航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

68 / 168
第60話~自重しない奴同士の手合わせ。王都涙目のお知らせ~

さて、零戦の刀がトンでもないチート武器だったと言う事に気づかされてから、早いもので1週間が経った。

 

あれから全く帰ってないため、クルゼレイ皇国の様子も気になるところだが、今は、この懐かしき故郷(ルージュ)での生活を楽しむのが先だ。

俺達ガルム隊は、相変わらず依頼をこなしたり、あちこちの迷宮を荒らし回ったり、オッチャン達と騒いだりして過ごしている。

そうしている内に、俺とラリーはレベルが200に達してしまった。

コレに一番驚いたのが俺とラリーだった事は言うまでもない。

因みに、俺とラリーのステータスは其々以下の通りだ。

 

 

 

 

名前:古代神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人、円卓の鬼神(Demon Lord of the Round Table)、天空の覇者、死神、人の域を破りし者

天職:航空傭兵

レベル:200

体力:4000

筋力:3860

防御:3900

魔力:2600

魔耐:2900

俊敏性:4800

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知

 

 

 

 

名前:ラリー・トヴァルカイン

種族:ヒューマン族

年齢:18歳

性別:男

称号:追いやられし者、片羽の妖精(Solo Wing Pixy)伝説となりし魔術師(レジェンダリー・ウィザード)

天職:航空傭兵

レベル:200

体力:3960

筋力:3500

防御:3690

魔力:20000

魔耐:22000

俊敏性:3800

特殊能力:詠唱破棄、全属性適性、魔力感知、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知

 

 

 

…………うん、調子に乗りすぎました。何か知らんけど称号が増えたし。

てか、何気にラリーの称号がカッコいい件について。

それもそうだが、特殊能力でかなり役に立ちそうなのが出てきた。

 

『気配察知』……………うん、コレは使えそうだ。

この前のは『拡声』なんて訳分からん能力だったから、使えそうな能力が増えると、やはり嬉しいものだ。

まあ、訳分からん能力と言えば、『アルコール耐性』と言う余計なものまで加わってるけど…………もう良いや、この際知らん。

 

 

 

 

 

「……………てな訳で、前から度々、自重しよう自重しようと言っておきながら、今回も盛大にやり過ぎちまったな、俺等」

 

ラリー達の部屋に遊びに来た俺は、ラリーのベッドに腰掛けてそう呟いていた。

筋力がかなり増えたため、1度、戦闘機無しで魔物と戦ってみたのだが…………驚くべき事に、全部ワンパンで終わっちまった。何処ぞのハゲマントがやった時みたいに、あっさりと。

ベヒモスやミノタウロスと言った強力な魔物に喧嘩売って、ワンパンでブッ殺した時にはマジで驚いた。

コレもう戦闘機要らねぇじゃん。航空傭兵の意味ねぇじゃん………

 

「まあ、確かにそうだね………それに相棒、この前『斬撃の像を飛ばせるようになっちまった』とか何とか言ってたよね?」

「ああ。お陰でルージュの外の平野の一部を荒れ地にしちまったぜ。あれ、今でも残ってるからな」

「それを迷宮でやれば、どんなに強力なモンスターが相手でも構わず肉片(ミンチ)にしちゃってるからね。ゴーレムを粉微塵にした時には何の冗談かと思ったよ………このまま洞窟を崩落させたりしないかって、内心ヒヤヒヤしたぐらいだ」

 

ラリーが苦笑混じりにそう言った。

因みに、この前に飛ばした斬撃については、この際だから『斬撃砲』と名付けた。

戦闘機以外では初めての遠距離攻撃だ。しかも、魔力は一切不要と言う、魔力が少ない俺にとっては、非常に嬉しいおまけ付きだ。

名前の由来?特に無いね。まあ強いて言えば、何か響きがカッコいいからだ。異論反論抗議質問は一切受け付けん。

 

「それにしても、あの斬撃……相棒にしか出来ないものなのかって思ってたけど………僕でもやれば出来るモンだね」

「まあ、あれって刀や剣さえあれば、誰でも出来るようなモンだからな」

「『誰でも』って言うのが、ちょっと違うと思うけどね………」

 

俺の言葉に、ラリーが苦笑混じりに返した。

 

「それにしても、筋力とかがスッゲー増えてるのに、体型が全く変わってないってのが不思議だよな」

 

そう言うと、俺は自分の体とラリーの体を交互に見る。

ラリーは相変わらずスマートで、正に『プリンス』と言う単語がよく似合う体型だ。

俺のも変わらず、ごく普通の体つきだ。ガッチリし過ぎず、かと言って細過ぎず………可もなく不可もなくな体つきだな。

背は…………前より少し伸びた程度かな。

 

「ソブリナ達からは、結構評判だよ?昨日だってソブリナ達、相棒の事を、『引き締まっててカッコいい』って言ってたからね。エスリアさんも、きっと同じ意見だと思うよ?」

「マジで?そうとは思えねぇけどなぁ…………」

ラリーの意見に、俺はそう呟いた。

因みに、ソブリナ達アルディアの3人もこの旅館に泊まっており、部屋は俺とゾーイ、アドリアの部屋の隣。つまり俺達の部屋は、ラリー達の部屋と、アルディアの3人の部屋に挟まれる形になっているのだ。

 

「ラリーの方はどうなんだ?」

「ご覧の通り、18歳の男としては細い体だよ。もう少しガッチリしてたら良いんだけどなぁ………」

 

俺が訊ねると、ラリーは苦笑混じりにそういった。

ガッチリって言っても、そんな体型になったラリーって…………うん、全く想像出来ねぇな。

やはりラリーは、今のように細くて、何処かのプリンスを思わせるような姿の方が一番良い。

惣思った俺は、手をヒラヒラと振りながら言った。

 

「いやいや、お前は今のままが良いと思うぜ?お前の一人称とか話し方とか容姿とかを見ると、それが一番フィットする体型だからな…………後それ、全世界の女性が羨む体型だからな。あんまり文句言ってると、お前の体型を羨む女性達から恨まれて、終いにはリンチ喰らってブッ殺されるぞ」

「ちょっ、相棒。そんな恐い事言わないでよ」

 

ラリーがそう言った。

 

 

 

 

それから暫くの間、俺達はベッドでゴロゴロしていたんだが、不意に、ラリーが話を持ち掛けてきた。

 

「ねえ、相棒」

「ん?」

 

ラリーの方を向いて答えると、ラリーはこんな事を言い出した。

 

「僕と、戦闘機無しで戦ってみない?」

「………………え?」

 

突拍子も無い話に、俺は間の抜けた声を出してしまう。

 

「い、いきなりだな………………因みに、なんで?」

 

試しに、理由を聞いてみる。

 

「う~ん…………別に、コレと言って理由は無いんだけどねぇ…………まあ、せっかく2人共、揃ってレベル200なんだから、ちょうど良いかなって思ってさ」

「成る程な…………」

 

俺はそう返した。

正直な話…………………メッチャやってみたい。

 

戦闘機無しとは言え、今のところ、ガルム隊で一番レベルが高いのは俺とラリーだ。

それに、俺とラリーで戦った事は、今思えば1回も無い。それなら………

 

「(1度、コイツと本気でぶつかってみるってのも、良いかもしれねぇな……………)」

 

そう思っていた時だった。

 

「どうだい?相棒」

 

何時の間にか傍に来ていたラリーがベッドの前に立ち、俺を真っ直ぐ見つめていた。

そのエメラルドのように鮮やかな緑色の瞳には、隠しきれない闘志が見えている。

表情も好戦的だ。

長い間、共に戦ってきた間柄だからこそ出来る表情だ。

 

コレを断る理由は………………ねぇな!

 

「良いぜ…………その勝負、乗った!」

 

ベッドから跳ね起きて、俺はそう言った。

 

「…………フッ」

 

顔を俯けて、ラリーは小さく笑う。

 

「流石は相棒だな…………そう言ってくれると思ってたぜ」

 

ラリーの口調が荒々しいものに変わる。

顔を上げたラリーは、魔王すら震え上がるような、獰猛な笑みを浮かべていた。

俺も自然と、口の両端がつり上がる。

 

「「そんじゃあ…………行くぞッ!!」」

 

そうして、俺とラリーは部屋を出ると、戸締まりを済ませ、俺とゾーイ、アドリアの部屋で女子会をしているエメル達に一言掛けて、宿を飛び出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、この辺りで良いだろ」

「ああ」

 

俺とラリーがやって来たのは、ルージュと王都の中間地点にある平野だ。

 

其所に、10メートルの感覚を空けて、俺達は向かい合う。

因みに、今回の手合わせのルールはこうだ。

 

ルール1:戦闘機や他の武器の使用は禁止。己の力で戦うべし。

ルール2:どちらか一方が戦闘不能になるまで続ける。

ルール3:一切の加減をしない事。ただし、殺すのだけは禁止。

ルール4:隣国や他の村、町に被害を出してはならない。ただし、王都はOK。

 

 

 

 

 

 

2人で決めたルールに、自然と頬が緩む。

「それにしても、王都のみOKか、ククッ…………コレ、彼是ブッ潰れたら、宰相共は涙目確定だろうな」

 

俺が笑みを浮かべながら言うと、ラリーも笑みを浮かべた。

 

「ああ、そうだろうな…………だが、やる時は涙目じゃ済まさねぇさ。肉体的にも精神的にもボッコボコにして、精神崩壊でも起こさせてやるさ」

 

そう軽口を叩き合って、2人で笑い合う。

 

「さて……………準備は良いか?相棒」

「……………おう」

 

すると、ラリーの表情が変わる。

俺もラリーの攻撃に備え、構える。

 

「1度、本気でやってみたかったのさ……………お前とな」

 

ラリーがそう言うと、ラリーの体にスパークが迸る。

足を開いて構えるラリーの体を、青緑のオーラが包む。

俺も、ラリーの攻撃に備え、足を開いて構える。

 

「さぁ……………行くぜぇっ!!」

 

そうしてラリーが飛び出した瞬間、ラリーが居た場所の地面が…………()ぜた。

 

 

 

 

 

こうして、形こそは俺が望んだものと全く違っているが、ガルム1(サイファー)ガルム2(ピクシー)の戦いが、今、始まった。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。