航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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今回、久し振りに神影視点でお送りします。


第120話~ただいま!我が故郷と恋人達よ!~

こうやって俺目線で話すのも、随分久し振りだな。何話ぶりなのか、もう数えるのも億劫だぜ……………

 

 

 

……………と言う訳で、どうも皆さん、ご無沙汰してます。ガルム隊1番機、TACネーム"サイファー"こと、古代神影です。

 

さてさて、王都で魔人族と戦ってボロボロになった後、何か知らんが現れた泥人形を倒すために回復する間も無く再出撃して、倒したは良いものの殺されたが、本当の"サイファー"と出会い、彼女の体を借りての復活を果たした俺は今、閉ざされたルージュの門の前に立っている。

 

「あ~、何か緊張するなぁ…………」

 

目の前に聳え立つ門を見ながら、俺はそう呟いた。

 

「まあ、ルージュの人達も、君は死んだと思ってるし……………何より、君が死んでから1週間経ってるんだ。そりゃ気まずくもなるさ」

「マジで?俺が死んでから1週間経ってんの!?」

 

全然知らんかった………………サイファーよ、その辺り教えてくれたって良いじゃねぇか…………

 

「その様子だと、死んでから何れぐらい経ったのかは知らないようだね」

 

苦笑を浮かべながら言うラリーに、俺は頷いた。

 

「それもそうだが…………俺等あれだけ暴れたのに、町の人は1人も出てこなかったんだな。ある意味ビックリだ」

 

俺は、あの蹂躙劇があったにも関わらず、誰も町から出てこなかった事について呟いた。

 

「ああ、その事なら僕が言ったんだよ。『町から出るな』って」

 

ラリーがそう言った。

 

まあ、俺とラリー(と言っても殆んどラリー)がやったのは、最早殺戮ショーみたいなものだからな。

そんなのをルージュの人達には見せたくなかったんだろう。

 

「成る程な…………まあ、取り敢えず町に入ろうぜ。皆に復活の報告をしないと」

「うん」

 

そうして町に入ろうとした俺だが、ふとラリーの方に目を向けた。

 

「ところでラリー、お前の手とか顔とかの紋様って消せねぇの?」

 

俺はそう訊ねた。

 

「え、どうして?もしかして……………気持ち悪い?」

「いや、そう言う訳じゃないんだけどさ……………町の人も驚くと思うんだよ。その紋様とか…………それに目の色も変わってるし」

「それ、少なくとも性転換して戻ってきた君が言えるような台詞じゃないと思うんだ」

 

そう言いつつ、ラリーは紋様を消せないかどうか試す。

 

結果だけ言うと紋様は消せるらしく、目の色も、元のエメラルドグリーンに戻った。

 

「うんうん、さっきのお前も結構カッコいいけど、やっぱコレの方が良いな。見慣れてるってのもあるし」

 

そう言いながら、ラリーの肩を組む。

 

「ッ!?ちょ、ちょっと……相棒…………」

 

そうすると、ラリーの頬が赤く染まる。はて、前は何度もやってたのに、今さら何を恥ずかしがるのやら……………?

 

なんて思いながら、俺はラリーの肩から手を離す。

 

「あっ………」

 

ラリーが小さく声を漏らすが、一先ず無視して門を押し開け、1週間ぶりの町に足を踏み入れる。

 

「……………………あれ?」

 

だが、町の人は居なかった。

 

疑問に思って"気配察知"を使うと、もっと奥の方に固まっているのが見えた。

 

「(まさかとは思うが、俺等の蹂躙を門の隙間とかから見て、ドン引きされたとか無いよな……………?)」

 

そう思うと、俺は不安になってくる。

 

「ラリー、ちょっと急ぐぞ!」

「え?」

 

ラリーから間抜けな返事が返されるが、俺は無視して両足に力を込め、地面を一気に蹴り抜く。

轟音と共に爆ぜる地面を背景に飛び出した俺は、ガランとした町を直進する。

すると、前方にルージュの住人達なのであろう人だかりが小さく見えてくる。

何やら蠢いているのを見る限り、猛スピードで近づいてくる俺に慌てているようだ。

このまま直進すれば、彼等をボーリングのピンの如く撥ね飛ばしてしまうため、態勢を変えて急ブレーキを掛ける。

両足の踵が地面をガリガリと抉り、徐々に速度が落ちていく。

そして俺は、彼等の2メートル程手前で止まった。

 

『『『『『『『『『『………………………』』』』』』』』』』

 

そんな俺に、何十……………いや、何百ものルージュの住人達からの視線が突き刺さる。

 

「……………」

 

此処に来てこんな事を言うのも変な話だが、俺は、彼等に掛ける言葉を全く考えてなかった。

普通に挨拶しても、『お前、誰だよ?』なんて返されるのがオチだ。

さて、どうしたものか……………

 

「…………あっ」

 

そんな時、俺はアルディアの3人の姿を見つけた。

 

「……ソブリナ………ニコル………エリス……………」

『『ッ!?』』

 

無意識の内に名を呟くと、3人は聞こえていたのか、目を見開いた。

 

「貴女、誰なの…………?どうして、私達の名を…………」

 

ソブリナが警戒しながら訊ねてくる。

ニコルとエリスも少し距離を取りつつ、警戒心を含んだ眼差しを向けている。

若干ショックだが、無理もない。

 

何せ今の俺は、姿が変わっているんだからな。

 

「ああ、俺は…………」

 

そう言いかけた時だ、俺の隣に魔法陣が展開され、ラリーが姿を現した。

そして俺の姿を視界に捉えると、俺の両肩を掴んだ。

 

「相棒、急に行かないでよ!ビックリするじゃないか!!」

「お、おう。すまんな…………」

 

大声を張り上げるラリーに圧倒され、俺は若干たじたじになりながら

そう返した。

 

「ちょ、ちょっと、何?どういう事?」

「今、ラリーの奴…………"相棒"って…………」

「ラリーがそう呼ぶのって、ミカゲだけだよな?」

「一体、何がどうなってるの?」

 

ルージュの住人達から、次々に戸惑いの声が上がる。

 

「あ、あの………ラリー様……………?」

 

すると、またしても聞き慣れた女性の声が聞こえる。

その声の主に視線を向けると、其所に居たのは……………

 

「………ゾーイ………………」

 

何時ものメイド服に身を包んだ、我がガルム隊4番機、ゾーイ・ファルケンこと、ゾーイだった。

そして彼女の周囲には、我がガルム隊の女性メンバーが勢揃いしていた。

 

「…………………」

 

俺が名を呼んだ事に一瞬面食らったゾーイは、ラリーの方へと視線を向け直した。

 

「ラリー様、そちらの女性は一体………………?」

 

ゾーイがそう訊ね、俺の方に怪訝そうな目を向けた。

他の女性メンバーも、ゾーイと同じような目を向けている。

 

「ああ、それはね……………」

 

そう言いかけて、ラリーは俺の方を向いた。

どうやら、コイツの方から説明するつもりらしい。

 

「……………分かった、任せる」

 

俺がそう言うと、ラリーは頷いてゾーイ達に向き直った。

 

「彼女は、相棒だよ…………………

 

 

 

 

 

 

 

………………………ガルム隊1番機、TACネーム"サイファー"こと、ミカゲ・コダイだ」

「ッ!?う、嘘ッ!?」

 

ラリーの返答に、ゾーイは驚きのあまりに両手で口元を覆って目を見開いた。

 

「ら、ラリー様。それは流石に有り得ません」

 

其処へ、アドリアが口を挟んできた。

 

「貴方も見た筈です。ミカゲ様が、勇者に殺されるところを」

「ああ、見たよアドリア。でも相棒は、こうやって蘇ったんだ」

 

ラリーがそう答えるが、アドリアの反応はよろしくなかった。

 

「そんな質の悪い冗談はお止めください。幾ら私達が傷心だからと言って、そのような事を…………」

 

俺と出会ったばかりの頃のような鋭い視線を、アドリアは向けた。

何時の間にか復活したゾーイも、同意とばかりに相槌を打っている。

 

「ねえ、ラリー。流石にコレは、私でもどうかと思うわ」

 

ソブリナもそう言った。

 

「そうか……………なら、最後の手段だね」

 

そう言うと、ラリーはまたもや俺の方を向いた。

 

「相棒、彼女等にステータスを見せてあげてくれない?」

「あいよ」

 

そう言って、俺は右手にステータスの映像を浮かび上がらせた。

 

 

 

映像には次のように記されていた。

 

 

 

 

 

 

名前:古代 神影

種族:Unknown

年齢:18歳

性別:女

称号:異世界人、円卓の鬼神(Demon Lord of The Round Table)、天空の覇者、死神、人の域を破りし者、不死身のエース、自重知らず、狼殺し、人型兵器、人間失格、人の皮を被った化物、裏切られし者、蘇りし者、英雄悪魔そして亡霊、公平なる狩人、一騎当千

天職:航空傭兵

レベル:400

体力:200010

筋力:187010

防御:190010

魔力:156010

魔耐:168010

俊敏性:250010

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知、馬鹿力、制限解除(リミット・ブレイク)、状態異常無効化、詠唱破棄、高速回復

 

 

 

「……………おっ」

 

どうやら、あの時騎士団を蹂躙した影響で、少しだけステータスが上がったようだ。

それにしても、全ステータスで上がったのがたったの10か…………まあ、メインでやったのはラリーだし、そもそも騎士の連中、それ程強くないだろうし……………気にしない方が良さそうだな。

 

 

 

 

「………………」

 

そんな中、俺が表示したステータスを凝視しているアドリアは、体を小刻みに震わせていた。

 

「………ほ、本当に……………」

 

不意に、ポツリポツリと口を開く。

 

「本当に、ミカゲ様…………なのですか……………?」

 

そう言ってアドリアが顔を上げ、俺を見る。

 

「ああ、そうだ……………俺だよ、アドリア」

「ッ!……あ………ああぁぁぁ…………」

 

アドリアの両目に、涙が浮かんだ。

 

「ミカゲ様あああぁぁぁああっ!!」

 

そして、アドリアは俺の胸に飛び込んできた。

 

「……ミカゲ様………ミカゲ様!」

 

それに間髪入れず、今度はゾーイが飛び付いてくる。

 

「良かった………本当に、良かった……!」

「………もう、2度と会えないかと…………ッ!」

 

俺に抱きつき、ゾーイとアドリアは、其々の思いを口にする。

 

「………心配、掛けたな……………すまねぇ」

 

そう言って2人を強く抱き締め、頭を優しく撫でてやる。

それからアルディアの3人、そしてエスリアにも同様の言葉を掛けると、彼女等は一斉に飛び込んできた。

他のガルム隊メンバーはその場で泣き崩れ、ルージュの住人達も、俺が表示しっぱなしにいているステータスを見ると、物凄い歓声を響かせた。

 

 

それから暫くして、泣きまくっていた面々が漸く落ち着き、一旦ラリーと共にルージュの住人質の方に下がらせると、俺は彼女等の前に立った。

 

 

「………皆………ただいま!」

 

そう言うと、皆は互いに顔を見合わせてから言うのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

『『『『『『『『『『お帰りなさい!!』』』』』』』』』』




さてさて、ルージュに帰還した神影は、無事に恋人達との再会を果たしました。
残りはクルゼレイ皇国の王女だけですね。


さて、話は変わりますが今日、生徒会役員共の映画を見てきました。

何時も通りに下ネタ満載で、タカトシの転校疑惑もアッサリ解決。
『何か予告で見てイメージしたのと違うなぁ~』なんて思いつつ、『まあ、こう言うアニメだし』と割り切りつつエンディングを見終えたら……………最後の最後で超ロマンティック&恋愛チックな光景見せてくれやがりましたよ!
何あれ?最後で超ビックリでしたよ!

お陰で別の作品のネタも浮かんでしまった。もうやだ、この浮気性みたいな俺。

……………とまあ、そんな感じの1日でした。

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