はじめ一人称で書き始めなんか違うなってなって、一度全部再構築しました。
今後おそらく、日常描写は一人称視点、戦闘描写等は三人称視点になると思われます。
董卓への言われも無い中傷に憤っていた賈詡も暫くすると落ち着きを取り戻した。
その様子を見た幸村は、董卓にこれからの事について尋ねた。
「ところで董卓殿。私がここに置いて頂いている間、何をすれば良いのでしょうか?」
「そうですね。とても立派な槍をお持ちなので、武に長けていると思ったのですが」
「はい、それなりの心得があります」
「それでは、武官関係のお仕事を手伝って頂きますね。詳しくは詠ちゃんに聞いて下さい」
「そうね…あんたの実力が分からないと何とも言えないのだけど、あいにく私は頭脳労働専門だから、とりあえずここの武官と模擬戦して任す仕事を決めようかしら」
ここの主な人事も賈詡が担っているが、武に明るくない賈詡は董卓軍の武官と、どの程度張り合う事が出来るかで実力を見ようとしていた。
「詠ちゃん。病み上がりの幸村さんには大変じゃない?」
ついさっき目覚めてばかりの幸村の事を董卓は気遣うが、肝心の幸村はと言うと
「董卓殿、ご心配頂き痛み入ります。されど寝てばかりでは体が訛ってしまいますので」
と言って、心配する董卓に礼を言うものの模擬戦自体に対しては乗り気であった。
「模擬戦とは言ったけど、それなりの武将を当てる予定なんだけど、その言葉大層な自信ね。調子に乗って布団に逆戻りとか勘弁してよ」
幸村の発言に、賈詡は董卓軍が甘く見られたと捉え、軽い皮肉を込めて釘を刺した。
(むむっ、甘く見てると取られてしまったか?)
己が発言が、賈詡にやや不快な思いをさせた事を察した幸村だが、変に取り繕っても余計に拗れそうなのでその皮肉を受け止めるのみで留めた。
「さっ、行くわよ」
……………
………
…
賈詡の案内で幸村は稽古場まで足を運んだ。ふと幸村は自分の愛槍の在処が気になり賈詡に尋ねた。
「賈詡殿、倒れていた時に私の傍にあった槍はここに保管してあるのでしょうか?」
「えぇ、そうよ。模擬戦終わりにでも受け取って行きなさい。」
「よろしいのですか?」
「なに?その槍使って暴れる気?」
「いえ、その様なつもりは」
「月が信じると言った以上、私はそれを支えるだけ。だけどさっきも言ったけど、そんな月を傷つけたら絶対許さないから」
「賈詡殿、かたじけない」
幸村が礼を述べた所で、賈詡は模擬戦を務める相手を探し始めた。
「それより、さっさと模擬戦を始めるは相手はそうね……」
「胡軫!ちょっと模擬戦の相手をしてくれないかしら」
「賈詡様が稽古ですかい?珍しい」
「馬鹿、違うわよ。隣の男とよ」
対戦相手として選ばれたのは、筋骨隆々とした長身の男。特に目立つのが胸元から脇腹に向けて付いている一つの大きな傷である。
「この人確か、門の前で倒れてた……大丈夫なんですかい?目覚めて急にそんな事して」
「本人が大丈夫って言ってんだから、問題ないわよ」
「ほぅ、それは随分自信があるようで」
やはり胡軫も董卓軍が舐められていると感じた様で目を細めた。
「私は真田 幸村と申す。宜しくお願い致します」
「董卓軍親衛隊副長、胡軫。こちらこそ宜しくどうぞ。」
二人が挨拶を交わし、稽古場の中央へと足を運ぶ。なお先程の発言から胡軫の挨拶はやや棘のあるものとなっていた。
模擬戦の形式は、お互い稽古用の刃を潰した武器で、幸村は十文字槍、胡軫は大盾と短槍を選択した。
「それでは、二人とも初めて頂戴」
賈詡の掛け声と共に模擬戦が開始された。胡軫は盾で半身を隠しながら間合いを取りながら、幸村の動きを観察している。決して正対状態を崩さ幸村が胡軫の間合いに入ってくる事を今か今かと待ち構えている。反撃重視の戦闘態勢が胡軫の得意とする所の様だ。
「どうした、真田の兄さん。起きたばっかりで寝ぼけて武器の振り方も忘れたかい?」
胡軫が挑発を試み、間合いに踏み込ませようとする。その挑発に乗った様に幸村は幾分か後ろに下がった後、胡軫に向け駆けた。
(ようやく、こちらの挑発に乗ったな!一撃目を全力押し返し突く。それで終ぇよ)
間もなく、胡軫の間合い。二人ともそれを理解し顔つきが更に険しいものへとなっていく。
そろそろ幸村の槍の一撃が来ると踏んだ胡軫は盾を持つ手に力を込める。だが、そんな胡軫の予測を裏切り幸村は上へ飛んだ。
(アイツこの間合いで飛ぶか。大方、俺を飛び越して背後をとるのが目的だろうが、そんな事を試みる奴なんか、過去何度も居たんでねぇ上も俺もまぁっ……)
過去に自慢の脚力を利用し空中から背後を取るという手で胡軫に挑む者も多数いた。そんな中の一人と判断し、頭上近くにきた無防備な状態を捉え様と胡軫は構えを変えた。
しかし幸村は更にその予測を裏切る。「はぁ!!」と気合を込めて、空中で槍を振るった。だが、幸村が振るう相手は胡軫ではなくその手前の地面である。
(くっそ!あいつとんだ隠し玉を…アイツ地面抉るとか何モンだよ!ってか…まずいぜ、これは)
大盾のおかげで、礫の直撃は防げたがその土煙で胡軫は目の前の視界を奪われる形となった。おまけに地面を抉った衝撃は胡軫をぐらつかせた。
「けほっ、なんなのよ。その出鱈目な一撃」
突如と上がる土煙は胡軫だけではなく、その模擬戦を見ていた者の視界も奪った。
土煙が散り、視界が開けるとそこには盾を落とした胡軫が幸村に槍を突き付けられている状態で模擬戦は決着していた。
「一体何があったのよ」
状況が呑み込めない賈詡は二人に事の詳細を説明する様に求めた。
「いつつ、こりゃ参りました。完敗ですわ」
ぐうの音も出ない結果に、胡軫は素直に負けを認め、己が身に何が起こったのかを賈詡に伝えた。
土煙で視界を奪われた胡軫が次に感じたのは肩への痛み。並の一撃であれば耐えられる胡軫の強肩をもってしても防ぎきれず盾を落としてしまった。そして拾い直す暇もなく首元に十文字槍の刃先があてがわれていた。
これが、今回の模擬戦の一連の流れであった。
「まさか、ここまでとは思っても見なかったわ」
あまりの一方的な展開に唖然とする賈詡。けして胡軫が弱い訳ではない、親衛隊の肩書は伊達ではなく一人ひとりが豪の者の親衛隊。その纏め役ともいえる副長がこうも容易く破られるとは思いもしていなかった。
「隊長、張遼殿、呂布殿と並ぶ武の持ち主だと思いますぜ」
一度、決着が着きわだかまりが解けたのか、模擬戦を始める前より柔らかな口調で胡軫はそう語った。
「たしかに、あれを見せられたら否定はできないわね」
賈詡もその事を肯定し、思わぬ拾い物をしたと内心喜んだ。
「幸村、あんたには客将としてここに居てもらうわ。あんたが月に仕えるってなら喜んで迎えるけど、今はまだそんな気持ちにはなれないでしょ」
本当は董卓軍の将として迎えたい気持ちを一応抑えながら、賈詡は幸村に伝えた。
「お心遣い感謝致します。賈詡殿」
そんな気遣いに幸村は素直に礼を述べるのであった。
「噂の行き倒れ君は、ごっつ強かったの~。血が滾ってまうわ」
「胡軫、せめて一太刀くらいは当てろ」
そう話しながら、二人組の女性が幸村達に向けて歩いてきた。
一人は関西弁と似たしゃべり方でサラシを巻いて上着を羽織っただけの軽装、もう一人は銀髪のショートヘアーで鎧の胸当を付ける以外は先程の女性と大差ない軽装と言った格好である。
「華雄隊長!張遼殿!」
華雄、張遼共に董卓軍きっての猛将であり、幸村も勿論その名前に聞き覚えがあった。
「お初にお目に掛かります。私の名は真田 幸村。本日よりここで客将として仕える事となりました。宜しくお頼み申す。」
「なんや、兄さん、かったいのぉ。うちは張遼や。気軽に呼び捨てでもかまわんで、うちも呼び捨てで呼ぶけどかまへん?」
「私は華雄だ。先程は部下の胡軫が世話になったな」
それぞれ挨拶がすんだ所で、張遼から提案が出された。
「なぁ、幸村。まだ、物足りへんやろ、うちらとも勝負しよーや」
「私はかまいませんが」
「という事で、詠。かまわんへんよな」
「本人同士で話がついたんなら特段何もないわ。ただ終わったら自分たちで片付けしなさいよ。今ですら、地面抉れてんだから」
「了解や。ま、抉れたとこは幸村頑張り―や」
「承知致した。ところで順番は張遼殿、華雄殿どちらが先であろうか」
「それなのだがな、幸村。先程の戦いを見て私達はお前の実力が我が軍最強の呂布に匹敵すると見ている。故に二人で挑ませてもらう」
「呂布ちんが何進の護衛として、でばってるから退屈してたんや。楽しませてもらうで」
「ご期待に応えられるからは、分かりませんが全力を持って当たらせてもらおう」
董卓軍最高峰の二人との、熾烈な戦いが始まろうとしていた。
ゲームで実際えぐってるから、しょうがないんや・・・
初オリキャラ胡軫、男ですたw史実だと華雄の配下で呉の程普に討たれます。
※感想でご指摘頂き訂正致します。上記の出来事は演義での胡軫となります。
今回は完全にかませになっちゃいましたが、決して弱い訳ではないんですよ。
幸村がチートなだけです。
次回も引き続き戦闘描写、魅せれる戦闘が書ける様に頑張ります。