ガールズ&パンツァー 逸見エリカの苦労日誌   作:まもる

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 やっと、原作に入れました。


戦車道やります!

 

 アパートに三人で住みはじめて一週間が過ぎた。三人の中で目覚めるのが早いのはいつも私だった。部屋割りは小梅が一人部屋で私とみほは一緒の部屋で眠っていた。みほは一緒のベッドで隣で眠っており、お気に入りのボコを抱いて眠っていた。みほのその寝顔は私にしたら猛毒で抱きしめて二度寝したい気分だった。

 

 「みほが可愛い過ぎる・・・・」

 

 抱きしめて愛でたい気分になる。だが、今日から新学期だ。

 

 遅刻する訳には行かない。

 

 私はみほが寝ている姿を尻目にベッドを出ると自分が着ていたフリルの付いたパジャマを脱いでパジャマを布団の中に隠してから真新しい大洗女子学園の制服に着替えると、黒森峰に居た時から愛用している黒いエプロンを身につけて朝ごはんの準備を始めたのだ。

 

 「みほ達が寝てる間に朝ごはんの準備ね。う~ん・・・これにしたわ」

 

 今日も調理本を片手に調理を始める。

 

 朝ごはんのメニューはやはり定番のごはん、味噌汁、鮭の塩焼き、焼きのりだろうか?

 

 一応、私も関西系である為に朝食に水戸の名産納豆だけは無理だったが、何故かみほと小梅は平気に食べているのだ。まぁ、確かに美容には良いけど・・・・

 

 小梅が目覚めて来たようだった。

 

 「ふっわぁぁ・・・おはよう・・・エリカちゃん・・・」

 

 「ほら、小梅も今日から新学期なんだから、顔洗ってシャッキとしなさいよ」

 

 「は~い」

 

 タオルを投げて渡し、私は調理に専念する。

 

 ある程度、朝食が出来た段階でみほを起こしに行くのだ。それは、黒森峰女学園の寮生活から続いた私の日課だった。みほは朝が弱く、寮の部屋が隣だった為に毎朝起こしに行っていたのだ。もちろん、寝ているみほの部屋には鍵が掛かっているため、部屋の合鍵は持ってはいたがみほが寮に閉じこもった時は鍵だけでなくチェーンブロックまでされていたので中には入れ無かった。

 

 「みほ、起きなさい!遅刻するわよ!」

 

 「う~ん・・・後5分・・・」

 

 「起きないと布団退けるわよ!」

 

 私は自分のパジャマを隠していた事を忘れ、布団を退けたのだ。

 

 バッサァ

 

 「うっわぁ!?」

 

 勢い良くめくれ上がる布団に乱れたパジャマ姿のみほ。そして、一緒に隠していたふわりと宙を舞う私のフリル付きのパジャマは、やっと起きたみほと扉から起こす風景を見ていた小梅に私のパジャマを見られたのだ。

 

 「「かっ、可愛いパジャマ!?」」

 

 「みっ、見るなぁぁぁ!」

 

 私は、一瞬で熟れたトマトの様に顔を真っ赤にしたのだ。まさか、16歳になってもフリル付きのロリータファッションのパジャマを使っている事を・・・・

 

 一緒に住んでいるから隠しきれない事は充分に分かっていた。いつかは絶対にばれる事はわかり切って居たのに・・・・

 

 だが、私はそれを着ないと眠れない。だから、二人が眠ってからこっそり着替えて眠って居たのに・・・・

 

 とうとう、バレたのだった。

 

 「はぁぅぅ・・・・・」

 

 「エリカさん?」

 

 「エリカちゃん?」

 

 二人は瞳を滲ませ、私を見つめて来る。まるで、怒られのではと怯える子犬の様に見ていたのだ。

 

 頼むから、そんな目で私を見つめ無いでくれ。

 

 見られた事が怒れないじゃないか。

 

 「はぁ・・・仕方ない。みほは早く着替えて来なさい。朝ごはんが出来てるわよ」

 

 「みほちゃん、着替えを手伝う?」

 

 「こっ、小梅ちゃん、私はそこまで子供じゃないよ」

 

 「だって、また、パジャマのボタン掛け間違ってるよ?嘘・・・・また、ノーブラ!?みほちゃん、わたしよりも胸が大きいだからブラ着けて!私とエリカちゃん的にはオッケーだけど、男の目があるからブラ着けて!」

 

 「あわわ!?」

 

 私は小梅とみほのやり取りを見て微笑むと残りの朝食の準備にキッチンに戻ったのだった。

 

 ごはんを済ませ、三人での登校。

 

 黒森峰にいた頃と変わらない、いつもの風景だった。

 

 よそ見をして何時ものように看板に激突するみほと何も無いところで躓く小梅に私はみほの笑顔が続けばと願うばかりだった。

 

 あの時と比べたら大分、笑顔が増えて笑える様になったのは嬉しかった。

 

 そう、私はあの表情を無くし笑わなくなったみほの顔は二度と見たく無かった。

 

 私があの事故を思い出すだけでなく、また、水が怖いと思ってしまうから・・・・・

 

 

 

 クラス分けは私と小梅は普通一科B組でみほは普通一科A組だった。でも、お昼休みは一緒に食べられるし問題は無かった。授業の内容は・・・・・

 

 「エリカちゃん、授業の内容は簡単だったね」

 

 黒森峰では成績の悪い小梅がここまで言うのだ。

 

 「そうね。なんか、一年生の時の復習見たいな感じだったわね。なんか、拍子抜けよ」

 

 あまりにも簡単だった。私が黒森峰にいた頃の一年生がやるような内容ばかりだった。

 

 

 昼休みになり、私と小梅でみほを迎えに行ったが教室にみほの姿が無かった。食堂に行くとみほと知らない女子生徒と食事を受け取りカウンターに並んでいるところだった。

 

 「エヘヘ、ナンパしちゃった」

 

 「一度、西住さんとお話がしたかったんです」

 

 「えっ?そうなんですか?」

 

 「だって、いつもあわわしてて面白いんだもん」

 

 「面白い・・・」

 

 みほはへこんだ様に呟く

 

 「うん」

 

 「はい」

 

 三人の様子が見て居られなかった。だから

 

 「エリカちゃん、もう少し様子を見よ」

 

 「でも、みほが・・・」

 

 「だから、エリカちゃんも落ち着こうね。大丈夫だよ。みほちゃんなら・・・」

 

 私と小梅もカウンターに並び、食事を貰うことにしたのだ。

 

 そうしている内にみほは

 

 「なんだか、友達みたい!」

 

 とはしゃいで喜んでいる様で私は安心したのだった。私もみほを追いかける様に三人の座席に向かうことにしたのだ。

 

 「よかった。こっちでも友達が出来て・・・私、友達と三人で大洗に引っ越して来たから」

 

 「そっかぁ・・・人生だからいろいろあるもんね。泥間の三角関係とか・・・」

 

 「じゃあ、身内に不幸とか親の転勤とかですか?遺産相続とか・・・・」

 

 私はタイミング良く、会話に割り込んだのだ。

 

 「みほ、相席大丈夫かしら?」

 

 「あっ、エリカさんに小梅ちゃん」

 

 「えっと、そちらの方は?」

 

 「なんか、目つきが怖い・・・」

 

 「私は普通B組の逸見エリカよ。みほと一緒に引っ越して来たわ。それと、目つきが悪いのは生れつきだからね」

 

 「同じく、赤星小梅です。エリカちゃんとは同じクラスだよ」

 

 「さっき、三人で引っ越して来たのはエリカさんと小梅ちゃんとなんだ」

 

 「私、武部沙織だよ」

 

 「五十鈴華です。ところで、どうして三人で引っ越しを?」

 

 「五十鈴さんだったわね・・・・」

 

 みほを見ると知られたくないと目が訴えていたのだ。

 

 「ゴメンね。事情があって言えないわ」

 

 「そうですか・・・さて、ごはんが冷めない内に食べましょう」

 

 私達は会話を楽しみつつ昼食を食べたのだ。

 

 

 

 

 「会長、報告書です」

 

 生徒会室では椅子に座るツインテールの少女が報告書を読みにやけていた。

 

 「ありがとね~桃ちゃん、まさか、あの三人に情報操作がされてたなんてね」

 

 「何かの意図を感じますね」

 

 「そうだね、副会長。それに、黒森峰の副隊長に黒森峰の狂犬と黒森峰の与一が三人一緒に居るなんてさ、ラッキーだよね。何としても戦車道に入れるよ」

 

 「わかりました。では、そのように手配します」

 

 少女は干し芋を一つ頬張るとにやけたのだった。

 

 

 

 

 

 

 食堂でみほ達と別れる前に私は念のために武部さんと携帯のアドレスを交換したのだ。

 

 「武部さん、ちょっと良いかしら?」

 

 「エリカさん、どうしたのかな?」

 

 「一応、みほに何かあったら教えて欲しい。だから、アドレスを交換しない?」

 

 「断然、いいですよ。はい、これは私のアドレスだよ」

 

 何故か嫌な予感がしたのだ。

 

 

 そして、午後の授業中に武部さんから早速メールが来たのだ。

 

 『生徒会長に何か言われてから何故かは分からないけど、抜け殻の様になってしまい、私と華で一緒で保健室に行っています』

 

 私は居てもたっても居られず、教室を飛び出したのだ。

 

 「ちょっと、逸見さん!」

 

 私が急に教室から飛び出した事に驚き叫ぶ教師を尻目に私は保健室に走っていったのだ。

 

 ガッラァ

 

 「みほ!」

 

 「寝ている生徒が居るから・・・・ヒッィ!?」

 

 私は保健の先生に注意されるが、今の私は黒森峰の狂犬、逸見エリカとしての表情をしており、睨み黙らせたのだ。黙らせた後、私はみほが横になっているベッドに向かった。私はみほの顔を見て言葉をなくした。

 

 「みほ・・・」

 

 あの時の様に表情を無くしたみほだったのだ

 

 私が一番見たくない表情だったのだ

 

 また、笑顔を無くしたみほ

 

 瞳には一切の光が篭っていない状態だった。

 

 「みほ、生徒会長に何を言われたのよ!」

 

 「ちょっと、逸見さんみほさんを揺らさないて下さい」

 

 「エリカさん、そうだよ。事情は私が聞いてるから!」

 

 「あっ、エリカさん・・・・」

 

 「みほ!」

 

 私は気付いたみほを抱きしめたのだ。胸の中で小さく怯え震えるみほは安心したのか、私の胸の中で泣き出したのだ。

 

 みほを泣かした生徒会長に怒りを覚えたのだ。

 

 事情は武部さんが全て話してくれた。落ち着き泣き疲れたのかみほは寝息を立てていた。

 

 「五十鈴さん、悪いけどみほをお願い出来るかしら?」

 

 「えぇ、大丈夫ですが、逸見さんはどちらに?」

 

 「私?そうね、狂犬らしく生徒会長に噛み付きに行こうかしらね」

 

 「「えっ?狂犬?」」

 

 私がニヤリと笑うと私の今の表情を見た武部さんと五十鈴さんは堪らずに小さな悲鳴を上げたのだ。

 

 「「ヒッィ」」

 

 どうやら、生徒会長は生徒会が主催する選択授業のオリエンテーションの準備で体育館に居るらしい。私は体育館に向かい、扉を開けたのだ。

 

 「角谷杏!」

 

 私は生徒会長の名前を呼び捨てで叫んだのだ。

 

 先輩だろうが関係ない。

 

 みほを泣かされた事に私は怒り心頭だったのだから

 

 「貴様!会長を呼び捨てに!」

 

 片方に眼鏡をかけた長身の生徒が噛み付いて来るが逆に噛み付き返したのだ。

 

 「何?」

 

 「ヒッィ!?」

 

 逆に睨まれ、縮こまる生徒。私は檀上で干しいもを頬張るツインテールの生徒を見付けたのだ。

 

 「あなたが角谷杏ね?」

 

 「そうだよ~うちが角谷杏だよ」

 

 私は杏の胸倉を掴んだのだ。

 

 「みほに何故あんな事を言うの?」

 

 「うっぐぅ、暴力は良くないよ。いやぁ、流石だね。元黒森峰の狂犬、逸見エリカちゃん。装填手から車長になっただけはあるよ。ただ、うちは生徒会長として西住ちゃんに頼んだだけだよ。戦車道をして欲しいってね」

 

 「今、何て言ったのよ?」

 

 「もう、一回言うよ。戦車道をして欲しいって頼んだだけだよ」

 

 みほに戦車道をやらせて、また苦しめと言うのか?

 

 また、みほからあの笑顔を奪うのか?

 

 やっと、みほに笑顔が戻って来たのにおまえは・・・・

 

 「・・・・・・絶対にやらせないわよ・・・・」

 

 「聞こえないな?」

 

 「あんたなんかにみほの笑顔は奪わせないわよ!絶対に戦車道はやらせない!あんたなんかにみほの笑顔を奪わせて堪るか!」

 

 私はみほを守る為に精一杯の声で叫んだのだ。

 

 「へぇ、エリカちゃんはそんなに西住ちゃんが大事なんだ。まぁ、西住ちゃんは絶対に選ぶと思うよ。それなりのカードは切らせてもらうけどね」

 

 「良い度胸じゃない。何なら、今すぐにでも一発殴ろうか?」

 

 既に私の周りには私を止めるべく風紀委員会の生徒や生徒会役員が取り囲んでいた。

 

 「やっぱり、エリカちゃんは狂犬いや忠犬だねぇ。二人が一緒に来た段階で分かっていたけど、一筋縄じゃあいかないや。まぁ、でも、うちは西住ちゃんをあきらめないよ。必ず、戦車道に引き込むからよろしく」

 

 そう、杏は言い切ると胸倉を掴んでいた手をなぎ払うと手を振りながら何処に行ったのだった。

 

 

 

 その後、私は無断で授業を抜け出した事に加えて、未遂だったが生徒会長への暴行未遂により担任にキツイお説教を2時間も受ける事になったのだ。しかも、選択授業のオリエンテーションの最中に生徒指導室でだけど・・・

 

 

 

 アパートに一人で帰ると既に小梅が帰っていた。

 

 四六時中、みほは選択授業の戦車道の説明で聞きたくない様な表情をしていたと小梅が話していた。もう、6時になるが、みほは帰って来てはいない。

 

 心配だった。

 

 また、みほが笑わなくなるのではないかと私と小梅は恐怖したのだ。

 

 そんな空気が部屋を支配されそうな時、玄関が開いたのだ。

 

 ガチャリ

 

 「ただいまぁぁ!」

 

 みほが帰って来たのだ。私と小梅は嬉しくなりみほの元に走って行ったのだ。

 

 「みほ!」

 「みほちゃん!」

 

 私と小梅はみほに抱き着いたのだ。

 

 「うっわぁ!?」

 

 「ばかぁぁぁ!ひっぐぅ・・・遅くなるなら連絡入れなさいよ」

 

 「そうだよ。心配したんだんよ。うわぁぁぁん」

 

 「エリカさん、小梅ちゃん泣かなくとも・・・・」

 

 「なっ、泣いてなんかないわよ!こっ、これは涎よ!」

 

 みほの笑顔が嬉しくて、愛しくて、ただ、私はそれを守りたかったから・・・・

 

 「よし、みほは夕飯は何が食べたい?」

 

 「う~ん、じゃあ、ハンバーグ」

 

 「私も食べたい!」

 

 「じゃあ、作るわよ。小梅、手伝いなさい!みほはお風呂に行ってサッパリしてきなさいよ。その間に作って置くわ」

 

 「うん!」

 

 その後は夕飯を食べてから、宿題を済ませた私はベッドに入った。既にみほは夢の中だった。

 

 「お姉ちゃん・・・・ごめんなさい・・・」

 

 みほが寝言を呟くとその言葉に何故か胸が締め付けられそうになる。

 

 そして、思い出すのは決勝戦の事故の事だった。

 

 急に震える私の体。

 

 怖い、奮えが止まらない。

 

 助けて・・・・みほ、助けて・・・・タスケテ・・・・・・

 

 私はみほの背中に抱き着いたのだ。聞こえて来るみほの心臓の鼓動は心を落ち着かせてくれる。本当の私は弱い人間だ。だけど、みほの笑顔だけは何としても守りたい。私もだが小梅だって、最近はやっと顔が水に浸けられるまで回復したのだ。でも、みほの前だけは強くて頼れる私を演じなければならない。

 

 「みほ、今日だけは抱いて寝るね・・・・」

 

 私はようやく夢の中に旅立ったのだ。こうしている時だけは怖い夢(事故の内容)を見なくて済むから・・・・

 

 

 

 翌日、昼食はいつものメンバーで食べていた。メンバーはみほと私に小梅の他にみほの新しく友達になった、武部さんと五十鈴さんだ。

 

 「ところで、みほは選択授業は何を選んだの?」

 

 「エリカさん、私は香道かな」

 

 「そうなんだ。私は茶道よ」

 

 「みほちゃん、私も香道だよ」

 

 「そうなんだ。小梅ちゃん、よろしくね」

 

 「私はみほさんと同じにしたよ」

 

 「私もですね」

 

 そんな楽しい空気を放送の呼び出しがぶち壊したのだ。

 

 『普通一科A組、西住みほ、普通一科B組、逸見エリカ、普通一科B組赤星小梅至急生徒会室に来るように。繰り返す・・・・・』

 

 しつこい連中だと私は思った。

 

 同時に、生徒会長をぶん殴ってやりたい気分だった。

 

 結局、武部さんと五十鈴さんもみほに着いていく事になり、私達は生徒会室へと行く事になったのだ。

 

 生徒会室では、生徒会長の角谷杏に副会長の小山柚子、広報の川河桃が私達を睨んでいたのだ。まぁ、特にメインで睨んでいたのは河嶋だったが・・・・

 

 しかし、広報の河嶋が持っていたのは三枚の用紙だった。それは、私達が選択して書いた用紙だったのだ。

 

 「これは、どういう事だ?」

 

 「何で選択しないかな・・・・」

 

 「他に戦車道経験者は皆無です」

 

 「終了です。我が校は終了です」

 

 どうやら、私を本気で怒らせたいらしい。

 

 私が文句を言うとした瞬間に二人がみほを庇い出したのだ。

 

 「勝手なこと言わないでよ」

 

 「そうです!やりたくないのに無理にやらせる気ですか!」

 

 「みほは戦車をやらないから!」

 

 私も反撃に出たのだ。

 

 「角谷杏、私はみほに戦車道はやらせないと言ったはずよ!」

 

 「そうだよ。みほちゃんには戦車道はやらせない!」

 

 「みっ、みんな・・・・」

 

 「あんた達、そんな事言っても良いのかなぁ?この学園に居られなくするよ?」

 

 「横暴だ!」

 

 「脅すなんて卑怯です!」

 

 「くっ、卑怯よ!」

 

 「それとエリカちゃん、黒森峰女学園から転入希望の生徒が二人も居るんだけど、断っても良いんだけどね」

 

 「「「!?」」」

 

 これが、言ってたカードだったのね。確かに、内法泰子と藤木月乃からはメールで学園内でのいじめが堪えられないから私達の居る学園に転校するとあった。

 

 あまりにも卑怯だ。

 

 「あんた、仲間を盾にするなんて卑怯じゃない!横暴よ!」

 

 「横暴は生徒会に許された特権だ!」

 

 ヒートアップし抗議にほエスカレートしていく武部さんと五十鈴さんに小梅。

 

 どんどん暗くなって行くみほ。

 

 私には堪えられない。

 

 そんな時だった。

 

 「わ、わたし、戦車道、やります!」

 

 みほが全身が震えながらも勇気を出して叫んだのだ。

 

 「みほ、無理することはない。嫌ななら・・・」

 

 「エリカさん、私は大丈夫だから・・・・」

 

 「判ったわ。なら、私もやるわよ。角谷杏、ただし、条件が二つだけあるわ」

 

 「何かな?」

 

 「一つ目は隊長はみほがやること。そして、副隊長は私がやるわ。二つ目はガソリンとエンジンオイルを満載に積んだタンクローリーと戦車が操縦出来る生徒を最低、十人は用意してくれるかしら?」

 

 「えっ?エリカさん、私は隊長なんて無理だよ」

 

 「隊長の資質なら私よりみほがあるわよ。みほの事をずっと、見ていた私が言うのだから間違いないわよ。それに、隊長がみほなら私と小梅は全力でサポートするわ。だから、みほ、隊長をお願い」

 

 「エリカさんがそこまで言うならやるよ」

 

 「二人で盛り上がっているところ悪いけどさ、何でタンクローリーを用意するのかな?」

 

 「やっぱり、杏は母親からは聞いてないわね。私の叔母から船倉の鍵を預かったわ。一応、中身を確認したら叔母が当時、使っていた大洗女子学園の主力戦車よ」

 

 「えっ?じゃあ、エリカちゃんが春休みに一人でパンツァージャケットを着て出掛けたのは・・・・」

 

 「そうね。二人に黙っていたのは謝るわ」

 

 「エリカちゃん、船倉に在った戦車は何かな?副会長、戦車の資料取って」

 

 「ティーガーIIポルシェ砲塔タイプが二両、ティーガーIIヘンシェル砲塔105ミリ戦車砲搭載型が一両、Ⅶ号戦車レーヴェ38口径150ミリ戦車砲搭載型が一両、パンターF型71口径88ミリ戦車砲搭載型が二両、ストームティーガーが一両、偵察戦車レオパルドが二両の全部で九両と入口の両脇の通路にポルシェティーガーとエレファント重駆逐戦車が一両づつあったわ。だけど、二両はレストアしないと使えないわ。他にも戦車が要るなら、これを渡すわ」

 

 私が渡したのは学園艦全体の地図で点を示した場所に戦車を隠してあるらしい。

 

 「ところでさ、エリカちゃんの叔母さんって」

 

 「杏の母親と同期の飛騨茜叔母さんよ」 

 

 「会長、資料に名前がありました!えっ?まさか、最後の隊長・・・・」

 

 資料を見て驚く川嶋に他資料で驚く小山さん

 

 「戦車の紛失届に全部の名前がありました!」

 

 そして、紛失届のサインを見た杏は

 

 「ママだったんだね・・・・・当時の生徒会長・・・・」

 

 結局、戦車の回収は自動車部がやるらしく、私達は生徒会室を後にした。

 

 翌日、回収された戦車の量に私は苦労するとは知らないでいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




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