この素晴らしい少年に祝福を!   作:ねこたつむり

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※注意、この小説には以下の成分が含まれております。
・下手な日本語
・クソ文才
・ご都合主義
・紅魔族
・中二病等々
・ぼっちがボッチしてない

こんちわ、前回のことを反省して頑張って執筆しました!
今回のサブタイトルはどうして英語なんだろう・・・
ショウタ「ただの中二病だろ・・・」
ゆんゆん「この人の乗りはもう病気じゃないかな・・・」
雪那「そもそも前書きに私たちを登場させるなんて・・・」
めぐみん「ネタがないのでしょう。」
あるえ「でもサブタイトルは私たちの琴線に触れまくってるね。」
ショウタ「・・・ねこたつむり紅魔族じゃねぇだろうな・・・」



Closed Memory

ピピピッピピピッピピバキッ

「・・・あ、またやっちまった・・・」

ベットから起き上がり止めたはずの目覚まし時計を眺めた。

「永遠に止めるるつもりはなったんだけどな・・・」

無残にも真っ二つに割れている目覚まし時計に黙禱をして、リビングに降りて行った。

「あ、お兄、おはよ。」

声をした方を見るとソファーの上で寝そべっている我が妹、「こよみ」がいた。こよみは現在中学一年、

俺の二つ下だ。容姿はは黒髪ショート黒目、スラっとしていて男受けが良いらしい。俺にはこいつの良さがわからん。ちなみに血縁のせいなのか俺たち兄妹は気持ちが高揚すると目が紅くなる。

「お兄の部屋から凄い音が聞こえたんだけど、あの音ってまたやっちゃった系?」

この「また」を聞くたびに耳が痛くなる。

そう。俺は月二の割合で目覚ましを壊している。

「ああ、また買いに行かないとな・・・店員さんまた同じ人なのかねぇ・・・」

俺が目覚まし時計を買いに行くときは決まって同じ女性店員さんなのだ。そろそろ向こうも呆れてるかもしれない。

「あ、そういえばゆず姉が遊びに来るって言ってたよ。」

・・・

「よし、今から兄ちゃんは用事が出来たからお前が軽く相手しておけ。大丈夫、晩御飯には間に合うように帰ってくる。」

この家には家庭の事情により俺とこよみしかいない。したがって食事に関する家事は全部俺がやることになっている。親権に関しては叔母辺りが持っているが俺たちの好きなようにさせてくれるので今は気持ちが落ち着くまでこよみよ二人暮らしだ。

「お兄、用事って何?」

お、何だ?珍しく俺の用事に興味津々じゃないか。と言っても用事なんてないんだけども・・・

「んー、今は決まってないけど今後決まる予定だから。じゃ」

「そっかぁ、用事がないのにこよみちゃんに私の相手を任せるんだぁ。」

不意に後ろから声が聞こえた。その声は俺が今、最も恐れる人の声だ。

「いらっしゃい、ゆず姉。」

「・・・ゆず姉、いつからそこに?」

俺は恐る恐る振り返りゆず姉に聞いた。

「祥太君が今から用事が出来たって言ったところ辺りからね。」

ほとんど最初じゃん・・・

「こよみ・・・お前ハメやがったな・・・」

俺はソファーでふんぞり返っている愚妹を睨んで言った。

「だってお兄はいつもゆず姉から逃げてるじゃん。何でこんな美人から逃げるの?」

そう、ゆず姉は容姿端麗、黒髪ロング少し紅みがかった瞳を持っている。おまけに家庭的で評判らしい。

「お前はこの人の怖さが分からないからそんなこと言えるんだよ。」

「もう、祥太君ってばひどいこと言うなぁ。私は何もやってないじゃない。」

「あんたは人を舐め回すのが当たり前なのか?皮膚がが溶けたらどうするんだよ。」

一昔前、俺はゆず姉が率いるグループに拉致られて色々とされた・・・もう思い出したくもない。

「あんなのスキンシップじゃない。」

「じゃああんたはそこら辺の男子にあんなことできるのかよ!」

「無理に決まってるでしょ!?」

即答かよ・・・

まぁいい、用事って程でもないけど朝壊れた(壊した)やつを使って逃げるか。

この場から脱出する為の案が浮かび微笑を浮かべていると、

「あ、そういえばゆず姉。デパートで期間限定のクレープ売ってるの知ってる?私あれが食べたい。」

こよみの発言は俺に大問題をもたらした。ゆず姉に提案することは別に問題ではない。何が大問題かというと、デパートに行きたいっていうこと自体が問題だ。俺は目覚まし時計を買いに行くのは決まって同じデパートだ。というか他に何でも揃うしついでに買い物もできるしデパートが良いのだ。何が言いたいかというとデパート以外で買い物はしたくない。つまりだ、俺がこの場で目覚まし時計を言い訳にしたらもれなく余計な二人がついてくる。

仕方ない、適当な嘘を・・・

「お兄も目覚まし時計を買うのにデパートに行くみたいだしみんなで行こうよ。」

・・・こいつ確信犯だ・・・

その証拠に、にやつきながら勝ち誇ったようにこよみが俺を見ている。

はぁ、俺の考えてることはお見通しってわけか・・・

「そうなの?それじゃあ祥太君が着替え終わったら行こっか。」

「このままじゃダメなの?」

寝間着を見ながら聞いた。寝間着といったって半ジャージだ。デパートならこの格好で行ける。

「お兄、女子と歩くんだよ?それで歩かれるとこっちが恥ずかしいよ。」

「私的にはその格好でも・・・あ、いや祥太君の無防備な服装を周りの輩なんかに・・・」

約一名自分の世界に入ってしまったようだ。

しかし、こよみが言うからにはあまり逆らえないな・・・

仕方なく自室に戻り、着替えようとした。

「ゆず姉、のぞくなよ?」

「!?そ、そそそ、そんなことするわけが・・・」

「こよみ、男女の付き合いにもある程度の礼儀は必要だよな?」

「ん、ま、そうだね。ゆず姉。こっち。」

「で、でも・・・」

「こっち。」

「は、はい・・・」

借りてきた猫のようにおとなしくなるゆず姉。

この家庭で権力が強いのはこよみのようだ。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

蝉の声が行きかい、むっとした熱風が体に吹き付ける。

流石夏だな、死にそう。

そんなことを思っていると、

「ふふふ、こうやってお兄と出かけるのっていつぶりだろ。」

こよみが微笑みながらそう言った。いつもより機嫌が良いのか軽くスキップもしている。

「さぁな。それよりあまりスキップするなよ。手をつないでるこっちの気持ちにもなれ。」

「手をつないでるのは私も同じじゃん。お兄はゆず姉を少し見習ったら?なにも文句言わずに手をつないでくれるよ?」

「これって周りからどう見られるのかな?兄弟?いやもしかして夫婦と娘・・・?きゃ///」

「こよみ、今のゆず姉には話しかけるなよ?」

「う、うん・・・」

流石のこよみも今回のゆず姉には引いているらしい。

俺達はこよみを真ん中に三人で手をつないで歩いている。

「しっかしいやってなるほど熱いな。こう暑かったらそのうち俺らの頭もゆず姉みたいになるな・・・」

「祥太君、さすがにそれは言いすぎじゃない?」

ゆず姉がじっと俺を睨みながら言った。

こう普通に話してたら綺麗で可愛い人なんだけどなぁ。不覚にも睨んでいるゆず姉に見惚れていた。

「にしてもお兄。半月に一回のスパンで目覚まし時計を壊さないで。こういうちょっとした支出が痛いんだよ。」

「なんか最近自分の力の制御ができないんだよなぁ・・・」

思いのほか力が入り、ドアも壊したこともある。人間でも辞める時が来たのかねぇ・・・

「ねぇ、そろそろ場所変わらない?私も祥太君と手をつなぎたいんだけど・・・」

何を思ったのゆず姉があほなことを言った。

「ダメ、お兄の手を握るのはまだゆず姉には早すぎる。今お兄の手を握ったら何するかわかったもんじゃない。」

こう見えてこよみはゆず姉のことをよく理解している。

理解してるんだったらもう少しゆず姉に厳しくしたらどうなんだろうか。例えば家に上げないとか・・・

「全く、お兄はまだ中二なんだから高二のゆず姉は手を出したらだめだよ。せめてお兄が高一になってからにして。」

「こよみちゃん。それって祥太君が高一になったら認めてくれるということなの?」

おいおい、何口走ってるんだこよみ・・・

「その時にお兄がフリーだったらね。」

「いや、何勝手に決めてくれちゃってんの?」

「お兄は口を挟まない!」

「それはおかしい!」

その叫びは晴天の空へと吸い込まれていった。

 

 

俺達学生は現在夏休み真っただ中。そのおかげか平日の昼ということもあってデパート内は人は多くない。多分ほとんどが学生かと思われる。

「クレープって屋上だっけか?」

なんとなくこよみに聞いた。

「そうだね。お兄は時計だからその下でしょ?私、ゆず姉と服を見たいから買ってきてくれる?」

「おう、そのつもりだったから聞いたんだ。じゃあ、買ったら連絡するな。」

そう言って上の階へあがろうとすると、

「祥太君、ちょっと待って。」

ゆず姉が呼び止めてポーチを探り、

「はい、これで買ってきて。」

渡されたのはかわいらしい小銭入れだった。

「え、いいよ。こよみのわがままなんだし俺が払うよ。」

「だーめ!ここはお姉さんに任せときなさい。」

・・・ここでムキになっても意味ないか。

「分かったよ。」

小銭入れを受け取りシャツの胸ポケットに入れた時、不思議な光景を見た。男の集団がぞろぞろ入ってきた。それが作業着や、スーツ。学生の集団らしきものだったら気にも留めなかっただろう。その集団はこの時期にもかかわらず黒のセーターを着ていた。しかも大荷物を抱えてだ。登山にでもいくのかね?

そんなことを思いながらエスカレーターで電気屋まで登って行った。

 

 

・・・やっぱりかぁ・・・

レジにはいつものことながらその店員はいた。

この階にも人がおらず清掃のおばちゃんといつもの店員しかいなかった。

俺はサッと目当てのものを見つけ、レジに持って行った。

「これください。」

目を合わせまいと、地面をガン見しながら言った。

「はい、2100円になります。」

店員はこちらに気づいていない様子で淡々と業務をこなしている。

俺は用意していたお金を出し、その場を立ち去ろうとした。

「お客様もすっかりここの常連ですね。目覚まし時計しか買わないかど。そんなに朝の目覚めが悪いんですか?」

微笑を浮かべ、そんなことを聞いてきた。

「・・・やっぱ気づいてたんですね。いや、間違えて時計を叩き壊してしまうんですよね・・・お陰でうちの家系は大赤字っすよ。」

乾いた笑い方をして答えた。

「もう壊さないでくださいね。」

「それは分かんないで・・・」

パンパンッ

そこまで言った後、何処からか炸裂音が聞こえた。その後に悲鳴が聞こえ、すぐに静かになった。

「何かしら?ちょっとそこでじっとしててね。」

店員がそう言うとどこかに電話を掛けた。

「・・・?おかしいわ、繋がらない。」

俺はすぐに携帯でゆず姉に掛けてみた。

コールが鳴る。

おかしい、いつもならワンコール以内で出てくるのに。

とうとう留守電に入る。

電話を切り、思わずため息をした。

何が起こっている?さっきの炸裂音に悲鳴、そしてワンコールで出ないゆず姉。

明らかに非常事態だ。

必死に考えていると、エスカレーターから黒い人影が見えた。

とっさにレジの裏にもぐりこんだ。

「ちょ、ちょっと!?」

「ちょっと静かにしください。それと身を隠して。」

俺がそう言うと訝しげな顔で屈んでくれた。

「あのね、私遊んでる暇ないの。とりあえず状況確認したいから下に降りるわよ?一緒に来て。」

店員さんがそう言った後、

「ちょっとこっちにこい!」

いきなり怒鳴る声がフロアに響いた。

様子を探るために少しカウンターから顔を出すと、

黒セーターの男が掃除のおばちゃんを引っ張り下りていく姿が確認できた。

・・・えー、あの人そういう趣味なの?引くわー、ドン引きですわー

と冗談はさておき、ドラマみたいな展開だな。

そんなことを思っていると放送が流れた。

『あーあー、テステス。よし、ちゃんと流れてるな。えー、このデパートは我々が占拠した。貴様らには悪いが命はもう無いと思っていただきたい。我々の目的は日本の警察がどれほど無能のかを全国に知らしめることだ。今の日本の体制では・・・』

放送はまだ続き、これまでの経緯をご丁寧に話してくれる。

これはテロ目的なのか・・・

となると、今ここで何もしなかったらこのデパートにいる全員は死ぬってことか。

ここって無駄にセキュリティが高いからなぁ。防犯シャッターとか普通じゃ壊せない。それこそグレネードがいるくらいだ。警察は当分入ってこれないだろう。

さて、ここを占拠したと言うことはこのデパートは奴らの監視下にあるんだよな。下手に動くとバレるし、監視カメラない場所を行くしかないか。例えばそこの吹き抜けから飛び降りるとか。

『・・・という事で、警察には助けれると言う希望を持たせて貴様らを殺すことになる。淡い希望とかは持たないことだ。無論我々に反抗しても勝ち目はない。我々は元軍人だ。体術には特化している。』

何を自慢げに言ってるんだろこの人。

でも確かにまともに一般人が敵う相手ではないな。

ふむ、じゃ、こよみとゆず姉を迎えに行くか。

俺はレジから出て掃除のおばちゃんが使ってたモップを手に取る。

「・・・よし。」

覚悟を決め、手すりに足をかけた。

「ちょっと君!?何をする気?」

「家族を助けに。お姉さんはそこで隠れといて。意外と奴ら疎いみたいだから助かるよ。と言っても全員助かるんだけど・・・」

そう言い、改めて吹き抜けの下を見下ろした。

ちょうど一階に人溜まりがある。

着地するならあそこか・・・

人溜まり前方にスペースがある。そのさらに前には5人くらいの人影が見える。そのうちの一人は捕まった客らしい。目を凝らすと、その人物はゆず姉であることがわかった。

思わず手に力が入る。

俺は考えるより先に飛び降りてた。

俺が飛び降りたのは4階からだ。勿論これで無傷の人間はいない。

「リミット解除『バーストモード』」

落ちながら静かに呟いた。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ゆず姉・・・まったく、お兄は何処ほっつき歩いてるの。私一人じゃ無理だよ・・・」

ゆず姉が捕まった今、私は心細かった。知らない人の中一人。それを考えるだけで胃液が逆流してきそうだ。

気持ちを落ち着かせるために深呼吸をしてみた。すると僅かながら風を切る音が聞こえてた。

ふと見上げると、人が落ちてきている。

お兄?

あぁ、あのお兄は半ギレだ。マジでヤバイやつだ。

 

 

「グエッ!?」

おっと、誰かの頭に着地したらしい。

足元を見ると黒いセーターが伸びている。

よかった、この人がたまたまクッションになってくれたおかげで無傷で済んだ。

カチャ

流石元軍人といったところか。急な事にも動揺せず銃口を俺に向け冷静に対処している。

「おいガキ。膝をつけ。」

この場を威圧する程握力のある声が響いた。

「とりあえず、俺に命令する前にゆず姉を離せ。」

パンッ

炸裂音が響き渡る。

ドサッ

崩れ倒れる音がする。

「だ、っく、たいちょー・・・」

後ろにいた奴が倒れた。

「嘘だろ・・・弾丸を避けるなんてそんな馬鹿な話・・・」

「もう一度言う。ゆず姉を離せ。」

「銃弾をたった一発避けただけで図になるなよ。」

カチャ

構わず銃口を向けられる。今回は三方向からだ。

そのうち一人はアサルトライフルを所持か・・・

となると、

「各員中央ホールに集まれ。ガキを確実に仕留めたい。」

リーダーらしき者が無線で応援を呼んだ。

カランカラン

持っていたモップを地面に落とし・・・

「お、おい、ガキが消えたぞ!?」

「嘘だろ・・・さっきまでここにうっ・・・」

紅い二つの光が線を描いている。

「お、おい!グフッ」

短時間の間で二人が崩れ落ちる。

「ハァハァハァ、さて、残るはお前だけだな・・・」

「さて、それはどうかな?」

複数の足をとが聞こえる。

さっき呼んでいた応援が来たんだろう。

「見たところ多少はやれるようだが、もう息が上がってるじゃないか。そんな状態で私を相手出来るとでも?」

「あ、その言い方はちょっとやめてください。なんか卑猥です。そっちの趣味とかないですから。軽くドン引きです。」

「ち、違うわ!・・・ふっ、軽口を叩けるぐらいが精一杯なのだろ?ガキ一人で我々を倒せるとでも思ったか?浅はかな考えっ!?」

「辞世の句はそこまでか?」

俺はモップを拾い上げて喉元に突きつけていた。

相手の銃口はこちらに向いたまま。

「とっととゆず姉を離してくれるかな?」

「そこまでだ!」

その声が聞こえ、周りを見た。

どうやら包囲されてるらしい。

人数は10人前後。

「武器を下ろせ。」

・・・

四方八方から銃口を向けられ抵抗のしようもないな。

そう思い、銃の数、弾丸の入射角、空気抵抗諸々の計算を始める。

「聞こえないのか!武器を下ろせと言ってるんだ!」

ダメだ。ゆず姉がいるんじゃ不可能だ。となると・・・

俺は喉元に突きつけていたモップを離し、リーダーが持っていた銃をはたき落とす。

その時にバキッと音がしたのは放っておこう。

「アガっ!?」

その出来事は一瞬で誰も反応できなかった。

ゆず姉を捕らえてた力が緩み、ゆず姉を奪還した。

その次の行動に迷いは無く、モップを一直線に包囲している一人に投げ、その隙間にゆず姉を放り込んだ。

そこには待ってたと言わんばかりのうちの自慢の妹、こよみが立っており、見事ゆず姉をキャッチ。

これで気兼ねなく戦える。

もう少し持ちこたえてくれよ、俺の体。

数秒遅れて、銃の弾幕が張られる。

最速で反撃するために、最小限のダメージを受け、銃弾を躱す。

その一連の動きでモップを拾い上げ、一人二人、薙ぎ払う。

身体のあらゆる所にかすり傷を作りながら進んでいく。

銃弾の数が減る一方、こちらの動きには全く変化はない。徐々に銃弾を躱しやすくなり、気がつけば残り3人となっていた。

もう稼働限界はとっくに来ている。力を抜けば確実に昏睡状態に陥る。

「ば、バケモンだ・・・」

一人がそう呟く。

3人は戦意を失ったのか銃を撃たなくなっている。

だからと言ってここで手を抜くのは違う。俺が気を失ってしまったら確実に仕留められる。

どから、手を緩めずに殴りかかった。

 

 

「ハァハァハァ、じゅ、銃の回収と拘束をお願いします・・・」

気を失う前にそう言うと、

ガタッ

まだ力を抜いてないと言うのに膝をつく。

「お兄!」

こよみが走って近づいてくる。

「お兄のバカ!ここまで無茶しなくても私を頼ればいいのに・・・」

何も返せない。言葉が出さない。

「祥太君、その、助けてくれてありがとう。でもね私のために傷つくのは違うと思うの。だから次からはもう」

そこまで言ったらゆず姉後方から殺気を感じた。

バンッ

ゆず姉の身体がビクンッと跳ね、胸から紅い華が咲く。

何が起こったのかわからない。分かっていることはゆず姉が血を流して生き絶えそうなこと。

「・・・ゆず姉?」

その言葉しか出ない。

胸の奥から沸々と湧き上がってくる感情。

自我が保てなくなっていく。

最後に見た光景は銃を構えて微笑を浮かべているリーダーだった。

 

 

「死傷者17名。その内15名が犯行グループ。重傷者15名、死者2名。被害者1名重傷、1名死亡、か。」

「人質にされた人達は口を合わせてあの少年が助けてくれたと言ってますが・・・」

通報があり、現場に直行したもののデパートのバリケードのせいで入れないと思いきや。二、三分後には解除されて人質が出て来た。

その中に一人ボロボロの少年と生気を感じられない少女が運ばれて来た。少年は体のあらゆる箇所に弾丸のかすり傷がつけられ、身体全体疲労骨折をおこしているようでもあった。少女は胸に一発銃弾が撃ち込まれ即死。

一旦少年は病院へと運ばれ、少女の遺体は司法解剖に回された。

「ふぅ、にわかには信じられないな。この子の親族は?」

「妹が一人。親は居ません。親権は叔母が持って居ますが、同居せず、教育費だけを送っているみたいです。特にめぼしい情報はありません。」

そういえば救急車にお兄とか言いながら同伴した少女がいたな。

「そうか・・・しかしこれはひどいありさまだな・・・」

デパートの駐車場では搬送待ちの負傷者が転がっている。

それぞれの傷は痛ましいものだった。

骨折は当たり前で、ある者は内臓を破壊されていたりなど人間のなす業ではなかった。

一番酷かったのはすでに搬送された犯行グループのリーダーの遺体だ。

あれはもはや傷ではない。何せ顔の原形をとどめていなかったのだ。そのことについて人質は恐ろしくて目をそらすことしかできなかったという。

「後で少年には詳しく話は聞くとして、少女の遺族には・・・」

 

 

守れなかった・・・

ゆず姉を守れなかった。

後悔と自責の念が渦巻いていく。

あの時目覚まし時計を買いに行かなければ・・・いや、目覚まし時計なんかを壊さなければ・・・

こんなことならゆず姉のわがままを聞いてやればよかった・・・

ごめん、ごめん。ごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめんごめん・・・




どうもーねたつむりです。
いやぁ、十一月ですね!ポッキーの日ですね!
まぁ私はポッキーじゃなくケーキをハーフホール食べてたんですけど・・・
おかげで少し気持ち悪いです・・・
ということで今回は祥太の過去について触れてみました。
ゆず姉設定。前々からは考えていたもののまさかほんとに使うとは・・・
この設定を使うと色々矛盾が生まれてくるような気がする・・・
とまぁ、そんなことを考えてた私ですが結局使うことにしました。
そんなこんなで文句や批評があればどんどん寄せてください。お願いします!
では、今回も読んでくださってありがとうございます。次回も読んでいただけると嬉しいです。




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