え~以前登場しました親友Kは作者の親友です。
彼は戦国乙女が大好きで、戦国乙女の台が稼働になるとほぼ真っ先に打ちます。
でもそんな彼は自称で慶次と言っています。
――夕方、鍛錬場――
「ぐっ、たああぁ!」
ヨシテル様の剣を受け止めきれず後ろに倒れてしまった。
「まだまだ!いきますよ!」
嬉しそうに竹刀を構えなおすヨシテル様。くっ、片手じゃ受けきれない。今は双剣を使っているが正直カウンターを狙えないほどヨシテル様の力は強い。
けどヨシテル様の剣筋は少しずつ見えてきている。
ここは防御に徹して見るしかない!
「やああぁ!!」
ヨシテル様の構えから居合抜きが来るのはわかってた。居合抜きをされる前にヨシテル様の右手と柄を、右の竹刀で食い止める。間髪入れず左の竹刀で撃ちこむ!しかしヨシテル様は紙一重でよけてしまった。片手じゃいつまでも食い止められないのでこちらから距離を取る。
「うまく私の攻撃を止めれましたね。」
「ええ、いつまでもやられっぱなしでは駄目ですからね。」
「ふふふ、それでこそ弟子にした甲斐があるというもの!」
また嬉しそうに微笑む、その言葉はこっちにとっても嬉しいな。
「ではそろそろ時間も時間ですしお互いに最高の一撃にて締めましょうか。」
ん?「最高の一撃」・・・『天剣一刀雲切』か!?
「ヨシテル様!?その一撃とは『天剣一刀雲切』では!?」
「よく知っていますね、その通りです。いきますよ!『天剣一刀』『雲切』!!」
来たっ!?いや、さっきと同じ構えっ!もう一度右で食い止め・・・。
「ぐふうぅ!?」
腹に激痛が走る。膝を着いてしまった。しかし・・・ヨシテル様は横で仰向けに倒れている。
「・・・反撃されましたか。私の雲切が当たったその瞬間に。」
勘で左の竹刀を下から斬りあげるように振り上げていたのだが、まぐれでも当たってしまうとは。自分でも信じられないが感触はあった。
「私もまだまだということですね。正虎、貴方は更に強くなれるでしょう。初見で私の雲切に反応できたのですから、これからが楽しみでなりません。ふふふ。」
「ヨ、ヨシテル様・・・。」
「どうしましたか、正虎。正虎!?大丈夫ですか!?」
どうやら気づいてもらえたようだ、でも・・・
「もう、限・・界・・・」
視界が真っ暗になる、ヨシテル様の悲鳴のような声を聞きながら意識を手放した。
――――
――
―
ここは・・・海か?どこかの浜辺だ。いや、待てよ。ここは見たことがある。
<あれ?正虎じゃん。ここで何してんの?>
振り返れば親友Sの姿が。
<いや、気づいたらここに。>
<何言ってんの、それに何その服装。コスプレ?>
え?服?
<え、あ、こりゃそう思われるな。町の端っこの方だから他に誰もいなくて良かったかも。>
さすがに現代のあの服を普段着にしてしまうと非常に人目につくのでヨシテル様の御厚意で男性用の着物をもらっていたのだ。けど確かにこの着物じゃ逆に現代では目につく。
<それはそうとあれはなんだ?>
親友Sが海を指さす。
<ん、どれだ?>
見たがなにもない、普通の海だ。空にも変な物や光もない。
<何もないじゃないか>
誰もいない。
<あれ?S?>
<正虎?どうしたのですか?>
<え?ヨシテル様?>
後ろを振り返るとヨシテル様と義昭とミツヒデ様の姿が、何故か現代風のカジュアルな格好をしている。
<どうしたんですかその服装は?いつもの着物ではないのですか?>
<何を言ってるのですか正虎、今日は遊園地へ行く予定ではないですか。>
<遊園地?ここは浜辺ですよ?>
<寝ぼけているのか?遊園地ではないか。>
周りを見ると遊園地だった、何故!?
<さあ、行きますよ!>
<はい!姉上!>
まるで子供のように二人は駆けていく、ミツヒデ様はやれやれといった感じで二人を追いかける。すると太陽が段々と光を増してきた。
<うぉ、眩しっ!>
そして視界が真っ白になった。
―
――
――――
目を開けると板張りの天井が映った。どうやら今度は布団の中というわけか。襖が開く、ミツヒデ様が入ってきた。
「気が付いたか正虎。まったく、心配させおって。いや心配したのは私だけではない、ヨシテル様や義昭様も心配しておられたのだぞ。ヨシテル様が取り乱して私の名を叫ばれた時は何事かと思ったぞ。」
「あれぇ・・・ミツヒデ様?いつもの服に着替えたのですかぁ?」
「・・・寝ぼけているのか?」
「あ、さっきと同じこと言ってますよぉ。」
「おい正虎、しっかりしろ。おい!」
ミツヒデ様が頬をぺちぺちと叩いてくる、ちょっと痛い。段々意識がはっきりしてくる。
「あ、あれ?ミツヒデ様?ここは?」
「ようやく目を覚ましたか、ここはお前の部屋だ。ヨシテル様の雲切を受けて気絶したそうだ。」
「そうだったんですか・・・。とりあえず寝たままじゃ失礼なんで起きますね。」
「馬鹿者!大人しく寝ておけ!」
かなり強い力で抑え込まれる。
「な、何故ですか?」
「何日眠り続けたと思っているんだ!三日だぞ!雲切を受けてしまって三日で完治するわけなかろう!」
三日も眠り続けるなんて初めてだ、それほどダメージがあるんだろうか。
「そ、そういうものなんですか?」
「これ以上何か言うつもりなら説教するぞ?」
「大人しくします!」
「当然だ、まったく。ヨシテル様と義昭様には私から伝えておく。お前は大人しくしておく、いいな?わ・か・っ・た・な?」
「は、はいぃ。」
本当に大人しくしていないと何をされるかわからない恐怖が俺を襲う、説教(物理)かもしれないし。
「それでいいのだ、では私はヨシテル様と義昭様を呼びに行く。ちゃんと心配かけたことを謝っておくんだぞ?」
むぅ、なんだか手のかかる子供を見るような目で見てくるな。
「ミツヒデ様、俺は子供ではありませんよ。」
「ふふふ。」
そう言うとミツヒデ様は行ってしまった。
仕方がない、大人しく待つか・・・。
やっぱり暇なので、暇つぶしに窓を開きあぐらをかいて庭を眺める。こういった庭園は現代じゃそうそう拝めるものじゃないのでつい見とれてしまう。この時俺は襖が開いていたことを知らなかった、いや気づかなかった。
「正虎・・・?なにをしているのですか・・・?」
慌てて後ろを振り返る。しまった!よりによってミツヒデ様と一緒に来た!
「ほお。正虎、そんなに説教してほしいのか。そうかそうか。」
「勘弁してください!」
「ミツヒデ。その説教、私も加えてください。」
「ええっ!義昭様まで!?」
「承知しました。正虎?覚悟しろ。」
「正虎?大人しく説教を受けてクダサイネ?」
目が・・・笑ってませんけど・・・。
その後の説教はヨシテル様が来るまで続いた・・・
と思いきや事情を聞いたヨシテル様も説教する側に加わり、俺は長時間正座しながら説教を受けるハメになった。
――――
――
―
説教終了後ミツヒデ様はこれから任務があるらしく、部屋から出て行った。俺はヨシテル様と義昭が居るのなら横になるなど失礼だと思い正座のままだったのだが、二人から「横になりなさい!」ともの凄く言われたので横になっている。
「正虎、遅くなりましたがこのようなことにしてしまって申し訳ございません。」
「大丈夫です。ヨシテル様の雲切も一度は見てみたかったですし。」
「正虎・・・。」
「それに気絶してしまったのは単に俺の力不足です、ヨシテル様が気に病む必要はありません。」
「ですが・・・。」
俯いてしまうヨシテル様。そんなヨシテル様の頭に手を置き撫でる。なんとなくだが撫でて慰めたいと思った。
「現に俺は無事なのです、それでいいではないですか。」
ヨシテル様は一瞬驚いた顔をしたが段々目を細め気持ちよさそうな顔になっていく。
「正虎・・・、ありがとうございます。」
「正虎ぁ・・・。私は・・・?」
潤んだ目で見てくる、破壊力抜群だ誰も逆らえないだろこれには。
「わかりました、義昭様。どうぞこちらへ。」
反対の手に義昭を呼び寄せる。義昭は待ってましたといわんばかりに俺の手を取り自分の頭に乗せる。そのまま撫でると義昭は喜色満面の笑顔を見せてくれる、撫でてるこちらも嬉しくなる笑顔だ。それにしても家来が主人とその弟の頭を撫でるなんて本来ならあってはならないことなんだと思うけどなぁ。
何分か経ってから二人の頭から手を離す。
ヨシテル様は笑顔だったが義昭は少し物足りなさそうな顔をしていた。
「正虎に撫でられるのは・・その・・・気持ちのいいものですね。」
「喜んで頂けたのなら幸いですよ。」
「正虎、次は長めにお願いしますよ・・・?」
「義昭様は撫でられるのがお好きですね。いいですよ。」
「『撫でられるのが好き』?正虎、今回以外でも撫でたことがあるのですか?」
「え、ええ。義昭様を撫でるのはこれが二回目です。」
するとヨシテル様がプルプルと震えだす。
「ま、正虎。お話しましょう。義昭、そろそろ勉学にもどらなければなりませんよ。」
「そ、そうですね。では正虎、後ほど・・・。」
義昭は苦笑いを浮かべて退室してしまった。
「正虎、義昭の頭を二度撫でたと言いましたね?言いましたよね?」
「撫でましたが・・・ヨシテル様、どうされたのですか・・・?」
「・・・・・もう一度撫でてください・・・。」
俺は少し驚いてしまった、でもそういわれて撫でないほど俺は非情じゃない。
この後ヨシテル様が満足するまで撫で続けた。
正虎はあくまで『一般人最強』レベルなので必殺技持ちの戦国乙女と戦うと善戦はしますが勝てはしないぐらいです。
オウガイさんと戦うと面白いくらいけちょんけちょんにされます。
もちろん親友Sも実在しますよ?最近リア充の仲間入りを果たしたようです。