カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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ついに待ちに待ったヴァンガードの新作が発表されたことに超うれしさが倍沿いしております!今から楽しみです!

楽しみといえば、5月のパック、プレミアムパックのGユニット・・・あれって国家で使えるみたいですけど、ゼロスドラゴンと似て非なるものですかね?

さて、今回はミサキさんの回、前編です。

それではどうぞ!


消せない記憶

これは、ミサキの幼き頃の記憶・・・

 

『これが、オラクルガーディアンアポロン、そしてこれがロゼンチ・・・』

 

『にゃー』

 

子供のころのミサキがデッキのカードを確認していると、店長代理がカードに触ろうとする。

 

『あ!こら、店長代理!』

 

『にゃー』

 

ミサキが店長代理からデッキを遠ざけようとすると、持っていたデッキのカードを数枚落としてしまう。

 

『あ!もー、せっかくお父さんが組んでくれたのに・・・め!』

 

『みゃ~』

 

『・・・お父さんたち遅いなー。カードファイト教えてくれるって約束したのに・・・』

 

ミサキがデッキのカードを集めながら両親の帰りを待っていると、当時学生だったシンが慌てた様子で店に入ってきた。

 

『ミサキちゃん、大変だ!!お父さんとお母さんが・・・!』

 

シンの知らせがどれほど残酷で、ミサキにどれだけ悲しんだことか・・・。

 

「はっ!!」

 

幼き頃の記憶を夢で見て目が覚めたミサキはゆっくりと起き上がる。

 

「・・・また・・・あの時の記憶・・・」

 

ミサキのベッドの近くに置いてある写真立てには、幼き頃のミサキと、今は亡きミサキの両親の姿が映っていた。

 

「・・・いった・・・」

 

ベッドから起き上がったミサキに少し軽めの頭痛が襲う。それを見た店長代理はミサキに気を使うような声で鳴く。

 

「にゃ~?」

 

「ああ、大丈夫。たいしたことないから」

 

背筋を伸ばしていると、視線の先に、鍵のかかった箱があった。ミサキはその箱をぼんやりとみていると、下の階からシンの声が響いてきた。

 

「ミサキ~、起きてますか~?朝ごはんできてますよ~。ちゃんと食べないと、大きくなれませんからね~」

 

「(シンさん、私のこと、いくつだと思ってるんだろう?)

今行く!今日はトーストと紅茶がいい!」

 

「えええ⁉ごはんとみそ汁が~・・・」

 

ミサキは何事もなかったかのようにふるまい、部屋から出て下に降りていくのであった。

 

 

 

RIDE32「消せない記憶」

 

 

 

宮地学園の授業をすべて終え、ミサキはカウンター席でいつものようにお店番をしている。カウンター席のすぐ近くではシンが鼻歌を歌いながら習字で文字を書いている。

 

「いや~たいしたもんですね~。私も鼻が高いですよ~。どうです?」

 

シンは出来上がった文字をミサキに見せる。それも1つや2つではなく、数多く存在している。

 

「それ、どうするの?」

 

「いいでしょう?店の前に貼るんです。順番は、祝!Q4全国にするか、祝!全国で最後にQ4にするか、悩みどころですね~」

 

「はしゃぎずぎ」

 

「う~ん、いい書ですねぇ~」

 

完全に浮かれている様子のシンにミサキは呆れながら読書に集中する。

 

(・・・シンさんって、ああいうところ、お父さんに似てるな・・・)

 

ミサキはシンをちらっと見て、まだ父が生存していた時のことを思い出した。

 

「戸倉さん?どうかしましたか?」

 

「!秋田・・・」

 

ミサキが少し呆けていると、いつの間にか来たソウジがミサキを心配している姿があった。

 

「何でもない。それより、橘は来てないの?」

 

「あー、あいつなら生徒会の書記のメガネに捕まっちゃいましてね、今そいつと言い合いをしてるんじゃないんすかね?」

 

「はぁ・・・あいつ、生徒会と仲悪いもんね」

 

「俺は見てて面白いんすけどね」

 

ミサキはいつも通りにふるまい、何も悟らせないようにする。ミサキの真意に気づかず、ソウジはいつも通りにふるまう。

 

「あああ!!店長代理、それはない・・・!」

 

ミサキとソウジがそう話している間に、店長代理が何かをやらかしたようでシンは悲しげな声を上げる。

 

 

少し時間がたって、後江中学生組とカムイ、シズクがやってきた。そのメンバーがやってきたころには、シンが書いた書が貼られていた。

 

「祝・・・」

 

「Q4・・・」

 

「全国・・・」

 

「犬会出場・・・」

 

「大会、でしょー?なんでそうなるかなー?」

 

「森川・・・」

 

森川の発言にシズクが訂正を施し、メグミのジト目とともに、他のメンバーもあきれた様子になる。

 

「だって、そう書いてあんだろうが!ほら!」

 

森川に言われた通り見てみると、確かに文字はこう書かれていた。

 

祝 Q4 全国 犬会 出場!!

 

『本当だ・・・』

 

「でも、これって・・・」

 

犬会の『、』の部分には、猫の肉球があった。それでこれは店長代理の仕業ということがすぐに理解できた。

 

 

カードキャピタルに入った一同は1つのテーブルに集まり、カズヤが来るより先に全国大会のチャンピオン、雀ヶ森レンのことについて話し合う。

 

「やばいです、実にやばいです!」

 

「やばいって?」

 

「雀ヶ森レンです!」

 

「雀ヶ森レンって、あの全国チャンプのことー?」

 

「「「??」」」

 

シズクは一応はレンの名前は知っているようだが、事情を知らない井崎とメグミ、来たはいいもののカードショップPSY(サイ)に来れなかった森川は3人そろって顔を合わせ、首をかしげる。

 

「雀ヶ森・・・レンさん・・・」

 

アイチの脳裏に浮かんだのは、コーリンのファイトで見せたレンの圧倒的な力だった。

 

「あれが全国最高レベルなんです。あいつレベルのヴァンガードファイターがぞろぞろいるかも・・・」

 

「一匹見たら30匹っていうからな」

 

「「それ、もはや人間じゃねーし・・・」」

 

森川のものの例えに井崎とメグミは呆れる。

 

「そんな・・・あんな人みたいなファイターばっかりじゃあ・・・僕なんか・・・」

 

「そこでです!これを!」

 

カムイがベストのポケットから取り出したのは、1つのデッキだった。

 

「これは?」

 

「あいつが使ってたデッキです。まずは敵を徹底的研究ですよ!」

 

「お~、それは確かに心理だね~☆」

 

「クソガキにしちゃやるじゃねぇか」

 

「マケミ、クソガキ言うな!!」

 

「だから、カツミだって言ってんだろ!!」

 

「ふぅ~、やれやれ・・・」

 

「か、カムイ君・・・」

 

「「森川・・・」」

 

カムイの考えはいいことだが、森川の一言でカムイは憤慨し、森川も突っかかる。シズクが呆れる中、アイチ、井崎、メグミは2人を止める。すると、ミサキはデッキを確認する。

 

「・・・間違ってる」

 

「え?」

 

「ここあが1枚足りないし、しょこらは3枚じゃなくて、2枚だった」

 

「そ、そういえばそうだった・・・」

 

「それにこのデッキ、あの場限り使用のデッキでしょ?参考にはならないと思うけど」

 

「さすがは戸倉さん!よくわかんないけど知的すぎる!!」

 

ミサキの的確な感想にソウジは意味も分からないでいたが、とりあえずミサキをほめる。

 

「そ、そっか・・・。こんなのはどうでしょう!」

 

カムイが出した提案というのは、アイチとミサキがファイトし、お互いの能力を伸ばそうという考えだ。

 

「経験値をカバーするのはカードファイターの個性と技です!そこを伸ばせば、チームQ4のさらなる強化に繋がるんじゃないでしょうか!」

 

「なかなかいい考えですね」

 

「いやぁ~、俺の経験ってか、やってきたもんも伊達じゃないし、俺も一応頑張ってるんですよ~///」

 

「てめ、いくつだよ・・・」

 

「「まぁまぁ・・・」」

 

カムイのアイデアにシンは褒める。カムイは照れている。

 

「まぁ、チームQ4の南坊役ってとこっすかね~」

 

「「・・・参謀?」」

 

「///!!そ、そう、それです!参謀役・・・///」

 

カムイの変わらない言葉にアイチとミサキが訂正する。その様子に後江中3人組は笑いをこみ上げる。

 

「うるさい!!」

 

「まだなんも言ってねぇよ!!」

 

「言いたいことはわかるってことだね~☆」

 

「「ははは・・・」」

 

言いたいことを読まれたのかカムイがそう怒鳴り、森川が憤慨する。

 

「と、とにかく、始めてください!お互い、得意だと思う戦い方を見つけるんです!」

 

「僕の得意な・・・」

 

「私の戦い方・・・」

 

アイチとミサキは自分の戦い方を考えながら、ファイトの準備として、手札を5枚引く。

 

(グレード2がない・・・)

 

アイチの手札のグレードは1、0、0、0、3といったようにグレード2がない。

 

「引き直します」

 

「私も」

 

「そうだよな、グレード3、1枚じゃあなぁ」

 

「それか⁉」

 

「バカミってば今までのファイト見てないのかな?」

 

「多分見てないじゃない?」

 

「ま、グレ3バカに言っても無駄だろうよ」

 

森川のグレード3愛ぶりに一同は呆れる。

 

(う~ん、だめかぁ・・・)

 

アイチの手札に加わったグレードは3、0、0、3枚だが、グレード2は引けなかった。

 

(・・・ライブラ・・・アマテラス・・・みるく・・・)

 

ミサキは自分の手札を確認していると、ふと今は亡き両親のことを思い出し、悲しげな思いを浮かべていた。

 

「ミサキさん?初めてもいいですか?」

 

「!!あ、ああ」

 

「?店長、戸倉さん、変じゃないっすか?」

 

「そ、そうですか?」

 

アイチの一声で我に返ったミサキは目の前のファイトに集中する。ミサキの様子がおかしいことに気づいたソウジはシンに問いかける。シンは難しい顔をしながら、そう答えた。

 

(いけない・・・また・・・)

 

互いに準備を終えて、特訓のファイトが始まろうとする。

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

「ばーくがる!」

 

「ロゼンチ・メイガス」

 

ばーくがる  PW4000

 

ロゼンジ・メイガス(治)  PW3000

 

「私の先攻。ドロー。お天気お姉さんみるくにライド。ロゼンチはリアガードに移動。ターンエンドよ」

 

お天気お姉さんみるく  PW6000

 

 R   みるく R

ロゼンジ  R  R  ミサキの手札5枚 山札43枚

 

「僕のターンです!ドロー!」

 

アイチが引いたカードはグレード0、グレード2ではない。

 

(グレード2がない・・・このままじゃ、グレード3まで繋がらない・・・どうしよう・・・)

 

アイチの考えぶりにミサキはその様子をしっかりととらえている。

 

「(そうだ!前にやったあの方法なら・・・!)

うぃんがるにライド!ばーくがるはリアガードへ!」

 

うぃんがる  PW6000

 

「ばーくがるのスキルで、自身をレストして、山札からふろうがるをスペリオルコール!そして、幸運の運び手エポナをコール!」

 

ふろうがる(醒)  PW5000

幸運の運び手エポナ(☆)  PW5000

 

 エポナ    うぃんがる    R

ふろうがる ばーくがる(レスト) R

 

「うぃんがるでみるくを攻撃!」

 

「ノーガード」

 

「ドライブチェック『小さな賢者マロン』」

 

「ダメージチェック『バトルシスターここあ』」

 

「ふろうがるの支援で、エポナがみるくを攻撃!」

 

「ノーガード。ダメージチェック『オラクルガーディアンジェミニ』」

 

「ターンエンドです」

 

PW6000➡PW6000

PW10000➡PW6000  アイチの手札5枚 山札41枚  ミサキのダメージ2枚

 

「私のターン。ドロー。メイデン・オブ・ライブラにライド。そして、オラクルガーディアンジェミニをコール」

 

メイデン・オブ・ライブラ  PW9000

オラクルガーディアンジェミニ  PW8000

 

 R   ライブラ R

ロゼンジ ジェミニ R

 

「ライブラでエポナを攻撃。ジェミニのブーストでパワー8000プラス」

 

「えっ?ノーガードです」

 

「ドライブチェック『サイレント・トム』」

 

「エポナ、退却します」

 

「ライブラのアタックがヒットしたことで、カウンターブラスト(2)。1枚ドロー。ターン終了」

 

PW17000➡PW5000  ミサキの手札6枚 山札38枚

 

「もう終わり?」

 

「手札まだあんだろうに。けちけちしねぇで、ぞろっと並べるべきじゃねぇか?なぁ?」

 

「森川、声でかいよ。それ言ったらミサキさんに・・・」

 

後江中学3人組はミサキに怒鳴られると思ってちらっとみるが、ミサキは気に留めていない様子だ。

 

「「あれ?」」

 

「怒鳴らねぇな」

 

(最低限のコール・・・それに、ヴァンガードじゃなくてリアガードをアタック・・・おかげでダメージは受けなかったけど・・・ミサキさん、いったいどういうつもりなんだろう?)

 

最低限の行動、しかしアタックはリアガードといったようにミサキの真意を考えるアイチ。

 

「ほぉ~、考えたじゃない☆後は、手札次第だね☆」

 

「どういうことだ?」

 

「ま、よーく見てみ☆」

 

ミサキの考えを見抜いたシズクは感心し、ソウジは何が何だかわからないでファイトを見守る。

 

(何も考えちゃいけない・・・集中しなくちゃ・・・)

 

「僕のターン。スタンド&ドロー」

 

アイチが引いたグレードはまたも0、グレード2じゃない。

 

(これもグレード2じゃない・・・じゃあやっぱり、ばーくがるでリューを呼び出して・・・それから、リューのスキルでブラスター・ブレードを・・・)

 

リューの持つスキルによってブラスター・ブレードにライドしようとするが、アイチのダメージは0・・・これが意味するところは・・・

 

(だめだ!カウンターブラストで必要なコストがない・・・!)

 

そう、ダメージがないということは、カウンターブラストできないということだ。

 

(!まさか・・・ミサキさん、これを読んでいて・・・?)

 

「・・・やっぱり、ばーくがるとリューの連携技だったんだ」

 

「!!」

 

「グレード2が引けなくても、その方法なら、ブラスター・ブレードを呼び出せる。地区大会決勝戦みたいに」

 

「ああ、あの時の!」

 

「ね、意味がわかったでしょ?」

 

カムイの脳裏に真っ先に浮かんだのは、地区大会決勝でゴウキのファイトで見せたリューとばーくがるによる連携技によるライドだった。

 

「何が、どうしてどうだって?」

 

「姉ちゃんはアイチがどう攻めてくるか、とっくに見抜いてたってわけ」

 

「とくって・・・?」

 

未だに理解できてない森川に井崎が説明するが、まだ理解できてない。

 

「だーかーらー、最初のターンだっての、戸倉さんが見抜いてたの」

 

「何ぃ⁉さては戸倉の奴・・・予知能力者か・・・!」

 

「・・・もしかして、サイン欲しいの?」

 

「!!い、いや・・・」

 

森川の予想にメグミはジト目で見ながらそう言う。図星を突かれた森川は少し動揺する。

 

「いや・・・ミサキは・・・その・・・」

 

「!記憶力がいいんですね!」

 

「!!」

 

シンが言いよどんでいる間にアイチが口にした言葉にミサキは目を大きく見開かせる。

 

「だって地区大会で1度見た僕の戦い方まで覚えてるなんて」

 

「え、ええ・・・まぁ・・・」

 

アイチの言葉にシンは困り果てたような表情をしている。

 

「記憶力か。それなら俺だって。なぁ?」

 

「あ、ああ、そうだな・・・」

 

「う、うん、だよね・・・」

 

「いや、その逆のバカだろ、お前」

 

「んだとこの野郎!!」

 

「2人も森川きゅんを甘やかすからそうなるんだよ~☆」

 

「「は、ははは・・・」」

 

森川の発言に困ったように同意する井崎とメグミ。ソウジは包み隠さず本音を言う。森川は当然憤慨する。シズクに言われ、井崎とメグミは苦笑いをする。

 

「そうか!さっきもレンのデッキ、ばっちり覚えてたし!」

 

「すごいです、ミサキさん!」

 

ミサキの記憶力にカムイとアイチは感心しているが、当の本人は不機嫌な言葉を返す。

 

「別に・・・覚えたくて、覚えたわけじゃ・・・」

 

「え?それじゃあ自然に?それってもっとすごい!!」

 

「才能だぜ!」

 

「・・・ファイトの途中だよ!!」

 

「は、はい!」

 

ミサキはアイチとカムイを怒鳴り、ファイトを続行するようにそう口にする。

 

「ええっと、小さな賢者マロンをコール!」

 

小さな賢者マロン  PW8000

 

 マロン  うぃんがる R

ふろうがる ばーくがる R

 

「ばーくがるの支援で、うぃんがるでライブラを攻撃!」

 

「ノーガード」

 

「ドライブチェック『ソウルセイバー・ドラゴン』」

 

「よっしゃ!グレード3だ!」

 

「違うって、今欲しいのはグレード2」

 

「なんで?」

 

「あんたが負ける理由、今からでも教えてあげようか?」

 

グレード2が欲しい理由を全く理解していない森川に井崎とメグミはかなりあきれている。

 

「ダメージチェック『オラクルガーディアンワイズマン』」

 

「ふろうがるの支援、マロンでライブラを攻撃!」

 

「サイキック・バードでガード」

 

「ターンエンドです」

 

PW10000➡PW9000

PW13000➡PW9000+SH10000=19000  アイチの手札6枚 山札39枚  ミサキのダメージ3枚

 

「私のスタンド&ドロー。CEOアマテラスにライド」

 

CEOアマテラス  PW10000

 

『すごいです、ミサキさん!』

 

(すごい?どこが・・・!)

 

自身の記憶力をほめているアイチの言葉に、ミサキはかすかながらに怒りを表している。

 

「アマテラスのスキル発動!ソウルチャージ『ロゼンジ・メイガス(治)』山札の1番上を確認。この子は1番下へ。サイレント・トムとオラクルガーディアンワイズマンをコール」

 

オラクルガーディアンワイズマン  PW10000

サイレント・トム  PW8000

 

 トム  アマテラス ワイズマン

ロゼンジ ジェミニ    R

 

「ワイズマンでうぃんがるを攻撃」

 

「ノーガードです。ダメージチェック『沈黙の騎士ギャラティン』くっ・・・」

 

「次。アマテラスで攻撃!ジェミニが支援する!」

 

「ノーガードです」

 

「ツインドライブ1枚目『ラック・バード』2枚目『サイキック・バード(☆)』クリティカルトリガー。サイレント・トムにパワー5000プラス、そして、アマテラスにクリティカルプラス1して、ダメージ2。

アマテラスのスキルで、手札4枚以上でパワープラス4000」

 

アマテラス(ミサキ)は悲しげな表情をしながら、うぃんがる(アイチ)に向けて日輪の光を放ち、攻撃を放つ。うぃんがる(アイチ)は光の攻撃にまともに食らってしまう。

 

「くっ・・・ダメージチェック『沈黙の騎士ギャラティン』『薔薇の騎士モルガーナ』」

 

「ロゼンジのブースト、サイレント・トムでうぃんがるを攻撃。

ロゼンジのスキルでサイレント・トムにパワープラス3000。

サイレント・トムのスキルでグレード0ではガードできない」

 

「ノーガードです。ダメージチェック『閃光の盾イゾルデ』」

 

「ロゼンジは山札に戻して、ターンエンド」

 

PW10000➡PW6000

PW22000➡PW6000

PW16000➡PW6000  ミサキの手札5枚 山札33枚  アイチのダメージ4枚

 

「4枚目・・・」

 

「あーあ、ぼっこぼこじゃねぇか」

 

(ダメージ4・・・でもこれでコストが足りる・・・)

 

「はぁ・・・はぁ・・・はぁ・・・」

 

(!ミサキ・・・?)

 

ミサキの息遣いが荒くなっている様子に気づいたシンは思案顔になる。

 

「僕のスタンド&ドロー!

ばーくがるのスキル!自身をレストして、山札から未来の騎士リューをスペリオルコール!」

 

未来の騎士リュー(☆)  PW4000

 

「そういえば、ここでカズヤさんとミサキさんがカードファイトしてた時も・・・ミサキさんは初めてのファイトたのに、カードの知識も完璧で、あの時はミサキさんが勝ったんですよね。あはは」

 

「・・・ほら、早く」

 

「はい」

 

アイチはミサキの初めてのファイトを思い浮かべながら自分のターンに入る。

 

「(もうミサキさんには読まれちゃってるけど、きっとどこかに、逆転できる方法があるはずだ!)

未来の騎士リューのカウンターブラスト!コストを支払い、ソウルへ移動!ばーくがる、ふろうがるも移動!スペリオルライド!ブラスター・ブレード!!」

 

ブラスター・ブレード  PW9000

 

「ブラスター・ブレードのカウンターブラスト(2)!サイレント・トムを退却させます!マロンを後ろへ、もう1体マロンをコール。さらに、世界樹の巫女エレインをコール!」

 

世界樹の巫女エレイン(治)  PW5000

 

マロン ブラスター・ブレード R

マロン    エレイン    R

 

「エレインのブースト、ブラスター・ブレードでアマテラスを攻撃!」

 

「ノーガード」

 

「ドライブトリガーチェック『沈黙の騎士ギャラティン』」

 

「ダメージトリガーチェック『CEOアマテラス』」

 

「マロンのブースト、マロンでアマテラスを攻撃!」

 

「サイキック・バードでガード」

 

「これでターン終了です」

 

PW14000➡PW10000

PW16000➡PW10000+SH10000=20000  アイチの手札6枚 山札31枚  ミサキのダメージ4枚

 

「これでダメージは4対4・・・だけど・・・」

 

「グレード3がねぇぞ?」

 

「ちょっと・・・いや、ここはそうだよねぇ・・・」

 

「ああ。グレード2で出し遅れたからなぁ・・・」

 

「私の・・・スタンド・・・・&・・・ドロー」

 

ミサキはカードを1枚1枚見て、両親と共に過ごした日々を思い返し、辛そうな表情をしながらターンを進める。

 

「アマテラスの能力・・・ソウルチャージ『サイレント・トム』・・・山札の上を確認して・・・1番下へ・・・。ラック・バードをコール・・・」

 

ラック・バード  PW5000

 

「ラック・バードの能力・・・ソウルブラストで2枚ドロップ・・・」

 

ソウルブラスト『お天気お姉さんみるく』『メイデン・オブ・ライブラ』

 

「1枚ドロー・・・ワイズマンをコール」

 

ワイズマン アマテラス ワイズマン

 ラック  ジェミニ    R

 

「ラック・バードのブースト、ワイズマンでブラスター・ブレードを攻撃」

 

「エレインでガードします!」

 

「ねぇねぇ、ずっと気になってたんだけど・・・」

 

「「ん?」」

 

「どったの、メグミん?」

 

「ミサキさんはさ、あの記憶力使ってずっと実践やってたら、今頃、とんでもなく強いヴァンガードファイターになってたんじゃない?」

 

「なるほど・・・」

 

「確かに・・・」

 

「言えてるねー」

 

「もったいねー」

 

「どっちにしたって、戸倉さんが美しく強いことは変わらねぇだろ?」

 

メグミの私的に一同はかなり感心したような様子だが、当のミサキの表情はかなり暗い。そんなミサキの脳裏に浮かび上がるのは、幼き頃の記憶だ。

 

 

『今度カードの遊び方教えてあげる』

 

『うん!』

 

『お留守番よろしくね』

 

『うん、わかった!大丈夫!』

 

『いい子にしてるんだよ』

 

『いってきまーす♪』

 

『いってらっしゃーい!』

 

 

「そうだよね!いいなぁ・・・僕、あんまり記憶力なくて・・・」

 

「すげぇ!今まで黙ってたなんて人が悪いぜ!ミサキさんの記憶力を武器にできれば、Q4はばっちりですね、お義兄さん!」

 

「うん!」

 

バンッ!!

 

アイチやカムイ、そして周りのメンバーの言葉に聞くに堪えなかったミサキはファイト台を力強く叩いた。

 

『!!??』

 

「ミサキ、さん・・・?」

 

「・・・思い出したくないことだって・・・。ジェミニがアマテラスを支援、ブラスター・ブレードを攻撃!」

 

「リューとギャラティンでガード!」

 

「ツインドライブ・・・ファーストチェック『オラクルガーディアンアポロン』2枚目『オラクルガーディアンニケ(☆)』アマテラスにパワープラス5000、クリティカルプラス1!」

 

アマテラス(ミサキ)はブラスター・ブレード(アイチ)に向かって、日輪の光による攻撃を仕掛け、それを受け止めようとするリューとギャラティン。だが、光は強大になっていき、リューとギャラティンを飲み込ませ、そして、ブラスター・ブレード(アイチ)をも飲み込んでいった。

 

「お義兄さん!!」

 

「ミサキ!!」

 

ファイトをしているときに、ミサキには数多くの記憶があふれ出していく。

 

 

ミサキの幼き記憶、シンからの知らせを受け、車同士による衝突事故現場に向かったミサキとシン。炎に包まれてく2つの車のうち、1台はミサキの両親が乗っていた車だというのがわかる。

 

『お父さん・・・お母さーーん!!うわああああああああん!!!』

 

大好きだった両親を亡くしたことに、ミサキは悲しみを負い、声を大にし、悲しみの涙を流した。

 

あの出来事から数日が立ち、ミサキとシンは両親の墓参りを行い、さらに数日が立ったある日、カードキャピタルはシンが切り盛りすることになった。

 

『シンお兄ちゃんがお店やるの・・・?』

 

『おじさんとおばさんの大切なお店を閉めるわけにはいかないよ。ミサキちゃんも、お手伝いしてくれるよね?』

 

『・・・やらない・・・』

 

『え?』

 

『だって・・・わかんないもん・・・。まだお父さんにカードファイトのこと、何も教えてもらってないもん・・・お父さんも・・・お母さんも・・・いなくなっちゃったんだもん・・・!!』

 

『ミサキちゃん・・・』

 

『無理だもん・・・できないもん・・・!!うわああああああああん!!!』

 

ミサキのこの悲しみは、ずっと心に残っている。そして・・・それは、現在でも・・・。

 

 

PW15000+SH9000=9000

PW22000(+5000)➡PW9000+SH15000=24000

 

ダメージチェック『薔薇の騎士モルガーナ』『孤高の騎士ガンスロッド』

 

アイチのダメージ6枚  ミサキのダメージ4枚  勝者ミサキ

 

「つ、つえぇ~・・・」

 

「しかもあの記憶力・・・」

 

「まさに驚異的・・・」

 

「すごい・・・」

 

ミサキのファイトの腕、そして記憶力の強さにアイチや後江中学3人組は驚愕している。

 

「よっしゃあ!ミサキさんがいれば、全国大会のデッキも、ファイトの内容も、ばっちり把握できる!これは大きな戦略アップですよ!」

 

カムイがチームQ4の強化に期待できることに喜んでいるが、ミサキは息遣いが荒い。

 

「はぁ・・・はぁ・・・」

 

「ミサキさん・・・?」

 

アイチが心配する中、ミサキは自分のデッキを片付け、ファイト台に置く。

 

「・・・無理・・・」

 

「え?」

 

「ミサキさん・・・?」

 

「私はもう・・・あんたたちとは戦えない・・・」

 

ミサキは一同にそう言い残して、店を去っていく。

 

「ミサキさん・・・」

 

「お、おい!!」

 

「と、戸倉さん!待ってください!!」

 

ソウジはミサキのデッキを手にもってミサキを追いかける。

 

「なんだよ、あれ?」

 

「「さあ・・・」」

 

「お義兄さん、ミサキさんはいったい・・・」

 

「わ、わかんない・・・」

 

「うちら・・・知らないうちにミサQの傷口えぐってたのかな・・・?」

 

(ミサキ・・・)

 

ミサキの様子に困惑する一同、その中でシンはただただミサキが去っていった場所を見つめるのだった。

 

 

ミサキが店から出た後、ソウジはミサキを追いかける。

 

「と、戸倉さん・・・」

 

「・・・・・・」

 

「あ、あの・・・デッキ、忘れ・・・」

 

ソウジがミサキにデッキを渡そうとすると、ミサキはソウジの手を払いのける。その際にカードが散らばってしまう。

 

「私に・・・構わないで・・・」

 

「と、戸倉さん・・・」

 

ミサキは目元に涙をこらえながら、ソウジから離れようと走り去っていく。ソウジはそのミサキの姿に呆然と見てるしかできなかった。

 

(何も知らないくせに・・・!!)

 

ミサキは振り返らず、ただそのまま走り去っていく。

 

「・・・戸倉?」

 

カードキャピタルに向かっていたカズヤとすれ違ったが、ミサキは気が付かない。カズヤは何が起きたかわからず、ただミサキの背中を見つめているのであった。

 

to be continued…




アイチ「店長、ミサキさんどうしちゃったんですか⁉僕、何かいけないことを・・・?」

シン「いえ、アイチ君もカムイ君も悪いことはしていませんよ」

アイチ「でも、ミサキさんあんなに・・・もう僕たちとファイトできないって・・・」

シン「大丈夫ですよ。多分これは、ミサキ自身の問題です。いつかは通らなければならない鍵を、開けちゃったんですね」

アイチ「うわあああ!やっぱりの僕のせいじゃないですか!!」

RIDE33「記憶の先に」

アイチ「僕たちでなんとかできるイメージが見えない!どうしよう⁉」

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