航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第63話~勇者達と再会したのだが、皆して俺よりレベル低いとかどういう事?王宮で何してたの?~

さてさて、またしても披露されたラリーのチート魔法によって、俺等が暴れまくったためにボロボロになった平野が、何事も無かったかのように元通りになり、別の地域も元通りするべく移動しようとした時に、王都から此方に近づいてくるF組の面々や騎士達に気づいた俺とラリーは、歩いてくるF組の面々と騎士達を待ち構えていた。

 

「にしても、一部とはリーアの一件で会ったが、他の奴等と会うのは結構久し振りだな………」

 

連中を待っている間、俺はそんな事を呟いた。

 

今思えば、F組の殆んどとは、王都を出てから1回も会ってなかったからな。

 

「そうだね。僕も、連中と会うのはかなり久し振りだよ」

「お前の場合は、確かルビーン以来………だったか?」

「うん」

 

俺が訊ねると、ラリーは頷いた。

 

そうしている内に、F組の面々と騎士達が俺達の前にやって来た。

 

「神影君!」

 

女子の1人が、俺の名を呼ぶ。その聞き覚えのある声に、俺は振り向く。

其所には、1人の美少女が立っていた。

長さが腰ぐらいまでの黒髪をストレートに下ろした美少女、天野沙那だった。

俺が顔を向けると、天野と目が合う。

暫く俺をじっと見ていた天野だが、徐々に、目尻に涙を溜めていく。

 

「あ~、その………まあ、何だ。久し振りだな、天野」

 

取り敢えず、そんな感じで声を掛けてやる。

 

「………ッ!神影君!」

 

すると、天野は感極まったように駆け出して、あろうことか、俺に飛び付いてきた。

 

「うおっと!?」

 

不意打ち同然の動きだったが、何とか天野を受け止める。

 

「うっ……ぐすっ…………良かった……また、会えた………ずっと、ずっと………会いたかったよぉ…………」

 

俺の胸に顔を埋め、嗚咽を漏らしながら、天野はそう言った。

まさか、こんなに大泣きされるとは思わなかったな…………

 

「古代さん」

 

そんな事を考えていると、今度は落ち着いた声が聞こえてきた。

其所に居たのは、艶のある黒髪をポニーテールに纏め、如何にも『大和撫子』を体現したような美少女、雪倉桜花だった。

「ああ、雪倉………お前も、久し振りだな」

「………はい」

 

そう言って、雪倉は顔を伏せる。

 

「本当に………」

 

すると、雪倉が何やら呟く。

 

「本当に………お久し振り、です………」

「お、おう」

 

何やら、雪倉が鼻声になっている。ズズッと、鼻を啜る音も聞こえてきた。

そして、ゆっくりと顔を上げる雪倉。

その両目には、大粒の涙が溢れていた。

 

「(ヤバい………こう言う時って、何て声を掛けてやりゃ良いんだ?)」

 

俺は内心焦った。

 

《なあ、ラリー。マジでどうしよう?》

《いや、僕に聞かれてもなぁ………》

 

隣に居るラリーに助けを求めるものの、どうやら無理そうだ。

自分で何とかするしかなさそうだな。

 

「まあ、その………雪倉?」

「ぐすっ…………はい」

 

指で両目の涙を拭いながら、雪倉が答える。

 

「その………コレは、他の連中にも言える事なんだが………」

 

左腕は天野を抱き留めていて使えないため、空いている右手で頬を掻きながら言う。

 

「………ゴメン、心配掛けたな」

「…………ッ!古代さん!」

 

すると、今度は雪倉も抱きついてきて、それを右腕で抱き留める。

 

「……ッ!…古代さん………古代さん!うああぁぁぁ………」

 

雪倉が声を上げて泣き、クラスの面々は、そんな雪倉の様子に唖然としている。

 

コイツが声を上げて泣いてるのを見るのは、随分久し振りだ。

 

 

初めて声を上げて泣かれたのは、確か、高1の休日に、雪倉の神社に遊びに行った際、雪倉から、『今まで友人と呼べるものが1人も居らず、ずっと1人で寂しい思いをしていた』と相談された時だったな。

 

当時、クラスでは基本的に1人で居るか、俺のところに来るかのどちらかだったからな。

その際、『俺が最初の友人だから、もう独りぼっちじゃない』と言ってやったら、そのまま号泣されて、俺が酷い事を言って泣かせたと勘違いした親が出てきて、ちょっとした騒ぎになったっけ…………まあ、何とか誤解は解いたけど。

 

「古代君」

 

当時の事を思い出しつつ、2人の背中を優しくポンポン叩いていると、また別の声が聞こえてくる。

其所に居たのは、天野と同じようにストレートに下ろした銀髪に、透き通った紫色の瞳、そしてグラビアアイドル顔負けのプロポーションを持つ巨乳美少女、白銀奏だった。

 

「…………おっす」

 

何と無く感じた気まずさから、俺はそう返した。

今思えば俺、ラリーと一緒にお忍びで王都に行って、3人に絡んでた銀髪ナルシスト野郎を蹴り倒した時、コイツに見破られて逃げたんだっけな。

あの事を覚えてなけりゃ良いんだが…………

 

「王都で会って以来ね、古代君」

「…………そ、そうッスね」

 

チッ、覚えてやがった。

 

「まあ、あの時の事も含めて、貴方には色々と言いたい事があるけど、先ずは………」

 

そう言って、雪倉は軽く微笑んだ。

 

「元気そうで、何よりだわ」

 

優しげな笑みを浮かべて、白銀はそう言った。

一瞬見惚れそうになったが、それを何とか堪える。

 

「お、おう………お前の方も、元気そうで何より」

 

取り敢えず、そう返しておいた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

あれから少しして、天野と雪倉が泣き止んだのもあり、白銀が2人に、俺から一旦離れるように言ったのだが、2人は断固として拒否。

その結果、俺は今、美少女2人に挟まれている。

 

その間、俺は白銀や他の女子達から色々と話を聞いた。

 

曰く、俺が出ていった日に天野と雪倉が、俺が出ていく事を止めなかった男子と宰相にぶちギレて、今のところ、関係はあまり良いものではない………と言うか、2人が男子や宰相を嫌ってるらしい。

他にも、ルビーンの町でラリーに言葉攻めにされてから、天野が暫く引き籠ったとかも聞いた。

取り敢えず、ラリーにはその件について謝らせておいた。

現在、この美少女3人と御劔、そして斉藤の5人で構成されたパーティーと、謹慎を解かれた富永一味のパーティーで迷宮を攻略しているらしい。

 

「それで、今のところは正義のレベルが最高で、97なんだけど……」

「「はあ?」」

 

白銀の言葉を遮るように、俺とラリーは揃って間の抜けた声を出してしまう。

 

ちょっと待て、97だって?

 

「え~っと、白銀………?それ、マジで言ってんのか…………?」

「……………?ええ、そうだけど」

 

いやいや、『そうだけど』って………………嘘だろ?97って、俺やラリーの半分もねぇじゃん。それでF組の中での最高レベル?

…………コイツ等、今までどんな訓練してたんだよ?

 

「古代君?変な顔してるけど、どうかしたの?」

 

そんな俺を不思議に思ったのか、白銀がそう訊ねてくる。

 

「…………いや、何でもない」

 

俺はそう言った。

横では、ラリーが顔を片手で覆っている。

 

「ねえねえ、神影君」

 

此処で、天野が口を開いた。

 

「神影君のステータス見せてよ!私のも見せるから!」

 

ウキウキとした様子で、天野はそう言った。

そして、俺の返事を待たぬままステータスを表示する。

 

 

 

名前:天野 沙那

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:女

称号:勇者

天職:回復師

レベル:85

体力:560

筋力:640

防御:500

魔力:1890

魔耐:1760

俊敏性:1000

特殊能力:言語理解、魔法製作、高速魔力回復、魔力UP(大)、広範囲回復魔法

 

 

「………………」

俺は、色々な意味で言葉を失った。

ステータスからすると、F組の中では、天野は強い部類に入るのだろうが、王宮で訓練していたなら、もう少し高くても………せめて、レベルが100を超えていても良かったのではないかと思ってしまう。

まあ、最高レベルが御劔の97だから、仕方無いっちゃ仕方無い。

 

「ホラ。私の見せたんだから、神影君のも見せてよ!」

 

『早く早く』と言わんばかりに目を輝かせて、天野はそう言った。

 

「いやいや、お前が勝手に見せてきたんだろうに…………」

 

思わず、こんなツッコミを入れてしまった俺を誰が責められようか。

 

「ねえ、駄目?」

「うっ……………」

 

すると、天野が胸の前で手を組んで、上目遣いで俺を見る。

ちょ、おい。コレは流石に反則だろ。一瞬見せてやりたくなっちまったじゃねぇか。

 

だが、此方としてもガルム隊メンバー以外には簡単に見せられない理由があるんだ。

 

と言う訳で、取り敢えず雪倉に助けてもらおう。

 

「あっ!そういや雪倉、ちょっと聞きたい事g……「古代さん、私も知りたいです」……あっ、そうですか」

 

GOD IS DEAD(神は死んだ)!!

 

「古代君」

 

すると、白銀が俺の肩に手を置いた。

 

「諦めなさい」

「…………はい」

 

俺の決意は、ホンの数秒で粉々に砕け散った。

 

俺は溜め息をつき、収納腕輪からステータスプレートを取り出す。

そして、それを天野達に見せようとした時だった。

 

「ホラよ」

「おっ?」

 

後ろに居た誰かが、俺のステータスプレートをひょいと取り上げる。

 

「古代のステータスなんざ、たかが知れてるだろ。どうせ雑魚ステータスだろうよ」

 

そう言ったのは、憎らしい笑みを浮かべている富永だった。

そして、直ぐ様踵を返して男子達の方へと歩いていく。

恐らく、俺のが雑魚ステータスだと思って、男子達で笑い者にしようとしているのだろう。

 

天野や雪倉にぶちギレられたってのに懲りねぇな、コイツ等…………

 

「ちょっと!また神影君を!」

 

それを見た天野が、怒って飛び出そうとする。

俺は、その肩をひっ掴んで止めた。

 

「止めとけ、天野」

「み、神影君!?でも!」

「良いから良いから。まあ見とけって」

 

俺はそう言って、ステータスプレートを見て固まってる富永達へと目を向けた。

 

「戦闘機を使えるからって粋がりやがって」

「どうせ、戦闘機だけ使ってるから大したステータスでもねぇだろ」

「それに特殊能力だって、『言語理解』以外は使い道すら分からねぇゴミ能力ばっかりだったからな」

「ホラ、さっさと見ようぜ」

 

そうしてステータスプレートを見る男子達。

「(多分だけど彼奴等、ステータス見たらビックリするだろうな。震えたりして)」

 

そう思っていると、さっきまで下卑た笑みを浮かべていた男子達の表情が固まった。

そして、プレートと俺を交互に見る。

 

「な、何だよ、コレ…………こんなの、何かの間違いだ…………」

「有り得ねぇ………あの古代だぞ?無能だった彼奴が、こんなステータスを持ってるってのかよ…………?」

「そ、そうだよ。あの戦闘機マニアでキモオタな古代が、こんなステータス……………持ってる訳無い!」

「そ、そうだ!こんなの嘘だ!偽装でもしたに決まってる!」

 

あ~あ、案の定ステータスプレート見て震えてやがる。

その表情もそうだが、そんな男子達を見てポカンとしてる女子達の顔も、また中々に面白い。

 

「ラリー。悪いが、魔法で俺のステータスプレート取り返してくれ」

「は~い、お任せあれ」

 

間延びした返事を返し、ラリーが魔法でステータスプレートを取り返すと、それを俺の元に運んだ。

 

「サンキュー」

 

プレートを受け取り、取り敢えず確認する。

「おっ、コレは……………」

 

ステータスを見た俺は、プレートに記録されている内容に目を丸くした。

 

 

 

名前:古代 神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人、円卓の鬼神(Demon Lord of The Round Table)、 天空の覇者、死神、人の域を破りし者、不死身のエース、自重知らず

天職:航空傭兵

レベル:200

体力:4800

筋力:4720

防御:4900

魔力:3000

魔耐:3650

俊敏性:5600

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知、馬鹿力、制限解除(リミット・ブレイク)

 

 

レベルは変化していないが、称号が増えた上に各ステータス値が上がっている。

ラリーとガチバトルしただけなのだが、結構増えている。

 

 

「…………ん?」

 

ステータスを見終わった俺の視界に、こんな文章が表示される。

 

ーー『制限解除(リミット・ブレイク)』を実行した場合のステータスを表示しますか?ーー

 

 

「ふむ………」

 

そんな文章を見て、俺は顎に手を当てる。

それにしても、『制限解除(リミット・ブレイク)』か…………名前の響きは中々にカッコいいが、一体どんなものなのやら………

 

「…………?神影君、どうしたの?ねえ、神影君ってば!」

「古代さん、どうかしたんですか?古代さん?古代さん!」

 

両サイドで天野と雪倉が騒いでいるが、今は、それに構っている場合でない。

 

「(まあ、取り敢えず『はい』の方向で)」

 

内心でそう言うと、別のステータスが表示される。

 

 

 

 

 

 

そして、そのステータスを見た俺は、そのトンでもないステータス値に、言葉を失う事になる。




次の皆さんの台詞は、『自重しやがれ馬鹿野郎!』だッ!

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