カードファイト!!ヴァンガード 熱血の先導者と努力の先導者   作:先導

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ヴァンガ情報局でやっとすべてのクランのタイプが判明しましたね。意外と想像通りだったり、意外だったりしたものもあったんじゃないでしょうか?

そして11月にはギアクロニクルが入ったパックが発売されますね。アニメでは登場するのかどうかが気になるところですね。

それと、だいぶ前に更新するといっていた設定を投稿し終えました。ずいぶん遅れて申し訳ございません。でもぜひそちらもご覧ください。

さて、今回でカズヤ君と雷門先生の対決が決着!

それではどうぞ!


教師ファイターとの勝負の行方

カードキャピタルショップ大会のEブロック2回戦、カズヤがファイトしている相手、晴見中学校の教師、雷門ダイスケによる多彩なスキルの活用によって、グレード2以下のヴァンガード、リアガードのスタンドによって、カズヤはかなりの苦戦を強いられている。経験も、知識も相手が一手を上回っており、そんな状況でカズヤがどう逆転するかを、ファイターは緊張した雰囲気を出している。

 

カズヤの盤面

 

スカイプテラ ディノカオス R

スカイプテラ   R    R  手札1枚 山札34枚  ダメージ5枚(裏2枚)

 

雷門の盤面

 

インビンシブル ライオン ブーメラン

   R     R   ネコ執事  雷門の手札3枚 山札33枚  ダメージ4枚(裏3枚)

 

 

 

RIDE15「教師ファイターとの勝負の行方」

 

 

 

(相手がなんて言おうが関係ねぇ!俺は俺のやり方を通すだけだ!)

 

カズヤはカードを1枚引き、そのカードを見た後、今持ってるカードと見比べて、どうするべきかを決断した。

 

「やっぱ、これしかねぇよな」

 

「んん?」

 

「荒野に現れろ!巨竜と共にある一族の長!ライド!サベイジ・キング!!」

 

サベイジ・キング  PW9000

 

「ほぅ・・・サベイジ・キングか。やり方次第では最大級のパワーを引き出すことができる恐竜を統べる者の族長か。このユニットにライドするか」

 

「あたしを倒したユニット・・・カズヤの切り札か・・・」

 

「状況に応じてグレード3を変える・・・俺様の教訓が活かせてるじゃねぇか」

 

「いつそんなことを教えたんだよ?ていうか、お前はほとんどグレード3にライドできてねぇじゃねぇか」

 

何気なく教官面をする森川に、そんなこと教えてないことを指摘する井崎。メグミは苦笑するばかりだ。

 

「サベイジ・キングのスキルはたちかぜのリアガードとソウルを1枚払う事でパワーがプラス3000される」

 

「このスキルはコストがある限り、何度でも使用することが可能だ」

 

「確かに、それらの能力を使って、最大のパワーを21000か、それ以上を出すことが可能といえば可能ですが・・・」

 

テーブルに座っている櫂、リン、三和はカズヤの盤面をじっくりと観察している。

 

「こちらのパワーは10000。そちらはパワー9000。スカイプテラとの能力を組み合わせれば、確かにパワー15000のパワーは得られる。しかし、そちらのリアガードはスカイプテラ2体のみ。リアガードの攻撃面を回したいのであればせいぜい3回が限界、かといってヴァンガードの攻撃だけでは心もとない。さらには、かげろうのユニットがいないので、かげろうのトリガーは発動できない。なんとかしたいところだが、その手札ではどうしようもないだろう」

 

「そうとは限らねぇぜ?」

 

「どういう意味だい?」

 

「絶対に勝とうという強い思いがあれば、きっと運も恵んでくるってことだよ!ドラゴンナイトネハーレンをコール!」

 

ドラゴンナイトネハーレン  PW10000

 

「ぬぅ・・・!かげろうのグレード2、しかもパワー10000か・・・!」

 

「さらにサベイジ・キングのスキル発動!ソウルブラスト『鉄壁竜シールドン』前列のスカイプテラを退却!サベイジ・キングはパワープラス3000!

スカイプテラのカウンターブラスト!リアガードからドロップゾーンに送られたため、手札に戻す!スカイプテラをコール!この動作をもう一度、もう一度だ!」

 

ソウルブラスト『ソニック・ノア』『突撃竜ブライトプス』

 

「これでパワープラス6000!2体のスカイプテラをコール!」

 

「ぬぬ・・・パワー18000、しかもトリガーが狙える状況・・・」

 

「これが今の俺の全身全霊だぜ、雷門先生!」

 

「・・・いいだろう。ならば君の今の全力を、思う存分振るうがいい」

 

スカイプテラ キング ネハーレン

スカイプテラ  R    R

 

「まずはネハーレンでライオン・ヒートを攻撃!」

 

「叫んで踊れる実況シャウトでガードだ!」

 

『ウヒョーーーイ!!』

 

ネハーレンはライオン・ヒートを槍で貫こうとしたが、シャウトが奇声を上げながらその槍を受け止める。

 

「止められた!」

 

「この程度では、この僕を打ち倒すことはできないよ?」

 

「ちぃ・・・だったら次はサベイジ・キングでライオン・ヒートを攻撃!」

 

「ぬぅ・・・パワー18000・・・心もとないが、レッド・ライトニングでガードだ!」

 

「ツインドライブ!ファーストチェック『砲撃竜キャノンギア』セカンドチェック『リザードソルジャーガンルー(醒)』スタンドトリガー発動だぁ!」

 

「何ぃ⁉」

 

「パワーをサベイジ・キングにパワープラス5000、そして、攻撃を終えたネハーレンをスタンド!」

 

サベイジ・キングは猛スピードでライオン・ヒートに近づき、斧を振り下ろすが、レッド・ライトニングが現れ、それを防ぐ。が、サベイジ・キングの力が強く、レッド・ライトニングを吹き飛ばし、ライオン・ヒートにぶつけた。

 

「ダメージトリガーチェック『ロケットハンマーマン』」

 

「おお!トリガーでパワーが上回って・・・」

 

「攻撃がヒットした!」

 

「これで5ダメージ・・・」

 

「後1ダメージで勝てる!」

 

雷門の防御を見て、リンは顎に手を乗せ、じっくりと考察している。

 

「・・・・・・」

 

「ん?どうした?」

 

「今の攻撃、ガードを出さずにそのまま受けた方がよかったと思います」

 

「え?何言ってんだ?もしあそこでクリティカルが出たら・・・」

 

「三和、奴がドライブチェックで出したカード、覚えているか?」

 

「ん?レッド・ライトニングとMiss(ミス)スプレンダーだろ?」

 

櫂の問いかけに答えると、三和は2人が言いたいことが理解できた。

 

「そうか。シャウトとレッド・ライトニングを出したってことは・・・」

 

「奴の防御に使えるユニットはインターセプトできるブーメラン・スロアーだけだ」

 

「ですが重要なのはそこじゃないんです。重要なのは、あそこでトリガーが出ていれば、パワープラス5000の恩恵が得られ、残りの攻撃を受けずに済んだということです」

 

「トリガーが出なくても、ガードは少なくて済むし、手札やリアガードの温存ができるなら、6点ダメージを覚悟の上で受けた方がマシってことか」

 

「さらに言えば最初のアタックはインターセプトした方がよかった。そうすれば、空きができ、Miss(ミス)スプレンダーをコールし、アタックし、インターセプトを封じることだってできる」

 

「それくらいの戦術を立てられなかった時点で、この勝負は決まったも同然です」

 

リンはこのファイトの勝者をイメージし、その答えをこの目で見ている。

 

「スタンドしたネハーレンでライオン・ヒートに攻撃!」

 

「ぐぅ・・・ここは守らせてもらう!ブーメラン・スロアーでインターセプト!」

 

「だったらこれならどうだ!スカイプテラのブーストをつけて、スカイプテラでライオン・ヒートに攻撃!」

 

「ぐっ・・・ぬぬぬぬ・・・」

 

雷門の盤面にはグレード2がなし、手札はグレード3のみ。この攻撃を防ぐ手立てはもうない。

 

「さあ、どうするよ?防御するか、しないか、どっちだ?」

 

雷門はカズヤの純粋な表情を見て、思わず笑みを浮かべる。

 

「・・・防御なし。ダメージトリガーチェック『ジェノサイド・ジャック』トリガーない」

 

スカイプテラは空を高く舞い、装備している機銃をライオン・ヒートに全弾を発射させる。ライオン・ヒートは機銃を受けてしまい、倒れる。

 

PW10000➡PW10000+SH5000=15000

PW18000(+5000)➡PW10000+SH10000=20000

PW10000➡PW10000+SH5000=15000

PW12000➡PW10000

 

カズヤのダメージ5枚  雷門のダメージ6枚  勝者カズヤ

 

「僕の負けだ」

 

「勝者、橘カズヤ!」

 

『おおおおおおおお!!』

 

白熱したファイト内容に観客は2人に拍手と歓声が送り、店内が盛り上がっている。

 

「おっしゃああ!!」

 

ファイトに勝ったことにより、カズヤはガッツポーズを決める。

 

「すごいです、カズヤさん!」

 

「やったじゃねぇかカズヤ!2回戦突破だぜ!」

 

「おう!順調だぜ!」

 

「さすがあたしに勝ったファイター!うん、決まってたね!」

 

「お前もかよ・・・」

 

アイチたちを含むいつものメンバーはカズヤに駆け寄り、共に笑いあった。

 

「かっこよかったぜ、アニキ」

 

ファイトを見ていたアツシはカズヤにそう称賛した。

 

「これも予想通りになったな」

 

「ふん・・・」

 

「三和先輩はまだまだ、状況把握能力が足りませんね」

 

「ありゃ、こりゃ手厳しい・・・」

 

三和の言葉に櫂は変わらずに鼻を鳴らし、リンは三和に厳しい一言を浴びせる。

 

「橘君、おもしろいファイトをありがとう。おかげでいい気分転換になったよ」

 

「あ、ああ。どうもっす・・・。なんか、すんません。途中、タメ口利いちまって・・・じゃなくて、えーと・・・」

 

雷門がカズヤに話しかけてきて、カズヤは途中でため口を言っていたことに対して謝罪する。雷門は特に気にした様子はない。

 

「いや、気にしなくてもいい。君のような少しやんちゃな子はぜひとも我が晴見中学校に来てもらいたいんだが・・・おしいな。君は高校生だからなぁ・・・いや、それでも構わないか・・・」

 

「あ・・・いや、それ以前に転校なんかしませんけど・・・」

 

「はっはっは、冗談さ。本気にしないでくれよ」

 

学校への勧誘をされて、カズヤは少し困り顔をしていたが、雷門は笑って勧誘が冗談だということを教える。

 

「それはともかく、次の試合もがんばってくれ。僕も、君たちの活躍、教師として見守らせてもらうよ」

 

「それでは、次の試合を始めまーす!」

 

シンが次の試合の開始の知らせをしている間、雷門はミサキに近づき、さっき使っていたデッキを渡す。

 

「あ、これ、レンタルデッキの返却、お願いします」

 

どうやら雷門はレンタルのデッキで2回戦まで駒を進めていたようだ。

 

(雷門先生、ご指導、ご鞭撻、ありがとうございました)

 

カズヤは心の中で雷門のファイトを混じりながらのヴァンガード講座に礼を言うのであった。雷門がデッキを返却した後、次の試合、BブロックとFブロックの試合に出るミサキ、カムイ、そして対戦相手たちはスタンディングテーブル(仮)の前に立ち、ファイトの準備を行う。

 

「それでは、2回戦、第7、第8試合、開始です!」

 

「「「「スタンドアップ・ヴァンガード!!」」」」

 

互いに準備を終え、シンの合図によって、Bブロック、Fブロックの試合が開始された。

 

 

数分後、Fブロックのカムイの試合は終わりを迎えようとしていた。

 

「アタック、アシュラ・カイザー!フィニッシュ・ホールド!」

 

カムイのアシュラ・カイザーの攻撃によって相手ファイターのダメージは6となり、カムイの勝利となった。

 

「く・・・くそぅ・・・」

 

「勝者、葛木カムイ君!」

 

「よっしゃ!」

 

カムイも2回戦を突破し、ガッツポーズをとる。

 

「さすがです、カムイさん!」

 

「SKっす!」

 

「当ったり前だ!ショップ大会の2回戦ごときで、この葛木カムイ様が負けるかよ!」

 

「「「はははははは!!」」」

 

小学生3人組は共に笑いあい、この勝利を分かち合った。

 

「さすがだな、カムイ君」

 

「けっ、かわいくねぇ奴だな、たく・・・」

 

カムイのファイトの結果にアイチは称賛し、森川は変わらず悪態をつく。

 

「店番の姉ちゃんの方は接戦だな」

 

「本当だね、ダメージは4対4だし」

 

「戸倉と相手のリアの展開もどっこいどっこいだしな」

 

「あわわ・・・戸倉さん・・・」

 

「な、いい勝負だろ?」

 

中学生組と高校生2人組はBブロックでのミサキの試合は五分五分だと思い込んでいるようだ。

 

(いい勝負?ま、ぱっと見はそう見えるか。けど・・・)

 

ミサキからすればこの勝負はもう決まったようなものだと確信している。

 

「アマテラスのソウルチャージ。まずは、自分の山札の1番上を確認」

 

山札の1番上から出てきたのはサイレント・トムだった。

 

「(サイレント・トムか・・)

このカードは1番下に戻す。そして、コール、オラクルガーディアン・アポロン、バトルシスターここあ。

ここあのスキルで、山札の1番上を確認。・・・これも山札の1番上に戻す」

 

能力を活用し、ミサキの攻撃態勢は万全になった。

 

「じゃ、そのままアポロンでスタードライブ・ドラゴンを攻撃」

 

「トリスタンでガードします!」

 

「うん、相手はいい判断だね」

 

「何がだよ、花咲?」

 

メグミの発した一言にどういうことか尋ねる森川。

 

「アポロンはね、アタックがヒットしちゃったらコストを払う代わりに、山札を1番上を引くことができるの。そしてそれは、アマテラスの攻撃の補助になるし、ターン終了時の防御にも使える可能性があるってこと」

 

「確か、アマテラスのスキルは手札4枚以上でパワーが4000上がるんだったよな?それで戸倉は・・・」

 

「うん。でも多分、それだけじゃないと思うよ」

 

「ジェミニの支援を受けて、アマテラスで攻撃」

 

「エポナでガードします!」

 

アマテラスの攻撃を相手はエポナでガードする。

 

「ツインドライブチェック。1枚目。ドロートリガー。パワーはサイレント・トムに、1枚ドロー。2枚目。ワイズマンか・・・。でもこれで、手札4枚。アマテラスのスキルでパワーアップして、パワー22000。これで攻撃はヒットする」

 

「そ、そんなぁ・・・」

 

トリガーはトムに振ったが、アマテラスのスキルでパワーが上がり、攻撃がヒットされた。

 

「ああやってドロートリガーを確認できたら、手札を増強できるってわけだからアマテラスの能力が補助するってわけなの・・・」

 

「店員の姉ちゃんはそれがわかってたからサイレント・トムにパワーを⁉」

 

「ひえぇぇ・・・やっぱえげつねぇ!」

 

「さすがは戸倉さん!知的!」

 

「若干1名、お前らとは違う反応してる奴いるけどな」

 

ミサキに対して恐ろしさを感じた中学生3人とは対照的にソウジは尊敬の眼差しをしており、カズヤはそれを見て呆れている。

 

(けど、それがミサキさんの戦い方なんだ)

 

「ここあの支援を受けて、サイレント・トムで攻撃」

 

「サイレント・トムの能力でスキルでグレード0は出せねぇから・・・相手もう何もできねぇじゃねぇか!」

 

「つまり相手に残されてんのは、ヒールトリガーに賭けるしかねぇってことか」

 

そういうこともあって、相手はヒールトリガーに賭けて、ダメージチェックを行う。

 

「ダメージチェック・・・トリガーはありません・・・」

 

「勝者、戸倉ミサキさん!」

 

Bブロックの代表がミサキが決まり、観客はミサキに拍手を送っている。

 

「ふぅ・・・」

 

ミサキは緊張が解けたのか、ホッとする。

 

 

 

2回戦すべての試合が全て終了し、一度勝者を含めた一同はトーナメント表の前に集まる。

 

「さあ、これで第3試合に進出する各ブロックの代表者8名が決定しました!」

 

パチパチパチッ!

 

観客は第3試合進出決定者に拍手を送る。

 

「Aブロック勝者、先導アイチ君!」

 

「!///」ビクッ!

 

「いいぞー、アイチ!雑兵一番星!」

 

「なんだそれ・・・」

 

「それ、軽くディスってるよ」

 

代表に選ばれたアイチは赤面する。照れているようだ。

 

「Bブロック勝者、戸倉ミサキさん!」

 

同じくミサキもアイチ同様照れてる。

 

「照れてるぜ」

 

「人形みたい」

 

「かーわい~」

 

「うるさい!!///」

 

ミサキは照れながら中学生3人組を怒鳴る。3人は三和を盾にし、後ろに隠れる。

 

「だから、何で俺を盾にする⁉」

 

「Cブロック勝者、日下部リンさん!」

 

「いよ、大和撫子ー!」

 

「三和先輩、蹴りますよ?」

 

「はい、すみませんでした・・・」

 

茶々を入れた三和にリンは睨みを利かせながらそう言った瞬間、三和はすぐに謝った。

 

「Dブロック勝者、秋田ソウジ君!Eブロック勝者、橘カズヤ君!」

 

「「イェイ!!」」

 

「いよ、名コンビ!」

 

名前を呼ばれたカズヤとソウジは互いに拳と拳をぶつけ合った。

 

「Fブロック勝者、葛城カムイ君!」

 

「いよ、カムイさん!日本一ー!」

 

「いやいや、世界一!天下一っす!」

 

エイジとレイジはカムイを褒めたたえている。

 

「BBっすー!」

 

「DTっすー!」

 

「KGですー!」

 

「!!んだとぉ!!単純だが、童貞やクソガキだぉ!!?」

 

野次を聞いたカムイはエイジとレイジに憤慨する。2人は首をぶんぶん横に振って言ってないことを否定している。カムイは気付いていないが先ほど野次を飛ばしたのは中学生3人組だ。中学生3人組は成功と言わんばかりに笑っていた。

 

「Gブロック勝者、伊藤ケンタ君!Hブロック勝者、櫂トシキ君!」

 

櫂の名前が出た途端、中学生3人組は罰が悪そうに櫂から視線を放す。

 

「以上の8名で、第3試合が行われるわけですが、その前に・・・」

 

「組み合わせ抽選だ!」

 

「いえ、お昼休みです」

 

シンからお昼休みと告げられたカムイは大いにずっこける。

 

「な、何ぃ~⁉」

 

「ほらぁ、ここにちゃんと書いてあるでしょ?」

 

「え?」

 

シンがトーナメント表の隅っこを指を指すと、そこにはショップ大会のスケジュールが書かれていた。

 

「本当だ!」

 

「わかりにくいんだから別の用紙用意しとけっての、シンさん!」

 

「はい、すみませんでした・・・」

 

カズヤの正論にシンはしゅんとなるが、すぐに気持ちを切り替える。

 

「じゃ、じゃあそういう訳で、抽選は午後1時に行いますので、遅れないようにしてくださいね。・・・いやー、審判っていうのも重労働だなー。あー、腰痛」

 

シンは腰を抑えながらその場を去っていった。時計を見てみると、時刻は12時を回っていた。

 

「後1時間もある」

 

「うおー!この俺の燃え上がった闘志をどうすればいいんだあ!!」

 

「そういえば、腹減ってきたな、アニキ」

 

「ちょうどお昼だし、ご飯食べてきたら?」

 

「そうすっか」

 

「けど・・・そんな用意・・・」

 

「してきたよ?」

 

「え、エミ?」

 

お昼ご飯はどうしようかと考えていると、エミが持っていたバスケットをアイチに渡す。

 

「はい、アイチ。お弁当」

 

「お弁当?エミが作ってきたの?」

 

「え、エミさんの手作りですか⁉」

 

「中はどんな感じだ?」

 

バスケットの中を開けてみると、中にはなかなかおいしそうなお弁当の料理が入っていた。

 

「おおおお!!エミさんすごい!すごいっす!」

 

「お母さんにも一緒に手伝ってもらったけどね」

 

「「「「へぇ~・・・」」」」

 

(本当は、ほとんどお母さんが作ってたりするんだけど・・・)

 

「にゃあ~」

 

一同が関心していると、店長代理がエミに何か訴えるように声を出した。

 

「にゃあ~」

 

「え?何?何を言いたいの?」

 

「ああ、あたし、実は少し、猫語がわかるんだ」

 

「本当⁉」

 

「マジですか⁉」

 

ミサキの一言にエミとアツシは純粋な好奇心をミサキに向ける。

 

「あ、いや、冗談だけど・・・」

 

「だよな」

 

ミサキが冗談を言ったのをわかると、カズヤはホッとしたような顔になる。それに対してアイチとカムイは驚いている。

 

「ミサキさんが・・・」

 

「冗談を・・・」

 

「・・・」ギロッ

 

「と、戸倉落ち着けって」

 

アイチとカムイがそう言っていると、ミサキが2人に睨みを利かせる。それをカズヤがなだめる。

 

「あー、えっと・・・多分店の中でお弁当、食べちゃダメって」

 

「え?そうなんですか?」

 

「あー、そっか。店内飲食禁止だったしな」

 

「ほ、ほら!カードを汚したりしたら大変だろ?」

 

「そっか・・・。ごめんなさい。私、知らなかったから・・・」

 

「にゃあ~」

 

飲食禁止のルールを知ったエミは店長代理に謝り、店長代理は満足したかのように走り出していった。

 

「けど、お弁当、どうしよう・・・」

 

「それなら、店のわきにベンチがあるから」

 

「!はい!」

 

これで先導兄妹はカードキャピタルのベンチでお弁当をとることに決めたようだ。

 

 

カードキャピタルのベンチで先導兄妹はお弁当をとっていた。

 

「カードキャピタルにこんな所があったなんて」

 

「えへへ、なんか落ち着かないけど、おもしろい!」

 

昼食を楽しんでいると、ミサキが2人分のお茶をもってやってきた。

 

「お茶」

 

「あ、ありがとう」

 

「ごめん、追い出しちゃって」

 

「いいえ。こういうところでお弁当も楽しいです!」

 

「そう?よかった」

 

ミサキは2人にお茶を渡し終えると、ベンチの下にキャットフードを置く。ベンチの下の奥の小さな扉から店長代理が出てきて、キャットフードを食べ始める。

 

「あ、猫さんの出入り口?」

 

「そう。専用ドア」

 

「へぇ~、おもしろーい」

 

「そう?・・・そうだね」

 

「お、やってるなー」

 

「あ、アツシ君に、カズヤさん」

 

会話に華を咲かせていると、コンビニから戻ってきた橘兄弟がやってきた。

 

「お前らも食うと思って、いろいろ買ってきたんだよ」

 

「皆さん、一緒に食いましょう!」

 

「うん、一緒に食べよう。エミもいいよね?」

 

「うん。ミサキさんもどうですか?カズヤさんもアツシ君も」

 

「ありがとう」

 

「いただきますっす!」

 

「悪いな。エミちゃんもお前らも買ってきたもん、遠慮なくとっていいぞ」

 

ミサキと橘兄弟も食事に参加することになった。その様子を隠れながら見ていた小学生組、特にカムイは羨ましそうに見つめていた。

 

「うぅ・・・俺の女神のお弁当・・・」

 

「OMOっすね」

 

「それにしてもおいしそうだなぁ・・・」

 

「俺の女神のお弁当・・・」

 

 

これはカムイの妄想である。

 

『『あははは!らんらんらーん!今日は楽しいピクニックー♪』』

 

カムイとエミは楽しそうに美しい草原をスキップしている。

 

『あなた!あの辺りでお昼にしましょう!』

 

『ああ!そうしよう、エミ!』

 

その時のカムイの歯は白く輝いたように見えた。

 

『私、サンドイッチを作ってきたの』

 

『おお、エミは料理が上手だな!』

 

『うふふふふ♪はい、あなた。あーん♪』

 

『あーん♪』パクッ

 

カムイはエミの作ったサンドイッチを一口で食べる。

 

『おいしい?』

 

『うん、おいちぃ♡』

 

何度も言うが、これはカムイの妄想である。

 

 

カムイが妄想の中でデレテいる。それに気づいたカムイは首を振り、正気を取り戻す。

 

「見てろよ!俺もいつか必ず俺も・・・!」

 

カムイがそう決意をしていると・・・

 

「いや~、本当にもらっちゃっていいんですか?」

 

「感謝感激、KKっす」

 

「いいのいいの♪」

 

「なにぃいい!!?」

 

いつの間にかエイジとレイジがエミたちのところにおり、エミからサンドイッチをもらっている。それを見たカムイは驚愕し、すぐに2人に駆け寄る。

 

「何やってんだお前ら!!」

 

「お弁当いっぱいあるから、僕たちもどうぞって」

 

「カムイさんもどうっすか?」

 

「バカやろおおお!!!俺の女神のお弁当をお前らが食うなんて、100万年早いわあ!!」

 

カムイがエイジとレイジに憤慨していると、カムイの放った言葉にエミが怒った様子でカムイに詰め寄る。

 

「ちょっと!私の作ったお弁当を誰にあげようと、私の自由でしょ⁉」

 

「そ、それは・・・そうですけど・・・」

 

「ま、まあまあエミちゃん落ち着いて・・・」

 

「エミ、そんなに怒ることないじゃないか。ほら、カムイ君も一緒に食べようよ」

 

カズヤとアイチがエミをなだめながら、カムイを食事に誘う。

 

「えっ⁉いいんですか、お義兄さん⁉」

 

「いいわよ。いっぱいあるんだし、お弁当くらい食べさせてあげるわよ」

 

「!!!」

 

エミの言葉に、カムイの中の鐘の音が鳴り響いた。

 

「エミさん!そ、それは、本当ですか!?」

 

「えっ⁉う、うん・・・」

 

(つ・・・ついに・・・俺の気持ちがエミさんに通じた・・・)

 

カムイは感動のあまり、思わず涙を流している。カムイは涙を拭き、きりとり直す。

 

「そ、それでは遠慮なく!あーん・・・」

 

「えっ?」

 

「これ、どういうことだろう?」

 

「マジか、大胆だな」

 

カムイは大きく口をあけて、エミのあーんを要求している。エミはどういう事かわからないでいた。アツシもわからないでいたが、カズヤは関心していた。

 

「ああ、きっと、こうしてほしいんだよ」

 

アイチはサンドイッチをとり、そのままカムイの口へと運ばせる。

 

「おいしいです・・・エミさん・・・とっても・・・とっても・・・」

 

単純に料理がおいしかったのか、それともエミのあーんがもらえなかったのかわからないが、カムイは再び涙を流した。

 

「カムイさん、哀れです・・・」

 

「KAっす・・・」

 

エイジとレイジもカムイのその様子に涙を流す。カムイ、哀れなり。

 

 

カードキャピタルの近場の公園でこの3人も昼食をとっていた。

 

「うめー!アンちゃんの作ったおにぎりは、塩加減抜群だな!」

 

「私の妹なのですから、当然です。この卵焼きの味もまた絶品」

 

「小学生でこれだけ作れれば、たいしたものだ」

 

櫂、リン、三和が食べているお弁当は、リンの妹アンが作ってきたものらしい。櫂と三和は幼い頃からリンと仲良くしている経緯もあってか、アンとも面識があるようだ。櫂はデッキを調整しながら食べている。

 

「で、2人ともどうだ?大会は」

 

「期待外れだ」

 

「ですね。もうちょっと楽しませてくれると思ってましたのに」

 

「そうか?この間初めてファイトをした店員の姉ちゃんがここまで残ってるんだぞ?すげぇ番狂わせじゃないか!」

 

「他の連中が不甲斐ないだけだ」

 

「まったくです」

 

櫂とリンの率直な感想に三和は肩をすくめる。

 

「んじゃ、アイチはどうだ?」

 

「「?」」

 

「櫂ともう1度ファイトしたいって一心で、ここまで来たぞ?どうするつもりだ?」

 

「・・・関係ない。相手が誰であれ、どんな目的で来ようと、挑んでくるものは全て倒す。それが俺のヴァンガードファイトだ」

 

「ふーん。じゃあ、リンは?」

 

「その問い自体がそもそもの愚問です。誰が来ようとも、私は全力で勝負に挑み、そして勝利を掴む。それこそが私の流儀であり、私のヴァンガードファイトです」

 

櫂とリンからは静かながらも闘志を宿している。

 

「・・・は、なんだかんだ言って、結構楽しんでんじゃねーの?」

 

「なんだ?」

 

「べーつにー」

 

三和は肩をすくめ、はぐらかす。

 

「あ、話は変わるけどリン。禁句だと思うけど聞くわ」

 

「なんです?」

 

「アイチたち以外の友達、ちゃんとできたか?」

 

三和の問いかけにリンは不機嫌な、いや、憎悪に似た表情へと変わる。

 

「・・・別に友人などいなくても平気です。それと、アイチ君とは友達じゃありません。赤の他人です」

 

「はーあ、相っ変わらずか。お前の同級生の友達が、かわいそうだぜ」

 

「元、でしょ?そうおっしゃるのでしたらもうお弁当は食べなくて結構です」

 

リンは三和の弁当箱を取り下げようとすると、三和が弁当箱を掴み取る。

 

「・・・何してるのですか?放してください」

 

「いやー、さすがに悪かったとは思うけど、昼飯取り上げんのはやめてくんね?」

 

「これは三和先輩にはいい薬になると思います」

 

「その薬、毒入れかもだから死ぬかもだぜ?」

 

「むしろ死ねばいいと思ってます」

 

「おいおい、先輩にそんなこと言っていいのかよ?」

 

「もちろん冗談です、9割は」

 

「残り1割は本気ってことだよなそれ」

 

三和とリンはいがみ合いながら弁当箱の取り合いをしている。櫂は2人のいがみ合いを止めることなく、デッキの最終調整を行っている。

 

「・・・あれ?あれって・・・リンリン?」

 

公園の近くを晴見中学校の制服を着たギャル風の女子中学生が3人通りかかった。そのうちの1人はリンの姿を確認できた。

 

「シズー、どうかしたー?」

 

「あ、んーん、なーんでもなーい☆」

 

「でさー、この間、知り合いの彼氏がさー」

 

「マジー?チョーウケるんですけどー☆」

 

晴見女子中学生たちは特に気にした様子もなく、その場を去っていった。ただ1人だけ、リンの姿を確認した女子はちょっとだけうれしそうな笑みを浮かべている。

 

 

1時になった頃に、ショップ大会参加者や観客はカードキャピタルに戻ってきていた。シンがそれの確認を終えると、再び司会進行を始める。

 

「お待たせいたしました!これより3回戦の組み合わせ抽選を始めます!」

 

シンは抽選方法を説明する。

 

「この箱の中には、1から8の数字が書かれた紙が入ってます。8人のファイターには、順番にそれを引いてもらい、組み合わせを決定します。それじゃあ、まず、アイチ君から、どうぞ」

 

説明を終えた後、シンはまず最初にアイチに箱を差し出す。

 

「さあ」

 

「はい」

 

アイチは箱に手を突っ込み、中に入ってる紙を取り出す。中を確認しようとすると、シンからストップがかかる。

 

「おっと、中はまだ見ないでください。後で一斉に開けてもらいますから」

 

「あ、はい」

 

その後、くじは1人ずつ引き、最後に残ったのはカムイだ。

 

「最後の1枚ですね」

 

「残りももんが服着たりっと!」

 

「なんだ?」

 

「服着たももんが?」

 

「あ、ちょっとかわいいかもそれ」

 

「おしい。残り物には副ってことだな」

 

カムイの言い間違いに疑問を抱く中学生3人組だが、三和はカムイの間違いを訂正する。

 

「さあ、いよいよ開封です!」

 

(もしかしたら、これで櫂君と対戦が決まるかもしれない・・・)

 

「さあ、どうぞ!」

 

3回戦参加者は一斉にくじを見る。アイチが出てきた数字は1だった。

 

「1です!」

 

「8だ」

 

1と8は対戦に選ばれてない。つまりまた櫂とファイトできないということだ。

 

(1と8・・・また櫂君とじゃないのか・・・)

 

「私は4」

 

ミサキの対戦相手は他の対戦相手となったようだ。

 

「おいおい、7ってことは・・・俺は櫂とかよ⁉ついてねー!!」

 

ソウジの方は櫂と当たってしまい、頭を抱える。

 

「5が出たってことは、俺の相手は6・・・」

 

「カズヤの相手は俺だぜ」

 

「カムイか」

 

「手加減はしねぇから覚悟しろよ」

 

「へっ、望むところだぜ!」

 

カズヤの相手はカムイと決まり、互いに闘志を燃やしている。

 

(ってことは・・・)

 

「・・・・・・」

 

リンが引いた番号は2、つまりはリンがアイチの対戦相手となる。

 

(リンちゃんに勝たないと、櫂君とのファイトはない・・・)

 

リンの実力を知っているアイチは気が抜けないような表情になる。

 

「カードキャピタルショップ大会3回戦、第1、第2試合、同時に開始です!」

 

そしていよいよ、カードキャピタル3回戦の試合が始まろうとしていた。

 

to be continued…




カズヤ「何とか雷門先生に勝つことができたぜ」

ソウジ「やったなカズヤ!これでどんな奴でも勝てそうな感じするんじゃねぇか?」

カズヤ「ま、絶対優勝する勢いで行くけど、油断はできねぇぜ?なにせ相手はあのカムイだからな!お前の方も櫂だろ?」

ソウジ「うがあああああ!!せめて戸倉さんと当たりたかったああああ!!」

カズヤ「さてと、アイチの相手は・・・日下部とか!日下部はマジで強いぜ、気をつけな、アイチ!」

RIDE16「アイチ対リン」

アイチ「イメージしろ、リンちゃんに勝ったら、その先に櫂君が・・・!」

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