カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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アニメではアイチ君も高校生になり、ナオキ君も登場しましたね。やはり展開が早いです。

それから、リメイクされたヒミコのスキル、ソウルブラスト5枚というコストですが、相手のヴァンガードのグレード1につきトリガーの効果が発動するということは、ソウルさえあれば手札が欲しい時はドロー、とどめをさすときはクリティカルをだせば一気に勝負がつくんじゃないかと考えてしまいます。

さて、今回で地区予選1回戦も終了でございます。まだ地区予選は始まったばかり。

それではどうぞ!


新たなる仲間たち

ついに始まったヴァンガードチャンピオンシップ、関東第3地区大会の第1試合の先鋒戦。チームクアドリフォリオことチームQ4最初の対戦チームは黒ずくめのローブを身に纏った4人組のチーム、フォーブラックス。その戦法は黒澤。対するチームQ4は本来出るはずだったミサキとリンが午後にならないと出られないという状況で、選ばれた先鋒はアイチだった。ファイトで黒澤がアイチがアルフレッドが来ることを予想して、全てのリアガードを殲滅させ、アイチの盤面にリアガードはいない。アルフレッドの能力が活かしきれない。現在お互いの盤面はこうなっている。

 

アイチの盤面

 

R アルフレッド R

R   R    R  手札4枚 山札37枚  ダメージ2枚

 

黒澤の盤面

 

テージャス ヤクシャ バーサーク

ジャラン   R    ジョカ    手札3枚 山札37枚  ダメージ2枚

 

「くくくく・・・さあ、どうするのだ?」

 

「仲間ならいます!孤高の騎士ガンスロッド!小さな賢者マロン!幸運の運び手エポナ!そして、真理の騎士ゴードンをコール!」

 

孤高の騎士ガンスロッド  PW9000

真理の騎士ゴードン  PW8000

小さな賢者マロン  PW8000

幸運の運び手エポナ(☆)  PW5000

 

「アルフレッドのスキルで、ロイヤルパラディンの仲間の数だけ、パワープラス2000!合計でパワープラス8000!」

 

「やるじゃねぇかアイチ!」

 

「ちゃんといいカード残してやがった!」

 

「いいや。そう喜んでばかりはいられねぇぞ」

 

「「「?」」」

 

三和の言葉の意味がよく理解できず、首を傾げるキャピタルメンバー。

 

「アイチきゅんの手札をよーく見てみ」

 

「・・・あっ!手札が・・・」

 

「全然ねぇぞ・・・」

 

そう、アイチの現在の手札は0枚、もうほとんど防御が行えない状況になっている。

 

「手札を全部使わざるを得ない状況に追い込まれましたね。それでいて、アルフレッドのパワーは18000止まり・・・フルパワーには届いていない。手強いファイターですね。さすが、地区大会といったところですか」

 

シンの表情はメガネであまり見えないが、かなり真剣みな表情であることはよくわかる。

 

「そのうえゴードンは今朝デッキに入れたばかりのカード・・・」

 

「?どういうことだ?」

 

「お義兄さんが今使ってるデッキは、テストプレイを1度もしていない、組んだばかりのデッキなんだ」

 

「「「な、何だとぉ!!?」」」

 

アイチのデッキの内容を聞いた後江中学生組は焦りが入り混じりの驚きが隠し切れない。

 

「つまりは、あのデッキを機能するかどうかは、誰にもわからねぇんだよ!」

 

ちゃんと機能しているかどうかもわからないデッキでアイチは黒澤という強敵に勝てることができるのか⁉

 

 

 

RIDE24「新たなる仲間」

 

 

 

この苦しい局面の中、アイチは今朝組んだデッキをうまく回せるかどうかについて不安を覚えている。それもそのはず、先ほどのゴードンとまだ山札の中にあるカードは今朝手に入れたばかりの新しいカードだからだ。

 

(真理の騎士ゴードン・・・せっかく入れた新しいカードだけど・・・このユニット・・・ううん、ゴードンだけじゃない。この新しいデッキ・・・どういうファイトをすれば、活かすことができるんだろう・・・?)

 

どうデッキを生かせればいいか考えているアイチにシンは笑みを浮かべ、見守っている。

 

(どうしました?自分で考え、選んだデッキじゃないですか。今はそれを、信じるしかありませんよ)

 

深く考えているアイチにしびれを切らしている黒澤が声をかける。

 

「どうした!いつまで考えてるつもりだ?それともターン終了か?」

 

「!い、いえ!まだです!もうちょっと待ってください!」

 

「んん?まさかお主、このような大会に出るのは初めてか?なるほど・・・通りで・・・」

 

アイチがこの大会に初めて出場していると気づき、黒澤は勝利を確信した笑みを浮かべる。

 

(ヴァンガードファイトにおいて、1番大切なのは冷静さだが、あの様子では勝負は決したも同然だな・・・)

 

長い長考が続き、ようやくアイチが行動に出る。

 

ガンスロッド アルフレッド ゴードン

 マロン     R    エポナ

 

「お待たせしました!ガンスロッドにマロンの支援をつけて、ヤクシャに攻撃します!」

 

「ラクシャでガードだ!」

 

「くっ・・・次はアルフレッドだ!いくぞ!ヤクシャに攻撃!」

 

「ノーガードである」

 

「ツインドライブチェック『うぃんがる』2枚目『幸運の運び手エポナ(☆)』クリティカルトリガー!」

 

「来たぁ!」

 

「クリティカルトリガーだ!」

 

「これで相手は4ダメージ!」

 

「ゴードンのパワーをプラス5000!クリティカルはアルフレッドに!」

 

アルフレッド(アイチ)は巨大なヤクシャに接近し、仲間の力を得た聖剣で斬りつける。ヤクシャは体に傷がつき、倒れそうになるが、何とか持ちこたえる。

 

「よし!ダメージトリガーは・・・」

 

「ダメージトリガーチェック『ワイバーンガードバリィ』2枚目『鎧の化身バー』」

 

「トリガーなし!」

 

「エポナの支援を受け、ゴードンでヤクシャを攻撃!」

 

「バリィでガードだ!ネハーレンをドロップして、スキル発動!このバトル中、我がかげろうユニットはダメージを受けぬ。今のような腑抜けた攻撃であれば何度でもはじき返してくれる」

 

「くっ・・・ターン終了です」

 

PW17000➡PW9000+SH10000=19000

PW18000➡PW9000

PW18000➡PW9000(完全ガード)  アイチの手札2枚 山札35枚  黒澤のダメージ4枚

 

「くそう!」

 

「あとちょっとなのにー」

 

「不気味だ・・・不気味すぎるぜ、蛇・・・」

 

「お前ヤクシャ持ってんだろ?グレード3だし」

 

「いや・・・俺のイメージと、ちょっと食い違いが・・・」

 

「イメージ力ないですもんねー」

 

「INっす」

 

「「ははは・・・」」

 

蛇が苦手な森川に一同は不憫に思えてきている。井崎とメグミは苦笑い。

 

「本当の攻撃とはどういうものか見せてやろう。バーをコールだ」

 

テージャス ヤクシャ バーサーク

ジャラン   バー   ジョカ

 

「ジョカの支援の下、バーサーク・ドラゴンでアルフレッドを攻撃!」

 

「くっ・・・ノーガードです!ダメージトリガーチェック『閃光の盾イゾルデ』」

 

「くくく・・・行くぞ!バー、支援を頼む!ヤクシャでアルフレッドを攻撃!」

 

「ノーガードです!」

 

「ツインドライブ、来たれトリガーよ『鎧の化身バー』2枚目『魔竜戦鬼ラクシャ(☆)』クリティカルトリガー発動だぁ!」

 

「本当に来やがった!」

 

「すっごい強運!強い!」

 

「あいつ、マジで魔術師っぽいな・・・」

 

「お義兄さん・・・!」

 

「なんとか持ちこたえろ、アイチ!」

 

「テージャスにパワープラス5000、そして我にクリティカルプラス1だ!」

 

ヤクシャはアルフレッド(アイチ)に近づき炎の短刀でアルフレッド(アイチ)に斬撃を与える。短刀の斬撃に加え、炎攻撃も加わって、アルフレッド(アイチ)にはひとたまりもない。

 

「うわああああああ!!」

 

ダメージチェック『うぃんがる』『孤高の騎士ガンスロッド』

 

「まずいぞ!これでダメージ5だ!」

 

「相手はまだテージャスの攻撃が残ってるのに!」

 

「アイチ!ここは何としても防げよ!」

 

「それはわかってるんだけど・・・」

 

アイチのこの危機的状況の中で、シンは少しワクワクした気持ちでファイトを見守っている。

 

「さてさて、アイチ君はどうするんでしょうね?」

 

「・・・・・・」

 

「くくく・・・これでお主はおしまいだ。テージャスがアルフレッドを攻撃!もちろんジャランが支援し、同時にスキルを発動。テージャスのパワーはさらにプラス4000だ!」

 

「うぃんがるでガード!」

 

アイチはうぃんがるで攻撃を凌ごうとするが、テージャスのパワーは23000、あと8000のシールド値が足りない。

 

「ダメだ!8000足りねぇ!」

 

「でも、エポナはシールド10000だよ!」

 

「アイチ!もう1枚だ!もう1枚出せ!」

 

ここを何としても守るためにもう1枚カードを出すように森川は促すが、アイチはどうすべきかを悩んでいる。

 

(エポナのシールドは10000・・・ガードに出せば、テージャスの攻撃は防ぐことができる・・・けど・・・今ここでエポナを使ってしまうと、手札を使い切ってしまうことになる・・・何か他に方法はないか・・・?)

 

アイチが悩んでいると、ふと気づいたかのようにゴードンに視線を向ける。それによって、策が閃いたようだ。

 

(!そうか・・・)

 

「何やってんだアイチ!ぼんやりしてる場合じゃないぞ!」

 

「今手札から出すユニットは・・・うぃんがるだけです!」

 

「「!!??」」

 

「何ぃ!!??」

 

手札に出すべきユニットはシールド値5000のうぃんがるだけとアイチ堂々と宣言し、それによって後江中学生組は驚愕に満ちている。

 

「お主まだ浮き明日っておるな?ダメージのカウントもできんとはな」

 

「いいえ、もう落ちついてます」

 

「なんだと⁉」

 

「これは、冷静に考えた結果です。今起こすべきアクションは・・・お願い、ゴードン!インターセプトだ!」

 

アイチが選んだ選択は、ゴードンによるインターセプトなのだが・・・

 

「ふん、インターセプトか。そんなものは計算のうちだ。インターセプトしたところで、そのユニットのシールドはたったの5000ではないか。後3000足りぬな」

 

テージャスのワイバーンは無慈悲にもアルフレッド(アイチ)を守っているゴードンとうぃんがるにも機銃の狙いに定め、一斉発射させる。それによって、場に土煙が出始める。

 

「やられた!」

 

「ここに来て選択ミスかぁ・・・」

 

「これで6枚目のダメージだ・・・」

 

これでファイトが終了と思い込んでしまう黒澤と後江中学生組。だが、他のメンバーは緊迫した表情でファイトを見守っている。イメージ空間での土煙が晴れるとそこには、ダメージを受けた様子がないアルフレッド(アイチ)が立っているではないか。

 

「なっ⁉バカな⁉なぜ無事なのだ⁉」

 

「よし!」

 

「アイチきゅんやるじゃん☆」

 

三和とシズクはまるで分っていたかのようなガッツポーズをとる。わからない人のためにモニターを見てみると、ゴードンのシールドがプラス5000されてシールド10000になったのだ。

 

「何ぃ⁉シールドが10000⁉なぜだ⁉」

 

「今のがただのインターセプトではないから」

 

「なんだと⁉」

 

「ゴードンがインターセプトした時、ヴァンガードサークルにロイヤルパラディンがいれば、シールドがプレス5000される」

 

黒澤はゴードンの見たことのないスキルによってかなりの困惑と動揺がにじみ出ている。

 

「なんだこれは⁉」

 

「迫りくる敵を確実に迎え撃つ鉄壁のインターセプト・・・それが、エスペシャルインターセプトです!」

 

「エスペシャルインターセプトだと⁉そんなスキル見たことないぞ!」

 

「はい!僕も初めて見ます!」

 

「なっ⁉」

 

「なんたって、真理の騎士ゴードンは今朝手に入れたばかりのカードですから!」

 

「⁉まさか、竜魂乱舞のカードか⁉」

 

「その通りです!」

 

「すげぇ・・・」

 

「やるじゃねぇかアイチ!」

 

竜魂乱舞のカードを使いこなしたアイチにカズヤとカムイは感服する。

 

「ありがとう、ゴードン。おかげで助かったよ」

 

「(くっ・・・まさか、竜魂乱舞のカードを使いこなしているとは・・・少々侮り過ぎていたか・・・)

ターン終了だ・・・」

 

PW15000➡PW10000

PW17000➡PW10000

PW23000➡PW10000+SH15000=25000  黒澤の手札2枚 山札32枚  アイチのダメージ5枚

 

「やりましたね。見事に攻撃を凌ぎきりましたよ」

 

(ダメージは5・・・手札にはエポナが1枚まで・・・何としても、このターンで決めたい!)

 

アイチは少し深呼吸をした後、1枚のカードを引く。引いたカードは、今この場で必要ともいえるカードだ。

 

「来た!ギガンテック・チャージャーをコール!」

 

ギガンテック・チャージャー  PW9000

 

「スキル発動!山札の1番上のカードをオープン!『未来の騎士リュー(☆)』これがロイヤルパラディンなので、スペリオルコール!」

 

未来の騎士リュー(☆)  PW4000

 

「ぐっ・・・」

 

「ギガンテック・チャージャー?あれも初めて見るユニットだな・・・」

 

「そんなことより、スキルで出したリューの方が重要だ!」

 

「は?グレード0なのにか?」

 

「これだからバカミは・・・」

 

「相変わらずのグレードバカだな、マケミ」

 

『そーそー!』

 

「んだとぉ!!?」

 

今この場面の状況を理解していない森川にバカにしたような発言を放つ一同。それによって森川は憤慨する。

 

「よく見ろマケミ。あのふろうがるで、アイチお義兄さんのアルフレッドがフルパワーになったんだよ!」

 

「これでアルフレッドのパワーは20000!能力発揮だぜ!」

 

「おお。これもまた、新しいカードを効果的に使いましたね」

 

「ふっ・・・」

 

ガンスロッド アルフレッド ギガンテック

 マロン    リュー    エポナ

 

「それじゃあ・・・いきます!エポナのブーストをつけて、ギガンテック・チャージャーでヤクシャに攻撃!」

 

「くっ・・・ノーガード。ダメージトリガーチェック『ドラゴンモンクゴクウ』」

 

「やったね☆トリガーなしだよ☆」

 

「これで次の攻撃が決まれば・・・アイチの勝ちだ!」

 

「よし!いくぞ!アルフレッドでヤクシャに攻撃!」

 

「ヤクシャで防御だ!さらにバーを追加!

(このターンさえ凌げればこちらの勝ちだ・・・!)」

 

「ツインドライブ、ファーストチェック『うぃんがる』セカンドチェック『未来の騎士リュー(☆)』クリティカルトリガーです!」

 

『来たぁ!!』

 

「なんだとぉ⁉」

 

「パワー、クリティカル共にアルフレッドに追加します!」

 

「なっ・・・バカな・・・」

 

アルフレッド(アイチ)は再びヤクシャに接近し、斬撃を当てようと試みる。そこにラクシャとバーが介入し、守ろうとしたが、アルフレッド(アイチ)の馬がうまく跳躍したため、ちょうどヤクシャの前まで辿り着き、アルフレッド(アイチ)がヤクシャに剣で一閃する。

 

「ぐぅ・・・ダメージ、チェック『魔竜戦鬼ヤクシャ』トリガーは・・・ない・・・」

 

アルフレッド(アイチ)の繰り出した一撃によって、ヤクシャはクレイから消えていった。

 

PW14000➡PW9000

PW20000(+5000)➡PW9000+15000=24000

 

アイチのダメージ5枚  黒澤のダメージ6枚  勝者アイチ

 

「第1試合先鋒戦、勝者、チームQ4、先導アイチ君!」

 

『おおおお!!』

 

諦めず立ち向かい、最後まで勝負を捨てなかったアイチの熱いファイトに観客は大きな拍手を送っている。チームQ4のメンバーたちも、アイチの勝利に笑みを浮かべている。

 

「・・・勝った・・・」

 

「アイチお義兄さん!やりましたね!」

 

「カムイ君!」

 

「俺は絶対に勝つって思っていたぜ」

 

「ありがとうございます、カズヤさん」

 

カムイとカズヤもアイチの勝利を祝福している。

 

「はぁ~、まったく・・・」

 

「ひやひやしたぜ」

 

キャピタルのメンバーもアイチが勝利したことによってホッと一息ついている。

 

「何であいつ、インターセプトしなかったんだ?」

 

「!」

 

森川の言う通り、確かに、黒澤はインターセプトしなかった。その疑問に気が付いたメンバーの一部は首を傾げる。その答えを櫂が答える。

 

「いや、奴は正しかった」

 

『?』

 

「あの2体・・・インターセプトにどちらか1体でも使えば、確かにアルフレッドの攻撃は防げた。だが、アイチにはまだガンスロッドがある。例えアルフレッドの攻撃が防げたとしても、このガンスロッドに、マロンの支援をつけた攻撃は、トリガーが出ない限り、防ぐことはできない」

 

「じゃあ、あいつは・・・」

 

「イメージできたか?」

 

「ぐぬぬ・・・なんかむかつく」

 

「まぁまぁ・・・」

 

櫂の皮肉な言い方に森川はぶつけようのない怒りを露わにする。

 

「アイチがクリティカルトリガーを引いた時点で、勝負は決した」

 

「ま、そういうことです」

 

「よかったじゃねぇか、アイチ」

 

(運が味方してくれたんですかね。けど・・・新しいデッキをちゃんと使いこなしたのは、間違いありませんね)

 

シンは新しいデッキを使いこなし、勝利を収めたアイチに笑みを浮かべている。

 

「えー、それでは、次鋒戦を始めます。さて、地区予選も各地区、各会場で盛り上がりを見せております。この関東第3地区予選も盛り上がっていこーぜー!」

 

シーン・・・  パチパチ・・・

 

MCミヤが盛り上げようと声を上げたが、不発に終わり、次の試合に進める。

 

「・・・おほん!第1試合は、橘カズヤ君と黒川ヒジリ君!」

 

中堅戦こと、次鋒戦はチームQ4からはカズヤが、フォーブラックスからは黒川が出場する。

 

「カズヤさん、がんばってください!」

 

「いいか!アイチお義兄さんに続いて、連勝しろよ!」

 

「プレッシャーかけんなって・・・勝てるもんも勝てなくなる」

 

アイチとカムイの応援を受けながら、カズヤは黄色のVFグローブをはめてコンソールにデッキを設置する。黒川もVFグローブをはめ、デッキを設置してファイトの準備をする。

 

「カズヤの奴、大丈夫か~?あいつも初めてなんだろ?」

 

「ん~、カズヤんなら大丈夫っしょ。一応は、腕試し、やってたし☆」

 

「あ~、魁の例のショップ大会か」

 

「まぁ・・・1回戦負けしたけどな・・・相手が悪くて・・・」

 

森川はカズヤが出場することに不安を抱いているが、シズクが大丈夫と宣言する。そしてソウジがそれを台無しにしてしまう。そうしてる間に、準備が終わり、ファイトが始まる。

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

「鉄壁竜シールドン!」

 

「リザードランナーアンドゥー!」

 

カズヤは変わらずのかげろうを混ぜたたちかぜデッキ、黒川は黒澤と同じかげろうデッキのようだ。

 

「お前もかげろうかよ⁉」

 

「ほぅ・・・お主はたちかぜか・・・どちらが真のドラゴン使いかいざ勝負!」

 

「上等だ!やってやらぁ!!」

 

互いの闘志をぶつけ合いながら、カズヤと黒川のファイトが始まった。

 

 

時間が経ち、ファイトの方は終盤、現在は互いにグレード3になっている状態だ。カズヤが混沌竜ディノカオスに、黒川は黒澤と同じヤクシャになっている。

 

「ふははははは!では参るぞ!ネハーレンでディノカオスに攻撃!」

 

「ガトリングでガードだ!」

 

「次は我だ!ジョカの支援の下、ヤクシャでディノカオスに攻撃!」

 

「ノーガード!」

 

「ツインドライブ、出でよトリガーよ!クリティカルトリガー発動だ!パワーはバーサーク・ドラゴンに与え、ヤクシャにクリティカルプラス1だ!」

 

ヤクシャの攻撃によってカズヤのダメージは5枚となった。

 

「ダメージトリガーチェック!トリガーなし」

 

「くくく・・・これでとどめだ!バーの支援の下、バーサーク・ドラゴンでディノカオスに攻撃!」

 

「させるか!シールドン、キャノンギアでガードだ!」

 

「前のターンのブライトプスの効果で加えたシールドンで命拾いしたな。ターン終了である」

 

黒川のターンが終了し、カズヤのターンが回ってきた。

 

「アイチがあそこまで頑張ったんだ・・・俺も先輩としての威厳を見せねぇとな。ライド!暴君デスレックス!!」

 

カズヤはディノカオスからデスレックスへと変化させていく。

 

「サベイジ・キングとエグザイル・ドラゴンをコールだ!

サベイジのスキルでソウルを1枚支払って、スカイプテラを退却!パワープラス3000!

スカイプテラはコストを払って手札に戻し、コール!このスキルの連鎖をもう1度、もう1度、もう1度だぁ!」

 

「なっ・・・単体でパワー21000だと⁉」

 

カズヤの準備が整え、アタックフェイズに。

 

「まずはエグザイル・ドラゴンでヤクシャに攻撃!」

 

「ええい!バーサークでインターセプトだ!」

 

「スカイプテラの支援を得て、デスレックスでヤクシャに攻撃だ!」

 

「バリィでガードだ!スキル発動!手札を1枚ドロップし、我がかげろうユニットはその攻撃を無効化させる。

(ここでクリティカルさえ出なければ、勝機はある!)」

 

黒川のダメージは4、ここでクリティカルさえ出ればそこで勝負が決まるが果たして・・・。

 

「ツインドライブチェック!1枚目。2枚目。クリティカルトリガー発動!サベイジにパワープラス5000して、クリティカルもプラス1だ!」

 

「なっ・・・ば、バカな・・・」

 

「サベイジでヤクシャに攻撃!これで決まれ!」

 

黒川の手札ではこの攻撃を防ぐことは不可能となっているため、ノーガードしかない。

 

「ま、まだヒールトリガーを引けば、可能性は・・・ダメージチェック!1枚目。2枚目・・・無念だ・・・」

 

ダメージ6枚目の時点でヒールトリガーが出なかったため、黒川の敗北となった。

 

「第1試合次鋒戦、勝者、チームQ4、橘カズヤ君!」

 

『おおおお!!』

 

「うっしゃあ!!」

 

観客は白熱したファイトに拍手をし、勝利を収めたカズヤはガッツポーズをとる。

 

「あの場でクリティカルを出すとは、運がいい奴め」

 

「でもカズヤ、今までサベイジはヴァンガードとして出してなかった?」

 

「そういやそうだな・・・」

 

「サベイジの有効利用できそうな場面に気付いたってこと☆わかったかな、後江中3人衆?」

 

「む・・・やな言い方だけど、勝ったからまぁ、いっか」

 

キャピタル側の陣営もカズヤの勝利に喜びを抱いている。

 

「すごかったです、カズヤさん!」

 

「やったなカズヤ!俺たちの2連勝だ」

 

「おう!このまま3連勝していこうぜ、櫂!」

 

「ふん・・・」

 

カズヤが戻ると、アイチとカムイからの称賛の言葉が返ってくる。櫂はノーリアクションでコンソールの前まで歩いていく。

 

「それでは、副将戦を始めます。第1試合からは、櫂トシキ君と黒崎ライト君!」

 

フォーブラックスからは黒崎が出場する。

 

「櫂君!がんばって!」

 

「お前なら楽勝だ!」

 

「アイチお義兄さんとカズヤに続いて、勝って来いよ!」

 

「言われるまでもない」

 

櫂と黒崎がコンソールにデッキを設置し、ファイトの準備をする。

 

「ま、あいつはほっといても勝ちだし」

 

「お~?認めてはいるんだ、マケミ」

 

「黙れよ!カツミだ!」

 

森川と三和が言いあっている間にファイトが始まる。

 

「「スタンドアップ・(ザ・)ヴァンガード!!」」

 

櫂と黒澤がライドしたユニットは共にリザードランナーアンドゥーだ。

 

「わ~、あいつもかげろうなんだ」

 

「同じデッキ同士のファイトか・・・」

 

「こいつは楽しみだ」

 

キャピタル側とチームQ4のメンバーがこのファイトを見守っている。

 

「面白い・・・どちら真のかげろう使いかハッキリさせようではないか」

 

「ふん・・・」

 

「そのすまし顔、いつまでも持つと思うな!」

 

櫂のすました表情に黒崎は怒りを露わにする。

 

 

櫂と黒崎のファイトは終盤、なのだが・・・

 

「はい。そちらの会場では、順調に前評判の高いチームが勝ち上がってるんですねー。いやー、こちらもなかなか・・・」

 

現在進行形で行われているファイトにフォーブラックスは驚愕、キャピタル側とQ4はほとんどが苦い表情になっている。というのも、櫂が強すぎるのである。

 

「そ・・・そんな・・・!我がドラゴン軍団の猛攻を全て防ぐとは・・・」

 

黒崎のヴァンガードはまたもやヤクシャ、櫂のヴァンガードはドラゴニック・オーバーロードだ。

 

「口ほどにもない。本当のドラゴンの使い方というやつを教えてやる!カウンターブラスト!」

 

オーバーロードのスキルを使い、バトルフェイズに入る。

 

「バーのブーストしたオーバーロードでテージャスを滅する!」

 

黒崎が選択したのはノーガード。

 

「チェック。トリガーなし」

 

「くっ・・・オーバーロードが攻撃をヒットしたということは・・・」

 

「ああ。スタンドだ。いくぞ・・・次はゴクウだ」

 

「ガンルーでガードだ!」

 

「いいだろう。チェック・ザ・ドライブトリガー。ゲット、クリティカルトリガー。パワー、クリティカル、共にオーバーロードに!」

 

黒崎はオーバーロードの攻撃からガンルーで守ろうとしたが、トリガーのゲットによって、オーバーロードのパワーが上回り、ゴクウに攻撃がヒットした。

 

「ぐっ・・・くそう・・・」

 

「さらにスタンド。とどめだ」

 

「ダメだ・・・ノーガード・・・」

 

黒崎には手札がないため、オーバーロードの攻撃を防ぎきることはできない。だがまだ諦めない黒崎。

 

(ヒールトリガーさえ引けば、まだ可能性が・・・)

 

「チェック・ザ・ドライブトリガー」

 

櫂は引いたカードを見て不敵な笑みを浮かべる。

 

「!ま、まさか・・・」

 

「ゲット、クリティカルトリガー」

 

容赦のないクリティカルトリガーによって、キャピタル側だけでなく、他の観客も苦い表情になっている。

 

「効果は全てオーバーロードに」

 

「まだだ!ヒールトリガーを2枚引き当てれば・・・1枚目。2枚目・・・」

 

ヒールトリガーを2枚を引くことに賭けたが、2枚ともノートリガー。これによって黒崎のダメージが6となった。

 

「第1試合副将戦、勝者、チームQ4、櫂トシキ君!」

 

「少なくともかげろう使いとしては俺の方が上のようだな」

 

櫂はそれだけを言い残してアイチたちの元に戻る。

 

「クリティカルを2枚も引くなんて、あいつも運のいい奴だ」

 

「いや、よく見てみろよ。櫂はまだ攻撃していないユニット、2つも残してるんだぞ?」

 

「ん、んん・・・?」

 

「はぁ・・・つまり、クリティカルトリガーがなかったとしても、多分このターンで決着ついてた」

 

「てことは・・・」

 

「櫂の圧勝だ」

 

櫂の圧倒的勝利にキャピタル側の陣営は櫂の強さにひどく痛感する。

 

(すごい・・・やっぱり櫂君はすごい・・・!)

 

先ほどの櫂のファイトをチーム男前のメンバーは観客席で見ており、その強さに驚いている。

 

「圧倒的ジャパーン・・・」

 

「櫂トシキ・・・知っているか?」

 

「いえ・・・」

 

「あれだけの強いファイターがこれまで無名だったなんて信じられないです・・・」

 

あれだけの強さを持ちながら無名ということにも驚きをみせているチーム男前。

 

(そうか・・・これがチーム男前を蹴ってまで選んだチームという訳か・・・カムイ・・・)

 

カムイが選んだチームを見てゴウキは静かに笑みを浮かべる。

 

「ゴウキさん、どうかしましたか?」

 

「いや、決勝が今から楽しみなだけだ」

 

先ほどのファイトを見て、ゴウキの楽しみが1つ増えた瞬間である。

 

「お疲れさん。圧勝だったな、櫂」

 

「地区大会でも圧勝だなんて、さすがだね!」

 

「ふん、この程度、何ということもない」

 

カズヤとアイチの労いの言葉にも、櫂は普段通り冷静な態度をとる。

 

「けっ!勝った時くらい嬉しそうにすりゃいいのに!」

 

「そう言うなって。そういう奴なんだよ」

 

「それにさー、嬉しそうに笑ってる櫂きゅん先輩なんて、想像できるー?」

 

『う~ん・・・』

 

三和とシズクの言葉を聞いて一同は櫂が嬉しそうに笑う姿をイメージするが、その表情がうまくイメージできない。

 

『無理!!』

 

「だろ~?」

 

綺麗で見事に言葉がハモる。アイチが苦笑いを浮かべていると・・・

 

「チームQ4のみんな、お疲れさま!」

 

「完敗だったよ!」

 

「強いな、君たちは」

 

「いやぁ、本当にまいったよぉ」

 

容姿がきれいに整った顔立ち、一言でいえばイケメンの4人組がチームQ4に話しかけてきた。

 

「あ、あの・・・」

 

「誰だお前ら⁉」

 

「ひどいなぁ。僕らだよ」

 

イケメンの1人はわかりやすくするように黒フードを被る。

 

「お主、我らを忘れたというのか?」

 

フードを被り、口調が先ほど戦ったフォーブラックスそのものであった。つまり、フォーブラックスの素顔は、揃いも揃ってイケメンなのだ。

 

『ええええええ!!?』

 

あまりのギャップの違いに当然櫂以外の一同は驚く。

 

「ま、マジかよ・・・」

 

「全然ブラックじゃない・・・」

 

「実は白魔術師だったのか⁉」

 

「ははは・・・ん?あっ!あああああ!!見てみてよあいつらの名前!!」

 

フォーブラックスの名前を見て、メグミは声を上げて一同に名前を見るように言う。一同はモニターにあるフォーブラックスの名前を見る。

 

「黒澤ヒカル・・・」

 

「黒崎ライト・・・」

 

「黒川ヒジリ・・・」

 

「黒田アキラ・・・」

 

この名前には黒以外に共通点があった。

 

「光のヒカルに、明かりのライト、彰のアキラに、聖のヒジリ・・・」

 

「苗字は黒だけど・・・」

 

「名前は揃いにそろって、めっちゃ明るい・・・」

 

「ついでに外見もめっちゃイケメンだ・・・」

 

(同じ共通点なら、何も黒の方をとらなくても・・・)

 

同じ共通点なら黒でなくてもよいのではと思うアイチである。

 

「楽しかったよ!」

 

「僕たちはこれで!」

 

「失礼するよ!」

 

「また会おうね!」

 

そう言ってイケメン姿のフォーブラックスは去ろうとするが、カムイが呼び止める。

 

「ちょっと待てぇ!!まだ大将戦が終わってねぇだろうが!!俺様が勝って2ポイントゲットして、5、0にしてやるんだからな!」

 

カムイの言う大将戦と聞いて、フォーブラックスはキョトンとなる。

 

「君、もしかして知らないのかい?」

 

「何がだよ?」

 

「この団体戦は3ポイントを差をつけたら勝ち抜けるルールなんだよ」

 

「つまり先鋒、次鋒、副将3連勝した段階で君たちの勝ちぬけが決定」

 

「大将戦はやらないんだよ」

 

「な、何だとぉ!!?」

 

フォーブラックスの説明にカムイはわなわなと驚愕の声を上げる。

 

「本当だ。ちゃんとここに書いてある」

 

「確かに、3勝すれば、大将戦の2ポイントは無意味になるもんな」

 

「すみません。確認してあげればよかったですねー・・・」

 

シンはうっかりといった表情でカムイに謝罪する。

 

「カムイさん知らなかったんですね・・・」

 

「KOっす。気づくの遅すぎっす」

 

「そ、そんなぁ・・・」

 

ルールに気付くのが遅すぎたカムイはファイトできなくてがっくりする。

 

「じゃ、カムイ君。いつか戦えるのを、楽しみにしてるよ」

 

フォーブラックスはQ4に別れの言葉を言って、今度こそ会場を去っていった。カムイに空しい風が吹き、わなわなと肩を震わせるカムイ。

 

「俺にもファイトさせろおおおおおおおお!!!!」

 

会場中にカムイの悲痛ともいえる空しい叫び声が響くのであった。

 

to be continued…




アイチ「はぁ、緊張したぁ。なんとか勝ててよかったよぉ」

カムイ「アイチお義兄さんはファイトできたからいいです・・・」

アイチ「でも、ドキドキでガクガクでヘロヘロだったよ」

カムイ「それでもファイトできて・・・うぅ・・・やる気満々のこの俺様はどうすればあ!!」

アイチ「大丈夫。今度はカムイ君、大活躍できるから!」

RIDE25「白熱のトーナメント」

アイチ「すごい・・・他のチームのファイトも勉強になる!それぞれのイメージがぶつかり合って、どんどん膨らんで、見てるだけで楽しい!!」

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