さて、零戦の刀がトンでもないチート武器だったと言う事に気づかされてから、早いもので1週間が経った。
あれから全く帰ってないため、クルゼレイ皇国の様子も気になるところだが、今は、
俺達ガルム隊は、相変わらず依頼をこなしたり、あちこちの迷宮を荒らし回ったり、オッチャン達と騒いだりして過ごしている。
そうしている内に、俺とラリーはレベルが200に達してしまった。
コレに一番驚いたのが俺とラリーだった事は言うまでもない。
因みに、俺とラリーのステータスは其々以下の通りだ。
名前:古代神影
種族:ヒューマン族
年齢:17歳
性別:男
称号:異世界人、
天職:航空傭兵
レベル:200
体力:4000
筋力:3860
防御:3900
魔力:2600
魔耐:2900
俊敏性:4800
特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知
名前:ラリー・トヴァルカイン
種族:ヒューマン族
年齢:18歳
性別:男
称号:追いやられし者、
天職:航空傭兵
レベル:200
体力:3960
筋力:3500
防御:3690
魔力:20000
魔耐:22000
俊敏性:3800
特殊能力:詠唱破棄、全属性適性、魔力感知、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知
…………うん、調子に乗りすぎました。何か知らんけど称号が増えたし。
てか、何気にラリーの称号がカッコいい件について。
それもそうだが、特殊能力でかなり役に立ちそうなのが出てきた。
『気配察知』……………うん、コレは使えそうだ。
この前のは『拡声』なんて訳分からん能力だったから、使えそうな能力が増えると、やはり嬉しいものだ。
まあ、訳分からん能力と言えば、『アルコール耐性』と言う余計なものまで加わってるけど…………もう良いや、この際知らん。
「……………てな訳で、前から度々、自重しよう自重しようと言っておきながら、今回も盛大にやり過ぎちまったな、俺等」
ラリー達の部屋に遊びに来た俺は、ラリーのベッドに腰掛けてそう呟いていた。
筋力がかなり増えたため、1度、戦闘機無しで魔物と戦ってみたのだが…………驚くべき事に、全部ワンパンで終わっちまった。何処ぞのハゲマントがやった時みたいに、あっさりと。
ベヒモスやミノタウロスと言った強力な魔物に喧嘩売って、ワンパンでブッ殺した時にはマジで驚いた。
コレもう戦闘機要らねぇじゃん。航空傭兵の意味ねぇじゃん………
「まあ、確かにそうだね………それに相棒、この前『斬撃の像を飛ばせるようになっちまった』とか何とか言ってたよね?」
「ああ。お陰でルージュの外の平野の一部を荒れ地にしちまったぜ。あれ、今でも残ってるからな」
「それを迷宮でやれば、どんなに強力なモンスターが相手でも構わず
ラリーが苦笑混じりにそう言った。
因みに、この前に飛ばした斬撃については、この際だから『斬撃砲』と名付けた。
戦闘機以外では初めての遠距離攻撃だ。しかも、魔力は一切不要と言う、魔力が少ない俺にとっては、非常に嬉しいおまけ付きだ。
名前の由来?特に無いね。まあ強いて言えば、何か響きがカッコいいからだ。異論反論抗議質問は一切受け付けん。
「それにしても、あの斬撃……相棒にしか出来ないものなのかって思ってたけど………僕でもやれば出来るモンだね」
「まあ、あれって刀や剣さえあれば、誰でも出来るようなモンだからな」
「『誰でも』って言うのが、ちょっと違うと思うけどね………」
俺の言葉に、ラリーが苦笑混じりに返した。
「それにしても、筋力とかがスッゲー増えてるのに、体型が全く変わってないってのが不思議だよな」
そう言うと、俺は自分の体とラリーの体を交互に見る。
ラリーは相変わらずスマートで、正に『プリンス』と言う単語がよく似合う体型だ。
俺のも変わらず、ごく普通の体つきだ。ガッチリし過ぎず、かと言って細過ぎず………可もなく不可もなくな体つきだな。
背は…………前より少し伸びた程度かな。
「ソブリナ達からは、結構評判だよ?昨日だってソブリナ達、相棒の事を、『引き締まっててカッコいい』って言ってたからね。エスリアさんも、きっと同じ意見だと思うよ?」
「マジで?そうとは思えねぇけどなぁ…………」
ラリーの意見に、俺はそう呟いた。
因みに、ソブリナ達アルディアの3人もこの旅館に泊まっており、部屋は俺とゾーイ、アドリアの部屋の隣。つまり俺達の部屋は、ラリー達の部屋と、アルディアの3人の部屋に挟まれる形になっているのだ。
「ラリーの方はどうなんだ?」
「ご覧の通り、18歳の男としては細い体だよ。もう少しガッチリしてたら良いんだけどなぁ………」
俺が訊ねると、ラリーは苦笑混じりにそういった。
ガッチリって言っても、そんな体型になったラリーって…………うん、全く想像出来ねぇな。
やはりラリーは、今のように細くて、何処かのプリンスを思わせるような姿の方が一番良い。
惣思った俺は、手をヒラヒラと振りながら言った。
「いやいや、お前は今のままが良いと思うぜ?お前の一人称とか話し方とか容姿とかを見ると、それが一番フィットする体型だからな…………後それ、全世界の女性が羨む体型だからな。あんまり文句言ってると、お前の体型を羨む女性達から恨まれて、終いにはリンチ喰らってブッ殺されるぞ」
「ちょっ、相棒。そんな恐い事言わないでよ」
ラリーがそう言った。
それから暫くの間、俺達はベッドでゴロゴロしていたんだが、不意に、ラリーが話を持ち掛けてきた。
「ねえ、相棒」
「ん?」
ラリーの方を向いて答えると、ラリーはこんな事を言い出した。
「僕と、戦闘機無しで戦ってみない?」
「………………え?」
突拍子も無い話に、俺は間の抜けた声を出してしまう。
「い、いきなりだな………………因みに、なんで?」
試しに、理由を聞いてみる。
「う~ん…………別に、コレと言って理由は無いんだけどねぇ…………まあ、せっかく2人共、揃ってレベル200なんだから、ちょうど良いかなって思ってさ」
「成る程な…………」
俺はそう返した。
正直な話…………………メッチャやってみたい。
戦闘機無しとは言え、今のところ、ガルム隊で一番レベルが高いのは俺とラリーだ。
それに、俺とラリーで戦った事は、今思えば1回も無い。それなら………
「(1度、コイツと本気でぶつかってみるってのも、良いかもしれねぇな……………)」
そう思っていた時だった。
「どうだい?相棒」
何時の間にか傍に来ていたラリーがベッドの前に立ち、俺を真っ直ぐ見つめていた。
そのエメラルドのように鮮やかな緑色の瞳には、隠しきれない闘志が見えている。
表情も好戦的だ。
長い間、共に戦ってきた間柄だからこそ出来る表情だ。
コレを断る理由は………………ねぇな!
「良いぜ…………その勝負、乗った!」
ベッドから跳ね起きて、俺はそう言った。
「…………フッ」
顔を俯けて、ラリーは小さく笑う。
「流石は相棒だな…………そう言ってくれると思ってたぜ」
ラリーの口調が荒々しいものに変わる。
顔を上げたラリーは、魔王すら震え上がるような、獰猛な笑みを浮かべていた。
俺も自然と、口の両端がつり上がる。
「「そんじゃあ…………行くぞッ!!」」
そうして、俺とラリーは部屋を出ると、戸締まりを済ませ、俺とゾーイ、アドリアの部屋で女子会をしているエメル達に一言掛けて、宿を飛び出した。
「んじゃ、この辺りで良いだろ」
「ああ」
俺とラリーがやって来たのは、ルージュと王都の中間地点にある平野だ。
其所に、10メートルの感覚を空けて、俺達は向かい合う。
因みに、今回の手合わせのルールはこうだ。
ルール1:戦闘機や他の武器の使用は禁止。己の力で戦うべし。
ルール2:どちらか一方が戦闘不能になるまで続ける。
ルール3:一切の加減をしない事。ただし、殺すのだけは禁止。
ルール4:隣国や他の村、町に被害を出してはならない。ただし、王都はOK。
2人で決めたルールに、自然と頬が緩む。
「それにしても、王都のみOKか、ククッ…………コレ、彼是ブッ潰れたら、宰相共は涙目確定だろうな」
俺が笑みを浮かべながら言うと、ラリーも笑みを浮かべた。
「ああ、そうだろうな…………だが、やる時は涙目じゃ済まさねぇさ。肉体的にも精神的にもボッコボコにして、精神崩壊でも起こさせてやるさ」
そう軽口を叩き合って、2人で笑い合う。
「さて……………準備は良いか?相棒」
「……………おう」
すると、ラリーの表情が変わる。
俺もラリーの攻撃に備え、構える。
「1度、本気でやってみたかったのさ……………お前とな」
ラリーがそう言うと、ラリーの体にスパークが迸る。
足を開いて構えるラリーの体を、青緑のオーラが包む。
俺も、ラリーの攻撃に備え、足を開いて構える。
「さぁ……………行くぜぇっ!!」
そうしてラリーが飛び出した瞬間、ラリーが居た場所の地面が…………
こうして、形こそは俺が望んだものと全く違っているが、