呂堺ト天使   作:雪亜
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後書きに次回予告みたいな物も書いていきます。

呂堺機専用ガレージ

普通のガレージとは全く違い、まるで格納庫みたいな作りになっているが一応暮らしやすくなっている。

デバイス

ガレージを操作するための専用スマホ、ナビゲーターAIとの通信にも使える。


ハイライトバトル

一度帰宅した俺は着替えや必要な物を準備し、後は迎えが来るまで休むことにした。

「悪いな、勝手に決めちまって。」
「ううん…パパが行くならそこに付いていくだけだよ。」
「…パパ…か、出来ればお兄ちゃんにして欲しいな。」

確かにパパと言う響きは素晴らしいが色々勘違いされるかもしれないからせめて兄留まりで居て欲しい。

「…パパは、パパだよね?」

前言撤回、やっぱりパパでやっていこう。

「ああ、やっぱりパパで良いよ、そっちの方がしっくり来る。」
「うん、ありがとう…。」

結局人間は欲望に勝てない事が分かった所で家の電話が鳴る。

「ちょっと電話に出てくるから待ってて。」
「うん。」

玄関近くに設置してるため一度階段を下りねばならない。

「よっと…もしもし、夜森です。」
「棟葉様ですか?」
「アモルさん?どうしたんですか?」
「1つ確認したいことが有りまして…少々お時間よろしいでしょうか?」
「うん、構わないけど。」
「えーと…今の名は朴葉でよろしかったでしょうか?」
「ああ、そうだけど?」
「実は彼女に定期的に飲まなきゃいけない薬が有りまして…それをお渡ししたいのですが。」
「何の薬?」
「彼女の人間に対する恐怖心を抑制させる精神安定剤みたいなものです。」
「…持って来てくれる?」
「はい、ただ時間が足らないのでポストに入れておきます。」
「時間がない?」
「すみません、ちょっと時間が押してるので…棟葉様がそちらに回ると言うことは私の部下と戦闘に成ることが有りますが…出来るだけ逃げるタイミングを与えて下さい。」
「…分かった、早くやることを済ませて母さんに会いに行くって伝えてくれると助かる。」
「分かりました、では御武運を。」

電話が切れ、ポストにガタンという音が鳴った。

「…恐怖症か、朴葉に何が有ったんだろう…よし!暫く店を閉めるんだし掃除だけでもしてくか。」

結局眠ることはせず、掃除後にチャーハンの作り置きを用意して荷物を確認する。

「…よし、大丈夫そうだな。」
「パパ…誰か来たよ?」
「ん?こんな時間に誰だ?」

玄関の鍵を開け顔を出してみると夢張がいつもと違う格好で立っていた。

「よう、こんな時間にどうした?」
「え、あ…うん、ちょっと聞いた話だけど夜森君がこの村を離れるって聞いて…。」
「まぁ…な、それよりもその格好どうしたんだよ?買ったのか?」
「…これ、ホントは明日渡す予定だったんだけど…もう要らなくなっちゃったね。」

それは水族館のペアチケットだった。

「何でこんなにタイミング悪いんだろうね…ホントに、一人で舞い上がって…バカみたいだったよ…。」
「…はぁ、それの期限いつまで?」
「一週間位だけど…。」
「…よし、じゃあ三日後に一回帰って来るからその時行くか。」
「え!?」
「ペアチケットなのに一人で行くと寂しい奴に見られるだろ?」
「…それはそうだけど…大丈夫なの?」
「ああ、いざとなったら呂堺機に引っ付いて飛んでくるから問題ない。」
「ふふっ、危ないからちゃんと新幹線でね?」
「冗談だよ、さて…そろそろだな。」

どうやら迎えらしき車がこっちにやって来た。

「…夜森棟葉様で宜しいでしょうか?」
「ええ、荷物はどこに積めば良いですか。」
「後ろのトランクに仕舞えます、お手伝い致しましょうか?」
「ありがとう、でも大丈夫です。」
「左様で御座いますか、では準備が出来たら出発致します。」
「分かった…夢張、一応ガキの頃みたいに指切りしとくか?」
「うん、約束破るかも知れないからね。」
「何気に酷いな…じゃあ指切りだ。」

二人の小指を絡め声を揃えて唱える

「「指切拳万、嘘ついたら針千本呑ます、指切った。」」

指を離し少しの沈黙の後、夢張が口を開いた。

「…生きて帰ってきてね?約束だよ?」
「ああ、生きて帰って来るから…ってちゃっかり死亡フラグ立てるんじゃねぇよ。」
「あははっ、バレちゃったか。」
「ったく…そろそろ帰った方が良いぞ、もう夜も遅いし、行かなくちゃいけないしな。」
「うん、またね。」
「またな、夢張。」

夢張の背中が見えなくなったところで全ての荷物をトランクに詰め込み朴葉と一緒に後ろのシートに座る。

「…お別れは済みましたか?」
「ああ、出発してください。」
「了解しました。」

小さい排気音が鳴りゆっくりと加速して行く。

「…これから何時間位で着きますか?」
「休憩を挟みますので明日の7時頃には着く予定です。」
「そうですか…。」
「…不安ですか?」
「まぁ…はい。」
「…これまで数々の候補生を乗せましたが、大半の皆様は不安と言うより期待の方が多い方ばかりでした。」
「…期待なんて持ちませんよ、本当は不安で心が押し潰されそうな人間ほど元気に振る舞うんですよ。」
「…となると夜森棟葉様はそこまでの不安はないと?」
「はい、これが自分のすべき事ですから。」
「…これなら孫娘を任せられそうだな。」
「何か言いました?」
「いえ何も、それよりお休みになった方がよろしいと思いますが、如何でしょう。」
「そうだな…朴葉も寝てるし、俺も少し寝る。」
「ではお休みなさいませ。」

カーテンが閉められて暗い空間で考える…雛屋は今何処に居るのか、俺はちゃんと戦えるのか…。

「いや…やるしかない。」

ペンダントを握りしめ、静かに目を閉じて眠りに着く。

「どうか…直ぐに見つかりますように…。」

小さな祈りでも、きっと何時かは届くと信じて…。














目が覚めた理由は窓から差し込む太陽の光だった。

「お目覚めですか?」
「結構寝たな…今は何処ですか?」
「外を見てもらえば分かります。」

そう促され外を見てみると凄い景色が広がっていた。

「なんだここ…。」
「呂堺機の為に建築された都市、「大天界」です。」
「凄い広さだな…あの中央に有るのは?」
「あれは大天界を象徴とする高層施設、ハギオンピルゴスです。」
「ハギオンピルゴス…ね、随分と遠い未来みたいな都市だな。」
「無理もありません、これが呂堺の技術らしいですから。」
「天使なのに精霊の塔かよ、しかも何でギリシャ語…。」
「突っ込んだら敗けですぞ。」

道路を走行してるうちに1つの施設に着いた。

「ここは?」
「呂堺機の専用ガレージです、ここには住居スペースも完備してるので御二人くらいでしたら不便無く暮らせます。」
「でも鍵なんて…あっ。」

そういや天使が鍵とか言ってたな。

「では荷物整理が終わり次第学園に向かいますので声をお掛けください。」
「分かった、後時間がかかりそうだから少し休んでて。」
「了解しました。」
「さて…朴葉起きろ、朝だ。」
「ううん…おはよう、パパ。」
「おはよう、とりあえず降りるぞ。」
「分かった…。」

寝惚け眼を擦りながら車から降り、トランクから荷物を下ろす。

「さて、入ってみるか…。」

ペンダントを外しガレージ脇の機械を調べてみる。

「うーん…これどうすりゃ良いんだ?」

つかこんな正方形のペンダントでどうしろってんだよ…。

「…ちょっと貸して?」
「え?分かるのか?」
「なんとなくだけど…やっぱり、ここに嵌め込む所がある。」
「ホントだ…よく分かったな。」
「何で分かったんだろ…初めての筈なのに…。」
「直感じゃないか?第六感とか。」
「地味な第六感だね、それよりも早く中に入ってみようよ。」
「そうだな、えーと…これをここに嵌め込むんだよな…。」

恐る恐る嵌め込むと中に消えて行き、機械音声が流れた。

『総合データベース解凍、オールシステム異常なし、声紋認証確認完了、これより「夜森棟葉」をマスターキーとします。』
「えっ?ちょっ…。」
『専用デバイスをお受け取りしてください、デバイスから全ての操作が可能です。』
「ど、どうも…これかな?」

まるでスマートフォンみたいな端末を受け取り『前門解放』と名の付いたアプリ?をタップしたら分厚い二重扉が縦と横に開き中に見えたのは…。

「何だこれ…。」

まず最初に見えたのは青と黒のカラーの呂堺機だった。

「こんな形見たこと無いぞ…それに…これってカタパルトか?」

呂堺機の足元に有るのはよくゲームに登場するカタパルトそのものだった。

「…とりあえず荷物を片付けよう、住居スペースは二階かな?」

荷物を一気に担ぎ上げてエスカレーターに乗る、そこまでの高さはないが結構金がかかってるみたいだ。

「…朴葉、行ってる間に留守番しててくれないか?」
「分かった…出来るだけ早く帰って来てね?」
「ああ、色々やんなきゃいけない事も有るし心配だからな。」
「…ありがと、パパ。」
「…(かっ…可愛いっ!絶対に嫁には出したくないレベルの可愛いさだっ…!)」
「どうしたの?顔赤いよ?」
「大丈夫だ、軽く鼻血を出しかけたが別に問題ない。」
「そ、そう?ならいいけど…無理しないでね?」
「ああ、朴葉の花嫁姿を見るまでは死ねないからな。」
「どこまで想像してるの…服とかは私が整理しておくから置いてて良いよ?」
「そうか?なら頼むぞ。」
「…もう行くの?」
「いや、ちょっと呂堺機を見て来ようかと思ってな。」
「そう…行くときは声を掛けてね?」
「ああ、分かってるって。」

駆け足でエスカレーターを降り、呂堺機の前に立つ。

「結構デカいな…どうやって乗るんだ?」

悩んでいると手元のデバイスから警報みたいな音が鳴った。

「え!?なんだ!?」
『緊急事態発生、半径100㍍以内に敵意を持った鳥形羅堺機が接近中、直ちに迎撃してください。』
「まっ、待て!まず呂堺機の動かし方すら分からないんだぞ、どうしろってんだよ!」
『私がレクチャーします、早く乗ってください。』

突然後ろの呂堺機の体が開き頭が吊るされた。

『後ろから体を入れるだけです、それだけで全ての操作が可能です。』
「パパ…。」
「朴葉…心配すんな、俺はお前を守る…今はそれだけだ。」

呂堺機に乗り込んで目の前が閉まり頭が降りてくる。

「…なるほど、普通に体を動かす感じにすりゃ良いんだな?」
『yes、後は扉を開けます…御武運を。』
「…夜森棟葉、出る!」

カタパルトに乗り勢い良く出撃する。

「…これが、空から見る景色か…っ!」

背後からの射撃…このままだと辺りに被害が及ぶ、ならば海の上に誘い込むか。

「こっちだ!」

なんとなくだが動かし方は理解できている、ならば…。

「そろそろだな、武器は…無い!?」
『直ちに武器を転送致します、一分程耐えてください。』
「仕方ない、素手でやってみるか。」

だけど相手は銃も有るし大型ブレードを背中に担いでやがる、どうするかな。

「とりあえず銃に気をつけながら突撃だ。」
「…墜ちろ。」
「うおっ!ったく、危ないな…流石鳥だな。」
『準備が完了しました、これより転送します。』
「あれか…!」

空からコンテナらしき物が落ちてくる、もしかしてこれって…。

「俺に直撃するんじゃね…?」

気づいた時には既に遅く、眼前まで迫っていた。

「更に羅堺機の銃撃かよっ!」

もう武器を取り出している時間は無いからコンテナを…ぶん投げる!

「!!?」
「隙有り!」

加速して更に蹴りを打ち込む。

「さっきの衝撃でコンテナが…って武器はチェーンソーか!?」
『起動方法は脇のレバーを手前に引けば起動します。』
「これか、出来ればヒモが良かったなー…何て言ってる場合じゃないか。」
「くそっ…調子に乗るな!」
「…さっきの言葉、返してやるよ…「墜ちろ」。」

羽を切り落とし踵落としを中央に決める。

『…反応ロストしました、これより帰投してください。』
「おう、色々ありがとな…。」
『浮かない顔ですが如何しましたか?』
「…これが戦いか…正直、怖い…何で俺はここ居るんだろうな…。」
『…以前は震える程憎んで居たものに乗り込まざるを得ないとは、皮肉な物ですね。』
「そうだな…。」
『…前方から呂堺機の反応が3つ、通信要請です。』
「誰だ…?」
「先の戦闘ご苦労であった、えーと…あ、そうそう…貴殿の…えーと…。」
「佐渡さん!もう普通で良いのでさっさと済ませて下さい!」
「風間ちゃん…ごめん…変わって…。」
「全く…羅堺機との戦闘、お疲れ様でした、軍の方ですか?」
「いや、全然違うが…。」
「では学園の方ですね?それではクラスと機体番号を教えて下さい。」
「えーと、今日入学予定、機体番号は知らない。」
『ルーツZ.0000です。』
「なるほど、では呂堺機を動かすのが趣味な方ですね、でなければさっきの動きが出来る筈がありませんし。」
「いや、触ったのも動かすのも初めてなんだけど。」
「…え?今なんと。」
「だから触ったのも動かすのも初めてって…何か問題が?」
「…羽織さん、後は任せました…私と佐渡さんは帰投します…。」
「…まずは一度帰投してください、私も同行します。」
「あ、ああ…分かった。」

早く戻るために加速を使おうとしたら突然それは目覚めた。

「!!」
「どうかしました?」
「ぐっ…あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
『出力総ダウン、着水します。』

そして俺は水底に落ちながら余りの痛みで気を失った。









次回 「過去の代償」



過去に負った傷は牙を向き、今を襲う。
それを知りつつも戦うことを辞めない棟葉はある決断を下し戦闘に向かうのであった。



次回「過去の代償」






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