航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第19話~未だ未だビックリは止まらない!モルガンが美少女に!?~

「………成る程、そんなに強い機体なんだね。モルガンと言うのは」

「ああ」

 

さて、黒雲の所から持ってきた宝箱の中身の確認&お金の山分け作業をしていた最中に、俺が好きなエースコンバットの機体の1つである戦闘攻撃機ーーADFX-01/02こと、モルガンーーの模型らしきものを見つけた俺は、作業を一時中断して、ラリーにモルガンの説明をしていた。

 

モルガンの特殊兵装である戦略レーザー(TLS)多用途弾頭ミサイル(MPBM)、そしてジャミングポッド(ECM)について説明していた時、流石に理解出来ないのではないかと不安だったが、ラリーの物分かりが良かったのか、それとも"航空傭兵"と言う天職のお陰なのか、ラリーは簡単に説明しただけで理解した。

 

「ところでミカゲ、このモルガンと言うのは、君の世界で実際に使われていたものなのかい?」

 

不意に、ラリーがそんな事を訊ねてくる。

 

「いや、コレは架空の戦闘機だ」

「架空?それはどういう事?」

「ああ、それはな………」

 

そうして俺は、モルガンについての補足をした。

俺の世界に、携帯ゲームと言うものが存在しており、このモルガンは、その中の1種である『エースコンバット』と言うゲームに登場するオリジナルの戦闘機であるため、実際に製造・使用されたものではないと言う事を教えた。

「………とまあ、こんな感じだな」

「な、何か凄いね。そんなの、この世界では見た事も聞いた事も無いよ」

「そりゃそうだ」

 

スマホはおろか、テレビや旧式の携帯電話も無いんだから、携帯ゲームなんてある訳が無い。寧ろ、この世界での携帯ゲームがあるなら、是非とも見せてもらいたいものだ。

 

「まあ、それはそれとして…………」

 

話を一旦切り上げ、俺はテーブルに置いているモルガンの模型に視線を落とした。

 

「何たって宝箱の中にこんなのが入ってるんだ?こう言うのって、レベルアップしたら使えるようになるモンじゃないのか?」

 

テーブルに頬杖をつき、俺はそんな事を呟いた。

 

「そう言えば、僕等ってそれなりのレベルになってるけど、モルガンは未だ使えないよね」

 

ラリーも、俺に続く形で呟く。

 

「異世界でコレに会えたのは嬉しいが、置物じゃなぁ………」

 

そう言いながら、俺はモルガンの模型を持ち上げる。

そうしていると、ラリーが何やら閃いたらしく、俺にこんな話を持ち掛けてきた。

 

「ねえ、ミカゲ。レーダーで反応を見てみるのはどうかな?」

「ん?」

 

そう言われた俺は、ラリーに目を向ける。

ラリーの奴、何を言ってるんだ?

 

「僕としては、コレがただの置物とは思えない。宝箱に入ってるぐらいだから、何か凄いものだと思うんだ」

 

そう話すラリーの話を、俺は黙って聞く。

 

「例えば、特定の条件を満たすと、この機体の情報が僕やミカゲに流れてきて、僕等でも使えるようになるとか、コレが人間の姿になって、僕等に力を貸してくれるとかさ」

「成る程、そう言う考えもあったか」

 

ラリーの言葉に納得した俺は、ラリーを伴って家を出ると、誰も居ない事を確認した上でモルガンをラリーに預ける。

 

「来い、F-15C!」

 

そして、機体を展開する。F-15Cを展開した理由は………何と無くだ。

 

機体が展開され、離着陸モードのF-15Cが装着される。

 

「あれ?その機体って、そんなペイントされてたっけ?」

「え?」

 

ラリーに言われ、俺は主翼や尾翼に目を向ける。

翼の所々が紺色に塗られている。

 

「………サイファー仕様ってヤツか」

 

パーティー名がガルムで、俺がそのリーダーだから、ゲームでのガルム1に因んでこうなったんだろうな。

 

俺はラリーに気にしないように伝え、脳内にレーダーを思い浮かべる。

すると…………

 

「ッ!反応あり!」

 

やはり、ラリーの言った通りになった。

ちょうど、ラリーが居る位置から、ラリーのものとはまた別の反応が出ているのだ。

 

俺は機体を解除してラリーに駆け寄る。

 

「お前の言った通りだよ、ラリー。やっぱり、そのモルガンには何かある」

 

俺がそう言うと、ラリーは頷いた。

 

「どうやら、そのようだね……………でも問題は、このモルガンが一体どういうものなのかと言う事だ」

「そうだな、それが分からなきゃ意味が無い」

 

そう言って、俺はモルガンに顔を寄せた。

暫く眺めていると、ある事が思い浮かんだ。

 

「なあ、ラリー。コイツに魔力を流してみるってのはどうだ?」

「魔力を?一体、どうして?」

 

そう聞いてくるラリーだが、俺は兎に角やってみろと言った。

 

「それじゃ、やってみるよ」

 

そう言って、ラリーはモルガンを手に持ったまま目を瞑る。

ラリーの全身を蒼白いオーラが包み、ラリーの服や髪が靡く。

俺は、モルガンに何か変化が起こらないかと、目を凝らして見ていた。

すると……………

 

「………ん?」

 

よく見ると、モルガンが光を放っている。

「ラリー、モルガンが光ってるぞ!」

「え?………あ、ホントだ!」

 

俺が声を張り上げると、ラリーも目を開けて、光っているモルガンを目の当たりにする。

 

「良し……なら、このまま…………ッ!」

 

そう言って、ラリーはさらに魔力を流していく。

だが、モルガンが光っただけで、その後は大した変化は起きなかった。

俺は一旦、ラリーに魔力を流すのを中止させる。

 

「う~ん、ただ光るだけで終わりか…………何がいけないんだろうね………」

 

モルガンを抱えて、ラリーが首を傾げる。

それは俺も同じだった。

 

光るなら、その後も何かしらの変化があっても良い筈なのに、ただ光っただけで終わり………不完全燃焼な話だ。

 

「(にしても、ホントに何が………ん?)」

そう考えていた俺は、ふとモルガンに目を向ける。

 

「(そう言えば、未だコレの色をちゃんと見てなかったな………)」

 

そう思い、俺はラリーが持っているモルガンにズイッと顔を近づける。

「(コレは………)」

 

モルガンの色を見た俺は、自然と頬を緩むのを感じた。

キャノピーの色は金色で、ボディは白、そして右の主翼が赤く塗装されている。

「(ピクシー仕様ってか………成る程な…………)」

 

俺のF-15Cがサイファー仕様だったから、ラリーのは恐らく………

 

「おい、ラリー」

「ん?」

 

俺はラリーに声を掛け、ある提案をする。

 

「F-15Cを展開してみろ」

「イーグルを?なんで?」

 

戸惑いながら、ラリーが聞いてくる。

 

「俺の予想が正しければ、お前のイーグルはモルガン(コレ)と同じカラーリングだ。もしかしたら、同じカラーリング同士で何かしらの変化が起きるかもしれん。共鳴みたいな感じでな」

「本当!?」

 

俺が言うと、ラリーは目を見開いて聞き返してきた。

 

「まあ、コレはあくまでも予想でしかないんだがな………取り敢えずやってみろ」

 

俺がそう言うと、ラリーは直ぐ様F-15Cを展開した。

 

ラリーを目映い光が包み、次第にF-15Cの翼の形が見えてくる。

 

そして光が消え、F-15Cを展開したラリーの全貌が見えた。

 

俺の予想した通り、ラリーのF-15Cは右の主翼が赤く塗装されていた。

 

「…………やっぱりな」

 

俺はニヤッと頬を緩ませて、そう呟いた。

 

だが、ただ展開するだけでは何の変化も見られなかった。

それなら………

 

「ラリー、その状態でモルガンに魔力を流してみろ」

「了解、ミカゲ!」

そうして、ラリーは再びモルガンに魔力を流し始めた。

最初は、展開せずやった時と同じように、モルガンが光るだけだ。

だが、その光は、次第にさっきのよりも強いものになった。

 

「み、ミカゲ!見てよコレ!さっきよりも光が強くなってる!」

 

モルガンに魔力を流しているラリーから、そんな声が飛ぶ。

 

「ああ、ラリー。それで良いんだ!そのまま続けてくれ!」

 

興奮しているラリーに、俺はそう返した。

ラリーが魔力を流し続けると、遂に変化が起きた。

 

ラリーが展開しているイーグルも光を放ち、その光がモルガンを包み込む。

そして、今までより一際目映い光を放ち、俺は反射的に目を覆ってしまう。

 

この町一帯を照らすんじゃないかと言えるぐらいの光が暫く放たれる。

1分ぐらい光り続けると、やがて光は消える。

恐る恐る目を開けると、俺は自分の目を疑った。

俺より前に目を開けたと思われるラリーも、目を見開いて驚いている。

 

何故なら、俺とラリーの間に立つ形で…………………

 

 

 

 

……………10人中10人が振り向くであろう美少女が、目を瞑った状態で立っていたのだから。


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