ぶっちゃけ、バランスブレーカー過ぎて公式チートです。
初めて使ったときは嘘やろってなりました。(それでも最終ステージはゴリゴリ体力削られますが)
つまりは、そういうことです・・・
そんな、小説になりますが、よろしくお願いします。
信之が、くのいちを連れて上田に戻ると多くの者が彼女の帰還を喜んだ。特に稲姫においては今まで伝えられず、胸の奥にしまい込んでいた物が一気に溢れ出してしまっていた。
「もう、別れも告げず勝手に居なくなって!!どれだけ皆が心配したか」
「あはは……私も色々思う所があったのですよぉ」
「こんな時まで、おちゃらけないで!!幸村をはじめ西軍についた多くの者が帰らぬ人となった中、あなたは生きていてくれた。戦が終わり、また一緒に家族として暮らしていけると思ったのに…それなのに……貴方は………」
稲姫は最後まで言葉を紡ぐ事が出来ず、その場で泣き出してしまった。
「ごめん…ごめんなさい……稲ちん」
泣いている稲姫を抱きしめながら、くのいちは挨拶もせずに行方を眩ました事を詫びた。
「謝らなくていい。それより戻ってきたのだからいう事があるでしょ」
「うん……ただいま」
「おかえりなさい。でも今度、勝手に居なくなったら許しませんからね」
そう言いながら、二人は笑いあった。
「さて、再会の挨拶も済んだし、そろそろ夕餉とするか」
今まで、黙ってその様子を窺っていた信之がそう声を掛けると、信之が居た事を完全に失念していた稲姫は顔を真っ赤に染めた。
「あらあら~稲ちぃん、顔が真っ赤でござるよ」
「もう!からかわないで」
そんな二人のやり取りを見ながら、あの頃の様な日々がまた戻ってくるなと信之は昔を懐かしむのであった。
くのいちとの再会から数日後、信之は二人を集めて例の童歌を調べに大坂に上る事を伝えた。
「望月が戻ってきたばかりなのに、もう発たれてしまうのですか?」
「あぁ、心配事はなるべく早くに解消したいのでな」
「信之様、その心配事てぇのは、もしかして今巷で流行っている童歌の事ですかい?」
くのいちは、心配事とは何かを察したような表情を浮かべ信之にそう尋ねた。
「そうだ、そなたは何か知っているか?」
「残念ながら何も。私も気になってちょっと調べてみたのですが、出所は特定できませんでした」
「そうか、ならば引き続き調べる必要があるな」
「その調査、私にも手伝わせて下さい」
「それは、助かるが…良いのか?」
信之は、くのいちにまた忍としての仕事を頼む事に躊躇した。
「そうですよ。出浦殿達もいるのですから、わざわざ貴方が行かなくても良いのですよ」
稲姫もまた同じ事を思いくのいちを引き留めるが、当の本人はと言うと
「お二人とも、心配し過ぎですぜ。別に誰かの企み事と決まった訳ではないですしね。まぁ、この件を稼業納めにしようかと思うのですよ。乗りかけたと言うか乗っていた舟みたいな物ですので」
「そうか、ならば有難く手を借りるとしよう」
「分かりました。でも、危ないと分かったら無理をしてはいけませんよ」
と、自分の胸の内を伝え、二人はそれを了承した。
「それでは稲、留守は任せた。行ってくる」
「さくっと解決して、お土産持って戻ってきますぜ。いってきます」
と上田を出て数日二人は大坂に到着した。
「いやぁ、七年ぶりかぁ……大阪も活気が戻ってきましたにゃあ」
実はあの戦以来、初の大坂入りであったくのいちは、活気が戻った大坂が嬉しくもあり、また同時に寂しさも覚えた。早朝に泊まっていた宿を出て、そのまま休憩を取らず大阪まで来た信之はくのいちお勧めの茶屋で一服を取る事にした。
二人が茶屋に着くと、ある二人組と出会った。
「げっ……熊姫」
「あーー!!あんたは」
と顔合わせも早々に言い合いをはじめた二人を余所に、取り残された組はマイペースに話をしていた。
「ほむ、そちは誰じゃ?教えよ」
「はぁ。私は真田 信之と申します」
「真田…という事は、幸村の縁者か?」
「はい、幸村は私の弟です。失礼ですが、あなたは?」
「うむ、わらわはガラシャ。明智 光秀の娘じゃ。弟御には世話になった、礼を申すぞ」
信之に礼を述べると、幸村が大阪に居た頃に茶々と一緒に気に掛けてくれていた事を説明した。
「なるほど、そうでしたか」
信之が事情を呑み込むと、一段落着いたのか、くのいちと元北条家臣の甲斐姫が口論を辞め戻ってきた。
「信之様、ご無沙汰しております」
「そなたは、甲斐殿だったか。無事であったのか」
「はい、生き残ってしまいました」
「あら?私の時は全然態度が違う」
「うっさい!ちゃかすな!!」
また、二人の口論が始まりそうだったので、信之は甲斐姫とガラシャに例の童歌について聞いてみることにした。
「おぉ、その歌なら街で何度か耳にした事があるぞ!」
「私も!私も!」
「だが、誰が作ったとかは分からぬ。気付いたら流行っておったからの」
「やっぱ、どこも同じかぁ」
二人の知識も、信之達と大差なく何か知っていそうな人物も心当たりは無いとの事だった。
ガラシャ達と別れた信之達は、くのいちが街中の商人や住民、信之が再築している大坂城付近の役人や職人達へと別れて聞き込みをする事にした。
信之が大坂城に向かうと、これまた懐かしい面々と顔を合わせる事となった。
「これは、皆々様おそろいで」
「おう、信之。貴様も来ておったのか」
そう声をかけたのは、独眼竜との呼び声が高い伊達 政宗、他にも元浅井家家臣で茶々との関わりも深い藤堂 高虎、毘沙門天の化身と言われた上杉 謙信の義を受け継ぐ上杉 景勝、直江 兼続主従いずれも大坂の陣で幕府軍側からとはいえ、幸村の生き様をその目で見てきた者達である。
「今は、江戸が都ではあるが大坂もまだまだ重要な場所だからな」
「私も景勝様の供をして、今朝着いた所だ」
「うむ」
などとお互いの近況やらを話した後
「ところで信之、最近妙な噂が出ておるが、貴様は知っておるか」
と政宗から尋ねられた信之は、一瞬童歌の事かと思った。
だが他のあった事もない者ならば兎も角、あの聡い政宗が根拠も無しにその様な事は言わないだろう。仮に何か掴んでいたとしてもこの様な場所で重要な鍵になる情報を軽々しく口にするはずは無いと判断し、否と答えた。
「おい、政宗やめろ」
と、内容を知っている高虎が止めに入るが政宗は当事者なのだからとその内容を信之に伝えた。
「関ヶ原のおり、真田の軍略見事と世間では誰もが褒めておるが、実は秀忠様が大御所様への逆心から手を抜いていた。また、真田が取り潰しにならないのはその秘密を共有しているからであるとな」
それに対し信之は馬鹿馬鹿しいと一蹴した。
「聞くに堪えん」
「その様な下らぬ噂を真に受けるなど、天下の伊達政宗公の名が泣くぞ」
と上杉主従も、信之を擁護する形を取ったが、高虎は
「噂の真意より、その噂が真田への中傷だけでは済まないという事だ。この噂を元に好からぬ事になるのを望む輩がいる」
「わしの言いたいのはそこよ。下らぬ噂でこの泰平が崩される等あってはならない」
「事実、お前と秀忠様は懇意の間柄。足元を掬われぬ様気を付けろよ」
「あぁ、勿論だ」
そう言うと、政宗と高虎の二人は去って行った。
「気にするな。奴らもお前の事は疑ってはいないだろうが、素直でない故あの様な言い方しかできないのであろう」
「お気遣い感謝する兼続殿」
信之が、兼続に謝辞を述べた後
「信之…今回はなぜ来た」
と景勝が信之の今回の大坂入りについて尋ねてきた。
「こんな話の後でなんだが……」
と童歌の件について、事情を説明した。
「なるほどな。我々はまだ来たばかりで状況は分からないが、何か分かった事があったらすぐ知らせよう」
二人が協力する姿勢を示してくれた後、信之達は大坂の陣の事やお互いの領地の情勢などを話して別れた。
場面は変わり、くのいちは一番有力な情報が入ってくると踏んだ豪商をはじめ色々な者に聞いて回っているが、これといった情報を得る事は無かった。これは、やはりただの童歌なのだろうかと思い始めていると、背後から急に声を掛けられた。
「おい、女……」
「いや、あなた初対面の相手にいきなり女って……あれ、この声何処かで?」
振り返って顔を見てみるが、やはり見知った顔では無かった。
「服部 半蔵だ」
「えっ?ええええぇぇぇぇ!?」
くのいちは驚愕の事実に思わず大きな叫び声を上げてしまった。
「うるさいぞ。女」
「だから、女て…まぁ、いいや。確かに言われてみれば目元や口元は半蔵の旦那の面影が」
半蔵の素顔を見た事も驚いたが、くのいちが一番驚いたのは雰囲気だった以前敵として相対していた時は、研ぎ澄まされた殺気がヒシヒシと伝わってきたが、今はそれが感じられない。
半蔵はその事に気が付いたのか
「影の任は終わった」
と短く伝えた。それを聞いたくのいちは、少しばかり肩の力を抜いて大坂に来た理由を尋ねてみた。
「ならば、半蔵の旦那は老後の気ままな一人旅ですかにゃ?」
相変わらず、人を食ったような態度に一瞬半蔵の眉がヒクッと動くが、そこは服部忍軍の元頭領、冷静に返答した。
「墓参りだ。佐助の……」
その言葉にくのいちから、さっきまでのおちゃらけた雰囲気が消えた。その様子を窺いながら半蔵は短く来るかと一言尋ねた。
大坂の中心地から少し離れた寂れた寺に佐助は眠っていた。
「佐助……久しぶり」
そう一言、よく手入れされている墓に向かって声を掛けた所で
「色々話したい事もあるだろう。拙者は一度外す」
と言って、去って行った。
その後、くのいちは天王寺口の戦いでの幸村の奮戦や別れ際の事などを話した。一通り話した後思い出したかの様に
「あっ、幸村様ももうそっちに行ってるから全部聞いてるかもね」
と、寂しそうに笑いながら言うと何処からともなく
『まだまだ、忙しくて休む暇がねぇよ。先輩』
と佐助の声が聞こえ様な気がした。くのいちは思わず周りを見渡すが当然その姿を見つける事は出来なかった。
「ははっ。そんな訳ないよね。」
気持ちが高ぶり過ぎて幻聴が聞こえたのだろうと割り切った所で、半蔵が戻ってきた。
「どうした女。狐に摘ままれた様な顔をして」
「いえ、別に…ってさっきから女、女って!!せめてくのいちって呼んで下さい」
いかにも、私怒ってますと言った雰囲気でくのいちは半蔵に訂正を要求した。
という訳で、2話終了です。
相変わらず、主人公及び恋姫面子出てきません。
今しばらく、今しばらくお待ちを・・・
一応次回で序章を締めるつもりでいます。
あと、ちょろっと伏線張ってみました。
素人が張りすぎて、線に絡まらない様に気を付けながら糸を張っていきたいと思います。(絡まらないとは言ってない)
なお、タイトルに章付けていたのを変更しました。