航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第122話~報告からのパーティーです!~

さて、あれから何だかんだあって、俺達は城の敷地内に入っていた。

その際、フィオラさん達女性騎士団とも再会した。

彼女等も、俺が生き返った事を大層喜んでくれた。

 

そんなこんなで、俺達は女王陛下の部屋を目指しているのだが……………

 

「えへへ…………ミカゲ様ぁ~」

 

俺の右腕には今、エミリアが上機嫌な様子で抱きついている。

少々歩きにくい上に、久し振りの柔らかな感触が腕を挟んでいるが、俺との再会を喜んでくれているので、特に何も言わない。

いや、今となっては、抱きつく理由が無くても何も言わないけどな。

だって恋人だし。

 

「相棒、相変わらず好かれてるね」

 

其処へ、ラリーが生暖かい眼差しを向けながらそう言った。

 

「はい!たとえ姿が変わっても、ミカゲ様が大好きですから!」

 

そう言って、さらに抱きつく力を強めるエミリア。

おお、腕に感じる柔らかな感触が、さらに心地よさを増した………………

 

「(…………………って、いかんいかん。コレじゃただの変態じゃねぇかよ。自重しやがれ、俺)」

 

俺は頭を振り、内心で自分にそう言い聞かせた。

 

「…………?相棒、どうかした?」

「い、いや。何でもない」

 

俺はそう言って誤魔化した。

 

「それよか、女王陛下はどうだ?」

「はい。今まで通りに過ごしていますが…………やはり、ミカゲ様が亡くなられたと言う知らせを聞いてからは……………」

「そうか………」

 

どうやら女王陛下も、俺の死を悲しんでくれたらしい。

 

「だからお母様も、ミカゲ様と再会出来るのを楽しみにしていると思います」

「だと良いな………………っと、あれが女王陛下の部屋だったな」

 

一際豪華なドアを見つけ、俺がそれを指差して言った時、まるでタイミングを見計らったかのように、そのドアが勢い良く開いて女王陛下が飛び出してきた。

 

「ヴェッ!?」

 

あまりにも唐突な出来事に、俺は変な声を出して飛び上がってしまう。

 

「ッ!ミカゲ殿!」

 

その声に反応したらしく、女王陛下は俺の方を向き、駆け寄ってきた。

つか、エミリア見た時から思ってたけど、ドレス着てるのによく走れるよな。俺だったら絶対無理だね。コケるがオチだ。

 

なんて考えている内に、女王陛下が俺の目の前に来ていた。

 

「み、ミカゲ殿ですよね!?」

 

俺の両肩を掴んだ女王陛下が、興奮気味にそう訊ねてくる。

 

「え、ええ。正真正銘、ミカゲ・コダイ本人です」

 

俺がそう答えると、女王陛下は両目に涙を浮かべ、俺を抱き締めてきた。

 

「うわっぷ!?」

「お、お母様!?」

 

エミリアを上回る豊満な胸に顔を埋められ、俺は慌てる。

 

「良かった………本当に、良かった……………ッ!」

 

より強く俺を抱き締め、女王陛下がそう言った。

 

どうやら彼女も、俺の復活を喜んでくれているようだ。

 

それから少しして女王陛下から解放されると、騒ぎを聞き付けたクレアさんや、この国の元帥であるウィーンさんもやって来て、俺の復活を喜んでくれた。

因みにその後、クレアさんはラリーに抱きつき、ウィーンさんは微笑ましげに見ていた。

何か、爺ちゃんに見られてる孫になったような気分だったぜ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなで談笑している内にエメルから連絡が入り、ルージュへ帰る時間になった。

 

「…………それじゃあ、俺達はこの辺で」

「あら、もうお帰りになるのですか?」

 

俺がソファーから立ち上がると、女王陛下が訊ねてきた。

 

「ええ。ルージュの方で、俺が生き返った事を祝ってくれるらしくて」

「そうですか……………フフッ」

 

不意に、女王陛下が笑みを溢した。

 

「………………どうしました?急に笑って」

「ああ、すみません。ただ……………」

 

そう言って、女王陛下は俺の方に視線を向けた。

 

「貴方は本当に、ルージュの方々に慕われているんだな……………と、改めて思っただけですわ」

「……………………」

女王陛下にそう言われ、何と無く面映ゆさを感じた俺は、頬をポリポリと掻いた。

 

「ま、まあ取り敢えず、俺等は……………ん?」

 

そうしていると、誰かが服の裾を引っ張ってきた。

 

「ん?…………ああ、エミリア。お前だったのか」

「……………」

俺が振り向くと、其所ではエミリアが服の裾を摘まんでいた。

何も言わないエミリアだったが、チョイチョイと裾を引っ張る姿は、何かを訴えているように見えた。

 

「(もしかして、一緒に行きたいのか…………?)」

 

そのように予想を立てた俺は、女王陛下の方を向く。

 

俺の視線を感じ取ったのか、彼女は何も言わずに頷いた。

 

「(…………了解です)」

 

俺も頷き返すと、エミリアに視線を向ける。

 

「なあ、エミリア」

「は、はい!?」

 

俺が声を掛けると、エミリアは上ずった声で返事を返し、勢い良く顔を上げた。

矢鱈とオーバーなリアクションを返すエミリアに内心苦笑を浮かべつつ、俺は言った。

 

「お前も、一緒に来るか?」

「……………ッ!」

 

エミリアは目を見開き、俺を見つめた。

 

「まあ、せっかくこうやって、お前も俺の復活を喜んでくれてるし、ルージュで宴会も開かれるから、一緒にどうかと思ったんだが……………どうだ?来るか?」

「は、はい!行きます!」

 

そう言ってエミリアは、まるで咲き乱れた花のような笑みを浮かべた。

 

「と言う訳ですので、女王陛下…………」

「ええ、構いません。娘をよろしくお願いします」

 

俺の視線を受けた女王陛下は、柔らかな笑みを浮かべてそう言った。

 

「ええ、お任せください」

 

俺がそう言ってエミリアの頭に手を置くと、エミリアは抱きついてきた。

 

「それからミカゲ殿、"女王陛下"なんて他人行儀な呼び方は止めて、"ナターシャ"とお呼びください。何なら"お義母さん"でも良いですよ?」

 

そう言って、からかうような笑みを向けられる。

流石に"お義母さん"は気が早いので、一先ず"ナターシャさん"と呼ばせてもらう事にした。

 

「ああ、ミカゲ殿。最後に1つだけ、良いですか?」

「………………?何でしょう?」

 

またしても話を持ち掛けてきたナターシャさんに、俺は聞き返す。

 

「その、同盟の件ですが…………」

「…………ああ、それか」

 

そう言えば俺、ナターシャさんから同盟結んでくれと言われてるんだったな。

 

「先日、貴方以外のガルムの方がいらした時に期間を延ばすように言われているので、考えが纏まりましたら、何時でも」

「はい。何かすみません…………」

 

そうして最後に、3人に一言二言掛けてから、俺達はルージュへと転移した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ミカゲ!性別変わっちまったけど、復活おめでとう!!そしてお帰り!」

『『『『『『『『『『お帰りなさい!!』』』』』』』』』』

 

さて、そんなこんなでルージュに戻った頃には、日が傾き始めていた。

エメルが言っていたように宴会の準備が出来ており、俺達がギルド内に転移してくると、直ぐに宴会が始まった。

 

今回の宴会は、何時もと比べて格段にスケールが増していた。

普段の規模はパーティー程度だったのだが、今回の規模は、最早祭りだった。

 

開け放たれたギルドのドアからは、イルミネーションが輝き、幾つもの出店があるのが見える。

 

「いやぁ~。性別変わったとは言え、ホントよく帰ってきてくれたよな!」

「ああ。やっぱりこう言うのは、彼奴が居ないと始まらねぇや!」

 

カウンター席に座って酒を飲んでいるオッチャン達の話を、俺はテーブル席で聞いていた。

 

「ゾーイ、アドリア。良かったわね!ミカゲが戻ってきて!」

「うんうん!性別変わってるけど、心は男の子だから問題無いし!」

「そのまま他の彼女の娘達と一緒に、夜の二次会へと洒落込んだら?」

「み、皆さん!そんな恥ずかしい事言わないでください!」

「そ、そうです!こんなのミカゲ様に聞かれたら……………ッ!」

 

ふと周囲を見渡すと、女性冒険者達に囲まれているゾーイとアドリアが目に留まった。

思いっきりからかわれているようで、2人は顔を真っ赤にして何やら反論している。

ゾーイ、さっき『こんなの聞かれたら』とか何とか言ってたが、思いっきり聞こえてましたよ。

"夜の二次会"とかの単語も一緒にな。

まあ、取り敢えず聞かなかった事にするが……………聞いてる俺も、何か恥ずかしいな……………

 

「皆さん、余程ミカゲ様が帰ってきたのが嬉しいんですね!」

 

そうしていると、隣に座っているエミリアがそう言った。

と言うかエミリアよ、彼女等の会話についてはスルーですか……………

 

「そりゃそうよ。何せ、この町の住人は、皆が家族のようなもの。ミカゲだって例外じゃないわ」

「まあ私達の場合は、それに"恋人"が加わるんだけどね」

「………………」

 

其処へ、アルディアの3人が話に入ってきた。

ニコルも、ソブリナとエリスに同調するかのように、コクコクと相槌を打っている。

 

「"町の人全員が家族"、か……………良いなぁ…………………」

 

ソブリナとエリスの言葉を聞いたエミリアが、小さな声で呟いた。

 

「………エミリアも、家族………………」

 

すると、エミリアの横に移動してきたニコルがそう言った。

 

「そうですよ、エミリアさん。こうやって一緒にワイワイやって、町の人達に受け入れられてる時点で、エミリアさんも家族の一員です!」

 

何処から話を聞き付けてきたのか、エスリアもそう言った。

 

「おう、その通りだぜエミリアちゃん!」

「住んでる国は違うけど、私達はそう思ってるわよ!」

 

他の冒険者や住人からも、そんな声が上がる。

 

今思ったんだが、ルージュの人って本当に懐が深いよな。

 

王都では不遇な扱いだった俺やラリーを温かく迎えてくれたし、この国が人間主義を掲げているのに、エメル達みたいなヒューマン族以外も迎えてくれる。

おまけに、本来なら敵国の王女であるエミリアでも、あっさりと受け入れてるからな。

 

「(この寛容さ、王都の連中にも見せてやりたいな…………)」

 

この国の上層部の連中は絶対に異端扱いするだろうが、連中よりルージュの人達の方が、人間性では遥かに上回ってる。

同じ天秤で比べるのが失礼だと思えるぐらいにな。

 

それに、アリさんとの世間話で聞いたんだが、俺が中宮達に殺された噂が広がると、王都に他の町や村からの抗議文が殺到したらしい。

それに、俺の死後、ラリー達は俺が殺された事をクルゼレイ皇国にも報告しに行っており、ラリーから話を聞いたその日の内に、大量の抗議文をエリージュ王国王都に送りつけたと言う話を、ナターシャさんから聞いている。

 

「(何と言うか……………俺と言う存在の影響力、凄すぎじゃね?)」

 

幾ら最高ランクの冒険者パーティーのリーダーやってるからって、流石に無理があるんじゃないかと思えてしまう。

 

「ミカゲ君は、英雄だからね」

 

すると、まるで俺の心情を読み取ったかのように、グランさんが話に入ってきた。

後ろからしなだれ掛かり、思いの外大きな胸を押し付けてくる。

 

「そうそう!黒雲を討伐し、王国各地で活躍しまくりなんだ、そりゃ、影響力だってデカくなるってモンよ!」

 

今度は、エミリアとは反対側に腰掛けたギャノンさんが肩を組んできた。

 

「あ、そうだ。前言った事、未だやってなかったよな」

「え?何ですかそれ?」

 

言っている意味が分からず、間の抜けた声で聞き返す俺の顔を、ギャノンさんは両手で挟んで彼女の方に向ける。

 

「ホラ、お前が泥人形全滅させた時に言ったろ?お祝いのキスしてやるってな」

「……………あ~」

 

そう言えば、何かそれっぽい事言われたような気がする。

 

「本来なら口にしてやりたかったんだが……………それ、ミカゲの元々の体じゃねぇからな、この辺で良いか」

 

そう言って、ギャノンさんは俺の頬に、しっとりした唇を押し付けてきた。

 

『『『『あーッ!?』』』』

 

すると、我が恋人達から悲鳴が上がる。

 

「ちょっとギャノン!ミカゲの彼女じゃないのに何してるのよ!?」

「……正規の恋人置いて、抜け駆け………許すまじ……………」

「ギャノンさん、何をしているのですか!?私なんて未だしてないのに!」

「ギャノン?流石にコレは、私でも見過ごせないかなぁ~」

 

ワラワラ集まってきて、ギャノンさんを問い詰める我が恋人達。

何故かグランさんも混じってるのが気になるが……………まあ、気にしない事にした。

 

そんなこんなで時間は流れ、この騒がしい宴会が、騒ぎ疲れた人達が次々ダウンしていった事によって終わる頃には、夜1時になっていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あ~、騒いだ騒いだ…………」

 

全員寝たのを確認した俺は、1人でギルドの屋根の上に居た。

思い返せば、今日1日で多くの体験をしたな。

先ず、俺の遺体を持っていこうとやって来た騎士団を追い返し、次にルージュの人達に生き返った事を伝え、今度はクルゼレイ皇国へ行き、住人達に胴上げされ、エミリアやナターシャさんにも抱き締められた。

そして、ルージュでの宴会だ。

 

「今日は、今までで1、2を争う程に濃い1日だったな…………」

 

月を見上げて、俺はそう呟く。

このまま暫く余韻に浸っていようと寝転がった、その時だった。

 

「相棒…………」

「………………ん?」

 

不意に、聞き慣れた声が聞こえてくる。

上体を起こすと、我がガルム隊2番機であり、頼れる相棒、ラリーが居た。

 

「よお、ラリー。お前も余韻に浸りに来たのか?」

「………………」

 

そう問い掛けるが、ラリーは首を横に振る。

心なしか、元気が無いように見える。

 

「……………何か、あったのか?」

 

俺は訊ねた。

「うん…………ちょっと、聞いてほしい事があってね」

 

ラリーはそう答えた。

 

「相棒、この町に入る前に、僕の紋様の事について聞いてきたよね?」

「ああ、そうだな」

 

ラリーが言いたくなさそうにしてたので言及しなかった、あの話だ。

 

「何だ、教えてくれるのか?」

「うん。やっぱり長い付き合いなんだし、君が、こうして生まれ変わる経緯を話してくれたのに、僕だけずっと、こうして隠し事するって言うのも、ね………」

ラリーはそう言った。

 

「……………別に、無理して言わなくても良いんだぜ?誰だって隠し事の1つや2つは持ってるモンだ」

 

俺はそう言うが、ラリーは首を横に振る。

 

「ありがとう、相棒…………でも、やっぱり駄目なんだ。このまま隠し続けるってのは……………コレは明日、他の皆にも伝えるよ」

「そうか……………」

 

ラリーの意思は強いようなので、俺はこれ以上、何も言わない事にする。

 

「だから先ずは、君に聞いてほしいんだ。僕の、本当の姿を…………」

 

そう言ってラリーは立ち上がり、目を瞑って体を少し反らした。

すると、ラリーを目映い光が包み、その光が弾けて消えると、さっきのように、体のあちこちに紋様を浮かび上がらせたラリーが姿を現した。

そして、ラリーはこう言った。

 

 

「僕の本当の姿はね……………………………

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

………………………………魔神とヒューマン族のハーフなんだよ」




気づけば通算UAが20万を超えていた……………((((;゜Д゜)))

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