ジャン拳   作:ベネしま
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来月と言ったな  あれは嘘だ
思ったより早く書けたので投稿します
え、誰も待ってないって?ハッハッハ
今度こそ来月投稿します


3話 初陣

 職員室に連れてこられた俺は開口一番工藤先生にトンでもないことを言われた。
 
「お前、来月までにじゃんけんで一勝しないと退学だからな。」

 一体なにを言ってるんだろうか。半ば放心状態で俺は返答をした。
 
「先生、冗談はよしてくださいよ。」
 
「冗談も糞もあるか。まさかお前聞いてないのか?あぁそっか、そう言やお前、転校初日に遅刻したんだったな。それのせいで説明するのを完全に忘れてたわ。」
 
 そう言うと、工藤先生は俺のまだ知らない学校のルールを話し始めた。

・じゃんけんには公式戦と非公式がある
・審判が生徒のじゃんけんは非公式戦
・審判が教師のじゃんけんは公式戦
・非公式戦では勝った生徒が負けた生徒に命令をする権利が与えられる
・この学校では、月に一回公式戦じゃんけんで勝利しなかった者は退学となる
・なお公式戦じゃんけんの相手は先生がランダムで選ぶ
 
「まぁざっとこんな感じだな。あ、そうそう、さっき来月と言ったがよく見たら3日後だったわ。いやぁ、すまんな。」
 
 そう言うと工藤はカラカラと笑い、机に座って事務作業を始めた。おっと先生を付け忘れたな。まぁこんな大事なことを生徒に言い忘れる奴に、先生を付ける義理はないだろう。なあ、そうだろ工藤。そんな現実逃避をしていると後ろから声がした。
 
「あら、元町君じゃない。」
 
「あ、佐伯先生こんにち「さっちゃん」…さっちゃん先生こんにちは。はぁ。」
 
「どうしたのよ、ため息なんかついて?あ、わかった!工藤先生にいじめられたんでしょ。」
 
「いやいや、なにを申しますか佐伯先生。私が可愛い生徒をいじめるはずがないでしょ。何かの間違いですよ。ハッハッハ。」
 
 こいつは許さん、絶対に。
 
「そうですね、工藤先生。俺があと3日で退学になるなんて何かの間違いであってほしいものですね。」
 
 皮肉気味にそう言うと、佐伯先生が怪訝そうな顔で聞き返してきた。
 
「3日で退学?どういうこと?」
 
「まぁつまりかくかくしかじかで。」
 
「なる程、それは工藤先生が悪いわね。なんとか今月はじゃんけん免除にならないんですか?」
 
「いやまぁ、そうしたいのは山々なんですが、それをすると俺の首が…」
 
「可愛い生徒とか言ってたのに、結局は自分の保身に入るんですか?ねぇ先生?」
 

 
 
 
 結論から言えば、俺はあと3日以内にじゃんけんをしなければならない。しかし勝敗は問わず、おこなったという事実があればいいらしい。じゃんけんは工藤の監修のもと明日に執り行われると言っていた。俺としては勝敗が関わらないのなら適当終わらせたい。しかし、対戦相手を聞いて俺は困り果ててしまった。俺の対戦相手は野呂恵。実は彼女も退学の危機に瀕していたのだった。それもそのはず彼女は入学して数ヶ月間、1回もじゃんけんをしていないのだった。本人曰わく殴られるくらいなら退学になった方がましだということだ。彼女の勉強における実力は天才的であったのでこれまでじゃんけんは特別免除されていたのだが、流石にそう何回も免除するのはまずいと言うことになったらしい。学校側としては当然彼女には退学になってほしくない。
 
「で、私をわざと勝たせるために八百長試合をしろという訳なのね。」
 
 目の前の女性、野呂恵はゴミを見るような目で俺を見たが誤解しないでほしい。
 
「俺だってお前に好き好んで負けたくねえよ。ただ工藤が俺に野呂を勝たせるよう画策してくれと言ったんだ。あのクズめ。」
 
「担任をクズ呼ばわりするのもどうかと思うけども…。まあでも私はその話には乗らないわ。私は私のやり方を貫くだけよ。」 
 
 そう言うと彼女は、踵を返し廊下を歩いていった。元町も半ば諦め下駄箱に向かおうとしていたが、その時廊下の奥で声がした。
 
「あれぇ~、恵ちゃんじゃ~ん。こんな所でなにしてるの?俺と遊ばない?」
 
 男の声がした。振り返ると、手首を金髪の男に掴まれた恵がいた。恵は嫌そうにしていたが、男はにやけ面でどんどん接近していた。俺はすかさず2人の方に歩みを進めた。もちろん彼女を助けたいという思いもある。しかしだ、俺の中にはある妙案が思い付いたのだ。
 
「おいパツキン、恵から手を離しな。」
 
「あん?なんだおめぇ、殴られてぇのか?」
 
 俺と金髪は互いに睨み合った。恵が後ろから小声で話かけてきたので俺も小声で返した。
 
「ちょっと、なに余計なことしてるのよ。」
 
「あぁ、そうだった。言質はとっておかないとな。俺はお前を助ける。だからお前は明日勝て。わかったな?」 
 
「え、いや。」
 
「わかったな?」
 
「え、はい。」
 
 よし、これで言質はとれた。後は勝だけだ。
 
「よしパツキン、お前今から俺とじゃんけんしろ。俺が勝ったらもう恵とは関わるな。その代わりお前が勝ったら俺はここからいなくなるよ。」
 
「俺はパツキンじゃねぇ。はっ、まぁいいだろう。その話乗ったぜ。でもいいのか?お前最近この学校来たんだろ。じゃあじゃんけんもしたことないんじゃねえの?」
 
 図星である。しかし俺はケンカには自信がある。海外に住んでいた頃ケンカ三昧だったからなぁ。
 
「よし、じゃあ審判は…恵。頼んだ
ぜ。」
 
 これが初陣。されどじゃんけんだ。それに校内で行われる殴り合いなど、あの頃に比べれば児戯に等しい。まぁこの前金髪の女から貰った一発はそれなりに痛かったが。
 
「じゃあ構えて。」
 
 パツキンが拳を前に出したので俺もそれに習う。
 
「最初はグー、じゃんけん…ポン」
 
 そしてお決まりの言葉を発しつつ俺はチョキを出した。
 
 あ、負けた。相手はグーだ。いやぁ、参ったなぁ。そんな感想を頭の中で考えていたらパツキンはそのまま殴り抜けてきた。もちろんそのパンチを俺が防げるはずもなく、顔面にもらい後方に吹っ飛ぶ。一瞬意識が途切れかけたが、すんでのところで踏ん張り俺は持ち直した。
 
「そこまで、次。」
 
 恵がいきなりそう言ったので、これが次のじゃんけんの合図なのだと理解した。しかし状況は俺の不利。1敗と1発のパンチを食らったのはなかなかまずい状況だ。
 
「じゃんけん…ポン」
 
 俺は連続でチョキを出した。パツキンもチョキを出したのであいこだ。俺はチョキを出した勢いで腕を折り曲げ、肘うちに繋げた。肘はパツキンの顎にクリーンヒットした。しかし、パツキンはふらつく足を支えてなんとか立っていた。もう一度肘を入れようかと思ったが恵が「そこまで」と言ったので次にお預けだ。
 
「じゃんけん…ポン」
 
 次もあいこだった。俺はパーを出した手で相手の手首をつかみグイと引き寄せた。そして頭突きを相手の額にかました。さっきのダメージが貯まっていたのかパツキンは2、3歩よろめくと膝から崩れ落ちた。
 
 勝った、勝ったぞ。俺が恵の方を向くのと彼女が口を開くのはほぼ同時だった。
 
「そこまで、勝者元町。」






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