一応クリア後の話なのでお気をつけを
転臨とかをしたときこんな話をしてたら面白そうだなって
聖杯転臨。
それはDr.ロマンとダヴィンチちゃんがカルデアの戦力を高めるための研究の成果だ。
限界まで鍛えられたサーヴァントの霊基に究極の願望器を使うことで霊基の限界を越えた強化を行う神業。
人理修復の過程で回収された聖杯の使い道として、確実な人理修復を行うために生まれた技術。
けれども、
いや、正確には聖杯転臨をやった。
しかし、彼女は聖杯を使ってまでも存在する英霊としての霊基の限界まではしなかった。
最初は玉藻の前だった。
当時カルデアにいた切り札ではなく他のサーヴァントに対するサポートをメインとした彼女の強化を行った。
より長くサポートをし、より多く敵に傷を負わすために。
立花は二つの聖杯を彼女に捧げた。
その時立花は静かに、
「なにか違う」
一言だけ呟くとそれっきり玉藻の前に聖杯を捧げることはなかった。
その時の玉藻の前は偶々通りかかったバーサーカーな狐耳の猫曰く……
ーーーふむ、あの時のオリジナルはまるで高架下に置いていかれる段ボールの中の子猫のような瞳だったな。こ、これが愉悦か!ーーー
だったそうだ。
次はフランケンシュタイン。
英霊の強化に必要不可欠の素材。【叡智の猛火】。
彼女はその回収に毎回
玉藻の前に聖杯が捧げられてから一月ほど経ってからだった。
聖杯を捧げられ霊基が高まった瞬間のフランはまさに長年の初恋が叶った花嫁のように喜んでいた。
そんな喜びも一瞬で終わってしまった。
その時の立花も玉藻の前の時と同じように静かに
「うーん……なんか違うんだよねぇ」
その呟きと共に彼女はフランに一言謝罪を言うと首を捻りながら部屋を出ていった。
その後のフランはまるで花婿の浮気に気づいてしまった新妻のような顔をしたあと、恒例とかしていた
そして、現在。
人理修復は完遂し、カルデアに協力した英霊達はカルデアのエネルギー節約のために半分ほどが座に帰っていった。
そんな少しだけ静かになったカルデアの食堂で立花は意を決したように立ち上がり宣誓をした。
「決めた!マシュ!ダヴィンチちゃん!聖杯を使うよ!!」
「と、突然どうしたのですか先輩!?」
「ほうほう、それで立花ちゃんはいったい誰に聖杯を使うのかな?」
「それは秘密!さぁ、そうと決まれば早速種火だ!」
それからは速かった。
今までの倍以上の速さで素材を集め始めた。
これに対して英霊達の反応は実に様々だった。
次こそは自分だと期待するサーヴァント。
もう一度自分が貰うのだとアピールするサーヴァント。
聖杯を貰ったら更なる働きを期待されると戦々恐々するサーヴァント。
夜な夜な休むマスターの耳元で自分の名前を囁き洗脳紛いのことをするサーヴァント。
話は英霊から英霊へ、英霊から職員へ、英霊から座に帰った英霊へ。
少しだけ静かになったカルデアは再び賑やかを取り戻した。
そして、ついにその時が来た。
立花は工房へと向かうと一人の英霊を呼び出した。
「なんか物凄い噂が広がってるから知ってると思うけど、あなたに聖杯を捧げるよ」
「どうか考え直しを、マスター」
呼び出された英霊は一言そう告げると立花に背中を向けてしまった
「待って待って!速い!帰るのが速すぎるよ!」
「……では、少し待ちましょう。マスター 私と共に聖杯を与える者を考えましょう」
「いやいや、聖杯をあげるのは君にだよ」
「……なぜなのですか?私より強い英霊はたくさんいます。人理が修復されたとはいえ未だカルデアには多くの問題があります。もしかしたら再び人理の危機があるかもしれません。ならばここは強い英霊をさらに強くするか、力の弱い英霊を一戦で活躍できるよう強化するべきです。中途半端な私より与えるものは多いはずです」
まるで畳み掛けるように、いや実際に彼は畳み掛けているのだろう。丸め込もうとしてるのだろう。
確かに、彼より力のある英霊はいるだろう。使いやすい宝具を持つものはいるだろう。
けれど立花は強い意思で彼の困ったような顔を正面から見つめた
「私が聖杯をあげる理由は英霊の強い弱いは関係ないよ」
「ならば、なぜ私なのですか……確かに私はカルデアでは古参と呼ばれる者です。ですがそれだけです、私が前線で戦ったのは特異点F、冬木とオルレアンまでです。それからはカルデアの防衛や英霊たち個人の為に行われるレイシフト、言わば雑用です」
「確かに、私があなたをメインに使っていた時期は長くない
けどね、私は思うんだ このカルデアでは個の強さって言うのは重要じゃないんだ。もしこの戦いが従来の聖杯戦争みたいに一人のサーヴァントと戦うようなら戦力で考えると思う。けれどこのカルデアじゃぁ皆一緒に戦うんだよ。攻撃力の低いサーヴァントはその分支援に向いてたりさ 皆で欠点を補ったり、長所を皆の力でさら伸ばしたり。ここはそうやって戦うんだよ」
「ならば!「この一年、私はすごく頑張ったと思うんだ。私が立ち止まったら人理は終わる。たまに遊びみたいな事もあったけど自分でも信じられないぐらい走ったよ」
恐らく、立花が見せた初めての想い。
それを見た彼は戸惑った。それを聞くべきは彼女と共に特異点を駆け抜けた英雄たちだ。彼女の隣にいた盾の乙女だ。
「あなたが抱えてる辛さを私に見せてくれるのは嬉しいです。だからこそあなたはその不安を少しでも解消するために共に走ってくれる英霊達に聖杯を与えるべきです」
尚も彼は考えを改めるように話す。
そうだろう。私は彼のために聖杯を与えるんじゃない私の勝手な考えだ。いくら歴史に名を刻んだ者でも心は見れない。
「あなたの言うように、
私の剣として目の前の敵を斬ったのはあなたじゃない。
私の隣で共に未来を見たのはあなたじゃない。
大きい壁を前にして立ち止まりそうなった私を導いたのはあなたじゃない」
それは
それは
それは
それは
それは
それは
それは
それは
それは……
「あなたは私の英雄ではない」
真っ直ぐと向けられる瞳に思わず前進の力が抜ける。
立っているのがやっとだ。
知っていた。知っていたとも。私がいなくても彼女は問題なく人理を修復しただろう。
なぜなら私は英霊とは名ばかりのただの罪人なのだから……
そんな私の苦しみを感じたのか彼女は慌てたように言葉を繋げた
「あなたは私の始まりなんだよ」
炎に包まれた町で私は何もできなかった。
私を先輩と呼んでくれた少女は身の丈を越す盾で私を必死に守ってくれた。
所長は必死に現状を打破しようと考えを巡らせてた。
ドクターは必死に私たちが帰れるように機械を操作してくれた。
私だけが何もできなかった。
突然一人だけ生き残ったマスターって言われて泣きたくなった。
体の震えは止まらなくて今にも逃げたくなった。
皆が必死に行動してるとき私だけが恐怖で震えるだけだった。
あの時の召喚は思い出すと恥ずかしくて死にそうだよ。
きっと座に届いた私の声はずいぶんと情けない声だったと思うよ。
そんな声に答えてくれたのがあなたなんだよ。
まるで、暗い海の中に落とされたみたいに前も後ろも、下も上もわからない。そんな中で私の背中を押したのは、他の誰でもないあなたなんだ。
確かに、私の手を引っ張ってくれた英雄達は多い。
転けそうな私を多くの英雄が支えてくれた。
私の隣で共に走ってくれた英雄もたくさんいた。
でもそれは走り続ける私を見たからなんだと思う。
自惚れかもしれない、けれど私はそう思った。
私の元に来てくれた英雄達は走る私の姿をみて来てくれたんだ。ってさ
あなただけなんだ。
歩く道がわからないどころか、歩き方すら忘れたような情けない私の背中に立って背中を押してくれたのは
皆がみてくれた私の走り、それができたのは冬木の地であなたが来てくれたからなんだ。
あなたが私の前はあっちだよって
さぁ、頑張って走ろうって言ってくれたのはさ。
だからこの聖杯はただの私の自分勝手な想い。
私の国に伝わる言葉『初心に帰る』っていうのかな。
初めて私の手をとってくれたあなただから、あなたに聖杯をあげたいんだ。
だから、あなたが強いとか弱いとか関係ないよ。
あの時、私の背中を押してくれてありがとう。
あなたが押してくれたから私は走り始めることができたんだよ
「そんな、その程度のことで貴重な聖杯を使うと言うの出すか…………」
「だからさ、私にとって聖杯なんてなんの未練もないよ」
そう言って彼女は究極の願望器を躊躇いなく私に差し出した。
「あの時、私の呼び声に答えてくれてありがとう ジル」
「あなたはという方は……どうやらあなたはジャンヌとはまた違った聖女のようです。」
私の敗けです。
そう微笑んだ元帥は素直に聖杯を受け取った
「ならば私も勝手に誓いましょう。このジル・ド・レェ、どの様なときでもあなたの背を押して差し上げましょう」
私の剣ジルはようやく最終再臨までしたところなんですけどね(暴露)
あと、軍略と黄金律を10にしただけです。三つ目はまさかの素材がない( 。゚Д゚。)
でももう聖杯をあげるのはジルって決めてます。
特別愛用してる訳じゃなく、本当に最初のガチャで来てくれただけ
久しぶりに入手順でみたらLv25のジルがマシュのとなりにいて
なぜか泣きそうになりました。
こう懐かしさとかいろんなものが込み上げてきて……
そんな衝動が込み上げてきて三時間ぐらいで書き上げた即興というか
もう自分でも何が書きたかったのかわかんないです。
ただ私の胸の中で込み上げてきたものを形にしただけですから
なんかもう……すみませんでした!!。
あなたが聖杯を捧げた相手は誰ですか?