主人公の強さについても後々詳しく書きたいと思います。
~戦の地に降り立つ夢~
「いやぁ、いい風呂だった。」
俺は正虎。そしてここは京都にある旅館だ。
この旅館は露天風呂で有名なので来れて良かった。
「・・・あれ?なんだこれ?」
部屋に戻ると机の上に紙が置いてあった。これは・・・『願い事を2つ書いてください』?へぇ~面白そうじゃないか、書いてみよう。
二次元に行きたい、強くなりたいにしよう。
あいまいだけどまあ、いいか。
「それじゃ、そろそろ寝ようかな」
電気を消して布団に入る。
???「あら、他の人は気味悪がって書いてはくれませんでしたが答えてくださる人がいたとは・・・。ふふ、私達の世界へ連れて行ってあげましょう。」
――――――
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――
親友K<おい、正虎!ひいてるぞ!>
俺<うぉ、強っ、待って>
親友K<引きずり込まれてるぞ、手を伸ばせ!>
俺<いや、絡まって、ちょおおぉぉあぁぁぁ!>
親友K<正虎ぁぁ!!>
――
――――
――――――
「水死んでるやん!・・・へ?」
夢か・・・良かったぁ~。
トイレ行こっと、今日は何をしよ【ゴチン】「うぃ痛ってぇ・・・頭打った・・・。」
「なんでここに柱があるんだよ!」
痛がる数秒後、俺は異常に気付く。
「柱?昨日の部屋には無かったはず・・・。いや、まさか昨日の部屋じゃない・・・?」
しかもいつの間にか普段着になってるし!
俺は部屋を見回した、すると昨日の部屋とはまるで違う部屋になっていた。
「ここは・・・どこかの寺院か、それとも神社の本殿か?」
どうやらここは何かを祀っているようだ、所々に勾玉の模様が彫ってある。
しかし肝心のご神体がない、どういうことだ?
とりあえず外を確認しよう、なにかわかるかもしれない。
俺は戸に手をかけた、どうか変なことに巻き込まれていませんように。
いざ―――!
この建物は山の中腹にあったようで辺りを見下せる場所だった。
「こ、これは一体?」
まるで戦国時代を舞台にしているアニメのような木造の家が並びその奥には
教科書に載っているような城が。
城以外に大きな建物がないということは・・・。
「た、タイムスリップ?」
ま・まさか、そんなバカな。きっと映画村なんだよ。うん、きっとそうだ。
でもあんなに田んぼあったっけ?そういえばあの紙・・・。
「こんなところで何をしているのですか?」
「えれぇっ!?」
急に後ろから話しかけられたからビックリした~・・・ヘンナコエデテナイヨネ。
後ろを振り返れば、青い目をした金髪の背の小さい子が立っていた。
陰陽師が着ていそうな服を緑色にした着物を着ている。
「どうしたのですか?私の着物に何かついているのですか?」
「・・・あ、いや珍しい服装だなぁと、雰囲気出てると思ったんだよ。」
「雰囲気?どういうことですか?」
「これからここで撮影だよな?いやぁスタッフより先に現場入りするなんて偉いじゃないか。」
「撮影?すたっふ?何を言ってるんですか?」
まるで会話が噛み合わない・・・ってことはやっぱりここは戦国の世なのか・・・。
「どうしました?どこか落ち込んでいる風に見えますが。」
「あぁ、ちょっと世の非情さを味わされたといおうかなんというか・・・。」
「ん~なにやら事情があるようですね、聞かせてもらえますか?」
「聞いてくれる?実は・・・」
俺は今まで起きた事を話した、かなり親身になって聞いてくれたのでほっとした。
「なるほど、まとめあげますとその紙に書いたものが現実に。だからその服装なのですね。にじげんというものは聊かよくわかりませんが。」
「まさか本当に来てしまうとは思わなかったよ、これからどうしよう・・・。」
「では私についてきますか?ここであったのも何かの縁。それに何か仕事を紹介できるかもしれませんし。」
「え?いいのかい?」
「ええ、この義昭に二言はありません。姉上も良き知恵を授けてくれるかもしれません。」
「義昭っていうのか、いい名前じゃないか。そういえば俺も名前は言ってなかったな、俺は正虎。これからよろしくな。」
「はい、では行きましょう。私の馬があそこに居りますので正虎さんは後ろに乗ってください。」
「わかった。どこにつかまればいいんだ?」
「振り落とされないように、お腹に手を回してもらえればいいですよ。」
「ええ!?さすがに女の子にそこにつかまっちゃマズいんじゃ「私は男です!」・・・へ?」
「私は男です!無礼ですよ!」
「す、すまん!悪かった!可愛いから誤解した!」
しまった、完全に女の子だと思っていた。これが男の娘というやつか。
「か、かわいいですか・・・。」
「う、うん。」
「ちょっと嬉しいような、かっこいいって言われたかったような・・・えへへ・・・。」
「(かわいい)」
「さ、さあ!行きましょうか!」
「ああ、頼むよ。」
こうして俺は義昭に出会った。
そして連れて行ってもらった場所こそ俺の思いもよらぬ場所だった、腰を抜かしまったほどに・・・・
俺は今、義昭の馬の後ろに乗せてもらっている。琥珀号という名前らしいが色がとても白くそして早い、とにかく早い。
「す、すごい!すごい早いじゃないか義昭!」
「えへへ・・・はっ!い、いえこれくらいは誰でも出来ますよ。」
「そう謙遜するなよ、褒められたのは素直に受け取っとくもんだぞ?」
「そ、そうですか?それじゃあ、ありがとうございます!」
本当に義昭は男なんだろうか、なんかこう・・・ねぇ?
「あ、そろそろ着きますよ。」
――――
――
―
「さあ、着きましたよ。ここが足利家のお城です。名は二条御所です!」
「へぇ~二条御所か~。初めて聞いたよ、足利家ってあの征夷大将軍の?」
「そう!その征夷大将軍です!今は姉上が将軍なのです!」
・・・この子は今何と言ったのだろう?『姉上』が『将軍』?
「ということは義昭は足利家の?」
「はい。私は足利義昭です。姉上は足利ヨシテルです。」
「ははは、あ~そっかぁ。義昭は足利家だったかぁ、あっははは・・・」ヘタリコミ
「正虎さん!?どうかしましたか!?」
「い、いや腰抜けちゃって・・・。」
「大丈夫ですか・・・?肩貸しましょうか?」
「大丈夫さ、立てるよ。」
「そうですか?なら行きましょう!」
「ああ。」
異世界に来て最初に出会うのが将軍家だったとは思わなかった。なんという幸運っ!野垂れ死は回避できたかもしれない。
それにしても当然といえば当然なんだけど、ここには足利家の家来がいる。
城主の弟の義昭と見かけない男が歩いていればそりゃあ怪しむわな。
「姉上~!義昭ただいま戻りました!」
どうやらヨシテル将軍のいる部屋に着いたようだ、緊張するな・・・これ・・・。
「おかえりなさい義昭。入りなさい。」
スッと襖を開き中へ入る義昭。紹介されるまで中に入らないほうがいいかもな、待ってよう。
「姉上、今日は紹介したい人がおるのですがよろしいでしょうか?」
「ええ、構いませんよ。」
「では。正虎さん、入ってください!」
呼ばれた、大丈夫かな。いきなり打ち首なんてことにならないよな、大丈夫だよn「正虎さ~ん?」
やべぇ時間かかりすぎたな!とっとと行こう!
「お、お初お目にかかります、正虎と申します。」
まるで土下座のような格好になってしまってるが。さすがに昔の作法なんてそんなに知らないしなぁ。『無礼だ』なんて言われたらどうしよう・・・。
「正虎と言いましたね?顔を上げてください。」
言われて顔を上げる。白を強調した着物を着ていて、金髪で青い目は義昭と一緒だが、少しツリ目で凛とした姿・・・。
・・・綺麗だ・・・。
「それにその礼の仕方は作法にはありませんよ?」
「・・・・。」
「正虎さん?」
「はっ!?ご、ごめんなさい!見惚れてました!」
「・・・コホン、では説明をお願いします。貴方は一体どういう経緯でここへ来たのかを。」
「わかりました。」
俺はこれまでのことを義昭に説明したときのように話した。ヨシテル将軍は一つ一つの情報を吟味するように聞いてくれている・・・と思う。
説明を終えると、少し間を置きヨシテル将軍は考えをまとめているようだ。
「・・・なるほど、わかりました。」
微妙にかわいそうな者を見る目で見るのはやめて欲しい・・・。
「今の話を聞いて一番気になるところは願い事の『強くなりたい』ですね。具体的にどう強くなったのか、わかりませんからね。」
これはもっともな意見だ、俺も気になっていたところだし。
「しかし姉上、一体どのように確認するのですか?」
「簡単なことです、実際に手合わせをすればよいのです。」
「手合わせをする?た、戦うってことですか!?」
手合わせなんてやったことねぇぞ!?
「そうです。今から道場に行き、私と手合わせしましょう。」
「「ええぇっ!!!」」
「二人とも、何を驚いているのですか。」
「い、いえ。とても急だったので、つい。」
「姉上、何を考えておられるのですか!?姉上と戦ってしまったら正虎さんは死んでしまいますよ!?」
・・・え。俺、死ぬの?
「私とて戦国乙女です。その心配は無用ですよ、義昭。」
戦国乙女?どっかで聞いたような・・・。
「さあ、行きますよ!最近は政ばかりだったので久々に腕が鳴ります!」
そう言うとヨシテル将軍は少し嬉しそうな様子で先に行ってしまった・・・。
「え、大丈夫なの?俺、死んじゃうの?」
「うぅ、正虎さん・・・。」
とりあえず義昭に道場まで案内してもらった。
その間義昭はずっとすまなそうにしていた、本当に大丈夫なんだろうか・・・。
道場に着きました、いまだ胸の高鳴りが収まりません。これは死の恐怖でしょうか、それとも重傷への恐怖でしょうか。
すれ違った足利家の家来たちは手合わせの話を耳にしていたのだろうかたまに「まあ・・・頑張れ」とこれまたかわいそうな目で言ってきた。
「ヨシテル将軍、なにで手合わせをすればよいのですか?」
「そうですね、では竹刀にしましょう。」
そう言われ一番近い竹刀を手に取る。こうなりゃヤケだ、思う存分やってやる!
「正虎さん、無理しないでください。相手は姉上なのですよ・・・?」
「いや義昭。俺はやるよ、怖いけど。」
義昭は納得こそしてないが仕方ないという様子で下がってくれた。俺とヨシテル将軍はお互いにある程度の距離をとる。
「さあ、どこからでも来なさい!」
そう言ってヨシテル将軍は竹刀を前に出し構える、隙がない・・・と思う。
「だが行く!いくぞ!」
俺は竹刀をバットのように持ち地面を蹴る。するとヨシテル将軍は竹刀を腰につけるように構えなおす。そしてヨシテル将軍も地面を蹴りこちらに向かってくる。
「ぐっ・・・。」
「やりますね。」
胴への薙ぎ払いを、竹刀を下に下げ防御する。なんて重さだ。ヨシテル将軍の竹刀をなんとか押しのけ、横に払う。しかしヨシテル将軍は後ろに跳びよける。
俺は無理な体制ながら一歩踏み出し突きの動作を入れる。ヨシテル将軍は予想どおりといった感じで竹刀を払い防御する。
ここで払われる前に突き出した竹刀を引っ込め空を切ったヨシテル将軍の竹刀を狙って思い切り打ち上げる!
ばきいぃ!!
・・・お互いの竹刀が折れてしまった。
「あっ!?」
「くっ!」
「姉上、正虎さん!」
ヨシテル将軍の構えを見ると、上段で俺の竹刀を迎え撃っていた。どうやら搦め手は向こうにバレてたらしく相当な力を入れて払い返すようだったらしい。
多分真剣なら死んでたな、うん。
「正虎さん!良かった生きていて!」
「うぴゃあぁ!」
急に抱き着かれたので驚いた、変な声でちゃった?
ヨシテル「うぴゃあって・・・フフフ。」
ヨシテル将軍が後ろ向いて肩を揺らしてる、絶対笑ってるなアレ。
「正虎さんは強いんですね、姉上と互角の勝負をするなんて!」
「いや、多分ヨシテル将軍のほうが強いよ。」
竹刀が折れたから助かったんだ。それにヨシテル将軍は息一つ乱れてない。
「いいでしょう、あなたの強さは相当なものです。この二条御所以外にどこか行く当てはありますか?」
「いえ、こちらの世界に来たばかりなのでありません。」
「でしたらどうでしょう、私の家臣になりませんか?」
「俺が・・・家臣ですか?」
「なるほど、それはいいですね!ぜひそうしましょう!」
「ふふ、義昭も歓迎してることですし。私からもぜひお願いします。」
「えっとそれじゃあ、よろしくお願いします。」
「ええ、よろしくお願いしますね?」
「正虎さん、よろしくお願いします!」
こうして俺こと正虎は足利家の家臣として仕えていくことになった。帰る手かがり見つけれるといいな、これから頑張ろう。
初めて出会う人は足利義昭でした!
正虎は日本史に疎いので名前を聞いただけでは足利家の者とはわかりません。
ちなみに作者は友達から義昭の画像を見せられた時、「性別わからなくね?」と本気で思いました。
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見やすくするためまとめました!