カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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遅れながらあけましておめでとうございます。戦略発表会でクロノジェット、アルトマイル、アーシャのトライアルデッキが出るという予想通りの情報が流れる中、今年も1年ヴァンガっていきましょう!・・・私もヴァンガらないと・・・!

さて、今回は昨年12月にはできなかったヴァンガード3作品連続投稿をさせていただきます!そして、お待たせいたしました!ようやく新右衛門編が完成しましたので、そちらのほうはReLiveで投稿しますよ!

それでは、まず1つ目は熱血と努力の先導者からです!

どうぞ!



魔界の将軍

ヴァンガードチャンピオンシップ全国大会予選試合の午後の部、第5試合の先鋒戦でチームQ4の櫂がチームAL4のキョウを下し、中堅戦ではミサキとアサカが対決。ミサキはアサカの戦法を読んで果敢に攻めるが、アサカの読みがそれを上回り、ミサキは敗北してしまう。残ったファイトはいよいよ大将戦・・・チームQ4からはアイチが出場し、チームAL4からはテツが出場する。コンソールの前まで移動したアイチとテツはファイトの準備を執り行う。

 

「さて!予選Aブロック、チームAL4対チームQ4!」

 

「いよいよ大将戦・・・ドッキドキですねー!」

 

「そOですね!」

 

「チームAL4の登録名、テツ君ですか・・・シンプルでいいですね」

 

「対するチームQ4、先導アイチ選手!クライマックスがすぐそこへ!」

 

FV(ファーストヴァンガード)を設置し終え、次に手札を引く作業に移るアイチとテツ。

 

「引き直します」

 

「こっちも同様に」

 

お互いに手札を交換して、手札を整えさせるが、アイチの方はここで少し問題が発生した。ここにきて、グレード2を引けなかったのだ。

 

(引き直しても・・・グレード2がない・・・けど、これで行くしかない!)

 

「大将戦!開始!!」

 

審判の合図で、泣いても笑っても、最後の予選試合が始まったのであった。

 

 

 

RIDE45「魔界の将軍」

 

 

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

ファイトがスタートしたと同時に、コンソールが起動し、フィールドは暗闇が支配した空間にそびえたつ城へと変わっていく。

 

「「「「おおお!!」」」」

 

「このフィールドはかっけぇなぁ・・・」

 

「相手はダークイレギュラーズだね~☆」

 

そのフィールドの風景にいつものメンバーは感心している。その間にもファイトは進む。

 

「ヴァーミリオン・ゲートキーパー」

 

「ばーくがる!」

 

ばーくがる  PW4000

 

ヴァーミリオン・ゲートキーパー  PW5000

 

「僕の先攻です!ドロー!小さな賢者マロンにライド!」

 

小さな賢者マロン  PW8000

 

「ばーくがるは移動!

さらに、ばーくがるのスキルで、自身をレスト!山札からふろうがるをスペリオルコール!ターン終了です」

 

ふろうがる(醒)  PW5000

 

R  マロン    R

R ふろうがる ばーくがる  アイチの手札5枚 山札42枚

 

「俺のターンだ。ドロー。プリズナー・ビーストにライド」

 

プリズナー・ビースト  PW8000

 

「ヴァーミリオン・ゲートキーパーのスキル発動。ソウルチャージ『悪夢の国のダーククイーン(醒)』プリズナー・ビースト、誘惑のサキュバスをコール」

 

誘惑のサキュバス  PW7000

 

「サキュバスのスキル発動。ソウルチャージ『冥界のパペットマスター(醒)』さらにナイトメア・ベイビーをコール」

 

ナイトメア・ベイビー  PW6000

 

プリズナー プリズナー サキュバス

  R     R   ベイビー

 

「リアガードのプリズナー・ビーストでマロンをアタック!」

 

「くっ・・・ノーガードです!ダメージトリガーチェック『閃光の盾イゾルデ』」

 

「ヴァンガードのプリズナー・ビーストでマロンをアタック!」

 

「ノーガードです」

 

「ドライブトリガーチェック『ブルー・ダスト』」

 

「ダメージトリガーチェック『沈黙の騎士ギャラティン』」

 

「おいまだ序盤だぜ⁉攻撃食らいまくりでいいのか?」

 

「ナイトメア・ベイビーのブースト、誘惑のサキュバスでマロンにアタック!」

 

「ノーガードです。ダメージトリガーチェック『幸運の運び手エポナ(☆)』クリティカルトリガー!パワーはマロンに!」

 

「クリティカルトリガー!」

 

「ここでかぁ!」

 

「タイミング悪すぎだぜ」

 

普通ならここでのトリガーは攻撃が防ぎやすくなるのでいいが、攻撃を終えた状態では意味をなさないのでメンバーたちはその場面に毒づく。

 

「ターン終了だ」

 

PW8000➡PW8000

PW8000➡PW8000

PW13000➡PW8000  テツの手札3枚 山札40枚  アイチのダメージ3枚

 

(ここでダメージを受けたのは負けるためじゃない・・・勝つためだ!確かに危険な賭けだけど・・・これくらいしないと、AL4のあの人にはきっと勝てない・・・。僕は絶対ここで勝つ・・・そして、櫂君、リンちゃん、カズヤさん、ミサキさん、そしてカムイ君と一緒に、決勝に行くんだ!!)

 

絶対に決勝戦に進む、そのためにも勝つ。その意思を心に秘め、自分のターンを進めていくアイチ。

 

「チームAL4対チームQ4、大将戦!第2ターンが終了し、Q4はいきなり3ダメージ!」

 

「次はそのQ4のターンですねぇ」

 

「ドキドキなファイトを見せてほしいですねぇ!」

 

「はい~」

 

「僕のスタンド&ドロー!行きます!

ばーくがるのスキル発動!自身をレスト!未来の騎士リューをスペリオルコール!」

 

未来の騎士リュー(☆)  PW4000

 

「リューのスキル発動!カウンターブラスト!リュー、ばーくがる、ふろうがるをソウルへ!」

 

「むっ・・・」

 

「グレード1のヴァンガードがいれば、山札からブラスター・ブレードにライドさせる!立ち上がれ、僕の分身!スペリオルライド!!ブラスター・ブレード!!」

 

ブラスター・ブレード  PW9000

 

「そうか!アイチがダメージを溜めていたのは、全てこのスペリオルライドと・・・」

 

「ブラスター・ブレードのスキルを駆使するため、だね!」

 

アイチの作戦にいち早く気づいた三和とシズクは感心した声を上げる。

 

「ブラスター・ブレードのカウンターブラスト(2)!リアガードのプリズナー・ビーストを退却!」

 

「ちっ・・・」

 

「(僕が今まで積み重ねた全てを使って・・・全力でこの試合に勝ってみせる!!)

真理の騎士ゴードンとうぃんがるをコール!」

 

真理の騎士ゴードン  PW8000

うぃんがる  PW6000

 

ゴードン ブラスター・ブレード R

 R     うぃんがる    R

 

「うぃんがるのブースト、ブラスター・ブレードでプリズナー・ビーストにアタック!

うぃんがるのスキルでブラスター・ブレードをブーストした時、ブラスター・ブレードにパワープラス4000!」

 

「ノーガード」

 

「ドライブトリガーチェック『沈黙の騎士ギャラティン』」

 

「ダメージトリガーチェック『冥界のパペットマスター(醒)』スタンドトリガー発動。プリズナー・ビーストにパワープラス5000。サキュバスをスタンド」

 

「(ゴードンのパワーじゃ、プリズナー・ビーストにダメージを与えられない・・・なら・・・)

ゴードン!サキュバスをお願い!」

 

「ノーガード」

 

「ターンエンドです」

 

PW19000➡PW8000(+5000)

PW8000➡PW7000  アイチの手札5枚 山札35枚  テツのダメージ1枚

 

「ここで攻撃力を弱めておけば・・・次のターン凌ぎやすくなる・・・」

 

「そして、自分のターンで、一気に攻勢をかけられるってわけだな・・・」

 

ミサキとカズヤはアイチの戦略を分析しながら、ファイトを見守っていく。

 

「俺のターンだ。スタンド&ドロー。ヴェアヴォルフ・ズィーガーにライド。さらにブルー・ダストをコール」

 

ヴェアヴォルフ・ズィーガー  PW10000

ブルー・ダスト  PW9000

 

R ズィーガー ブルー

R   R   ベイビー

 

「ナイトメアベイビーのブースト、ブルー・ダストでブラスター・ブレードにアタック。

ナイトメア・ベイビーのスキルでブルー・ダストにブーストした時、ブルー・ダストにパワープラス4000」

 

「ノーガード。ダメージトリガーチェック『真理の騎士ゴードン』」

 

「ブルー・ダストのスキルで、アタックがヒットした時、ソウルチャージ『漆黒の詩人アモン』」

 

「ソウルが溜まっていく・・・」

 

「またソウルチャージか・・・」

 

「気を付けて・・・ダークイレギュラーズデッキもやっぱり、ソウルが重要な意味を持つ・・・」

 

溜まっていくソウルの意味を気づいているミサキはアイチにそう言葉を紡ぐ。

 

「ヴェアヴォルフ・ズィーガー、ブラスター・ブレードにアタック」

 

「ゴードン!頼む!エスペシャルインターセプト!」

 

「ドライブトリガーチェック『誘惑のサキュバス』ターン終了だ」

 

PW19000➡PW9000

PW10000➡PW9000+SH10000=19000  テツの手札3枚 山札36枚  アイチのダメージ4枚(裏3枚)

 

「ダメージの差は3⁉」

 

「もう追いつめられてるじゃん!」

 

「挽回できんのかよ?」

 

大きくダメージの差をつけられている状況に後江中学3人組は不安を感じている。

 

「(このターンで一気に攻める・・・)

降臨せよ!戦士たちの主!ライド!騎士王アルフレッド!!」

 

騎士王アルフレッド  PW10000

 

(アルフレッドはそのスキルによって仲間の数だけパワーがプラス2000される・・・しかし、この状況では・・・)

 

「コール!ギガンテック・チャージャー!」

 

ギガンテック・チャージャー  PW9000

 

「ギガンテック・チャージャー、スキル発動!山札の1番上のカードを公開!『未来の騎士リュー(☆)』これがロイヤルパラディンなので、リューをスペリオルコール!さらにマロン、沈黙の騎士ギャラティンをコール!」

 

沈黙の騎士ギャラティン  PW10000

 

「ロイヤルパラディンの仲間たち!アルフレッドに、戦士の力を!」

 

(なるほど・・・やるな・・・)

 

あの場で仲間を埋める展開にテツはアイチを称賛する。

 

ギガンテック アルフレッド ギャラティン

 リュー   うぃんがる   マロン

 

「ギガンテック・チャージャー!リューのブーストでヴェアヴォルフ・ズィーガーにアタック!」

 

「ブリッツ・リッターでガード」

 

「次、アルフレッドで行きます!ヴェアヴォルフ・ズィーガーにアタック!」

 

「ノーガードだ」

 

「ツインドライブ!ファーストチェック『うぃんがる』セカンドチェック『世界樹の巫女エレイン(治)』ヒールトリガー!ギャラティンにパワープラス5000!そして、ダメージ1回復!受けよ!聖剣の偉大なる力!グレートソード・アターーック!!」

 

アルフレッド(アイチ)はまたがっている聖馬を乗りこなし、城の屋根に飛び移りながら、ヴェアヴォルフ・ズィーガーまで辿り着き、聖剣を振るい、攻撃を行う。ヴェアヴォルフ・ズィーガーは苦痛のうめき声を上げる。

 

「ダメージトリガーチェック『プリズナー・ビースト』」

 

「ギャラティン!マロンのブーストでヴェアヴォルフ・ズィーガーにアタック!」

 

「ノーガード。ダメージチェック『悪夢の国のマーチラビット』」

 

「ああーっと!AL4とQ4がダメージレースで並んだぁ!!」

 

「Q4のアイチ選手、順調に追い上げていますねぇ!」

 

「ターン終了です」

 

PW13000➡PW10000+SH10000=20000

PW20000➡PW10000

PW23000➡PW10000  アイチの手札4枚 山札29枚  テツのダメージ3枚

 

「・・・プレイングを見る限り、それなりの経験は積んであるか。しかし・・・その程度の経験値・・・俺の前では無に等しい」

 

「・・・っ」

 

「スタンド&ドロー。地獄の門より這い出でて、悪しき力を振るえ!ライド!魔界侯爵アモン!!」

 

魔界侯爵アモン  PW10000

 

「アモンのスキル発動!全ての呪われし暗黒の力を我が物とせよ!アモンはソウル1枚につき、パワーをプラス1000できる」

 

「なっ・・・」

 

「ソウルにあるカードは6枚、パワープラス6000!誘惑のサキュバスをコール!

サキュバスのスキルでソウルチャージ『退廃のサキュバス』」

 

「ソウルがまた1枚⁉」

 

「これによりアモンはさらにパワープラス1000!」

 

「これぞダークイレギュラーズデッキ!ソウルを溜めて力に変えるぅ~!」

 

「おぉ・・・」

 

「そう・・・闇の兵士たちの魂を従える・・・テツが将軍(ジェネラル)と呼ばれるのはそのせいよね」

 

R アモン ブルー

R  R  ベイビー

 

「ナイトメア・ベイビーのブースト、いけ!ブルー・ダスト!アルフレッドにアタック!

ナイトメア・ベイビーのスキルでブルー・ダストにパワープラス4000!」

 

「エレインでガードです!」

 

「魔界侯爵アモンでサキュバスのブーストでアルフレッドにアタック!」

 

「ノーガードです」

 

「ツインドライブ、ファーストチェック『シュティル・ヴァンピーア』セカンドチェック『ブリッツ・リッター(☆)』」

 

「クリティカルトリガー⁉」

 

「アモンにパワープラス5000、クリティカルプラス1」

 

アモンはアルフレッド(アイチ)に接近し、邪悪な力を身にまとい、両拳で城に叩きつけた。アルフレッド(アイチ)はボロボロになりながらも、聖馬と共に立ち上がる。

 

「ダメージトリガーチェック『孤高の騎士ガンスロッド』『薔薇の騎士モルガーナ』」

 

「ターン終了だ」

 

PW19000➡PW10000+SH10000=20000

PW24000(+5000)➡PW10000  テツの手札3枚 山札32枚  アイチのダメージ5枚(裏2枚)

 

(どうしたらいいんだ・・・こんな強敵と・・・どうやって戦えば・・・)

 

服部とはまた違った圧倒的な実力を持つテツにどうすれば勝てるのか道筋を探っているアイチ。

 

『イメージしろ!』

 

「!」

 

そんな時にアイチはふと、幼き頃に櫂から聞いた言葉を思い出す。

 

『そのカードの剣士のように、強くなった自分を!』

 

(・・・そうだ・・・1番大事なことを忘れるなんて・・・。イメージするんだ・・・)

 

アイチは強くイメージを行い、ロイヤルパラディンの仲間たちの存在を感じ取る。ロイヤルパラディンの仲間は、アルフレッドとなっているアイチを心から信頼している。

 

(みんな・・・)

 

強くイメージを練っていると、目の前には神々しい光を放っているソウルセイバー・ドラゴンがアルフレッド(アイチ)を見ている。

 

(そうだ・・・僕はまだまだ強くなれる!)

 

イメージによって気を引き締め直したアイチは現実に戻り、自分のターンを進める。

 

「僕のターン!スタンド&ドロー!行きます!聖なる竜よ!出でて神秘の力を振るえ!ライド!ソウルセイバー・ドラゴン!!」

 

ソウルセイバー・ドラゴン  PW10000

 

「ソウルセイバー・ドラゴンのスキル!ソウルブラスト!ホーリー・チャージング・ロア!!」

 

ソウルブラスト『ばーくがる』『ふろうがる(醒)』『未来の騎士リュー(☆)』『小さな賢者マロン』『ブラスター・ブレード』

 

「ギャラティン、ギガンテック・チャージャー、うぃんがるにパワープラス5000!今の僕にできる、最強の攻撃だ・・・ここで、必ず!!」

 

「来た来た来たぁ!!」

 

「これでいけるかぁ!!」

 

「わかんないけど、希望が出てきたってことだな」

 

ソウルセイバーのスキルによって、アイチの勝利への希望が出てきたいつものメンバーたち。

 

ギガンテック ソウルセイバー ギャラティン

 リュー    うぃんがる   マロン

 

「マロンのブースト、ギャラティンで魔界侯爵アモンにアタック!」

 

「ノーガード。ダメージトリガーチェック『冥界のパペットマスター(醒)』スタンドトリガー発動。アモンにパワープラス5000。ブルー・ダストをスタンド」

 

「そのくらいのこと・・・!ソウルセイバー・ドラゴン、うぃんがるのブーストで、魔界侯爵アモンにアタック!

ソウルセイバー・ドラゴンのスキル発動!ヴァンガードをアタックした時、パワープラス3000!」

 

「悪夢の国のマーチラビットで完全防御」

 

コスト『ブリッツ・リッター(☆)』

 

ソウルセイバー・ドラゴンは光のエネルギーを収束させ、たまった力をアモン目掛けて放った。しかし、その光は悪夢の国より現れたマーチラビットによって防がれてしまう。

 

「くっ・・・ツインドライブ!ファーストチェック『閃光の盾イゾルデ』セカンドチェック『薔薇の騎士モルガーナ』ノートリガーです』

 

 

一方その頃、物販コーナーを通っていたカムイは、アイチの試合を物販コーナーのモニターではらはらした様子で観戦していた。そしてちょうど、ソウルセイバー・ドラゴンの攻撃が防がれたところが映し出されている。

 

「ああ!そんなぁ・・・ソウルセイバー・ドラゴンの攻撃が、防がれるなんて・・・」

 

カムイがファイトの展開に愕然としていると・・・

 

「カムイちゃあーーーーーん!!!」

 

「どおお!!?」

 

突然現れたナギサがカムイに向けて強烈なタックルをかましてきた。カムイはそれを受け止められず、もろに腹部に直撃し、壁に激突する。

 

「い、いきなり何しやがる⁉」

 

「こんなところで何してるの⁉アイチちゃんが、こんなに頑張ってるのに!」

 

「あ、アイチちゃん⁉」

 

カムイがふと前を見てみると、そこにはゴウキとスバル、エミにマリンがそこにいた。

 

「え⁉エミさん⁉スバルに、ゴウキ⁉チームユニオンの奴まで・・・」

 

「アイチちゃんのこの頑張りは、カムイちゃんのためなんだよ⁉」

 

「え・・・?」

 

「外で、チームカエサルの人たちと会ってね・・・」

 

「アイチの話を聞いたの・・・」

 

カムイが唖然としている間にも、ナギサは涙を流しながら話を続ける。

 

「カムイちゃんと一緒に、決勝で戦いたいって!だから・・・何が何でもこの予選を勝ち抜こうとしてるって!」

 

「ナギサ・・・」

 

話をしている間にもファイトの方はスムーズに進んでいた。

 

 

「ギガンテック・チャージャー!リューのブーストで魔界侯爵アモンにアタック!」

 

「ノーガードだ。ダメージチェック『エーデル・ローゼ』」

 

「ターン終了です」

 

PW23000➡PW10000(+5000)

PW24000➡PW15000(完全ガード)

PW18000➡PW15000  アイチの手札5枚 山札24枚  テツのダメージ5枚

 

 

「アイチ・・・」

 

『アイチ選手の攻撃が通って、テツ選手のダメージもこれで5になったぁ!!』

 

「こんな素敵な仲間をほっといて・・・そんなの・・・アタシの好きなカムイちゃんじゃない!」

 

モニターに映っているアイチの勇姿、ナギサの話を聞いてカムイは予選開始前の櫂とリンに揉めている自分を思い返す。

 

『櫂!リン!お前ら仲間を何だと思ってるんだ!!』

 

「・・・・・・」

 

「・・・仲間と一緒にいる以上、揉め事は避けられないことでしょう。ですが・・・」

 

マリンはカムイに向けてそう口にし、モニターを見てみろといったようなしぐさをする。

 

『結果テツ選手は、このターン凌ぎ切ったということですね・・・』

 

『はい~。アイチ選手、ドッキドキな攻撃でしたが、このターンで勝ちきれなかった・・・きっと精神的ダメージは大きいでしょうねぇ・・・』

 

「・・・仲間が辛いとき傍にいてやる・・・それもまた仲間・・・」

 

ゴウキの言葉によって、自身の想いが揺れ動くカムイ。

 

「カムイちゃん。今カムイちゃんの声援があれば、アイチちゃん、きっと百人力だよ」

 

様々な複雑な思いが浮かび上がる中、ナギサたちの言葉で、カムイは決心を固めた。

 

 

アイチのターンが終わり、テツのターン。

 

「ソウルセイバー・ドラゴンを使いこなしたのは認めよう。だが、それでもお前は、俺には及ばん」

 

「・・・っ」

 

「スタンド&ドロー。貴様はこれから知ることになる。自分の弱さを、真の絶望を。邪悪な翼たちよ!暗闇に羽ばたけ!ライド!!シュティル・ヴァンピーア!!」

 

シュティル・ヴァンピーア  PW10000

 

「シュティル・ヴァンピーアのスキル!ソウルチャージ『カースド・ドクター(治)』スキルでパワープラス2000だ。そしてヴェアヴォルフ・ズィーガーをコール。

そしてさらなるヴァンピーアのスキル発動!カウンターブラスト(5)&ソウルブラスト」

 

ソウルブラスト『ヴァーミリオン・ゲートキーパー』『プリズナー・ビースト』『カースド・ドクター(治)』『ヴェアヴォルフ・ズィーガー』『悪夢の国のダーククイーン(醒)』『冥界のパペットマスター(醒)』『漆黒の詩人アモン』『退廃のサキュバス』

 

「シュティル・ヴァンピーア・・・リアガードのリューをヴァンガードへ!」

 

「えっ⁉」

 

シュティル・ヴァンピーアは両手で構えた刀と刀で超音波を鳴らし、ソウルセイバーに聞かせる。超音波に苦しむソウルセイバーは光の粒子となり、なんと、その場にいたリューへと姿を変えてしまった。

 

「そんな・・・⁉」

 

「ヴァンガードがリューに⁉」

 

「なんだよこれ⁉」

 

「そんなぁ!!」

 

「うわぁ・・・」

 

強力なユニットであるソウルセイバーから、グレード0のリューに変わったことにより、いつものメンバーたちは驚愕している。

 

「こ・・・こんなこと・・・ソウルセイバー・ドラゴンが・・・」

 

「シュティル・ヴァンピーアのスキルだ。このターンの間だけ、敵のヴァンガードを選んだリアガードの姿に変える」

 

シュティル・ヴァンピーアの恐ろしいスキルにアイチは言葉を失う。

 

「貴様は確かに資質がある。だが、その経験値はまだ幼い。それで俺に挑んでも勝つことは決してできん。未来の騎士リュー・・・騎士を夢見る少年兵士・・・それこそ、今のお前の力に相応しい姿だ」

 

一気に劣勢になり、苦虫を嚙み潰したような表情になるアイチ。すると・・・

 

「お義兄さーーーーん!!!!」

 

「!!」

 

「お義兄さん!!!!頑張れーーーーー!!!!」

 

「カムイ君・・・!」

 

一度はチームを離れたカムイが、必死になってアイチを応援している。そのおかげで、アイチはまだ諦めない姿勢を保つことができた。

 

(まだ諦めない・・・リューへの変身は、このターンだけ!凌ぎ切れば、元に戻れる!そして、次のターンに繋げて、この試合に勝つ!カムイ君と一緒に、決勝に行くんだ!!)

 

アイチが絶対に勝つという気持ちを抱くと同時にテツのアタックフェイズが開始する。

 

ヴェアヴォルフ アモン ブルー

   R     R  ベイビー

 

「ヴェアヴォルフ、行け!リューにアタック!」

 

「幸運の運び手エポナでガード!」

 

「ふん・・・誘惑のサキュバス、ブーストだ!シュティル・ヴァンピーアでヴァンガードにアタック!」

 

「イゾルデで・・・あ!」

 

アイチはシュティル・ヴァンピーアの攻撃をイゾルデで防ごうとしたがここで大きな問題が発生する。

 

「リューはグレード0・・・だから、リューはグレード0しかガードに使えない・・・」

 

そう、リューのグレードは0。つまり、それ以上ではガードに使用することは不可能ということだ。

 

「ふははははは。ソウルセイバー・ドラゴンのままならグレードは3。防ぐことができたろうが、今そこにいるのは未来の騎士リュー!俺が言ったように、貴様は今の自分の力に、自分の弱さが見えていない!」

 

「くっ・・・」

 

「これはまた厳しい攻撃です!」

 

「そOですね。相手に残された僅かな希望を打ち砕き、絶望と恐怖を与えるとは・・・」

 

「AL4の将軍(ジェネラル)とは、そういうことなのかぁ⁉」

 

「・・・ノーガードです・・・」

 

「ツインドライブ!ファーストチェック『漆黒の詩人アモン』セカンドチェック『魔界侯爵アモン』」

 

シュティル・ヴァンピーアは未来の騎士リュー(アイチ)に近づいていく。愛犬がリューを守るように前に出るが、わずかな希望を借り尽くすかのように刀で切り裂き、リュー(アイチ)をも切り裂いていく。

 

「だ・・・ダメージチェック『孤高の騎士ガンスロッド』負けました・・・」

 

「お義兄さん・・・」

 

斬撃をくらったリュー(アイチ)はその場にとどめきれず、粒子となり、消えていった。

 

PW10000➡PW4000+SH10000=14000

PW19000➡PW4000

 

アイチのダメージ6枚  テツのダメージ5枚  勝者テツ

 

「勝者!AL4テツ選手!これでチームAL4は5試合全勝して、予選通過決定!!」

 

テツが勝利を納め、会場の興奮は向上。自分の控室に戻るテツは相手の控室にいる櫂とリンに視線を向ける。

 

(今回はお前たちと戦えなかったが・・・いずれ必ず・・・)

 

櫂とリンは去っていくテツの背中をじっと見据えている。アイチは敗北が許されない4試合、5試合とも敗北したことに意気消沈している。

 

(僕は・・・)

 

パチパチパチパチ!

 

だが、アイチの懸命なファイトを認めてくれている三和を始めとする全観客は、アイチの健闘を称え、大きな拍手を送っている。こうして、チームQ4の全試合は今ここに終了したのだった。

 

 

全国大会予選試合の全チームの試合が終え、いよいよ結果発表の時間がやってきた。

 

「白熱したAブロックの試合は全て終了!この結果、Aブロック全チーム成績は・・・こうだぁ!!」

 

ここまでの試合の結果はこうなっている。

 

チームFFAL4  5勝0敗

チームFFアクロバットリミテッター  4勝1敗

チームQ4  2勝3敗

チームユニオン  2勝3敗

チームジュラシックアーミー  2勝3敗

チームマッスルブレイン  0勝5敗

 

「これは!!」

 

「2勝3敗で3チームが並んだ⁉」

 

「てことはまだ可能性は残ってるってことかよ!」

 

まだ決勝に残れるチャンスがあることにチームQ4は希望が少し見えてきた。

 

「決勝進出ができるチームは3チーム・・・」

 

「決定してるのは優勝候補のAL4。そして・・・」

 

「アクロバットリミテッターの2チーム」

 

「じゃあ、あともう1チーム・・・」

 

「チームQ4は決勝に出られるのか?」

 

「わからないよ・・・」

 

決勝に行ける可能性があるのは同列に並んでいる3チーム・・・それが会場全体に緊張が高まる。そしてここで、進行役がウルトラレアに変わる。

 

「はーい!ウルトラレアだよー!」

 

「Aブロック、見事に成績が並んじゃいましたぁ!」

 

「初めに話したけど、こんな時は、対戦成績を細かく見ます」

 

ウルトラレアの進行によって、モニターからは各チームの対戦成績が映し出された。

 

「これが各チームの対戦成績」

 

チームQ4

 

VSジュラシックアーミー  0勝2敗

VSユニオン  2勝1敗

VSマッスルブレイン  2勝0敗

VSアクロバットリミテッター  1勝2敗

VSAL4  1勝2敗

 

合計6勝7敗

 

チームユニオン

 

VSAL4  0勝2敗

VSQ4  1勝2敗

VSマッスルブレイン  2勝0敗

VSジュラシックアーミー  2勝0敗

VSアクロバットリミテッター  0勝2敗

 

合計5勝6敗

 

チームジュラシックアーミー

 

VSQ4  2勝0敗

VSAL4  0勝2敗

VSアクロバットリミテッター  0勝2敗

VSマッスルブレイン  2勝1敗

VSユニオン  0勝2敗

 

合計4勝7敗

 

「各チームの試合ごとに、総勝ち数と総負け数を合計、そして、そのポイントごとに計算」

 

「そのポイントの大きなチームが決勝に行けるの!」

 

「で、その結果が・・・」

 

チームQ4 0ポイント

チームユニオン  0ポイント

チームジュラシックアーミー  -3ポイント

 

「わあ!チームQ4とチームユニオンがまた成績が並んじゃったねー!」

 

「こういう時は、さらに対戦成績を細かく見ます!」

 

「全試合ごとに出場したメンバーの総勝ち数。そこで負ったダメージの少なさによって決勝に進めるの」

 

つまり勝利した試合で受けたダメージの少なさによって決勝に進めるというもののようだ。

 

「そして、その結果が・・・」

 

チームQ4

 

VSユニオン  先鋒戦4ダメージ 中堅戦5ダメージ

VSマッスルブレイン  先鋒戦4ダメージ 中堅戦4ダメージ

 

合計17ダメージ

 

チームユニオン

 

VSジュラシックアーミー  先鋒戦4ダメージ 中堅戦4ダメージ

VSマッスルブレイン  先鋒戦4ダメージ 中堅戦4ダメージ

 

合計16ダメージ

 

「ダメージが少なかったのはチームユニオン!ということは・・・」

 

「予選突破はAL4!アクロバットリミテッター!そしてユニオンに決定ー!」

 

決勝に進めるチームが決まり、会場は大興奮。チームマッスルブレインとチームジュラシックアーミーは悔しそうにうなり、逆にチームユニオンはガッツポーズをしている。だが、チームQ4の事情を知っているマリンは素直に喜べないでいた。

 

「・・・まぁ、よくやりましたよ。じゃあ、僕は大会運営本部に行ってきますね」

 

決勝に進めなかったチームQ4にシンは労いの言葉をかけた後、大会運営本部へと向かっていく。

 

「櫂君・・・リンちゃん・・・僕・・・僕が・・・」

 

今大会の敗北の原因を作ったと思い込んでいるアイチはここまで全勝でやってくれた櫂とリンにたいして申し訳なく思っていると・・・

 

「ようやく見つけましたよ、櫂」

 

櫂に声をかけてきた人物がいた。その正体は、チームAL4のリーダーである雀ヶ森レンだった。その後ろにはテツ、アサカ、チームアクロバットリミテッターが控えていた。

 

「ずっと探していたんですよ。僕の前から姿を消えた時から、ずっと・・・ずぅーっと・・・。それがまさか、こんなに弱いチームにいるとは・・・」

 

レンに一言にカズヤとミサキは怒りを示すが、アイチはその逆に落ち込んでいる。

 

「君だって本当は不満のはず・・・なのにどうしてこんなチームに?もっと強くてすごい仲間を、君は知っているはずです。もしも君が、僕に謝るというなら、僕は・・・」

 

「俺がどんなチームにいようが・・・貴様と一緒にいるよりはマシだ」

 

「櫂・・・」

 

櫂はレンにそう言ってのけて、そそくさとその場を立ち去った。そしてレンは次にリンに視線を向ける。

 

「リン・・・君がこんな弱いチームと一緒にいるのは・・・君の言う、強さの証明のため、ですか?そんなことせずとも、強さを証明できるチームを知っているはず。なぜです?」

 

「・・・・・・」

 

「もう1度フーファイターに戻ってくるんだ。こんなに弱いチームなんかより・・・」

 

「あなたがどう思おうと、私は私自身で、強さを証明します。あなたの施しなど一切受けません」

 

レンがリンにたいしてフーファイターに戻るように言ったが、リンは吐き捨てるようにそう言ってのけ、その場を去っていった。

 

「櫂君・・・リンちゃん・・・」

 

「・・・あの選出を決めたのは君ですか?」

 

「え?」

 

櫂とリンが去った後、今度はアイチにたいして視線を向ける。2人とは違って、軽蔑な意味で。

 

「君が最初から櫂とリンを出していれば、このチームは一切の敗北はなく、スムーズに行けただろうね」

 

「えっ・・・」

 

「そして櫂もリンも、決勝進出、この僕とも戦えたのに・・・何もかも、君のせいです」

 

櫂とリンのことを配慮して決めたアイチの考た選出にレンはダメ出し、アイチのせいと言い放った。

 

「おいてめぇ!アイチの気合を踏みにじるような・・・」

 

「カズヤさん・・・レンさんの言う通りなんだし・・・」

 

レンの言い分に怒りを面に出すカズヤをアイチはそれを止める。

 

「ふふふ・・・君はよくわかってる。そう、君はこのチームに・・・あの2人に相応しくない」

 

「・・・っ!」

 

レンは言いたいことを言った後、テツたちを引き連れてその場を去っていった。

 

(・・・あの人の言うとおりだ・・・僕が余計なことを・・・いや、それ以前に・・・)

 

『チームQ4の中で1番弱いのは・・・僕なんだ・・・』

 

(チームQ4が負けたのは、僕のせい・・・。僕が弱かったばっかりに・・・。こんな僕はQ4に・・・櫂君とリンちゃんに・・・ふさわしくない・・・)

 

自分の考えた選出、そして、自分の弱さが招いた結果だと負の感情ばかりが頭に回り、アイチは力なく、膝を地につけ、深く落ち込みを見せたのだった。

 

 

全ての行事を終えたチームAL4とアクロバットリミテッターは服部が用意したリムジンに乗り込み、フーファイター本部へと帰還していく。

 

「キョウは?」

 

「先に本部に返しました。再訓練のために」

 

「同じく、我がチームの川並は花柳に任せ、再訓練のために返しました」

 

「本日の大会で、敗者は彼ら2人。他に出場していたフーファイター全チームは、全戦全勝です」

 

「続く決勝で、人々は思い知るでしょう。我らフーファイターの恐るべく強さに」

 

「・・・僕らがどれほどの存在になったか・・・決勝にて君たちも思い知るがいい・・・櫂・・・リン・・・」

 

レンは不敵な笑みを浮かべながら、車の窓から外を、全国大会会場に視線を向けたのであった。

 

to be continued…




アイチ「僕のせいでチームQ4が負けた・・・」

レン「そういうことだよね。チームの中にいる分不相応なのは・・・例えばウサギのチームに亀が混じっていては、勝てないのが道理」

カムイ「ふざけるな!!お義兄さんが亀だっていうのか⁉」

レン「いや・・・ウサギの仮面をかぶった君が亀か・・・」

RIDE46「漆黒のブラスター」

レン「イメージしてみたまえ。ウサギたちの相手をしている僕たちの本当の姿を。鋭い牙が見えないかい?」

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