カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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さて、無印編の小説もそろそろ4話を迎えてきますね。

これ以上待たせるのもあれですから、そろそろ鋼と宇宙の正義の達筆も再開していこうと思います。

さて、それでは本編に移りましょうか。

それではどうぞ!


ようこそ!カードキャピタルへ

夜の橘家のカズヤの部屋でカズヤはカードのパック、騎士王降臨を開けて中に入っているカードを確認する。カードを確認した後、カズヤは顔をガクッとなる。

 

「だめだ・・・思うようなカードがでねぇ・・・。これじゃあ金の無駄遣いと同じじゃねぇか・・・」

 

そんなカズヤをドアを半開きにしてこっそりと伺っている影がある。カズヤの弟、アツシがこっそりと覗いている。

 

(最近アニキ帰ってくるのが遅くなんのが多くなってる・・・。しかも、なんだよあれ?関係あんのかな?)

 

カズヤがヴァンガードを始めたことをアツシはまだ知らない。だから帰りが遅くなっているカズヤを何をしてるのかが気になり始めている。

 

(こうなったら・・・明日になったら・・・)

 

 

 

RIDE4「ようこそ!カードキャピタルへ」

 

 

 

翌日の先導家の食卓、アイチは眠気をかみしめながら出されたホットミルクをかき混ぜる。

 

「いつもいつも、どうして私が起こすまで起きてこれないの?」

 

アイチにそんな言葉を投げかけてくるのは、アイチの妹、先導エミ。宮路学園初等部に通う小学6年生だ。

 

「ごめん・・・」

 

「本当にもう・・・。はい、朝ごはんよアイチ」

 

エミはアイチに朝食ののったトレイを渡す。

 

「あ・・・ありがとう、エミ」

 

「いいから早く食べなさいよ。遅刻するわよ」

 

「う、うん・・・」

 

エミはボーっとしながら朝食のパンにバターを塗っているアイチを見て、小さいため息をこぼす。

 

 

宮路学園高等部では、全ての授業が終わって、ホームルームを終えた後、カズヤとソウジはミサキのところに向かう。

 

「おーい戸倉、今日もカードキャピタルの手伝いだろ?だったら一緒に帰ろうぜ。どうせ寄るつもりだったし」

 

「ぜひお願いします、戸倉さん!」

 

カズヤはミサキを一緒に帰ろうと誘う。ソウジは頭を下げながら必死に頼む。

 

「別にいいけど・・・あんたから誘うなんて珍しいわね」

 

「俺ってまだ初心者だろ?ルールがわかってんならいろいろ教えてもらおうかなってよ」

 

「まぁどうせそんなことだろうとは思ってたけど」

 

ミサキはカバンに教科書や筆記用具をしまって教室から出ようとする。

 

「何突っ立ってんの。どうせ寄るんでしょ?早くいくわよ」

 

「お、おう。おいいくぞソウジ」

 

「ありがとうございます戸倉さん!!」

 

カズヤとソウジはミサキについていって校舎から出る。

 

「なぁカズヤ、戸倉さんにこの後どう話をしたらいいと思う?」

 

「知るか。んなこと自分で考えやがれ」

 

「そんな殺生な⁉」

 

「そんなことより戸倉、俺のデッキにかげろうのクランまで混じってんのは何でなんだ?ずっと気になってたんだがよ」

 

「・・・あんたのクランに入ってるトリガーってかげろうでしょ?それを・・・」

 

校門の前まで来ると、1人の小学生が飛び出して仁王立ちで立ち止まる。その小学生は橘アツシだった。

 

「待ってたぞアニキ!」

 

「げっ⁉アツシ⁉おま、何でここに来てんだよ⁉」

 

まさかアツシがここに来るとは思わなかったカズヤは非常に困惑している。アツシのことを知らないソウジとミサキはアツシをよく見る。

 

「なんだあいつ?てかあいつ、お前に似てないか?」

 

「どういうこと?」

 

「すまんが俺は逃げるぜ!!」

 

予測不能の事態にカズヤは逃げ出そうとするがソウジに首根っこを掴まれてそれを阻止される。

 

「こら待て待て待て!!どういうことかちゃんと説明しろ!!」

 

「橘、説明しな」

 

ソウジとミサキに問い詰められてカズヤは観念して白状する。

 

「くっそ、わかったよ。あいつ、俺の弟だよ」

 

「「弟⁉」」

 

アツシがカズヤの弟と知ったミサキとソウジは非常に驚いていた。

 

「あ!初めましてっす!橘アツシ、小学5年っす!よろしくっす!」

 

 

カードキャピタルについたミサキは店のエプロンを身につけ、ソウジはついてきたアツシの頭をなでている。カズヤは頭痛で頭を抱えている。

 

「しっかし、お前に弟がいたなんて知らなかったぜ。ずっと1人身だと思ってたからよ」

 

「あんた、どうして秋田にも黙ってたのよ」

 

「そうやって質問されんのがいやなんだよ。それをこいつときたら・・・」

 

勝手に学校の門まで来て、挙句の果てにカードキャピタルにまでついてきたアツシをカズヤは睨み付けている。

 

「だってアニキ、すぐにはぐらかすし、最近帰りも遅いからさ」

 

「そうかそうか。そりゃ兄貴が悪いな」

 

「俺のせいかよ⁉」

 

ソウジの言葉にカズヤは憤慨する。

 

「で、アニキここで何をしてたんすか?」

 

「ああ、ここでヴァンガードっていうカードゲームをやってるんだ。聞いたことない?」

 

「ああ!やってる人もうちのクラスにも何人かいたから知ってます!」

 

「実はこいつも最近始めたばっかなんだけど、アツシ君、やってるとこ見たいか?」

 

「見たいっす!」

 

「よーし、決まりだ。おいカズヤ、今すぐファイトするぞ」

 

勝手に話を進められてカズヤはもう何が何だかわからなくなる。

 

「おい!勝手に話を進めんな!もう何が何だか・・・」

 

「元はと言えばお前がアツシ君にこのことを黙ってることが原因となったんだろうが。一々文句言うな」

 

「くっそ、わかったよ」

 

ソウジに言われて渋々ファイトの申し込みを了承する。その様子をカウンター席にいるミサキと1人の男が見ていた。

 

「カズヤ君も、すっかりうちに溶け込みましたね」

 

男の名は新田シン。このカードキャピタルの店長である。

 

「ホントにね。毎日ここに通いこんでいるくらいだし。弟がいたのは知らなかったけど」

 

「アツシ君もヴァンガードに興味を持ってくれると嬉しいですね」

 

シンとミサキがそんな会話をしている間に2人のファイトの準備は終えたようだ。

 

「こうなったらやけだ!アツシ、よーく見てろよ!ヴァンガードっていうものを!」

 

「おう!」

 

「そんじゃあいくぜ」

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

 

学校の帰り道、エミは宮路学園初等部で友達と別れて1人家に帰宅する。そんな中エミは家を出る時の際、アイチが自分より先に学校に行っていたことを驚いている際、母の言葉を思い出す。

 

『そういえば、帰ってくるのが少し遅くなるのが増えたみたい。何か学校で楽しいことでもあるのかしらね』

 

「遅くなること・・・」

 

少し考えた後、エミは自宅へ向かう道には通らず、別の場所へと向かう。

 

「・・・仕方ないわ。アイチが夕食の時間に遅れたら、お母さんが心配するもの」

 

そう言ってエミはアイチの通う学校、後江中学校に向かう。そして、後江中学校についたエミは校門の辺りをよく見ている。

 

(この学校、入り口に警備員さんがいないんだ・・・)

 

エミがそんなことを考えていると、ちょうど学校からアイチが出てくる。

 

(あ!アイチ!)

 

「おーい!待ちなよアイチ!」

 

「さっさと先に帰んじゃねぇーぞー!」

 

さらにそこに森川たちがアイチを追いかけてきた。

 

「森川君?」

 

「んだよ、黙って勝手に帰るなよな。今日もあそこ、よって帰るんだろ?」

 

「え?う・・・うん・・・」

 

(え⁉アイチ、不良に絡まれてる⁉)

 

校門に隠れて見ていたエミは森川たちのことを不良と認識してしまっている。

 

「よーし、そうこなくちゃな。今日こそ俺の強さを見せつけてやるからな。覚悟しとけよアイチ」

 

「え?また森川君と?」

 

「てめ、俺じゃあ不服だってのか、この」

 

「い、いや、そんなわけじゃないけど・・・」

 

「それじゃあ、決まりだな」

 

「よーし!じゃあカードキャピタルにゴーだ!」

 

アイチたちが校門を出ようとした時、エミはアイチに気付かれないように体をアイチ側と反対方向に向く。

 

(アイチ、大丈夫かな?)

 

「俺にもやらせろよな」

 

「おう!俺がボッコボコにした後でな!」

 

「うぅ・・・いやだなぁ・・・」

 

「たまには諦めが肝心だよアイチ」

 

(もう!何で逃げないのよ⁉)

 

エミはアイチたちに気付かれないようにこっそりとついていく。

 

 

カードキャピタルではカズヤとソウジのファイトは終盤に向かっていた。ちなみにファイトの最中2人は楽しそうにファイトをしている。

 

「いくぜ!キャノンギアでブラッディ・ヘラクレスを攻撃だ!」

 

「させるかよ!ナイトスピリットでガードだ!」

 

カズヤのキャノンギアの攻撃をソウジはナイトスピリットでガードをする。ソウジの現在のデッキはメガコロニーを中心とさせたグランブルーを混ぜたデッキだ。

 

(いつもけだるげなアニキが、あんなに熱くさせるなんて・・・。これが・・・ヴァンガード・・・)

 

アツシはいつも見ているカズヤがここまで変わる姿を見て、驚いている。

 

「今度はこっちの番だぜ!ブラッディ・ヘラクレスでキャノンギアを攻撃!」

 

「上等だ!ここは男は黙ってノーガードだぜ!」

 

(あんなにめらめらと情熱を燃やしてる、アニキ初めて見た・・・)

 

アツシはカズヤがあんなに楽しそうな表情をしているを見ていると、思わず声を上げてカズヤを応援する。

 

「アニキ、負けるな!がんばれ!」

 

「お?おお!任せとけ!勝つのは俺だ!!」

 

「アホぬかしやがれ!俺が勝ってやるってーの!」

 

カズヤとソウジはお互いに熱い思いを宿しながらファイトを楽しんでいるのであった。

 

 

一方その頃、アイチたちはカードキャピタルに辿り着き、そのまま店内に入っていく。アイチたちをこっそりつけていたエミはドアの前に立つ。

 

「カードキャピタル?何ここ?・・・は!まさかアイチ!」

 

ここでエミはアイチが不良たちに囲まれている姿を想像する。その中には森川たちも存在している。

 

『おらおらアイチ、もう逃げらんねぇぞ』

 

『ここに入っちまったのが運の尽きって奴だ』

 

『今からこわーいめに会うわけだからね』

 

『さーて、今日はどうやってかわいがってやろうかなー?』

 

そんな想像をしたエミはひどい寒気に襲われた。

 

「・・・放っておけないわ」

 

それでもエミは勇気を出してカードキャピタルの中へと入っていく。そして、エミの目に映ったのは想像していたものではなく、カードショップらしく、子供たちが賑わっている光景だった。

 

「・・・何?ここ・・・」

 

戸惑っているエミに後ろからシンが話しかけてくる。

 

「いらっしゃーい、カードキャピタルへ。お嬢さん」

 

「え⁉」

 

「私はこのカードキャピタルの店長、新田です。今日は何の御用ですか?」

 

「あの・・・私・・・あの・・・」

 

何が何だかわからなくなっているエミは戸惑いを隠せていない。

 

「もしかしてカードショップは初めて?」

 

「は、はい」

 

「そう。ここはね、TCG、トレーディングカードゲームのショップなんだ」

 

「トレーディングカードゲーム?」

 

「そう。いろんなカードを使って1対1でファイトするゲームさ。子供たちにはとっても人気な遊びなんだけどなぁ・・・」

 

「そうなんですかぁ・・・」

 

エミがここがどんな場所かを理解すると、シンはエミが着ている制服に気が付く。

 

「もしかして、君は宮路学園の生徒さんかな?」

 

「え、ええ・・・」

 

「う~ん、あそこはお嬢様学校だからあんまりやってる人はいないのかな?」

 

「え~と・・・」

 

「それじゃあ、うちのショップの中を紹介しよっか」

 

「はい!」

 

シンはエミにカードキャピタル内を案内する。まずはカウンターからだ。

 

「ここはカウンター。ほしいカードはここで買うんだ。そこに寝ている猫は店長代理、座ってる不愛想な子は戸倉ミサキ」

 

「不愛想で悪かったな」

 

「お~、怖い怖い。この子は僕の姪っ子でね、いつも店を手伝ってくれてるんだよ」

 

「へ~」

 

エミが関心しているとカズヤがカウンターに来て1枚のパックを取る。

 

「戸倉、今日はこのパックをくれ」

 

「竜魂乱舞ね。じゃあ150円」

 

カズヤは代金の150円を払って、ミサキは竜魂乱舞のパックをカズヤに渡す。

 

「おう、ありがとよ」

 

「アニキー!早く来てくれー!」

 

「わかったから焦らすな。あいつらにお前を紹介できねぇだろ」

 

「カズヤ、メガコロニーのカードがあったら俺にくれ!」

 

「あったらな」

 

カズヤはパックを持ってファイトスペースに戻っていく。

 

「ちなみに今彼が買っていったのは今流行ってるヴァンガードだよ」

 

「あ!」

 

カズヤが戻っていった先にアイチがいるのを発見したエミ。そこには森川たちもいる。

 

「ああ、あそこは対戦エリアでね、カードファイトがしたい者同士があそこで戦うんだよ」

 

「アイチ・・・」

 

「お!今ちょうどさっき言ったヴァンガードのカードファイトが始まるみたいだね。ヴァンガードの特徴はね・・・」

 

エミはファイトスペースにいるアイチをじっと見ている。それに気づいたシンは頭に?をつくる。

 

「用意はいいか、アイチ」

 

「う、うん」

 

「おーし、今日も俺の強さを見せつけてやるぜ!」

 

「やっちゃえやっちゃえー!」

 

「がんばれよ、アイチ」

 

井崎とメグミは森川側に、カズヤとソウジ、アツシはアイチ側でファイトを観戦する。そして、ファイトが始まろうとしていた。

 

「「スタンドアップ!」」

 

惑星クレイからスターダストトランぺッターとリザードランナーアンドゥーが登場する。

 

スターダスト・トランぺッター  PW6000

 

リザードランナーアンドゥー  PW6000

 

「ふ、相変わらず最強だぜ、俺のデッキはよ。待ってなアイチ、瞬殺してやるぜ!」

 

「僕のターンいきます。小さな賢者マロンをライド。ターンエンド」

 

小さな賢者マロン  PW8000

 

R マロン R

R  R  R

 

「森川君の番だよ」

 

「おう。ドロー。・・・よーし、いいぞ。アンドゥーの上にバーを最強ライドだ!」

 

鎧の化身バー  PW8000

 

R バー R

R R  R  アイチの手札5枚 山札43枚

 

「そのまま最強攻撃だ!」

 

「えーと・・・エレインでガードします」

 

「ドライブトリガーチェック『ジャガーノート・マキシマム』」

 

PW8000➡PW8000+SH10000=18000  森川の手札6枚 山札42枚

 

「ふん、運のいい奴だぜ、アイチよぉ。だがそんなグレード1のカードを大事にしてるようじゃあ、俺様の最強デッキには永遠に勝てない。次の俺のターンからが本番だぜぇ」

 

「うん、いきます」

 

シンはカウンター側から森川の持っている手札を確認する。森川の持っている手札にはグレード3のユニットしかいない。

 

「あちゃ~・・・ちょっとバランス悪いかなぁ・・・。手前の彼は」

 

アイチと森川のファイトを見てエミは難しそうな顔をしている。

 

「ヴァンガードに興味があるんだっけ?何をやってるかわかるかい?」

 

「ううん、まったく。何が何だか・・・」

 

「そっかぁ。でも、ルールはすぐに覚えられるから大丈夫だよ。そうだ!なんだったらこの後私がレッスンしてあげても・・・」

 

「調子に乗りすぎ」

 

「・・・覚えたかったら、いつでも言ってね」

 

「はい」

 

そんなやり取りをした後、再びアイチたちのファイトを観戦する。

 

「いくよ。立ち上がれ、僕の分身!ライド!ブラスター・ブレード!!」

 

ブラスター・ブレード  PW9000

 

(あんなアイチを見るの・・・初めて・・・)

 

エミは普段見せなかったアイチのいきいきとした姿を静かに見守っていた。

 

「続けてうぃんがるをコール。さらに、ギャラティンを2体コール」

 

うぃんがる  PW6000

沈黙の騎士ギャラティン  PW10000

 

ギャラティン ブラスター・ブレード ギャラティン

  R      うぃんがる      R

 

「ち、なんだなんだ!そんなグレード2のザコばっか並べても怖くなんかねぇぞ!俺様のこのグレード3がでれば絶対負けねぇ!」

 

「それじゃあ、右のギャラティンでバーを攻撃するよ!「く!ノーガード!ダメージチェック『忍竜ボイドマスター』まだ1ダメージだ!」続いて、ブラスター・ブレードでうぃんがるの支援をつけてバーを攻撃!うぃんがるはブラスター・ブレードを支援する時、パワーがプラス4000される!」

 

「く!ノーガード!」

 

「ドライブチェック『閃光の盾イゾルデ』」

 

ブラスター・ブレードはバーに接近して光剣でバーに一太刀浴びせる。

 

「ダメージチェック『モンスター・フランク』」

 

「よっしゃ!いいぞアイチ!」

 

「アイチさんすげえ!」

 

「く!まだまだだ!」

 

「それじゃあ、左のギャラティンで攻撃!」

 

「ぐああああああ!」

 

ダメージチェック『暴君デスレックス』

 

ここまでダメージを受けて、さらにガードをしないことに井崎とメグミは疑問が浮かぶ。

 

「おい森川、何でガードしないんだよ?」

 

「そんだけ手札があったらガードできるでしょうが」

 

「バカ野郎、俺のカードを見ろ!」

 

言われた通り井崎とメグミは森川の手札を見る。そこにはグレード3のカードばっかり揃っている。

 

「全部グレード3・・・」

 

「俺のデッキにはな、ガードなんてつまんねぇことに使うカードは入れてねぇんだよ!」

 

森川のヴァンガードの常識外れの言動に一同は苦笑いを浮かべる。

 

「これで僕のターンは終わり・・・」

 

PW10000➡PW8000

PW19000➡PW8000

PW10000➡PW8000  アイチの手札2枚 山札41枚  森川のダメージ3

 

「おーーし!来たぜ!俺様のターンだ!これで逆転するぜ!!最強ドローだ!!・・・・・」

 

森川はさっきまで勢いが良かったのに突然静かになる。

 

「おい、森川?」

 

「何引いたのさ?」

 

井崎とメグミが森川が引いたカードを見てみる。引いたカードは鎧の化身バーだった。

 

「グレード2がでないんじゃ、いくらグレード3を持ってても意味ねーじゃねーか」

 

「本当にね。ライドもできないし」

 

「な、何でついてないんだよ俺は⁉何なんだよ運命の神様は⁉俺に嫉妬してやがんのかよおおおお!!?」

 

「神様の問題じゃないんだよねー」

 

遠くで見ていたシンは森川のプレイスタイルに口を出す。

 

「ヴァンガードはグレード0からグレード3まで順番にライドしてパワーアップしていく必要があるから、グレード2のカードがないと宝の持ち腐れになっちゃうんだ」

 

シンの説明を理解したエミは再びファイトの観戦をする。

 

「バーを最強コール!(例え運が悪くても、俺の最強の頭脳を使えば、十分に戦えるってことを見せてやる!)」

 

R バー R

R バー R

 

「いくぜ!バーに最強支援をつけて、最強攻撃だ!どうだ!この最強攻撃を喰らいな、ブラスター・ブレード!!」

 

「えっと、ふろうがるでガードします」

 

「おのれえええええ!!何故だ⁉何で俺はいつもいつもついてないんだ!!?くそおおおおお!!」

 

「面白いな、森川さんって」

 

「こいつ、弱すぎだろ⁉カズヤみたいな初心者レベルでも驚きだぞ⁉」

 

「おい、さりげなくディスってんじゃねぇよ」

 

森川の驚くべく程の実力に素直な感想を述べるソウジ。カズヤはさりげなくバカにしたソウジを睨む。アツシは単純に面白がっている。

 

「ちょっと森川、ドライブチェック忘れてる」

 

「お、おお、そうだった!ドライブトリガーは・・・『ヘル・スパイダー』ち!トリガー発動せずか。だがまたグレード3が出たぜ!」

 

グレード2が出ていないのにそんな言葉を発する森川に井崎とメグミは呆れ始めている。

 

PW16000➡PW9000+SH10000=19000  森川の手札7枚 山札38枚

 

「う~ん・・・彼みたいに強いカードばかり集めたデッキをつくりたいって気持ちは、よくわかるんだけどねぇ・・・」

 

エミは楽しそうにヴァンガードファイトをしているアイチをずっと見ている。

 

「よーし、僕のターンだね!ドロー!」

 

ギャラティン ブラスター・ブレード ギャラティン

  R      うぃんがる      R

 

「それじゃあ、右のギャラティンでバーを攻撃!」

 

(不思議。今この店で、このカードで遊んでる2人はまるでさっきまでとは別人になったみたいに見える。初めて見た時、強くて不良にしか見えなかったあの人は今は小っちゃくなって見える。そして・・・)

 

「く!ダメージチェック『ドラゴンダンサーモニカ』ドロートリガーでヴァンガードのバーにパワーをあげて1枚ドローだ!よぉし!やっと俺に相応しい最強の引きになってきたな!」

 

(いつも、おどおどしてたアイチ。私が声をかけるまで学校に行こうとしなかったアイチ。なのに、今のアイチはいつもよりずっと大きく見える・・・)

 

「次はブラスター・ブレードにうぃんがるの支援をつけてバーを攻撃!」

 

(そしてアイチを変えたのは、きっと・・・あのカードゲーム、ヴァンガード・・・)

 

「そうはさせないぜアイチ!モニカで最強ガードするぜ!13000プラス5000で18000!お前の攻撃は通らない!」

 

「ああ・・・でも・・・」

 

「どうした?」

 

「ほら、ブラスター・ブレードにはうぃんがるの支援効果が加わって、9000プラス4000で、パワーが13000になってるから。それにうぃんがる自身のパワー6000を加えると・・・」

 

「・・・19000あるな・・・」

 

バーの防御力が18000であるならばブラスター・ブレードの攻撃力は19000となっている。こうなれば当然防御など意味は持たない。これによってカズヤとソウジは必死に笑いをこらえて、井崎とメグミは心底呆れている。

 

「後それから・・・」

 

「何だ?」

 

「ドライブトリガーのカードをめくるよ。・・・あ」

 

アイチはドライブトリガーでめくったカードを森川に見せる。引いたカードは幸運の運び手エポナだ。

 

「エポナ・・・クリティカルトリガー!」

 

「パワーがプラス5000、そして、ダメージプラス1!」

 

ブラスター・ブレードはバーを守っているモニカを斬り倒して、そしてそのままの勢いでバーにとどめの一撃を与える。

 

「ぐわあああああああ!!」

 

「これで、6ダメージ」

 

PW10000➡PW8000(+5000)

PW19000(+5000)➡PW13000+SH5000=18000

 

ダメージチェック『忍竜ボイドマスター』『ジャガーノート・マキシマム』

 

アイチのダメージ0枚  森川のダメージ6枚  勝者アイチ

 

「ぐはぁ、終わりだぁ・・・。お、俺の・・・負けだぁ・・・」

 

「森川、全然いい活躍できなかったね」

 

「しかもアイチの奴、ノーダメージだぞ?」

 

「何ぃ⁉あ、本当だ!なんてことだあああああああ!!くそぉ・・・何で俺はついてないんだあああ!!?」

 

「いや、運以前の問題だろうがよ」

 

「こいつのデッキ、グレード3多すぎだろ⁉」

 

ファイトが終わり、アイチが一息つくと・・・

 

「アイチ」

 

カウンター側でずっと見ていたエミがようやく声をかけてきた。

 

「え、エミ⁉」

 

エミがここに来ているとは思わなかったアイチは非常に驚いていた。

 

「おや?お知り合いだったんですか?お友達?それとも・・・」

 

「ああえっと・・・僕の・・・」

 

アイチが言いよどんでいる内にエミはアイチに近づく。

 

「最近帰りが遅くなったのって、いつもここに来てたんだね?」

 

「う・・・うん・・・」

 

事情を知らない一同はこれには首を傾げるばかりだった。

 

(おいアツシ、お前の友達か?)

 

(違うよ。そもそも学校が違うし・・・)

 

橘兄弟が耳打ちしているうちにエミはアイチのカードを手に取る。

 

「これが・・・ヴァンガード・・・。そしてこれが・・・ブラスター・ブレード・・・。こんなことしてたんだ」

 

「え、エミ・・・」

 

「アイチ、なんかいつもと違ってた」

 

「え?」

 

「そんなに楽しいの?」

 

エミの問いにアイチは笑みを浮かべてから首を縦に頷く。

 

「うん」

 

(どっちが本物なの?今ここにいるアイチと、私がいつもと知ってたアイチは・・・)

 

「おいアイチ、誰なんだこのかわいい子は?」

 

「まさかお前、そういう・・・」

 

「えっと、妹です・・・」

 

「そ、そうか・・・」

 

エミがアイチの妹ということを聞いて、一同は納得する。

 

「じゃあ、もう1度やってみせて」

 

「え?」

 

「楽しいんでしょ?だったら、もう1度やって」

 

「ああ・・・えっと・・・」

 

エミにそう言われたアイチは森川の方に顔を向ける。

 

「・・・おーし!今度こそ俺様の本当の実力を見せてやるぜ!」

 

森川の方はやる気満々だ。

 

「やっちゃって!」

 

「・・・うん!」

 

「へっへっへ!やるぜやるぜ、やってやるぜ!」

 

アイチと森川はお互いにデッキをまとめ直し、ファイトの準備を進める。

 

「・・・ヴァンガードってそんなに熱くなれるのか?」

 

「ああ?」

 

「だって、ヴァンガードが楽しいって思いは、アイチさんと同じだったからさ!」

 

「・・・ああ。そういう思いなら、俺だって負けてないからな」

 

「じゃあさ!もう1回見せてくれよ!その思いが負けてないって言うなら!」

 

アツシもエミと同じことを言った。カズヤはソウジに顔を向ける。

 

「・・・よっしゃ!俺たちも始めようぜ!さっきは負けたが、今度は俺が勝つぜ!」

 

「・・・へ!上等だ!また返り討ちにしてやんよ!」

 

カズヤとソウジは別のテーブルを使ってファイトの準備を進める。そして、アイチ側とカズヤ側の準備が終えて、ヴァンガードファイトがまた始まろうとしていた。

 

「「「「スタンドアップ!!」」」」

 

to be continued…




エミ「ヴァンガードファイトかぁ・・・。アイチこんなことやってたんだ?」

アイチ「う、うん」

エミ「楽しいんだ」

アイチ「うん」

エミ「何が楽しいのか簡潔に述べよ、先導アイチ」

アイチ「は、はい先生!友達ができたし、イメージの中では僕は雑兵じゃなくて戦う仲間がいて、それで、それで・・・」

エミ「ふ~ん。で、次は誰とファイトするの?」

アイチ「それは・・・まだ・・・。・・・って、え⁉カズヤさんがミサキさんと⁉」

RIDE5「猛攻!ツインドライブ」

アイチ「イメージはさらに強く大きくなる!」

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