航空傭兵の異世界無双物語(更新停止中)   作:弐式水戦

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第100話~帰還と同時にパーティーDA!…………って、アンタも来るの!?~

さてさて、クレアさん関連の話でラリーがエメルとリーアに質問攻めされたり、何か訳分からんままにEW1ぶっ放したりしている内に、俺達ガルム隊は、ルージュ上空に到着していた。

 

「いやぁ~、遂に帰ってきたぜ~!」

「"遂に"って……………そんなに長い間居なかった訳でもあるまいに………」

 

上空を旋回し、町を見下ろしながら言う俺に、ラリーが苦笑混じりにツッコミを入れてきた。

 

「まあ、そうだけどさぁ」

 

何とも言えない気分で返事を返すと、ギャノンさんが隣に並んだ。

 

「ミカゲって、本当にルージュが好きなんだな」

「そりゃ、ガルム隊発足の地でもあるし、何だかんだで俺等、ずっとルージュを拠点に活動してましたからね」

 

俺はそう答えた。

 

ルージュは俺等ガルム隊からしても付き合いの長い町だし、この町の人達も、俺にとっては家族のようなものだ。

それに今では、アルディアの3人やエスリアと言った、愛しき恋人達が、俺の帰りを待っている。

そんな町を好きにならない者が居るか?愛着を抱かない者が居るか?いや、居ないだろう。

 

「おっ、何やらワラワラ出てきたぜ?」

 

ギャノンさんが地面を指差してそう言う。

そっちに目を向けると、轟音を聞き付けて出てきたルージュの人達が居た。

その中には、何時も酒を飲んでるオッチャンや、我が愛しき恋人達の姿もあり、此方に手を振っている。

 

俺は手を振り返す代わりに、エルロンロールしながらフレアをばら蒔いた。

 

それから、俺達は一旦引き返して進路を修正すると、着陸態勢に入って速度を落とす。

そして、ルージュの門の手前で着陸し、門を潜ったところで止まった。

 

それからルージュの人達に囲まれたり、俺がアルディアの3人やエスリアに抱きつかれ、町の人達に冷やかされたりしたのは言うまでもない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

さて、そんなこんなで俺達は、ルージュの冒険者ギルドに来ていた。

その理由は、クルゼレイ皇国で何があったのかを聞きたいとせがまれたからだ。

 

何処にあったのか、簡易的な舞台の上に置かれた椅子に腰掛けて話す俺の前には、アルディアの3人やエスリア、他の冒険者達は勿論、他の住人達が居た。

 

「…………え~、まあ、こんな感じの事があったんですよ」

『『『『『『『『………………』』』』』』』』

 

俺が話を終えると、ギルド内に沈黙が流れた。

まあ、無理もないだろう。

 

冒険者登録したその日に、難攻不落とさえ言われた黒雲を壊滅させ、それから短期間で、最高ランクであるSSSランクに昇格し、今ではこの国だけでなく他国でも有名になっている(であろう)俺達ガルム隊だが、肩書きはただの"冒険者パーティー"だ。

超少数の軍事国家と言う訳でもないし、軍隊でもない。

言わば、"ランクが超高いだけの冒険者パーティー"なのだ。

そんな連中が、外国では重要人物として扱われるわ同盟持ち掛けられるわすれば、そりゃ驚かれるわな。

 

「何つーか、お前等スゲェな」

 

すると、オッチャンが口を開いた。

 

「前々から常軌を逸してるとは思ってたけど、今回ばかりは尚更ね」 「ああ、俺等のガルムが完全に雲の上の存在になっちまった………」

 

他の冒険者からも、そんな声が上がる。

 

オッチャン達の反応に苦笑を浮かべていると、服の裾がチョイチョイと引っ張られた。

振り向くと、其所にはニコルが立っていた。

 

「ミカゲ………同盟結ぶ?」

 

可愛らしく首を傾げ、ニコルはそう言った。

 

「まあ、俺としては結んでも良いかと思ってるよ。他種族とも繋がってるっぽいから、色々と有益な情報が得られるかもしれねぇし」

 

俺はそう答えた。

 

もし、クルゼレイ皇国が魔王と繋がっており、尚且つ、魔王がヒューマン族に対して友好的なら、話をする機会を設けてもらえるように計らってもらうと言うのも良いだろう。

後は、エリージュ王国との関係について出来る限りの事を教えてもらうだけだ。

 

その際に俺が聞きたい事は、エリージュ王の安否だ。

この世界に召喚された時、俺等に色々と話したのは宰相であって、国王ではない。

おまけに今考えれば、俺は国王に会った事が1度も無いのだ。

 

エリージュ王は生きているのか?

もし生きているなら、本当に呪いを掛けられているのか?

仮に呪いを掛けられているとして、それを解いた時、本当に俺達は日本に帰れるのか?

 

等と、色々聞いておきたい。

 

 

それと、もしエリージュ王云々の話が嘘で、魔王を倒したとしても日本に帰れないとか、そもそもエリージュ王が死んでるとか、宰相とグルだったりした場合、俺達が日本に帰る術はあるのかも聞いておきたいな。

まあ、帰る方法については、『この世界と日本を行き来出来る魔法を考える』と言う話を、大分前にラリーとしたものだが、『念には念を』と言うヤツだ。

 

質問しすぎな気がしないでもないが、少なくとも損にはならないだろう。

 

「(まあ、コレは"魔王と接触出来れば"の話だけどな………)」

 

俺は内心そう呟いた。

 

「…………ミカゲ?」

 

そうしていると、何時の間にかニコルの顔が、俺の視界一杯に広がっていた。

 

「お、おう。どうした?」

 

ドアップで視界に広がるニコルの顔に内心驚きながら、俺は聞き返した。

 

「さっきから、ずっと黙ってる……大丈夫………?」

 

心配そうな表情を浮かべて、ニコルはそう訊ねてきた。

 

「ああ、大丈夫だよニコル。ちょっと考え事してたんだよ」

 

そう言って、ニコルの頭を優しく撫でてやる。

 

気持ち良さそうに目を細めてすり寄ってくるニコルに、自然と頬が緩む。

 

「それにしてもミカゲ。貴方、ホント出世したわよね」

 

不意に、ソブリナが話し掛けてきた。

 

「去年まで普通の冒険者だったのに、其処から国中で有名な冒険者パーティーに、そして挙げ句の果てには、外国で重要人物として見られてるなんて…………トンでもない成り上がり劇じゃない」

 

ソブリナの言葉に、エリスが相槌を打った。

 

「(確かに、成り上がりっちゃ成り上がりだよな、コレ)」

 

この世界に召喚された当初は、ステータスも最弱で、称号も勇者ではなく、ただの異世界人。

男子や王族、貴族からは完全に無能扱いだったからな。

そして挙げ句の果てには、富永一味によるリンチ攻撃……………だったかな。

 

「(その時の俺からすりゃ、今の状況は考えられなかっただろうな)」

 

俺は内心そう呟き、さっきの話について彼是と語り合っている冒険者達の話を聞いていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それから数分後、ギルド内は落ち着きを取り戻していた。

ガヤガヤと笑い声や話し声が飛び交い、何時もの光景が広がっていた。

 

「やっぱり、ルージュのギルドはこうでなくちゃな」

 

そんな事を呟いていると、ラリーが話し掛けてきた。

 

「ところで相棒、あの事を言わなくても良いのかい?」

「…………"あの事"?」

 

何を言っているのか分からず、俺は聞き返す。

 

「何キョトンとしてるのさ?新しく恋人が出来たんだから、報告しないと。特に、アルディアの3人とエスリアさんにはね」

「あ~、確かにそうだな」

 

俺がそう言うと……………

 

「ミカゲさん、私達がどうかしたんですか?」

 

傍で話を聞いていたのか、エスリアが話に入ってきた。

「ああ。実は、4人に言わなきゃならない事があってな。今、時間貰えるか?」

「はい!」

 

俺が言うと、エスリアは何時ものニパッとした笑顔を向けてくれた。

それから俺は、アルディアの3人やゾーイ、アドリアにも声を掛けると、6人を連れてギルドを出て、宿の部屋へと向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宿のおばちゃんや娘さんに挨拶してから部屋にやって来た俺達は、先ず、エスリアとアルディアの3人のグループ、そして、俺とゾーイとアドリアのグループに分かれ、この2つのグループで向かい合う形でベッドに腰掛けた。

 

「それでミカゲ、私達に言わなきゃならない事って何なの?」

開口一番、エリスが訊ねてきた。

 

「ああ、それなんだがな…………」

 

そう言って、俺はゾーイとアドリアに顔を向ける。

2人は俺を真っ直ぐに見つめ、頷いた。

 

『『……………?』』

 

そんな俺達を見て首を傾げる4人に向き直り、俺は口を開いた。

 

「実は…………」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「………成る程、クルゼレイ皇国の王女様がねぇ…………」

 

俺が話を終えると、ソブリナが小さく呟いた。

 

「『クルゼレイ皇国でミカゲを好きになる人が現れても構わない』とは言ったけど、まさか、こんなに早く現れるとは思わなかったわ」

「王女に、好かれる…………ミカゲ、大物…………ッ!」

 

呆れたように言うエリスの隣では、ニコルが何故か、目を輝かせていた。

 

「はわわわ………いきなり新たな女の子の登場ですか………それも、国のお姫様なんて………」

 

頬を赤く染めたエスリアがそう言う。

 

「……………と言う訳なんだが、どう思う?」

「どうも何も、別に構わないわ」

 

俺の質問に、エリスが即答した。

 

「前にも言ったでしょう?『クルゼレイ皇国でミカゲを好きになる人が現れても構わない』って」

「あ、ああ」

 

エリスの言葉に、俺は頷く。

 

「それに、たとえ新しく恋人が出来ても、平等に私達を愛してくれるんでしょう?なら、問題無いわ」

 

エリスに続ける形でソブリナが言うと、他の面々も頷いた。

それを見ていると、自然と頬が緩む。

 

「そっか……………ありがとな、皆」

 

そして礼を言うと、4人は頬を赤く染めながら頷くのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「んじゃ、明日の昼頃に取りに来な。それまでには完成させとくからよ」

「了解です」

 

さて、ソブリナ達と話をした後、先に我が恋人達をギルドに行かせた俺は、伝魔石の指輪を新しく作ってもらうため、例の店を訪れていた。

本来なら姫さんの指輪だけを作ってもらえば良いのだが、よく考えたら、俺の分の指輪が無かった。

他の面子が指輪を持ってても、肝心の俺の指輪が無ければ意味が無い事に気づいた俺は、姫さんの分に加えて俺のも作ってもらう事にした。

因みに、その事を店主さんに言った時、大笑いされたのは余談だ。

 

 

「それじゃ、また明日に」

「おう!」

 

そう言って店を後にすると、俺はギルドに向けて歩き出した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………で、こりゃ一体何事?」

 

ギルドに戻ってきた俺は、其所で広がっている光景に唖然としていた。

ギルド内では、冒険者達が忙しなく動き回り、テーブルを移動させたり、魔術師の人達が、横断幕に何やら文字を書き込んだりしている。

 

その隅では、我が恋人達が女性冒険者と何やら話をしている。

 

「おっ!ボウズやっと帰ってきたか!」

 

取り敢えず何が起こっているのかを聞こうと歩き出した時、俺に気づいたオッチャンが話し掛けてきた。

この際だし、オッチャンに聞くか。

 

「オッチャン、何してんの?」

「何って決まってんだろ?お前に新しい恋人が出来たってんだから、その祝いだよ!」

 

オッチャンはそう言った。

 

「ゾーイちゃんから聞いたぜ。お前、向こうの国のお姫さんに告白されたそうじゃねぇか」

「ま、まあ…………」

「この前ゾーイちゃん達から告白されたかと思ったら今度は外国のお姫様に告られるったぁ、やるじゃねぇかよ色男!」

 

俺の肩をバシバシ叩きながらそう言って、オッチャンは豪快に笑った。

 

「準備はもうすぐ出来るし、ラリーも直に帰ってくるから、その辺で適当に待ってな」

 

そう言って、オッチャンは作業に戻っていった。

 

「………ラリーの奴、何処か行ってるのか?」

 

オッチャンが最後に放った言葉の意味がいまいち分からず、俺は首を傾げていた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

パーティーの準備が出来た頃には昼の12時になっており、後は何処かに出掛けているラリーが帰ってくるのを待つだけになっていた。

 

「(それにしても、ラリーは何処に行ってるんだ?)」

 

あちこち見回しながら、俺は内心そう呟いた。

結局ラリーは現れず、そのままパーティーが始まった。

前に出てきたオッチャンが、マイクの代わりのつもりなのか、何やら棒みたいなのを持って全員に向き直り、パーティーを進める。

 

「…………つー訳で、今から始めようと思うんだが…………その前に!」

 

そう言って、オッチャンはギルドの出入口に目を向ける。

そして何故か頷くと、再び俺達の方に目を向けた。

 

「ミカゲの新しい恋人を紹介しよう!カモーン!」

 

ノリノリで言いながら、オッチャンは指を鳴らす。

その瞬間…………………

 

「たっだいま~~!」

「お、お邪魔しま~~す!」

 

突然、オッチャンの隣にラリーと姫さんが姿を現した……………って……

 

「アイエエェェエエエエッ!!?ナンデ!ヒメ=サン!ナンデェ!?」

 

おいおいおい!何してんだよラリー!?何しれっと姫さん連れてきてんの!?『たっだいま~~!』じゃねぇっつーの!

それと姫さん、『お邪魔します』じゃねぇよ!此処エリージュ王国だぞ!?外国だぞ!?

一国の王女が何お出掛け気分で外国に来ちゃってんだよ!?

 

「へへっ……………どうだボウズ?俺等のサプライズは。驚いたか?」

「相棒、驚いたかい?」

 

驚きまくる俺に、オッチャンとラリーはニヤリと笑みを浮かべてそう言う。

 

「…………………」

 

そう言われた俺は、何も言わずに2人の前に移動した。

 

「取り敢えず、どういう事なのか説明して」

 

コレやってもらわなきゃ話始まらないよね?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「……………と言う訳なんだよ」

 

一先ずパーティーが始まり、挨拶した姫さんが他の面子に囲まれている頃、俺はラリーとオッチャンの2人を連れてギルドの隅に移動し、話を聞いていた。

その内容はこうだ。

 

先に戻ってきたソブリナから、恋人が1人増えた事を聞いたオッチャンがパーティーを開こうと言い出したのだが、その際、どうせだから姫さんも連れてきたらどうだと言う意見が出たらしい。

それで、クルゼレイ皇国(向こう)に顔が利くラリーに転移魔法で向かわせ、姫さんを連れてきたんだと。

 

「成る程な………………でも良いのか?外国の、それも王女連れてきて…………てか、よく向こうが許可したよな」

「ああ。僕も許可が出るとは思ってなかったんだけど、姫さんは凄く行きたがってたし、何故か女王陛下も乗り気だったからね。思いの外、楽に連れ出せたよ」

 

ラリーが苦笑混じりに言った。

 

「ミカゲ様~!」

 

不意に声が掛かり、俺はその声の主へと振り返る。

其所には姫さんが居て、満面の笑みで手を振っていた。

 

「ホラ、相棒。彼女さんがお呼びだよ」

「へいへい」

 

ニヤニヤと笑みを浮かべて言うラリーにそう返し、俺は姫さん達の方へと歩いていき、何時ものような馬鹿騒ぎの輪に入っていった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

それからパーティーを楽しむ俺だが、この数時間後、あんな事になるとは知る由も無かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

まさか俺が、1()()()()()()()()なんてな。


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