カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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最近配信されたばかりのアプリ、レヴュースタァライトにハマっちゃいました。ブシモのゲームは本当に楽しいです。て、今はどうでもいい話ですね、すみません。

さて、今回から地区大会地区予選編へと入っていきます・・・て、まだ章の方を入れてなかった。投稿したら早く入れないと。後、今作では若干ながら大会ルールが変わっていますのでご了承ください。

それではどうぞ!


全国大会地区予選編
チームQ4地区大会へ


カードキャピタルに今現在集まっているメンバーはアイチ、カズヤ、カムイ、そして櫂のみで、いつものカードキャピタルとは全く違う。それもそのはず、なんなら今日はヴァンガード全国大会の地区予選が開幕する日なのだから。そういう訳で店は臨時休業にし、集まっているのは大会に参加するメンバーだけだ。そんな中アイチは竜魂乱舞のパックを開ける。

 

「やった!ロイヤルパラディンだ!」

 

「何やってるんですか、お義兄さん?」

 

「こいつ、竜魂乱舞のパックを開けて、デッキを強化しようとしてるみたいだぜ」

 

「ええ⁉今頃そんなことやってるんですか⁉」

 

「う、うん・・・」

 

アイチのやってたことをカズヤが簡単に説明すると、カムイは驚愕した。

 

「新しいカードだからって、むやみに入れても強くなりませんよ?ちゃんとテストプレイして、デッキのバランスを確認しなきゃ」

 

「それは、わかってるんだけど・・・」

 

「全然わかってません!地区大会は今日なんですよ!」

 

「あ、いや・・・それもわかってるんだけど・・・」

 

「言いたいことはわかるぜ。でも、後ろ向きな考えはやめとけよ、アイチ。いつ俺らの出番があるのか、わからねぇからな」

 

「は、はい・・・」

 

今回参加する地区大会のルールは4人一組の団体戦となる。出場予定のメンバーは櫂、リン、カムイ、ミサキの4人だ。アイチとカズヤはくじで決まったことなので補欠というのはほぼ決定事項なのである。そんな会話をしていると、休業の札を貼り終えたシンが入ってくる。

 

「さあ、そろそろ行きますよ」

 

「え・・・?ミサキさんとリンちゃんは?」

 

「ああ、ミサキと日下部さんは後で合流することになってるんです」

 

「戸倉は俺らの学校のめんどくせぇ行事、日下部は道場のことでだろ?遅れんの」

 

「そうですよ」

 

「そう・・・なんだ・・」

 

ミサキとリンが遅れるということを理解し、大会出場者はシンが所有するキャピタルの車に乗り込む。

 

「さ、出発です」

 

「おー!!」

 

シンが車に乗り、目的地に向かって運転する。4人を乗せて、いざ出発、全国大会地区予選会場へ。

 

 

 

RIDE23「チームQ4地区大会へ」

 

 

 

地区大会会場に向かっている車の中で、アイチとカムイはアイチのデッキ調節を行っている。ちなみに座席の方は運転席はもちろんシン、真ん中の座席は櫂とカズヤ、後頭部がアイチとカムイになっている。

 

「う~ん・・・じゃあこれを抜いたらどう?」

 

「グレード3を入れたんですから、代わりに抜くのもグレード3じゃないとバランスが悪くなりますよ?」

 

「そっか・・・じゃあこれは?」

 

「う~ん・・・それは相性のいいカードがいっぱいあるから、残しておいた方がいいと思います」

 

「ああ・・・んじゃあ・・・」

 

アイチがカムイのアドバイスを聞きながらデッキ構築を考えていると・・・

 

「「クアドリフォリオ?」」

 

櫂とカズヤから聞きなれない単語が聞こえてきた。

 

「はい。イタリア語で四つ葉のクローバーという意味です。前線に戦う4人が力を合わせて、戦うんです。チームクアドリフォリオ。ピッタリな名前だと思いませんか?」

 

「チーム、クアドリフォリオ・・・」

 

どうやら先ほどの単語はチーム名の単語らしい。

 

「チームカードキャピタルでもよかったんですけど・・・それじゃあちょっと味気ないですし、6名いるチーム名も、なかなか思いつきませんので」

 

「くあど・・・くあ・・・くあど・・・ああ!!言いにくい!!」

 

「ははは、そうですね。んじゃあ、普段はチームQ4としてはどうです?」

 

「Q4・・・おお!!なんかかっこいい!!」

 

「うん!いいですね!」

 

クアドリフォリオ、略してQ4というチーム名にカムイとアイチは好印象のようだ。

 

「カズヤ君と櫂君はどうです?」

 

「いいんじゃねぇの?無理に改名すればややこしくなるしな」

 

「名前などなんでもいい」

 

カズヤも少なくとも好印象、櫂はどうでもいいといった感じでチーム名を採用した。

 

「じゃあ決まりですね」

 

シンは車のレバーを上げ、車のスピードを上げる。

 

「う、うわあ!て、店長⁉スピード出し過ぎです~!」

 

「シンさん、スピード出さなくていいから通常運転しろ!!」

 

アイチとカズヤに注意され、車のスピードを通常にする。スピードの出し過ぎには要注意を。

 

「・・・おっ、見えてきましたよ」

 

話している間にヴァンガードチャンピオンシップ、関東第3地区大会会場が見えてきたのであった。

 

 

関東第3地区大会会場に辿り着いたチームQ4とシンは会場に入る。目の前に広がっているのは、数多くの大会の参加者、観客、そしてヴァンガードの関連する設備が様々だった。

 

「わぁ・・・」

 

「おぉ・・・」

 

目の前の光景にアイチとカズヤは見惚れてしまっている。

 

「カズヤとアイチお義兄さん、出るのも見るのも初めてですものね」

 

「う、うん・・・まさかこんな大きな会場でやるなんて・・・」

 

「すげぇんだな・・・ヴァンガードの大会って・・・」

 

「ふん・・・」

 

アイチとカズヤが会場に見惚れていると、入り口の目の前にある惑星クレイのユニットの立体映像が出てくる装置を発見する。

 

「これは・・・」

 

「モーションフィギュアシステムですよ。ファイトと連動して、ユニットを立体化する装置です。これを見るのも初めてですか?」

 

「ちょっと違うけど・・・似たような機械なら見たことある」

 

「ああ、あれか」

 

アイチとカズヤはこのシステムと似たような機械をカードショップPSY(サイ)で実際に見たことあるので、あまり驚かなかった。

 

「前に1度だけ行ったっていうお店のことですね?確かPSY(サイ)とかいう・・・」

 

「おう。あれを見たら忘れられねぇよ」

 

「すげぇ!こんなの置いてるショップがあるんだ!カードキャピタルにも置いてくれたらいいのに・・・」

 

「いや、そんな余裕ありませんよ」

 

モーションフィギュアシステムについて話していると、システムに立体映像が映し出される。それは、クレイのユニットではなく、3人の女性だった。しかもその女性3人は、アイチとカズヤにとって見たことのある顔だった。

 

『みんなー!こんにちわー!』

 

「えっ⁉」

 

「は⁉」

 

その3人はカードショップPSY(サイ)の店員なのだから、アイチとカズヤが驚くのも無理はない。

 

『初めまして!コーリンです♪』

 

『スイコと申します』

 

『レッカだよー!』

 

『3人合わせて・・・』

 

『『『ウルトラレアでーす!!』』』

 

「「う、ウルトラレア・・・?」」

 

まるでユニット名に3人のアイドルのようなしぐさにアイチとカズヤは戸惑いを感じている。

 

『今日は、ヴァンガードチャンピオンシップ、関東第3地区大会にようこそ!』

 

『これに勝ったら、いよいよ全国大会だよー!』

 

『厳しい戦いが待ってると思いますが・・・』

 

『『『みんながんばってね♪』』』

 

「何で、あの子たちが・・・」

 

そもそも彼女たちが何故ここにいるのかがわからないアイチとカズヤはそんな疑問を抱く。

 

「最近デビューしたアイドルグループですよ」

 

どうやら彼女たちはアイドルグループとしてデビューし、ヴァンガード公認アイドルとなったようだ。

 

「この大会のプロモーションをやってるみたいですけど・・・お知合いですか?」

 

「はい、ちょっと・・・」

 

「たまたま、な!!」

 

実際に知り合っているアイチは頷き、カズヤはたまたまを強調してそう言った。

 

「でもあの笑顔・・・まるで別人みたいだ・・・」

 

確かに、金髪で長髪の女性、コーリンと初めて会った時の顔と今映っている今の笑顔たっぷりの顔とは全く別物であった。

 

「・・・ちっ、気に入らねぇ・・・」

 

カズヤは水色の短髪の女性、スイコを見て不機嫌を隠し切れず、誰にも聞こえないようにそう呟く。すると・・・

 

「コーリンちゃあああああん!!」

 

またも聞き覚えのある声が聞こえてきた。一同がそちらの方顔を向けると・・・

 

「森川!みんな見てる!恥ずかしいって!!」

 

「みっともないからやめろよ!!」

 

「うるせえ!!運命の再開を邪魔するんじゃねぇ!!」

 

コーリンに見惚れている森川と、森川をなだめようとする井崎とメグミがいた。

 

「いや・・・あっちはただの映像だろ・・・?」

 

「そういうの、再開とは言わないから・・・」

 

「初めて会った時からわかっていたんだ・・・あの子には人を引き付ける力があるって・・・そう!俺の目に狂いはなかった!!きっと大ブレイクするぜ、ウルトラレア!!そしてコーリンちゃん!!」

 

森川は早くもウルトラレア・・・というよりコーリンの大ファンになってしまっている。

 

『じゃあ、全国大会で・・・』

 

『『『待ってるよー!!』』』

 

ウルトラレアの立体映像はここにいる全員に手を振りながら、消えていった。

 

「はーい!!待っててねー♡」

 

「「はぁ~・・・」」

 

完全のべた惚れ状態の森川に井崎とメグミは手に負えず、思わずため息をつく。

 

「森川君!」

 

「あら?アイチ、やっと来たか」

 

「うん!井崎君と花咲さんも来てくれたんだ」

 

「ああ。クラスメイトが地区大会に出るんだ。応援しないわけにはいかないだろ?」

 

「あたし、アイチたち応援するから!がんばってね!」

 

森川たちはアイチたちの応援のためにやってきたのだ。そしてそれは、何も森川たちだけではない。

 

「俺たちもいるぜ」

 

「忘れないでください」

 

「WKっす!」

 

「うちもいるよ☆」

 

「お前ら、がんばれよ!」

 

カードキャピタルのいつものメンバーとシズクも応援に駆け付けくれたようだ。

 

「みんな・・・」

 

「こう集まると、悪い気はしないぜ」

 

「よーし!盛り上がってきたぜ!」

 

みんなが応援に来てくれて、櫂以外のQ4メンバーは嬉しそうにしていると・・・

 

「カムイちゃーーーーーーーん!!!」

 

「うおおおおおおお⁉」

 

どこからかナギサが現れ、勢い余ってタックル付きでカムイに抱き着く。当然ながらカムイは吹っ飛ばされ、柱に激突する。

 

「カムイちゃん!カムイちゃん!だーいすき!!」

 

「な、なんだこいつは?」

 

ナギサとは初めて会うメンバーにとって今の光景は驚きである。

 

「こいつじゃない!ナギサだよ!カムイちゃんの・・・彼女の・・・♡」

 

「か・・・彼女⁉」

 

彼女という単語を聞いて森川は非常に驚愕する

 

「小学生のくせにやるじゃねぇか!」

 

「気をしっかり持ちなよ、森川」

 

井崎とメグミは森川に気を遣うが、当の森川は清々しい笑みを浮かべている。

 

「ふっ・・・変な気を遣うんじゃねぇよ。こんなことで俺がショックを受けるとでも思っているのか?んん?」

 

「「?」」

 

「なんたって俺にはコーリンちゃんがいるんだから!!」

 

「うわー・・・うわ、うわー・・・」

 

「お前の人生終わってるな・・・」

 

「「「あはは・・・」」」

 

あまりのコーリン推しの森川にメグミにはドン引きし、井崎は呆れ果てている。三和とソウジとシズクは苦笑い。

 

「久しぶりだな!先導!」

 

「逃げずにやってきたか」

 

「それだけは褒めてやる、ジャパーン!」

 

「僕は絶対に来ると思ってました」

 

「!チーム男前・・・」

 

そんな話をしていると、今大会に出場するゴウキ率いるチーム男前がアイチたちに話しかけてきた。

 

「お兄ちゃん!スバル君!」

 

(カムイさん、大丈夫ですか?)

 

(KDっす)

 

ナギサがゴウキたちに目を向けているすきにエイジとレイジはカムイを心配する。

 

(これが僕たちの誘いを蹴ってまでカムイ君が選んだチームか・・・)

 

「ふん!か細い野郎ばっかじゃねぇか!俺たちの相手になりそうもないなぁ!」

 

「ふん、弱い犬ほどよく吠えやがる」

 

「何ぃ⁉」

 

挑発をするはずが櫂の挑発により、ゴウキは怒りを浮かべる。

 

「わああ!待って待って!ケンカはだめだよ!」

 

「ゴウキさん!落ち着いてください!」

 

「櫂も挑発すんなって!」

 

アイチとカズヤとスバルの仲裁によって、ケンカや大事にならずにすんだ。

 

「・・・まぁ、俺たちはファイトしに来たんだ。いいか!どんな組み合わせになるか知らねぇが、俺たちと当たるまで負けるんじゃねぇぞ!」

 

「そっちこそな」

 

「へっ!口の減らねぇ野郎だ。気に入ったぜ。行くぞ」

 

「はい」

 

ゴウキはメンバーを引き連れて中央会場へと移動する。

 

「カムイちゃん!またねー!」

 

ナギサはカムイに手を振った後、ゴウキたちについていった。チーム男前と別れた後、チームQ4も中央会場へと移動していった。

 

 

中央会場では、観客や応援団は観客席に、大会参加者は中央に集まっている。参加者全員が集まり、時間が経ったところで、地区大会開催式を行った。その後は組み合わせ抽選だ。

 

「さあ、コンピューターがランダムに選んだ組み合わせは・・・と、その前に、申し遅れました!私、本日の司会を務めます、MCミヤと申します!」

 

「そんなことはどうでもいいから!早く組み合わせを教えろ!」

 

森川の言葉に従い、司会者、MCミヤは改めて組み合わせを発表する。

 

「それでは改めて、関東第3地区大会第1回戦の組み合わせは・・・これだぁ!!」

 

「最初の組み合わせは・・・」

 

コンピューターが選んだ地区大会1回戦の対戦となったチームは・・・

 

チームQ4VSフォーブラックス

 

最初の試合はチームQ4が選ばれた。そしてその対戦チームは・・・

 

「フォーブラックス?」

 

「黒・・・?」

 

「ふむ、最初の相手はお主らか」

 

アイチたちが相手チーム名を確認していると、背後から黒いローブを着こんだ怪しげな4人組が現れる。

 

「な、なんだお前ら!」

 

「お尋ねとあらばお答えしよう。我が名は黒澤」

 

「我が名は黒崎」

 

「我が名は黒田」

 

「我が名は黒川。4人揃いて・・・」

 

「ああ。黒のつく苗字が4人だからフォーブラックスなんですね」

 

「なるほど!黒ずくめの衣装と4人組ということも・・・」

 

アイチ、カムイがチーム名の由来に納得していると、フォーブラックスは先に言われてかなり落ち込んでいる。

 

「ど、どうした?」

 

「そ、それは我らに言わせてほしかった・・・」

 

「ああ!ごめんなさい!」

 

「突っ込んでくれってネーミングじゃん。だいたいなんだよその格好は?」

 

「よくぞ聞いてくれた!これは・・・」

 

「黒魔術師だろ?」

 

「だーかーらー!!」

 

服装について尋ねられるも、カズヤに先に言われ憤慨する黒澤。

 

「黒魔術ねぇ。ただのコスプレ野郎じゃねぇか」

 

観客席にいる森川の発言に怒りを覚えるフォーブラックス。

 

「こ、コスプレ⁉」

 

「なんと失礼な男だ!」

 

「我らの誇りをそんな低俗な言葉で片づけないでもらいたい!」

 

「低俗って・・・そんな言い方すると、コスプレイヤーに怒られるぞ?」

 

「そうだな。お前忍者とか大好きだし!」

 

「それだったらニンジャマスターMとかもそうじゃないかな?」

 

「いや、あれはコスプレじゃなくて・・・あ、だけど、コスプレするなら、忍者がいいな」

 

コスプレ談議で盛り上がりを見せる後江中学生組。それを見てフォーブラックスはさらに怒りが増す。

 

「くっ・・・何たる屈辱!」

 

「これほどの侮辱味わったことがない!」

 

「まぁいいだろう。そんなこと言ってられるのも今のうち」

 

「ファイトが始まれば、我らの恐ろしさに震えあがるのだからな・・・」

 

「まさか・・・お前ら本当に黒魔術が使えるのか・・・?」

 

フォーブラックスの不気味な雰囲気に森川は黒魔術が使えると思い始めるが・・・

 

「そんなわけないだろ?」

 

「お前いくつだ?」

 

「夢は寝てから見ろ」

 

「てかお前バカだろ?」

 

超のつくほどのド正論(1名は罵声)を浴びせられ、森川はフォーブラックスに怒りを覚える。

 

「ヴァンガードの実力でねじ伏せてやると言っているのだ。ではチームQ4の諸君、ファイトで会おう」

 

フォーブラックスはそう言い放ち、自分たちの待機場所へと戻っていく。

 

「お前らなんか負けちまえー!」

 

「おい森川!」

 

「大人げないよ!」

 

フォーブラックスに大人げなさすぎる言葉を放つ森川。

 

「あの人たちが1回戦の相手か・・・あれ?そういえばミサキさんとリンちゃん遅いですね」

 

「ええ。2人とも午後にならないと来られないといってましたから・・・多分、決勝戦には間に合うと思いますよ」

 

「ああ・・・そうなんですか・・・てっ、ええ⁉」

 

ミサキとリンは午後にならなければ来られないというシンの答えを聞いてアイチは驚愕する。

 

「そ、それじゃあ、大会はどうするんですか⁉もうすぐ1回戦が始まるんですよ⁉」

 

「問題ないです。ちゃんと4人揃ってるじゃないですか」

 

「4人って・・・えっと・・・」

 

シンの言葉の意味を理解していないアイチにカズヤが答えを教える。

 

「俺、櫂、カムイ、そしてアイチの4人に決まってるじゃねーか」

 

「・・・・・・え?えええええ!!?」

 

まさか自分自身が試合に出ることになるとは思わなかったアイチは驚愕の声を上げる。

 

 

試合開始予定時刻になり、1回戦の出場チームは全員中央会場に集まり、それ以外の参加者は全員観客席でファイトの様子を観察する。

 

「・・・うっ・・・うぅぅ・・・」

 

チームQ4の1回戦先鋒戦に出場することになったアイチはいつもとは違う大きな舞台、大勢の観客の前でファイト、様々なことに緊張を隠しきれていない。

 

「何ビビってんだよ、アイチ?」

 

「アイチお義兄さん、緊張しすぎです」

 

「う、うん・・・」

 

カズヤとカムイはアイチの緊張をほぐそうと声をかける。

 

「そうそう。例えお前が負けたとしても、後の3人が勝てば3勝1敗でチームは勝ち抜けなんだから」

 

「それと、大将戦には逆転のチャンスとして勝ったら2ポイントがもらえるんだから例え2人負けても残り2人が勝てば勝ちぬけになるよー」

 

「うんうん」

 

「励ましてないぞー」

 

「むしろプレッシャーを与えちゃってるよね~」

 

後江中学生組は励ましているつもりなのだが、言葉たりずで逆にプレッシャーを与えてしまっている。

 

「こらー!!やる前から負けるとか言うなーこのマケミ!!」

 

「カツミだっつってんだろ!!」

 

森川とカムイのいつも通りのやり取りにアイチはほんのちょっとだけ緊張がほぐれた。

 

「アイチ君」

 

「店長」

 

「これをどうぞ」

 

アイチに声をかけたシンは箱に入っている6色あるグローブを差し出してきた。

 

「手袋?」

 

「ヴァンガードファイトグローブです。モーションフィギュアシステムでファイトする時は、これをつけてください。グローブについているクリスタルは惑星クレイのものだって話です」

 

シンはアイチに青色のヴァンガードファイトグローブ、通称VFグローブを差し出す。

 

「そのクリスタルがシステムに働きかけ、今までイメージだけだった世界へ君を誘ってくれるんです。・・・て、係の人が説明してくれました」

 

「ありがとうございます。少し、気分が楽になった気が・・・」

 

アイチはシンから受け取ったVFグローブを両手に装着する。

 

「店長!オレンジのある?オレンジ!」

 

「はい。ありますよ」

 

「お!やった!」

 

「お、黄色があるじゃねぇか。じゃあ俺はこれにするか」

 

カムイはオレンジの、カズヤは黄色のVFグローブを受け取る。

 

「赤は櫂君、紫は日下部さん、緑はミサキですね」

 

これで全員分のVFグローブの色決めは終わった。

 

「それでは、1回戦を始めます。それぞれのチームの先鋒はコンソールへ」

 

「アイチお義兄さん、がんばってください!」

 

「気張れよアイチ!」

 

「!すぅー・・・はぁー・・・」

 

アイチはカズヤとカムイの応援を受け、もう少し緊張をほぐすため深呼吸をしてから指定位置に立つ。

 

(コンソールって・・・?)

 

アイチが指定位置に立った瞬間、アイチの足元に機械が現れ、その機械がファイト台へと変わっていく。

 

「お主が先鋒か」

 

「!えっと・・・あなたは黒・・・なんでしたっけ?」

 

「黒澤だ!!先ほど教えたはず!忘れるとは無礼な!」

 

「ご、ごめんなさい!でも・・・見分けつかなくて・・・」

 

フォーブラックスの先鋒、黒澤はアイチに対して憤慨する。だが、黒ローブで素顔を隠している分、見分けがつかないのでアイチの言い分はもっともだ。

 

「では対戦者の皆さん、レッツシャッホウ!レッツ!ヴァンガード!!」

 

「先鋒戦!スタート!!」

 

準備を終わらせ、MCミヤとジャッジの合図によって地区大会1回戦先鋒戦が始まった。

 

「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」

 

ヴァンガードファイトがスタートしたと同時に、ファイトしている者が光に包まれ、イメージ空間の中に引きずり込まれる。そして、目を開けると空間は惑星クレイのものに、そして自分自身はクレイのユニットとなっていた。

 

「おお!!すっげぇ!!やっぱり迫力違うぜ!!」

 

「いいですねぇ・・・カードキャピタルもこんなのできたら・・・」

 

イメージ空間は生で見ている観客はその迫力に圧倒される。

 

ばーくがる  PW4000

 

リザードランナーアンドゥー  PW6000

 

「これは・・・」

 

ばーくがる自身になっているアイチは今起こっている現象に驚きいていると、アンドゥーとなっている黒澤がターンを進めるように催促する。

 

「どうした?先攻はお主だ。早くするがいい」

 

「(かげろうデッキか・・・)

ドロー!うぃんがるにライドします!」

 

うぃんがる  PW6000

 

「ばーくがるは移動!

ばーくがるのスキルで自身をレストして、ふろうがるをコール!」

 

ふろうがる(醒)  PW5000

 

「ターン終了です」

 

ばーくがる うぃんがる R

ふろうがる   R   R  アイチの手札5枚 山札42枚

 

「ドロー!鎧の化身バーにライド!」

 

鎧の化身バー  PW8000

 

(!このパターン・・・)

 

うぃんがる(アイチ)はイメージ空間外にいる櫂に思わず視線を移す。

 

「お義兄さん?何を怖がってるんだ・・・?」

 

「ビビんじゃねぇ!堂々としてろ!!」

 

「・・・・・・」

 

櫂はアイチのファイトを静かに諦観している。

 

(櫂君と同じ・・・どうしよう・・・やっぱり僕が大会に出るなんて、間違いだったんだ・・・)

 

「何を恐れているか知らんが手加減などせんぞ。魔竜聖母ジョカをコール!」

 

魔竜聖母ジョカ  PW6000

 

「ジョカ・・・?」

 

「なんだ?ジョカがどうかしたのか?」

 

「あ・・・いえ・・・」

 

アイチにとって初めて見るユニットに動揺している。

 

「お義兄さん!!しっかりー!!」

 

「大丈夫だ!お前ならやれる!」

 

カムイとカズヤは全力でアイチを応援する。

 

「ファイトは始まったばっかだよ!!」

 

「ビビってる場合じゃないだろ!!」

 

「けど・・・これはさすがにちょっと怖いだろ・・・」

 

「何々~?森川きゅん、蛇苦手なの~?」

 

「ほぉ~、そうだったのか」

 

「「「はははは!!」」

 

森川の意外な一面にメンバーは大笑い。

 

「どうしたんでしょう?アイチ君」

 

(初めて見るユニットだ・・・。櫂君と同じデッキの上に、知らないユニットまで・・・)

 

「・・・ふん、つまらんことで動揺しやがって」

 

R バー ジョカ

R R   R

 

「では参るぞ。我の相手はうぃんがるだ!」

 

「の、ノーガードです!」

 

「ドライブトリガーチェック『バーサーク・ドラゴン』」

 

「だ、ダメージトリガーチェック『小さな賢者マロン』」

 

「ジョカでうぃんがるを攻撃!」

 

「!未来の騎士リューでガードします!」

 

「ふむ・・・ターン終了だ」

 

PW8000➡PW6000

PW6000➡PW6000+SH10000=16000  黒澤の手札5枚 山札42枚  アイチのダメージ1枚

 

(どうしよう・・・この先、どんな戦い方をしてくるのか・・・)

 

アイチは不安がりながら相手の出方を考えるが、何も答えが出なかった。

 

「(ダメだ・・・わからない・・・ここは、いつも通り・・・)

立ち上がれ!僕の分身!ライド!ブラスター・ブレード!!」

 

ブラスター・ブレード  PW9000

 

「うぃんがるをコール!」

 

ばーくがる ブラスター・ブレード R

ふろうがる   うぃんがる    R

 

「うぃんがるのブースト、ブラスター・ブレードでバーを攻撃!

うぃんがるのスキルで、ブラスター・ブレードにブーストした時、ブラスター・ブレードにパワープラス4000!」

 

「ノーガードである!」

 

「ドライブトリガーチェック『孤高の騎士ガンスロッド』トリガーはありません」

 

「ダメージトリガーチェック『ワイバーンストライクジャラン』こちらもトリガーはない」

 

「ふろうがるのブースト、ばーくがるでバーを攻撃!」

 

「ノーガード!ダメージトリガーチェック『魔竜聖母ジョカ』トリガーなし」

 

「ターン終了です」

 

PW19000➡PW8000

PW9000➡PW8000  アイチの手札4枚 山札39枚  黒澤のダメージ2枚

 

「ダメージ2か。まぁ順当なところだろう。だが、それもここまでだ。我が力を思い知るがいい!!ドラゴンナイトネハーレンにライド!ワイバーンストライクテージャス、ワイバーンストライクジャランをコールだ!」

 

ワイバーンストライクテージャス  PW8000

ワイバーンストライクジャラン  PW6000

 

「動いてきた・・・」

 

「一気に展開してきたな・・・」

 

「ジョカを後ろに下げる。空いた場所にバーサーク・ドラゴンをコール!」

 

バーサーク・ドラゴン  PW9000

 

「ヴァンガードがかげろうであるならば、バーサーク・ドラゴンのカウンターブラスト(2)!」

 

「なるほど・・・言うだけのことはあるぜ」

 

「「「?」」」

 

三和の言葉に疑問符を浮かべる後江中学生組。

 

「お主の後ろに控えているうぃんがるには退却願おうか」

 

「えっ⁉」

 

バーサークの能力によって、ブラスター・ブレード(アイチ)の後ろにいるうぃんがるは消えてしまった。

 

「さらにジョカのスキル発動!お主のリアガードが我がユニットのスキルで倒されるとき、ジョカのパワーはプラス3000される!」

 

「くっ・・・」

 

「バーサーク・ドラゴンのコールからのカウンターブラスト、そしてジョカのパワーアップ・・・相手も結構お手のものだね」

 

「ひ、日向、お前意外に詳しいのな・・・」

 

「グレード2のくせしやが・・・」

 

「「すげぇ(すごい)コンボだ!!」」

 

シズクの解説にソウジは意外そうな顔をし、井崎とメグミはこのコンボに興奮してる。

 

「くっ・・・」

 

「お主、これで終わりだと思ってるのか?」

 

「!!」

 

「お主のリアガードをドロップされてスキルを発動させるのはジョカだけではないぞ!

スキル発動!華麗なる死の舞を見るがいい!!スペリオルライド!!魔竜戦鬼ヤクシャ!!」

 

魔竜戦鬼ヤクシャ  PW9000

 

「あいつ、後攻のくせに、アイチお義兄さんよりグレード3を出しやがった!」

 

「けど、何でだ⁉」

 

ヤクシャの能力を知らないカズヤに変わり、シズクがそれを簡単に説明する。

 

「ヤクシャが手札にあってなおかつ、相手のヴァンガードがグレード2の状態でメインフェイズに相手のリアガードが退却されたら、それを公開することでライドできるんだよ」

 

「お、おう・・・」

 

「ここまでがコンボだったのか!」

 

「な、何て恐ろしいコンボ・・・」

 

「ひいぃ・・・あいつやっぱり黒魔術・・・」

 

「それは違うっての」

 

テージャス ヤクシャ バーサーク

ジャラン   R    ジョカ

 

「では攻撃に移らせてもらおうか。まずは、ジョカの支援でバーサーク・ドラゴンがばーくがるを攻撃!」

 

「の、ノーガード!」

 

「ジャランの支援でテージャスがふろうがるを攻撃!」

 

「えっ⁉」

 

ふろうがるは後列にいる。普通であればふろうがるに攻撃することはまず不可能である。

 

「ふろうがるは後列にいるんだぞ⁉何で攻撃できるんだ⁉」

 

「テージャスは同じ縦列にいる後列のユニットまで攻撃できる能力を持ってるんだよ」

 

「そんなのあり⁉」

 

「厄介なユニットだなぁ・・・」

 

「ジャランのスキルによってテージャスをブーストしたため、テージャスのパワーはさらにプラス4000!」

 

「の、ノーガード!」

 

「残るはお主だけだぁ!はははは!ヤクシャでブラスター・ブレードを攻撃!」

 

「の、ノーガードです!」

 

「ツインドライブチェック!『ドラゴンナイトネハーレン』『ワイバーンガードバリィ』」

 

「よし!」

 

「トリガーはない!」

 

「これでダメージ2対2!」

 

「ふむ、お主まだ運に見放されていないようだ」

 

ヤクシャは炎を纏った2つの短刀を使い、ブラスター・ブレード(アイチ)に斬撃を与える。攻撃を喰らったブラスター・ブレード(アイチ)は後ずさる。

 

「ダメージトリガーチェック『沈黙の騎士ギャラティン』」

 

「ターン終了である」

 

PW18000➡PW4000

PW18000➡PW5000

PW9000➡PW9000  黒澤の手札3枚 山札37枚  アイチのダメージ2枚

 

「僕のスタンド&ドロー!降臨せよ!戦士たちの主!ライド!騎士王アルフレッド!!」

 

騎士王アルフレッド  PW10000

 

「よっし!アルフレッドだぁ!」

 

「これでアイチもグレード3だね!」

 

「浮かれてる場合じゃないよ」

 

「「「えっ?」」」

 

アルフレッドの登場に浮かれている後江中学生組をシズクの一声で疑問のものに変えさせる。どういうわけかを三和が説明する。

 

「せっかくのアルフレッドだってのに、周りに仲間が1人もいない」

 

「そうか・・・アルフレッドはリアガードにいるロイヤルパラディン1体につきパワープラス2000できるんだった・・・」

 

「このままじゃ、元々のパワー10000でアタックするしかない!」

 

アルフレッドの能力はこのままでは発揮することができない。

 

「やはりアルフレッドできたか・・・」

 

「まさか⁉」

 

「ああ。ロイヤルパラディンを使っているのだから、これくらい予想できる。だからこそ、お仲間には退却してもらったのだ!!」

 

そう、先ほど黒澤のリアガードがアイチのリアガードばかり狙っていたのは、アルフレッドのスキルを発揮できなくさせるためだったのだ。これほどまでの強敵にアイチは勝つことができるのか⁉

 

to be continued…




アイチ「ヴァンガードファイトグローブ・・・」

カムイ「どうっすか!F1のドライバーになったですね!かっこいい!」

アイチ「うん。でもみんなのファイトを応援できればいいと思ってたのに、僕が先鋒だなんて・・・」

カズヤ「心配すんなって。カムイの奴が大将だし、俺が中堅、櫂が副将だから気楽にいけよ!」

アイチ「わ、わかったけど・・・この人強いですよ⁉」

RIDE24「新たなる仲間たち」

アイチ「アルフレッド、僕と仲間に勝利のイメージを!」

カムイ「アイチお義兄さん!シフトチェンジ、アクセルオンです!」

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