カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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う~ん、やっぱり1話だけは寂しいので後数話くらいのせて、それからGと交互に載せていこうと思います。

今回の話でアイチ君が登場します。いやー、本心ではアイチ君も出してあげたいと思っていたんですよねー。

それでは、お話の方をどうぞ!


運命の先導者

カズヤは宮路学園高等部の通学路を歩いていた。そんなカズヤに近づき、話しかけてきたのはソウジだった。

 

「よぉ、どうだったよ、ヴァンガードは。面白かっただろ?」

 

「おお、ソウジか。ありゃ中々面白れぇもんだったぜ。何でもっと早く教えなかったんだよ?」

 

「だってお前、デッキつくるほどの金なんてあったか?」

 

「そう言われると何も言い返せん。揃えるには相当な金が要るだろうしな」

 

カズヤは若干ながら苦い顔になる。

 

「で、初めてのファイト、勝ったのかよ?お前のことだからハマりだしたら絶対に勝つって言いだすからな」

 

「いんや、日下部リンって奴に負けた。すごい悔しかったぜ」

 

日下部リンの名前が出た途端、ソウジは目を見開いていた。

 

「おいおい、日下部リンといや、この地域で有名なヴァンガードファイターじゃねーか。マジでそいつとファイトしたのかよ?」

 

「ああ。なんだよ、有名って・・・」

 

「日下部リンの実力は相当なもんって話だぜ?ショップ運営の大会だって、全部優勝でかざっちまうほどなんだからよ」

 

「ま、マジかよ・・・」

 

ショップ大会で全優勝したことがあると聞いて、リンの実力に驚いているカズヤ。

 

「あー、でも知り合いに聞いた話だと、ここらに最近引っ越してきた奴は日下部リンより強いみたいだぜ?本当かどうかは知らんが」

 

「ふーん。ぜひこの目で見てみたい気がするな」

 

「まぁ、絶対相手にしてもらえないだろうがな。だってお前初心者だし」

 

「初心者だからってバカにすんな!」

 

そんなたわいのない会話を交わしながら学校の校門へと入っていく。

 

 

 

RIDE2「運命の先導者」

 

 

 

リンが通う後江中学校の授業中、リンは真面目に授業を受けており、きれいにノートにまとめている。現在行っている授業は歴史だ。

 

「さあ、川中島の戦いもついにクライマックス、最後の戦いだ!ここで上杉軍軍勢、トゥエルブサウザーント、戦術パターン、車掛かりの陣を発令、ノームの中、信玄本体へ突入だ!対する武田軍軍勢はエイトサウザーント、霍弋の陣を発令して対応する!しかし多勢に無勢!武田軍ピーンチ!!」

 

歴史の授業を担当している外人の教師、マーク・ホワイティングの力説な授業に周りの生徒たちはひそひそと会話のしているものもいる。

 

「相っ変わらず暑苦しい授業だな・・・」

 

「外国人なのに戦国時代マニアだなんて、変わってるよねー」

 

「・・・とまぁ、この生き馬の目を抜くような戦国時代だが、え~と・・・君ならどう生きる!?先導アイチ!」

 

「あ・・・は・・・はい!」

 

マークの質問に指名された青髪の学生、先導アイチは顔を少し赤らめて席を立つ。

 

「先導はこの戦国時代に、何をして名を残したい?」

 

「あ・・・あのですね・・・えっと・・・」

 

「どうしたアイチ?」

 

「俺久しぶりにこいつの声聞くわ」

 

「おとなしいにもほどがあるっつーの」

 

周りの生徒たちはアイチに注目をしている。

 

「どうした先導君?イメージ、イメージして」

 

「ぼ・・・僕は・・・後ろの方で・・・いつでも逃げられるようにしてます・・・」

 

生徒達(リン以外)はアイチの答えを聞いた後、あっけにとられた後・・・

 

『あははははははは!!』

 

盛大に笑い出した。

 

「どんだけ後ろ向きなんだ!」

 

「情けなさじゃNo.1だぜ!」

 

「相変わらずつまんねぇ奴!」

 

「雑兵すぎっぞ!いや、雑兵のカガミかな?」

 

ところどころにアイチをバカにするような声が大きく聞こえる。

 

「先導君、戦国の世なら生きるための良い考えかもしれませんが、イメージの中くらい、もっと自分を活躍させてもいいのでは?」

 

「す・・・すみません・・・///」

 

アイチは顔を赤くしながら着席する。

 

(先導アイチ・・・何度も聞く名ですが・・・前から知っていたような思いがあるのは何故でしょう・・・?私の記憶が正しいのなら彼は・・・)

 

リンはアイチに対してそんなことを考えている。

 

(やっちゃった~///。でも・・・こんなすごい武将がいる中で僕の出番なんて絶対ないじゃないか・・・。・・・そうだ)

 

アイチは胸ポケットにしまってある生徒手帳を開くとそこにはヴァンガードのカードが1枚入ってあった。そのカードにはブラスター・ブレードと書かれている。

 

(彼ならこの戦国時代でも。ヴァンガードの戦士、ブラスター・ブレード)

 

アイチは戦国時代にブラスター・ブレードがいるイメージを膨らませる。そんなイメージを抱いていると、アイチは自然と笑みを浮かべる。そんな中1人の男子生徒がカードのパックを教科書で隠しながら開けていた。

 

(・・・ダメだ!このパックにも昨日のあいつに勝てるカードがねぇ!引きが弱いのか俺?)

 

男子生徒、森川カツミはピンとくるカードがなかったのかがくっとなる。

 

(ちくしょう!櫂トシキの奴め!くそ、俺がずっとあの店では1番だったんだ!それがいきなり引っ越してきた奴に負けるなんて許せん・・・!何とかしてあいつを倒す強力カードを・・・!)

 

森川は昨日の出来事を悔しそうに思い浮かべていると、右前の席にいたアイチに視線が映った。

 

(あいつ、雑兵のくせしてニヤつきやがって・・・)

 

森川はアイチが持っているカードのに気が付く。

 

(待てよ、あれは・・・ヴァンガードのカード!しかもありゃ・・・ブラスター・ブレード⁉幻のレアカードじゃねぇか!)

 

森川にブラスター・ブレードに目をつけられたとも知らずに、アイチはカードを生徒手帳に挟み、胸ポケットにしまう。

 

 

カズヤは学校が終わった後、カードキャピタルに来ており、現在はカウンターにいる猫をジーと見つめている。

 

「にゃー」

 

「・・・何で猫がいんだ?」

 

「店長代理が気になるの?」

 

店のエプロンを着こんだミサキがカズヤにそう尋ねた。

 

「店長代理?この猫がか?」

 

「そうだけど?」

 

「何でこの猫が店長代理なんだよ?」

 

「さぁ?知らないよ」

 

カズヤの問いに淡々と、素っ気なく答えるミサキ。

 

「・・・まぁどうでもいいか。結構かわいらしいからな」

 

「にゃー」

 

カズヤが猫、店長代理とをなでていると、2人の男子高校生と1人の女子中学生が入ってくる。その中学生はリンだった。

 

「日下部と・・・ありゃ後江高校の奴か?」

 

リンと茶髪の男子高校生は近くのテーブルの椅子に座り、お互いのデッキを取り出す。

 

「今日はよろしくお願いします、櫂先輩」

 

「そんなことはいい。さっさと始めるぞ」

 

「もちろんです」

 

リンと茶髪の男子高校生はデッキをシャッフルし、ファイトの準備を進める。昨日会ったばかりのカズヤでもわかる。リンの表情は真剣そのもの、緊迫した空気になっていることを。

 

「あいつ・・・あの茶髪と相手すんのに緊張してんのか?」

 

「まぁ見てろって。きっと面白れぇファイトになるぜ」

 

リンの様子を見ていたカズヤに金髪の男子高校生が話しかけてきた。

 

「お前だろ?昨日リンが言ってた初心者ってのは」

 

「あ?まぁ、一応あってるが・・・お前は?」

 

「俺は三和タイシ。あの不愛想な奴は櫂トシキ。もう知ってるかもだがリンは俺たちの後輩だ。よろしくな」

 

「お、おう。橘カズヤだ。よろしくな」

 

カズヤは男、三和タイシが差し伸べた手を握って握手を交わす。

 

「で?あの櫂って奴は強いのか?」

 

「まぁ待てよ。そろそろ始まるころだ」

 

リンと茶髪の男、櫂トシキの準備が終わり、ファイトが始まろうとしていた。

 

「「スタンドアップ・ザ・ヴァンガード!!」」

 

 

後江中学校で森川はリンが教室から出たのを見計らって森川の友人と共にアイチを校舎裏に連れてきた。今1度アイチの持っていたブラスター・ブレードを確認するために。

 

「な・・・何・・・?森川君・・・」

 

「先導アイチ、おめーがヴァンガードファイターだったとは知らなかったぜぇ」

 

「ヴァンガード・・・ファイター・・・?」

 

「とぼけんなよ。ヴァンガードのカードで戦うのがヴァンガードファイターなんだぜ。お前もそうなんだろ?」

 

森川の問いにアイチはおどおどした様子で否定する。

 

「そんな、違うよ。だ・・・だって、僕、カードファイトなんてしたことない。ヴァンガードファイターじゃないよ・・・」

 

「ふ~ん。まぁいいから、その胸ポケットに入ってるカードを見せてくれよ」

 

アイチは戸惑いながら胸ポケットにある生徒手帳を取り出すとそれを森川に取り上げられ、森川は生徒手帳の中に挟んでいたブラスター・ブレードを取り出す。

 

「くく!マジだ!マジでブラスター・ブレードだ!これさえあれば俺はあいつに勝てる!」

 

「おい、見せてくれよ!」

 

「あたしも!」

 

森川は友人である井崎ユウタと花咲メグミにもブラスター・ブレードを見せる。

 

「おー!すっげー!」

 

「あたし初めて見た!」

 

「こいつをもって店に行くぜ!」

 

アイチのブラスター・ブレードを持って3人はカードショップに向かおうとする。

 

「ちょっと待ってよ森川君!待っていかないで!それは人からもらった大切なカードなんだ!」

 

アイチはブラスター・ブレードを返してもらおうと追いかける。3人は立ち止まり、井崎はアイチの足を引っかけてアイチを転ばす。

 

「うわぁ!」

 

「うっせーな。お前はヴァンガードファイターじゃないんだろ?だったら戦えないこのカードがかわいそうだろ?だからこの俺がもらってやるぜ。さ、カードキャピタルに行くぜ!」

 

「おう!」

 

「それで勝てたらいいね!」

 

3人はアイチを置いてそのままカードショップへと向かっていく。

 

「か・・・返して・・・。カードを・・・僕のカードを・・・」

 

アイチはブラスター・ブレードを取り返そうと森川たちを追いかける。

 

 

カードキャピタルではリンと櫂のファイトは終盤戦に入っていた。

 

「これで終わりだ。ドラゴニック・オーバーロードでアタック!」

 

櫂のオーバーロードがリンのオーバーロードにとどめをさした。これによってリンのダメージは6枚となった。これによってファイトの勝者は櫂となった。

 

「参りました。さすがは櫂先輩です」

 

「・・・・・・」

 

リンの言葉に気にした様子はなく、淡々とデッキの片づけを始める。

 

「すげぇ・・・。なんて奴だ。日下部が強いのは知っていたが、そいつに勝っちまうなんて・・・」

 

「まぁ、実力的には櫂の方が強いしな」

 

目の前の光景にカズヤはどう言葉を出したらいいかわからなくなっていた。

 

「やはりまだまだ櫂先輩には遠く及びませんでしたか」

 

「でも前よりは結構強くなったじゃん。格段の進歩だぜ」

 

「それでも負けは負けです。結局はまだ私は弱いという事です」

 

「相変わらずの真面目ちゃんだな」

 

三和がリンのフォローをしていると・・・

 

「櫂!俺と勝負しろ!」

 

店内に入ってきた森川が櫂に勝負を挑みに来た。

 

「なんだ?」

 

「森川君?」

 

「お前昨日の・・・」

 

「1度勝ったからっていい気になるな!この店のトップの座をかけてもう1度勝負だ!!」

 

森川の挑戦状にカズヤは?マークをつくり、三和とリンは苦笑いを浮かべている。櫂の答えは・・・

 

「いやだね」

 

「なにぃ⁉」

 

まさかの勝負拒否だ。

 

「お前はヴァンガードが下手だ。戦術が単純で戦略に深みがない。カードの力に頼りすぎてるんだ。お前と戦っても何も得るものがないんだよ。だからやらない」

 

「櫂先輩、バッサリと言いますね。実際その通りですけど」

 

「リンも結構ひでぇこと言ってるけどな」

 

櫂とリンの毒のある言葉に苦笑いを浮かべる三和。

 

「俺に得るものがないだとおおお⁉ならお前が勝てば、このカードをくれてやる!!」

 

そう言って森川は櫂たちにブラスター・ブレードのカードを見せる。それを見た瞬間、リンと櫂の表情が少しだけ変わる。

 

「何だ?騎士みたいだが・・・」

 

「おお!ブラスター・ブレードじゃねぇか!珍しいな。まだ持ってた奴がいたのか」

 

(ブラスター・ブレード?あれは確か昔櫂先輩が使っていた・・・)

 

(まさかこのカード・・・)

 

「どうだ?」

 

ブラスター・ブレードによって櫂の考えが変わった。

 

「いいだろう」

 

「お?」

 

「そうこなくちゃ」

 

櫂がファイトの申し込みに了承し、リンは森川に席を譲る。そしてファイトが始まり、時間が経過する。現在は森川が劣勢な状態に陥っている。

 

「くそ!何でだ⁉何で俺は運が悪いんだ⁉」

 

「運じゃない。実力だ。ライド・ザ・ヴァンガード!」

 

ファイトの途中、カズヤはリンに耳打ちをする。

 

(なぁ、もしかしてあいつのデッキ、バランスが悪いんじゃ・・・)

 

(バランスが悪いどころじゃありません。むしろ最悪と言っていいでしょう)

 

耳打ちでそんな会話をしている内にファイトは終了した。結果はダメージ0対6で櫂の完全勝利だ。ちなみこれがファイト終了時間で1番短かったりする。

 

「これで6ダメージ、俺の勝ちだ」

 

「こんな・・・こんなはずじゃ・・・」

 

三和は信じられないといった表情の森川のデッキからブラスター・ブレードを取り出す。

 

「勝負は決まりだな。ほら、お前のだぜ」

 

三和は櫂にブラスター・ブレードを渡す。

 

(ブラスター・ブレード・・・)

 

「なんだ?興味なさそうだな」

 

「ぼ・・・僕のカードを返して・・・」

 

「何だ?」

 

「アイチ・・・」

 

いつの間にか森川を追って店内に入ってきたアイチがカードを取り返しに来た。

 

「森川君、お願いだよ!大切なカードなんだ!」

 

「し・・・知るかよ、そんなの」

 

「お前のカードって、まさかあれのことか?」

 

カズヤは櫂のテーブルに置いてあるブラスター・ブレードに指さしてそう問いかける。

 

「あ!それ、そうです!僕のです!」

 

アイチはブラスター・ブレードを手に取ろうとしたが、櫂に取り上げられる。

 

「返してください・・・」

 

「・・・なぜ?これはもう俺のカードだ」

 

「え⁉」

 

「お、おい・・・」

 

カードを取り上げた張本人である3人は少し申し訳なさそうな表情をしている。

 

「俺たちヴァンガードファイターにとって何より神聖なものがファイトの結果だ。そしてあいつはこのカードをかけて俺に挑み敗れた」

 

森川は悔しそうな表情になる。

 

「でも・・・それは僕の・・・」

 

「ヴァンガードファイトで失ったものはヴァンガードファイトでしか取り返せない」

 

「・・・じゃ、じゃあ・・・僕と戦ってくれますか?」

 

アイチの言葉を聞いた櫂以外の一同は全員キョトンとした顔になる。そして・・・

 

「・・・ふ、いいだろう。戦ってやる」

 

櫂はファイトの申し込みを了承する。だが森川はそれに異を唱える。

 

「ちょっと待て!何言ってんだアイチ!ヴァンガードファイトなんてやったことねぇだろうが!デッキだって持ってないだろ⁉」

 

「やったことはないけど・・・いつか、ヴァンガードファイトがしたくて、デッキは作ってたんだ・・・」

 

「何⁉」

 

「おお!俺と同じ初心者か!」

 

カズヤは初心者仲間が増えてちょっぴり喜びをかんじている。

 

「・・・勝負だ。そこに座れ」

 

「さ、森川君。邪魔ですからそこをどいてください」

 

森川はアイチに席を譲り、アイチはその席に座る。森川、井崎、メグミはアイチの後ろでファイトを観戦する。カズヤもアイチ側に、リンは櫂側に、そして三和はなぜかアイチ側で観戦する。

 

「あんた、何でこっちで見てるんだ?」

 

「お前こそ。初めてヴァンガードファイトを戦う奴とこの店最強の男の対戦か。こいつは面白そうだぜ!」

 

「いや!まだ最強は決まってないぜ!今日の俺はたまたま・・・」

 

「ちょっと黙っといた方がいいかもしれないぞ」

 

櫂の身にまとう雰囲気にカズヤは森川にそう言ってのける。

 

「お前は初心者だからルールを説明しながらやってやる」

 

「はい・・・」

 

「その前に、お前のデッキはこのブラスター・ブレードが入っていて完成するものだな?」

 

「はい、そうです」

 

「いいぜ、貸してやる。俺にとっては余計なハンデだしな」

 

そう言って櫂はアイチにブラスター・ブレードを渡す。

 

「(ブラスター・ブレード・・・)あ、ありがとう!」

 

アイチはブラスター・ブレードをデッキに入れてシャッフルを始める。

 

「ルール説明をしてあげるうえにカードを貸してあげるとは、櫂先輩は優しいですね」

 

「珍しくだけどな」

 

「そんなんじゃない。ルール説明は1回しかしない。ちゃんと聞いておけ。始めるぞ」

 

「はい!」

 

櫂とアイチはお互いにFV(ファーストヴァンガード)となるカードを伏せる。

 

「イメージしろ。今の俺たち2人は地球によく似た惑星、クレイに現れた霊体だ。このか弱い存在の俺たちに与えられた能力はたった2つ。1つはこの惑星にすむ生物、ユニットを呼び寄せる能力、コールだ。俺たちが呼び寄せるのは山札にあるユニットだ。まずはお互いの手札を5枚引く。これが呼び寄せる準備のできたユニットたちだ。カードにはそれぞれ、グレードや能力値がある。ユニットの様々な能力も書いてある。そして、俺たちにもう一つ与えられた能力はユニットに霊体である自身を憑依するライドだ」

 

「なるほど・・・」

 

「おい、こいつ大丈夫か?」

 

「ダメかもしれません」

 

ヴァンガードをやっているはずの森川が説明を理解するのに対して、カズヤは心配に森川を見て、リンは単刀直入にそう言ってのけた。

 

「俺たちが憑依したユニットのことをヴァンガードと呼ぶ。先に導くもの、先導者という意味だ」

 

「ヴァンガード・・・先導者・・・」

 

「さあ、俺たちがヴァンガードとして惑星クレイに立つところからゲームスタートだ。最初に選んで伏せたグレード0のユニットがいるな?」

 

「はい」

 

「いいか?開くぞ」

 

そうしていよいよアイチにとっての初めてのヴァンガードが始まる。

 

「いくぞ。スタンドアップ・ザ・ヴァンガード!リザードランナー・アンドゥー!」

 

「僕は・・・スターダスト・トランぺッターをスタンドアップ!」

 

リザードランナー・アンドゥー  PW6000

 

スターダスト・トランぺッター  PW6000

 

「これでお互いヴァンガードとして惑星クレイに立った。説明する都合があるから俺が先攻でいく」

 

「はい」

 

「まずは俺がカードを1枚引く。ここで俺はヴァンガードに1つ上のグレードに憑依させる。ヴァンガードの上にユニットを重ねる。鎧の化身バーにライド!」

 

鎧の化身バー  PW8000

 

「さらにヴァンガードは自身のグレード以下のユニットをコールして従えることができる。このユニットをリアガードと呼ぶ。希望の火エルモをコールだ!」

 

希望の火エルモ  PW6000

 

「これで俺のフィールドのユニットは2体。この2体で攻撃!」

 

攻撃がくると思いアイチは一瞬ビクつく。

 

「・・・は、先攻の最初のターンではできない」

 

それを聞いたアイチはホッと胸をなでおろす。

 

R バー  R

R エルモ R  櫂の手札4枚 山札43枚

 

「これで俺のターンは終わりだ。さ、お前のターンだ」

 

「はい。1枚引きます。じゃあ僕も・・・小さな賢者マロンにライド。さ・・・さらにうぃんがるをコール!」

 

小さな賢者マロン  PW8000

うぃんがる  PW6000

 

R  マロン  R

R うぃんがる R

 

「これでお互いのフィールドにはユニットが2体ずつ。攻撃するか?」

 

「こ・・・攻撃します!」

 

「よし、いいぜ。ヴァンガードをレストして宣言しな」

 

「ヴァンガード、マロンでバーを攻撃!」

 

「攻撃の時、背後にいるリアガードはパワーを前のヴァンガードに与えられるんだ」

 

「!それじゃあ・・・リアガードのうぃんがるのパワーを足して攻撃!」

 

「そしてヴァンガードが攻撃する時、山札の1番上のカードをめくり、ドライブトリガーをチェックする」

 

アイチは言われた通りにドライブチェックをする。出たカードは小さな賢者マロンだ。

 

「カードの右上にマークはあるか?ないならそのまま手札に加えろ」

 

「じゃあ・・・攻撃は成功したの?」

 

「ああ」

 

マロンはバーにチョップをお見舞する。

 

「やった・・・」

 

「俺のヴァンガードに攻撃がヒットした。このヒットによるダメージは『魔竜戦鬼ヤクシャ』。このダメージが6つたまったら、その時、俺の霊体は惑星クレイから消滅する。つまり、俺の負けだ。理解できるな?」

 

「はい」

 

PW14000➡PW8000  アイチの手札5枚 山札42枚  櫂のダメージ1枚

 

「よし、今度は俺のターンだ。いくぞ。ドラゴンナイトネハーレンにライド!バーをコールだ!」

 

ドラゴンナイトネハーレン  PW10000

 

R ネハーレン バー

R  エルモ  R

 

「そろそろ本気かな?」

 

「櫂の盤面、昨日の日下部の盤面とそっくりだな。エルモ以外は」

 

「よく覚えてますね」

 

「アイチの奴ボコボコにされんぞ」

 

「「あはは・・・」」

 

「バーでマロンを攻撃!」

 

「えっと、バーがパワー8000でマロンもパワーが8000だから・・・」

 

「同じパワーなら攻撃は通る」

 

「それじゃあ、バーの攻撃を喰らった上にもしネハーレンから攻撃されたら・・・ダメージが2つも⁉」

 

「だが、相手の攻撃を手札にあるユニットで弱めることができる」

 

「!それじゃあ、幸運の運び手エポナでガード!」

 

「カードの横向きにある数字、シールドが防御力となる。10000のシールドによって、バーのパワーが消えた。この攻撃は無効だ。ガードしたユニットはその攻撃が終われば退却する。そして俺は、ネハーレンにエルモのパワーを加えてマロンに攻撃だ!」

 

「ガード・・・しません・・・」

 

「そして俺もドライブトリガーをチェック『ワイバーンストライクジャラン』」

 

「ダメージチェック『閃光の盾イゾルデ』」

 

PW8000➡PW8000+SH10000=18000

PW16000➡PW8000  櫂の手札4枚 山札40枚  アイチのダメージ1枚

 

「さぁ、お前のターンだ」

 

「はい。(お互いのダメージは1つずつ。よし!)沈黙の騎士ギャラティンをライド!それから、マロンとふろうがるをコール!」

 

沈黙の騎士ギャラティン  PW10000

ふろうがる(醒)  PW5000

 

 マロン  ギャラティン R

ふろうがる うぃんがる  R

 

「ギャラティンにうぃんがるのパワーを加えて、ネハーレンに攻撃!」

 

『うおおおおお!』

 

沈黙とは何だったのか、ギャラティンは大声を上げてネハーレンに斬撃を与える。

 

「ドライブチェック『沈黙の騎士ギャラティン』」

 

「ダメージトリガーチェック『ドラゴンナイトアリフ』」

 

「それから、マロンにふろうがるのパワーを加えてネハーレンを攻撃!」

 

「それは通せないな。『希望の火エルモ』お前の攻撃は通らない!」

 

「うぅ・・・それじゃあ・・・僕のターンは終わりです・・・」

 

PW16000➡PW10000

PW13000➡PW10000+SH5000=15000  アイチの手札4枚 山札39枚  櫂のダメージ2枚

 

(で・・・でも、1つダメージを与えられた。こうやって1つずつダメージを与えていけば、先に勝つのは僕だ!)

 

「ふん、何を安心しているんだ?」

 

「え?」

 

「まさか俺がこのままで終わると思っているのか?そろそろ授業は終わりだ。ワイバーンストライクテージャスとジャランをコールだ!」

 

ワイバーンストライクテージャス  PW8000

ワイバーンストライクジャラン  PW6000

 

テージャス ネハーレン バー

ジャラン   エルモ  R

 

「イメージしろ。これから始まる俺の攻撃を。まずはバーでマロンを攻撃だ!「せ、世界樹の巫女エレインでガードします!」ふ、次はテージャスにジャランのパワーを加えてギャラティンに攻撃だ!」

 

「ワイバーンが2体⁉」

 

「そうだ!そしてジャランはテージャスを支援する時、パワーをプラス4000だ!」

 

「の、ノーガード。ダメージチェック『うぃんがる』これでお互い2ダメージ、同点だ」

 

「だがこっちは攻撃が残っている。ネハーレンにエルモの支援でギャラティンに攻撃だ!」

 

「く!パワー16000・・・。ノーガード」

 

「まだそれで終わりじゃない。『槍の化身ター(☆)』槍の化身ターだが、重要なのはここだ。攻撃時にこのカードが判定で出た時、攻撃に5000のパワーが追加され、さらにダメージを与える力が1つプラスされる」

 

「え⁉それってつまり・・・」

 

「この攻撃がヒットすればお前は2ダメージ受けるという事だ!」

 

『ぐわあああああああ!!』

 

ネハーレンが力を開放し、それをギャラティンに放つ。そして攻撃を喰らったギャラティンは大きな苦痛の声を荒げる。

 

「うわああああ!」

 

「うおっと!大丈夫か?」

 

「昨日の俺とまったく同じ反応だな」

 

ギャラティンの苦痛がアイチにも伝わり、転びかけるところを森川とカズヤに支えられる。

 

ダメージチェック『薔薇の騎士モルガーナ』『閃光の盾イゾルデ』

 

「一気に2枚・・・あっという間に4ダメージ・・・。これが・・・これが・・・」

 

「イメージできたようだな。そうだ、これがヴァンガードだ!」

 

PW8000➡PW8000+SH10000=18000

PW18000➡PW10000

PW16000➡PW10000  櫂の手札3枚 山札37枚  アイチのダメージ4枚

 

「これで決まりかな?」

 

「ふん、俺ならまだまだ逆転できるぜ」

 

「だよな!」

 

森川の発言に三和は若干ジト目でちらっと森川を見る。

 

「さぁ、お前のターンだ」

 

アイチのターンとなり、アイチはカードを1枚引く。引いたカードを見るとアイチは一瞬だけ目を見開き、そして目を閉じる。

 

「どうした?戦う気力をなくしてしまったのか?」

 

櫂の問いにアイチは首を横にふる。その表情はどこか笑っている。

 

「アイチ?」

 

「君はすごいな。さすがだよ。でも、楽しいよ櫂君」

 

アイチが櫂を呼んだことに、櫂は静かな表情になる。その後ろにいたリンも少し表情を変えていた。一同は櫂の名前を知っていたアイチに疑問符を浮かべる。

 

「?お前、何で櫂の名前を?」

 

「僕は、こうして櫂君とファイトするのが夢だったんだ。いつかリンちゃんともファイトしたいと思ってるんだ」

 

「はぁ⁉日下部の名前まで知ってんのか⁉」

 

カズヤはアイチがリンの名前まで知っていることに対して驚いていた。

 

「やっぱりそうでしたか。あなたは・・・」

 

「お前は・・・先導アイチ!」

 

「そうさ、櫂君!そしてこれがあの時君が僕にくれた力!」

 

「私もあの日のことははっきりと覚えてますよ」

 

「そうか・・・」

 

「いくよ。立ち上がれ!僕の分身!ライド!ブラスター・ブレード!!」

 

そしてアイチは櫂からもらった大切なカード、ブラスター・ブレードにライドをしたのであった。

 

to be continued…




アイチ「櫂君、やっぱりすごいな。僕楽しいよ」

櫂「お前、先導アイチ」

カズヤ「お前ら知り合いだったのか⁉日下部も・・・」

リン「ええ。私たちがまだ小学生だった頃に少し」

アイチ「僕のこのブラスター・ブレード、そして、僕がヴァンガードファイトをやりたいと思わせてくれた」

カズヤ「そのきっかけを作った奴ってことか⁉」

リン「話は終わりましたか?」

RIDE3「勝利へのライド」

櫂「さあ、いつでもいいぜアイチ。イメージしろ、俺たちのヴァンガードファイトを!」

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