  赤星小梅

 砲手  佐々木あけび

 装填手 磯部典子

 操縦手 河西忍

 通信手 近藤妙子

 

 Dチーム

 

 使用戦車 Ⅲ号突撃砲

 

 車長  内法泰子

 砲手  左衛門佐

 装填手 カエサル

 操縦手 おりょう

 通信手 エルヴィン

 

 Eチーム

 

 使用戦車 三式中戦車

 

 車長  藤木月乃

 砲手  山郷あゆみ

 装填手 坂口佳利奈

 装填手 大野あや

 操縦手 坂口佳利奈

 通信手 宇津木優季

 

 

 今日は朝から選択授業で教官が来る日でもあった。

 

 「今日も戦車道の授業を始めます」

 

 隊長のみほが号令をかける。

 

 「今日は教官が来るから、粗相の無いように」

 

 「あの!教官ってカッコイイ人何ですか?」

 

 「私には分からないわ。杏さん、聞いてる?」

 

 「一応、カッコイイ教官だよ」

 

 杏さんが説明している間になにか轟音が聴こえて来たのだ。

 

 多分、音からしてジェット機だろう。

 

 そして、音がする方を向くと来たのは輸送機だった。

 

 低空で吐き出したのは陸上自衛隊の主力戦車の10式戦車だった。戦車の下に引かれた減速板で回転しながら減速すると誰かの高級スポーツカーを跳ね飛ばし、停止するとその車を潰したのだった。

 

 「あれはまずくない?」

 

 「エリカさん、確かにまずいです・・・・」

 

 「あっ、学園長の車!?」

 

 「スゲー」

 

 小山さんの叫びに様子を見て喜ぶ杏さん、どうやら学園長の車だったらしい。河嶋さんはあれを見て顔を真っ青にしていた。

 

 それすらを無視して進んだ10式戦車が私達の前に止まり、降りて来たのは見慣れた人物だった。

 

 「皆さん!こんちには!」

 

 大会ではお馴染みの審判長の蝶野亜美だった。こういった紹介は生徒会に任せよう。

 

 「紹介しよう。我が校の戦車道特別講師の・・・」

 

 「陸上自衛隊戦車教導隊の蝶野亜美一尉です。戦車道が初めての方が多いと聞いていますが、一緒にかんばりましょう!」

 

 「「「「お願いします!」」」」

 

 敬礼して挨拶したため、私と元黒森峰組の三人は癖で返礼してしまったのだ。

 

 もう、私達は黒森峰では無いのに・・・・・

 

 「う~騙された・・・・」

 

 「まぁまぁ、沙織さん」

 

 「おのれ、生徒会・・・」

 

 沙織は教官が女性だった為に落ち込み、みほが慰めていたのだ。

 

 「あら、あなたは西住流の西住師範の所の娘さんですね?」

 

 「「「西住流?」」」

 

 「戦車道を代表する流派の一つが西住流よ」

 

 「そうですが、今は破門されて普通の西住みほです。西住流とも関係ありません」

 

 「西住流を破門!?どうしてなの?あれは、戦車道協会が事故を調べたら当時の砲手で2年生の刈谷雅子が西住みほさんに指示されたにも関わらず、操縦手で3年生の五十嵐君代が信号弾が撃てない状況にした事と、プラウダ高校が事故が起きたこと気付きながらも攻撃を継続した事だって分かったので西住みほさんの罪は無いわ!むしろ、激しい砲撃の中で救助した精神と行動は賞賛すべき事と、そして、戦車道の未来を守ってくれたのに?どうして!」

 

 私はみほが思い出してしまい怯えているのが分かったのだ。

 

 「止めてもらいますか?みほが思い出して怯えてます」

 

 「あら、あなた達は確か黒森峰の逸見エリカさんに赤星小梅さん、内法泰子さん、藤木月乃さんですね。どうして、大洗女子学園に?」

 

 「私達はみほの友達よ。苦しむみほを守る為なら一緒に転校を選ぶわ。それに、私も破門された身だし、私達は既に黒森峰に居場所はないわ」

 

 「そう、だからあの事件以降、黒森峰の戦車道の生徒の転校が多かったのね・・・・」

 

 私は蝶野教官の意味はまだ分からないでいたのだ。

 

 だから、転校が多い?

 

 「どういう意味よ?」

 

 言葉に出ていたが、教官に聴こえる事は無かった。

 

 「さて、今日はさっそく練習試合をやってみましょう♪」

 

 「蝶野教官、ちょっと待ちなさいよ!いきなり、素人に戦車を使って練習試合は厳しいわよ!」

 

 「逸見さん、苦情は受け付けないわ。あなたはそうなると見越してチームに経験者を必ず一人は入れてるんでしょ?なら、大丈夫よ!ダァァと動かして、バァァと操作して、ドッーンと撃てば良いんだから!」

 

 私はあまりにもラフな説明に顔を引き攣りながらも引き下がったのだ。

 

 これは、絶対に苦労すると思ったからだ。

 

 「いやーかなりざっくりした説明だね~」

 

 「会長には言われたくありませんが・・・」

 

 「では、さっそく始めましょう!全員整列!戦車道は礼に始まり礼に終わる。一同礼!」

 

 「全員、乗車!」

 

 みほの号令にみんなは戦車に乗り出したがある問題が起きたのだ。

 

 レオパルドが実は四人乗りだったのだ。しかし、再編成するには時間が無かったのだ。そんな時に自動車部が一両の戦車を持って来てくれたのだ。

 

 「あっ、逸見さん!丁度良く、主砲が違反していたパンターF型に大丈夫なノーマルなF型の砲塔乗せ替えて整備が終わったから持って来たよ!」

 

 「助かったわ!みほ!チームを少し再編成するわよ!」

 

 「エリカさんに任せます」

 

 私は急ぎ考えて編成したのだ。

 

 「澤さん、小梅、大野は着いて来なさい!私と一緒にパンターF型を使うわよ!」

 

 急遽、編成したチームはFチームとして作ったのだ。

 

 「あの~振り分けは・・・・」

 

 「そうね。私が車長と通信手を兼任するから、小梅は砲手を大野さんは操縦手を澤さんは装填手をお願いすわ」

 

 それぞれが配置に付き、小梅は大野に操縦を教えていたのだ。

 

 「全員、チェックは終わった?」

 

 「あの~エンジンはどうやってかけるんですか?」

 

 「あっ、教えて無かった!ゴメンね。イグニッションを入れてくれる」

 

 パンターのエンジンがかかるとマイバッハエンジンの鼓動が私には心地良かった。また、このエンジンの鼓動を感じて戦車道が出来る喜びに私は酔いしれたのだ。そんな心地良い気分を壊したのは小梅だった。

 

 カッチィ

 

 どうやら、小梅が戦車砲の照準器のスイッチ?を入れたらしい。そして、小梅の変なスイッチまでも入ったようなのだ。

 

 「あぁぁぁぁ!」

 

 「「「!?」」」

 

 小梅の叫び声に驚く私達は振り向くと、顔が蕩けパンツァーハイになっていたのだ。

 

 「しゅごいよ!しゅごいよ!エリカちゃん!これ、ステレオ式の照準器だよ!しかも、オートジャイロが付いてるから走行間射撃しても照準がぶれないんだよ!ドイツの科学は世界一!って叫びたいよ!どうしよう、私もう、蕩けそう!」

 

 小梅のパンツァーハイに引き気味の大野さんと澤さんの二人。

 

 「あの~赤星さんはどうしたんですか?」

 

 引き気味の澤さんが小梅の状態を聞いて来たのだ。

 

 「戦車道をしている生徒に起きるパンツァーハイね。小梅、落ち着きなさい!」

 

 「だって、ステレオ式だよ!マウスと同じ照準器なんだよ!これなら私、距離3000の的に当てられちゃうよ!あぁぁ、どうしよう・・・・」

 

 事実、黒森峰に居た時に小梅はマウスで射撃訓練した時に距離3000で的に当てている。そして、そのパンツァーハイが原因でマウスから外されているのだ。だだ、砲手としての腕は確かなので本当に当てそうである意味怖い。しかし、パンツァーハイの状態の小梅をどうにかしないと先に進めないのだ。毎回の事なのだが・・・・・

 

 「大野さん、澤さんは少し目を閉じててくれる?」

 

 「「はい?」」

 

 「小梅を物理的に黙らせるから・・・・」

 

 「「えっ?物理的?」」

 

 二人が目を閉じたのを確認すると、私は拳を握り小梅の頭を叩いたのだ。

 

 そう、私が編み出した小梅のパンツァーハイ対策だ。例えるなら、壊れたテレビは叩けば治るそんな乗りだ。

 

 ゴッチン

 

 「いったぁぁぁ!?って、あれ?私・・・・・」

 

 「開けて良いわよ。小梅、チェックはどうかしら?」

 

 「大丈夫だよ」

 

 ゲンコツを受けたのに何事も無かった様に小梅はテキパキとチェックを済ませたのだ。

 

 「大野さん、クラッチを踏んでギアを入れて繋げば大丈夫よ。焦らず、ゆっくり丁寧にやれば行けるわ」

 

 「はい!」

 

 「澤さんは75ミリの砲弾は重いかも知れないけど頑張りなさいよ」

 

 「任せて下さい」

 

 「じゃあ、行くわよ。パンツァーフォー!」

 

 パンターはゆっくりと動きだし、林のスタートポイントに向かったのだ。蝶野教官より、指示された場所は吊橋を越えたジャンクションだった。右に進めば生徒会の乗るレオパルドに、左に進めば一年生が乗る三式中戦車。吊橋の向こうは、中央の林にみほ達が乗る四号戦車で挟み込む様にⅢ号突撃砲に乗る歴女組にレオパルドに乗るバレー部達だった。

 

 私達のパンターの最高速度はトランスミッションの関係で45キロしか出せない。しかし、レオパルドの速度は60キロに達する。速度を生かした一撃離脱か、回り込みに注意しないといけない。

 

 正面装甲の硬さを生かし、私が選んだ作戦は吊橋を背に生徒会と一年生組を待ち伏せすることにしたのだ。

 

 スタートすると、生徒会と一年生組が吊橋に向けて進軍を開始したのだ。

 

 「大野さんと小梅は戦車が来たら指示を出すから11時10分の方向に砲塔と車体を向けてくれる」

 

 「「分かりました」」

 

 「来るまでは待機よ」

 

 私はキューポラから身を出して周りを確認したのだ。吊橋の向こう側ではⅣ号戦車がレオパルドとⅢ号突撃砲に追われており、私は即座に援護射撃を小梅に下命したのだ。

 

 「小梅、Ⅳ号戦車を援護するわよ!距離、約2500目標レオパルド!」

 

 「エリカちゃん、Ⅳ号戦車が射線に入って撃てない!」

 

 ところが、Ⅳ号戦車は煙幕を展開すると一気に吊橋まで来たのだ。私は今は攻撃の意思が無い事を手合図でみほに知らせたのだ。

 

 私はみほが渡り切るまで、見守る事に徹したがみほが戦車から降りて誘導して橋を渡り始めた時に吊橋のワイヤーを切り落ちそうになったのだ。

 

 「みほ!」

 

 叫ぶけど、それよりⅢ号突撃砲の砲弾がⅣ号戦車の後部装甲に当たったのだ。

 

 双眼鏡越しで見えるのは華がハッチから顔が出ており衝撃で頭をぶつけたのだ。

 

 「操縦者、失神操縦不能!」

 

 秋山さんの叫び声が私の耳に聴こえたのだ。みほは急ぎ四号戦車に戻ったが動く気配が無かった。しかし、レオパルドとⅢ号突撃砲は追撃しており、対岸から見える位置まで前進していたのだ。丁度、Ⅲ号突撃砲もレオパルドも射線に入っていたのだ。

 

 「小梅!今なら撃てるわよ!射撃準備!」

 

 「照準よし!」

 

 「撃て!」

 

 パンターの主砲が火を噴いたのだ。砲弾はⅢ号突撃砲の側面に当たり行動不能にしたのだ。

 

 「次行くわよ!弾種、榴弾!信管設定は短延期に設定!跳弾でレオパルドの履帯と車輪を吹き飛ばすわよ!」

 

 信管設定は小梅が行い装填していたのだ。

 

 「装填よし!」 

 

 「照準・・・準備よし!」

 

 「撃ったら、即装填よ!撃て!」

 

 レオパルドの直前の地面で跳弾して車輪に命中すると履帯と車輪を吹き飛ばすやり方で無理矢理に横に向かせたのだ。それは、パンターの主砲でも傾斜装甲を持つレオパルドの正面装甲は抜けないのだ。えげつないやり方だが、履帯と車輪を吹き飛ばしただけでは修理可能で復帰可能なのだ。

 

 「装填よし!」

 

 「照準よし!」

 

 「撃て!」

 

 レオパルドの側面装甲に砲弾が命中し行動不能としたのだ。

 

 2両を片付けている間にⅣ号戦車の動きが変わったのだ。さっきのぎこちない動きだったが洗練された動き、みほが操縦している感じでは無い。みほは装填手ハッチから顔を出しており、誰が操縦しているのか気になったが、正面からもレオパルドと三式中戦車が来ていたのだ。

 

 まず、先に撃って来たのは三式中戦車だった。

 

 ガッン

 

 「キャア!」

 

 大野が悲鳴をあげるが、パンターの正面に当たっただけで問題はない。

 

 「大丈夫よ!三式中戦車の砲弾なら正面装甲は抜けないわよ!」

 

 Ⅳ号戦車はそうしている間に三式中戦車に突撃したのだ。しかし、突撃に驚き逃げようとするが履帯が片方しか回っておらず、地面に履帯が沈んでいき、履帯が切れた後にエンジンから煙りが上がって行動不能になったのだった。

 

 しかし、生徒会の乗るレオパルドが残っており、林を抜けた平原で決着を付ける気なのだろう。しかし、レオパルドは私達のパンターを見るなり平原へと逃げたのだ。

 

 「追撃するわよ!」

 

 私はレオパルドを追ったのだ。

 

 平原に出た私が見たのは撃破されたレオパルドだった。後部のエンジンルームをやられていたのだ。

 

 「待ち伏せでやられてるわね・・・」

 

 キュポラーから身を乗り出し周りを確認するとⅣ号戦車を見つけたのだ。

 

 「見つけたわよ!」

 

 私は白星を付けるべくⅣ号戦車に挑んだのだ。

 

 

 

 

 エリカさんに再編成を任して私達は一足先にスタート地点に移動。

 

 途中、優花里さんがパンツァーハイになる事があるも私は車長をやりたく無かった。

 

 スタートと同時に沙織さんが生徒会を倒そうと言った為、吊橋へ移動するが三号突撃砲とレオパルドに追われる事になった。途中、草原で寝ている麻子さんを回収して吊橋に渡ろうとしたら、橋の向こうに陣取るのはパンターだった。

 

 キューポラから身を乗り出して合図して来るのはエリカさんだった。あれは、黒森峰でも使われた手合図で意味は戦う気は無いらしい。私は吊橋を渡る事にしたが華さん操縦では難しく、Ⅳ号戦車が落ちそうになったのだ。

 

 悪い事は続き、Ⅲ号突撃砲が追いついたのだ。Ⅲ号突撃砲が主砲を放ち、Ⅳ号戦車に直撃。

 

 衝撃で、華さんが気絶してしまい、私は戦車に戻ったのだ。そして、私は反撃するため、操縦手をやろうとしたら麻子さんが操縦してくれたのだ。私は周囲確認で見たのはエリカさんのパンターの援護射撃だった。一撃でⅢ号突撃砲を沈黙させ、レオパルドは射撃したのは小梅ちゃんだろう。跳弾射撃が出来るのは黒森峰では小梅ちゃんくらいしか居ない。無理矢理、側面を晒されたレオパルドは徹甲弾を撃ち込まれ沈黙したのだった。

 

 吊橋での援護射撃はエリカさんの戦い方そのものだった。吊橋を渡り切り、エリカさんのパンターを狙うのは三式中戦車だった。私は急ぎ三式中戦車の方へ突撃するように沙織さんに進言したのだ。

 

 「沙織さん、三式中戦車の方に逃げて下さい。私達が突撃すれば、相手は慌てるはずです」

 

 「分かった。やってみる」

 

 「麻子さん、慌てる様に猛スピードで突撃してください」

 

 「やってみる」

 

 案の定、三式中戦車は一年生と藤木さんのメンバーだった。藤木さんは砲手としての経験はあるが車長としての経験が皆無だった事もあり、慌てた一年生を宥められずに自爆したのだ。

 

 そのまま、平原へと逃げる形で走ると向こうから逃げて来るのは生徒会が乗るレオパルドだった。

 

 私は、まだ発見されていない事に気付き、

 

 「麻子さん、バックで林に入って下さい。このままレオパルドを待ち伏せします」

 

 「分かった。やってみる」

 

 「優花里さん、レオパルドが通ったらエンジンルームに撃って下さい。あそこなら、Ⅳ号戦車の主砲でも撃ち抜けます。落ち着いて狙って下さい」

 

 「はい!西住殿任せて下さい!」

 

 レオパルドが通ると

 

 「撃て!」

 

 側面から撃たれたレオパルドは行動不能になったのだ。

 

 Ⅳ号戦車を林から出るとパンターがレオパルドを追撃したのだろう。

 

 私はエリカさんに勝てるだろうか?

 

 Ⅳ号戦車の主砲は短砲身だから、正面、側面は抜くのは無理。唯一、抜けるなら背面のマフラーがある場所だ。そして、砲手をしているのは小梅ちゃんだ。多分、正確無慈悲な射撃をして来るはずだ。だけど、逆に読みやすい・・・・どうする?

 

 「戦車って車見たくドリフトできないかな?」

 

 麻子さんの一言に私は閃いたのだ。履帯を上手く滑らせれば理論上出来るはずだ。

 

 なら、やる事は一つだ。

 

 「麻子さん、ドリフトは理論上出来ます。猛スピードでパンターに突っ込んで下さい。私がタイミングを計ります。合図したらステアを切って下さい。滑り出したらそのまま維持して、次の合図で停車して下さい。出来そうですか?」

 

 「今の説明なら出来る。ようは裏に回れだろ?やってみる」

 

 「優花里さん、牽制射撃を行います。私も出来るだけ装填を急ぎますので・・・・」

 

 「みぽりん、装填は私がやるよ!タイミングを計るなら車長席がいいでしょ?」

 

 「分かりました。装填は沙織さんに任せます。優花里さんはエンジンルームに一撃をお願いします」

 

 これが、私達がチームを組み初めてやるドリフトしての回り込みだった。

 

 「それでは行きます!パンツァーフォー!」

 

 Ⅳ号戦車は猛スピードでパンターに突撃したのだ。やっぱり、エリカさんはそれでは慌てない。怖いのは小梅ちゃんの正確な射撃だ。

 

 コツン

 

 麻子さんに左にステアを切るように合図。

 

 即座に左に切り主砲を交わす。

 

 「麻子さん、今です!」

 

 コツン

 

 Ⅳ号戦車のエンジンが唸り高い回転を維持したまま滑りパンターに回り込んだのだ。

 

 「優花里さん、射撃準備!」

 

 「装填よし!」

 

 「撃て!」

 

 Ⅳ号戦車の主砲が火を噴いたのだ。主砲はパンターのマフラーを吹き飛ばしして行動不能にしたのだ。

 

 私達の練習試合は終わったのだ。

 

 再び、戦車倉庫の前に集まるとエリカさんが悔しそうにしていた。

 

 「全く、みほは戦車でドリフトだなんてやるわね。驚いたわよ。完敗よ・・・・」

 

 「エリカさん、麻子さんが居たから出来たんだよ。私達だけでは負けてたよ」

 

 「だから、あの時、空気が代わったのね。でも、次は負けないわよ。だって、楽しそうなみほは久しぶりだった。私にはそれが嬉しいわ」

 

 「エリカさん・・・・」

 

 そして、教官の蝶野さんが来たのだ。

 

 「みんな、グッジョブ!ベリーナイスよ!初めてでこれだけガンガン動かせれば上出来よ!特に、AチームとFチームは良くやったわ!それでは、今日の訓練は終わりよ!」

 

 「一同、礼!ありがとうございました!」

 

 私達の戦車を使用した戦車道の初日はこうして終了したのだった。

 

 

 私はみほ達と別れた後、小梅と一緒に戦車倉庫に残っていた。

 

 「えっ?エリカちゃんこれを使うの?」

 

 「そうよ。小梅、手伝いなさいよね。練習試合までには間に合わせるわよ。私達の相棒のティーガーIIポルシェ砲塔を副隊長仕様にするわよ」

 

 「私、パンターF型が良かったなぁ」

 

 「パンターでも構わないけど、小梅がパンツァーハイにならなければ考えるわ」

 

 「えっ?それって、無理じゃん!ステレオ式だったら無理だよ~」

 

 「じゃあ、やるわよ」

 

 「う~エリカちゃんの意地悪!」

 

 私はティーガーの整備に勤しんだのだった。

 

 理由は聖グロリアーナ学院がブラックプリンスの導入を決めたらしいと情報があったからだ。どうあれ、ブラックプリンスが相手だとティーガーII一両だけでは不安だったのだ。だから、足回りの整備中のティーガーIIを急いで整備していたのだ。

 

 ある程度終わる頃には夜が更けていたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  

 

 

  

 

 

 

 

 

 

 

 




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