ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 短いです。


エキシビションマッチ 決着

 

 愛里寿達を目の前に通過させてみすみす取り逃した私。

 

 エリカとエミを片付けて合流を果たしたみほにジト目で睨まれていた。

 

 「お姉ちゃん・・・・話し合っていたら愛里寿ちゃんを見逃すって・・・・」

 

 「済まない・・・・みほ・・・・」

 

 「仕方ないですね。愛里寿ちゃんたが逃げた方角は大体分かっています。中隊編成は解除して行きましょう」

 

 八両がまとまり、国道を抜けて破棄された遊園地へと向かう。

 

 途中、みほが好きなボコミュージアムがあったがみほは試合が終わったら、また愛里寿達と行く話をしていた。

 

 

 遊園地へと近づくにつれて、みほは顔をしかめる。

 

 それを理解するには時間はいらなかった。

 

 入口という入口が榴弾で破壊されて封鎖されていた。

 

 開いているのは、ラビリンスガーデン(薔薇の迷路)がある場所だけだった。

 

 「これは、絶対に待ち伏せしてるよね?」

 

 「間違いなくしてるだろうな・・・・」

 

 「みほ、東側の緊急用の門はどうだ?」

 

 「駄目かも。優花里さんが偵察してくれたけど、大量の障害物と入ったら直ぐに橋があるけど橋が落とされてる」

 

 「だが、行くしかあるまい?」

 

 「そうですね。装甲が硬い車両を前衛に突入しましょう」

 

 「じゃあ、一番硬いのは私達のヤークトパンターだね」

 

 「んっ?一番硬いのは、みほのティーガーⅡではないのか?」

 

 「お姉ちゃん、その前に山崎さんのティーガーⅡを忘れてるよ!」

 

 「た、隊長~」

 

 「でも、一列で入る事になるからヘビさんチームのヤークトパンター、山崎さんのティーガーⅡ、お姉ちゃんとマリアさんのティーガーⅠ、私のティーガーⅡ、福田さんと橘さんの五式中戦車、最後は源田さんの五式砲戦車でお願いします。突入したら、二両一組に組んで進攻します。では、パンツァーフォー!」

 

 

 

 迷路の入口から一列で突入していく。

 

 入った後は何もなく迷路を進むことなく真っすぐ進攻していく。

 

 それでも、会敵することなく薔薇の迷宮を進めて行く。

 

 優花里さんは外壁の塔へ登って貰い、ナビゲーションに努めていた。

 

 『西住殿、迷宮を抜けた橋の向こう側にT-34/85が二両とIS-3を発見したです!』

 

 「他に居ますか?」

 

 『見た限りでは・・・・・あっ、発見しました!ダークイエローカラーのセンチュリオンですから聖グロのですね。のんびりお茶をしているみたいです」

 

 「みほさん、私達もお茶にしますか?」

 

 「ミルクセーキがのみたい・・・・」

 

 「う~ん、抜けた所で待ち構えているのが継続のT-34/85とプラウダのIS-3だから、それは出来ないかな。多分、IS-3に乗っているのはカツコフさんだと思うし・・・・・」

 

 「ですよね。あの隊長さん、真面目ですものね・・・・」

 

 そんな会話が私の車両にも届く。

 

 「隊長、アタシらもノンアルコールビールでもどうです?キンキンに冷えたのクーラーボックスにありますよ?」

 

 「レン、真面目にやれ。借りにも副隊長だろ?まぁ、試合でなければ飲みたいがな・・・・」

 

 「今のところは膠着状態ですよ?こんな、遠距離から狙撃なんて・・・・・」

 

 ズッドォォォォォン

 

 「「えっ?」」

 

 

 

 ズッガァァァァァァン

 

 パッシュ

 

 『黒森峰選抜ティーガーⅡ走行不能!』

 

 まさかの狙撃だった。

 

 双眼鏡でやった奴を探す。

 

 「居たぞ!」

 

 迷宮を抜けた小高い丘にいたのだ。

 

 色からして愛里寿のセンチュリオンだった。

 

 その小高い丘を利用してティーガーⅡの上部装甲を撃ち抜いたのだ。

 

 愛里寿はついでと言わないばかりに迷宮から抜けた、知波単の五式中戦車を狙撃してあっさりと屠り離脱する。

 

 しかし、簡単には迷宮からは出さしてはくれない。

 

 全車が迷宮から抜けてもカツコフさんのIS-3と継続のT-34/85が行かせまいと阻んでいたのだ。

 

 「源田!」

 

 「橘隊長!了解!」

 

 ホリⅡが主砲をIS-3へと合わせ必殺の65口径の長100ミリ砲を叩き込む。それに続くようにみほ、橘がT-34/85に主砲を叩き込み戦闘不能へと変えていく。カツコフはみほ以外にやられたショックで呆然とするだけだった。

 

 戦闘も終盤へと向かっていた。

 

 白組の残りはミカさんのIS-2、聖グロのセンチュリオンが三両、愛里寿のセンチュリオンだけだ。こちらも、六両だけで予断を許さない状況だったが狙撃して後退した愛里寿とミカだけが見つからない状況でもあった。

 

 特に、聖グロリアーナのセンチュリオン小隊の反撃は凄まじいの一言に限るだろう。

 

 最初からみほだけを狙い、三両でみほを狙ってきたのだ。

 

 「今がチャンスですわ。全車、みほさんのティーガーⅡを狙いなさい!」

 

 「ダー様!お任せですわ」

 

 「「私らを忘れるな!」」

 

 姉の私以上に連携を取る松山西女子の二両の戦車。

 

 みほをやらせまいと五式中戦車がセンチュリオンに体当たりをして吹き飛ばして壁に挟むとホリⅡが零距離からの主砲を叩き込む。

 

 「あららららら!?」

 

 ズッドォォォォォン

 

 「隊長!後ろ!」

 

 「しっ、しまった!?」

 

 「今ですわ!」

 

 「西住殿!済まない!」

 

 「大丈夫です!怪我は?」

 

 「全員無事よ!」

 

 「ダージリン、私も居るぞ!」

 

 「ヒッ、ヒィィィィ!?マッ、マリア!?」

 

 しかし、ダージリンのセンチュリオンが松山西女子の五式中戦車に主砲を叩き込んで撃破するがマリアのティーガーⅠに再び撃破されていた。ダージリンはマリアへのトラウマを強くする事になる。

 

 私もみほを狙っていたセンチュリオンを発見し、後ろから撃破したのだ。

 

 「よし、今だ!」

 

 「私も居るぞ!みほはやらせんぞ!」

 

 「げっ!?西住まほ!?あっ、ヤバァ!?」

 

 残り二両・・・・・

 

 ククリリのセンチュリオンを撃破して聖グロ勢は壊滅したのだ。

 

 しかし、そのあとはミカのゲリラ戦術と愛里寿の正確な射撃に松山西女子のホリⅡ、マリアのティーガーⅠ、ヘビさんチームのヤークトパンターが餌食となってこちらも、みほと私だけになった。

 

 そして、愛里寿、ミカが待ち受けていたのは中央のメリーゴーランドや空中ブランコがある広場だった。

 

 「待ってた・・・・・みほと全力で戦える瞬間を・・・・・」

 

 「愛里寿ちゃん?」

 

 「そして、私が全力でこのメンバーを育て上げたチームとみほの育てたチームでやりたかった。だから・・・・・行くぞ!」

 

 そして、私もミカと・・・・

 

 「やぁ、やっと一対一で出来る状態だね。さて、こちらは次期家元同士でやるとしよう。かつて、お母様と西住師範が大会で決着を着けようとしたが、アレで夢になってしまった。まほさんならわかるだろう?」

 

 「アレとは何だ?」

 

 「そうだね、まほさんは知らないだね。かつて、大洗女子学園に起きたお母様の悲劇をね・・・・」

 

 初耳だった。

 

 「まさかだと思うが、今大洗女子学園が使用している戦車の事か?」

 

 「そう、黒森峰が重戦車を導入した事で三連覇中だった大洗女子も重戦車を導入しなければならない状況になっただね。確かに、センチュリオンやⅣ号戦車は優秀。だけど、重戦車には敵わないのは道理だったし、作戦次第でも何とかなるのはみほさんが証明している。だが、当時の西住師範は今のみほさんの様な戦い方だったらしい。だから、どうにもならないから重戦車を導入したが買った殆どがレギュレーション違反ばかりだったらしい。知らなかったお母様達は失格となり戦車道も廃止にされた・・・・・」

 

 初めて聞く事ばかりだった。

 

 みほが、お父様にティーガーⅡやパンターF型のパーツを注文していた理由だったのか・・・・・

 

 私とミカとの話を余所にみほと愛里寿の激闘が続いていた。

 

 「麻子さん、次でターンをして下さい!」

 

 「みほ、甘い!」

 

 すれ違い様に一撃を放つがお互いに外れる。みほのティーガーⅡはターンをして愛里寿のセンチュリオンの後部に主砲を放とうとするが急速バックして狙いを外させるが砲塔の工具箱にあたり工具を撒き散らす。

 

 そして、二人が私達の所に来るなり

 

 「お姉ちゃん、邪魔」

 

 「邪魔」

 

 私のティーガーⅠは愛里寿の主砲で撃破され、ミカのIS-2はみほの主砲で沈黙されていた。

 

 「お互い、妹がやんちゃになると苦労するね」

 

 「ミカ、それはお互い様だ」

 

 私は車内に入り、レンに冷えたノンアルコールビールを二本取らせる。一本をミカに投げ渡して妹達を見守ったのだ。

 

 姉二人の見守りを余所に妹二人の決着は結局、付かないで終わる事になる。

 

 終演は余りにも唐突で呆気ない終わり方だったのだ。

 

 ガッラガッラ

 

 ジャッボォォォン

 

 「「ふっぇ!?」」

 

 「総員、脱出!」

 

 前回はお互いの砲身が折れて引き分けだったが、今回はいつも以上に撃ち合いになり湖の桟橋で相対する事になるが、お互いがいた場所が非常にまずかった。桟橋が戦車の重量に最初から耐えられる事もなく桟橋が崩壊。お互い、仲良く湖に転落したのだ。

 

 「みほ、池ポチャ狙ってた?」

 

 愛里寿は泳ぎながらみほに聞く。

 

 「う~ん、愛里寿ちゃんが絡んで来なければ落ちなかったかも?」

 

 みほも泳ぎながら敗因を考えるが、まさか桟橋だとは気付いていない。

 

 「いや、みほと私の戦車が重過ぎた」

 

 そう、ティーガーⅡもセンチュリオンも絡む様に湖に転落してエンジンに水が入って自走不能となり二人とも同時に白旗が上がったのだ。

 

 搭乗員は幸いな事に戦車から全員脱出しているが、引き分けなことに残念と思っていたのだ。

 

 

 紅白戦が終れば、アンツィオが作る手料理や黒森峰が持参した名物料理で打ち上げパーティーだった。終始、全員が楽しんでいた。

 

 この紅白戦は各学園の名物となり毎年、行う行事になる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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