ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 とうとう、始まりました。大洗女子選抜連中チームとドイツU20選抜チームの大阪決戦です。


激戦です!大阪城の攻防

 

 午前、9時になると大阪城公園には審判を挟み、大洗女子選抜連合チームとドイツU20選抜チームが並んでいた。ただ、気になるのはドイツU20選抜チームの人数の多さだったが・・・・・

 

 日本戦車道連盟では久しぶりの対外試合が大洗女子学園の廃校を賭けた戦いに全国の戦車道の選手や連盟加盟校が注目しており、この大阪はかつてリングオブファイヤーの決勝戦をやった場所でもある。去年まで街中にラーテが放置されいたが、やっと行政が解体して撤去が終わっている。

 

 生まれて初めてラーテの実物を見た時の興奮とまほさんが黒森峰にも導入したいと騒ぎ、レギュレーション違反だからと説明しながら止めに入ったのは私達三人の良い思い出だ。

 

 私もみほ達のあんこうチームの隣に一列に並び、みほを見守っていた。

 

 エルヴァンが被るような制帽に黒いコート着込んだ金髪にロングヘアーに瞳が透き通る青い瞳一人の少女は隊長だろう。私にも聞こえる様に流暢な日本語で一言だけ言っていた。

 

 「貴女が隊長の西住みほね」

 

 「はい、西住みほです」

 

 「先に言っておくわ。貴女達を蹂躙してやるわ」

 

 「!?」

 

 『では、大洗女子選抜連合チーム対ドイツU20選抜チームとの試合を始める!一同、礼!』

 

 審判長の蝶野さんの号令に全員が挨拶をして試合が始まった。

 

 時計は9時半を過ぎ、スタート地点の通天閣付近の公園に待機している。

 

 私達の中隊は隊長及び大隊長は西住みほで中隊名はひまわり中隊で副隊長は私、逸見エリカとみほの幼なじみの中須賀エミが勤めている。そして、大洗女子選抜連合チームは作戦に従い大阪城へと進路を取っていた。

 

 『各車前進、チューリップ中隊、スズラン中隊は各作戦に従って大阪城を目指して下さい。私達、ひまわり中隊は県道30号線を北上して大手門に向かいます』

 

 「ワニさんチーム、了解よ」

 

 『『『『了解』』』』

 

 『こちら、レオポンチームだ。チューリップ中隊は天王寺から一号阪神高速に入り高速移動中。森ノ宮に向けて進攻開始』

 

 『こちら、朽木車よ。スズラン中隊は本丸の内堀と外堀を管理する水門がある大川に向かっているわ。行きながら橋を二本と水門を破壊した後、ひまわり中隊へ合流するわ』

 

 『判りました。皆さん、無理はしないで下さい』

 

 三中隊はそれぞれの目的に添い、大阪城へと向かった。

 

 

 

 

 

 私達、スズラン中隊は大川にある大阪城の外堀と内堀の水の源である大川に面している水門を破壊する任務を受けていた。ただ、破壊するだけではなく大川に架かる橋を落とす事も忘れてはいけない。今の大阪城の全てのお堀は空堀で二年前のリングオブファイヤーで一度は水が入ったが再び空堀にされている。

 

 空堀だけならまだ良い。

 

 防御する側になれば判るが、外堀と内堀には戦車が上り下り出来るスロープがある。それを使われたら、大阪城で籠城する意味が無くなる。そして、大阪城に架かる石橋も四ヶ所の内三ヶ所は落とす事になっている。

 

 そのためのスズラン中隊だ。

 

 水さえ入れてしまえば、三方向はお堀で護られている事になる。

 

 そして、大川に架かる橋の内一つには市外へ抜ける水運があり、その水門を破壊する事にもなっていた。水門を破壊してしまえば東側と北側は溢れた水で地面がたんぼの様になるので、足を取られたら良い的になる。

 

 私もプラウダ高校を卒業と同時に朽木流の家元に就任したが、このような作戦は聞いたことがない。西住みほ・・・・・将来が末恐ろしい。

 

 水門を破壊する作戦を聞いて、私はぞっとした。

 

 水門が破壊されれば、お堀の中にもしも味方も相手が居たら濁流に飲み込まれるだろ

 

 それだけでなく、大阪城に籠城する作戦はそもそも危険極まりない。だが、水門と石橋を破壊する事で難攻不落の要塞に早変わりする事は確かだが・・・・・・

 

 

 

 私は朽木流家元の一人娘だが、お母様は私が家元に就任させる理由が二人目が欲しくて妊活したいから任せたと言うのだ。

 

 いい加減である。

 

 それでも、元知波単学園の隊長だったと聞いて呆れるが・・・・・

 

 そもそも、まだ、大学生の私に家元は早計ではないかと思ってしまう。

 

 しかし、お母様は何かに脅えていた。

 

 大洗女子学園が戦車道を復活させたと知った日から・・・・・

 

 聞けば、まだ、四十代前半のお母様が何故、脅えているのかが分からない。

 

 それよりも、目の前の事に集中しよう。

 

 

 

 「こちら、朽木車よ。後5分で水門に到達します。ひまわり中隊、チューリップ中隊は到達したか?」

 

 『こちら、ひまわり中隊隊長車のあんこうチームです。あと二分で大手門に到達します」

 

 『チューリップ中隊の隊長車のレオポンチームだ。阪神高速の森ノ宮を降りた所でバイパーの中隊と遭遇、応戦中』

 

 『こちら、大隊長のみほです。レオポンチームはそのまま、市街地に相手を誘導して下さい』

 

 『誘導は不可能。バイパーの中隊は全てE-50で統一されていて最高速度は60㎞は出ている。パンターF型の45㎞では直ぐに追いつかれる。スズラン中隊、水門の破壊を早めてほしい。このまま、外堀内へ入り城内へ待避。バイパーを迎え撃つ』

 

 「了解。スズラン中隊は急ぎ、水門を破壊する」

 

 私達は急ぎ水門へと進攻して、スズラン中隊が大川の水門に到達して待ち構えていたのはE-100重駆逐戦車とE-25が二両の三両編成の小隊だった。しかし、こちらも重戦車対策は怠っていない。

 

 「再び、スズラン中隊からひまわり中隊へ敵と遭遇。車種E-100重駆逐戦車が一両、E-25が二両の編成。これより、殲滅します」

 

 『ひまわり中隊、了解しました。こちらも、大手門でE-75とE-50で構成する敵と遭遇しました。橋と門を破壊次第、ひまわり中隊は大阪城へ突入します。スズラン中隊は排除が終わり次第水門を破壊して下さい』

 

 通信を聞く限りではひまわり中隊もチューリップ中隊もドイツU20選抜チームの中隊や小隊と遭遇戦になった様だ。しかし、こちらもE-100重駆逐戦車とE-25の三両が水門を守っていたなんて・・・・

 

 私にはE-100重駆逐戦車が化け物に見えた。

 

 迫り来る三両。

 

 放たれる主砲

 

 最初に吹き飛んだのは大学選抜選手が乗るIS-3だった。

 

 『キャァァァァ!?』

 

 「ヒッィ!?」

 

 直撃したIS-3は宙を舞い、主砲がへし折れ、縦に転がりながら私の乗る戦車の脇を掠めながら後ろへと吹き飛んで行ったのだ。思わず、小さな悲鳴を上げる。

 

 それを見た私は、170ミリ戦車砲の威力はIS-3の装甲など紙切れに等しいと思い萎縮したのだ。

 

 そんな時だった。

 

 『トゥルータ!』

 

 私を狙っていたE-25がISU-152の主砲の直撃を受けていきなり吹き飛んだのだ。

 

 『朽木中隊長、ちょっと良いかい?』

 

 ISU-152に乗る継続高校の生徒からの通信だった。確か、愛里寿お嬢様の姉だったはずだ。

 

 「ミカさんありがとう」

 

 『そんなに萎縮して、君に意味は在るのかい?私には意味は在る。大切な妹の学園を守る為に風に流されて来たんだ。だから、私達にあの二両を任せて欲しい。朽木中隊長には大切な意味を成して欲しい』

 

 『ミカに遅れるんじゃないわよ!ノンナ、クラーラあんなでかい奴やってしまいなさい!ミカ、あんたがまた盗まない様に見張って上げるわ!』

 

 『そうかい?うちには、ISU-152があるから遠慮したいんだけどね。出来るなら、君が乗るIS-3が欲しいかな?』

 

 『やっぱりミカは信用出来ないわ!行くわよ!てっ、ノンナ、クラーラ日本語で喋りなさいよ!』

 

 『白百合、突撃!水門を破壊する為に血路を開く!』

 

 

 ミカさんが乗るISU-152は加速して、E-100重駆逐戦車とE-25に突撃していく。それに続く様にカチューシャが乗るIS-3とカツコフ、ジェーコフが乗るIS-3が援護していた。残された、私はこんな我の強い連中を纏めなくてはいけない事に今、気付いたのだ。

 

 『朽木中隊長、ちょっとよろしくて?』

 

 『はい?』

 

 今度は聖グロのダージリンとサンダースのケイからだった。

 

 『わたくしとケイは水門に到達致しましたわ。ご命令を下さいます?』

 

 『いつでも、行けるわよ!水門には劣化ウラン弾でもお見舞いして上げるわ!』

 

 いつの間にか、姿を消していたトータスとT-29重戦車が水門に到達して砲撃準備を終えて指示を待っていた。

 

 「もう、やっちゃって下さい!」

 

 やけくそ気味いや、完全にやけくそだった。咽喉マイクに叫んだのだ。

 

 

 

 少し遡る事、阪神高速森ノ宮出口。

 

 私のチューリップ中隊は素早く東門に行かなくてはいけない。

 

 三つの中隊で最速を誇るチューリップ中隊の主力はパンターF型とパーシングだ。

 

 しかし、私のセンチュリオンに砲撃が襲う。

 

 「急停止!」

 

 急ブレーキで停止。

 

 砲撃は直撃せずに側道に着弾するだけだが、目の前にはE-50が待ち構えていたのだ。

 

 キュポーラから半身を出してチュッパチャップスを舐めながら私を睨む少女には覚えがあった。去年、私を瀕死の重傷を負わせたバイパーだった。

 

 「ヒッィ!?」

 

 思わず、小さな悲鳴を上げる。

 

 苦しくなる胸、荒くなる息遣い。

 

 込み上げて来る胃液・・・・

 

 甦る、あの時の記憶。

 

 

 

 十五両の重戦車による一斉射撃で凹むセンチュリオンの砲塔や車体。

 

 内部の特殊カーボンの破片が私達、乗員を襲い来る光景。

 

 気付けば、照準器に頭をぶつけて顔中が血まみれで白目を剥いたまま気絶する砲手に着弾によって車内でピンボールの様に跳ねた事で腕と足の骨が折れ違う方向に曲がって『ギャァァァァァ痛い!助けて!』と女性が出してはいけない声で叫ぶ装填手。通信手の席は前面が潰れ、うめき声を出しながら助けを求める通信手、前面装甲が潰れた事でハンドルに胸を挟まれもがき苦しむ操縦手。

 

 私は辛うじて意識が在るけど、右腕が途中で折れて白い何かが肉を突き破って垂れ下がり、足も折れて逆に向いていた。背中も痛くて辛うじて動く左手で触ると装甲材が刺さっていた。気付けば、私がいた車長席は血の池を作っていたのだ。試合による興奮と負けたくない意志からなのかアドレナリンが大量に分泌していたから痛みはあまり感じなかった。だけど、それに気付いた私は意識を失っていた。

 

 気がついた時は三週間後の病院のベッドの上だった。

 

 「んっ・・・・・・」

 

 「あっ、愛里寿ちゃん!?うっぐぅ・・・・ごめんね・・・・ごめんね・・・・ママが無茶な試合を組んだばかりに・・・・あぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 「愛里寿!良かったよ。無事で・・・・・」

 

 意識を戻した私を見た時、初めて見るお母様の泣き顔に普段は絶対に泣かないお姉ちゃんは静かに涙を流していた。

 

 「お母様、ここは?」

 

 「愛里寿ちゃんは瀕死の重傷でサンダース大学付属病院に運ばれたのよ」

 

 お母様に聞いたら瀕死で意識不明の状態で搬送され、三十時間に及ぶ大手術だったらしい。

 

 聞きたくないが仲間が気になった。

 

 そして、聴いてしまった。

 

 「お母様、皆はどうしたの?」

 

 「ごめんなさい・・・・・愛里寿ちゃんの仲間は今は病室で寝てるわ。でもね、四人とも戦車道を辞める事になったわ。余程、砲撃に晒されたのが怖かったのね。PTSDを発症して戦車には二度と乗れないわ」

 

 それを聞いた瞬間、私は真っ暗になった。

 

 私が戦車道を始めてからずっと一緒に苦楽を共に訓練した仲間はこの怪我が原因で戦車に乗ることの出来ないトラウマを抱え引退してしまった。

 

 「私のせいだ・・・」

 

 「愛里寿ちゃん?」

 

 「愛里寿?」

 

 壊れていく私の心。

 

 私が無茶をせずに降伏していれば・・・・・

 

 違った未来だったかも知れないのに・・・・

 

 「あっぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

 心が壊れると同時に私は病室で叫んでいた。

 

 「愛里寿、ゴメン!」

 

 ブッスゥ

 

 「えっ、お姉ちゃん・・・・・・・」

 

 私はお姉ちゃんに鎮静剤を打たれ、意識を手放した。

 

 あれから、半月程で病院を退院。

 

 あの日から戦車窃盗騒ぎまでは、お姉ちゃんに一度も会っていない。

 

 中途半端に壊れた心。

 

 お姉ちゃんに対する怒り。

 

 壊れるなら完全に壊れて欲しかった。

 

 そして、心を癒す為にボコミュージアムに遊びに行ったらみほとエリカに出会い、私はリハビリをかねて大洗女子学園に編入した。

 

 

 

 再び、それが脳内にフラッシュバックして来るのだ。

 

 今度は自動車部の皆になってしまうのではないかと・・・・

 

 大好きな、皆をまた失うのではと・・・・・

 

 

 そして、私の精神状態を逆なでする様に舐めていたチュッパチャップスを口から出してバイパーは叫ぶ。

 

 「チュウ・・・パァ・・・久しぶりね。また、病院送りにされに来たかな島田愛里寿ちゃん?それとも、棺桶に入りたい?クスクス・・・・どちらにしても、蹂躙よ!」

 

 正直、言えば逃げたい。

 

 この場から逃げ出したい。

 

 でも、私は逃げてはいけないのだ。

 

 私が心から安息出来る、あの大好きな学園を守りたいのだ。

 

 だから、逃げない。

 

 去年の試合に負けていじけて、瀕死の重傷を負ったからって怯えきった私ではないのだ。

 

 だから、決めたのだ。私もボコの様になってやろう。

 

 だから、ボコの様に何度でも立ち上がり立ち向かってやるのだ。

 

 「「「「愛里寿大丈夫!」」」」

 

 チームメンバーの自動車部の皆が付いている。

 

 優しくてまるでお姉ちゃんの様に暖かくて、初めて出来た友達のみほが居る。

 

 ツンデレだけど、私の好きなハンバーグを作ってくれるエリカが居る。

 

 何時も寂しい時に抱きしめてくれる小梅がいる。

 

 そう、今の私には頼れる仲間がいる。

 

 大好きな大洗女子学園の仲間が居る。

 

 だから、余計に負けられないのだ。

 

 みほ、エリカ、小梅ごめんなさい。

 

 私はみほに通信を入れる。

 

 『チューリップ中隊の隊長車のレオポンチームだ。阪神高速の森ノ宮を降りた所でバイパーの中隊と遭遇、応戦中』

 

 『こちら、大隊長のみほです。レオポンチームはそのまま、市街地に相手を誘導して下さい』

 

 出来ない訳ではないが、嘘を付く事にしたのだ。

 

 『誘導は不可能。バイパーの中隊は全てE-50で統一されていて最高速度は60㎞は出ている。パンターF型の45㎞では直ぐに追いつかれる。スズラン中隊、水門の破壊を早めてほしい。このまま、外堀内へ入り城内へ待避。バイパーを迎え撃つ』

 

 『了解!』

 

 私は誘い出すべく賭けにでる。

 

 「私の下知従え。アヒルチーム、カバさんチーム、ウサギさんチームは発煙弾で煙幕を展開」

 

 『『『了解』』』

 

 「楓車はあの糞貧乳糞チビ野郎に挑発して外堀内に誘導。どんな手を使っても構わない。必ず釣れ」

 

 『愛里寿、今日は気が合うわね。あの糞チビは任せて!必ず釣ってくるわ』

 

 「任せた。メグミ、ルミ、アズミ、伊藤車は私と一緒に協力して中隊長車の取り巻きを一掃する」

 

 『『『『了解』』』』

 

 「では、私の下知に従い作戦開始」

 

 私の戦いが切って開かれた。

 

 

 

 

 

 同じ頃、大手門前

 

 大手門の向かい側にはひまわり中隊を待ち受ける中隊が合った。そして、三人の車長はそれぞれを睨んでいた。一人は私とお姉ちゃんを睨み、もう一人は、エミちゃんを睨み、最後は始めて見るかもれしない。エリカさんを睨んで待ち受けて居たのだ。

 

 「貴女達姉妹が西住姉妹ね!私は島田かのん!」

 

 E-75のキュポーラから立ち上がり、私とお姉ちゃんを睨む。

 

 「私が西住まほだ!」

 

 「西住みほ」

 

 私は叫びながらも、その少女に恐怖した。

 

 まるで、カツコフちゃんの様に凛としており、一言一言に力を感じていた。

 

 戦いを始めたのはお姉ちゃんだった。

 

 「みほ、私がやる。島田かのん、私と一騎打ちだ!」

 

 ティーガーⅠの主砲が火を噴いたが前面装甲で弾かれ、彼女も叫ぶ。

 

 「いえ、貴女達姉妹で掛かって来なさい!じゃないと・・・・」

 

 E-75の主砲が火を噴き、私達の戦車ではなく撃ち抜かれたのは側面を晒していたカモさんチームが乗る偵察戦車レオパルドだった。

 

 「カモさんチーム、大丈夫?」

 

 沙織さんが安否を確認する。

 

 『三人とも大丈夫です!』

 

 一安心して、私も叫ぶ

 

 「お姉ちゃん!」

 

 「判った!」

 

 「麻子さん、駐車場にE-75を誘導します」

 

 「隊長、任せろ」

 

 「カメさんチーム、三両は駐車場に行きます。ひまわり中隊の指揮を任せます」

 

 「西住ちゃん、任されたよ」

 

 私のティーガーⅡとお姉ちゃんのティーガーⅠは島田かのんのE-75を連れ、外堀の外にある駐車場に逃げる様に誘導したのだ。

 

 

 

 みほがE-75と対峙している間、私は目の前の人物に目を疑った。

 

 「エリカ、私は散々忠告したわよね?」

 

 容姿は髪の色以外似ているが間違いなく姉さんだ。

 

 「はぁん、知らないわよ」

 

 私はさっぱり分からない。姉さんだって、好き勝手にドイツに留学したくせに・・・・

 

 「去年の試合は見たわよ。意識の無い、エリカが搬送される姿に私はどんだけ心配したか判るの!怖かったわ。可愛い、妹が死んじゃうって思うと」

 

 「私はみほと一緒に戦車道がしたいだけよ!姉さんには分からないわよ!ずっと、憧れ、ずっと一緒に居られる様になった私の気持ちなんて判って欲しくないわ!」

 

 「寄りによって、西住流の恥さらしの妹と一緒なのが気に喰わないのよ!エリカを助けてくれたのは感謝している。でも、同じ西住流で試合をやりたかった私の気持ちも分かりなさいよ!この愚妹が!」

 

 私は主砲を撃たせまいと、姉さんが乗るE-50に体当たりする。

 

 「あんたねぇ!姉さんだろうとみほを馬鹿にするのは許さないわよ!」

 

 「キャァ!?体当たりじゃなくて主砲を撃ちなさいよ!」

 

 私と姉の姉妹喧嘩の始まりだった。

 

 

 

 本来なら、みほと戦う事になっていた試合でもあり、マミお姉ちゃんと一緒に戦う試合だった。

 

 目の前にいるのは判る。

 

 マミお姉ちゃんだ。

 

 やっぱり、怒って居るよね。

 

 いや、お姉ちゃんはまほさんにも睨んでいた。

 

 やっぱり、再戦したかっただろう。

 

 「お姉ちゃん!」

 

 「あら、エミじゃない。ドイツに居ないと思ったら大洗に行ったのね?」

 

 「そうよ!私はみほとの約束を果たしたいから。一緒に戦車道をやろうって言ったから」

 

 「エミ、言いたい事はそれだけ?」

 

 「そうよ」

 

 「なら、続きは戦車道で語るわよ!」

 

 私と姉さんの戦いが切って開かれた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





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