航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第81話~告白の返事…………は、また次に~

「……………さて、俺も部屋に戻るか」

 

アルディアの3人を見送った俺は、暫く宿の壁に凭れて先程の余韻に浸った後、そう呟いて宿へと足を踏み入れ、自分の部屋へと向かった。

宿の外に出てから時間もそこそこ経っているから、ゾーイやアドリアも起きているだろう。

部屋に入ろうとしてドアノブに触れた時、まるでタイミングを見計らったかのように、隣の部屋のドアが開き、ラリーが出てきた。

 

「よう、相棒。話は終わったのか?」

 

相変わらず、コイツはラリー・フォルクのような喋り方をする。

ガチバトルした時の台詞と言い、コレと言い、すっかり喋り方が様になってきたな。

 

「ああ、さっき終わったよ」

 

ドアノブから手を離してラリーの方を向き、俺はそう言った。

 

「そうか…………どんな話をしたんだい?」

 

ラリーが興味津々な様子で聞いてくる。

俺は、そんなラリーを手で制した。

 

「話しても良いが、場所を変えないか?此処だとちょっと、な………」

 

そう言って、俺は目線をドアに向ける。

ラリーは俺が何を言いたいのか悟ったようで、コクりと頷いた。

 

「了解。それじゃあ先ずは朝食にしよう。話はそれからだ」

「おう」

 

そうして、俺はゾーイとアドリアを、ラリーはエメルとリーアを部屋から連れ出して食堂に行き、朝食を摂る。

その後、4人に『ちょっと2人で出掛ける』と伝え、俺達は宿を出た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからやって来たのは、黒雲の連中が根城にしていた山岳地帯だ。

正直、此処まで飛んでくる必要は無かったのだが、何故か来てしまった。

因みに、此処を指定したのはラリーだ。

 

「なあ、ラリー。別に此処まで来る必要は無いと思うんだが…………」

「あ、ああ………そうだね…………」

 

俺がジト目を向けながら言うと、ラリーは苦笑混じりに答えた。

 

「まあ、来ちまったモンはしょうがねぇし、此処で話すか」

 

そう言って山の斜面に腰掛けると、ラリーも隣に座る。

 

「え~っと、ソブリナ達とどんな話をしたのか聞きたいんだっけ?」

「うん」

 

ラリーがコクコクと頷く。

 

 

 

それから俺は、ラリーが宿に引っ込んでから、ソブリナ達と交わした話の内容を話した。

デートの最中や、俺がルーンにキレた時、ソブリナ達がどう感じたのかを…………

 

 

「…………まあ、こんな感じだな」

「成る程ねぇ…………」

 

そう言って、ラリーは暫く俺を見た後、クスッと笑った。

 

「…………?何だよ?」

「いや、何でもないよ。ただ………」

 

ラリーは、少しの間を空けてから口を開いた。

 

「つくづく相棒って、彼女等から愛されてるんだなって思っただけさ」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべて、ラリーは言った。

 

「…………」

 

何と無く気恥ずかしくなった俺は、そんな気持ちを誤魔化すかのように寝転がり、そっぽを向く。

ラリーはまた、クスッと笑った。

 

「ところで相棒、彼女等はどうするんだい?」

「ん?」

 

不意にそう言われ、俺はラリーの方を向く。

 

「ソブリナ達に返事をするの、今日なんだろ?返事はどうするんだい?」

「…………ああ、その事か」

 

俺は起き上がり、視界全体に広がる広野を見ながら言った。

 

「受け入れるよ、あの6人を」

「そうか…………まあ、コレは君が決めたんだ。僕は何も言わないよ」

 

そう言って、ラリーは大きく伸びをした。

 

「それにしても、やっと相棒に恋人が出来たか。長かったなぁ~。今まで何度、君の鈍感さに呆れたか…………」

「何故だろう、お前には言われたくないと思ってしまう」

 

ヤレヤレと言わんばかりの表情を浮かべているラリーに、俺はそう言った。

 

「まあ、何はともあれ…………おめでとう、相棒」

「未だ恋人になった訳じゃねぇけど…………ありがとな、ラリー」

 

祝いの言葉を投げ掛けてくれるラリーに、俺は礼を言った。

 

 

 

それから俺は、俺がエスリアさん達とデートしている間、ラリーは何をしていたのかを訊ねた。

ラリー曰く、基本的に部屋でエメルやリーアと過ごし、たまに、魔術師の女の子達に魔法を教えて過ごしていたらしい。

 

 

「何つーか、普段通りの過ごし方だな」

「そりゃ、やる事無いからね。君がデートしてる間、スッゲー暇だったのさ」

 

ラリーはそう言った。

 

「ところでラリー、1つ聞きたい事があるんだが………」

「"聞きたい事"?」

「ああ、それがだな…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………成る程、ソブリナ達との連絡手段か」

「そうなんだよ、何か良い方法って無いか?」

 

俺が話を終えると、ラリーが顎に手を当ててそう言った。

 

「ゾーイやアドリアなら、そもそも一緒に行動してる上に僚機念話があるから問題無いが、他の4人には無いだろ?その辺りどうすりゃ良いのかと思ってさ」

 

俺はそう言った。

 

今はこうしてルージュで過ごしている俺達ガルム隊だが、何時かはクルゼレイ皇国に戻らなければならなくなる。

 

この町に来たのは、あくまでも一時的な帰省だからな。

おまけに、女王陛下や姫さんにも、戻るって約束しちまった訳だし。

 

「ふむ、そうだねぇ………」

 

そう言って暫く考えていたラリーは、何かを閃いたのか、両手をパンと打ち合わせた。

 

「いっそ、4人もクルゼレイ皇国に連れていったらどうだい?君が言えば、多分ついてくると思うけど」

 

そう言うラリーだが、俺は首を横に振った。

 

「そりゃ魅力的だと思うが、4人の住む場所をどうにかしないとならんし、おまけにエスリアさんはどうなる?仕事無くなっちまうし、あの人って冒険者じゃないから、そう簡単に国の外に出てるとは思えない」

「………ああ、言われてみれば確かに」

 

ラリーはそう言った。

 

「この世界にも、ケータイみたいなのがあれば良いんだけどなぁ………」

 

また斜面に寝転がり、そう呟いた時だった。

 

「…………あっ」

 

不意に、ラリーが声を上げる。

 

「どうした?」

「あ、ああ。連絡手段で使えるものを思い出したんだ」

「マジで!?」

 

ラリーの言葉に、俺は跳ね起きる。

 

「うん」

 

ラリーは頷き、その手段を口にした。

 

「念魔石を使えば良いんだよ」

「…………何それ?」

 

初めて聞く単語に、俺は聞き返す。

 

「俗に言う、通信機みたいなものさ。互いの念魔石同士の魔力を交換する事で、その石に魔力を流せば何処に居ても通信出来る」

「俺等に当てはめると、"僚機念話と同じ効果を持った石"………みたいなモンか?」

「そう言う事になるね。因みに、念魔石は迷宮の宝箱に入ってるんだけど…………」

「収納腕輪には………入ってねぇな」

 

肩を落とす俺だが、ラリーはニヤリと笑みを浮かべていた。

 

「よく取れる場所、知ってるよ?」

「良し、行こう。今直ぐ行こう」

「ヤレヤレ、君ならそう言うと思ったよ」

 

立ち上がってF-35Bを展開する俺を見て、ラリーは苦笑混じりに言った。

何だかんだ言いつつ、ラリーも立ち上がってF-35Bを展開する。

 

「良し、行くぞ!」

「はいはい。お供するよ、相棒」

 

そうして、俺達はノズルを下に向けて垂直に離陸すると、そのまま迷宮目掛けてかっ飛んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「そう、遂にその日が来たのね………」

「はい、お姉様」

「今日の夜に、ミカゲ様からお返事をいただきます」

 

場所を移して、此処はラリーとエメル、リーアが泊まっている部屋。

その部屋には今、エメルとリーアに加えてゾーイとアドリアが居た。

 

ゾーイとアドリアのペアとエメルが、其々向かい合う形でベッドに腰掛け、エメルが腰掛けているベッドの端では、リーアがちょこんと座っている。

 

「それにしても貴女達、前と比べるとすっかり変わったわね」

 

しんみりとした様子で、エメルは言った。

 

「初めて会った時は、あんなにミカゲを嫌ってたのに…………」

 

エメルにそう言われ、ゾーイとアドリアは気まずそうな表情を浮かべた。

 

「………………?」

 

当時はガルム隊のメンバーではなく、会ってもいなかったリーアは、話についていけずに首を傾げている。

 

「で、でも。今では2人共、ミカゲさんにベッタリですよね?」

「ええ、そうよ。寝る時にネグリジェ姿でミカゲのベッドに潜り込むし、町を歩く時は必ず抱きつく程にね」

「「…………」」

 

エメルが言うと、2人は顔を真っ赤に染め上げた。

 

「そ、それに2人共、一昨日のデートで…………え、エッチな水着、着てたって………」

 

そう言いかけるリーアだが、慣れていないのか、段々と顔が赤くなっていく。

 

「り、リーア!それ以上言わないでください!」

「ひぅっ!?ご、ごめんなさい!」

 

恥ずかしさのあまりに大声を出すゾーイに、リーアは怯えて縮こまってしまう。

そして段々と涙目になり、今にも泣きそうになった時、エメルが苦笑混じりに口を挟んだ。

「ちょっと、ゾーイ。恥ずかしいからってリーアを怖がらせないの」

 

エメルはそう言うと、リーアの頭を優しく撫でた。

 

「(まるで、姉妹を見ているようですね…………)」

 

そんな2人を見たアドリアは、内心そう呟いた。

 

「まあ、取り敢えず」

 

リーアの頭を撫でながら、エメルはそう言ってゾーイとアドリアに向き直った。

 

「良い返事、貰えると良いわね」

「「はい!」」

 

エメルの言葉に、ゾーイとアドリアは頷いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………28……29……30………良し、コレだけあれば大丈夫だろ」

「寧ろ、取りすぎな気もするけどね」

 

さてさて、ラリーに案内してもらい、念魔石が多く取れると言う迷宮に行った俺達は、迷宮を攻略して外に出て、入手した念魔石を数えていた。

本来なら、アルディアの3人とエスリアさんの4人、そして俺の5個だけで十分だったのだが、何故か取りまくってしまったのだ。

その過程で、そこそこ強い魔物とも戦い、レベルも上がった。

 

「それにしても、まさか最下層で、俺等の世界の神話に出てくるフェンリルと戦う事になるとは思わなかったな。それに矢鱈強かったし…………斬撃砲避けられた時は結構驚いたぜ」

 

そう言うと、ラリーは何言ってんだとばかりの表情を浮かべた。

 

「そうは言うけど、それ1発目だけだろ?2発目で左後ろの足切り落として、よろけた時に殴り飛ばしてたじゃないか。死ななかったけど」

「あれは、あの犬野郎をある程度疲れさせてから当てただけだよ」

「伝説級の魔物を"犬野郎"呼ばわりする君にビックリだよ」

 

そう言って深い溜め息をつくラリーだが、コイツも魔法撃つ時、『くたばれ犬コロ!』とか言ってたんだぜ?人の事言えねぇだろ。

 

「まあ取り敢えず、念魔石は手に入れたんだから、さっさと帰ろうぜ」

「そうだね。調子に乗って迷宮攻略してたら、もう真っ暗だし………彼女等との約束の時間って、大体この辺りの時間じゃないのかな?」

 

ラリーはそう聞いてきた。

時間は…………まあ、少なくとも午後9時は過ぎてるだろうな。

 

「良し、急いで帰ろう」

「はいはい」

 

そうして俺達は、Mig-31を展開してルージュへとかっ飛ばした。




前回の後書きで、『神影と6人が遂に』とか言っておきながら到達しなかった件について…………


じ、次回で返事させます。ええ、させますとも!

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