fate/SN GO   作:ひとりのリク

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緒戦-江戸焼却式Ⅰ-

正午、空は晴れ渡っていた。

雲一つない群青は人間を育むために活力を与えようとしている。太陽に自然の暖かみを学び、吹き抜ける悠々とした風に背を押される。自然は人間の味方であり、乗り越えるべき友だ、と光々は言った。

 

「生き霊となろうが変わらん。晴天の空気を肺に取り入れる気持ち良さ、酒よりもうまい!」

「光々は単に下戸じゃん?」

 

江戸城のてっぺん、空を仰ぎながら深呼吸する光々。その横で寝転がり欠伸をかく十右衛門。悠々と惰性を味わう二人のもとに霧から報せが届いた。

 

『光々、門の準備おわった。江戸は簡単に壊れなくなったよ。龍脈のおかげ、晴明に感謝だね』

「うむ、ご苦労だった霧!いまから向かう、休んでいてくれ」

「おーし、いっくかー」

 

脳裏に届く報せを聞き、光々と十右衛門は江戸城のなかへ。

 

現在、江戸城には光々と十右衛門、霧と桃時、そして信秋の五名が滞在。残りは結野家にて晴明らの護衛にあたっている。

 

「正鬼はさ〜、そもそも来てくれるの?」

「ははは、ここに来て今更じゃろ。安心せい、ヤツが吾をここに遣わしたときに約束しとる」

「ん〜、そうか〜」

 

(ま、ごもっともな疑問か。

吾だけを召喚させ、というのが引っかかっておるのだな。吾に召喚させるより、十界全員を呼んだほうが効率が良い。

吾も考えてはいるが…英霊召喚の情報は粗さが目立つ。ヤツにしてはずさんだ。でなければ、ここまで周到な準備もせぬ)

 

場所は江戸城、大広間にて。

江戸城の顔であり将軍と邂逅する場。本来ならばあり得ざる用途にも光々本人が号令し、歴代将軍が見守っているからと術式展開の中心として選ばれた。

 

大広間の様相は面影を残すだけ。

青白い炎が五芒星の術式のなかで漂い、天井には桃時と初代晴明が施した幾重もの刻印。勢巌による指揮のもと敷かれた龍脈は江戸城にも伸び、柱から床に至るまで神秘で覆い尽くされた。江戸城という過去から現在までの概念を補強材料とし、物理的、魔術的に城内を異空間化させる。

 

「おォ、こっちは準備おっけーだ。

言われた通り江戸全域の生存者を捕捉、龍脈の拡張と補強はハレジジイが今しがた終わらせた」

「足元に力強い脈動を感じる。弾薬は十分すぎるほどあるな、よくやったぞ桃、霧!」

 

また、不測の事態により大広間が使用不可になったとき、″一極集中を避けるための細工″も江戸に準備していた。

これは全ての工程が完了したことの合図。

 

「うん、つかれたけど完璧。光々、あとは頑張って」

「弾薬だと?どれを、どう撃ち出すってんだ?」

 

桃時の疑問、弾薬と銃の役割をどれが担うのか。

これが細工の一つということを光々は伝える。

 

「ふふふ、まあ見とれ。

あーあー、ちぇっく。晴明、聞こえるか?」

 

誰もいない空間へ声をかける光々。すると、淡い光が収束し五芒星が宙に刻まれた。クルクル回転する五芒星は止まることなくその役割を発揮した。

 

『こちら初代、聞こえていますよ光々公。私の通信術式が動作しているのが証拠です。江戸の隅から隅であろうと、話したい人の名を呼び、心の中に思い描けば通話開始。これで末代まで遊べるだけの銭が入っちゃうんだなぁ』

 

ペカペカと光ながら五芒星から初代の声が届く。

今代清明が維持している龍脈を改良し、一定区画ごとに術式を展開することで初代は通信手段を陰陽師流に復活させた。また、この術式によって江戸全域の生存者を把握し、例外なく異界へ遷せるという寸法だ。

 

「残念、いまは財をせびても価値はないな!財より現物、現物よりも民!そのためにも、江戸を守るぞ」

『そりゃごもっとも。この三日間、私たちは最善を尽くした。結果は必ず良きものになりましょう。

我ら十界、最初の務めを果たすときです』

 

光々が笑う。

それだけで十界の意思は一つの事項、江戸を守る政の始まりを承諾する。

 

「初代結野 晴明。″セイショウセキ″を(つが)えよ」

 

号令が透き通り、呼応するように五芒星から深呼吸が一つ聞こえる。結野家開祖の一矢、江戸守護の光を収束する直前の間が訪れた。

 

遠くに見える結野家から膨大な魔力が円状に膨れ上がっていく。その濃度は江戸の民により凝縮され、効果は未来を臨む想いに比例する。

 

「的は地球の触覚、吸血鬼であり夜を総べる王。

人類始祖、堀田 正鬼の擬似心臓、江戸城だ」

 

殺すためではない。輝ける矢は生命エネルギーとなり、正鬼という最強の希望を覚醒させるのだ。

 

江戸に根付く龍脈だからこそ可能とする一矢。これを絆流星と光々は名付ける。

 

「────────────射て」

 

光々の合図から瞬秒。

結野家の庭園から十の色彩が生み出され、一秒後。仁王立ちで構える光々へと一直線に虹を掛けた。

 

 

───

 

──

 

 

 

『あーあー、ちぇっく。晴明、聞こえるか?』

 

宙に固定された五芒星が点滅し、光々の声が結野家に透き通る。

初代の術式によって通信手段が復活した証拠だ。

 

「道満くん、どうやら私たちの術式は完璧みたいだぞ」

「はい、流石です初代殿。では、いよいよ…」

「そうさ。世界を救おうじゃないか。終末なんて迎えさせるものか!陰陽道は永久不滅だよ」

 

魔力が満ちる結野家の庭は平穏が顕在していた。

死の病に侵されず、大地の渇きとは無縁のここだからこそ見れる風景。江戸を支える彼らに許された細やかな憩いの真ん中で、道満と初代、そして結野衆の面々は最終調整を終えていた。

江戸城からの通信を合図に結野衆は屋敷へと入り、道満も庭の真ん中から距離をおく。

 

「虹色の矢、″セイショウセキ″。光々公と色々話してね、正鬼くんを起こすために特注した希釈矢だ。希望を混ぜ混ぜしてたら虹色になっちゃったから、二つの意味を込めてカタカナにしたんだ」

 

矢は中る。狙う先は江戸城ではなく、大広間に作られた術式によって繋がれた正鬼の心臓。

正鬼が自らを封じたという心臓は、その鼓動でのみ解放される。条件が複数あり、どれもが達成不可能のもの。鼓動を動かす条件の一つにあるのが、光々による干渉と、光々は自慢げに言っていた。

 

「正鬼くんも我儘だよ。地球の運営は担いながら、過干渉できる力だけを封じる過保護っぷり。吸血鬼の眼には今回の事態が視えていたはずないのにね。

無論、分かっている。余計な口出しということも…その抜け穴が私たちを喚んだこともさ」

 

光々亡き世で、正鬼が自らを起こす条件にそんなものを入れた理由は不明だ。一生目を醒さないことを覚悟したのか、このときのためなのかも語る時間はない。

 

「些末なことと済ますかは、矢を射たあとにしよう。これは人類の希望、子孫の未来を限りなきものにする私たちの遺言だ」

 

初代の手元に弓と矢が現れる。

光り輝く矢尻は龍脈の如く魔力を迸らせ、触れるだけで厄災が祓われる清廉さを備えている。

片や弓のほうは、なんてことのない至って普通の和弓。

 

「人よ、生きたまえ。未だ来ない明日を望め。過去は未来の背を押すために尽くしてきたんだ」

 

初代の言葉で輝きが増した矢尻は、より引き絞られていく。晴明が守ってきた龍脈が呼応し、初代の和弓を包み込む。

全ての所作が人々への愛しみであり、江戸の歴史を代弁するもの。だからこそ、弓は変哲のないものでなければならなかった。

 

「生きて、私たちの先を行きなさい」

 

矢が放たれる。

瞬く間に虹光となり、不朽の願いを込めて晴明の矢は宙を彩る。

 

道満は放たれる矢の輝きを見て感じとり、放射線が残した音響からそれを知った。

 

江戸城はいまより正鬼が降臨するまでの一分弱、この世界から隔絶される。吸血鬼の寝室を開くには物足りない用心だが、一刻を争う事態。必要最低限の安全措置。

一分弱、光々たちの様子を知ることはできず。また、向こうにもこちらの状況を知る手段はない。光々の危惧する事態はこの一分弱で起きる可能性が高い、と。

事前の打ち合わせがあったにも関わらず、未知の世界を開く瞬間に息を飲まずにはいられない。人類の起源を綴じ込める場所だ。下手を考えずとも、終末の針の一本や二本入っていてもおかしくはない。

 

「勢巌殿、眼に見える情報は逐一報こ──────」

 

張り詰める緊張の空気。

江戸全域を把握、観測する初代が勢巌に眼での警戒を促す途中。

 

べちゃり、濃厚な液体が地べたを跳ねる音が緊張の弦を揺らす。終幕の足音が初代に歩み寄る。

 

不気味なものの正体を光々は危惧していたばかり。

荒れ狂う正体をすぐに理解したのは初代。

 

「晴明──────」

『退避ッ!!』

 

無遠慮に叩きつけられた初代の声は脳裏に響くもの。声帯を通しての、人として発する音響は耳では拾えない。理由は一目瞭然、初代の喉は…目は、耳はもう、使い物にならないほどの怨嗟に満ちていた。

異常は初代だけに留まらない。

結野家を覆っている結界がひび割れ、抵抗する間も与えられずに砕け散る。江戸最強の陰陽師を上回る術者が敷地内に立ち入ることを示していた。

 

「成る程。ここまで神秘が満ちていれば、私たちの焼却式に抗えるとも勘違いできるか」

 

それは、どこから現れたのか。

次元の狭間も無く、空に飛行物もない。旅先で気まぐれに土産店に入るように、ふらりと立ち寄ったという感覚をそれの言動から感じる。

分かることは、ただ存在するだけで生命は死に絶える。生命の敵、生命が抗うべきもの。

 

初代は己の変貌ぶりを知りながら冷静に対処する。

五芒星の術式が初代に貼りつき、さらに怨嗟の根幹たる介入者にも降り注ぐ。

介入者はそれを微笑のみで打ち消す。なぞるように初代の手腕を確認するや、再び視線を向ける。それがトドメというのは簡単に理解できた。

 

「貴様っ!」

 

間髪入れて蘭丸が武器を振るおうとしているとき。失望の息を吐く介入者は、蘭丸を目視していた。初代を忌み果てさせる意味は、視線を合わせることで理解させられた。

 

蘭丸の五感が闇に呑まれる。

 

「は、なっ!?」

 

蘭丸の精神はたちどころに焼き爛れ、生命を継続させる意味を消失させていく。融解し、別のものに変換されて、この世の悪を全方位から見せつけられる。

 

「わた、くしの…」

 

逃げ場のない籠のなか。

憎悪に支配される世界で。

押し寄せる黒い濁流が蘭丸を呑み込んだ。

 

「させぬ」

 

千の銀光が閃く。

絶命していく蘭丸の全身を刀が疾る。身体の余すところなく、刀は蘭丸を斬り終えていた。

 

「ごほっ、げほっっ…」

「許せ、眼が慣れるまで時間がかかった」

 

倒れる蘭丸の前に立つのは勢巌。納刀したまま介入者へ向き、柄を握る。その様子を黙って見過ごしていた男は蘭丸に視線を落とす。

 

斬跡はすでに消え、怨嗟もまた始めから無かったように元通りになっていた。理解する、斬ったのだと。次に侍を凝視する。それだけで憎悪にあてられて死ぬ呪いを、侍は目視困難な抜刀によって斬り伏せた。

 

「私の見解が通らない魔眼か。

……成る程、面白い″眼″もある」

 

(身体のあらゆる臓物が破裂しそうだ……。あれが、光々公が正史と呼ぶ世界の黒幕と見るべきか。

想定内の登場、そして想定外…規格外の妖術使い!)

『私の術式は届かなかった。しかし、勢巌殿の刃なら…!』

 

嗤い声を他所に勢巌は結野家敷地内を見る。

雨女は道満、晴明を連れて江戸城に向かった。

結野衆は敷地内に侵入された時点で呪いに伏せられ絶命した。ここにある龍脈はもう使えないため、他との通路を絶っている。

 

「ッ…」

 

雑音が眼を荒らす。

男の嗤いですら耐え難い呪いを帯びている。その全てを祓うことは初代ですら不可能。勢巌もまた、斬り続けられる限界に達していた。

 

残すは目の前の男を斬ることのみ。

それだけなのだ。己の限界よりも先に成す。

 

「どうだ、私には悲痛な人の声があったか?暖かみが残っているか?……いいや、あり得ない。心を見透かせば人として壊れていくのが解るだろう。どうだ、自分の身体が憎悪に染まる感触は?」

「斬る」

 

草原に慣れる植物よりも小さな音が魔術王の頬にあたる。

距離を詰めての居合い斬り。

空気を押すことなく、背景に溶け込むような歩法に男は視線を合わせ遅れる。

 

「………」

 

しかし、斬れない。

 

「………………」

 

斬るすべを凡ゆる角度から探る。

 

「………………………………」

 

全方位に限らず、それこそ心をも視て触れられる場所を探す。

確認の作業は間もなく終わり、疲弊と苦悶を圧し殺す勢巌は晴明の前まで退く。

 

『肉体も、精神も、概念も届かないのか!?』

「見ただろう、この勢巌の刃が届かぬのだ。

同じ英霊なら太刀打ちできるものではない。ゆえに、光々公にはそうお伝えされよ」

「…そう。そもそも、わたくしたちでは…」

 

再び抜刀し、晴明の身体を斬り刻む。

瘴気が僅かに取り払われていくが、感情を糧に生まれる呪いはもう消えることはない。

 

『…すまないね、勢巌殿。

言伝は送ったよ。これが届くまでの辛抱だ。

そら、あと十秒で結界は解ける』

 

介入者は嗤うこともやめ、興味という興味も抱かないまま歩みを始める。三人にとっては打破しようのない終幕。

 

『ここで私たちがアレを倒せば全ての努力が無駄になる。それって最高に格好良いだろ?

光々公が大喜びすること間違いないぞ!』

「えぇ、これほど大番狂わせで燃え上がる展開はありません」

「半世紀生きた魔王殺しの天女に、妖術でしか傷つけられない陰陽師、そして老いた盲目の侍。悪くない組み合わせだ」

 

誰も膝を折ることはない。

魂の敗北を認めたら最後、江戸は終末の運命を受け入れることになる。抗えるのなら一歩でも進み、可能性を見出す。

死ぬときも関係なく、江戸の生き方を示すまで。

 

直後、灼熱を伴う閃光が結野家を包み込み、晴天の景色を散りばめていった。

 

 

 

 

晴天の街道を濁流が突き進む。

文字通り、雨一滴も降らない天候で、梅雨の河川のごとき勢いで濁流が三人を運ぶために出現していた。

 

「雨女さん、宜しいのですか!?初代殿が…!」

「大丈夫だから…ねっ?愛しき子たち、私に身を委ねて」

 

雨女が操る濁流は間もなく江戸城へと辿り着く。

結野家の結界、晴明の努力の結晶が打ち砕かれたとき、道満は初代が呪いに押し潰されていくさまを目撃した。初代は我を顧みず、退避の一言を伝えて雨女に道満と晴明を託した。

言われずとも、考えずとも答えは分かる。最悪の状況が迫っているのだ。刻は一秒を争う。ここまで来て、初代たちを犠牲にする意味を光々に伝えなければならない。

 

晴明を背負う道満の身体が急に加速する。

 

「……生きて、ねっ?」

「雨女さん!?」

 

隣を見れば雨女は居らず、振り返ると歯を食いしばる彼女がいた。

 

「待ってください、貴女はどうするおつもりだ!?」

 

遠ざかる雨女は背を向けて、激流が道満たちを江戸城へ運ぶまで視線を合わせることはなかった。

返答を聞かずとも道満には理解できていた。厄災はそこに来ているのだと。濁流は二人を運び、江戸城の手前で突如として消滅する。その意味を考えず、道満は結界の解かれた江戸城大広間へと駆けていった。

 

 

───

 

──

 

 

 

這い寄る、出でる、産まれ落ちる、共鳴する。

男の出現をどう表現しても当てはまらない。男は孤独、理解されない業を宿す生命。他者の慈しみは侮辱だからこそ、雨女は交わす言葉を刺にした。

 

「恥じもない獣が人を偽るなんて…ねっ、繭のつもりかしら?糸は自愛?それとも絶望?」

「この世界の魔術師なら、偽物の役にすら立てなかった。キミたちの真作には私以上の意義はない」

 

男は淡々と言葉を発する。

会話ができるものではない。溢れる呪いに喉が焼けそうになる。見ているだけで憎悪に引き摺り込まれていく。なにより、言葉を理解できても、心が通じ合えない。

 

「舐めるなッ…晴明を、よくも!」

 

怒号が嵐を荒ぶ。

男の周囲に雷雲が現れ、空から無数の氷柱が降る。ついには地面が砕け、濁流が男を沈める。

 

足りないと分かっている。

ここまで来たなら…晴明の法術、勢巌の眼が届かないということ。人の極地である術と武が通じないのなら、雨女に出来ることは一つ。

己の憎悪、大自然を以って敵を殺すこと。

 

咆哮に呼応して天の恵みが厄災に襲いかかる。慈愛のため、人の形を成すものに怒りを突き立てる。地面が揺れ、建物が崩壊し、世界の音という音を独り占めにして。

 

「───、───あ」

 

吹き荒れる災害を、人類の厄災が圧し退けて灰塵の風を吹かせた。

見開いた目が映すのは消し飛んだ己の半身。訪れる消滅は耐えるすべもなく、雨女の視界は闇に包まれていく。

 

「あ、ぁ…愛しき、子…!」

 

意識が途切れるまでの僅かな猶予。

振り上げた意識で男の視界を雷雲で覆い尽くす。

視界を晴らす瞬きほどの間。

 

「偽物はお前でござんす」

 

壮麗な声とともに、巨漢ほどはある棍棒が男へと振り下ろされた。響き渡る不意の一撃は、可憐な少女から繰り出される。

人ならざる少女、外道丸。

結野 クリステル、そして坂田 銀時を主人とする鬼の式神。人、そして英霊ならざる異分子の一撃は。

 

「──────がはっ!?!」

 

しかし、男に届くことはなく。

外道丸の黒い着物に風穴が穿たれた。

 

「鬼、か。我らのなかにはお前のような者もいた。やつは知性も兼ねていたが、お前のような悪霊は見たくもない」

 

人外たちですら及ぶことのない結果を見て、雨女は悲痛な声を漏らし消えていく。

地面に崩れ落ちる外道丸は、長く続かない酸素を総動員し、男を見上げて。

 

「必ずっ!我が主人が、お前を食い止める───」

 

最期に言い残したことを、己の耳ですら聞くことなく意識を閉ざした。

 

 

 

 

 







今回のお話、こんな勢いで退場させるのは初めてです。

外道丸は第五次聖杯戦争に宝具として参戦していました。彼女は銀時が暴走したときの抑止力も担っていました。
魔術王との邂逅を経て、銀時の内側に潜んでいる魘魅を似た者として認識したためです。銀時の誇りを守るためでした。今回の第五次聖杯戦争ではしっかりとその役目を果たせたと言えます。


次回は出来る限り今月末までに投稿したいです(希望的観測)。

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