航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第18話~箱を開けるとビックリ仰天!オリジナル機体、登場!~

さて、ルージュの町でアルディアの3人と別れた俺達は、展開した零戦でルビーンの町へと向かっていた。

 

「3人、凄く寂しそうな顔してたね…………」

 

隣を飛んでいるラリーが言った。

視線だけラリーの方に向けると、ラリーも何処と無く寂しそうな表情を浮かべている。

 

「まあ、あの山岳地帯からルージュの町まで、ずっと一緒に行動してたからな………短期間とは言え、いざお別れすると、やっぱり寂しいモンだな」

 

そう返して、俺は視線を前に戻す。

ルビーンに戻るまでに、黒雲に捕まっていた女性達の村の上空を飛んだのだが、空を飛んでいる俺等を見た村人達は、最初は何事かと慌てていたが、俺等が上空を旋回して手を降ると、向こうも手を振ってくれた。

 

そうして飛んでいくと、ルビーンの町が見えてくる。

俺とラリーは徐々に高度を下げ、着陸態勢に入る。

 

地面に対して水平になっていた体を起こすと、背中の主翼が動き、足の裏から車輪が出てくる。

そして着陸すると、俺とラリーは少しだけ惰力走行し、それが完全に止まると、プロペラの回転を止めて零戦を解除する。

 

そして門の前まで歩いていき、門番に一言掛けてから町に入り、ラリーの家へと向かった。

 

 

 

 

 

 

「いやぁ~、何か凄く久し振りに帰ってきたような気がするなぁ~」

 

家に入ると、ラリーは椅子に腰掛けて大きく伸びをした。

俺も、ラリーの向かい側の椅子に腰を下ろす。

「冒険者登録をしに行くだけのつもりが、2、3日も掛かっちまったな」

「まあ、良いじゃないか。そのお陰で、あの黒雲が壊滅して、捕らわれてた女性達を助けられたんだからさ」

 

俺の呟きに、ラリーがそう返した。

 

「まあ、確かにその通りだな」

 

あの出来事のお陰で、この世界での知り合いが一気に増えた。

アルディアの3人や、クレアさんにエレインさん、そして、アルディアの3人とエレインさん以外の、16人の女性達だ。

 

「それに、お金だって一気に稼げたし、レベルや冒険者ランクも大幅に上がった………言う事無しだろう?」

「ああ」

 

そう言ってくるラリーに、俺は頷いた。

 

「(あの時の戦いで、レベルもそれなりに上がった。今の俺等のレベルなら、F組の男子(彼奴等)に勝てるかな………)」

明後日の方向に視線を向け、俺はそんな事を思った。

 

黒雲の壊滅させた時の他の人の騒ぎようからして、黒雲の連中は、この国からしたら大きな悩みの種だ。もしかしたら、隣国にとっても同じかもしれない。

それを、冒険者になりたての俺達が壊滅させたのだ。

皆には、なるべく俺等の名前は出さないように言っておいたが、何時、何処で情報が漏れるかは分からない。

そして、もし俺等が黒雲を壊滅させた事がエリージュ王国の王都に居る連中に知られたら、俺とラリーは恐らく、戦力として王都に連れ戻されるか、最悪の場合、俺等を良く思わない連中に殺されるかもしれない。

勿論、そんなので殺されるなんて真っ平だから、相手が攻めてくるなら此方も本気で相手をする。

機銃、ミサイル、爆弾等々、あらゆる兵装を持ち出して叩き潰す。

「(そうともなれば……………最悪の場合、王都を消し飛ばす事になるかもしれねぇな…………)」

 

あまりやりたくはないが、いざとなったら、それもやむを得ないか……

 

「ねえ、ミカゲ?ミカゲってば!」

 

色々考えていると、ラリーが話し掛けてきた。

 

「ん?どうした?」

「いやいや、『どうした?』じゃないよ。さっきから何回も話し掛けてるのに、ずっと上の空なんだから」

 

若干不機嫌そうに、ラリーはそう言った。

 

「ああ、悪い。ちょっと考え事してたのさ…………んで、何だっけ?」

 

適当に謝り、俺は話題をすり替える。

 

「そろそろ、宝箱を開けてみたらどうかな?」

 

そう言うと、ラリーは俺の収納腕輪に視線を落とす。

どうやら、宝箱の中身を早く知りたいらしい。

 

「そうだな、開けるか」

 

そう言って椅子から立ち上がると、俺は収納腕輪から例の宝箱を取り出す。

床に宝箱が現れると、ラリーも椅子から立ち上がって、宝箱に近づいた。

 

「こう言うのって、どんなのが入ってるんだ?」

 

俺は、試しにそんな事を聞いてみる。

 

「そうだね……………大概の宝箱には、お金や魔鉱石、それから強力なポーションや薬草、他には武器なんかが入ってたりするらしいよ」

 

成る程、俺が知ってるのと大して変わらないようだな。

 

俺は宝箱の蓋部分の両サイドに両手を添え、ゆっくりと蓋を開ける。

 

「「うわぁ………」」

 

中身を見た俺とラリーの口から、感嘆の溜め息が漏れた。

 

中にあるのは大量の金貨や銀貨、ポーションらしき液体が入った小瓶が幾つもあった。

「お金の方は未だしも、ポーションって要るのか?基本的に、俺等って空から攻撃する訳だし、そもそもミサイルと魔法とは別な訳だし………要らないんじゃね?」

 

ミサイルや機銃、特殊兵装は時間が経てば勝手に補充されるし、機体が損傷しても、時間が経てば勝手に回復する。

はっきり言って、ポーションを持ち歩く必要なんて無いように思えるんだけどなぁ…………

 

「いやいや、コレは必要なものだよ」

 

俺がそんな事を考えていると、ラリーが口を挟んできた。

 

「ポーションの中に、魔力回復や、状態異常を回復するものがあったんだ。これから戦闘機ばかり使って、魔法を使わないとは限らない。何時か、本当に必要になる筈だ。使う相手を問わずね……………だから、持っていた方が良いよ」

「そ、そうか…………なら、そうするか」

 

ラリーにそう言われ、俺は素直に従う。

この世界においては、ラリーの方が先輩だ。なら、それに従うより他は無い。

 

それから俺達は、残った金貨と銀貨を2人で分けた。

案外多く、分けるだけでかなり時間が経ってしまった。

「ふう、もう箱の中も空に………ん?」

 

箱の中を覗いたラリーが、怪訝そうな表情を浮かべた。

 

「ねぇ、ミカゲ。コレって何かな?」

「ん?」

 

話し掛けられた俺は、ラリーが箱の中から取り出したものに目を向ける。

 

「何だ?一体何を見つけたって………え?」

 

そして、ラリーの手に乗っているものを視界に捉えた瞬間、俺は目を皿のように丸くして凍りついた。

「ら、ラリー………お前、そんなもの、何処に……?」

「何処も何も、箱の中に入ってたんだよ」

 

何分かりきった事を聞いてるんだと言わんばかりの表情を浮かべて、ラリーは手に乗せているものを俺に渡してくる。

震える手で受け取り、俺はまじまじと眺める。

 

「(おいおい、嘘だろ………?こんな事って……いや、コレは夢か、見間違いなのかもしれない……)」

 

内心そう呟きながら、俺は一旦、それを床に置く。

そして、何度も目を擦って、改めて見る。

それは見間違いでもなければ、夢でもなかった。ちゃんと、その場に存在していた。

 

それを改めて認識すると、先程まで心の中を埋め尽くしていた"疑問"や"驚愕"が、"喜び"に変わり、自然と体が震え出した。

 

「クッ……クククッ………」

 

そして込み上げてくる笑いに、俺は肩を震わせる。

 

「み、ミカゲ?一体どうしたんだい?目を見開いて固まったかと思ったら、今度は笑い出したりして」

 

俺の反応に戸惑っているラリーが肩を叩いたり、揺さぶったりしてくるが、今はそんなものを気にしてる場合じゃない。

 

「(まさか、異世界で会えるとは思わなかったぜ………)」

「ミカゲ?ねぇ、どうしたの?ミカゲってば!」

 

感激している俺の隣で、相変わらず話し掛けてくるラリー。

 

流石にこれ以上放置する訳にはいかないので、顔をラリーの方に向ける。

 

「あ、やっと向いてくれた……もう、一体どうしたの?さっきから何回も声を掛けてたのに、笑ってるだけで全然答えてくれないし」

 

またしてと不満げに頬を膨らませているラリーに、俺は適当に詫びを入れる。

 

「悪い悪い、俺が居た世界で馴染みのあるヤツだったから………つい、嬉しくなってさ」

「君が居た世界で……?と言う事は、もしかして、コレも戦闘機なの?」

「………ああ、そうさ」

 

………それも、現代では有り得ない兵装を積んでる、エースコンバットでのオリジナル機体の1種だ。

 

「そ、それで?これは何て戦闘機なの?」

 

俺が視線を戻すと、すっかり俺の戦闘機好きが伝染(うつ)ったのか、如何にも興味津々と言った様子でラリーが言う。

俺は視線だけラリーの方に向けると、自分でも分かる程に不敵な笑みを浮かべて、その機体名を口にした。

 

 

 

 

 

 

 

ADFX-01/02(モルガン)


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