航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第73話~グループデートその2《積極的な架空機編》 前編~

エスリアさんとのデートから一夜明けて、グループデート2日目の朝を迎えた。

朝食を終えて外に出た俺は、宿の壁に凭れ掛かって今日のデートのお相手を待っている。

 

「さてさて、今日のお相手は誰なのやら………」

 

清々しい青空を見上げ、俺はそう呟いた。

どういう訳か、その日のデートの相手が誰なのかは知らされない事になっており、昨日だって、相手がエスリアさんだと言うのは彼女が現れて初めて知ったのだ。

「まあ、昨日はエスリアさんとデートしたんだから、今日はアルディアの3人か、ゾーイとアドリアの2人だろうけどな」

 

またしても呟き、俺は今日のデートプランを考える。

昨日はロクにデートプランを考えず、エスリアさんの提案に任せる事になっちまったからな。

今回こそは、ちゃんとしたデートプランを練らなければならない。

「(だが、何か良いプランはあるのか…………?)」

 

顎に手を当て、俺は考えた。

ゲーセンや映画館みたいな娯楽施設が無いこの世界で、俺は、どのようにデートをすれば良いのだろうか?

まあ、ゾーイとアドリアの場合は未だある程度考えられる。

2人共戦闘機を使う力を持ってるから、3人で遊覧飛行をするのも良いだろう。

他にも、何処か良さそうなデートスポットを聞いて、其所に行くのも良さそうだ。

何れだけ遠くても、超音速でかっ飛んでいけば大して時間は掛からない。

だが、相手がアルディアの3人となれば、話は別だ。

あの3人は、当然ながら戦闘機を使う力は持ってない訳だから、遠距離の移動は無理だ。

だとすれば、彼女等とのデートは近場で済まさなければならなくなるのだろうが、この辺りに良いデートスポットなんてあるのか…………?

 

 

そう考えていた時だった。

 

「「お待たせしました、ミカゲ様」」

 

不意に、横から声を掛けられる。

その声の主の方へと振り向くと、其所にはゾーイとアドリアが立っていた。

どうやら、2人が今日のお相手のようだ。

 

「おお………」

 

2人の姿を視界に捉えた俺は、思わず感嘆の息を漏らした。

その理由は、2人の服装にある。

 

ゾーイはオレンジ色のキャミソールに薄い赤の上着を羽織り、丈が膝までの白いスカートを穿いている。

アドリアの服装は、白のブラウスに黒の上着、それから黒を基調としたチェック柄のスカートだ。

 

バリバリのデート仕様と言ったところだろう。

それにしても、こんな服何時の間に買ったんだろうか………

 

「その服、どうしたんだ?」

 

試しに聞いてみると、その質問にはゾーイが答えてくれた。

 

どうやら、この前に女性冒険者達と買い物に行った際、彼女等に勧められて買ったらしい。

 

「成る程、そう言う事だったのか」

 

俺はそう言って、2人の姿を改めて見た。

2人共美人でスタイル抜群であるため、よく似合ってる。

 

「その………どう、でしょうか………?」

 

恥ずかしそうにしながら、ゾーイが聞いてきた。

 

「ああ、2人共よく似合ってるよ。お前等って元々美人だから、尚更だな」

「…………ッ!」

 

そう答えると、2人は顔を真っ赤に染め上げた。

ヤバい、めっちゃ可愛い。

 

まあ、それもそうなんだが…………

 

「(この2人と比べて、俺の服装ってどうなのさ………)」

 

俺は内心そう呟き、肩を落とした。

俺の服装は、城で暮らしていた時に支給された冒険者の服だ。

あれから長らく経っているが、コレ以外の服は制服しか持ってない。

せめて、新しい服買っとけば良かったなぁ………

 

「…………?ミカゲ様、どうしました?」

 

そんな俺を不思議に思ったのか、ゾーイが訊ねてくる。

 

「いや、その…………俺の服が、な」

「服………ですか?」

 

そう聞いてくるアドリアに、俺は頷いた。

 

「ホラ、2人は気合い入った服で来てるのに、俺の場合はな………」

 

そう言うと、2人は顔を見合わせ、また俺の方を向いた。

 

「今思ったのですが、それ以外の服は………?」

「ああ、この世界に来る前に通ってた学校の制服ならあるけど」

 

ゾーイからの質問に、俺はそう答えた。

 

「なら、その服を着ては如何でしょう?」

「制服を?」

 

聞き返すと、ゾーイは頷く。

 

「ええ。制服姿のミカゲ様、見たいです」

 

ゾーイが続けると、アドリアも同意とばかりに頷いた。

 

そうして、俺は一旦部屋に戻り、収納腕輪から制服を取り出して着替えると、再び宿の外へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「こんな感じだが、どうだ?」

「「………………」」

 

着替えを終えて外に出ると、待っていた2人に感想を求めてみる。

2人は呆然と、俺を見ていた。

 

「(………もしかして、『似合わない』とか思われてるんじゃないだろうか?)」

 

そう思うと、少し不安になってくる。

何かコメントしてほしいのだが、2人は相変わらず、呆然とした様子で俺を見ている。

何かコメントしてくれそうな気配は、今のところ感じられない。

 

それから数分程見つめ合っていたのだが…………流石に、コレ以上沈黙されたら気まずい。

…………此方が動くしかなさそうだな。

 

「あ~、2人共?そろそろ、何かしらコメントしてくれるとありがたいんだが………」

 

そう言いながら、2人の目の前で軽く手を振る。

 

「「……………はっ!?」」

 

すると、2人はビクッと跳ねた。

 

「やっと気づいたか」

 

そんな2人を見て、俺は苦笑混じりにそう言った。

 

「す、すみません。ボーッとしてしまって………」

 

そう言うゾーイに、俺は首を横に振った。

 

「まあ、良いって。この服装をお前等に見せるのは初めてだもんな………で、俺の服装はどうだ?」

 

そう返して、俺は改めて問い掛ける。

 

「そうですね………」

そう言って、アドリアは俺をまじまじと見つめる。

 

「何だか、何処かの貴族が着ていそうな服ですね」

「そっか」

 

そう言うと、俺は明後日の方向を向く。

 

「んじゃ、庶民の俺には似合わんかな」

「い、いえ!そう言う訳ではなくて…………!」

 

試しにそんな事を呟いてみると、アドリアがアワアワしながらそう言った。

こうしてアワアワしてるのを見るのは、結構面白いな。

 

「冗談だよ。ちょっとからかっただけさ」

 

軽く笑いながらそう言うと、アドリアは安堵の溜め息をつき、次の瞬間には、ジト目を向けてきた。

 

「ミカゲ様も、人が悪いです………」

「悪い悪い、ちょっとした出来心だったんだよ」

 

そう言うアドリアに、俺は軽く笑いながら言葉を返す。

そんなやり取りを見ていたゾーイは、クスクスと笑っていた。

 

「それもそうだが、そろそろデートを始めようぜ。朝とは言え、時間は有限なんだからな」

「「はい!」」

 

俺が言うと、2人は返事を返す。

さあ、行動開始だ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「それでミカゲ様、今日はどうしますか?」

 

ルージュの町を歩き回っていると、ゾーイが訊ねてきた。

因みに今、俺はゾーイとアドリアに左右から挟まれた状態で歩いており、右腕にゾーイ、左腕にアドリアが抱きついている。

2人共スタイル抜群なので、両腕に、もにゅもにゅした柔らかい感触が……………っと、いかんいかん。こんな事を考えてる場合じゃなかったな。

 

「そうだな………何処か、良さそうなデートスポットがあったら、其所に行こうと思ってるんだが、どうだ?」

 

そう訊ねると、2人は頷いた。どうやら異存は無いようだ。

 

2人からの了承を得た俺は、冒険者ギルドへと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ギルドに着くと、俺達は談笑している冒険者達に声を掛け、良さそうなデートスポットを知らないかと訊ねた。

すると、親切な冒険者の1人が、取って置きだと言うデートスポットを教えてくれた。

ゾーイとアドリアも、そのスポットの話を聞くと目を輝かせて行きたがったので、其所へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

そんな訳で、俺はサイファー仕様のF-15Cを、そして2人は、其々ADF-01(ファルケン)ADA-01B(アドラー)を展開して向かっているのだが…………

 

「まさか、よりにもよってフュールとはな…………」

 

2人と共に空を飛びながら、俺はそう呟いた。

 

あの町は、ソブリナ達から集団告白された日の昼頃、ラリーと共に行こうとしていた町だ。

因みに、その町には行かずに引き返している。

理由は簡単、F組の連中が居るからだ。

 

「あの、ミカゲ様………気が進まないのでしたら、他の場所でも……」

 

俺に気を遣ったのか、ゾーイがそう言ってくれる。

だが、俺は首を横に振った。

 

「いや、駄目だ。今日は2人のための日なんだから、俺の都合に2人を巻き込む訳にはいかねぇよ」

「ですが………」

 

俺が返すと、尚も何かを言おうとするアドリアの右主翼を、俺は、左主翼で軽く叩いた。

 

「お前等が気にする必要はねぇよ。せっかくのデートなんだから、楽しもうぜ」

 

俺がそう言うと、アドリアは渋々ながらも頷いた。

それから、未だ納得しそうにないゾーイを説き伏せた後、俺達は速度を上げ、フュールの町へ向けてかっ飛ばした。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからかっ飛ばすこと10分、俺達はフュールの町に到着した。

町の手前で機体を解除し、門でギルドカードを見せて町に入る。

 

「此処がフュールか………賑わってるなぁ」

 

町に入り、俺はあちこち見回しながらそう言った。

『デートスポットとして人気だ』と、ある冒険者から評されているだけあって、カップルをチラホラ見掛ける。

勿論、普通の観光客も多く居た。

それから、F組の連中と出会す事を警戒しつつ歩き出したのだが…………

 

「(……何か、スッゲー見られてるんですけど……………)」

 

俺達3人は、道行く人々からの視線の雨を受けていた。

 

「なあ、あの3人って"ガルム"の奴等じゃね?」

「え?…………うわっ、スゲー。本物じゃん!」

「私、初めて見たわ……」

「あの"ガルム"のリーダーと、そのメンバーを見れるとか………今日はツイてるぞ!」

 

俺等を見た人々が、口々にそんな事を言っている。

 

「すっかり、有名人になってしまいましたね」

 

そんな彼等を見ながら、アドリアが苦笑混じりにそう言った。

 

「ああ、そうだな………それにしても、まさかこんな有名になってるなんて、思いもしなかったよ」

 

俺はそう返した。

 

そうして俺達は、フュールの町の散策を始めた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

町を暫く歩き回って分かったのだが、どうやら、この町には宿が多いようだ。

この町のギルドの受付嬢に話を聞いたところ、どうやら町の外れに、町全体を見渡せる高台や、滝などの自然があり、そう言ったのを見ようと訪れるカップルや観光客が多いらしい。

他にも、迷宮が幾つもあり、冒険者の修行の場としても人気が高い。

それで、そう言った目的で訪れる人々に、この町に1日でも長く留まってもらい、色々な景色を見てもらおうと言う気持ちから、こんなにも宿が増えたんだと言っていた。

 

「迷宮か………そういや、この辺りの迷宮は、未だ入ってなかったな」

 

歩き回りながら、俺はそう呟いた。

 

「今度、ガルム隊全員で行ってみるか」

 

俺がそう言うと、2人は頷いた。

その後、俺達は受付嬢から貰った地図を見て、色々なデートスポットを廻るべく歩き出した。


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