「な、何!?…」
「孫娘に手出しはさせんぞ!うぐっ!?……」
「お父さん!?…うっ!?……」
「精々我々の役に立ってもらおう」
Side秦
「かあ~!とんだ邪魔が入っちまったぜ…」
「どうしたんですか?」
「いえ、幻夢の社長さんに先日の件で抗議しに行っていたのですよ。
でも…」
レイレイと貴利矢さんが何故か物凄く疲れた様子だったので気になり聞いてみた。
「自分とレイレイで壇黎斗を追い詰めていたんだがな…レイレイがまた別のライダーに邪魔されてな…」
「別のライダー?ジオじゃないんですか?」
「ああ、どうもあの野郎はゲンムと同じ様に変声してやがったようだ」
「おかげで社長さんの真意が聞けなかったのですよ…そのライダーは「人間ではない君に今の所は興味は無い」と言われて…」
「んン??…」
そのフレーズどっかで聞いた事があるような…。
「急患二名入ります!」
そんな気がしていた所に患者が運び込まれた。
「日向先生!?」
「え!?まさか患者さんは恭太郎さん!?」
永夢が患者さんを見て叫ぶ。
俺もその名を聞いて驚く。
俺の過去の事故で鏡先生だけではなく彼の口添えもあったから良く覚えていた。
「衛生省のお偉いがゲーム病に感染してしまうとはな…」
いつの間にか大我も来ていた。
「ああ…永夢君に貴宮君、それに桐素氏の娘さんか。
だが私の事よりも娘を!…うぐっ!?…」
「うう!?…」
「そんな!紅音ちゃんまで!?…」
恭太郎さんの娘さんである日向 紅音ちゃんも運ばれてきていた事に驚いた俺と砂那璃。
「え?…砂那璃ちゃんに秦お兄さん、それと永夢さん?…あぐっ!?…」
「あまり喋らないで!病が悪化してしまいかねぬ!…」
「落ち着いて!」
「大丈夫だ…俺達CRのドクターが絶対に紅音ちゃんも恭太郎さんも救ってみせる!」
俺と砂那璃、それと永夢が居る事に気が付いた紅音ちゃんは起き上がろうとするが体に小さなノイズが走り苦しみ出す。
今はまだ初期段階だがじきに発症してしまうだろう。
俺達は彼女をどうにか落ち着かせる。
「なら先手を仕掛けるまでだ!」
「はい!」
『ステージセレクト!』
即座に変身、ステージを変更し構える。
「アレは?!…」
『ギャオォー!』
『…』
ステージ変更後すぐに二対のゲーマが現れた。
「最大四人プレイで巨大竜を狩猟するゲームのドラゴナイトハンターZのドラゴンか!」
「それにあの剣やいくつもの武器を突き刺した台座の様なのはセブンスナイツ・ジハードPの奴か?!」
声高く咆哮を上げる巨大竜といくつもの武器が刺さった台座の様な物体を見て俺達は予想した。
セブンスナイツ・ジハードPは伝説の武具を扱い侵略者を討伐するゲームだ。
だがブランクのガシャットは手元にある筈も無く見ている事しか出来ない。
「おい…いるんだろ?バグスター!」
「バレていたようだね…物凄く嫌な感じはしていたけど…どうやら繊細一隅のチャンスでもある様だよ!
『培養』!」
「それはっ!?」
ステージの脇からトールプラントとグラファイトが現れる。
その上プロトガシャットを取り出し体に直接突き差してバグスター体となる彼等。
「その様だな。覚悟しろライダー共!」
「グラファイトォ!小姫の敵!」
「待つんだ飛彩!」
「うおおおー!」
「フン!その程度の力など今の俺達には通じんぞ!」
「何ッ!?ぐわああー!?…」
グラファイトを視界に入れた瞬間飛彩は無造作に突っ込もうとし竜哉が止めようとするがそのままいってしまい見事に返り討ちにされてしまう。
「飛彩!…」
「皆さん、此処は一旦撤退しましょう!」
「分かってる!」
永夢の提案に乗り即座に離脱する。
流石にプロトガシャットで直接強化された奴等を今の状態で相手にする程の力量が測れない訳ではない。
それ以前にあの突然現れたゲーマを確保せねば…だがどうする?
だって奴は…
「やあ!」
そう思っていた矢先奴が現れる。
「壇黎斗!アンタ何のつもりで!…」
「待て貴宮秦!…それで何の用だ?」
俺は彼につっかかろうとするも飛彩に止められてしまい渋々引き下がる。
「何、君達がゲーマと遭遇したと聞いてね。
データ不足で未完成だったLV5のハーフブランクガシャットを渡しに来てやったのだが…いらぬ御節介だったかな?」
「ほう?…いらないのなら全部俺が貰うぜ?」
「…」
いつの間にか来ていた大我が壇黎斗の取り出したガシャットについて隙あらばと狙っている。
「まあ待ちたまえ。
永夢君や貴宮君は知っていると思うがこの二つのガシャットのゲーム「ドラゴナイトハンターZ」は最大四人マルチプレイ推奨、そしてこの「セブンスナイツジ・ハードP」は最大七人マルチプレイが推奨なんだ。
だからな…」
「エグゼイド達と協力プレイで臨んで欲しいってか?
断る!そのガシャットは…」
「大我さんには任せておけません。
なら僕がソロプレイで臨んでみせます!」
「チッ!…」
「…」
大我が壇黎斗からガシャットを受け取ろうとするよりも早く永夢が半ば強引に受け取った後出て行った。
「待て研修医!」
その後を追おうと飛彩も出ていく。
「ええっと…」
「あ~…悪いけど自分は永夢の方にいかせて貰うわ。
なんだか凄く嫌ーな予感がするんだよねえ…」
そう言って貴利矢さんは出ていった。
「ええっと…プレイ人数足りてるっけ?」
「「あ…」」
飛彩と貴利夜さんがドラゴナイトハンターを使うとして、大我の野郎はどちらも狙ってきているので人数にカウント出来ず話にならないしな…此処に居るのは俺、龍哉、砂那璃、礫さん「ウチは協力している暇はないんや」「え?…」、坂堂さん、レイレイの五人。
礫さん、まだ俺達の事を信用していないのか…。
「って事は後二人足りないって事になるのか…」
「あ!?…」
「どうした砂那璃?」
「一人我に心当たりがありけり!」
「何!?…もう一人ライダーがいるのか!」
「あ、でも居場所が分からぬ…」
「はあ…」
「で、でも一つの場所だけ心当たりはついているのだ!」
「ならその人に頼んでみてきてくれ」
「分かった!」
かくして話は決まったのだが…。
「!…」
「僕の究極の体の糧となるんだ!」
解散した直後に俺一人で買物をしている途中に奴がまた強襲を仕掛けてきたのだ。
「チイッ!?…なんだってこんな時に…!…」
俺は社長から受け取っていたセブンスナイツ・ジハードのガシャットを起動しかける。
だがちょっと待てと思案する。
このガシャットは最大七人プレイを推奨する程のゲームだ。
もしソロプレイでオペを行おうものならどんなリスクがあるのかが分からないのだが…。
「…」
『…』
俺の思惑を読んでいたのかは分からないがゲーマも上空に現れていた。
「…俺に力を借してくれ!」
ゲーマが吸い込まれ使用可能になったガシャットを早速起動し装填する。
『セブンスナイツジ・ハードP!♪~』
「大変身!チャート5!」
『レベルアップ!ラブアクション!ラブピース!ドッキトッキラブメモリーズⅡ!♪~アガッチャ!セ・セ・セブンスナ・ナ・ナ・ナーイト!セブン、セブン!セブンスナイツ・ジハードP!♪~』
「『アあ…』」
「ン?…」
!?LV5ギャルフルナイツゲーマーとなった俺の頭の中に何やら声が聞こえた気がしたが…
「何をボサッとしているのかな?!」
「うおっ!?危ねえっ!…とあ!」
「クッ!?…」
隙を突いて仕掛けてきたトールプラントの攻撃を慌てて回避し反撃する。
だがその直後に異変が起きたのだ。
「グッ!?…なん!?…があああー!?…」
俺は突然の激しい頭痛に襲われ意識が遠のいていく。
その最中又こんな声が聞こえた気がした。
「『ア…アナタニワレラヲニナウシカクハマダモチエテイナイ!…』」
「し、資格?…そうだったな……」
いくら名のある伝説の武具といえど侵略者来襲以前は人を殺した数は計り知れない…そんな武器が心と魂を持った事で選定にふさわしくないとされればその強力無比な呪いの力により支配されてしまいかねない討伐ゲームだ。
だからこそのマルチプレイ推奨なのだが…。
それも一人で一気に七種ものの武具を扱おうとすればリスクは計り知れない。
「が…ガアアァァー!!」
そして遂には俺の意識が暗転し、唸り声だけが響き渡る。
ガシャットの力を扱い切れずに暴走してしまったのだ。
「どうやら暴走した様だね…なら恐れる事は無いかな!」
「…」
トールプラントは恐れる事は無いと再び突撃してくる。
だが
「グッ!…ガアアアアァァー!!」
暴走し闘争本能に支配された俺は奴の猛攻を凌いでみせていた。
「クッ!…やるなあ…でもコレなら!【トトトトールハンマーブレイク】!」
「グルッ!…アアァァー!」
奴の電撃触手剣が迫る。
だが俺は武具の一つである背の二対の神槍「オルタナティヴロンギヌス」を両手に構え勢い良く投擲した。
「何だって!?…くうっ!?…」
トールプラントは驚愕し防御するがオルタナティヴロンギヌスに容易く突破され奴の両肩を貫いた。
「クッ!?…いくら暴走しているとはいえどやはり聖武具の力は侮れないか…此処は退かせて貰うよ!」
トールプラントは流石にこのまま続けるのは不味いと判断したのか撤退していった。
だが目の前の獲物を失った俺の次の標的となったのは…
『アガッチャ!ド・ド・ドラゴナ・ナ・ナーイト!ドラ・ドラ!ドラゴナイトハンターZ!』
「「ウガアア嗚呼ーーッ!!」」
偶然付近でグラファイトと戦い、ソロプレイでLV5フルアクションハンターゲーマーとなり俺と同じ様に暴走を引き起こし見境無く暴れ出していたエグゼイドだった。
次回、「早く名人達を止めろ!」
嫌な予感を感じ永夢を追っていた貴利矢達が見た光景はガシャットの力を制御出来ずに暴走し文字通りの死合をするエグゼイドとラヴァードの姿だった。
「は!?…」 「俺は…」
仲間達の協力によりなんとか危機を脱する事が出来た秦達。
「彼女達を理解しないとな…」
果たしてラヴァード達は名のある名武具の魂と相互理解を得、認められる事が出来るのだろうか?
「Dragon&Seven Knghitを使いこなせ!! 後編」