航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第46話~一匹狼は白髪ロリ!ラリー、初の被撃墜!~

ーーXFA-33 Fenrirーー

 

エースコンバットシリーズにおいて、知っている人は知っているであろう、大型のVTOL攻撃機だ。

プレイヤーが使えるフェンリアは勿論強力だが、敵キャラとして登場する場合は、さらに強力だ。

何せ、光学迷彩に加えて、光学迷彩の電力とするために送電施設から供給されているマイクロ波を応用した、マイクロ波照射機能が付いているのだから。

そのマイクロ波は、フェンリア本体と送電施設から相手の戦闘機にマイクロ波を照射し、マイクロ波加熱の要領で戦闘機の燃料を急速に加熱して爆発させると言う、トンでもないチート武器なのだ。

コレをプレイヤーが使えたら、大変な事になるだろうな…………

それでだが、そのマイクロ波は一応避ける事が出来るのだが、最初は避けきれずに何度もやられたものだ。

コレに苦労したのは俺だけではない………と、信じたい。

 

 

 

 

 

 

「………成る程。そんな機体なんだね、フェンリアって………」

 

フェンリアについて説明すると、ラリーがスープを飲んでからそう言った。

 

「相手の燃料を加熱して爆発させるなんて………敵に回したら恐いわね」

 

そう言うエメルの額からは、冷や汗が滲み出ていた。

 

「それに、広範囲を攻撃可能なミサイルも装備しているとなると………」

「まるで、私やお姉様ですね」

 

ゾーイの呟きに、アドリアが続いた。

 

「(それにしても、山の方に飛んでいくのか………山の何処かに、着陸出来るような場所でもあるのか?いや、そもそも山の何処に住んでるんだ?)」

 

俺の頭の中に、様々な疑問が浮き上がる。

そのまま悩み続けそうになった時だった。

 

「ねえ、相棒」

 

不意にラリーに話し掛けられ、俺はそっちを向く。

 

「取り敢えず、夜になるのを待ってみない?相手が山から出てきたら、話をしてみようよ」

「……そうだな」

 

ラリーの提案に、俺は頷く。

こうして俺達は、宿の部屋を取ってから、夜になるまで町を散策した。

 

 

 

 

 

 

 

 

そして夜になり、俺達は宿から出ると、レーダーをONにして轟音の主が出てくるのを待った。

見つけた時に何時でも出られるよう、俺とラリーは、この前のレベルアップで使えるようになったVTOL戦闘機ーーF-35B Lighting Ⅱーーを展開している。

ノズルと尾翼が腰に、主翼が肩から背中にかけて装着されており、外装式のガンポッドは、エメルやゾーイのTLSのように、腰のホルスターにしまわれている。

ハリアーのガンポッドも、こうだったら良かったのにな…………

 

「ミカゲ様、準備の方はよろしいですか?」

 

どうでも良い事を考えていると、後ろで待機しているゾーイが話し掛けてきた。

 

「ああ、俺等の方は大丈夫だ。そっちは?」

「ええ。此方も準備は出来ています」

 

俺が聞き返すと、ゾーイはそう答える。

 

知っているとは思うが、ゾーイ達3人にはVTOL機能が無いため、何時ものように滑走、離陸しなければならない。

そのため、今回は轟音の主が現れると、俺とラリーが先に出て轟音の主を追い、3人が距離を取った状態で後に続くと言うやり方でいく予定だ。

相手が話に応じてくれたら良いんだが…………

 

「…………ッ!相棒、来たよ」

 

すると、隣に居るラリーがそう言った。

確かに、レーダーに反応がある。詳細を見ると………やはり、フェンリアだった。

山の方へと向かってきているようだが…………何時の間に山を降りたんだ?と言うか、どうやって誰にも気づかれずに山を降りたんだ?

 

そんな疑問が浮き上がってくるが、呑気に考えている暇は無い。

そうこうしている内に、フェンリアが俺等の頭上を通過しようとしているのだ。

 

「良し……行くぞ、ラリー」

「うん」

 

そうして、俺達は下に向けたノズルを勢い良く噴かして垂直に離陸すると、ちょうど俺等の頭上を通過していったフェンリアを追った。

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、離陸した俺達は今、フェンリアを左右10メートルの間隔を空けた位置から挟む形で飛んでいる。

フェンリアが、エメル達みたいに擬人化した存在だと仮定して、先ず性別が分からない。

コレが男だったら杞憂で終わるが、女の子だった場合、服装によっては俺とラリーが変態になってしまう。

そのため、そう言った"事故"が起こらないようにするためにも、俺達は相手を左右から挟むようにして飛んでいるのだ。

《不思議なものだね、相手は僕達に全く気づいてないみたいだ》

 

暫くフェンリアの両サイドを飛んでいるが、相手が俺等に気づく気配は、今のところ無い。

 

《油断してレーダーを切ってるのか………それとも、態と隙を見せているのか…………どっちなんだろうな》

 

ラリーに話し掛けられた俺は、そのように返した。

 

《取り敢えず、気づいていないなら好都合だな。一旦近づいて、話し掛けてみよう》

 

そうして、俺とラリーはフェンリアとの距離を、段々と詰めていく。

その距離が近くなっていき、遂に、1メートル間隔にまで近づいた。

 

「♪~」

 

すると、何やら楽しそうな声が小さく聞こえてくる。どうやら、相手は鼻

歌を歌っているらしい。

それに声からすると、フェンリアは女の子だと断定出来る。

それも、エメルやゾーイ、アドリアの3人のような声とは違い、かなり幼げな声だ。

 

一体どんな娘なのだろうと思い、視線を横に向ける。

 

「(ッ!?おいおい、マジかよ…………)」

 

フェンリアの正体を見た俺は、驚きのあまりに目を見開いた。

 

視界に飛び込んできたのは、白くて長い髪を靡かせた、機体を纏って飛んでいても、非常に小柄なのが分かる女の子だった。

所謂、"ロリ"と言うヤツだ。

 

《な、何と言うか…………エメル達とは全く違うタイプの娘だね》

 

僚機念話で、ラリーがそう言う。

彼女を挟んだ向こうでは、さぞ驚いている事だろう。

 

それにしても、この女の子は相変わらず、俺等に気づかず飛んでいる。

一瞬、無視しているのではないかと思える程だ。

 

《………ラリー》

《ん?》

 

俺は、僚機念話でラリーに話し掛ける。

 

《1回、声掛けてみてくれてぇか?》

《別に良いけど………君はやらないのかい?》

 

その問いに、俺は頷く。

 

《ああ、今回はお前がやってほしい。お前がやった方が良いような気がするんだ》

《何を根拠に………まあ、良いけどさ》

 

ラリーがそう言うと、俺は一旦、女の子から距離を取るのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ふう………」

 

さて、我が相棒から頼まれた僕は、女の子に話し掛ける覚悟を決めた。

話の通じる娘だったら良いんだけどなぁ…………

 

「え~っと……………君、ちょっと良いかな?」

「♪~」

 

声を掛けてみるものの、女の子は相変わらず鼻歌を歌っている。

物凄い集中力だ。

 

「もしもぉ~し?」

 

…………駄目だ、まるで効果が無い。

 

《相棒、どうしよう?全然反応してくれないよ》

 

此処は、相棒を頼る事にする。

 

《マジか……相手もスゲー集中力だな………》

 

そう呟いた後、相棒は相手の主翼を軽く叩いてみたらどうかと提案してきた。

つまり、僕が今纏っているF-35Bの主翼で、相手の主翼を叩いて注意を引けと言う事だろう。

 

《こうまでされたら、流石に相手も気づくだろうよ》

《そうだと良いけどね………》

 

そう言って僚機念話を終え、僕は相棒に言われた通り、F-35Bの主翼で相手の主翼を軽く叩いてみる。

 

「ッ!?おっとっと…………」

 

コレで漸く気づいたらしい。

一瞬バランスを崩しそうになった女の子は、可愛らしい声でそう言いながら態勢を立て直す。

 

「ふう、一体何が…………へっ?」

 

何やら呟いている女の子だが、ふと横を見た時に僕と目が合い、キョトンとした表情で固まる。

 

「「……………」」

 

そのまま、2人の間で暫く沈黙が流れる。

「ッ!?え、えっと、その…………」

 

その沈黙を破ったのは、女の子の方だった。

 

「えっと、その……あの………」

「まあまあ、取り敢えず落ち着いて?君に危害は加えないから。僕は君と話がしたいだけなんだ」

 

軽くパニック状態に陥っている彼女を安心させるため、優しく語り掛ける。

 

「僕はラリー・トヴァルカイン。エリージュ王国出身で、今は冒険者をやっている者なんだけど…………ん?」

 

軽く自己紹介をする僕だが、出身地を言った瞬間、その娘が突然怯え始めた。

 

「え……エリージュ王国の、人………なんですか………?」

「う、うん。そうだけど………ねえ、どうしたの?大丈夫?」

 

そう言って、僕は彼女に手を伸ばす。

すると…………

 

「ッ!ち、近づかないでください!」

 

そう叫んだ途端、女の子は加速して僕から距離を取ろうとする。

 

「ちょ、ちょっと待ってよ!一体どうしたのさ!?僕は何もしないよ!?」

 

僕はそう呼び掛けるものの、女の子は聞いてくれない。

そればかりか、距離を取るや否や反転して、両腕の機関砲を乱射してくる始末だ。

 

「ッ!?」

 

僕は左にブレイクして、銃弾の雨を避ける。

 

《おい、ラリー!どうした!?何があった!?》

《僕にも分からないよ!あの娘、僕がエリージュ王国出身だって言った途端、急に怯え出して、終いには攻撃してきたんだ!》

 

僚機念話で聞いてくる相棒に、僕はそう叫んだ。

その時、暫く耳にしなかったアラート音が頭の中に木霊す。

 

「(み、ミサイル!?)」

 

あろう事か、何時の間にか後ろに回り込んでいた女の子が、ミサイルを撃ってきたのだ!

 

「くっ…………!」

 

僕はフレアをばら撒きながら、バレルロールやブレイク等のマニューバを繰り出し、急降下でミサイルから逃げる。

ミサイルからは逃れられたらしく、アラートは沈黙する。

 

でも、それに安心した次の瞬間…………

 

「がはぁっ!?」

 

何と、いきなりF-35Bが爆発したのだ!

「あっ……うぐ………」

 

爆発によってF-35Bの尾翼などが木っ端微塵になり、一部が僕の方に飛んできて、幾つかが当たる。

 

《ッ!ラリー!どうした!?》

《わ、分からないよ!でも機体が爆発したんだ!コレじゃ、もう飛べない!》

《クソッ!あのフェンリア、マイクロ波攻撃が出来たのかよ!?》

 

相棒が吐き捨てる。

そうしている間にも、黒煙を噴き上げている僕のF-35Bは、破片を撒き散らしながら粒子化して消えてしまう。

 

《ラリー!何でも良いから直ぐに別の機体を展開しろ!手遅れになる前に、態勢を立て直せ!》

《わ、分かった!》

 

そう答えてから、僕は『多用途戦闘機』の欄からF-4Eを選んで展開し、アフターバーナーを噴かして態勢を立て直す。

「はぁっ………はぁっ………!」

 

態勢は何とか立て直したけど、呼吸は乱れたままだ。

 

「ラリー!無事か!?」

 

すると、相棒がエメル達を連れて寄ってきた。

 

「う、うん……何とか、ね………」

 

そうは言うものの、飛んできた破片が首や頭に当たって、かなり痛い。

 

「クソッ、血が出てやがる………ラリー、町まで耐えれるか?」

「う、うん………何とか、持ちこたえて、みせるよ………」

 

そう答えた僕は、相棒達に寄り添われながら、何とか町まで持ちこたえ、着陸を成功させた。

それから何があったかは、よく覚えていない。

多分、気絶してしまったのだろう。


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