この素晴らしい少年に祝福を!   作:ねこたつむり

7 / 22
※注意、この小説には以下の成分が含まれております。
・下手な日本語
・クソ文才
・ご都合主義
・紅魔族
・中二病等々
・ぼっちがボッチしてない
もはやどうしたらいいか分からなくなった。


アルカンレティアは天国?地獄?

「なぁ、アルカンレティアってどういうとこだ?」

この一言にどれだけの威力があるかは分からないが少なくともこの場では核爆弾並みの威力を持っていたことは明らかだ。

あんな騒がしかったこの場が一瞬にして静まった。

最初に口を開けたのは、

「ケーキまだ?」

こめっこさんでした。

「ちょっと待っててな。後十分冷やそうな?」

「わかった。」

純粋って(以下ry

それよりも、

「何でみんな黙ってるんだよ?」

「アルカンレティアというのは水と温泉の都です。」

「何だよ、普通に良い所じゃないか。」

「おい、貴様。それを聞いてどうするつもりなんだ?」

何でこの人怒ってんの?

「いや報酬で宿泊券貰ったしそういうところならなら行こっかなって。」

「そこじゃない、誰と行くつもりなんだと聞いている。」

あ、なるほどねー、そういうことで怒ってたんだ。へー。

「冗談じゃない!どうしてあんたの妄想はそこにたどり着けるほど豊かなんだよ!まぁ、家族ではいきたくないのは確かだが・・・」

あのアホなおとんを連れていきたくはない。

それに連れていくなら俺のお金で・・・

「お、温泉かぁ。」

ポツリとあるえが呟いた。

「行くか?」

「「え!?」」

ゆんゆんは分かるがなぜめぐみんが反応した?

「い、いいのかい?」

驚いた顔をしている。

「うちの親は連れていきたくないし、かといってゆんゆん一人を連れていくのもな。券が余るし。」

「え!?お兄ちゃん、私は最初から連れていく気だったの?」

「え、ダメだったか?」

「う、ううん、そっか、ちゃんと私の事も・・・」

何かぶつくさ言ってるがまぁいい、となると自然的やっぱりめぐみんもってなるが・・・

「あぅ・・・」

めぐみんが寂しそうにこちらを見ている。こいつこんな顔も出来たんだな。

「許さんぞ、わしのかわいい娘をこんな奴に預けることはできん!」

だろーな、どーすっかな。

「取り合えずチーズケーキ食べます?それともご飯にします?」

俺が提案した。一応こうなることを予想しといて鍋の具材を買ってきてた。

 

 

「お肉!お肉!」

「チッ」

ひょいさぶろーさんが舌打ちをした。

おい、予想以上にうまいからってその態度はないだろ。

この世界に本だしなんて便利なもんはないし、ましてや鍋のもともない。だから鍋の汁は各家庭で美味しかったりそうでなかったりとまちまちだ。

ちなみに今日の味付けは鶏ガラスープに塩をいれただけという単純な味付け。しかし、配分を間違えたらしょっぱくなったり味がしないという事件が起こり楽しくない鍋ができる。

俺は配分の黄金比を知っている。秘伝のレシピだ。これは我が家だけで伝わっている門外不出のものだ。

「しょうたさん、うちに来ませんか?」

前にも誰かにこんなことを言われた気がする。

めぐみんの母、ゆいゆいさんがとんでも発言をした。

「な、何をいってるんだ母さん!」

「あら、良いじゃないですか。料理できますし、こめっこもなついているみたいですし・・・」

現在こめっこは俺の膝の上にいる。ここ最近のお気に入りらしい。大富豪の時も座ってたよな・・・

「どうですしょうたさん?」

「考えときます。」

こういったときに便利な言葉『善処します』や『前向きに検討します』等は覚えておいて損はない。

カチャ

めぐみんが一瞬挙動がおかしかった。

「そういえばさ、しょうた君が出来ないことってあるの?」

「どうした急にそんなこと聞いて?」

「だってお菓子作りも料理も世渡りも出来るからさ、出来ないことなんてあるのかなって。」

なるほどな、確かに聞いてたらハイスペック人間だ。だが俺にだって欠点はある。

「空を飛ぶことかな・・・」

「「「「「ぶっ!」」」」」

こめっこ以外の人が吹いた。

「けほけほ、そんな真顔で言わないでよ。吹き出してしまったじゃないか。」

全員がむせている。

そんなに面白かったか?

「しょうたさんにはユーモアもあることが分かっただけよしとしましょう。」

いや、空を飛ぶって結構真面目に言ってたんだけど・・・

「もう、しょうもないこと言わないでよね。」

お兄ちゃん結構マジだったんだけど?

「そっかー、しょうたお兄ちゃん、そら飛べるように頑張ってね?」

こめっこ、ありがとう。

「それでお父さん。」

「お前にお父さんと呼ばれる筋合いはない!」

「めぐみんを温泉へ連れて行かせてくれないですかね?」

めぐみんが目を輝かせてこっちを見た。

「ふぁめふぁ!おまふぇふぁんふぁにむふふぇふぉ・・・」

めっちゃ鍋食ってるやん。

「食べるかしゃべるかどっちかにせい!」

ゴクッ

「ダメだ!お前なんかに娘を任せれるか!」

「時に思うんですがひょいさぶろーさん、俺のことどう思ってるんです?」

・・・・

何で沈黙が流れてるの?すぐに答えれるんじゃないの?

「ど、どうって、たらし?」

「あんたそれしか出てこねぇな。」

要するにあれだ、ひょいさぶろーさんは別に俺を悪く見てる訳じゃない。ただ、娘を思うがために俺から遠ざけたい一心で俺をたらしと言ってるのだろう。

「ひょいさぶろーさん、娘さんを思う気持ちはわかりますが、僕が手をを出すような人に見えますか?」

「むむむ・・・」

「改めて、めぐみんを旅行に行かせてあげてください。」

「断る!」

「このくそったれが!」

このあと、チーズケーキだけはべた褒めしてくれました。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

はぁ、ひょいさぶろーさんは頑固だなぁ。

昨日行くことが決まり準備も色々あるということで出発は明日になったが、

「はぁー」

めぐみんがすごく落ち込んでいる。無理やり連れさらうって言う手もあるが後が怖い。

「お兄ちゃん、めぐみんのことで一杯だね?」

「あ、うん。友達と旅行に行けないのは辛いからな~」

なんとかならないかな?

「おい、めぐみん。取り合えず明日の準備はしておけ。いざとなったら無理やり連れ出すから。」

「しょ、しょうた。ありがとうございます!」

今日も交渉しに行ってみるか・・・

「ほら、席につけ!しょうた前に来て手伝え。では、授業を始める。」

 

 

「何度言ったら分かる、ダメだ。」

「何でなんですか!?過保護にもほどがありませんかね?」

俺はバイトが終わったらすぐにめぐみん宅に向かいひょいさぶろーさんと話をしていた。

「過保護で何が悪い!大体年を考えてみろ。まだ12だぞ?」

日本でそれだとこの言い分は通るかもしれない。だがここは日本じゃない!

「何言ってるんですか!14歳で成人ですよ!?もう十分な年だと思いますけど?」

「もう十分な年だと!?お前に何が・・・」

「『スリープ』」

ドサッ

へ?

「しょうたさんごめんなさいね。この人が頑固で・・・」

「い、いえ・・・別に・・・」

え、この人身内に魔法かけたよ?ものすごく怖いんだけど・・・

「明日は何時に出る予定なのかしら?」

「そ、そうですね・・・六時ぐらいでしょうか。」

俺的には朝早くから行って、温泉に浸かってそのままお昼寝するっていう計画があるので早く出たい。

「そうですか、それまでに娘をそちらに寄越しますので・・・」

「あ、ありがとうございます。」

そう言って家に帰った。

この世で一番怒らせてはいけないものが母さんから紅魔族の女性に変わった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

朝の六時前、おれたちはテレポート屋の前で待っていた。

「めぐみん来るかな?」

ゆんゆんが不安そうにいった。

「大丈夫だろ。ゆいゆいさんがいるし・・・」

この世で一番怒らせてはいけないものというのは逆にこっちにつかせればこの世で一番頼りになるものになる。

「あ、来たよ。」

あるえの視線の先には走ってくるめぐみんの姿があった。

「お、お待たせしました。」

息を弾ませながらそう言った。

「それじゃあ、行くか。すみませんね朝早くから・・・」

テレポート屋の人に謝った。

「いやいや、しょうた君の頼みなら断る理由もないよ。」

「お兄ちゃんって普段何してるの?」

「慈善活動。」

「じゃあ、体の力抜いて魔法に抵抗しないように。では、『テレポート』!」

 

 

目をを開けるとそこには朝早いせいかあまり人がいなかった。

「さて宿屋にいきますか。」

俺達は宿泊券の裏面に描かれてる地図を見ながら道を進んだ。

「めぐみん!あそこにお饅頭屋さんがあるから後でいこうよ。」

「わ、分かりましたからそんなにはしゃがないでください。」

「私はあそこのアイスクリーム屋に行きたい。」

後ろでガチャガチャうるさい。遠足の引率の先生の気分だ。

「はいはい。そういうのは旅館で話し合え。今からはしゃいでたら体力なくなるぞ。えっと、地図だとここの路地を曲がって・・・」

角を曲がった先には・・・

「はぁはぁ、やっと捕まえたぞ。」

「この野郎、ちょこまか逃げやがって。もう観念しろ!」

「あ、あなた達、こんなことをして許されると思ってるの!?」

どうやらプリーストらしき女の人が絡まれてる。

めぐみん達がが困惑したような目でこっちを見てくる。

そんな目で見るなよ・・・

「はぁ、おい、あんた達。よってたかって女性に迫るのはどうかと思うが・・・」

いきなり声をかけたからか絡まれている女性含めビクッとなった。

女性はこっちを見るなり走って俺の後ろに来て、あ、いい匂い。

「助けてください!この人達がいきなり『へへへ、姉ちゃんいい体してるじゃねぇか。ちょっとこっちに来てもらおうか。』って私を何処かへ連れていこうとしたんです。」

そんな状況だったのにその台詞を覚える余裕があったんですね・・・

「「し、してない。」」

うーん、どうしよう。このお姉さんが嘘をついてる可能性が出て来たわけで、でもそれが嘘と決まった訳じゃないし、あ、これ使うか。

「これが何だか分かるか?」

俺は首にかけていたネックレスを見せつけた。

「「「そ、それは!?」」」

この人達はこれがなんなのか分かっているようだ。

「し、シンフォニア家の家紋・・・まさかあなたは・・・」

「俺だって事を荒立てたくない。このままここを離れてほしい。」

「わ、分かりました。」

男の人達はその場を去った。

「あなた、シンフォニア家の方?ということはお金持ちかしら?」

あんなことがあったのにそんなことを聞いてくるこの人は間違いなく加害者側だろう。

「はぁ、なぁ、あんた。何処に行ったらさっきの人達に会えるか知ってるか?」

「それより私とお茶しませんか?いい喫茶店知ってるんですよ。」

ダメだこの人、話を聞いてくれない人だ。

「あの、連れがいるんでさっきの人達の場所を教えてくれよ。」

そう言いながら後ろを指すと、

「え!?何ですかここは?天国ですか?」

いきなり声をあげるなりめぐみん達へ近づいてった。

あれは危ない人の目をしている。

「ろ、ロリっ子がこんなにも・・・」

まぁ、顔はロリっ子だが身体は・・・一人だけ完全ロリっ子だな。

「おい、今しつ・・・な、何をするんですか!?だ、抱きつかないでください!」

「おい、離れろ!警察連れていくぞ?」

「そ、それだけは止めて!最近警察に幾度に蔑んだ目で見られるのよ!」

知らんがな。

俺達はその人を警察に預けて旅館に向かうとした。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふぅ、広いな。」

さすが、アイリス様が取ってくれた宿だ。一人で泊まるには十分すぎる広さだ。

なぜ一人かというと、そりゃ年頃の女子とは寝れないからな。

一回寝てるじゃんとかいうクレームは受け付けておりません。

「うーん、風呂入りたいけどあいつらだけで歩かせるのも不安だな・・・」

さっきの事を思い出すと色々怖い・・・

ここは平和な温泉の都じゃないのか・・・?

 

 

「お兄ちゃん、昨日は朝温泉に入って惰眠を貪るって言ってたのにどうしたの?」

「いや、今朝の事を考えるとな・・・」

俺達は温泉街を観光していた。

「しょうた!あそこに温泉卵が作れるところがありますよ!」

今朝ゆんゆんのはしゃぎっぷりを見て呆れた目をしていた奴の目じゃないぞそれ。

めぐみんはとってもはしゃいでいた。子どもか!あ、子どもだったわ・・・

俺達は温泉卵を作るため卵を買い、その場所にいった。

「温泉卵が出来るまで30分掛かるらしいよ。」

あるえが作り方を見て言った。

「そんなに掛かるのか。浸けてる間、どっか近場を見て回ろうぜ。」

そうやって観光を続けていると、

「アクシズ教に入りませんか?アクア様を共に崇めましょう!」

そう誘ってきたのは今朝めぐみん達にセクハラしたプリーストだった。

「あ、あんたは!?」

顔をひきつらせた。

「あ!あなたは、ロリっ子を引き付けてる羨ましい人!」

その覚え方気に入らない。

「何ですか?私に会いに来たんですか?」

「いや、たまたまだ。」

「またまた~、照れなくていいんですよ?そこでお茶でもします?」

ほんとなんなんだこの人は・・・

「ていうか、あんた今朝警察に渡しただろ?何でここに居るんだよ?」

「え、警察の人に絡んだらすぐに解放してくれたわ。」

警察もお手上げかよ・・・

「では、これで・・・おい、放せよ。」

プリーストの人は俺のローブを引っ張った。

「いやよ、放して欲しければ入信書にサインするか私養うかしなさい。」

いや、俺一応キリスト教なんですが・・・まぁ、なんちゃってなんでそんなに気にすることもないですはい。

「どっちも無理です。」

俺は無理矢理掴む手を振りほどいた。

「そもそもアクシズ教って何なんですか?」

「「「「え!?」」」

その場にいためぐみん達までもが声をあげた。

「しょうた、本当に知らないのですか?アクシズ教は変人ばかりが居るということで有名なんですよ?」

「そ、そんな風に思われてたなんて、お姉ちゃん悲しい。」

何自分でお姉ちゃんとか言ってるんだこの人は・・・

「お兄ちゃんってほんとにどこから来たの?ここの常識も知らなかったし。」

「お、お兄ちゃん!?何て羨ましい。」

なるほど、この人の追い払い方を思い付いた。でも、これをやるのはちょっと・・・

「なぁ、めぐみん・・・」

めぐみんに耳打ちをした。

「え、嫌ですよ。」

「お願いだ。でなきゃ俺がやるはめになる。」

ゆんゆんに頼んだらやってくれそうだが再起不能になりそうでめんどくさい。あるえは多分演技ができない。となるとやっぱりめぐみんだ。

「それでいいんじゃないですか?私もしょうたのその姿を見てみたいですし。」

こんにゃろー

「何々?何の相談?」

「あの、一つ名前を聞いていいですか?」

俺は後ろを向いたまま聞いた。

「まさか惚れちゃった?ふふふ、いいわよ。私はアクシズ教団の美人プリースト、セシリーよ。」

自分で美人とか言っちゃうかー、いや、間違ってはないんですけどね。

「そうですか、こほん。」

俺が今からやろうとしてることはこの年にもなっても近所のお姉さま方にやらされていたもので、ずいぶんと鍛えられた。今思えばあの人達もおかしな人ばっかだったな・・・あーこれするとしばらく顔が子供っぽくなるんだよな。普段使わない筋肉を使うせいか。では、

「セシリーお姉ちゃん、お菓子がほしいなぁ」

セシリーの方へ振り向き全力営業スマイルで言った。

まだ15歳のためか顔にはあどけなさが残っている。

「はぅ、いいわ!お姉ちゃんに任せなさい!」

といって走り去っていった。

後ろからの視線が痛いです。

「しょうた、そのままの顔をキープしたままこっちを向くのです。」

「嫌だ。」

俺は顔をもとに戻した。

「さて、観光に戻るか。」

俺達は観光に戻った。

「しょうた君、少し幼くなった?」

うっさい。

 

 

「んーっ、温泉卵美味しいですね。」

30分後、温泉卵を食べに戻った俺達は近くのベンチで座って温泉卵を堪能してた。

「お兄ちゃんはこれ作れないの?」

「なんだ?そんなに気に入ったのか?」

「お風呂につけたら出来るんじゃないのかい?」

そんな簡単に出来るわけがなかろうが。

黄身の凝固点が確か65~70度だったか。これは温度計がなけりゃ作れねーな。

「温度計があったら作れる。」

俺はこの世界に来てから温度計を見てない気がする。

「そっか、じゃあ今度作ってね。」

その反応ではこの世界にも温度計はあるらしい。

「しかし驚きましたよ。まさかしょうたがあんなに可愛らしい声が出来るなんてね・・・」

その話題には触れてほしくない・・・

「そうよ、あの声を聞いたらこう、庇護欲が駆られたわ。」

「あぁ神様、もう一度しょうた君の声を・・・」

この街で神様とか言わないでほしい。

「ほら、アホなこと言ってないで行くぞ。」

「「「はーい」」」

 

 

観光を終え旅館に戻ってきた。

さて、温泉温泉♪

鼻歌を歌って浴場の前にやって来た。

「うっ、こ、これは・・・」

俺に目の前には女風呂と男風呂、そして混浴があった。

「どっちに入ろう・・・?」

もちろんそんな邪な気持ちで迷ってる訳じゃない。いやまぁちょっとはあるけど。

混浴の方は今日限定レモン風呂らしい。男風呂の方は蜜柑風呂、そして女風呂は柚子風呂・・・

あ、女風呂は全く入る気無いですよ。一応説明しただけですはい。

取り合えずフロントに聞きに行った。

「すいません、今日限定の奴っていつまでやってるんですか?」

「えっと、深夜の三時までですね。」

「そうですか。ありがとうございます。」

それじゃあ、深夜に混浴の方にいきますか。

 

 

カポン

「ふぅ、癒されるぅ。」

ここの宿の温泉は炭酸風呂らしい。効能は肩凝りとか冷え症に良いらしい。

風呂に浸かりながら温泉街の温泉を眺めていた。

「ほう、色々あるな。単純、塩化物、硫黄・・・なんだこれ?アクア様の煮汁風呂?入りたくない。」

はぁ、明日は温泉巡り。久しぶりの休みも・・・最近休んでばっかな気がする。店長に悪いな・・・

そんなことを考えていると、

「あれ?しょうたが居ませんね?絶対入ってると思ったのに。」

隣からめぐみんの声がする。

「だから居ないって言ったじゃないか。めぐみんもこっちにおいでよ。」

ちょっと離れたところからあるえが言った。

「おい、めぐみん俺をなんだと思ってやがるんだ。あとお前ら、他の人も居るんだから静かにしろ。すいませんね。うちの連れが。」

他のお客さんに謝る。

「つまらないですね。」

お前はここに何しに来たんだ・・・

そう思い蜜柑の香りに包まれながら軽く一眠りした。

 

 

「ふぅ、さっぱりした。そっちの柚子はどうだった?」

晩御飯の時間になってご飯を食べに降りてきた。

「良かったよ、柚子の香りが心を落ち着かせれた。」

軽くゆんゆんを匂って、

「そうか。出来たら入りたかったな。」

そう言って席についた。

「待ってください、何でゆんゆんだけ匂ったのですか!?ほら、私も匂うのです。」

どうしたこいつは?

「俺がゆんゆんを匂っても問題にはならないがお前を匂ったらひょいさぶろーさんに殺されるだろ。」

あのとき手を出すような男に見えますかって言ったので軽率な行動には出られない。

「だったら私は匂っても問題ないんだね?」

あるえがいきなりそんなことを言い出す。

問題はないと思うが社会的にどうかと思う。

「ま、まぁまぁ、二人とも落ち着いて。」

「何ですか!一人だけ匂われたからっていい気になって。」

「そ、そんなことないから!」

そう言いながらにやけてますよ、ゆんゆんさん?

「お、お客様、他のお客様に迷惑をかけますから静かにお願いします。」

「ほんとすみません・・・」

あぁ、修学旅行の先生の気分だ・・・

そんな気分でも料理は美味しくいただけた。

どれも新鮮でとっても美味しかった。そう、どれも新鮮。オクラの天ぷらに攻撃されました。鼻痛いです。揚げられても生きてるとか逞しすぎる。その生命力分けてください。

 

 

晩御飯のあとはめぐみん達の部屋に行き大富豪、出はなくダウトをやった。

ゆんゆんがダウトって言ったらめぐみんが『私たちの事、そんなに信用してなかったんですね。友達に思っていたのに・・・』とか言って取り消しさせたり、それが嘘だと分かって押しきってダウトって言ったら本当だったり、散々な目に遭った。最終的には泣いて俺に甘えてきたりしてた。お兄ちゃん的には嬉しかったが。男としては心臓バクバクもんでした。ありがとうございます。まぁ、それ見てめぐみんが羨ましそうだったりあるえがねだってきたりなど大変でした。こいつらのこと真剣に考えなければならないことを思うと考えなくてもいいかなって思いました。

作文!?

 

 

俺は部屋に戻り十二時になるのを待った。今から行けば人が居そうで行きたいけど行きたくないです。

チャリッ

俺結構ヤバイもん渡されたかな・・・

ネックレスを見て思った。

多分だけどこれがあったら権力乱用出来るんだよな、そんなもん俺に渡すって相当信用されてんのかな?あの一週間で?

そんなことを悩みながら時間は刻々と過ぎていった。

あ、もう十二時前かそろそろ用意して行くか。

今から混浴に行くこと考えたら、もう心臓バクバクですよ。

浴場に向かってる途中、

「あ、あるえ。その格好、お前も風呂にいくのか?」

「え、あ、まぁそうだね。」

まずい、このまま一緒に行って混浴の浴場に入るとこを見られてしまったら、世間的に終わるかも・・・

いや、待て。俺は別にやましいことをしているわけではない。レモン風呂がとても気になるだけだ。そう、けして邪な気持ちがあるわけでは・・・

ああぁ、毎度恒例の誰かに向けての言い訳をしても無理だ!そうだ、効能をよく読んでいる振りをしてあるえが女風呂に入った後で混浴に入ればいいのか。これなら楽勝だぜ。

よし、浴場の前についた後は効能をよく読んでいる振りを・・・え?

隣には俺と同じく効能を読んでるあるえが居た。そ、そうだよね。読むよね。

 

 

五周ぐらい読んだだろうか?まだあるえは動かない。どうするこれ?

もう、いいかな潔く入ろうかな?

俺が移動すると安堵したかのようにあるえが息をついた。

そのやさき、

ガラガラガラ、ピシャッ

「え!?」

俺が浴場に入ってすぐあるえの声が聞こえた。

もしかしてあいつもここに入るつもりだったのか?

ガラガラガラ

「おいあるえ。」

「な、なんだい?」

「一緒に入るか(笑)」

「え、え!?その、いいのかな?」

え?前半は予想通りの反応だけど後半は予想外だった。

「え、あ、い、いいんじゃにゃいか?」

しまった!何か緊張して噛んだ。

「そ、それじゃあ失礼するよ。」

なんだろう、なんだろうこの感じ。勝手に妹みたいな扱いしてきたけど、こういうことになったら妹として見れないというか、いや、完全には見れてなかったけど、世界観が変わるというか、俺自身の何かが変わった気がする。

日本の妹の時はこんな感じじゃなかったのに・・・

ガラガラガラ

温泉の方へ移動した。

ほう、これがレモン風呂か。いい香りだ。蜜柑よりいい。

体を洗うと温泉に浸かった。

あるえはまだ髪を洗っている。長いからなあいつ。

「あの、しょうた君。視線をすごく感じるんだけど・・・?」

シャンプーしてるせいかあるえは目を瞑っている。

「自意識過剰か?」

いや、しっかり見てます。いつも服の上からですけどタオル一枚だけで見ると凄みがさらに分かるな・・・

「ち、違っ!」

おっと、慌てたときの揺れすごかったです。

今ここがレモン風呂じゃなかったら、俺の理性は保てれていません。

流石に体を洗うとこは見れません。そんな勇気も度胸も精神力もありません。

「しょうた君?」

俺の姿が見えなくなったのが不安なんだろうか、声が震えてる。そんなに俺信用ない?

「ここだよ。」

岩影に隠れて手を振った。

「そんなところに・・・」

安心したような声をだした。

体を洗い終わったのかこっちに来て、

「と、隣いいかい?」

さっきまで見られるのを恥ずかしそうにしてた奴の言葉じゃないだろ。

「え、あ、ああ。」

そういうとあるえが隣に入ってきた。

俺はあるえを横目で見ていたら、

「しょ、しょうた君?視線がチラチラとこっちを見てるんだけど?」

「俺だって思春期真っ只中の男の子だ。視線が嫌だったら離れてくれ。」

「別に、嫌って訳じゃ・・・」

もじもじしながらあるえが言った。

何この状況?

しばらく沈黙が続くと、

「しょうた君はそ、そういうことに興味はあるの?」

「そういうことって温泉の効能のことか?」

確かに興味はあるが入る前に熱心に読んでたのは目的が違う。

「違うよ!そ、その、えっちなことのこと・・・」

「何?お前、襲われたいの?」

「しょ、しょうた君にだったらいいかな・・・」

ヒュウー

今日は風が強いな。

「じゃ、先に出るわ、もうそれ以上のぼせんなよ。」

風呂から出ようとすると、

「ま、待ってよ!さっきまで私のことを邪な目で見てたのにどうしてすぐに冷めるんだい!?」

「覚めるもなにもないだろ!?おい、やめろ!お、落ち着けって取り敢えずタオルを引っ張るな!ヤバイヤバイ、俺の方もヤバイがお前の方がもっとヤバイから!」

何かこぼれそうですよ!?

 

 

いや、前々からは何となくそうなんじゃないかと思ってたよ?俺もそこまで鈍感じゃないわけだし。でも気のせいかもしれないで納めてたからこう、改めてこんな行動をとられると困るんですよ。昔この子とフラグでもっていってた自分がバカでした。妹と同じ年の奴に手を出すって相当ヤバイな、みたいな言い訳を考えてみたこともあるけどゆんゆんも妹としてはあまり扱えてない気がする。どうしたらいいと思います?

「しょうた君は私のことが嫌いなのかい?」

「嫌いじゃない。」

俺とあるえは一回風呂に浸かり直し話し合うことにした。

「じゃあ、好き?」

上目使いやめろ!答えにくいわ!もとから答えにくい質問をさらに答えにくくするな!

「お前のこと、多少は意識したことはあるよ?でもやっぱり妹と同じ年って考えると・・・」

「でも、ゆんゆんはほんとの妹じゃないよね?」

あまり痛いとこを突かないでくれますかね。

神様助けてください、お願いします。

祈ったら、

ガラガラガラ

「あ!やっぱりあるえだけ抜け駆けを!許しませんよ!」

「お兄ちゃん、なにもしてないよね?」

めぐみんとゆんゆんが風呂場に入ってきた。

「はぁ、何でタイミング悪く入ってくるのさ。」

あるえが悔しそうに言った。

「何のタイミングですか!?もしかしてあと一歩遅かったらしょうたの初めてが・・・」

顔を赤らめてめぐみんが言った。

「と、取り敢えず俺出るわ。・・・おい、そこどけよ。」

めぐみんとゆんゆんが風呂場の入り口を塞いでる。

「嫌ですよ。私達だけしょうたとお風呂に入れないとか不公平ですよ。」

何言ってんだこいつ?

「そうよ、私とお兄ちゃんは二ヶ月も一緒に暮らしているのに、一度も一緒にお風呂入ったことないじゃない!」

当たり前じゃないのかそれ?

「なんですかゆんゆん。それは私達に喧嘩でも売ってるんですか?」

「特に一緒に暮らしてるの部分が気に入らなかったよ。」

おーい、負のオーラ巻き散らかしてるぞ。止めてくれ。

「な、何よ。めぐみんは卒業後のパーティーに誘われてるし、あるえは一緒に寝ようって誘われた上に一緒にお風呂に入ってるじゃない!」

「あれは臨時です。それに私はまだしょうたと一晩過ごしてないんですよ?」

これ何の張り合い?

「めぐみんは親公認をすぐにでも貰えるじゃないか!」

いや、ひょいさぶろーさんが居るから貰え・・・ゆいゆいさんが無理矢理するか。

「取り敢えず風邪引くから風呂に疲れよ。俺出るからさ。」

「何言ってるのお兄ちゃん。この状況で。」

俺居ない方がいいと思うんだが・・・

「ほら、さっさと浸かりますよ。」

「わ、わかったから!引きずるな!」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「はぁ、昨日は散々な目に遭った。気づいたら俺の良いとこを多く言った方が勝ちみたいなゲームしてたけど、結局十個もでないで終わったし。何なんだよ、俺を苛めたいのか?食堂でコーヒー貰いに行こ。」

食堂は一階にあるので階段を下りていたら、

「はい、シンフォニア様ですね。こちらの部屋になっております。」

え!?

体が金縛りに遭ったかのように固まった。

「ありがとう、お父様荷物をお持ちします。」

「おお、悪いなクレア。」

もう、嫌だ。

階段で固まっていると、

「おぉ!ショウタ君ではないか。こんなに早くも再会するとは嬉しいよ。」

俺も一人旅行だったら嬉しいだろう、でも今回ばかりは戦争になりかねないので気が重い。

「え!?ショウタ!?お前、どうして・・・?」

こっちが聞きたい。

「報酬の中身が温泉旅行四人分だった。」

「そ、そうなのか。私はお前が提案してくれたので親孝行に温泉旅行をと思って。」

神様、俺をどうしたいの?もう、泣きたい。

「で、お前は親御さんと一緒に来ているのか?」

そうクレアが言ったそばから

「あ!居ましたよ!もう、こんなところで何や・・・何でこの人がここに居るんですか?」

早速敵意剥き出しですね。

「めぐみん、待って・・・お兄ちゃん?」

何かがあったら俺の名を疑問系にして聞くな。

「何二人とも負のオーラを・・・仕方ないか・・・」

何が?何が仕方ないの?

「ショウタ君、君がいい人なのは分かるけどこれはちょっと・・・」

クレアのお父様これは違うんです。言い訳は出てこないけど違うんです。

「お、お父様。彼は天然たらしなので悪気はないのですが・・・もうちょっと自覚をしてほしいですね。」

「誰がたらしだ!それに何を自覚するんだよ!」

「お前は自然と女性を・・・」

そこまで言ったとき、

「あ!こんなところに居た!合法ショタっ子!」

何それ?

「おい、ショウタ。お前ってやつは・・・」

待て、今回はマジで俺は悪くない。

「もう、どれだけ探したか、一件一件の宿をしらみ潰し。お陰で出禁になったわよ。」

一体何をしたらそうなるんだ?

「さ、お姉ちゃんと一緒に帰りましょ?」

「お断りします。」

「もう、素直じゃないなー」

「帰れ。」

「嫌よ、もう一度あの天使に会わないと気がすまないわ。」

「やりたくない。」

「あの、天使とは一体?」

クレア余計な口を叩くんじゃない。

「しょうたは全力営業スマイルでショタっ子になれるんですよ。まぁ、私も見たことはないんですが。あのお姉さんがそこまで固執するならきっとスゴいものなんでしょう。」

めぐみん、お前まで余計な口を・・・

ゴクリッ

「おい、クレア今期待したか?」

「し、してない・・・」

嘘つけ、顔を隠してから言え。親が見てるぞ。

・・・何か親御さん、諦めた顔してるなぁ・・・

「ねぇ、一回だけ先っちょだけでいいから。」

先っちょってなんだよ。

「もう、帰ってください。」

「セシリーお姉さん、負けてはいけませんよ。あの人はだいぶ疲れてるはずです。あと少しです。」

おい、めぐみん。お前はどっちの味方なんだ?

「セシリーさん、頑張ってください。」

ゆんゆんまで・・・

あ、あるえは・・・

「しょうた君早く見せた方が楽だよ?私も見たい。」

おい、願望をさらっと言ったな。

「セシリー殿、あと一押しで行けます。さぁ!」

クレア、お前はわかってた。絶対そっちに行くだろうって思ってた。

「み、みんな。お姉ちゃん頑張るね。」

ホント何これ?

クレアの親御さんはいつの間にか居なくなってるし・・・

五対一って無理ゲー。

「お、お客様、他のお客様にご迷惑が・・・」

「ホントにすみません!今静かにさせますので。」

はぁ、温泉旅行、これだったら家族で来た方がましだったかなぁ。

顔を俯かせ一息ついた。

「ふぅ、これで最後にしてくれますか?」

「今日のところは最後にしてあげるわ。」

明日も来るの?嫌だよ。でも、今日は絡んでこないって言ってるし。いっか。

吹っ切れました。

「お姉ちゃんたち、お店の人に迷惑だから静かにしようね?」

この世界に来てから早くも二回目の全力営業スマイルをした。

「「「「「!?」」」」」

五人はその場に固まって俺はコーヒーを取りに行きました。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

俺は朝御飯を六人で食べてました。なぜ増えてる?

クレアの親御さんは食べ歩きに行ったらしい。そっちに付いていきたかった。

で、六人・・・

えっと、俺、ゆんゆん、めぐみん、あるえにクレア、そしてセシリー。何で?

「おかしいだろ!?何であんたここに居るんだよ!?」

セシリーは首をかしげた。

「何でって、この流れはあなたのハーレムに加わる感じでしょ?」

「そんなもん作った覚えはない!」

「全くこれだから天然は・・・」

その天然の意味絶対違う意味だろ。

「俺は魔王を倒すのにこっちに来たの。別にハーレムを作りに来た訳じゃない。」

もとはといえばあの駄女神がミスったからこんなことに・・・

「ショウタ、魔王を倒すために来たのか?わざわざわざ、何でそんなことを・・・」

クレアが不思議そうに言ってきた。

「ある人に魔王を倒したら何でも願いを叶えてくれるって言われたんだよ。」

「ほう、それはいい話ですね。で、その願いとは何ですか?」

みんなが身を乗り出した。

え、言わなきゃならないんすか?

「えーっと、だらだらしていても怒らず甘えさせてくれるお嫁さんが欲しいって言う願い。」

なんと言うくそみたいな願望だろうか。自分でもそう思う。でも、これが最も叶えたい願望だ。

「そんなことなら、セシリーお姉ちゃんが存分に甘やかしてあげるわ!」

「そ、それくらいなら我が家に来ていくらでもだらだらするがいい。」

「わ、私はしょうたが何してようが怒りませんし甘やかせる自信があります。」

「私はお兄ちゃんが何をして欲しいかすぐに分かるわ。」

「私もしょうた君の願望を叶えられると思う。」

一斉にそんなこと言われても・・・正直困る。

何でだろう、こんなに美人に言い寄られてるのにちょっとしか嬉しくない。

みんな、ダメ人間だからかな・・・

「はぁ。」

「「「「「あ!!」」」」」

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「まだ午前中なのに疲れた・・・」

俺は一人で部屋に戻り布団に伏せた。

コンコンコン

「開いてますよ。」

ガラガラガラ

「どした、クレア。」

そこにはいつものクレアではなく浴衣姿のクレアがいた。

夏限定のガチャみたい。

そんな失礼なことを思いながら見ていたら、

「よかったら、外を歩かないか?」

浴衣デートですか・・・

「行く。」

 

 

「そういえば、他のやつらは?」

旅館を出てふと思った。

「他の人は部屋にいって何かを語るとか言ってたような。」

あのメンバーで何を語るんだ?

「クレア、行くとこ決まってんのか?」

「いや、決まってない。」

「どうして俺の周りには後先考えないで行動する人がいるのかなぁ。」

どしようかな、温泉は一人で行きたかったしな・・・

「あ、あそこ入ってみようぜ。」

そこは足湯だった。

温泉は一人でしか入れないけど足湯は二人で入れるもんな。

そこに行き温泉饅頭を頼んだ。

「これが足湯と言うものか・・・」

物珍しそうに足を見ている。

「ほんとは今日は温泉行くつもりだったんだが・・・」

「お、温泉!?その、まだ早いような気もするが、お、お前がどうしてもって言うなら・・・」

「いや行かねぇよ。行っても別々になるんじゃ意味ないだろ。ていうか、何が早いんだ?」

「な、何でもない!」

プイッと顔を逸らした。

なにその行動。以下ry

この人は俺のツボを分かってるんじゃないのだろうか?

「しかし、足湯っていうものは足だけ暖めて風邪を引かないのだろうか?」

「うーん、大丈夫だろ。人間っていうのは体を暖めるために手足の熱を使うらしい。だから、足を暖めただけでも体は暖かくなると思う。」

「そうなのか?それだったら安心だな。」

クレアが自分の足を眺めていった。

「それにしても、お前の足ちょっと綺麗すぎるのでは?」

クレアが俺の足を見て行ってきた。

「うるせぇ!気にしてるんだからほっとけよ。」

俺は足の毛が薄いと言うより無い。別にガムテープで剥がしたわけでもない。遺伝ってやつだ。

「はぁ、こうして休むのは久しぶりだな・・・」

「俺はここんとこずっと休みっぱなしだ。」

ニートでもないのにどうしてだろう?

「そういえばお前、アイリス様のもとを離れて平気なのか?」

こいつは異常にアイリスに対する執着が激しすぎる。丸一日離れるだけでも大変だと思うが・・・

「最初は不安だった。ここに来る途中何度王都に帰ろうかと思ったか。しかし、両親とまたいつ会えるか分からないからな。ここは我慢するべきだと自分に言い聞かせてた。」

その短時間でそこまで行くか?こりゃ半日も持たんな。

「でも、旅先でお前に会えた。それだけで心が軽くなった。」

俺は心が重くなったがな。半分戦争起きそうだったし。

「そうか、お役に立てて何より。」

「お待たせしました。温泉饅頭です。」

店員さんが饅頭を持ってきてくれた。

「ありがとうございます。」

「デートですか?良いですね。二人で足湯なんて仲がいいんですね。」

「え、いやそういう訳じゃ・・・」

「なに恥ずかしがってんだよ。」

「彼女さん、大切にしてあげてくださいね?では。」

頭を下げ下がっていった。

「か、彼女・・・」

クレアがなぜか震えている。

「おい、そこまで動揺しなくてもいいだろ?」

「逆になぜお前はそんなに落ち着いていられるんだ!?」

「諸事情あり。あまり聞かないでくれ。」

昔お姉さま方に遊ばれたのが関係しているので話したくも思い出したくもない。

「そ、そうか、お前にも色々とあるんだな。」

何となく察してくれたクレアは饅頭をかじった。

「お、おいしい。」

口から漏らすほどおいしいのか?

一口かじってみた。

あ、思ったよりふわっとしてる。日本で食べたのとは違うからこっちは温泉の水を使ってるのか。

俺が日本で食べたのは群馬県のものでちょっと固かった気もする。確か温泉饅頭って温泉で売ってるから温泉饅頭って言うやつと温泉の水を使って温泉饅頭って言うものがあるらしい。温泉饅頭に使える温泉はある程度重曹が入ってないといけないらしく、その源泉は少ないらしい。流石は温泉の都と呼ばれるだけあるな。

「そろそろ行くか?」

「そうだな・・・ふぁぁっ」

それはまた大きなあくびですね。

「眠そうだな。」

目を擦っているクレアに言った。

「思ったより気持ちよくてな。」

満足そうな顔をして言った。

やがて大通りに出て歩いてると、

「あれ?久しぶり!わたしわたし!ほら、同級生の同じクラスだった。覚えてる?あれからアクシズ教に入信して、大分変わったから分からないかもね?」

この世界には詐欺まがいなことまで浸透しているのか。こういうメールよくあったな。

そのうち車もこの世界に入ってくるかもしれないな・・・

俺達はその場をUターンし立ち去った。

「おい、良かったのか?さっきのやつ知り合いじゃないのか?」

あれをまともに信じているのかよ。世間知らずにも程があるぞ?

「あれは知り合いじゃない。知り合いを装って入信させるという悪質な手だ。」

「なんだと!?」

凄い驚愕してますね。

「ああ言うのに引っ掛からないようにな。」

「しかし、もしほんとにあれが知り合いだったら・・・」

そんなことは絶対無い。俺はこの世界に来て知り合った人数は数えきれるぐらいだ。

「知り合いだったとしてもデート中に話し掛けられても無視するようにしてるから心配すんな。」

「い、いつこれがデートだと言った!?」

「え、違うの?男女二人で出掛けることをデートだと思ってたんだけど。もしかして俺ってずれてる!?」

まじか、そんな事実は知りたくなかった。昔お姉さま方と・・・なにもなかった。いいかあの事は忘れろ。なにもなかった。いいね?

自分にそういい聞かせ『だーくさいど』に陥るのを阻止した。

「そ、そういうものなのか?私はてっきりカップルがするものだと・・・」

そんなことを話ながら街の観光を続けた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

観光から帰ってきた俺はすぐさま風呂に直行した。

「ここは毎日限定風呂してんのか?」

浴場の前でまた足を止めていた。

女風呂は薔薇、男風呂はさくら、混浴はすみれ

「どうしたものか・・・」

「ショウタ、どうしたそんなとこに立ち尽くして。」

「え、いや別に。」

クレア来たし深夜に入ろ・・・

「ふーん、一緒に入るか?」

「へ?」

いきなり何言ってるんですか?

「どうした?入りたくないのか?」

もう、この旅館に俺の居場所は部屋だけなのかな?

「入りたくないこともないが・・・ほ、ほら、こういうのって段階を踏んでさ・・・」

「段階も何も、一緒に寝た上にデートまでした。段階は十分踏んでると思うが?」

「そ、そうなんですけど。その、こ、心の準備と言うのがありまして・・・」

あかん、向こうのペースに飲まれてつい敬語が・・・

「ほらいくぞ。」

「ちょっと、クレアさん!?」

クレアは俺を引っ張って浴場に入った。

入ってしまったのは仕方ない。もう混浴でいいや。

ガラガラガラ

「「おぉ!」」

俺とクレアは感嘆の声をあげた。

昨日とは違いすみれのいい香りがする。

レモンもいいがこっちもいいな。

「し、しかし、誰もいないな・・・」

おっと、クレアの声が少しだけ震えたな。さっきの仕返しをさせていただこう。

「この時間だからな、どうした?怖じ気づいたのか?」

「な、何を言ってる!あ、あまりに人が居ないから驚いてるだけだ。」

目が泳いでますよ。

「そっか、せっかくだし背中流そっか?(笑)」

「へ?そ、そんなことは・・・」

「俺を風呂に引きずり込んだ割にはそんな度胸ないんすね。」

「うっ、お前と言うやつは・・・よ、よし、それじゃあ流してもらおう。」

「了解。」

「え?」

「え?どうした?」

「は、ハッタリじゃなかったのか?」

「そっちはハッタリだったんですね。」

「はぁ、今日はお前を負かせれると思ったのだが・・・」

何の勝負をしてるんですか?

「まぁ、嫌がることはしないんでご心配なく。」

「流さないのか?」

「へ?流して欲しいのか?」

「い、いい。」

「そっか・・・お姉ちゃん、背中流してほしい?」

後半ショタ声で言ったら、

「お願いします!」

この人も欲望に忠実なところがあるよな・・・

「なぁ、クレア。アイリス様には手を出してないだろうな?」

「大丈夫だ。匂いだけでいける。」

何が?

俺はクレアの背中にタオルを押し当てる。

「ひゃっ!?」

「変な声出すなよ。何かイケないことをしてる気分になる。」

「い、イケないこと・・・」

おい、頬を染めるな・・・

にしても、こんなに背中狭かったか?

指で背中をなぞって計ってみた。

「ひっ、お、お前、な、何をしている!?」

「いや、思ったより背中が小さかったもんでちょっと計ってみた。」

計ってみた結果そんなにだった。

「じゃあ、やるぞ。」

クレアの背中洗っていく。

「力加減はどうだ?」

「あぁ、いい感じだ」

ふと思った。何で俺達熟年夫婦みたいなことしてんの?

背中を洗い終わり、

「ありがとう、次はお前の背中を流してやろう。」

「いや、いいです。」

「私だけあんな恥ずかしい思いさせてお前だけしないなんてずるいぞ!」

「ずるいも何もしてほしいって言ったのはお前じゃん!」

「あれはお前があんな声を出すから条件反射みたいなもので・・・」

条件反射ってヤバくないか?それ、かなり重症じゃ・・・

「と、とにかく、お前の背中を流させろ!」

「や、やめろ!あ、当たってる!何か当たってるから!それ以上やると生理的反射が起きるから!」

ヤバい、何がとは言わないが、とてもヤバい。

「う、うわっ!」

俺は足元を滑らせて倒れた。

クレアが俺にまたがり、

「ふっふっふ、これでもう逃げられまい。」

こいつ、顔がヤバいほど恍惚してやがる・・・

お父さん、お母さん、今までありがとうございました。俺今から・・・

「ショ、ショウタ?お前、涙が・・・」

「え?」

指で目の付近をさわった。

あ、ほんとだ。涙が出てる。

たぶん倒れたときに出たものだろう。

「そ、そんなに嫌だったのか?すまない。」

ん?こいつ勘違いを・・・

「お前がそんなに嫌がるとは思わなくて・・・」

いや、俺のあれがヤバかったということだけで、別にあんなじゃれあう程度なんとも・・・

「私はお前に嫌われたくない。」

クレアの目には涙が浮かんでいる。

「あ、安心しろ。俺はお前を嫌いになんてならないから。涙を流したのもたぶん倒れたときに出たやつだ。」

「ほ、ほんとか?私のこと嫌・・・」

ガラガラガラ

「「「「あっ・・・」」」」

タイミング!今そのタイミングじゃない!

しかも、よりによって、

「まぁ!」

「そうか、ショウタ君。我が家に来ることを決心したんだね?」

「ちょ、ちょっと待ってください!これは誤解です!」

「いや、いいんだよ。私は君を認めてるんだから。」

「ショウタ、こ、ここは諦めて私とひ、一つに・・・」

「おい、何勝手に先走ってんだよ!段階を飛ばしすぎだ!」

「では、私達は後でゆっくり温泉に入ろうか。」

「そうですね、邪魔してはいけませんもの。」

「「では、ごゆっくり。」」

「おーい!行かないでください!」

「そうか、段階をちゃんと踏まないとな。」

「もう、誰でもいいから助けてくれ!」

ガラガラガラ

入ってきたのは透き通るような白髪、例えるなら雪のような髪で目の色は淡い水色の女性だった。

髪の長さは肩に当たるか当たらないかで顔に少しだけあどけなさを感じる。たぶん俺と同年齢か一個下ぐらいだ。

クレアは知らない人が入ってきたからか俺の上からどいてくれた。

その入ってきた女性は真っ直ぐ俺のことを見ている。

どうしてだろう、俺はこの世界に来てこんな子に出会ったことがない。すれ違ったこともない。すれ違ったら気付きほど可愛いし・・・

しかし、そんなことを思いながらにもこの子とは初対面じゃない気がする。

「・・・雪那?」

無意識に口から出た。

「お、お前雪那は刀の名前じゃ・・・」

クレアがそう言ったら、

「はい、雪那です。ご主人様。」

その子はにっこりと微笑みかけてきた。

 

 

「えっと、説明お願いできる?」

俺達は一旦気持ちを落ち着かせるために温泉に浸かり一息ついて聞いた。

「はい、えっと、私の能力に『共鳴』ってあったじゃないですか?」

「あるな。飛んできてくれる奴。」

「刀が勝手に飛ぶのか?信じられない・・・」

今こうして目の前に雪那がいること事態を受け入れてんのに?

「それの段階?まぁ、レベルみたいなものが魔王軍戦で上がったんです。一度呼び掛けてみたんですよ?」

「え?マジで?ちょっと待って思い出してみるわ・・・あ!もしかして脳内に直接!?みたいな奴か?」

確かそんなのがあった。聞き取れなかったけど・・・

「はい!それです!あのときはご主人様の体の状態がよろしくなくて聞き取れなかったんだと思います。その時からはすでに擬人化は出来ました。」

「それだったら何で今日なんだ?前から出来たんならもっと早く出てきたら良かったのに。」

「そ、その、タイミングを計ってたと言いますか・・・」

モジモジしながら雪那が言った。

なるほど、この子は紅魔族の影響を受けたのか・・・

いや、待て。ということはこの子に俺が夜中ゴソゴソしてたのを見られてたのか?

「だ、大丈夫です!ご主人様がしようとしたら見たいけど極力見ないようにしてたんで!」

「何で心の中が分かる・・・え?今見たいって言った?」

「言ってません。それに常に一緒に居れば分かりますよ。」

絶対言ったよね。

それじゃさておき、そうだよな。こいつを女性としたら一番近いのはこいつだもんな。

「で、どうして今日なんだ?昨日も助けを求めたんだけど・・・」

出来るなら昨日、もっと早く来てほしかった。

「えっと、その、声を出されてなかったので・・・後めんどくさかったです。」

あれ?最後小さな声でめんどくさいって・・・

「そっか、確かにめんどくさいよな?」

俺だってそんな案件首も突っ込みたくない。気持ちは分かる。でもな・・・

「ひぃ!?すみませんでした!行こうと思ったら行けました!でも、力があまりでないんですよ。」

「え、どゆこと?」

「心で助けを求めるのと声で助けを求めるのでは私に行く力が倍くらい違うんですよね・・・これもレベルを上げればなんとかなりますよ。」

そっか、そんな事情が・・・

「でも、声に出すときは精神的に余裕がある時で声が出ないときの方が余裕がないんじゃ・・・」

クレアがそう言った。

そうだよな、声にならないほどの恐怖ってあるもんな。

「やっぱり不良ひ・・・」

「それやめてください。傷付くんですよ?仕方ないじゃないですか斬った感触がないほど切れ味がいいんですから。」

涙目で雪那が訴えかけてきた。

それは確かにそうだけど・・・

「それにしてもご主人様、あなたはもっと自覚するべきです!あなたは今六人もの人を魅了しているのですよ!?」

確かに多い・・・ん?六人?

「おい、六人って一人多くないか?たぶんその数セシリー入れての数だろ?それだったら五人じゃ・・・」

「え、何言ってるんですか?めぐみんさんにゆんゆんさん、あるえさんにクレアさんにセシリーさん、そして私です。」

「「え?」」

俺とクレアが思わず声を出した。

ちょっと待って、今自分の刀に告白されたの?ちょっと複雑・・・

「私を毎日毎日大切に拭いてくれて・・・とっても嬉しかったんです!あと『こいつは俺の半身だ』や『一心同体だ』なんて、照れちゃいますよ。」

そんなことも言ってたっけ・・・

ちょっと待て、そうなると俺これから雪那と一緒に寝れなくなるじゃないか・・・気持ち的にね?

「だから皆さんが羨ましかったんですよ?ご主人様の料理を食べれたり人として添い寝をしたり、クレアさんに関しては二人でデートに行ったり、どれだけ邪魔をしたいと思ったことか・・・分かります?腰に下げられている傍観者になる気分。」

だんだん目から光を失っていく雪那。

お、おう、それは辛い。

「ちょっと待ってくれ、私に関してはと言ったか?雪那とショウタはずっと一緒にいるんだったな?ということはショウタの初デートの相手は私ってことになるのか?」

「おい、嬉しそうに言うなよ・・・」

「切り崩しますよ?」

おっと怖い怖い。

「ところで雪那。ずっと気になってたんだが。」

「はい、何でしょう?」

「何でチラチラ俺に腰を見てるんだ?」

こいつは会ってからずっと五秒に一回くらいの回数で俺の腰辺りを見てくる。

「え、えっと、ずっと今まで私の聖地がそこだったんでつい・・・」

聖地?

「要約するとここに下げられてたからただ気になると?」

「そうですね。」

つまり、友達と移動中に自分の家を見るとつい目がいってしまうみたいなあれか。

はぁ、今回色々起きすぎだろ。疲れたわ。

そう思いながら温泉に浮かんだ。

「大丈夫か?お前のぼせてるんじゃ・・・」

クレアが聞いてきた。

「大丈夫だ。長風呂には慣れてる。」

湯船にはいつも30分くらいは浸かっているので大したことない。

「はぁ、脱力感満載のご主人様。可愛いですねぇ。」

こいつも相当変人だな。

ぷかぷか浮きながら思った。

 

 

晩御飯の時間も近づいてきたので風呂から上がり浴場から出た。

「なぁ、ホームシックみたいなのか分からんけど、ペタペタ腰を触らないでくれる?」

雪那が腰を服着たときから触ってくる。

「いいじゃないですか。いつも触れてることですし。」

そうなんだけどな・・・

「おい、ショウタが迷惑そうだからいい加減に・・・」

「何ですか?羨ましいんですか?」

「そ、そんなことない・・・」

「ほうほう、あんな大胆なことをしといて羨ましくないと・・・」

「うっ・・・」

クレアが赤くなり黙った。

「おいおい、あまりいじめないでやってくれよ。」

「はーい。」

しかし、こいつをあいつらに会わせるのはどうなんだろうか・・・

戦争しか起きなさそう。

「じゃ、また七時に食堂で。親御さんも連れてこいよ。」

「あぁ、分かった。」

一旦部屋に戻るため別れた。

ガチャ

「はぁ、いい湯でしたね。」

「そうだな。」

ふぅ、あと一時間どうしよっかな?

「ご主人様、私とイチャイチャします?」

「しねぇよ。」

「もう、そう言って布団に入ってるじゃないですか。体を正直ですね。」

「いつもの習慣だろ!お前いつも見てるだろ!」

「知ってますよ。それでいつも寝過ごしてしまうこともありますよね?」

「う、うっさい!」

俺の生活を隅々まで見られているこいつにどう対処すればいいのか分からない。

「ご主人様、トランプしませんか?」

「お前、マジで言ってんのか?」

「はい、スピードなんてどうでしょうか?」

「いいな、最近やってないし。」

あいつらに教えたのは大人数でやるものだけだ。だからスピードや戦争など二人でやるものはご無沙汰だ。

「というか、ルール知ってるのか?」

「必要知識は予め入っています。そこら辺のことは企業秘密でお願いします。」

そうですか。ま、一応神器ですしね。

「では、勝負。」

 

 

「うっ、やはりご主人様には勝てそうにもありません。『見切り』まで使ったのに・・・」

「お、お前せこいな・・・」

「持てるものを全て出し尽くす。戦いにおける鉄則です。」

たまに俺舐めプしてるのは黙っておこう。

「ん?ご主人様。どうしました?手をソワソワさせて。」

「え、い、いや、何でもない。」

「そういう時は大抵嘘ついてますよね?まぁ、ソワソワさせてる理由は分かりますが。」

「つ、ついてない。じゃあ、そのソワソワしている理由を聞かせてみろよ。」

「ふっふっふ、簡単です。それは、『わたし』ですよね?」

「っ!」

「あなたはいつも『わたし』に触れています。でも今は触れることが出来ないのでソワソワしている。つまり、『わたし』依存症ですね。」

嬉しそうに言うな。

でも、事実だから仕方ない。手元に『雪那』がないと不安を感じる。

俺の左手を雪那が掴んで、

「私はここに居ますから。安心してください。」

やっぱりこいつは『雪那』なんだと実感させられた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「なぁ、お前いつ戻るの?」

俺達は食堂に向かうべく階段を降りた。

「寝るときには戻ります。」

話によると現段階では擬人化するのには俺が呼ばないとなれないらしい。戻ることに関しては自分の意思で戻れるとのこと。なお、『共鳴』のレベルを上げれば自分の意思で出てこれるらしい。

うーん、やっぱり不良ひ・・・

「やめてください。」

「はい。」

怒られてしまった。

食堂につくとすでに他のみんながついていた。

「しょうた!こっちです!こっ・・・おい、隣の娘について話してもらおうか。」

いい加減それやめろよ。

「お、お姉ちゃんというものがありながらも他の子にてを出すなんて・・・しかもかなりの美少女、羨ましいわ。」

おい、何でお前まだ居るんだよ。

「ショウタ君、さっき君はうちの娘と・・・」

「お、お父様!これには事情がありまして。」

「しょうた君、クレアさんと何かあったのかい?」

静かに怒るのやめていただけますか?

ゆんゆんに関してはもう、触れたくもない。

「もうめんどくさいから自分で説明しろよ。」

「あ、はい。えっと、私は雪那と言います。」

「え、せ、雪那!?お兄ちゃんの剣と同じ名前じゃない!?」

ゆんゆんが驚く。

「偶然・・・ではなさそうですね。魔力の感じが同じです。」

流石めぐみん。現主席なだけはある。

「つまり、擬人化、という奴かい?」

「そうです。私はご主人様に助けを求められて出てきました。」

「ふぅ、それなら良かったです。また新たな敵が増えたのかと思いましたよ。」

「増えた?何を言ってるんですか?私は元々ご主人様のことが好きですよ?」

ガタッ

俺とクレア以外が動揺した。

「な、何を言ってるのですか?あなたはしょうたの剣ですよね?それが持ち主に恋をするなんて聞いたこともありませんよ。」

「聞いたことがなくてもここにそういう事実があります!」

「くっ!」

「ショウタ君、君は大変な立場にいるようだね・・・」

クレアのお父さんが耳打ちしてきた。

「ご理解感謝です。」

「ねぇねぇ、雪那ちゃん。わたしのことお姉ちゃんって呼んでくれる?」

この人はぶれないな・・・

「はい、お姉ちゃん。ご主人様のことは諦めてほしいです。」

こいつもぶれない。

「あら、残念。アクシズ教徒は欲しいものは絶対に諦めないわ。」

諦めは肝心って言葉知ってるか?

「待って、もし、しょうた君が誰かと結婚したとして雪那ちゃんはどうなるだい?」

「え、あ、その場合はこの感情を押し殺してご主人様の相棒として生きていきます。」

勝手に俺の結婚の話はしないでほしい。

「そろそろ晩御飯食べない?」

というより、こんな無駄話に止めてくれ。と言いたい。

「そうね。こんな話を今しても仕方がないよね。」

「雪那はご飯を食べれるのですか?」

「はい、食べれます。でも、人の食事を食べるのは初めてですね。」

何でこいつらはすぐに切り替えれるんだ?

「雪那はさ、空腹の感覚とかあるの?」

もし、これがあったら長いことお腹を空かせてたことになる。

「これ食べたいなとかはありますけどお腹は空いたことがありません。」

「そっか、食べたいときは言えよ。出してやるから。」

「は、はい!」

雪那が満面の笑みを浮かべた。

「出たよ・・・」

「出ましたね・・・」

「出たね・・・」

「そうだな・・・」

「あれが噂の」

「「「「「天然たらし」」」」」

おい、聞こえてるぞ。今どこで垂らしたんだよ・・・

 

 

「はふぅ、人の食事ってこんなに美味しかったんですね。」

雪那はすごい量食べてた。

「せ、雪那ちゃん。そんなに食べて太らない?」

恐る恐るゆんゆんが聞いた。

「大丈夫です。わたし元々刀なんでエンプティカロリーです。」

「う、羨ましい。」

「ご主人様は、そんなに食べてないんですね。」

雪那が俺の皿を見て言った。

「俺はご飯よりデザート派だから。」

「デザートはご飯の代わりにはならないよ・・・」

呆れた目で俺を見てくるあるえ。

「しかし、しょうたの作った方が美味しかったですね。」

「おいこら、そういうことを言うんじゃない。」

「私はショウタが作ったデザートを食べたことがないんだが、どんな感じなんだ?」

「あれは、しょうたのことを嫌ってる私の父でさえべた褒めしてましたからね。人の気持ちを変えるくらい美味しいとだけ言っときましょう。」

「そんなになんですか!?ご主人様!私も食べたいです!」

「ねぇ、もしかしてショウタさんってお姉ちゃんよりも女子力高い?」

「もしかしてじゃなくて、絶対あんたよりは上だと思う。」

パン

クレアのお母さんが何かを思い付いたかのようのに手を叩いた。

「そうだわ、来週クレアの誕生日なの。その時にケーキを焼いて貰えないかしら?」

貴族の誕生日パーティーだから随分でかそうだが・・・

「因みに奥様。規模はどのくらいでしょうか?」

「あ、そんなに大きくないのざっと百人くらいかしら?」

おい、それで大きくないのか?

そんなに多いんだったらバイキング形式のケーキか・・・十個ぐらいか・・・

一週間もあれば行けるけど、仕事を休まないといけなくなる。これ以上は休めない。

どうしよ・・・

「お兄ちゃん、お母さんに頼んで見たら?家だったら仕事を休まずに出来るんじゃない?」

「そうするしか方法はないか。嫌だなぁ。お母さんの仕事を取らないでって涙目で言われそうだし・・・」

そもそも何故台所に立たせて貰えないかというとゆんゆんとクッキー作ったときに母さんがそのクッキーを食べて、それ以来何故か立たせてくれない。

「それ、見たことあります。泣きついてた奴ですよね?」

雪那がいつの間にか取ってきたケーキを頬張りながら言った。

「お前、気持ち悪くならないか?」

「もんふぁふぃないふぇふ。ふぁふぁふぁれふふぁふぁ。」

「飲み込んでからしゃべれ。」

ゴクッ

「ふぅ、問題ないです。刀ですから。」

便利ですな・・・

「取り敢えず引き受けます。もしかしたら数が足らなくなると思いますが・・・」

「ショ、ショウタ。無理しなくていいのだぞ?」

「大丈夫だ。無理なんかしてない。」

「その言葉だけ聞いたら頼もしいのですが、しょうた。クレアの目をまっすぐ見てから言ってください。」

「正直母さんを説得できる自信がない。」

駄々こねそうでめんどくさい。

「しょうた君ってお菓子作ってるイメージしか浮かばなくなってきたよ。」

それな。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

晩御飯を食べ終え各々解散して部屋に戻った。

「ご主人様、どこに行くんですか?」

「俺の行動わかってるなら聞くなよ。」

「また一緒に入ります?」

「いい、男風呂に行くし。」

「そうですか、なら行けませんね。」

「あ、これ預かっといてくれ。」

俺はネックレスを雪那に預けた。

「はい。いってらっしゃい。」

はぁ、やっと休める。

ガラガラガラ

ケーキ、なんの種類作ろう・・・

プカプカ浮きながら考えた。

生クリームだろ、フルーツもいいな。あ、卵アレルギーの・こと・・・も考え・・・

 

 

バシャッ

「あ、考えてたら寝てた。今何時・・・二時間も寝てたのか。」

風呂を出ようとしたら、

「な、何をするんですか!?」

隣から雪那の声が聞こえた。

「へへ、良いじゃねえか。一人でここに入ってたと言うことは誘ってんだろ?」

「ち、違います!ご主人様がもしかしたら入ってるかもしれないから来ただけです!」

「残念ながら居なかったようだな。代わりに俺らがご主人様になってやるよ。」

「や、止めてください!」

バキバキバキッ

「な、なんだ!?」

混浴と男風呂を隔ててる竹で出来た塀が折れた。

「おい、人のモノに勝手に触れんな。」

俺は目を紅く輝かせていった。

相手は四人か・・・

「なんだお前?ただのガキじゃねえか。」

「おいおい、気を付けた方がいいぜ?俺らはちょっと名が知れた貴族の御曹司だ。俺らに何かがあったらお前なんてこうだぜ?」

男の一人は親指を立てて首を切る真似をした。

「で?それがどうした。まぁ、仮にだ。仮にお前らに俺を殺せる権力があるとしよう。そい・・・」

「あるに決まってるだろ!お前、昨日ここの宿に入るところ見たぜ?紅魔族の女子を引き連れた気取った冒険者だよな。お前みたいな冒険者風情くらい簡単に処刑に出来るさ。」

「人の話も最後まで聞けないのか?この低脳め。」

「このやろう!マジで俺らを舐めてたら痛い目見んぞ?」

「どうせ口だけだ。ビビって俺達には手を出さない。野郎は女を庇ってヒーロー気取りをしたいだけだろう。」

ほう、ほんとに手を出さないと思ってるんだろうか?もしそうだとしたら頭の中お花畑ですね。

「残念だったな、姉ちゃん。俺らは四人しかも貴族だ。それに比べてあっちは一人だけ。勝ち目ないぜ。」

「寝言は寝てから言ってくださいよ。あの人をなんだと思ってるんですか?」

「この尼!舐めた口を利きやがる。まぁいい、後でたっぷりと可愛がってやる。」

「おい、さっきからきたねぇ手で雪那に触れんなよ。気持ち悪い。」

後でしっかり拭かないと。

「何の身分もない奴にが俺らにそんな口利いていいと思ってんのか?」

「多分、俺はお前らよりかは身分は高いと思うぞ。」

「ふん、抜かせ。どうせハッタリだ。」

まだ雪那から手を離してない。一発入れるか・・・

「おい、行こうぜ。ほら、お前もこゴフッ」

ドサッ

俺は雪那の手を握ってるやつを殴った。

おい、ヘボ過ぎやしないか?貴族はいろんな血を混ぜてるから強いって聞いてたけど。

「お、おい、何やってるんだ!お前、死刑になるかもしれないんだぞ?」

「そんなの知らん。例え俺が死刑になるとしてもこいつには手出しさせねぇから。」

「気取りやがって。例えってなんだ!お前は絶対死刑になる!冒険者風情が貴族に歯向かうこれだけで十分死刑だ!」

そんなんでなるわけないだろ。やっぱ低脳だな。

「お前らがどれだけ名が知れてるか知らんがお前らは俺を死刑に出来ない。雪那預けたもの持ってるか?」

「はい、ご主人様に渡されたものは肌身離さず持っています。」

雪那からネックレスを受け取った。

それを見た貴族たちは目を見開いた。

「これがなんだか分かるか?」

「ど、どうしてそれを・・・」

「おい、あれシンフォニア家の家紋じゃねぇか?」

「ヤバイよ、なぁどうするよ?」

さっきと凄い変わり様だ。

「大丈夫だ。こっちは三人向こうは一人。恐怖心を植え付けたら親にも言えないだろ。」

「それもそうか。あいつを気絶させたら後は・・・」

「お楽しみって訳か、よーし。」

「ご主人様?」

不安そうにこっちを見てくる。

「安心しろ。ご主人様を信じろ。」

久しぶりだな、素手の喧嘩。

「かかれ!」

 

 

コンコンコン

「クレア居るか?」

ガチャ

「どうした?・・・!?お前それ・・・」

俺は貴族達を運んでクレアの部屋に来てた。

「いや、雪那に手を出そうとしてたからつい。」

「すみません、私のせいで・・・」

「それは後で話す。」

「それにしても外傷は無いようだが・・・」

クレアは伸びてる貴族を見て言った。

「凄かったんですよ!ご主人様が相手の腹を殴ったと思ったらもう伸びてて・・・」

「雪那、少し黙ろうな?」

「は、はい・・・」

「で、クレア。こいつらのこと分かるか?」

「うーん、多分フェンダー家の者だろう。確か財力で成り上がった貴族だ。」

成る程、どうりで弱かったわけだ。

「成金貴族か。」

「この事は私の方から伝えておこう。」

「ありがとう、雪那帰るぞ。」

「はい。」

雪那が部屋を出ていった。

「なぁ、ショウタ。」

「ん?」

「もし私が雪那の立場にいたらどうしてた?」

「・・・ほんと、しょうもないこと聞くな。」

「う、うるさい。」

「助けたよ。全力で。」

「そうか。」

嬉しげにクレアが言った。

「じゃ、おやすみ。」

「おやすみ。」

ガチャ

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「おい、雪那。」

「は、はい。」

俺は部屋に帰ると雪那に正座させていた。

「どうして一人で混浴なんて行った?」

「も、もしかしたら入ってるかもしれないと思って・・・」

消えそうな声で答えてきた。

「男風呂入るって行っただろ?」

「でも、ご主人様が道中めぐみんさんとかに会ってたらからかわれて入るかもしれないじゃないですか!」

否定できないのが辛い。

「でも、一人でなんて絶対に行くな!俺があの場に居なかったら、お前は・・・お前は!」

俺は雪那に泣きながら抱きついた。

「ご、ご主人様。泣かないで下さい。」

雪那は俺をなだめてくる。

やがて俺は泣き疲れ雪那の腕の中で眠りに落ちた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「・・・様。ご主人様。起きてください。朝ですよ。」

「ん、雪那?おはよう。」

「おはようございます!ご主人様。」

あのまま寝てしまったのか。

「すまない、寝れなかったよな。」

「何言ってるんですか?刀は眠らないんですよ?」

雪那は目の下に隈を作って言った。

「ほんとのこと行ったら、帰ってプリン作ってやる。」

「眠いです。いや、このままご主人様を抱いて寝ようかなって思いましてけど、ヨダレがこぼれたら申し訳ないと思って起きてました。」

そんなにプリンが食べたいのか?

「寝るか?」

「朝御飯を食べたいです。」

食欲が強い奴だな。

コンコンコン

「お姉ちゃんが起しに来たわよ!」

ガチャ

セシリーは勝手に部屋に入ってきた。

そう言えば鍵閉めてないな。

「さ、今日のショタっ子声を聞かせて。」

いつもなら断るが今は機嫌がいい。

「お姉ちゃん、おはよう。」

「はぅ、どうしたの?昨日みたいに嫌がらないの?まぁ、私はそっちの方がいいんだけど。」

「よく喋るな。はい、今日のショタっ子声おしまい。下行こうぜ。」

「それはいいんだけど、いつまでも雪那ちゃんとくっついてるの?」

おっと、このままでしたか。

雪那は顔を赤くしている。

昨日、あれだけ散々煽ってた奴が何赤くなってんだよ。

「ほら、早く行くぞ。」

 

 

「色々とご迷惑をかけました。」

俺は旅館の人に謝罪に行ってた。

「いえいえ、騒がしい二日間でしたけど他のお客様も少しあれを楽しみにしていたらしいので。」

何故か、あの騒がしいのが影で好評だったらしい。物好きも多いな。

「あ、後竹の塀の事申し訳ありませんでした。」

「まぁ、あれはシンフォニア家が弁償して頂くことになりましたのでいいですよ。幸い男風呂の方でしたし。」

クレアには頭が上がらないな・・・

「では、これで失礼します。」

「またのお越しをお待ちしてます。」

 

 

クレア達と別れを言った俺は旅館から出てきた。

「あ、ショウタが出てきました。」

「もう、遅いよ。早くお土産を買いにいこうよ。」

「はいはい。」

「お兄ちゃん、雪那ちゃんは?」

「ここで寝てる。」

腰に下げた『雪那』を見せた。

「それじゃ、お土産を買って紅魔の里に帰りますか!」

こうして俺達の温泉旅行は幕を閉じた。

 

全然休めた気がしない・・・




こんにちは、ねこたつむりです。
なんか書いてるうちに方向性を見失ったです。
紅魔組が少なかった気がします。
あと、セシリーをヒロインに追加するか迷ってます。
あ、そう言えば雪那が擬人化しましたね。白髪美少女ですね!このすばのカズマは死んだら生き返れるのでエリス様に会えますが、ショウタの場合死ねません。よって雪那はエリス様の代わりですね。
さて、次回はこの話に出てきたように、クレアの誕生パーティです。作者クレア大好きすぎますね。何故かサブキャラばかり好きになっていくのが不思議です。
あと、主人公もう冒険者をやめてパティシエにでもなったらどうですかね?
では、今回も読んでくださりありがとうございます。
次回も読んでくれるとありがたいです。

最近、タブレットの調子が悪い・・・
気付いたらお気に入り件数が100を行ってて夢かな?と疑問に思いました。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。