航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

84 / 168
何だかんだで、ゾーイとアドリアのデートの話が矢鱈長く続いてる件について。


第75話~グループデートその2《積極的な架空機編》 後編~

「あ~、何か色々疲れた…………」

 

さてさて、ゾーイとアドリアを俺から奪おうとした中宮を殴り飛ばした俺は、町の上空で旋回して待っているゾーイ達に合流しようとしていた。

 

「それにしても中宮の野郎、余計な騒ぎ起こして手間取らせやがって………彼奴のせいで、今後フュールの町に行きにくくなっちまったじゃねぇかよ…………俺等、この町に来てからやった事と言えばフュールアイス食っただけなんだぞ、全く……」

 

右腕に装備されている、4銃身の25㎜機関砲ーーGAU-22/Aーーの銃身を左手に軽く打ち付けながら、俺は愚痴を溢す。

 

そうしていると、何時の間にか俺の背後に回っていたゾーイとアドリアが、俺に寄り縋ってきた。

 

「思いの外、時間が掛かったのですね」

「ああ、待たせて悪かったな」

 

話し掛けてきたゾーイにそう返し、俺は2人を退避させた後の出来事を話した。

話を終えると、2人は何とも言えないような表情を浮かべている。

 

「ミカゲ様…………1つ、お聞きしたいのですが………」

 

不意に、アドリアが話を切り出してきた。

 

「おう、何だ?」

「あの者は、本当に勇者なのでしょうか?」

「…………まあ、一応……な」

 

そう答えた俺も、恐らく何とも言えないような表情を浮かべていただろうな。

 

「まあ、そんな事より」

 

俺はそう言って、俺を両サイドから挟む形で飛んでいるゾーイとアドリアを交互に見る。

 

「あんな奴の事はさっさと忘れて、デートを再開しようぜ」

「「はい!」」

俺が言うと、2人は笑みを浮かべて返事を返した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから俺達は、フュールの町から東に数十㎞の地点(クルゼレイ皇国との国境付近)で一旦着陸し、今後の予定を話し合っていた。

 

「まあ、取り敢えずフュールへ戻るのは無理だろうな。あんな騒ぎ起こしちまったんだから」

 

と言っても、中宮のヘボい攻撃を全部避けて、連れていこうとした衛兵に逆らって暴れていた中宮を殴り飛ばしただけなんだがな…………

 

「さて、どうしたものかねぇ……」

 

そう言って、俺は溜め息をついた。

 

「ミカゲ様」

 

すると、ゾーイがおずおずと話し掛けてきた。

 

「行きたい所があるんですが………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………本当に、此処で良いのか?」

 

俺の質問に、ゾーイはコクりと頷いた。

 

俺達は今、町外れの山の奥にある滝に来ている。

ゴオゴオと音を立てて流れ落ちる水流を、ただ眺める。

 

「それにしても、意外だな。ゾーイが滝に興味あるなんて」

「別に、興味がある訳ではないのですが…………ただ、1度見てみたかっただけで……」

 

ゾーイはそう言った。

 

「成る程ね」

 

俺はそう返し、滝をまじまじと見た。

 

「(そう言えば、実際に滝を見た事なんて1回も無かったな…………滝なんて、テレビで何回か見た程度だし)」

 

内心そう呟きながら、俺は滝に近づく。

テレビで見るのもそうだが、こうして近くで見ると、やはり迫力が違うな。

 

「まあ、実を言うと、コレよりもっとデカい滝があるんだがな………"ナイアガラの滝"ってヤツが」

 

2人に聞こえないような声で、俺はそう呟いた。

元の世界に帰れたら、ゾーイ達に見せてやりたいものだな。

 

「「…………………」」

 

そんな事を考えている俺の隣では、ゾーイとアドリアが滝を見つめている。

どういう訳か、こう言うのって大したご利益がある訳ではないと分かっていても、ついつい凝視してしまうんだよな。

 

「何か、滝を見てると修行したくなるよな………」

 

そう呟くと、ゾーイとアドリアが此方を向いた。

 

「"修行"…………ですか?」

「ああ、そうだ。襦袢って言う白い着物みたいなのを着て、滝壺に入って滝に打たれるんだよ。所謂、滝行ってヤツさ」

 

そう言って、滝の方を指差す。

 

「物凄い勢いで落ちてくる水に打たれる訳だから、他の事を考える暇も無くなる…………精神統一には、うってつけの修行方法なんだとさ」

「成る程………それも、ミカゲ様が元々居られた世界での…………?」

「その通り」

 

俺は頷いた。

 

2人は目を輝かせて、滝を見ている。

恐らく、滝行をしている自分達を想像してるのだろうが………………

 

「(よく考えたら、この2人が滝行したら、色々な意味で大変な事になりそうだな…………特に、"終わってから"が………)」

 

滝行をすると言う事は、つまりずぶ濡れになると言う事だと言っても過言ではない。

襦袢を着て滝に打たれ、滝壺から出てきた2人を想像すると…………

 

「(アカン、絶対ヤバい事になる)」

 

正直、理性保てる気がしない。だって2人共美人だし、スタイル抜群だし。

襦袢着て濡れたら透けるじゃん。色々危ねぇじゃん。コレが家の風呂なら未だしも屋外って……………うん、もう考えるのは止めよう。

コレ以上考えたらヤバい。特に俺の理性が。

この歳で性犯罪者とか真っ平だぜ?いや、死んでも真っ平だが。

 

「(兎に角忘れろ!忘れるんだ俺ぇ!)」

 

そんな煩悩を振り払うべく、俺は頭を振った。

 

「………ミカゲ様?ミカゲ様!」

「ヴェッ!?」

 

そうしていると、俺の顔を覗き込んでいたゾーイが声を張り上げる。

いきなり大声を出され、俺は飛び退いた。

 

「どうかしたのですか?いきなり頭を振って…………」

「あ~………いや、何でもないんだ」

 

『襦袢着て滝行した後の2人のエロい姿を想像してました』なんて、口が裂けても言えん。

絶対軽蔑される。

 

まあ、仮に軽蔑されなくても、自分で自分を許せない。

この2人は俺の事を好いてくれているが、だからと言って卑猥な目を向けて良い理由にはならない。

あのヒョロヒョロ眼鏡野郎と同じになっちまう。いや、下手すりゃそれ未満だ。

 

この時ばかりは、エースコンバットや戦闘機に夢中で、異性云々の事なんて二の次三の次にしか考えてかった頃の俺に戻りたい。

 

「(今度、精神統一しに来ようかな。1人で………)」

 

内心そう呟き、俺は溜め息をついた。

 

「「……………?」」

そんな俺を見た2人が首を傾げていたが、特に追及されたりはしなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「さて、それじゃあ次の場所を決めようと思うんだが………」

 

あれから暫くして、ゾーイが満足したのもあり、俺達は次のデートの舞台を決めようとしていた。

俺は地図を広げ、他のデートスポットを調べる。

 

「(まあ、次のデートの舞台と言っても、フュールの町には戻らない訳だから、高台ぐらいしか行く場所は無いんだがな………)」

 

地図を眺めながら、俺は内心そんな事を呟く。

 

高台から眺めるフュールの町の夜景は綺麗だそうだが、今は昼。

それまで何して待てば良いのやら…………

 

「ミカゲ様」

「…………ん?」

 

俺が悩んでいると、アドリアが話し掛けてきた。

 

「このまま悩んでいても仕方ありませんし…………3人であちこち飛び回るのは如何でしょう?」

「………その手があったか」

 

そう言って、俺は右手を左手に打ち付けた。

 

そうだ、何もデートスポット巡りに拘る必要は無い。

3人寄り添って空を飛ぶのも、立派なデートと言えるだろう。

何なら、飛行中に良さそうな場所を見つけて、其所に降りれば良いのだ。

 

「それじゃ、行くか」

「「はい!」」」

 

俺が言うと、2人は返事を返した。

こうして俺達は、開けた場所に出てから機体を展開し、飛び立った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それにしても、やっぱ空を飛ぶってのは良いなぁ~………」

 

離陸してから1時間。エリージュ王国上空を飛び回りながら、俺はそう呟いた。

因みに今使っている機体は、ガルーダ1仕様のF-15Eだ。

何故その機体を使っているのかは………………まあ、気分だ。

 

「誰にも邪魔されないし、ルールに縛られる事も無い………正に最高の空間だな!」

 

そう言って、俺はエルロンロールで1回転する。

 

「フフッ………ミカゲ様ったら、そんなにはしゃいで………子供みたいですね」

 

1回転した俺の右隣に寄り添って飛んでいるゾーイが、微笑ましそうに笑いながら言った。

 

「別に、はしゃいだって良いだろ?もう何回も空を飛んでるが、この感覚だけは忘れられないんだよ」

そう言い返すと、今度は左隣を飛んでいるアドリアが寄り添ってきた。

 

「別に私達は、いけない事だと言っているのではありません。ただ……」

 

そう言って、アドリアは少し間を空けてから言葉を続けた。

 

「はしゃいでいるミカゲ様が、子供みたいで可愛くて………愛しさを感じていただけなんです」

「あ~、そう言う事ッスか………」

 

"愛しさ"と言う言葉に面映ゆさを感じ、俺は左手で頬を軽く掻いた。

そんな時だった。

 

「ミカゲ様、アドリア!見てください!」

 

突然、ゾーイが声を張り上げて前方を指差した。

 

「おいおい、いきなり叫んでどうしt……おぉ~………」

「コレは………」

 

ゾーイが指差す方向を見た俺とアドリアは、感嘆の溜め息を漏らした。

 

 

前方にあったのは、何と海だったのだ!

 

「おまけに、誰も居ないとはな…………コレ、所謂プライベートビーチってヤツじゃねぇか?」

 

異世界に来てから初めて見た海に、俺は内心興奮していた。

ゾーイとアドリアも、目を輝かせている。

 

「…………行くか?」

「「はい!」」

 

俺が提案すると、2人は同時に返事を返してくる。

そうして意見が一致した俺達は、ビーチへと降り立った。

 

 

…………あれ?そういや海に来たのは良いが、水着ってどうするんだ?

てか、そもそも此処って何処なんだ?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、結論から言わせてもらうと、先ず、この海はエリージュ王国の南に隣接している、ヴィザンツと言う国の南にあるビーチらしいのだが…………まさか、エリージュ王国に居たつもりが、知らない間に別の国に入っていたとは思わなかったぜ。

てか、コレって元の世界じゃ思いっきり領空侵犯してるって事になるよな…………

 

「それにしても、こんなにも素敵なビーチなのに、なんで誰も居ないのやら………」

 

そう言いながら、頭にレーダーを思い浮かべて辺りを探ってみると、その理由が分かった。

 

先ず、今俺達が居るビーチを中心として、半径10㎞以内に町や村が無いのだ。

加えて、この辺の状態を簡単に言うと、"広野→森林地帯→ビーチ"になっている。

誰も来ないと言うのも、ある意味納得だ。

 

 

 

…………え?『水着はどうなったんだ』って?

ああ、それなら解決したよ…………………ゾーイとアドリアだけ。

何でも、デートの服を買いに行った日、服を買うついでに水着も買ったらしい。

何時、何処で泳ぐつもりだったのやら…………

 

そんな訳で、2人は今、近くの木の影に隠れて着替えており、俺は2人が出てくるのを待っている。

 

その間にレーダーで辺りを探ってみたが、俺達3人以外の気配は無いので一安心だ。

 

 

 

それもそうだが、ゾーイとアドリアがどんな水着で登場するのか、結構楽しみだったりする。

 

「…………って、いかんいかん。コレじゃ、ただの変態じゃねぇか」

そう小さく呟きながら頭を振って、煩悩を振り払う。

 

それにしても、6人に告白されてからと言うもの、矢鱈と異性云々について考えてしまっているな。

滝を見に行った時だって、ゾーイとアドリアのエロい姿想像しちまったし…………1回、頭の中をオーバーホールした方が良いかもしれんな。

 

「お、お待たせしました。ミカゲ様…………」

 

なんて考えていると、後ろからゾーイが声を掛けてきた。

どうやら、着替え終わったようだ。

 

「おう、初めての水着は着るの大変だったんj………べふぁっ!?」

 

冗談めかした事を言いながら振り向いた俺は、ゾーイとアドリアの姿を視界に捉えた瞬間、盛大に吹いた。

 

「お、お前等………その、格好………」

 

ガタガタと震えながら、俺は2人を指差す。

 

「「………………」」

 

肝心の2人は、顔を真っ赤にして恥ずかしがっている。

 

「そ、その………如何、でしょうか………?」

「………………」

 

恥ずかしそうに感想を求めてくるゾーイに、俺は答える事が出来ずにいた。

 

2人の水着姿は…………はっきり言おう、めっちゃエロい。

一瞬、グラビアアイドルの撮影現場に迷い混んだのではないかと錯覚すらした程だ。

 

…………いや、コレ最早"グラビアアイドル"なんて言葉で片付くようなモンじゃねぇわ。

最早サキュバスが着るようなモンですよ。

下手したらR-18ものですよ。いや、マジで。

 

 

 

 

 

…………え?『そう言われても、2人がどんな水着着てるのか分からない』だって?

ああ、言われてみれば確かにな…………

 

では、説明させてもらおう。

 

 

先ずゾーイの水着は、競泳で見るような水着だ。まあ、所謂"ハイレグ水着"とでも言うべきかな。

他の人からすれば、別に、それ程大袈裟な反応をするようなものではないのかもしれない。

 

だが、よく考えてほしい。

目の前に、スタイル抜群で、普段はメイド服を着ている美女が、体にピッチリ張り付き、体に食い込むような水着を着て恥ずかしがっているとなれば、異性云々について免疫の無い奴からすれば、効果は抜群なんですよ。

F組男子達からの嫌がらせで、無駄に精神が頑丈になってしまった俺でもノックアウトされるかと思ったし。

 

 

そしてアドリアだが…………一言言おう、アウトだ。もう色々な意味でアウトだ。

 

アドリアの体を透明化して、水着だけにしたとしよう。其所にあるのは、アルファベットの"V"だ。

もう少し分かりやすく言うと、上下に分かれてる水着………確か、"ビキニ"とか言ったっけ?

あれの下の方にサスペンダー付けて、それを上の方の代わりにしたようなものだ。

 

そのお陰で、ガルム隊で群を抜く程の豊満な胸の谷間や臍が惜し気も無く披露されている。

おまけに背中は、ほぼ全開ときたものだ。

 

こんなの見せられて、今までエースコンバットや戦闘機一筋だった俺が平然として居られるか?

否!無理だ!

 

下手したら理性が吹っ飛んで2人を襲っちまう。

それだけは何としても避けねばならない。

 

幾ら俺に好意を寄せてくれてるとしても、いきなり襲われるのは嫌だろう。

…………ん?『考えすぎだろ』って?

何事も考えすぎぐらいがちょうど良いんだよ!

『石橋を叩いて渡る』と言う諺があるが、俺なら石橋にハイドラロケット弾叩き込んでから渡ってやる!

いや、この際だからEW1とMPBMとLSWMを同時に叩き込んでも…………

 

 

 

「あ、あの……ミカゲ様…………?」

「ハッ!?」

 

こんな感じで、頭の中で思いっきり混乱状態に陥っていた俺だが、ゾーイに声を掛けられて我に返る。

 

「あ、ああ。悪いなゾーイ。ちょっと、驚いちまった………」

 

苦笑して誤魔化すが、実際は超パニクってました。

 

「そ、そうですか…………」

 

そう言うゾーイの顔は、アドリア共々相変わらず赤いままで、恥ずかしそうに体を揺すっている。

 

てか、この2人は俺を殺す気なのか?さっきからユッサユッサ揺らしまくってるけど…………

 

「ミカゲ様………」

 

なんて考えていると、顔を真っ赤にしたままのアドリアが抱きついてきた。

…………ってアドリア!?お前、その水着で密着はヤバい!取り敢えず離れて!思いっきり『ムニュッ』ってなってるから!

後、ゾーイも対抗心燃やさなくて良いから!お前も同じように『ムニュッ』ってなってるから!

 

え、何?『2人で挟めば気持ち良くなる』?

確かにそうかもしれねぇけど、今はそれどころじゃねぇから!

寧ろアドリアを引き剥がしてくれたら助かるぐらいだから!

 

ちょ、お前等!コレ以上抱き締める力を強めるんじゃない!

つーか、コレじゃあ最早R-18ギリギリのエロ作品じゃねぇか!

コレってそう言う作品じゃねぇだろ!戦闘機での異世界無双は!エスコンチートは何処行ったんだよ!?

 

「(や、ヤバい………頭、痛ぇ………)」

 

ツッコミやら葛藤やらで脳がいきなりフル回転したのが原因なのか、俺は頭痛に襲われる。

そんな俺の状態など知る由も無く、2人は相変わらず、俺に抱きついたままだ。

 

「(ちょ……もう、無理………エロ、恐い…………)」

 

最早、心の中での言葉すら、意味不明なものになっていた。

 

 

 

 

 

そうして、俺は両側から柔らかい感触に挟まれながら、意識を手放した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

取り敢えず、最後まで2人を襲わず踏み留まった俺の理性、マジGJ。




『後編』とか書いておきながら終わらなかった。
コレが所謂、"タイトル詐欺"と言うものなのか…………?

あ、次こそはデートをちゃんと終わらせます。未だアルディアの3人が控えてますからね。



そして、この話を読み終えた皆さんの次の台詞は、『くたばれ!このハーレム野郎!』だッ!



さて、爆破用のダイナマイトは何処に置いたかな…………

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。