仮面ライダーエグゼイド~異質なる命の鼓動   作:カオスサイン

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EPⅢ「No Thankyouと二つのロード 前編」

Side秦

「うへ?…」

「だーかーらー!貴宮君、貴方にはゲーマー「落紳士」としてそして仮面ライダーラヴァードとしてバグスターと戦って全てのゲームをクリアして欲しい!」

CRでゆっくりさせてもらっていた俺は何故か陽向さんに部屋のド真ん中で正座させられそうお願いともいえる事を言われた。

「『お願い!ゲーマー「M」、仮面ライダーエグゼイドとして全てのゲームをクリアして!』」

陽向さんとは違う声が聞こえてきて驚いた。

「「え?」」

「ば、バグスター?…」

「『ポピ?』」

こうして俺ははからずも予想だにしなかった形でゲーマー「M」と呼ばれ、仮面ライダーとして活動し始めたという宝生 永夢君、そして音ゲー「ドレミファビート」のキャラを模した善のバグスターで普段は陽向さんと同じCRエージェントで人間の姿をしている仮野 明日那さん(ポッピーピポパポ)との出会いを果たしたのだった。

永夢とはお互い仮面ライダーになった経緯がかなり似通っていた事もあり話が弾んだ。

只、ギャルゲーの知識が物凄く空っきしなのが解せぬな…。

「それで…どうなの?!」

永夢とのゲーム話に夢中になっていた俺に痺れを切らしたのか陽向さんがドン!と机を叩いて聞いてくる。

「…」

やっぱり見れば見る程この人はアイツと…灯莉に似ているな…。

性格とかはまるで180度違うようだけど。

「やるよ!…」

俺はあまり陽向さんの事を見ないように返答した。

何故だか凄く悲しくなる気持ちになりそうで今にも涙が溢れ出しそうになってしまいかねなかったから…。

「そう…ならしっかりやることね!」

俺が視線を逸らした事に僅かに疑問を抱いたのか定かではないが陽向さんはそう一言だけ言って部屋を出ていった。

 

Side遊羽

「もうなんで私があんな只の女ったらしのサポートなんかしなきゃいけないのよ!…」

正宗前社長から預かっていたゲームガシャットの内の一本そして落紳士の事を聞いてまさかとは思ったが案の定であった。

これからあの女ったらしをサポートせねばいけないのかと頭を悩ませていた。

「でも…」

貴宮君があの時強引にでも仮面ライダーになってくれていなければ私も患者さんもどうなってしまっていたかが分からない。

「!///…ってなんでアイツの事ばっかり考えちゃってるのよ私!?…

とにかくあの十六年前の悲劇を、「ゼロデイ」を繰り返させる訳にはいかない!」

沸き出しそうになった思いを戸惑い抑え、使命感に燃えながら現在はゼロデイを引き起こした犯人として逮捕されてしまった正宗さんの面談へと向かった。

 

その頃、Side?

「何!私の知らないライダーガシャットだと!?…フッ!それでこの私を謀ったつもりですか?父上…」

私、幻夢コーポレーション現社長である壇 黎斗は己が開発した覚えのないライダーガシャットの報告を聞いて驚く。

だがすぐに思い当たる節があったので冷静になる。

「でどうすんのー?」

ふと私の背後からのんびりとした声が聞こえる。

そこには軽薄そうな青年、パラドがいた。

「パラド来ていたのか。

現在の所は計画に支障は無い。

だが新たにゲームを開発する必要性はありそうだ」

「ふーん…」

計画に支障はきたさない…だが予想外にガシャットが増えてしまったせいで新たにライダーガシャットを開発する必要性が出てきてしまった。

そう私はパラドに伝える。

彼はあまり真面目に聞いてなさそうだが。

「まあいい…これでより私が求める「究極のゲーム」を作れる様になっただけの事だ」

私は不敵に笑い計画を進める事にした。

「仮面ライダーラヴァードねえ…面白そうじゃん!」

黎斗が部屋から出たのを確認したパラドもまた不敵な笑みを見せていた。

 

翌日

Side秦

「…」

俺はある光景を目の当たりにした。

今日からこの病院に勤務するという鏡先生の息子を野次馬根性で見に行った訳だが…なんで周囲に女性看護師のハーレム形成してるんだよ!?

う、羨ましくなんかないんだからな!

「君が鏡先生の息子さん…なんだよな?」

「なんだ貴様は?」

周囲の事など気にかけてない様子で彼は俺を見据えて来る。

「飛彩!?久しぶりじゃないか!

いつの間に帰国していたんだ?」

永夢が彼、飛彩を見つけてかけて来た。

「お前もいたのか宝生…親父の命令で帰ってきてやっただけに過ぎん」

「秦君紹介するね。

彼は鏡 飛彩。俺の幼馴染でもあるんだ」

「先程聞いたよ…」

永夢が今更彼の紹介をしてくる。

「秦?…そうか貴様は五年前に医療ミスをやらかして親父が庇ったって言っていた貴宮秦だな?」

「え!?…」

「…」

どうやら向こうは俺の事を父親経由で知っていたようだ。

やはり灰馬先生が庇ってくれたとはいえ、俺について回る悪評を完全に拭える日はまだ遠いようだ…。

一方俺の事情を知らない永夢は驚いていた。

「この俺と並ぶであろう稀代の若き天才といわれていたそうだが今ではそれも地に堕ちたも同然、ノーサンキューだな」

「俺は…!…」

「鏡先生に何するんですか!?」

あの時の事を良く知りもしない他人なんかに触れては欲しくない古傷をえぐられた俺は鏡に掴みかかろうとするも彼の取り巻きの看護師達に止められる。

「ッ!…」

俺は地団駄踏み再び彼に向かっていこうとしたが…

「そこまでにするんだ秦も飛彩も。

此処は病院なんだからさ」

「龍哉!?そのす、すまん!…」

「黒鉄か…貴様は未だに此奴に肩入れしているようだな」

いつの間にか龍哉が俺と鏡の間に入って仲裁しようとしていた。

「飛彩…五年前の事を聞いたからってそれだけで秦をないがしろにしようとするなら僕は君を許さないよ」

「フン…別にこれ以上此奴をどうこうしようなどとする程俺は暇じゃない」

龍哉の言葉に飛彩はさも興味を失くしたかのようにさっさと病室へと向かっていった。

「龍哉…」

「彼とはアメリカ研修で一緒になってね。

気難しい奴だけど腕は確かな人だよ」

…あの性格じゃあまり同性の患者さんには好かれないだろうがなと思ったが言わないでおいた。

そういえば灰馬先生がアイツを呼び戻したのってもしや…。

俺は新たな波乱を予感するのだった。

 

Side龍哉

「コレは?…」

「新種のウィルスであるバグスターに感染しゲーム病を発症した患者に対応する為の唯一の手術システム、ゲーマドライバーとライダーガシャットだ」

「ゲーム病…」

僕と飛彩は鏡先生に呼び出され彼にゲーマドライバーとライダーガシャットなる物を渡された。

ふと飛彩を見ると彼はどこか怒りを燃やした表情を浮かべていた。

彼に一体何があったのかは知らないが僕はもしもの時の為に彼についていることにした。

そしてゲーム病に感染したという若夫婦の男性を共に担当する事になったのだったのだが…一筋縄の治療とはいかない事を予感させるのだった。

 

 

 

 

 




ブレイブ回は一気にやるとアレなのでまた。
次回、「患者に深入りするだと?そんなのはノーサンキューだ」
「患者さんの精神的ケアをしないで手術しようだなんてアンタ本当に鏡先生の息子かよ!」
「そうですよ!」
考えの違いから飛彩と衝突する秦と永夢。
「なんだよそれ…」
「ゲームやったことないみたい…」
飛彩の無茶な素人プレイに頭を抱える二人。
「これ以上貴様等バグスターの好き勝手はノーサンキューだ」
「今は僕に最大限出来る事をするだけだ!変身!」
【タドルメグル~タドルメグル~タドルクエスト~!】
「術式レベル2。これよりバグスター完全摘出に入る」
【相棒シンクロ!テクニカルパワー!デュエロ・モンスター!】
「龍哉!?お前!…」
「秦、僕も戦うよ!」
「ノーサンキューと二つのロード 後編」


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