この素晴らしい少年に祝福を!   作:ねこたつむり

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※注意、この小説には以下の成分が含まれております。
・下手な日本語
・クソ文才
・ご都合主義
・紅魔族
・中二病等々
・ぼっちがボッチしてない
どうしたもんだこれ・・・


第三章 追憶
紅目の死神


「ノーツ!」

「ああ!」

「「うおぉぉ!ジャンケンポン!」」

「しゃっ!今日は俺の勝ちだな。」

ここに来て二ヶ月がたった。

俺とノーツと言えば、朝っぱらからギルドでジャンケンをしていた。

雪那のわがままでジャンケンでその日のメインアタッカーを決めることになっていた。

「なんか、割合的に君の方が多くないかい?」

悔しそうに言うノーツ。

「別にいいだろ。最近ちょっとパーティーの方に参加出来なかったんだからさ。」

ここ二週間ソロ活動をしていた。

「おいお前ら。朝っぱらから騒がしいんだよ・・・ショウタ、久しぶり。」

眠そうな目を擦りながらフロットが言った。

「久しぶり、フロット。相変わらず寝ぼけた顔してんのな。」

「うっせい、生まれつきなんだよ。」

久しぶりのパーティーメンバーとの会話も悪くない。

「あ、ショウタ君だ。久しぶり。」

ロアが微笑みながら言った。

「よっ、久しぶり。元気してたか?」

「おいおい、ショウタ。俺には皮肉しか言わねぇのにロアにはその態度かよ。」

「お前にこの態度を見せてなんの得があるんだよ。」

「ハハハ、違いない。」

俺とノーツが笑った。

「お前らホント仲いいな。」

呆れたようにフロットが言った。

アタッカー同士だからだろうか、ノーツとは気が合う。

『ホントですよ、そこまで仲がいいと妬いちゃいますよ。』

雪那が文句を言った。

「雪那ちゃんのショウタ君へ対する感情と僕の感情は全く別なものだから妬かなくてもいいんじゃないかな・・・?」

はい、皆さんここで疑問を抱きませんでしたか?刀状態で雪那が他の人と喋れるようになりました。

なんでもまたまた『共鳴』がレベルアップしたらしく俺が指定した人と喋れるようになれるらしい。

「雪那が抱いてる感情にはろくなものがないからな・・・」

「そりゃそうだ。」

フロットが肩を上下させていった。

「あれ、ショウタ帰ってきてたのか。」

ゼテリスが遅れてやって来た。

「よう、今日からまたよろしくな。」

そう言って今日のクエストを決めにいった。

 

 

「いや、冬だから一杯あるね・・・」

一般的に冬には冒険者は活動しないらしい。寒いからどうのこうのだと。

「なぁ、この雪精ってなんなんだ?一体につき十万って破格にもほどが・・・」

そう言ったら皆が顔を険しくした。

「ショウタ君、雪精を知らないのかい?」

信じられないものを見る目で言ってきた。

「雪精はふわふわしててよわっちぃ奴だ・・・」

よわっちぃならそんな顔をしなくても・・・

「でも、その雪精を討伐していったら、雪精の王冬将軍が出てくる。」

身震いしてゼテリスが言った。

「その強さから危険視してる魔王幹部の討伐金より少ないけど二億はくだらないらしいよ。」

ロアが夢を見るように言った。

「ふーん、雪精だけ倒して帰ればいいんじゃない?」

「「「「うーん・・・」」」」

唸る四人。

「多分、ショウタ君はそれだけじゃ満足いかないと・・・」

ロアが口を開いた。

「そうだよな、冬将軍はその・・・」

腰に下げてる『雪那』を見てフロットが言葉を詰まらせた。

「もしかして刀持ち?」

「ショ、ショウタ。目を輝かせんな。いや、物理的にも光ってるから!」

ゼテリスが慌てて言った。

「そういうことなら一人で行く。」

「あぶねぇっつうの。一人なんかで行ったら確実に死ぬわ!」

フロットに怒られた。

「ショウタ君は妙に子供っぽいとこがあるよね・・・」

ノーツが笑いながら言った。

いや、子供ですし・・・

「危なくなったら『テレポート』使うから問題ないんじゃ・・・」

その言葉を聞いた四人は、

「「「「・・・」」」」

黙りコクられても・・・

「しょうがねぇな・・・」

フロットが呟いた。

「あ、ありがとう。今日のメインアタッカーは俺だから冬将軍が出たら皆は下がっといてくれれば助かる。」

「「「「了解・・・」」」」

他のみんなもしょうがないと言うかのように了承してくれた。

「やるからには大儲けするぞ!」

フロットが叫んだ。

「「「「おおぅ!」」」」

 

 

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「ホントに雪精ってよわっちぃんだな。」

俺達はロアの補助魔法で雪精を根絶やしにしていた。

「俺が八匹でショウタが十匹、ノーツが九でゼテリスが六、そしてロアが、」

「三だな。まぁあいつは戦闘特化型じゃないからな。」

雪精を必死に追いかけてるロアを見て言った。

「こんだけ倒したんだからそろそろ・・・」

フロットがそう言ったら側から、吹雪が吹雪いた。

「おでましか・・・皆!下がれ!」

吹雪の中から野生の冬将軍が現れた!

戻れ!ノーツ達。

ゆけ!ショウタ!

「おい、誰がポ○モンをやれと言った・・・?」

すいません。

『雪那』を鞘に戻しながら誰かにツッコミをいれて冬将軍と向き合った。

「お願いします。」

静かに礼をした。

「ショ、ショウタ何を・・・っ!?」

フロットはそこまで言って、言葉を詰まらせた。というより驚いているんだろう。

相手は冬将軍。モンスターの前に武将だ。俺の礼に答えるように礼を返してきた。

『雪那』を抜いたのが合図かのように斬りかかってきた。

キーンッ!

一応太刀筋は防げたが、力で押される。

「くっ!『インフェルノ』!」

冬将軍はそれを避けるように後ろへと跳んだ。

今度はこっちから仕掛ける。

さっきとは逆の立場になった。

成る程、力は五分五分なんだ・・・上と下では力の掛かり方が違う、だからさっきは押されたのか。となればスピード勝負か・・・

後ろへと跳び、

バサッ

「ロアこれよろしく。」

ローブをロアの方へ投げた。

「おいショウタ、どうしてかロアの方なんだ?明らかにこっちの方が近いだろ。」

フロットが抗議してきた。

「この状況でなにバカなことを口走ってんだよ。理由は簡単。男より女の人にローブを暖めてもらいたい。」

「どっちがバカなことを口走ってんだよ!」

「まぁまぁ、でもショウタ君。寒くないのかい?どう見てもそれ半袖だろ?」

そう、現在俺は半袖カッターシャツの格好をしている。

「問題ない。昔故郷で、年中半袖着てる変態って呼ばれてたから。」

人間カイロとも呼ばれていた。

「さて、『インフェルノ』」

例のごとく『雪那』に『インフェルノ』を纏わせた。

地面を強く蹴り冬将軍との間合いを詰めてその勢いで斬りかかった。

勿論防がれたが予想していたので連撃を繰り出した。

「おいおい、ショウタの奴あの長身の剣をあのスピードで振り回せれるのかよ・・・それに合わせる冬将軍も凄いな。」

冬将軍は俺の連撃に合わせて防ぎ、その中でも攻撃を交えていた。

俺の連撃は無双用ではなく、余裕を持たせている。だから、冬将軍の攻撃はさばけている。

が、その余裕が無くなるくらいの多さだ。

きっちぃ・・・これ以上早くされたら向こうのペースに持っていかれる。

あれやるしかないのか・・・制限時間一分半。

「『バーストモード』!」

同時に雪那が見切りを発動していた。

手数が倍以上になり、冬将軍が押され不利と思ったのかまた後ろに跳んだ。

「逃がさねぇ!」

直ぐに間合いを詰め、斬りかかろうとした。

が、冬将軍は下がった後直後に姿勢を低くして迎え撃ってきた。

「っ!?」

すぐさま斬りかかるのを止め、防ぎに入ったが体勢を崩された。

その隙を中でも逃さず冬将軍が猛追してきた。

場面はさっきと真逆、押される側になった。

「くそっ!右手が邪魔だ。スピード重視なら左手だけで十分だ!」

本来長身の刀は両手ではないと振れないだろう。しかし、幼い頃から剣道で鍛えられたお陰で片手でも軽々と振れる。

勿論左手が利き手でないので力は弱いが剣さばきはこっちの方が得意だ。

徐々にこっちのペースに持っていきやがて冬将軍に攻撃が当たるようになってきた。

「あいつ、一人で行っても死ぬことなかったんじゃないか・・・?」

フロットがボソッと言った次の瞬間。

「っ!?手数が増えてきた・・・?」

冬将軍の手数が今までの三倍以上に増えてる。軽く押し返され攻撃が俺に掠り始めた。

『ご主人様!もう時間が限界です!』

くっ!

「『ボトムレス・スワンプ』!」

ギリギリ冬将軍が入る範囲に泥沼魔法を撃って、その場から走り出した。

「皆!一ヵ所に固まれ!雪那!」

『了解です。』

と言って擬人化した。

「冬将軍!この借りはいつか返すからな!覚えとけ!」

泥沼から抜け出し始めてる冬将軍に叫んだ。

「「『テレポート』!」」

 

 

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「「「「かんぱーい!」」」」

雪精の討伐報酬を貰い、ギルドで打ち上げをしていた。

「おい、ショウタ。そんな辛気臭い顔するなよ。生き残れただけでも儲けもんだろ。」

「そうだよ。冬将軍と互角に戦えるなんて凄いことなんだよ?」

フロットとロアが慰めてくれてた。

「互角、なんかじゃなかった・・・」

あいつはまだ余裕があった・・・完全に負けた。

「取り合えず飲めよ。お前の腕のお陰で俺達は生きてこうして大金を稼げたんだ。」

そう、雪精討伐報酬は計三百六十万エリスだ。こんな大金をたった一日で稼いだ。でも、そんなことより冬将軍に負けた方がでかい。勿論俺が一番強いなんて思ってない。でも、あそこまでハッキリとされたら・・・

「ご主人様、勝てる見込みも無かったのにいつまでもメソメソしてるんですか?」

「せ、雪那ちゃん。そこまでキツく言わなくても・・・」

「いえ、この人にはこれぐらい言わないと。」

自分の神器に怒られるって情けねぇ・・・

「おらぁ!今日はやけ酒だ!」

「ショ、ショウタ君。ほどほどにね・・・」

ノーツが言った。

「そう来なくっちゃ!ショウタ。今日は飲むぞ!」

フロットが便乗。

こうして夜が更けていった。

 

 

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「えっと、雪那さん。これはどう言うことでしょうか・・・?」

飲んだ次の日俺とフロットが縄で縛られてた。

「どう言うことですって!?昨日のこと覚えてないんですか!?」

とてつもなく怒ってることだけは分かるが・・・

「全く覚えてない。ノーツ、ゼテリスそれにロ・・・ア・・・?」

何があったのか聞こうとしたが、ノーツとゼテリスは呆れた目をしていて、ロアに関しては顔を赤くしてモジモジしていた。

その瞬間、顔から血の気が引いたのが分かった。

え、う、嘘だろ?酒に飲まれたのか・・・?

「な、なぁ、雪那。俺とフロットがロアになんかした訳じゃないんだよな・・・?」

「しっかりとセクハラをしましたよ。変態さん。」

お前だけには言われたくないが言い返せないのが辛い。

「おい、フロット。さっきから黙ってるがお前もなんか言えよ。俺だけ悪いみたいじゃんか!」

「もう、慣れてるから・・・」

諦めた目をしているフロット。

慣れてる?何に?セクハラに怒られるのに?

「で、どうして欲しいですか?日頃あなたは私に何もしないのにロアちゃんだけにセクハラなんて・・・許せません!」

そこ!?え?怒るとこそこ!?

「私にだってセクハラを!」

「黙れクソ変態。」

「言える立場じゃないですよね?」

あぁ!いつもの二割増しうざい!

「もうお前はすっこんどけ!ロアごめんな、多分俺、ヤバイことした気がするから・・・」

「い、いいんです。気にしてませんから・・・」

顔を赤らめながら言った。

絶対気にしてるだろ・・・どうすっかな・・・

「つーか、フロット。お前も謝れよ。」

「何も言えねぇ・・・」

こいつ、そこまでやらかしてんのかよ・・・

取り敢えず土下座を・・・

「い、いいです。そこまでしなくても!顔を上げてください!」

上げるわけにはいかない。それだけのことを俺はしたんだから。

「ぐ、具体的に俺は何をしたんですか?」

「ロアちゃんの服を脱がさせました。『バーストモード』まで使って。」

そこまでしたのかよ・・・

「フロットは?」

私達が止まるのを止めました。

あれ?実行犯俺だけじゃん・・・

「それじゃあ、俺が捕まってる意味は?」

アホな事を言い出すフロット。

「いや、共犯みたいなもんだから捕まって当然だろ。」

ゼリテスがゴミを見る目で言ってきた。

いつも父さんにこんな目をしてたのか・・・次からは控えよ・・・

「ヤマナカショウタさん!ヤマナカショウタさんは居ますか!?」

ギルド内に受付嬢の声が響き渡った。

「ここに居ますよ!」

「こんな所に。あなた宛に手紙が・・・何があったんですか?」

縛られてる俺とフロットを交互に見て聞いてきた。

「気にしないでください。で、俺宛の手紙とは?」

「えっと、第一王女様から直々に召集が掛かっています。」

「「「「だ、第一王女!?」」」」

俺と雪那以外がこれ以上ないくらい驚いている。

「ショウタ君はそんなに凄い冒険者だったのかい?」

「昔ちょっと世話になったぐらいだから、そこまでじゃない。」

と言いながら、手紙を受け取り読んだ。

内容は魔王軍がこれまで以上に強いから手伝ってくれというやつと、王都でちょっとした事件があるから解決してくれとのこと。

俺は何でも屋じゃねぇぞ?

詳しい事情は向こうに行かないと教えてくれないみたいだ。

行かないと殺されるかな・・・主にクレアに。

「はぁ、ちょっと王都に行ってくる。」

「わ、私も王都に行ってみたい。」

ロアがそんな事を言い出した。

「・・・王都内に居れば安全か・・・ノーツ達はどうする?」

「え、じゃあ、僕達も行こうか。スプリット以外にも行ってみたいし・・・」

「そうだな、他の街がどんなとこか見てみるのも悪くないな。」

「俺はお前さん達について行くよ。」

どうやらみんな行くらしい。

「じゃあ。旅の準備して来い。ここで待っとく。」

みんながギルドを出て行った。

 

 

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「こ、ここが王都か・・・」

なんかデジャブ感。

隣で感嘆してるノーツを見ながら思った。

目の前にはいつもと変わらない賑やかな街並みが広がっていた。

「さ。早速城に行くぞ。」

城に向けて足を動かした。

 

 

『おいおい、あれあいつじゃないか?』

『あのローブ、あの剣。間違いない。ここしばらく見てないと思ってたんだが帰ってきてたんだな・・・』

行き過ぎて行く人がそんな事を口にしていた。

「ショウタ君ってもしかして王都でも有名なのかい・・・?」

「かなり・・・」

前のクレアのパーティーで名が知れてる事を知り、話を聞いてみると結構有名になっていた。

「ノーツ、今更こいつにビビってんじゃねぇよ。あんだけ入れたいって言ってたの何処のどいつなんだよ?」

「ま、まさかここまでだとは・・・」

見定めは大事ですよ。

ようやく城に着き、門番をしている兵士に話しかけた。

「久しぶりです。」

「あ、あなた様は!?久しぶりです。話は伺っているのでどうぞ中へ。」

すんなりと中に通らせてくれた。

四人は呆然とその光景を見ていた。

謁見の間まで来、深呼吸をし、ドアを押し開けた。

「お待ちしていましたよ。ショウタ様。」

相変わらず入り口と椅子が遠い。よくそこから声を響かせれるな。

傍まで行き、挨拶をした。

「久しぶりです。アイリス様。それにクレアとレインも。」

「ショウタ。その四人は?」

クレアが俺の数歩後ろでオロオロしてる四人を指した。

「現俺のパーティーメンバー。ここには俺の意思で連れて来たから文句無いよな?」

「べ、別に無いが・・・」

何故目をそらす?

「ところで、解決して欲しい物とは?」

「ここ、王都では最近義賊が出始めたのです。」

ほう、義賊とな?そいつを捕まえろってか。ゼリテス連れて来て良かった・・・

「成る程、次のターゲットは決まってるんですか?」

「いえ、でも、狙われてるのはその・・・噂が・・・」

「悪評があるとかばかりなんですね?」

「え、えぇ。」

「相手は単身ですか?」

「そうみたいですね。」

「ゼリテス。」

「ん?どうした?」

「お前ならどういったとこを狙う?」

「俺、そんな事やった事無いから分かんねぇよ。でも、やるとしたらそこそこ力がないとか狙うかな・・・守りが薄そうだし・・・」

確かに、そうなると・・・

「悪評があって、力がそこそこ無いところか・・・サーチス家はどうだ?あそこは金はあるが力はあまりって感じだが・・・」

クレアがそんな事を言った。

「じゃあ、そこにする・・・」

『魔王軍襲撃警報、魔王軍襲撃警報!騎士団はすぐさま出撃。冒険者の皆様は、街の治安維持の為、街の中へのモンスター侵入を警戒してください。高レベルの冒険者の皆様は、ご協力をお願いします!』

もう一つのお仕事が来たようだ。

「お前らはここに居ろ。」

「ど、どうしてだい?」

「俺をここに呼んだって事は王都の冒険者ではちょっとキツくなったって事だ。そんな中にお前らが入ったら運が悪けりゃ死ぬ。」

「ノーツ、ここはショウタに従っておこうぜ。俺達が出る幕じゃねぇ。」

「わ、分かった・・・」

「別にお前の実力が低いって訳じゃない。ただ相手の実力がここより上だから安易に行かせる訳にはいかない。」

ノーツが頷いた。

「じゃ、行ってくる。」

 

 

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『おい、あれ。』

『うわっ、ショウタじゃん。戻って来たっていう話は嘘じゃなかったんだ・・・』

『あいつが居れば、今回は何とかなるかもな・・・』

そこまで酷いのか・・・

「ショウタ、今回の魔王軍は今までより数段上だ。多分、お前とお前のお父様を警戒してのことだろう。甘くみるなよ?」

「分かった。」

「あ!合法ショタっ子のショウタさん!」

今スッゴく会いたくない人の声が聞こえたんだけど・・・

「ねぇ、お姉ちゃんの方を向いてよ。」

「何であんたがここに居るんだよ・・・」

「あのね、好きな人にそんな目されると辛いのよ?」

知らん。

「ショウタ、セシリー殿には回復要因として来てもらってたのだ。でもよく考えると呼ばない方がよかったのか・・・私はちょっとやることがあるから先に行かせてもらうが、セシリー殿、ショウタに何もするなよ?」

怖い目付きで言い走っていった。

「私を誰だと思ってるのかしら・・・アクシズ教徒よ?何もしないわけないじゃない。さぁ、取り敢えず今日のショタ声を!」

「嫌だ。」

「もう、相変わらず素直じゃないんだから・・・」

素直に言ってるんですけど?

「もしショタ声を出してくれたらお姉ちゃんを好きにしていいわよ?」

「嫌です。」

「そう言いながらも目が私の胸元に行ってるんだけど?」

クスクス笑いながら言ってきた。

「み、見てない・・・」

顔が熱いのが分かる。いつから俺はこんなエロガキになったんだ?あ、もとからか・・・

「またまたぁ、顔が赤いわよ?もう可愛いんだから。」

何故か抱き締められた。何で避けなかったんだろう。男の本能?でも、雪那の時は・・・避けないな。

「もう、分かったから離れろ。」

「嫌よ。」

「これから魔王軍と戦うんだろ?こんなことしてる場合じゃないって。」

セシリーを押し退けた。

「もう積極的な所も嫌いじゃないわよ。」

何が?押し退けたことが?

もう無視して集合場所に行った。

門が開門し、

「魔王軍討伐隊、出陣せよ!」

クレアの号令と同時に冒険者は魔王軍へと突撃した。

 

 

戦況は五分五分と言ったところだろう。俺は温存の為『雪那」だけで戦っている。それでも敵陣に乗り込むことが出来ていた。

『しかし、今日もあの紅目が居ねぇな。』

『ここ数日居ませんでしたからね。』

『居ない方がいいだろ。なんせ魔王軍で通り名が付いたぐらいだからな・・・』

『あれだろ?『紅目の死神』ってやつ。あいつにピッタリだよな・・・』

そんな通り名が付いてたのか・・・

「ちょっと失礼しますよっと。」

「うぉっ!?なんだ貴様は?一人でノコノコと敵陣に乗り込んできて・・・!?その目は・・・!?」

「どうも、『紅目の死神』です。」

笑みを浮かべながら言った。

悲鳴も罵声も聞こえなかった。既に斬られていたからだ。

「さて、本気行きますか!『インフェルノ』」

無惨に斬り落とされていく魔王軍。

確かに強くはなっていたが俺だって成長しない訳じゃない。

「あれ?シルビアさんじゃないっすか?幹部がこんなところで何を?」

そこに居たのは二週間前のソロ活動の時に出くわした、魔王幹部のシルビアだった。確かにこいつなら魔法耐性が高いから俺達の対策には持ってこいか・・・でも・・・

「え?あ、あなただったの?『紅目の死神』って・・・」

顔を青くして言うシルビア。

「らしいですね。どうします?逃げますか?めんどくさいから追いかけませんよ?」

前、こいつと会った時は激戦の果て、シルビアが戦略的撤退をした。

「ちなみに、昨日冬将軍とやり合いました。」

顔を引きつらせた。別に勝ったとは言ってない。

「に、逃げさせてもらってもよろしいでしょうか?」

「もう王都に来ないなら・・・」

「全軍引くわよ!」

「え?シルビア様!どう言うことですか!?」

魔王軍兵士達が各々声をあげた。

「ここは引いた方が身の為なのよ!」

そう言って魔王軍は魔王城への帰路に着いた。

あんなんで魔王幹部やってられるのかよ・・・

「ショ、ショウタ?どう言うことだ?魔王軍があっさり引いていったぞ?」

クレアが走って近付いてきた。

「利害一致。交渉で手を引いてもらった。」

「お前、まさか魔王幹部じゃ無いだろうな・・・?」

「まさか。ただの『紅目の死神』だ。」

力もそんな使わなくて済んだし、これで義賊の方にも手が出せる。

首を傾げてるクレアと城に戻った。

 

 

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「あれ?意外と早く終わったんだね・・・」

ノーツが拍子抜けしたような顔をしている。

「ちょうど話が通じるやつで、早く終わった。」

「ショウタ、今日は祝勝会があるがどうする?」

「俺はサーチス家に行こうかと思ってる。クレア、手配してくれないか?」

「そうか、分かった。サーチス家には私から説明しておこう。」

「ノーツ達は俺と一緒に来てくれ。」

「なんだ?寂しいのか?孤高の剣士だった奴が寂しがってんのか?」

「ああ、悪いか?」

「あ、いや、ごめん。」

すぐさま謝るフロット。

「ショ、ショウタ。さ、寂しいなら私が・・・」

アホなことを言うクレア。

「ご主人様には私が居るじゃないですか!」

こんな変態と二人っきりはやだと思う俺。

「ショウタさん、今晩暇?」

「暇じゃないから帰れお姉ちゃん。」

何処からわいたか知らないがそこにセシリーがいた。

「その声でお姉ちゃんって言われるのも悪くないんだけど、やっぱりショタ声で舌足らずで呼ばれたいわ。」

「ショウタ君、お姉さんが居たの・・・?」

ロアが俺とセシリーを見比べていった。

「見たら分かるだろ。この人はただの変態。」

「変態じゃないわ。欲に従って生きてるだけよ。」

「それを変態って言うんだろ。ていうか帰れよ。」

「嫌よ、今日は祝勝会があるんだから!」

つまりあれか、酒を飲まなきゃ帰れないってか。

「それはそうとショウタさん。今晩・・・」

「用事。義賊捕まえんのに忙しい。」

「ふ、不公平だと思わない?めぐみんさん達とは寝てて私とは寝ないなんて・・・」

「ショ、ショウタ・・・お前もしかして股掛けてるのか?」

「フロット。俺がそんな糞野郎に見えるか?」

「見えないから聞いてるんだろうが。その反応じゃ掛けてないようだな。」

今すごく心に染みた。

「でも、ショウタさんは実際に六人も落としてるんだからしっかり後始末をして貰わないと・・・」

今それ考えると気が重くなるから止めてくれ・・・

「ショウタ、お前さん今いくつだったっけ?確か15って言ってなかったか?そんな年で六人も・・・」

今考えれば凄いことだ。日本じゃ女性経験が全くと言っていいほどない。そんな俺がこっちに来て六人に好かれるなんて・・・

「たらしだ・・・」

ノーツが口からそんなことを漏らした。

「おい、誰がたらしだ、誰が。」

笑い声が広間に響き渡った。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

「ふわぁ、眠い。」

「んー、一時か・・・来るとしたらそろそろ来るかな?」

現在俺達はサーチス家に居る。

見張りは二時間交代制。

今は俺とゼリテスが起きている。

「しかし、貴族の家って言うのはこんなんばっかなのかね?」

家具や部屋を見ながら言った。

「金だけはあるからな・・・?」

今確かに物音がしたような・・・

「ゼリテス、ここら辺で見張りよろしく。」

「あ、気を付けろよ。」

背を向けながら手を振り、音の鳴った方へ向かった。

『おっかしいなぁ?こないだ下見に来たときはこんな魔力無かったはずなんだけど・・・』

人の声がする。声質的に女?

「『バーストモード』」

次の瞬間俺は義賊の背後を取り、そのまま腕を掴んだ。

「捕まえた。」

「へ!?」




こんちわ、ねこたつむりです。
セシリーの久しぶりの登場。しゃべり方がよくわかりませんね・・・
そして、ついにお頭登場ですね。
では、今回も読んでくださりありがとうございます。
次回も読んでくださると嬉しいです。

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