航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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今回、騎士団を蹂躙します。

上手く書けてたら良いんだけどなぁ…………


第118話~蹂躙劇~

「Yo,buddy.You still alive?(よう相棒、未だ生きてるか?)」

「……………………」

 

笑みを浮かべてそう言った女性に、ラリーは戸惑いを隠せなかった。

目を大きく見開いて彼女を見つめ、目を擦っては、また彼女を見つめる。

 

「き、君………誰?」

 

ラリーは、何とか言葉を絞り出す。

その女性は苦笑を浮かべて口を開いた。

 

「おいおいラリーよ、『誰?』とは酷ぇじゃねぇか。一緒にあちこち飛び回った相棒を、もう忘れちまったってのか?」

 

そう言うと、女性はラリーに歩み寄り、手のひらを上に向けた右手に立体映像を映し出した。

 

「コレ、見てみろよ」

 

その映像には、こんなものが映っていた。

 

 

 

 

 

 

名前:古代 神影

種族:Unknown

年齢:18歳

性別:女

称号:異世界人、円卓の鬼神(Demon Lord of The Round Table)、天空の覇者、死神、人の域を破りし者、不死身のエース、自重知らず、狼殺し、人型兵器、人間失格、人の皮を被った化物、裏切られし者、蘇りし者、英雄悪魔そして亡霊、一騎当千

天職:航空傭兵

レベル:400

体力:200000

筋力:187000

防御:190000

魔力:156000

魔耐:168000

俊敏性:250000

特殊能力:言語理解、僚機勧誘、空中戦闘技能、僚機念話、魅了・催淫無効化、錬成『アレスティング・ワイヤー』、錬成『カタパルト』、拡声、アルコール耐性、気配察知、馬鹿力、制限解除(リミット・ブレイク)、状態異常無効化、詠唱破棄、高速回復

 

 

 

「………………」

 

それは、女性の者と思わしきステータスだった。

ラリーはその中でも、名前の欄に注目していた。

 

「ほ、本当に………相棒、なの……………?」

 

信じられないと言わんばかりの表情を浮かべ、今、自分の目の前に居るのが古代神影なのかを確認するラリー。

そんなラリーに、女性は……………古代神影は頷いた。

 

「ああ。正真正銘、ガルム隊1番機、TACネーム"Cipher"こと、古代神影だ」

 

神影はそう言った。

 

「……………ッ!相棒!!」

 

ラリーは激情に任せて駆け出し、神影に抱きついた。

 

「おっと」

 

神影は軽く驚きつつも、胸に飛び込んできたラリーを抱き留めた。

 

「……良かった…………本当に、良かっ……た……………相棒………相棒!」

 

程よく膨らんだ胸に顔を埋め、ラリーは泣く。

 

「………………」

 

女体化した上に男に抱きつかれ、さらに胸の中で泣かれている事に複雑な気分を味わう神影だが、自分のために泣いてくれているのを無下にしようとは思わず、ラリーの頭に手を置いた。

 

「…………待たせてゴメンな、ラリー」

 

神影がそう言うと、ラリーは胸の中で首を横に振った。

それから暫くの間、呆気に取られるブルーム達を他所に、ラリーは神影の胸の中で泣き続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「…………落ち着いたか?」

「う、うん………」

 

暫くするとラリーも落ち着きを取り戻し、ゆっくりと神影から離れた。

心なしか、頬が赤くなっている。

 

「(野郎に顔赤くされても何とも思わねぇんだが……………コイツ中性的な顔してるから、その辺りが微妙なんだよなぁ…………)」

 

そう思った神影は、何とも言えないような表情で頬を掻いた。

 

「と、ところで相棒。どうやって生き返ったの?それに、なんで女なの?」

 

神影に泣きついた事を誤魔化したいのか、ラリーが問い掛ける。

 

「あ~、ちょっと色々あってな」

 

神影は曖昧な返事を返した。

 

「まあ、詳しい話は後でするとして…………」

そう言うと、神影はブルーム達の方を向き、彼等を指差した。

 

「ラリー、あれ王国騎士団の連中だよな?なんで彼奴等がルージュに来てるんだ?」

「え?…………あ、ああ。実はね…………」

 

ラリーが説明しようとした時、我に返ったブルームが口を開いた。

 

「成り損ない勇者の死体を回収しに来たのだ」

 

ブルームがそう言うと、神影は彼の方に視線を向ける。

 

「『この世界を救う勇者として召喚されておきながら、勇者の称号を持たぬ上にステータスも貧弱。なのに強力な魔道具擬きを持ち、それの提供を愚かにも拒むような奴の死体など、焼却処分で十分だ』と言う宰相からのお言葉よ」

 

ドロワットが言葉を続けると、神影は不快そうに表情をしかめた。

 

「(重傷負ってまで王都を救ってやったってのに、随分な扱いしてくれるじゃねぇかよ、あの死に損ないは………)」

 

内心そう呟いていると、ブルームが問い掛けてきた。

 

「それにしても貴様……………本当に、あの成り損ない勇者なのか?」

「ああ、そうだ。姿は大分変わっちまったがな」

 

神影はあっさり答えた。

 

「そ、そうか………まあ、どうでも良い事だがな……………それより」

 

そう言って、ブルームは一方的な要求を突きつけた。

 

「この町に貴様の墓があり、其所に本来の貴様の死体が埋まっているそうだ。それを掘り起こし、我々に渡せ。王都で処分する」

「嫌だね、誰が自分の体を他人に易々と渡すかってんだ。一昨日来やがれナルシスト」

「なっ………!?」

 

神影に即答されて言葉を失うブルームに、神影はさらに言い募った。

「それにしてもテメェ等、命の恩人に対して随分と失礼な真似しようとしてるみてぇだな。助けてやった事に礼も言わない上に、あろうことか『死体を処分する』だぁ?ふざけてんじゃねぇぞ」

 

そう言う神影を、ブルームは鼻で笑った。

 

「フンッ、あの魔道具擬きが無ければ何も出来ない、弱い貴様等にはお似合いの処遇だ。貴様等のような弱者は、黙って強者のされるがままになっていれば良いのだ」

「ほう…………」

 

ブルームがそう言うと、神影はニヤリと笑みを浮かべた。

 

「そうか……………つまり、強者は弱者に対して何をしても許されるって事か」

「漸く理解したか………なら、さっさと──」

 

ブルームが最後まで言い終えるのも聞かず、神影はフッと姿を消した。

 

「ッ!?ど、何処に行った!?」

 

急に神影が消えた事に戸惑い、ブルームが辺りを見回す。

 

「此処だよ、此処」

 

すると突然、ブルームの背後から女の声が聞こえる。

ゆっくり振り向くと、其所には拳を構えた神影が立っていた。

 

「強者が弱者に何をしても許されるなら……………俺がお前等を玩具にしても文句ねぇよな?」

 

そう言って、神影はブルームの腹に拳をめり込ませた。

 

「ごはぁっ!?」

 

直撃を受けたブルームは、体を一瞬"く"の字に曲げて飛び上がる。

そして腹を押さえ、口から胃液を垂れ流しながら後退りした。

 

「ぶ、ブルーム!?」

 

ドロワットが慌てて、ブルームに駆け寄った。

それを神影は、つまらなさそうに見下ろしていた。

 

「何だよ、こんなので動けなくなるのか?"成り損ない勇者"だの"弱者"だの好き勝手言ってた割りには、大したモンじゃねぇんだな」

「ッ!あ、貴方ねぇ…………」

 

ドロワットは忌々しげに神影を睨むと、徐に立ち上がって剣を抜いた。

 

「調子に乗るんじゃないわよ!魔道具擬きで強くなった気で居る成り損ないの分際で!」

 

そう言って剣を振るうドロワット。

だが神影は、それを避けるどころか右手の人差し指と中指だけで受け止めた。

 

「ッ!?」

 

コレにはドロワットも驚き、目を大きく見開く。

 

「その"成り損ない"に助けられたのは、何処の誰だっけ?」

 

そう言いながら、神影は2本の指で受け止めた剣をへし折った。

 

「くっ……………このぉ!」

 

愛用の剣を壊された怒りからか、ドロワットが神影に殴り掛かる。

「おっと」

 

神影は彼女の拳を軽々と受け止めて彼女の背後に回り込み、両手を掴んで拘束した。

 

「ッ!?ちょっと、離しなさい!この私にこんな事をして、許されると思ってるの!?」

 

必死にもがき、神影に怒鳴るドロワット。

「だって、強者は弱者に何をしても許されるんだろ?其所の銀髪ナルシストもそう言ってたじゃねぇか」

「……………ッ!」

 

ブルームの言葉が、ブーメランとなってドロワットにぶち当たる。

 

「まあ、だからと言って殺したら、お前等以下になっちまうし、そもそも、お前等程度に殺す価値も無いからな………」

 

神影はそう言うと、ドロワットの背中に右足をつける。

 

「お前の場合、コレだけで済ませてやるよ」

 

そう言うと、神影は足に力を入れて一気に押し出す。

すると、ブチブチッ!と嫌な音を立てて、ドロワットが両腕を失った状態で神影の拘束から押し出された。

乱暴に引きちぎられたような断面から、血を撒き散らしながら……………

 

「えっ……………?」

 

最初、自分に何が起こったのか分からず間の抜けた声を漏らすドロワットだったが、地面に叩きつけられ、自分の両肩から先が無くなっている事に気づくと、遅れてやってきた激痛に襲われ、悲鳴を上げる。

 

「ど、ドロ……ワット…………」

 

両腕をもぎ取られたドロワットを見て、ブルームが表情を怒りに染める。

 

「貴様ぁ………よくも、よくもドロワットを…………俺の婚約者を!!」

 

そう言って立ち上がり、神影に立ち向かっていくブルーム。

だが……………

 

「ぐぁっ!?」

 

突然、何処からか飛来した槍が脚に突き刺さり、ブルームはドロワットの2メートル手前で倒れた。

何があったのかと辺りを見回すと、右手に禍々しい色の槍を持っているラリーが目に留まった。

その瞬間、自分に槍を突き刺したのはラリーだと、ブルームは瞬時に判断した。

 

「貴様…………何をするのだ!?」

 

槍が突き刺さった部分の痛みなど気にせず、ブルームはラリーに怒鳴る。

今までずっと格下として見てきたラリーから攻撃を受けるなど、ブルームにとっては屈辱以外の何物でもなかった。

 

「貴様等…………俺やドロワットに傷をつけて、タダで済むと思ってるのか!?」

「相棒の気持ちを踏みにじった上に墓暴きまでしようとした癖に、よく言うよ」

 

ラリーはそう言うと、転移魔法でブルームの直ぐ傍にやって来る。

 

「そう言えば、君もドロワットも、他の連中も、皆寄って集って僕を攻撃したよね…………訓練用の木刀で殴り、魔法をぶつけたよね。やれ『平民風情が粋がるな』、『没落魔術師』、『士官学校の恥さらしだ』、『生きる価値も無いクズだ』と好き勝手に言いながら…………………僕の話なんて聞かず、ただ一方的に攻撃して、それで満足したら帰っていったっけ………」

 

そう言いながら、ラリーは右手の槍を消してブルームを掴み上げる。

 

「そして今此処で、君は、君達のために重傷を負いながらも戦った相棒の遺体を、『王都に持ち帰って処分する』と公言していたね……………コレ程不快な事があるものか…………?いや、無いね」

 

そう言うと、ラリーは赤い瞳でブルームを睨み付けた。

 

「……………身の程を弁えろよ、雑魚」

「ぐおっ!?」

 

ラリーはブルームを離し、魔法で土の十字架を錬成し、それにブルームを磔にした。

 

「安心しろ、殺しはしない。でも……………2度と女に囲まれないような体にしてやるよ」

 

必死にもがくブルームにそう言うと、ラリーは彼が死なないように加減して、彼の顔面を殴り始めた。

 

「げほっ!ぐげっ!?がぅおっ!げぼぉあっ!?」

 

拳が1発1発当たる度に、ブルームの情けない声が上がる。

顔面だけでは足らなくなったのか、今度は体も殴り付けるラリー。

ブルームが着ている服は引き裂かれ、つけられていた鎧は砕け散る。

そして露出した引き締まった体に、容赦無く拳が叩き込まれ、幾つもの痣を作り出していく。

 

「や、やぶぅぇ……………ぼう、ぼべいびょうは…………」

 

何度も殴られて頬が膨らみ、目にも痣を作り、歯が何本も折れてマトモに喋れないような状態で、ブルームは情けない声で止めるように頼み始める。

 

「君は、僕が止めるように言っても止めてくれなかったよね?だから止めないよ。徹底的に苦しめてやる」

 

そう言って、ラリーは右腕に魔力を纏わせ、それを剣の形にすると、ブルームの右腕に降り下ろし、磔にしている土の棒もろとも切り落とすと、血が噴き出すより前に火属性の魔法で傷口を焼き炙った。

 

「あごぉぉあああぁぁああっ!?」

「五月蝿いな…………黙れよ」

 

腕の痛みや、炎の熱さに叫ぶブルームの喉仏を、ラリーは強めに殴り付けた。

 

「~~~ッ!?ゲホッゴホッ!」

 

喉仏を殴られたブルームが咳き込むと、ラリーはブルームの頭に回し蹴りを叩き込む。

 

「ッ!?…………」

 

急に頭を蹴り抜かれたブルームは、ガックリと項垂れて意識を手放した。

 

「うっわぁ~…………容赦ねぇな、お前」

「当たり前だろ?やるなら徹底的にやらせてもらうさ」

 

そう言って、ラリーは未だにもがいているドロワットの腹に1発蹴りを入れると、軽い電気ショックを与えて無理矢理気絶させる。

 

「さて………………次は君達だよ」

 

そう言ったラリーの視線の先に居たのは、他の騎士達だった。

 

「ちょちょちょちょっ!?ちょっと待てよラリー!まさか、俺等にもあんな事するつもりなのか!?」

 

騎士の1人が、ブルームとドロワットを指差して叫んだ。

先程までラリーに強気な態度を取り、見下したような目で見ていたのだが、彼に叩きのめされるブルームを見てからは、すっかり恐怖心が植え付けられたようだ。

 

「ああ、勿論だよ。まさか、自分達だけ無傷で帰ろうとでも思ってたのかい?」

「うぐっ…………」

 

図星を突かれ、その騎士は言葉を詰まらせる。

 

「い、いや。でもだな…………」

「何?言い訳でもしたいの?言っとくけど聞く気は全く無いよ」

「クソッ……………な、なあ!其所の女!お前、ソイツの友人なんだろ!?黙ってないで何とか言ってくれよ!」

 

ラリーが自分達の話を聞いてくれないと悟るや否や、今度は神影に頼み始める。

「…………………」

 

だが、神影は後頭部で手を組んで明後日の方向を向いていた。

 

──お前等がどうなろうが、俺には関係無い──

 

神影の態度は、そのように語っていた。

 

 

「それじゃあ……………行くぞ」

「う、うわああぁぁぁあああぁぁあっ!!」

 

恐怖心に駆られ、騎士達は一目散に逃げ出すが、ラリーは追おうとせず、徐に1人の騎士を指差した。

 

「……………吹っ飛べ」

 

ラリーがそう言うと、彼が指差した騎士の足元に魔法陣が現れ、次の瞬間には爆発した。

 

「ぐあああぁぁぁぁあああぁあっ!?」

 

爆発によって巻き上がる砂埃の中から、騎士の悲鳴が響いてくる。

そして、まるで砂埃の中から吐き出されるかのように、その騎士が放り出された。

 

「い、痛ぇ…………お、俺の………足、があぁぁ…………」

 

のたうち回る騎士は、片足を失っていた。

どうやらラリーが作り出した魔法陣には、神影達が住んでいた世界で言う、地雷のような効果があるようだ。

 

 

それからラリーは、のたうち回る騎士など目もくれずに逃げ惑う他の騎士達を追い、ある者は腕を斬り飛ばし、またある者は魔法で四肢を引きちぎり、燃やし、水や電撃を浴びせ、彼等が許しを請うのも聞かず、徹底的に嬲り倒した。

全員が意識を失うまで続いたこの蹂躙劇は、騎士3人を帰らぬ人とし、残りは全員、腕や足を吹き飛ばされ、身体中に痣を作り、顔も惨たらしい状態に腫れ上がると言う結果を生み出した。

特に、今回のリーダー格であるブルームやドロワットの場合は酷く、騎士として使い物にならなくなったのは勿論、顔もボロボロにされ、マトモに話す事も見たり聞いたりする事すら出来ないだろう。

 

 

それからラリーは、神影にその場で待つように言った後、比較的損傷の少なかった騎士の服の胸ポケットに、『次にふざけた事をするなら、今度は貴様等に死を告げに行く』と書いたメモを押し込むと、数十分後に崩れる仕掛けにした土の檻を作り出してブルーム達を中に放り込むと、それを持ち上げて王都上空に転移すると、王宮目掛けて落とし、再び神影の元へと戻るのであった。


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