航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第25話~依頼達成!ギルドはカオスと化したのだ………~

ワイバーンの群れ討伐の依頼を無事に終え、討伐したワイバーンの魔鉱石を全て回収した俺達は、依頼達成の報告をするため、ルージュの町へと向かっていた。

 

「現在、高度2000フィート。進路、0-4-5。速度、280ノット………」

「また言ってるのかい?それ、本当に好きなんだね」

 

何時ものように数値を読み上げていると、ラリーが苦笑混じりにそう言った。

 

「好きと言うか何と言うか、ついつい言いたくなるんだよなぁ………」

「それ、どう言う理由でそうなるんだい?」

 

そう訊ねられ、俺は返答に困る。

「(理由と言っても、特にこれといった理由はねぇんだよなぁ……)」

 

内心そう思っていると、俺の頭にある例えが浮かんだ。

 

「例えばラリー、お前確か"詠唱破棄"の特殊能力持ってたよな?」

「詠唱破棄?ああ、確かにあるけど………それがどうかしたの?」

 

ラリーは俺の質問に頷くと、尚も訊ねてくる。

「つまり、お前は魔法を使う時に詠唱を行わなくても良くなる訳なんだが………詠唱を行う必要が無いのに詠唱したくなるような魔法って、何か無いか?」

 

俺がそう言うと、ラリーは考えるような仕草を見せる。

 

「"詠唱を行う必要が無いのに詠唱したくなるような魔法"か、そうだねぇ………まあ、あるにはあるよ。何と無く言いたくなるんだよね」

「じゃあ、それと同じ理由さ。俺も、何と無く言いたくなっちまうんだよ」

 

そう返すと、俺は自分のステータスを見直した。

 

 

名前:古代 神影

種族:ヒューマン族

年齢:17歳

性別:男

称号:異世界人

天職:航空傭兵

レベル:49

体力:290

筋力:260

防御:270

魔力:100

魔耐:120

俊敏性:350

 

 

 

………ふむ、それじゃあ次は使える機体の方を。

 

 

『戦闘機』

 

F-16C Fighting Falcon

Mig-21-93

Typhoon

F-14D Super Tomcat

F-15C Eagle

Su-33 Flanker-D

Mig-29A Fulcrum

 

 

『攻撃機』

 

F-2A

F-117A Nighthawk

A-10A Thunderbolt Ⅱ

Su-25TM Frogfoot

Su-34 Fullback

 

 

『多用途戦闘機』

 

F-4E Phantom Ⅱ

F/A-18F Super Hornet

Rafale M

F-15E Strike Eagle

 

 

 

『攻撃ヘリ』

 

AH-64D Apache Longbow

Mi-24 Hind

 

 

『レシプロ機』

 

A6M5 零式艦上戦闘機

Bf109 G-10

 

 

 

 

ふむ、使える機体も結構増えたな。

それに、Su-34が使えるようになったのは嬉しい。

あれ、攻撃機の中では最高クラスの運動性能を持っていながら装甲は頑丈だからな。

おまけに4AGMも使えるから、これから頼れる存在となっていくだろう。

そういやBf109だが、あの機体って確か、モーターカノン的なの積んでるんだっけ?それ、使う時どうすりゃ良いんだ?

あっ、Mi-24も、アサルトホライゾンでは殆んど使ってなかったな。

今度使って、性能を確認しておこう。

 

「…ぇ………かげ………ねぇ、ミカゲってば!」

「ん?」

 

不意に、横から大きめな声を掛けられる。

振り向くと、其所には不機嫌そうな表情を浮かべて此方を見ているラリーが居た。

 

「ああ、やっと気づいたんだね?さっきから何度も話し掛けてたのに、全然反応してくれないんだから………」

「そうだったのか?そりゃ悪かったな。ちょっとステータスを見てたんだわ」

 

俺はそう言って、自分のステータスと、新たに使えるようになった機体について話した。

「にしても、今日の依頼で結構レベルが上がったな………」

「まあ、ワイバーンのレベルはそれなりに高いからね、それを7体も倒したんだから尚更だよ」

 

それからラリーは、ラリー自身のレベルも話してくれた。

今のラリーのレベルは46で、魔力が700、魔耐が850に到達したらしい。

 

「うん、お前本当に魔法系なら勇者以上だな。何時か1000超えるんじゃねぇの?」

 

ラリーのステータスを聞いた俺は、軽く笑いながらそう言った。

それにしても、流石ラリー。全盛期は魔族クラスの魔力・魔耐を持ち、辺境の片田舎であるルビーン出身でありながら、王都の騎士・魔術師士官学校に推薦入学出来ただけの事はある。

 

因みに、それから話に入ってきたエメルにもレベルを聞いてみたのだが、レベルは43だった。

曰く、人間の姿になった時からレベルは40になってたらしい。何それ羨ましすぎる。

 

ああ、それと余談だが、この世界においては、エースコンバット・インフィニティみたいな機体レベルや強化パーツ、レベルごとの機銃やミサイル、特殊兵装の残弾の変化についてはオミットされているため、基本的にどの武装も使い放題らしい。

今まで残弾とか気にせず戦ってきたが、そもそも残弾の概念すら消えてしまっていたとは………コレ、何時か元の世界に帰れた時、エースコンバットのゲームした際に残弾がある事に文句言ってしまったりしないか心配だな。

そんな事を考えていると、俺達は再び王都上空に差し掛かった。

試しにレーダーを思い浮かべてみると、流石は王都と言うべきか、夥しい数の地上物反応があり、絶え間無く動いていた。

 

「どうやら、下はかなり賑わってるみたいね」

 

俺の隣に来たエメルが、下を見ながらそう言った。

 

「そうだね……ルビーンとは雲泥の差とも言える賑わいようだよ」

 

エメルの呟きに、俺を挟んで反対側に居るラリーが答える。

そうしていると、俺達は城の上空に差し掛かった。

ルビーンの家々と比べると、憎らしい程の豪勢さを醸し出している。

 

「こんな豪華な城で、勇者達は生活してるんだね………」

 

ラリーが染々とした様子で言った。

今思えば、俺も2週間ちょっと間は、こんな豪華な所で生活してたんだな………

 

「(まあ、それを自ら終わらせちまった訳だけどな………)」

 

内心そんな事を考えるが、別に後悔はしていない。

富永一味のリンチを受けてからもあの場に残れば、また他の連中から酷い目に遭わされるのは火を見るより明らかな事だ。

それに、こう言う異世界転移ものでは、ダンジョンに潜っての訓練も行われる。

大概では、その際に誰かがヘマをして強敵を呼び出して撤退を余儀無くされ、そのサポートをしようとした主人公が奈落の底に落とされると言うのがお約束だ。

別に俺が主人公だと言うつもりは無いが、俺がクラスの男子から嫌われてるとなれば、何らかの事故を装って、俺をそのような目に遭わせようとしたり、別のやり方で間接的に殺そうと考えるのも居るだろう。

そう思えば、あの場でF組から離脱する事を考えた俺は、間違ってなかったと思う。

それに男子のみならず、宰相も俺の事を嫌ってるからな。男子が動かないなら、宰相が動く、なんて事にもなりかねない。

 

「………やれやれ」

俺は王城を見下ろしながら、両隣で飛んでいるラリーやエメルにも聞こえないような声でそう呟いた。

 

そのまま、何とも言えないような気分で、俺達はルージュの町へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………」

「「「………………」」」

『『『『『『……………』』』』』』

さて、ルージュの町に到着した俺達は、早速冒険者ギルドに向かい、エスリアさんに依頼達成の報告をしていた。

その証拠として、ワイバーンの魔鉱石を取り出してカウンターに置くと、エスリアさんは口をあんぐりと開けて固まってしまい、その状態が4、5分程続いていた。

全く進展しない状況に、ギルド内も沈黙が支配しており、俺達が到着したばかりの時は酒場で盛り上がっていたオッチャン冒険者達や、どの依頼を受けようかと悩んでいた他の冒険者達も、皆して事の成り行きを見守っている。

 

「……ミカゲさん、ラリーさん、エメルさん………」

 

不意に、エスリアさんが俺達の名前を呼んだ。

 

「は、はい。何でしょう?」

 

俺は、ガルム隊を代表して返事を返す。

エスリアさんは、カウンターの上に置かれた14個の魔鉱石に視線を落としてプルプル震えていたが、やがて物凄い勢いで顔を上げ、目をカッと見開いた。

 

「一体何をどうやったらこんな事が出来るんですか!?此処から依頼場所の山岳地帯まで何れ程離れてると思ってるんですか!?何たった1日で終わらせてしれっと戻ってきて魔鉱石置いてるんですか!?難攻不落とも呼ばれた黒雲をたった1日で壊滅させて、捕らえられた人達を全員救出したかと思ったら、今度はワイバーンの群れを全滅させた!?しかもたったの3人で14体のワイバーンを!?こんな滅茶苦茶な事成し遂げる冒険者なんて今まで見た事無いですよ私は!」

「お、おおう………」

 

いきなり始まったマシンガントークに、俺は表情を盛大にひきつらせて後退りしてしまう。

あ、あのおっとりした癒し系受付嬢が、こんなツッコミキャラに…………クソッ、誰だよ彼女をこんなにした奴は!?

………あ、俺達ですね、ハイ。

 

「まあまあ、エスリアちゃんよ。そんなにびっくりする事ねぇって!」

 

エスリアさんの豹変ぶりに怯んでいると、酒場に居たオッチャン冒険者の1人が声を掛けてくれた。

 

「コイツ等3人は、あの天下のガルムなんだぜ?」

「そーそー、『俺等に出来ない事は無い!』って感じだよな!」

「ああ、正しくその通りだ!」

 

それに便乗する形で、他の冒険者達も声を掛けてくれる。

つか、"天下の"とか言われてるけど、俺等のパーティーランクって、未だDランクなんだよなぁ…………

その後もてんやわんやがあって、俺達は其々、依頼達成の報酬を受け取り、その後、其々が獲得した魔鉱石を買い取ってもらった。

エメルは冒険者ランクがEランクに上がり、次に何か依頼をこなせば、直ぐにDランクに上がれるようになった。

俺とラリーは、仲良くCランクに昇格し、パーティーランクもCに上がった。

 

「はぁ……本来なら喜ぶべき事なのですが………コレ、王都に知られたら大変な事になるだろうなぁ……黒雲を解決させたのが誰なのか教えろとも言われてるし…………」

 

俺達の昇格を、ギルド内の冒険者達が祝ってくれている中、エスリアさんは何やら憂鬱な表情で溜め息をついていた。

 

 

…………はて、何か悩みであるのだろうか?

 

 

 

 

 

 

 

 

それから暫くして、俺達はルビーンにあるラリーの家に戻ってきた。

ギルドで騒いでいる内に夜になってしまったため、夕飯を兼ねた宴会が開かれた。

相変わらずオッチャン冒険者達が酒を勧めてきたり、ラリーとエメルが、2人の関係をからかわれたりして大変だった。

その後、片付けを済ませてギルドを後にして、ラリーの家に戻ってきたのだ。

エメルは散々騒いで疲れたのか、家に着くや否や直ぐに眠ってしまったため、今起きているのは、俺とラリーだけだ。

 

そんなこんなで、俺達は今、屋根の上に座って夜空を眺めている。

 

「それにしても、今日は色々と大変だったね」

 

不意に、ラリーがそんな事を言った。

 

「そうだな……まあ、大変だったのは、依頼を済ませてギルドに戻ってからだけどな」

 

俺がそう返すと、ラリーは胸の前で腕を組み、ウンウンと頷いた。

 

「確かにそうだね。依頼達成の報告をした時のエスリアさんの豹変ぶりと来たら………」

「ああ、あれは凄かった。あのおっとりしたエスリアさんが、あんなマシンガントークをするとは思わなかったぜ……」

 

そう言うと、再び会話が途切れる。

耳を澄ませてみると、遠くで、ホーホーと何かの鳴き声がする。

この世界にも、元の世界で言う梟のような動物が居るのだろうか?

 

「それはそうと、今日はお疲れ様。大活躍だったね。何せ、3人の中で一番多くワイバーンを倒したんだから」

 

不意に、ラリーがそんな事を言い出した。

 

「別に活躍した訳じゃねぇよ。それにワイバーンを倒したのが一番多かったのも、お前とエメルが先手を譲ってくれたから出来ただけだ」

 

笑みを浮かべて言うラリーに、俺はそう返した。

 

「サンキューな、活躍の場を譲ってくれて」

 

俺が礼を言うと、ラリーは首を横に振った。

 

「気にしなくて良いよ。それにミカゲ、空中戦するのを誰よりも楽しみにしていただろ?それに、僕とエメルが模擬戦する時、何処と無く羨ましそうにしていたよね」

「………バレてたのか」

「うん。バレバレだね」

 

俺が呟くと、ラリーは苦笑混じりにそう言った。

 

「だから、なるべくミカゲのやりたいようにさせてあげようって思ったんだよ。それに、君の腕が何れ程のものなのか見たいって気持ちもあったからね。まあ、お相子って事さ」

 

そう言うと、ラリーは少しの間を空け、夜空を見上げた状態で、再び口を開いた。

 

「僕ね、こうやって過ごしている内に、1つ、確信した事があるんだ」

「"確信した事"?何だそれ?」

 

俺がそう訊ねると、ラリーはそのままの姿勢で言った。

 

「王都で君と出会って、この町(ルビーン)で君と再会して、君と冒険者になって………本当に良かったって事さ」

 

そう言うと、ラリーは俺の方を向く。

エメラルドのように鮮やかな緑色の瞳が、俺に向けられる。

 

「王都で君に会わなかったら、僕はブルームに酷い目に遭わされていただろうし、此処で君と再会出来なかったら、こんな楽しい生活は味わえなかっただろうからね」

 

だからと付け加え、ラリーは言葉を続けた。

 

「これからもよろしく頼むよ、ミカゲ(相棒)

 

そう言って、ラリーは右手を差し出す。

俺は迷う事無く、その手を握り返した。

 

「ああ、此方こそよろしくな。ラリー(相棒)

 

そうして握手を交わし、俺達は一晩中、初めて会うまでの間、どんな生活をしていたのか等、色々と語っていた。




一応言っておきますが………神影×ラリーじゃないよ?(真剣な眼差し)

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